今回はゲスト講師として、「吉忠株式会社」の吉田社長に講演をしていただき、経営者として大切な「みる目」ということを中心に、会社を存続させていくための秘訣を数多く話していただきました。
〜3つのみる目〜
今回のご講演の中心的な話は経営者としての「3つのみる目」ということについてでした。3つの目とは、人をみる目、物をみる目、時をみる目の3つです。特に人をみる目と時をみる目を強調されていました
「人をみる目」とは、例えば、その取引先企業はこの先伸びるのか、あるいは、その企業の強み・弱みは何なのか、自社と相性は適正なのか、などを瞬時に見極める目のことです。また、企業内部の観点の観点から言えば、人材についてみる目を養うことも経営において非常に大切です。
「物をみる目」「時をみる目」とは、時代のニーズに合った商品を見出し、適切な時期に開発、販売することです。新製品を最初に販売したからといって必ず成功するとは限らず、逆に、次に参入してきた企業が成功する可能性も十分あります。新しい分野に参入することは、非常にリスクを伴うことであるけれど、それでも常に10年後を見極めた商品開発を進めていくことが必要なのです。
〜不易流行〜
吉田様が強く仰っていたのは、変わっていいものと変わってはいけないものの判断をしっかりと行うということです。先祖が残してくれた伝統の良い部分はできるだけ根本をかえずに伝えていき、変えるべき部分は時代の流行に合わせて臨機応変に変えていくことが経営を長く続けていく秘訣です。
企業においても、改革をし続けるだけではなく、変わってはいけないものを変えないことも大事なのだと仰っておられました。
〜失敗はプロセス〜
何度失敗したとしても、最後に成功すればそれまでの失敗も失敗ではなくなります。大事なことは、やると決めたことは成功するまでやめないことです。やめてしまうと失敗になってしまいます。
また、どんな困難なことでもまず、「できる」ということから考えることが大事です。そして、成功のためには「できるまでやる」ことが最も重要です。
〜人との信頼関係を築く〜
仕事をする上で大事なのは、なんといっても人と信頼関係を築くことです。約束を守る、人から借りたお金は絶対返す、時間に遅れない、など人としてできて当たり前のことをどれだけ徹底してできるかが大事です。そして、人に対して感謝の気持ちを表すことで相手からの信頼を得ることができます。
その際に、50・50ではなくtake40%・give60%ぐらいの気持ちで相手に感謝の気持ちを伝えることでいっそう信頼が深まります。仕事は人と人の関係が基本であるので、信頼関係を築くことは非常に大切なことです。
〜理と情〜
経営のトップとして、理と情の両方を上手に兼ね備えた人物が求められます。
それは、情あっての理か、理があっての情かという問題はあるものの、どちらかが欠けてしまってはいけません。
〜上場しない〜
腹八分が健康に一番良いのと同様に、商売も余裕をもった経営をすることが非常に重要です。
自分の身の丈を十分把握し、あえて上場せず、地に足をつけた経営が長く経営を続けるための要因であると強調していました。会社を大きくしようとすると、借金をするなどして絶対に無理をした経営をしてしまい、会社を倒産させてしまいかねません。
〜商売は大衆とともに〜
商売は大衆にいかに喜んでもらえるかが全てです。大衆が受け入れない商品はダメです。時代の流行に合った商品を大衆に喜んでもらえる形で提供することが何よりも大事です。
〜謙虚であること〜
伝統がおごりとなってしまい、自信過剰の経営をしてしまってはいけません。常に謙虚な気持ちを忘れず、足元を見つめた経営をすることが大切です。
〜常に新しいことに挑戦〜
企業が長く経営を続けていくには、現状維持で満足していてはいけません。過去の経験をもとに、常に新しいことへ挑戦し続けなければ会社の成長は止まってしまいます。10年後を見極め、新たな分野に挑戦することが会社の長い経営につながります。
〜最後に〜
会社経営を存続させていくことの難しさを感じました。現状維持ではなく、常に先を見据えて、新しいことに挑戦し続けることが大切であると痛感しました。そして、人から信頼を得られるような、魅力的な人物であることが仕事をする上で大事になってくるのだと思います。経営戦略についてはもちろんですが、人として尊敬される人こそ、トップになる人物なのだと感じました。
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