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『イギリスの民事訴訟における法廷弁論の変遷』 |
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イングランドとウェールズでは、アメリカと比べ陪審の使用は非常に限定的であることから、法廷弁論は、裁判官に対するものであり、華美を排して、法的問題を惹起している事実に明確に焦点を当て、関連する法的問題を論じる能力、簡潔で繰り返しのない論理展開力が求められる。
本セミナーでは、イングランドとウェールズの民事訴訟手続の改革の流れを追いながら、それが法廷弁論にどのような影響を与えてきたかを検討した。
イングランドとウェールズでは、伝統的には、トライアル(審理)の前には、情報交換はほとんど行われず、弁護士の弁論に制限はあまりなく、裁判官は受動的な聞き役であったが、審理の遅滞、非効率、費用の増加が1960年代から1970年代にかけて批判され、1980年代に改革が始まった。その結果、鑑定意見と証言の交換の義務付け、職権主義の強化、弁論の骨子(skeleton arguments)の導入がなされた。その後、1998年に「民事訴訟規則」Civil Procedure Rulesが導入されて、さらに、書面の利用を進めるなどの改革がなされた。これらの改革によりどのような変化が法廷弁論に見られるようになったかが解説された。そして、反対尋問においてのみ、伝統的な口頭主義の強みが看取されることが指摘された。その他、成功報酬(conditional fees)、調停、ソリシターへの法廷弁論権の付与などが今後民事弁論に影響を与えるか検討した。
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開催日 |
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2005年6月30日(木)9:00〜10:30 |
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会場 |
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今出川校地 寒梅館 201号教室 |
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講師 |
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Andrew Watson 氏 (カレッジ・オブ・ロー教授、バリスター) |
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