第11回目、最後の授業は京漬物屋の西利へお邪魔しました。
残念なことにこれで学外実習は最後となってしまいました。
皆さんはこの4回でいろいろ得ることができたのでしょうか??
さて、今回は漬物屋ということで、みんな試食できるんじゃないかと楽しみにしていたところ…
期待通り漬物の試食がありました。
みんな「おいしいおいしい」とどんどん食べて行き…
あっという間になくなっちゃいました。みんな食べるの早ッ!
今回はみんなにとってオイシイ経験だったと思います(笑)
それでは話を元へ戻し、今回はどんなキーワードを得たのでしょうか?
早速議事録へ行ってみましょう。
--------------------------以下議事録------------------------
1.日時 2007年6月26日 (火)
2.場所 西利本社 4階ミーティングルーム
3.講演者 平井達雄代表取締役社長
4.公演概要
1) 歴史
もともと錦小路にある漬物を扱う西利商店で創業者の平井太郎氏が丁稚奉公を終え独立したのが始まりである。「京つけもの西利」として1940年に創業。独立にあたり本店の西利商店から「信用」という名の支援を受けたという平井社長の言葉が印象的であった。現在では売り上げ70億円を誇る京都1の漬物業者である。
全国に漬物業者は1500業者ほど存在する。各都道府県に存在する漬物協同組合に加盟している業者だけでそれだけの数になるため実際にはもう少し多いであろう。その中で京都には106以上の業者が存在している。その業者のどれもが、メーカー、問屋、小売のどれかに種類わけされるのに比べて西利はそのどれにも属さない企業形態である。それは、製造小売というものである。文字通り漬物の製造から小売までを全て自社で扱う。西利は自社製品を自社の店舗でしか取り扱っていない(百貨店などの催事は除くが)。驚くことに西利で販売しているたくわんと梅干以外は全て自社製造だそうだ。この形態は経営上効率が悪いにも関わらず、西利はこれを止めるということはないそうだ。その理由は次の経営の考え方による。
2) 経営の考え方
「旬おいしく・やさしく」、「3つの心」、「塩かげん」が西利の経営の考え方を表している。「旬おいしく・やさしく」とは読んでそのまま、旬のものをおいしくしかもやさしい形で提供するということである。社長はこのフレーズを、お客様との約束、仕事の目標、社員全体の目標と位置づけているそうだ。これの追求が、例えば、祇園祭りの期間の千枚漬け限定発売にもつながったし、エコパックの導入、ISO22000の京都企業、業界初の認定にもつながった。このフレーズは単なる絵に描いた餅ではなく、実際の行動の指針であり、今までも行動に移されてきたものである。
次の「3つの心」とは、会社が最も大事にしていること、会社の存在意義、会社を通して社員が到達する最終目的との意味を持つフレーズであるそうだ。会社は当然のことながら人でなっているわけである。その人=従業員の精神的調和をはかるのがこのフレーズの意味するところである。
最後に「塩かげん」とは、前に挙げた2つの目標が調和のとれたかたちで実現するという意味である。私たちがお話しを聞いたミーティングルームの入り口にも額に入れたこの言葉がかかっており、社長の話では、会社のいたるところ、もちろん売り場にもこの言葉が置いてあるそうだ。
3) 質問
・ 西利が製造小売でいれた歴史的背景とは?
→京都という、都がおかれ、パトロンとしての貴族が存在した土地であったからこそ、漬物という業種が成立しえた。パトロンとしての貴族の存在と京都の富みが生み出した京都の性格が製造小売という特殊な経営形態を可能にした。
・ 同族会社ゆえの利点または苦労は?
→利点としては、たくさんあるが例えば、短期の決算を気にする必要がなく決定がスムーズに行える点が挙げられる。苦労もたくさんある。
・ 106以上もある京都漬物業者の中で他の業者とどのような差別化を?
→旬おいしく・やさしくの追求に収斂される。