2011年 プロジェクト科目 京都企業の優秀なDNAを探る

 

 

 

 

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今回、私たちは、京都経営者協会の会長である位高様に、同志社大学京田辺キャンパスにてご講演頂きました。今回はこれまでとは違い、企業の立場のお話だけでなく、京都経営者協会の会長として、客観的な考えもお話頂きました。京都の歴史的背景から、ほかの地域と比較したときの京都企業の特徴、さらに、日本のものづくりの弱体化について、日本の教育改革への取り組みについてなど、幅広くお話頂きました。

 

 

●京都経営者協会とは

中央組織の日本経団連を通じて、国際使用者連盟(在ジュネーブ)に加盟しており、メンバー会社の支店・支社に労働問題が発生した場合も、中央の日本経営者団体連盟・全国都道府県経営者協会と通じ、迅速に対応できるよう、全国的に縦横のネットワークを備えた組織です。私たちがお話を伺った、ニチコンの武田会長も役員として参加しています。

 

●京都の歴史的背景

京都企業の特徴は、歴史的背景に源流がありそうです。そこで、まずはじめに京都の歴史を交えながら京都企業について説明します。

京都は西暦800〜1600の千年の都であり、政治、文化、産業の中心であり、職人の町、ものづくりの町としても栄えてきました。

一般に言われる京都人の商法として、自信とこだわり、完璧主義、量より質で高級志向、目先を追わず先を見るということが挙げられています。職人の街であったことから、このような商法が現在の京都企業にも表れているのでしょう。

江戸時代以前の、政治・文化・産業の中心であった頃、京都では、渡来人による技術水準の向上、画・細工・金銀・造船などの職人町が形成され、また、華道や茶道といった文化の中心にもなりました。政治の中心が京都から江戸へ移され、さらに、天皇の遷幸が京都に変革をもたらしました。政治の中心は京都ではなくなり、衰退が著しかったものの、経済力、文化力の強化により生き延びることができました。そして、依然として京都は日本における工業、手工業、商業の中心であり続け、清水焼や京焼といった焼き物、仏具製作における分業による総合工芸、西陣織での技術などは、現代の京都の技術のルーツになっているようです。

 

●京都企業の特徴

京都の企業は次のような理念と気質をもち、以下のような特徴を持っているということが分かりました。

理念:

企業の存続を重視し、成長や規模の拡大を目的としない。

気質:

同業者との違いを求める。京都のこだわりの文化から、妥協することなく、完璧を求める。

特徴:

・付加価値の高いものを作り、規模を追わずに独創性を求め、人の真似できないようなものを作り、継続性を大切にする。誇りが高く、真似することを恥とし、こだわりを持つ。

・政治を嫌い、頼るということをせず、自主独立している。

・同業者との違いを求めることにより、京都の企業はイノベーション、チャレンジ精神を持つようになったと考えられます。

・独創性、継続性、こだわりを持つ

 

●経営理念とは

 発展、成長している企業は、経営理念を重視しているということでした。以下は、説明していただいた経営理念の意義です。

経営理念は自分の会社の存在はどのようなものかの進路決定、そして、その進路の維持を担うものであり、さらに、企業が変化する際の基軸ともなり、継続的な発展をもたらすものであるということです。

実際、私たちがお話を伺った企業でもそれぞれ独自の経営理念が読み取れました。

 

●日本の問題提示

京都企業のDNAのことだけでなく、日本の問題についてお話しいただきました。

日本では成功、お金(収入)で評価されるということ、ものづくりに携わる人の低評価、日本は楽をして儲けるのが賢いということが日本のモノづくりの弱体化に影響しているということです。また、日本の教育は荒廃し、学力低下、モラルの低下がみられ、改革を子供の時に行うことが必要だということです。

以下は子供のモラルに関する研究委員会で提唱された、基本モラルの4つの原則です。

人に親切にすること、嘘をつかないこと、法を犯さないこと、勉強をすること

さらに、子供を通して大人を教育するということも考えられているようです。