自然界の非対称性

自然界の非対称性 〜生命から宇宙まで
(フランク・クロース、2000、紀伊国屋書店)

私たちは高校や大学で、自然の成り立ちやはたらきを「物理」「化学」「生物」「地学」などの科目に区分して学んでいる。
しかしこの本を読むと、そのような区分はあくまで便宜的なものだと実感できる。

「私たち(生命)は星屑、あるいは…核廃棄物なのだ。」
(265ページ)

現代の生命科学は、先人達による物理学、化学での発見の上に進められている。

本の後半に向かうにつれ、生命の起源と宇宙の起源に迫らんとする最新物理学の深遠な世界が広がっていく。

「私たちが目にする生命は宇宙の非対称性の結果である。宇宙は非対称的だ。生命は非対称的な作用に支配されている。」
「あらゆる生物種は構造と外形において根本的に宇宙の非対称性の結果だとさえ想像できる。」
(285ページ)

「対称性」というキーワードで、文字通り「生命から宇宙まで」を語り尽くした書。