ワタベウエディング会長の渡部様にはワタベウェディングについてはもちろんのこと、京都企業の特質や経営方針というものを詳しく説明していただき、まさに私たちが探っている京都企業のDNAを学ぶことができました。
〜京都企業のDNA〜
初めに、渡部様のご出身の小学校の校歌を紹介していただきました。その校歌の歌詞はまさに京都企業のDNAというものを端的に示したものでした。
「伝統を重んじる」
「絶えず時代の変化を読み改革をし続ける」
「おごり高ぶらず、いつも良き師を持ち指導を受ける」
「最高の技術水準 良質の商品を世に出していけば永遠に発展する道が拓ける」
これらは全て、京都企業の特徴をうまく表した内容の言葉ばかりでした。
〜渡部様が教えられてきた事〜
渡部様が上の方々から教えられたこととして、長い期間経営を続けていくためには、最小限の社員数でやり抜くことが重要であることをあげておられました。借金をしてまで大きな会社にしたり、経営者の器以上に事業を大きくしたりしようとせずに、万が一の事態に備えておく余裕が必要であると仰っていました。
また、「売ってよし 買ってよし 世間よし の三方よし」というように、商売はお客様、仕入れ先、そしてコミュニティーから喜ばれるものにしなければならないと強調されていました。
〜京都人の経営あたる基本的思考〜
京都人の経営スタイルとして「自力」で行うことをあげていました。
京都企業は中央省庁からの出先機関がほぼなく、政治動向の規制は受けにくいという特徴があり、自力による発展成長しかないという信念が強いということです。そのため、経営のためのあらゆる資源はすべて地元から調達するという方法をとっていますが、そこから生み出される技術や商品は世界最高レベルであると強調されていました。
また、京都企業の経営者は皆、顔なじみであるので、情報交換が非常にしやすく、情報共有がうまくできているそうです。明治維新によって都が京都から東京へと移ってしまいましたが、1200年以上都であったという伝統は根強く、東京に本社を移さずに京都本社のままにするなど、反東京の意識が強くあります。
〜京都企業の特質〜
京都企業はベンチャー精神の風潮が非常に強いです。よって、倒産リスクを増加させる負債を嫌う傾向にあります。
さらに、カリスマ創業者の影響力が非常に強いということが言えます。京都企業「らしさ」や「こだわり」を重要視しており、他の企業が見向きもしない隙間をターゲットとするのではなく、高い技術等により、他企業が追随不可能な商品・市場領域を造り出しています。
新事業に進出する上では、まったく新しい領域創造をめざし、既存市場への競合参入を好まないという傾向があります。このようにして、京都ブランドというものを前面に押し出し、世界市場に対抗できる製品や商品を創り出しています。
〜アメーバ経営〜
ワタベウエディングが目指すアメーバ経営として
1.燃える小集団全員参加の経営
2.自分の土俵で相撲をとる
3.経営理念の共有と実行
の3つをあげています。
この中で、管理会計の重要性を非常に強調していました。会計は飛行機のコックピットのようなもので、会計なしに経営はできないと仰っていました。
また経営戦略として、ある一定の分野で圧倒的な成果をあげ続けることが大事であると強調していました。他企業とあまり競合しないような、新事業領域でやっていくのが京都企業の特徴であり、顧客のニーズに合わせた知恵を組み込むことで世界市場にも対抗していると仰っていました。
さらに、同業者との競争に勝つことが目的ではなく、お客様に買ってもらうことが目的であると強調していました。
経営理念は不変のものであるので、それを皆が共有することが経営する上での基礎です。常に変わるビジネスモデルに重きを置くのではなく、経営理念を共有した上で、いかに職場の活性・燃える集団作りを行っていくかが経営を進める上のカギになると仰っていました。
加えて、仕事をしていく中で、マニュアルの形式知というものももちろん必要ではあるけれども、それは当然のこととして、暗黙知を実践していけることが大切だと強調していました。
〜ワタベマインドとこれからの事業展開〜
ワタベウエディングの経営基本理念は「すてきな生活文化の創造」。そのためには、自分の心の中から喜びを作り出せるような仕事をし、それを社員みんなで共有できることが重要であると仰っていました。
また、ワタベウェディンの特徴として、当社独自の商品を持っていることをあげていました。ワタベウエディングは、京都を本社にして、東京に進出することなく海外でベンチャーとして成功しています。海外に数多くの拠点をもちながら、国内ではウエディングビジネスだけでなく高齢化が進む日本において、高齢者の方のお祝い行事を新たなビジネスチャンスとして進めています。
京都企業はグローバル企業の良い見本であり、今という時代こそ、さらに成長できるチャンスであると締めくくりました。
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