同志社大学の指定・登録文化財

同志社大学の今出川キャンパスには「同志社礼拝堂」(チャペル)をはじめ国の重要文化財に指定されている5棟の赤煉瓦建物があります。このほかにも京田辺キャンパスには、京都府指定史跡が2遺跡、歴史資料館には重要文化財「二条家文書」があり、同志社はクオリティーの高い多種多様な文化財を有しています。

また、同志社女子大学構内の2件の登録有形文化財と、学校法人同志社所有の京都市指定文化財1件も併せて紹介します。

彰栄館

竣工 1884(明治17)年

設計 D.C.グリーン

構造 レンガ造の洋風な外観に対して、内部の間仕切壁や小屋根などの
   構造形式は純和風

指定 国指定重要文化財
   1979(昭和54)年5月 

概要 京都市内に現存する最古級の煉瓦造建築であり、
   初期洋風建築の発展を知る上において大変重要な文化財。
   塔屋は鐘塔と時計塔を兼ねている。

 

礼拝堂(チャペル)

竣工 1886(明治19)年

設計 D.C.グリーン

構造 煉瓦造、一階建、一部中二階及び地下室付、鉄板葺
   建築面積316.0㎡

指定 国指定重要文化財 
   1963(昭和38)年7月

概要 プロテスタントの煉瓦造チャペルとしては日本に現存する最古のもの。
   2012年の修理工事にて創建当初の姿となった。現在は卒業生の結婚式や
   「メディテーション・アワー」としてオルガン演奏会が開かれている。

有終館

竣工 1887(明治20)年

設計 D.C グリーン

構造 煉瓦造、二階建、地下一階、桟瓦葺(内装を除く)

指定 国指定重要文化財
   1979年(昭和54)年5月

概要 初代図書館「書籍館」として建てられ、当時は日本最大の学校図書館。
   また一部教室としても使用され、現在は総長室や事務棟となっている。
   1928年の火災により、同館を取り壊す考えがあったが、外壁内側を鉄筋
   コンクリートで補強し、再利用している。
   「有終館」の命名者は8代目総長・海老名弾正。

ハリス理化学館

竣工 1890(明治23)年

設計 A.N.ハンセル

構造 煉瓦造、東北隅実験室付、桟瓦葺(階段以外の内装を除く)
   建築面積587.0㎡

指定 国指定重要文化財
   1979(昭和54)年5月

概要 同志社における理化学教育の拠点であった
   多くの建物がアメリカン・ゴシック様式であるのに対し、
   同館はイギリス・ゴシック様式であることが特徴。
   現在、ハリス理化学館同志社ギャラリーとして活用されている。

クラーク記念館

竣工 1893(明治26)年

設計 R.ゼール

構造 煉瓦造、桟瓦葺、西南隅塔屋付、銅板葺
   建築面積389.4㎡

指定 国指定重要文化財
   1979(昭和54)年5月

概要 B.W.クラーク夫妻からの寄付により建設。
   当初は「クラーク神学館」として教育・研究の場となる。
   現在は、教室やチャペルを備える

啓明館西館

竣工  1915(大正4)年

設計 W.M.ヴォーリズ

構造 煉瓦及び鉄筋コンクリート造4階建、スレート葺
   建築面積153㎡、渡廊下付

指定 国登録有形文化財
   2007(平成19)年

概要 蔵書数の増加のために卒業生の寄付などにより書庫棟として竣工。
   現在は同志社社史資料センター、人文科学研究所、施設部が利用。

啓明館本館

竣工 1920(大正9)年

設計 W.M.ヴォーリズ

構造 煉瓦及び鉄筋コンクリート造5階建、スレート葺
   建築面積406㎡

指定 国登録有形文化財
   2007(平成19)年

概要 啓明感西館に続き、,その南側に渡り廊下で接続する形式で建設。
   南西隅の塔は入口ホールと階段室を兼ねる。入口上部は重厚な
   アーチ形庇など洗練された意匠。

アーモスト館

竣工 1932(昭和7)年

設計 W.M.ヴォ―リズ

構造 鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建、スレート葺
   ジョージアン・コロニアル様式
   建築面積343㎡

指定 国登録有形文化財
   2005(平成17)年

概要 アーモスト大学と同志社の友情の象徴的存在。
   アーモスト大学卒業生や同大学代表S.Bニコルズの親族らが集めた
   寄付によって建てられ、学生やフェローの活動拠点であった。
   現在は、外国人研究者の長期滞在者用の宿泊施設として利用

二条家文書

年代 近世

種別 古文書

指定 国指定重要文化財
   2000(平成12)年6月

概要 文書58通から成る近世の政治、文化、社会について数多くの出来事
   を伝える非常に貴重な文化財。
   即位灌頂、天皇の和歌、二条家当初の画像、二条家領についての
   判物、幕末の政治動向を伝える古文書などが含まれている。

田辺天神山遺跡

年代 弥生時代後期

種別 史跡

指定 京都府指定
   2020(令和2)年3月

概要 標高82~83mに立地する弥生時代後期の高地性集落。
   土器とともに鉄製品製作関連遺物が出土し鍛冶遺跡でもある。
   青銅製の飾り金具や近江地域の土器も出土して注目される。

下司古墳群・大御堂裏山古墳

年代 古墳時代終末期

種別 史跡

指定 京都府指定
   2020(令和2)年3月

概要 普賢寺川に面する丘陵南側の斜面にある古墳群。
   古墳時代終末期の山城地域では、横穴が群衆しているところが多い一方で
   横穴式石室を持つ珍しい古墳群。現在も石室に入れるようになっている。

《参考》栄光館(同志社女子大学)

竣工 1932(昭和7)年

設計 武田五一

構造 鉄筋コンクリート造地上2階一部3階地下1階建
   瓦葺、建築面積1637㎡、塔屋付

指定 国登録有形文化財
   2000(平成12)年11月

概要 1932年、米国ファウラー家の寄付をもとに建築されたシンボル的建造物。
   約1,600名収容できる講堂にはカナダ・カサバン社製のパイプオルガンが
   設置され、毎日の礼拝や入学式、卒業式、創立記念行事、クリスマス礼拝
   などの行事が行われる。

《参考》ジェームズ館(同志社女子大学)

竣工 1914(大正3)年

設計 武田五一

構造 煉瓦造地上2階地下1階建、瓦葺、建築面積697㎡
   

指定 国登録有形文化財
   2000(平成12)年11月

概要 明治末期に始まるキャンパス内校舎改築時、W.ジェームス夫人の寄付に
   より建設される。カリフォルニアの民家建築を参考にしたと伝わり、造形
   の規範となるものとして有形文化財に登録された。2001年の保存改修工事
   により、卒業生ラウンジや教室、スタディルームが設置されている。

《参考》新島旧邸(同志社)

竣工 1878年(明治11年)

設計 W.テイラーの助言を受け、新島襄が設計したとも伝えられる

構造 和に洋を取り入れた木造二階建て住宅
   外観はコロニアル様式だが、基本は和風寄棟住宅

指定 京都市指定有形文化財
   1985(昭和60年)6月

概要 新島襄の私邸。
   華族高松保実が所有する屋敷の半分を仮校舎をして同志社英学校を開校。
   その後、新島は同邸を購入して自宅を建築する。
   洋風の応接室やキッチンが特徴であるが、障子欄間など和の手法もみられる。
   また、夫・新島襄の死後、妻・八重は1階洋間を茶室「寂中庵」にした。