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同志社大学 理工学部 機能分子・生命化学科

研究内容Research

概要

多くの化学反応は溶液中で行われる。溶液中の分子はまわりに存在する溶媒分子によって常に力をうける。溶媒の種類を変えたり、温度、圧力を変化させると、溶質溶媒間の相互作用が変化し、その結果、様々な時間スケールで反応分子の電子状態や運動を変化させることになり、反応生成物に大きな違いをもたらすことができる。逆に言うと、溶媒を制御することで反応を制御することが可能となる。こうした観点から、超臨界水やイオン液体といった新しい流体が、これからの科学を切り開く媒体として着目されている。このような流体は、使用する目的に応じてその物性を変えることが出来るという意味でデザイナー流体と呼ばれ、材料科学、環境化学、電気化学など様々な分野において、その利用が検討されている。当研究室では、レーザー分光やNMR、電気伝導度などの測定手法と高圧実験技術を中心に、このデザイナー流体の物性を評価したり、新しい反応を開拓しそのメカニズムを解明したり、これまでにないモノづくりを行ったりする研究を進めている。


イオン液体とは

塩化ナトリウム(食塩)のような陽イオン(Na+)と陰イオン(Cl–)から構成されるような物質は、 イオン間の強いクーロン相互作用のため、常温では普通固体として存在する。このような塩を液体状態にするには非常に高い温度(NaClで1081K)にするしか方法がなかった。 ところが、近年、有機物の陽イオンと無機物の陰イオンを組み合わせることで、常温にもかかわらず液体状態で存在するイオンから構成される物質が作り出されるようになった。 塩であるにもかかわらず、液体状態であるイオン液体は、従来存在しなかった全く新しい素材であり、これまでの液体の概念を覆し新しいサイエンスを提供している。
イオン液体の主な特徴としては、 (1)電気が流れる、(2)揮発しにくい、(3)燃えにくい、など従来の有機液体にはない特徴がある。イオン液体は様々な物質を溶かすことが可能であり、(2)や(3)の特徴を生かして、環境にやさしい反応溶媒と して着目されている。また(1)の特徴より電池やコンデンサなどでの利用、(2)を利用して高真空下で使える液体として、様々な場面での応用が検討されている。 さらにはたんぱく質や生体素材をこわすことなく溶かすことのできるイオン液体も開発されており、生物科学の分野でも大いに期待されている。


超臨界流体とは

二酸化炭素を25℃で圧縮すると、ある圧力のところ(6.4MPa)で、気体が液化する現象がみられる。その場合気体と液体の両方の相が確認でき、 そのまま圧縮し続けると気体の相が減っていきすべて液体となる。ところが35℃で二酸化炭素の気体を圧縮すると、25℃で圧縮していった場合と異なり、二つ の相が現れるというような現象が起こらない。このようにどのような気体でもある温度以上で圧縮すると、相転移を経ることなく気体のように希薄な状態から、 液体のように密度の高い流体へと連続的に変化させることが可能である。この境界となる温度のことを臨界温度とよび、気体と液体の相分離曲線の終点を臨界点 と呼ぶ。
一般に臨界温度以上の流体で臨界点に近い流体のことを超臨界流体とよぶ。超臨界流体では少し圧縮するだけで流体の密度、輸送性質、溶解能を大きく変化させる ことが可能であり、溶解度の圧力変化を利用して様々な物質の抽出や微粒子の合成に実用化されている。水も温度・圧力をあげることで超臨界状態にすることが可 能である。超臨界水は、常温常圧の水とは異なり、有機物質を溶かすことが可能であり、常温の水では行えなかった反応が実現できる。たとえばPETの分解反応な どはその典型的な例である。


研究対象へのアプローチ

我々の研究室では、このようなデザイナー流体のもつ物理化学的な特徴を、種々の分光実験を通して明らかにしていくとともに、 材料の開発や化学反応に応用していくための研究をすすめている。具体的には、
(1)超高速レーザーによる過渡吸収や時間分解蛍光測定による、プロトン移動や電荷移動反応素過程に対する溶媒効果の研究
(2)ナノ秒レーザーを用いたイオン液体中での分子拡散やタンパク質のダイナミクスの研究
(3)NMR分光法や熱量測定によるによるイオン液体の構造や熱物性の解明
(4)イオン液体をもちいたセルロースの可溶化と新素材としての研究
(5) 蛍光顕微観測を利用したイオン液体中でのタンパク質の揺らぎの検討
(6)イオン性柔粘性結晶中での分子ダイナミクスの検討
(7)コンピューターシミュレーションによるイオン液体や超臨界流体の構造・ダイナミクスの評価
などがあげられる。


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同志社大学 理工学部
機能分子・生命化学科
物理化学研究室

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最終更新日  2019年09月16日