同志社大学は6件の重要文化財(建造物5件、古文書1件)、2件の国の登録有形文化財(建造物2件)、2件の京都府指定文化財(史跡2件)を有する、全国的にみても指定文化財の件数と種類が極めて多い大学である。なかでも今出川キャンパスは、京都御所・相国寺・冷泉家などに囲まれ、その周辺環境や赤煉瓦建物からなる風景は学生の誇りとなるだけではなく、映画やドラマの舞台、絵画や小説の題材となることで、同志社大学の歴史と文化の源泉、近代京都の一風景ともいえるものになっている。
2019年(平成31)年4月、改正「文化財保護法」が施行され、これまで以上に文化財の保護、同志社大学としてもこれらの多くの指定文化財を所有する者の責務として、その保存と活用を進めることは極めて重要である。
そこで当研究センターでは、これらの指定文化財を題材に、
①教育・研究機関が所有する文化財の保護
②京都の歴史と文化
③学生・市民の誇り
④観光・芸術文化
⑤文化財保護と大学教育
という従来にない視点からその本質的かつ多様な在り方について調査・研究を行い、「文化財の保存と活用」に関する新たな理念と実践方法の構築を目指すものである。そしてその成果を、京都という地域はもちろんのこと全国の大学・文化財所有者・行政機関などへ発信すること。すなわち大学における文化財保護という同志社大学の新たな個性のアピールをその最大の設置目的とする。