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『M&Aの新展開 −日本とドイツの場合−』 |
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同志社大学法科大学院は、法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム「国際的視野と判断力をもつ法律家の養成」の一環として、2005年1月19日(水)に寒梅館201番教室で第12回国際セミナー「M&Aの新展開―日本とドイツの場合―」を開催しました。経済のグルーバル化の下で企業の提携・合併や事業再編が進む中で、M&A(合併・企業買収)もかなり目立ってきており、生きた教材を素材として外国法と比較しながら法的問題を考えるのは、国際的視野を養うのに非常に良い機会となりました。セミナーのプログラムは、1「. マネジメントとM&A」田中譲(同志社大学大学院商学研究科教授)、2「. 日本におけるM&Aの法的問題」Thomas Witty弁護士(HaarmannHemmelrath東京事務所所属)、3「. M&Aと取締役の義務」Prof.Dr. Gerald Spindler(ゲッティンゲン大学・ドイツ)というプログラムで多数の法科大学院の学生、本学の大学院生や一般参加者が参加し、報告の後では活発な質疑応答がありました。
まず、田中教授は、M&Aについてマネジメントの観点からどのように捉えるべきかについてアメリカや欧州などの展開をわが国と比較しながら歴史的に分析され、様々なアプローチがあることを指摘され、さらにわかりやすくM&Aのメリットとデメリットを社会・経済的な視点から説明され、最後に、日本型資本主義がM&Aの横行の中で維持される必要があること、さらに日本独自の経営思想・哲学を考え深めてゆくべきであると主張されました。つぎにウィッティー弁護士は、日本とドイツの企業間のM&A手続きに携わってきた10年以上にわたる経験から、二つの事例を選んで紹介しながら、M&Aの経済的および経営上の目的、具体的なM&Aの進行手続き、弁護士の役割、M&Aを実施した後の企業について法律上の問題を具体例に即して説明されました。強調されたのは、M&Aは企業家の(場合によっては醜いときもある)欲望を実現するための単なる法的手段であるという現実の姿です。また、最近の商法改正によって、日本の商法は法的手段が飛躍的に整備され、多様な利用の仕方が可能であることを指摘されました。最後に、スピンドラー教授は、EUやドイツにおいて制定された公開買付指令や有価証券取得および買収法におけるM&Aに関する手続き面の規制と実体的な規制について簡潔に説明され、さらにアメリカにおいて定立されている判例原則の考え方との相違を経営判断法則と取締役の中立義務・誠実義務を引き合いに出して私見も交えながら述べられました。
セミナー開催の前日に、フジテレビがニッポン放送に対して公開買付の公告をしたことやUFJと住友信託の間のM&Aの問題を巡る係争について下された裁判所の判断が社会を湧かせた時期とも重なったこともあり、大きな関心が寄せられ、セミナーは大いに盛り上がりました。 |
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開催日 |
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2005年1月19日(水) |
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会場 |
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今出川校地 寒梅館201番教室 |
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講師 |
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Gerald Spindler氏(ゲッティンゲン大学教授)
Thomas Witty氏(弁護士)
田中 譲 氏(商学研究科教授) |
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