レクチャーのお知らせ(5/13)

南極と北極で湖の生態系を研究する

演者:田邊優貴子氏(国立極地研究所生物圏研究ブループ)
日時:2019年5月13日(月)10:45〜12:15
場所:京田辺キャンパス 恵道館2階(KD203)

極地の湖沼生態系研究をリードする田邊さんに、極地研究の魅力を最新の研究成果を交えて紹介いただきます。

田邊優貴子氏ホームページ
https://yukikotanabe-online.webnode.jp

来聴歓迎します。自由参加ですので、当日、教室まで直接お越し下さい。
貴重な機会をお見逃しなく!

講演の概要

“南極と北極”。ブリザードが吹きすさぶ、雪と氷に閉ざされた極寒の世界というイメージだろうか?そんな場所にも一年中液体の水を湛えた湖が数多くある。南極と北極の湖にはそれぞれどんな生態系が広がっているのだろう。
南極は人間活動の影響が地球上で最も少ない場所で、氷に覆われていないわずかな地面の上に湖がある。沿岸の湖は真夏になると1ヶ月ほど氷が融けて水面が顔を出すが、内陸にある湖は一年中分厚い氷に覆われ、誕生してからずっと外界と隔離されてきた。内陸の湖底はシアノバクテリアで覆われており、まるで、約30億年前に初めて光合成を始めたシアノバクテリアが繁栄していた原始地球のような生態系が広がっている。
一方、北極は8ヶ国に属しており、人間活動の影響を受けやすい環境にある。南極と北極にある湖は氷河から露出し誕生した後、地球規模の環境変動の影響を受けながら、生態系が発達してきた。同じ時間をかけ、同じ気候条件のもとで今に至っているにもかかわらず、湖それぞれに固有の生態系が形成されている。つまり湖一つ一つは小宇宙のようなものであり、天然の生態系の実験場なのだ。南極と北極の湖の研究は、生態系の始まりとその多様化の謎を解き明かす鍵となり、全地球が凍結した“スノーボールアース”による生物の進化と分布の謎の解明にも繋がるだろう。また、人間活動による極域の環境変動の生態系への影響を明らかにすることもとても重要な課題だ。