研究テーマ
生体物質のような優れた機能をもつものの合成と医療等材料への応用
- リニアテトラピロール合成と応用
- ピロール色素の合成と電子材料への応用
- 有機ー無機ハイブリッド材料の合成とバイオセラミックスへの応用
リニアテトラピロールは、光合成や呼吸など、生命活動において重要な役割を果たしています。また、クロロフィルは植物や藻類において、光を吸収することで光合成を行う色素としても知られています。近年、リニアテトラピロールは、その特異な構造から新しい機能性材料や医療材料としての応用が注目されています。一例としてリニアテトラピロールを利用した金属センシングは、高い感度・選択性を持つため、環境分析や医療分野での応用が期待されています。
ポルフィリンの酸化反応によるリニアテトラピロール合成
リニアテトラピロールによる金属センシング
ピロール色素は、その電子伝導性により、様々な電子材料に利用されます。例えば、有機太陽電池や有機発光ダイオード(OLED)などが挙げられます。有機太陽電池では、ピロール色素が光を吸収して電荷を生成し、それが電子伝導性を持つ電極に移動して電力を発生させます。OLEDでは、ピロール色素が電子伝導性を持つことにより、電極からの電子を受け取って発光するための電荷を生成します。 さらに、ピロール色素は、導電性ポリマーや導電性ゲル、電気伝導性インクなど、様々な電子材料の製造に利用されています。これらの材料は、電子機器の配線や回路の構成に利用されるほか、センサーや電子タトゥーなど、新しい応用分野の開拓にも役立っています。
双極性半導体分子を用いた有機薄膜太陽電池
セルロースナノファイバー(CNF)とヒドロキシアパタイト(HAp)の複合化は、生体材料やバイオマテリアル分野で幅広く応用されています。骨は、剛直性、靭性をもち、体を保護したり、体重を支えたりする重要な組織です。剛直性に関係しているのが、骨の約70%を占めるリン酸カルシウム結晶(炭酸アパタイト)のナノ結晶です。骨は、硬いだけでなく、脆さがない(靭性)のは、タンパク質であるコラーゲン繊維が分子レベルで複合化しているからです。繊維状の高分子であり、カーボンニュートラルでもあるセルロースナノファイバーをHApと複合化することによって、剛直かつ高靭性な複合材料の開発に成功しました。環境にやさしいプラスチック代替材料としての利用のほか、歯の充填材料や骨接着剤、人工関節などへの応用が期待できます。
CNFとアパタイト複合体の電子顕微鏡写真
高靱性材料として
セルロースナノファイバーとヒドロキシアパタイトの複合化