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「2007年度私立大学研究高度化推進事業(2007年4月1日~2012年3月31日)」の採択により設置された複合材料研究センターの活動は,先進複合材料の基礎科学や新規開発さらにはその関連技術分野において多くの成果を挙げることができた.特に,循環型社会の建設に向けた社会的要請の中で,複合材料研究センターのサブテーマに掲げた自動車用途への複合材料の展開に関する多くの研究成果を得ることができた.日本材料学会,SAMPE Japanなど関係する国内学会と共同開催した自動車用途コンポジットシンポジウムは,これまでに3回の開催が継続され,自動車用途の最新複合材料研究の発信基地として大きな役割を果たした.
一方,連続炭素繊維で強化された先端複合材料は,航空機分野においてその採用が大幅に拡大・普及し始めた.今後,自動車やロボット等の量産化技術が必要な分野へのその新たな展開が期待されている.しかしながら,電気自動車への適用に代表されるように,先端複合材料のこれらの分野への展開には,「軽量化」の目的以上にさらなる高機能化が同時に要求されている.そのため,これらの分野への適用拡大・普及には,評価を含む材料開発技術,成形加工技術や機械加工技術など,多くの研究開発課題が残されている.また、複合材料研究センターメンバーに対しては,産業界から情報提供や委託・共同研究の要請が多く寄せられており,複合材料研究センター継続への強い期待がみえる.いま,センターの継続を断つことなく,この分野に関する研究を組織的に担うセンターを立ち上げる必要性は極めて高い.
これまでの成果と課題を踏まえて,今後さらなる複合材料の展開が期待される量産化技術の必要な分野,MRJ(Mitsubishi Regional Jet)のような中小型の航空機や自動車,ロボット分野などに向けた炭素繊維やカーボンナノチューブ(CNT)に代表される先端複合材料に関する材料開発およびその評価と成形・加工技術研究にフォーカスした研究拠点として,また,今後も引き続きこの分野をリードする研究発信基地とすることを目的に先端複合材料研究センターを設置する.
(2012年4月設立)