リアルタイムでの点字化に向けて その1

平成の終わりに「板書やパワポの情報をリアルタイムで点字情報に転換する実験」を行い、「これは意外と使えるかも!」との感触を得ました。
しかし、実際の講義で使うには、まず練習を重ねる必要があります。

まずは、パソコン2台をつないで、さらに、点字端末につなぐ…
このセッティング作業を、いかにスムーズに行うかは一つの大きな課題です。
セッティングにかけることができるのは、講義前の休み時間だけです。休み時間は15分、移動時間も考慮すると、使えるのは10分弱でしょう。

情報の入力は、PC通訳(パソコンノートテイク)の技術を使うことができます。
通常、PC通訳では、2人1組となって連携しながら、話者の音声情報を「要約」して入力していきます。

しかし、今回、入力の対象となるのは、文字情報です。
音声をそのまま文字情報にする時ほどのスピードは求められませんので、1人で対応できますが、何をどこまで入力するかの判断が必要となります。
たとえば、
レジュメなど紙資料の配布はなく、板書やパワーポイントだけの講義、
レジュメを配布したうえで、板書する講義、
パワーポイントを用い、パワーポイントのシートをそのまま印刷し配布する講義、
パワーポイントを用い、それとは別にまとめたレジュメなどを配布する講義、
といった講義スタイルに加え、
口頭でどれだけの情報が提供されるかによって、入力すべき情報は変わってきます。

そこで、実際に、パワーポイントを使っておられる「知的財産法概論」(法学部)の講義で、練習させていただくことになりました。
山根先生、ご協力ありがとうございます。

今日はセッティングなしに、「入力」の練習だけ。
しかも、パワーポイントの内容は事前に提供されているので、今日は、
「赤字」などで強調されている部分、
「図画」情報の説明
を中心に入力しました。

テキストデータになると、色や太字、下線といった強調部分が消えてしまいますので、何らかの形で補う必要があります。
普段、そうした情報は、全盲学生のとなりにスタッフが座り、口頭で伝えています。
けれど、文字情報が有益な場面もありそうで、使い分けができるとよいかも…というのが、今日、入力作業を行ったプロジェクトメンバー、土橋の感想です。

確かに、必ずしも「リアルタイム」でなくても、どこがポイントかを示すことができれば、講義の内容をより正確に伝えることができるかもしれません。
今日の「気づき」でした。
「練習」は、しばらく続きます。

2019年05月28日