前半から続く)


 習体制と香港弾圧

The Guardian, Mon 18 Nov 2019

The Guardian view on Hong Kong: a city on the brink

Editorial

FT November 18, 2019

Hong Kong is Xi Jinping’s failure

Gideon Rachman

大学は戦場になった。抵抗派はモロトフ・カクテルを警察に投げる。彼らは民衆からの強い支持を得ている。中国の軍は現れていないが、路上の清掃には参加している。もし彼らがデモ隊に対して行動すれば、香港は長期の反政府活動に入るだろう。それは1970年代のベルファストや、1950年代のアルジェリアに似ている。

習近平はこの事態を引き起こした責任を回避する。容疑者の本土への送還を認める法案を提出したのは、香港の行政長官Carrie Lamだ。

しかし、習には広い意味で責任がある。彼が権力を握ってから7年経つが、中国の国家はますます権威主義的になった。汚職撲滅キャンペーンで、著名な指導者が公職から消え、共産党の役人に自殺が増えている。新疆では100万人が再教育の収容所に拘束されている。それは、香港の抗議デモで、習体制が文化・地域の多様性を破壊するものとみなされている。

中国本土のカフカ的な司法システムは、香港の伝統的な「法の支配」と全く対照的なものだ。反北京の著名な活動家Joshua Wong and Edward Leungは投獄された。彼の言葉“Free Hong Kong, revolution now”が抗議デモのスローガンとなっている。

香港が中国に返還された1997年から15年経って、2012年に習近平が権力の座に就いた。その間、「一国二制度」の問題はあったが、管理可能であった。香港市民たちは、中国本土がよりリベラルで、法の支配する社会になれば、2047年に予定されている完全な統合を受け入れることができると期待した。

しかし、習体制は政治的に反対の方向を取った。毛沢東時代のスローガンが復活し、「習近平思想」が憲法に書き込まれた。自由な言論は制約され、人権弁護士は投獄され、非政府組織は閉鎖された。香港が統合化を恐れるのは当然だ。最もラディカルな抗議活動を担うのは、10代、20代の若者たちである。たとえ彼らの戦術に賛成できなくても、彼らは自由を求める闘いにかけている。

「中国人民の復活」を掲げて、台湾を軍事的に威嚇し、国土の統一を唱えているが、習近平はそのプロジェクト全体を見直すべきだろう。しかし、謙虚な姿勢、開かれた態度、反対する意見への寛容さ、こうした性格を、習近平とその体制は全く示していない。

The Guardian, Tue 19 Nov 2019

Hong Kong has declared war against its young people

Avery Ng

FT November 19, 2019

Hong Kong: ‘You either have the rule of law or you don’t’

Sue-Lin Wong and Nicolle Liu in Hong Kong

SPIEGEL ONLINE 11/19/2019

Hong Kong on the 'Brink'

City Edges Toward Precipice as Violence Escalates

By Georg Fahrion and Bernhard Zand

抗議デモに対して政府は何も答えなかった。警察は大学にいる者をすべて暴徒とみなし、逮捕した。平和的な抗議デモから、次第に、警察と「フロントライナーズ "frontliners"」との暴力的な衝突が抗議活動の中心になっていった。

FP NOVEMBER 19, 2019

Hong Kong’s Silent Majority Can Speak at the Ballot Box

BY DOMINIC CHIU


 イギリスBrexit総選挙

NYT Nov. 18, 2019

Britain’s Election Is Not About Brexit

By Jack Shenker

来月の総選挙は、この数年で5度目の国民投票だ。2大政党のイデオロギーはかつてなく大きく異なっている。この国は熱を発し、骨折している。その闘いはBrexitを超えた多くのものを決める。

労働党は、2017年のマニフェストで慎重に伝統的な社会民主主義に回帰していたが、今や、もっとラディカルな、未来志向の計画を示している。他方、保守党は右翼に向かって移動した。テリーザ・メイのBrexit合意は、単一市場の近くにとどまったが、その後継者の政府は、熱狂的な自由市場の海賊国家として、エスノカルチャーの境界線を重視しながら、世界貿易の海に向かっている。

2019年の選挙は、時代の趨勢を反映している。「第3の道」市場リベラリズムは、世界金融危機以来、グローバルな北側(開発諸国)の政治を動かしていたが、スローモーションで爆発していった。それに代わるものが何か、闘いが続いている。危機から10年経っても、イギリスの賃金は長期に停滞し、生産性も伸びていない。貧困戦以下で暮らす家計が800万人もいる。住宅や安定した職場を失って、特に若者たちは資本主義に失望している。

ファラージは保守党と選挙協力すると発表し、自由民主党とグリーンも労働党との協力に踏み切った。さあ、選挙の大変動を覚悟せよ。

FT November 19, 2019

The UK general election is testing personal and political bonds

Miranda Green


 金融秩序のゆるやかな崩壊

FT November 18, 2019

Rising share prices mask troubled global economy

株価は将来の成長を予想して動く。しかし、世界経済の問題は何も解決していない。むしろ悪化するばかりだ。

PS Nov 19, 2019

How the IMF Can Battle Gradual Irrelevance

MOHAMED A. EL-ERIAN

IMF・世銀総会には世界中の金融関係者が集まる。国際機関の重要性は高く評価されている。民間部門も金融政策の変化を理解することで利益を期待するようになっている。

しかし、IMFの推薦する政策は、特に先進諸国に関して、まったく効果がないものだ。確かに、主要諸国の関心は内向きになって、低成長と国内不平等は国際協調の余地を失わせた。アメリカは金融市場を外交手段として「武装」している。

同時に、IMF・世銀も制度改革を怠ってきた。このまま諸国の「近隣窮乏化」政策を許すなら、グローバリゼーションが無秩序に解体し始めるだろう。

PS Nov 20, 2019

What Next for Unconventional Monetary Policies?

STEPHEN GRENVILLE

PS Nov 20, 2019

Why Financial Markets’ New Exuberance Is Irrational

NOURIEL ROUBINI

株式市場が突如としてリスク・テイクに転じたのは4つの理由によるものだ。

1.米中貿易戦争の「第1局面」が合意しそうだ。2.ボリス・ジョンソン首相が合意なき離脱をやめた。3.アメリカがイランを軍事的に挑発するのをやめた。4.アメリカ連銀やECBなど、世界の主要中央銀行が市場における地政学リスクの回避を金融緩和で目指した。

しかし、世界経済が容易に改善しない理由は多くある。

1.最近のデータでも中国、ドイツ、日本の減速が継続している。2.世界の米中2大経済圏がデカップリングを加速するだろう。3.中国が香港への武力介入を行えば、米中通商合意も、世界の金融市場も、強い衝撃を受ける。4.ユーロ圏の沈滞は深まっている。ドイツが財政刺激策を取ることも、ECBのラガルド新総裁が金融的な刺激策をとることも、制約されている。

5.アメリカの制裁により街頭での反政府暴動が起きているイランは、アメリカがそのコストを知るよう、中東地域全体の不安定化を促すだろう。戦争の危険が満ちており、石油価格が急騰するなら、株価上昇の楽観論は消滅する。6.中央銀行も、財政当局も、マクロ政策の効果が厳しく制限されている。7.グローバリゼーション、貿易、移民、技術革新に反対するポピュリストの反動が、多くの地域で強まっている。各地の暴動(Bolivia, Chile, Ecuador, Egypt, France, Spain, Hong Kong, Indonesia, Iraq, Iran, and Lebanon)は、経済停滞、政治不信、不平等などの問題にかかわって起きている。8.アメリカのトランプ政権は最大の不確実性をもたらしている。「アメリカ・ファースト」は、国際秩序を破壊する効果を持つ。9.破壊的な中期的趨勢がある。高齢化、移民制限、気候変動、人工知能と雇用不安、金融破たん。

投資家たちの楽観は短期でしかなく、世界経済の基本的リスクの部分に触れていない。

PS Nov 20, 2019

A Green Light for Public Investment

ROBERT HABECK, JESSE KLAVER


 ユーロとデジタル通貨

FT November 18, 2019

To save the euro, turn it into a digital stablecoin

Thomas Mayer


 ロシアの大国化

FP NOVEMBER 18, 2019

Don’t Believe the Hype. Russia Is Losing in the Middle East—and Around the World.

BY RAJAN MENON

西側では、ロシアが国際秩序を支える(変える)大国として復活した、という認識が広まっている。ロシアの外交専門家たちも、西側はそれを受け入れるしかない、と考える。

しかし、それは間違いだ。ロシアのGDPは、スペインより少し大きいだけである。しかも、スペインの人口はロシアの3分の1しかない。ロシアの軍事予算は、アメリカの10分の1、中国の5分の1、日本よりも小さい。

ロシアの外交が成功した、というのは誇張である。シリアでは、オバマ政権に対抗した中東外交ではなく、ソ連時代からの戦略拠点を守っただけだ。しかも、空爆だけでは勝利できなかった。

イランの革命防衛隊とヒズボラが多くの血を流したことは、彼ら自身の利益を守るためであったが、それゆえ、ロシアがシリアの政治を決定することを許さない。

シリア経済は崩壊しており、その再建は莫大なコストを要する。また、ロシアが中東諸国との関係を重視するほど、中東の主要諸国はロシアを重視せず、今もアメリカに依存している。

アフリカなど、他の地域におけるロシアの外交成果は全くない。

PS Nov 18, 2019

Is Russia the Middle East’s New Hegemon?

SHLOMO BEN-AMI


 核戦争の危機

PS Nov 18, 2019

The Coming Nuclear Crises

RICHARD N. HAASS

わずか数年前は、核兵器の問題がうまく管理されているように見えた。米ロの核弾頭保有数は、冷戦によってピークに達したが、その後、超長距離のミサイルとともに、合意によって削減された。

過去の世代を通じて達成した成果は、リビアやイランなど、アメリカとロシアに限定されないものだ。しかし、今や大きく後退しつつある。アメリカとロシアは中距離核戦力全廃条約を破棄した。アメリカのトランプ政権は、イランの核開発を抑止する条約the Joint Comprehensive Plan of Action (JCPOA)から離脱した。それは中東における核武装を、特にTurkey, Saudi Arabia, and Egyptで、刺激している。

北朝鮮の核武装はイランをはるかに超えている。すでに数十発の核弾頭を保有し、長距離ミサイルや潜水艦発射型ミサイルも実験している。韓国、日本を含む近隣諸国が、北朝鮮の核武装と、アメリカのトランプ政権による安全保障の信頼を損なう対応に、自国の核武装を検討している。

インドとパキスタンは、ともに核保有国であるが、核抑止が不完全な状態になっている。パキスタンからのテロ集団の攻撃にインドは報復し、通常兵器で劣るパキスタンは核兵器の使用も示唆した。

技術的に、核武装は誰にでも可能なものだ。アメリカは核の傘や同盟関係から後退し始めた。広島・長崎の記憶は風化した。こうして、われわれは新しい核の危機を生きる。


 スーダン民政移管への支援

PS Nov 18, 2019

An Appeal for Sudan’s Future

IBRAHIM ELBADAWI, JEFFREY D. SACHS

平和的な抗議デモから30年も続いたOmar al-Bashirの独裁体制を倒し、スーダンは抑圧されてきた社会集団が改革を指導するようになった。8月の憲法案では、市民社会と軍が権力を共有し、民主的選挙に向けた移行期間を維持する。新政府には、初の女性司法長官に加え、2人の女性の主権会議メンバー、初の女性外務大臣が含まれる。また、国際組織でスタッフを務めた複数のテクノクラートが参加している。

経済状態は破滅的である。特に、石油関係の生産と輸出が、南スーダンに立地していたため、その独立によって失われた。スーダンは新しい輸出と雇用をもたらす新産業の創出、農業の近代化を必要としている。新政府は予算を、国連の持続可能な開発目標に従う形で、教育、医療、インフラ整備に向けている。

かつてポーランドが改革と成長を実現したように、国際社会はスーダンの改革を支援するべきだ。そのためには、スーダンの債務を免除し、世銀や国際金融機関が新規融資を行うべきだ。アメリカはスーダンからの移民規制を撤廃するべきだ。


 ウイグル人の再教育キャンプ

NYT Nov. 18, 2019

This Is Not Dystopian Fiction. This Is China.

By The Editorial Board

1984年』、『素晴らしい新世界』、『華氏451度』・・・ しかし、これはディストピア小説ではない。

中国指導部が出した本当の官僚的指令、権威主義的指導者、習近平の一連の秘密演説に依拠し、イスラム教徒を無慈悲に処理するものだ。彼らが、「宗教的な」ラディカリズムを示しているから。

この指令により、西域・新疆地区のウイグル人、カザフ人、その他のイスラム教徒が、何万人も拘留キャンプに収容されている。共産党に忠誠を示すまで、何カ月も、何年も教育される。

現代の全体主義的な洗脳について、NYTに中国政府の匿名の職員から情報(403ページの内部文書)が与えられた。こうした再教育キャンプの存在は以前から知られていた。しかし、非正統的な思想を「ウィルス」とみなして、撃退することに躊躇しなくなったのは、習の固い決意によるものだ。

それはオーウェル的な思考だ。なぜ家に帰っても両親はいないのか? 両親は何か犯罪にかかわったのか? そう学生に問われたら、こう答えるべきだ。「そうではない。彼らは不健全な思想に感染したのだ。この「ウィルス」が彼らの嗜好から除去できたときだけ、彼らは自由になる。彼らは健康である。」

文書が伝えるのは、テロ対策の素晴らしい効果ではなく、思想と行動に全体的な忠誠を要求する指導者たちの狂気、強制と恐怖しか手段を持たない姿である。彼らは、ソ連崩壊がイデオロギーの緩み、意気地のない指導部のせいだ、と確信している。治安機関の幹部は、イギリスにおけるテロ攻撃を、イギリス政府が「治安より人権」を過度に重視したせいだ、と主張した。習は、顔認証、遺伝子テスト、ビッグ・データのような新技術を、ウイグル社会の監視や諜報活動に利用し、反体制派を取り除く、と主張した。

情報提供者の勇気ある選択は、世界に行動を求めている。中国指導部は目を覚ますべきだ。

FT November 20, 2019

The fight to halt the theft of ideas is hopeless

Martin Wolf


 プラットフォーム合併

FT November 19, 2019

SoftBank-Line tie-up may have come too late

Kana Inagaki

5年前と違って、米中の巨大企業に対抗するうえで、両社LineYahoo Japanは合併するしかないと考えるようになった。SoftBankは、その定型的な、複雑な資本関係を作り上げて、対等合併を演出した。

しかし、これは5年前なら意味があったかもしれないが、もはや手遅れだろう。


 スリランカ

PS Nov 19, 2019

Is Sri Lanka the Next Argentina?

ARVIND SUBRAMANIAN

かつては北欧のようであったインド洋の模範国、スリランカが、今や分断と危機を深めて、アルゼンチンになる気配だ。

マクロ経済的な不安定化には社会的・政治的な理由がある。故Albert Hirschmanが述べたように、インフレーションの根源には、社会政治構造があり、紛争とその管理がある。

経済的なパイの分配をどうするか、解決策がなければ、紛争は持続不可能な財政赤字になる。それは外国からの過度の融資、インフレーション、為替レートの不安定化になる。ラテンアメリカでは、アルゼンチンのペロにズムに代表される。

スリランカの分断には、イデオロギー、エスニシティー、言語、宗教の対立がある。1956年の憲法で、シンハラ語を唯一の公式言語に定めた。それは分断の起源となった。共産主義者の蜂起。タミール族との多年におよぶ内戦。イスラム過激派による爆弾テロも起きた。

市民間で安定した社会経済合意があれば、国家は健全な税制で歳入を集める。しかし、スリランカでは、所得税が異常に低い。歳入の不足を、外国からの借り入れで賄い、債務/輸出比率は270%を超えた。債務を管理できなくなって、中国に港湾と土地を譲渡するしかなくなった。


 国民国家と帝国

FT November 20, 2019

The power of the nation state is over-rated

Janan Ganesh

Brexitとトランプの出現した2016年。イギリスでナショナリズムが復活して3年が経つ。しかし、人類は、国民国家ではなく、多くのエスニックな集団とともに、帝国で暮らした時間の方が長い。しかも、国民国家の繁栄は、国際機関によって可能になっていた。


 トランプ政権

FT November 20, 2019

Donald Trump is killing hopes for Middle East peace

PS Nov 20, 2019

Impeachment and the Wider World

CARL BILDT

PS Nov 20, 2019

Making America Mediocre

ANNE O. KRUEGER

FT November 21, 2019

A bad impeachment for Mike Pompeo

Edward Luce

NYT Nov. 21, 2019

The Last Time America Turned Away From the World

By John Milton Cooper


 ウォレンはリベラル過ぎる

FP NOVEMBER 20, 2019

Warren’s Plan to Rebuild the State Department Doesn’t Go Far Enough

BY DAN SPOKOJNY

NYT Nov. 20, 2019

Buttigieg Was a Target. But No One Was Attacked Like Warren.

By Peter Suderman


 アンドリュー王子

The Guardian, Thu 21 Nov 2019

Prince Andrew’s behaviour has put the very future of the monarchy in doubt

Gaby Hinsliff


 経済人類学

FT November 21, 2019

How to put some heart into rational economics

Gillian Tett

「合理的期待」ではなく、経済人類学で、人びとの行動を理解する。


 東欧改革の継続

FT November 21, 2019

Thirty years after the Berlin Wall, the region to watch is eastern Europe and the Caucasus

Suma Chakrabarti

ベルリンの壁が崩壊した後、東欧諸国の経済を市場に向けて改革する過程を、EBRDは支援した。今や、EaPthe Eastern Partnership initiative)がそれに続くだろう。EaPEUと東欧からコーカサスの6か国(Armenia, Azerbaijan, Belarus, Georgia, Moldova and Ukraine)が協力する仕組みである。

PS Nov 21, 2019

The West’s Arrested Social Development

HELMUT K. ANHEIER


 AIと労働者

FT November 22, 2019

Workers can learn to love artificial intelligence

Gillian Tett

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The Economist November 9th 2019

Cameroon’s forgotten war: Words and weapons

Squeezing the rich: In defence of billionaires

Fake nudes: Sex, lies and politics

Cameroon’s Anglophone crisis: War of words

Charlemagne: The risks of forgetting

Japan Inc in China: Neighbourly love-in

The economics of billionaires: The lives of the 0.0001%

Free exchange: When the iron is hot

(コメント) エスニックや信仰、そして言語(英語圏・フランス語圏)を利用した植民地支配が、独立後の成人においても分断状態を継承し、独裁体制を長期化させた。西側諸国も強権体制を地域の安定化に有益として黙認した。

億万長者にもいろいろある。確かに、能力によって富を得る場合、それを税金として奪われるように感じるのは、好ましくない。どのような条件で富が形成されるのか、その政治経済的メカニズムを変えるほうが良い。労働組合は、秩序形成に役割を果たすだろう。

トルコのアルメニア人虐殺に関して、トルコ政府、特に、エルドアンのトルコ復活路線は、歴史を解釈して利用した。その過ちは、日本の、特に安倍政権や令和天皇の諸行事にも共通している。

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IPEの想像力 11/25/19

20世紀の公権力や政治経済秩序が問われています。インターネットが世界に無法状態を拡大してきたことを、政府は許すべきではなかった、と思います。

世界金融危機も、フェイク・ニュースやヘイト・スピーチ、ポピュリストたちも、性暴力、誘拐・監禁、超富裕層の富の膨張、選挙の混乱と政治不信、主要政党の解体、世界の都市暴動、移民・難民と排外主義、右翼・保守主義・ナショナリズム、人口流出・減少・限界集落、規制・政策手段の無効化・・・

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2016年に、「文明の暗渠」として、各地に出現している問題群を指摘しました。

・・・「現代の文明が示す病的な,危機の日常的側面が,少女の誘拐・監禁事件にも表れたのではないか,と思うと,これほど身近に,日常生活の中に,文明の暗渠が口を開けているものか,という恐怖に襲われます.」

・・・「もちろん,これはインド洋大津波,『ショック・ドクトリン』が紹介したテロ容疑者や関係者への尋問・拷問,アブグレイブ収容所での暴行・虐待,戦場や国際政治で外交の一部として行われるスパイの要員確保や育成,オウム真理教の行った洗脳,極右・人種差別集団による弱者への示威行為や施設への放火,繰り返されるジェノサイドで指導者たちが広める集団的狂気,性的・暴力的な表現にあふれるマンガ,動画サイト,テレビや映画,小説,アミューズメント・パークなどの娯楽産業,老人たちから資産をだまし取る詐欺集団,介護や貧困の果てに心中する家族の苦しみ,などとつながるのです.」

https://www1.doshisha.ac.jp/~yonozuka/Review2016/032816review_b.html

「マララの戦争」

https://www1.doshisha.ac.jp/~yonozuka/Review2012/101512review_b.html

SNSで家出や家庭内のトラブルをつぶやく少女たちに、匿名や偽名の男たちが群がってくる。少女に連絡した男性は、彼女を連れ出して、お金と泊まる場所を提供する。「助けてあげる」、と。それは、セックスを求める男たちにとって好都合な理由であり、仲介者やホテルを通じた買春や暴力的な誘拐のような、あからさまな「犯罪」でもない。

政治家の汚職や、超富裕層の縁故主義を、繰り返し批判する女性ジャーナリストや女性政治家に、ネット上で、性的な嫌がらせをする。彼女の個人情報、住所や電話番号、職場、写真がネットに公開され(“doxxed”)、誰かが襲撃し、レイプする(処刑する)ことを挑発する。まったく無関係な主張や言説、噂を流され、真実ではないと主張しても、ネット上から消去できない。

ネットには多くのセックス動画やポルノがあふれている。性的暴力の加害者は、日本の性犯罪において女性の立場が法的・社会的に弱いこと、沈黙を強いる文化や社会規範があることを利用する。女性の社会的地位は低く抑えられ、就職や育児について、「女性」であることが「労働者」としては不利に扱われ、あるいは、活躍の場を大きく制約される。

国王ルイ16世に続いて斬首されたマリー・アントワネットは、王制を打倒する革命派によって、多くの愛人がいる、などの真実ではない情報を流布された、とThe Economistの記事は指摘する。しかも、デジタル技術が高度に進歩したため、だれでも、容易に「ディープフェイク」の動画や演説、セックス映像を、その人物の顔だけ変えて、ネット上に流布できる、という。

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インターネットが普及する過程で、エロチカ、売買春、ポルノ情報が強い刺激となった、と読んだことがあります。かつて、有益な金融革新はATMだけだ、とポール・ボルカーは述べました。金融ビジネスだけでなく、インターネットの社会的害悪と秩序破壊がその有益さを圧倒する臨界点を、私たちは超えたと思います。ネットやスマートホン、SNSの在り方を、根本的に是正するときです。

ロナルド・ドーア『金融が乗っ取る世界経済』は、金融取引の「無名化」、「証券化」によって、人間関係に対する信頼は「浸食」された、と書いています。インターネットは、まさに、それを加速し、ネットを介して全世界を破壊するプラットフォームになりました。今なお、破壊する楽しみ、喜びを、参加者に与え続けています。

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