植田 宏文
同志社大学商学部教授
1965年6月福岡県生まれ
神戸大学大学院経済学研究科博士後期課程修了
同志社大学商学部専任講師、助教授を経て2004年4月より現職
大学院商学研究科教授、博士(経済学)
日本金融学会理事(2012年~)、商学部長・大学院商学研究科長(2014年~2018年)
研究テーマ
金融的要因と経済活動に関する理論実証分析
現在、金融市場は国際化・自由化が急速に進展し多くの注目を集めている。それにともない金融市場での参加主体である中央銀行・金融仲介機関・企業・家計・海外部門の金融取引は活発化し、金融変数をはじめ実物経済に大きな影響を及ぼす。今日、ミクロ的な側面のみならずマクロ経済の動向をみる上でも金融市場で展開される事象を正しく認識する必要があると思われる。
日々の金融市場における需給均衡で金利・為替レート・株価等の金融変数は変化し、時によっては大きな乱高下を繰り返す。それはマクロ経済活動に影響を及ぼすことから、上述した金融変数がいかなる要因によって説明することができるかは各国にとっての最重要課題である。またこれらの金融変数相互間の関係、および人々の生活水準に関連するマクロ的な波及を分析する必要性も年々高まっている。さらに中央銀行による金融政策の効果波及プロセスを分析し、どのような対応をすべきかは喫緊の課題である。望ましい金融制度のあり方を考察し、上記の問題について理論実証的に分析することを研究目的としている。
研究業績
著書
単著
- 『金融革新と不安定性の経済学』中央経済社, 2017年4月
- 『金融不安定性の経済分析』晃洋書房, 2006年10月
共著
- 『エッセンシャル 金融論』植田宏文, 丸茂俊彦, 五百旗頭真吾著, 中央経済社, 2015年4月.
- 『金融システム改革と現代経済』人文科学研究所編, 晃洋書房,第2章所収「貨幣・信用とマクロ経済の安定性」pp. 29-58,2010年3月.
- 『金融論入門』藤原賢哉・家森信善編著, 中央経済社, 第14章所収「中央銀行と金融政策」pp. 187-200, 2002年4月.
- 『現代国際経済研究』同志社大学アメリカ研究所編著, 晃洋書房, 第2章所収「マクロ経済変動と貸出市場および証券市場」pp. 17-42, 2000年3月.
- 『入門証券市場論』釜江廣志編著, 有斐閣, 第6章所収「証券市場の経済理論」pp. 130-165, 1998年10月.
- 『中央銀行の独立性』三木谷良一/石垣健一編著, 東洋経済新報社, 第11章所収「各国中央銀行の独立性-イングランド銀行」 pp. 194-211, 1998年7月.
- 『世界経済の構造的変化とマクロ経済分析』同志社大学人文科学研究所編, 嵯峨野書院, 第3章所収「アメリカにおける資産選択行動の変遷」pp. 47-70, 1998年3月.
- 『現代金融論』今井護/鶴見潔/藤原秀夫編著, 嵯峨野書院, 第8章所収「マクロ経済における貸出市場の役割」pp. 159-182, 1997年4月.
- 『現代アメリカ経済研究』藤原秀夫/同志社大学アメリカ研究所編著, 晃洋書房, 第4章所収「マクロ経済と金融活動の相関」pp. 181-214, 1995年11月.
- 『金融政策と金融自由化』三木谷良一/石垣健一編著, 東洋経済新報社, 第11章所収「イギリス-長期不況脱出と欧州通貨統合を目指して」小西康生氏との共同執筆, pp. 212-229, 1993年12月.
翻訳書
- 『現代マクロ金融論-ポスト・ケインジアンの視角から-』藤井宏史・高屋定美・植田宏文訳, 晃洋書房, 2004年4月(New Perspectives in Monetary Macroeconomics -Explorations in the Tradition of Hyman P. Minsky, Gary Dymski & Robert
Pollin ed., University of Michigan Press, 1994)
論文
- 「低インフレ率と長期経済停滞の理論的展開」『同志社商学』第75巻第4号, pp.53-76, 2024年1月.
- 「長期化した異次元金融緩和政策の経済分析」『同志社商学』第75巻第3号, pp.35-58, 2023年11月.
- 「インフレ率と金融政策」『同志社商学』第73巻6号, pp.25-41, 2022年3月.
- 「金融政策と金融機関の健全性」『同志社商学』第72巻第5号, pp.223-246.
- 「経済成長モデルと貨幣、資産価格(1)」『同志社商学』第71巻第1号, pp.105-132, 2019年6月.
- 「経済成長モデルと貨幣、資産価格(2)」『同志社商学』第71巻第2号, pp.1-29, 2019年9月.
- 「金融政策の有効性と期待形成メカニズム」『同志社商学』第71巻第5号, pp.181-202, 2020年3月.
- 「金融危機と経済理論の展開」『同志社商学』第68巻第4号, pp. 99-124, 2017年1月.
- 「期待形成と企業の債務構造の安定性」『社会科学』(同志社大学)第45巻第4号 pp. 25-56, 2016年2月.
- 「金融革新、資本構造と金融の不安定性」『同志社商学』第65巻第5号 pp. 240-262, 2014年3月.
- 「金融制度の進化と動態的経済活動」『同志社商学』第65巻第6号 pp. 134-156, 2014年3月.
- 「金融危機とリスク・プレミアム」『社会科学』第43巻第2号, pp. 1-26, 2013年8月.
- 「金融不安定性と企業の債務構造」『同志社商学』(同志社大学)第64巻第5号 pp. 236-260, 2013年3月.
- 「動学的マクロモデルにおける負債と経済活動」『同志社商学』(同志社大学) 第64巻 第1・2号, pp. 22-43, 2012年7月.
- 「資産選択行動と金融政策の動学分析」『同志社商学』(同志社大学) 第62巻第5/6号, pp. 84-105, 2011年3月.
- 「実物経済活動におけるマネー・ストックと総信用量」『同志社商学』(同志社大学) 第60巻第5/6号, pp. 232‐254, 2009年3月.
- 「金融革新とマクロ経済の安定性」『社会科学』(同志社大学)第82号, pp.15-40, 2008年11月.
- 「金融自由化と信用波及経路」『社会科学』(同志社大学)第80号, pp. 15-42, 2008年3月.
- 「ファイナンシャル・アクセラレーター仮説に関する一考察」『同志社商学』(同志社大学) 第59巻第3・4号, pp. 19-46, 2007年12月.
- 「資産選択行動における非合理的側面」『同志社商学』(同志社大学)第58巻1号, pp. 52-75, 2006年11月.
- 「内生的貨幣供給と総需要」『同志社商学』(同志社大学)第57巻第5号, pp. 117-137, 2006年3月.
- 「金融情報変数としてのリスク・プレミアム」『郵貯資金研究-研究助成論文-』 (郵貯資金研究協会)第14巻, pp. 35-54, 2005年9月.
- 「金融資産価格とマクロ経済活動」『同志社商学』(同志社大学)第56巻第2・3・4号, pp. 186-209, 2004年12月.
- 「日本銀行の金融政策とバランスシート」『京滋CPAニュース』(日本公認会計士協会京滋会) 第358号, pp. 3-6, 2004年4月.
- 「資本構造と投資水準の変動」『社会科学』(同志社大学)第71号, pp. 35-66, 2003年8月.
- 「ポートフォリオ行動、金融政策および総需要」『同志社商学』(同志社大学)第54巻第4号, pp. 123-151, 2003年2月.
- 「金融情報変数と政策ターゲット」『経済学論集』(神戸学院大学)第34巻第3号, pp. 371-390, 2002年12月.
- 「機関投資家としての公的金融の役割と課題」『同志社商学』(同志社大学)第54巻第1・2・3号, pp. 377-393, 2002年12月.
- 「財政投融資システムの運営における問題の所在と展望」『岐路に立つ郵便貯金-郵便貯金の 新しいあり方を求めて』第1章所収(近畿郵政局預金部)pp. 1-16, 2002年3月.
- 「マクロ経済動向のインディケーターとしての信用量」,『同志社商学』(同志社大学), 第52巻第1/2号, pp. 66-80, 2001年12月
- 「企業金融と景気変動」『同志社商学』(同志社大学)第51巻第5/6号, pp. 340-364, 2000年3月.
- 「イングランド銀行法改正に関する一考察」『同志社商学』(同志社大学)第50巻第3/4号, pp. 363-389, 1999年1月.
- 「利子率格差と実物経済の変動」『同志社商学』(同志社大学)第46巻第3号, pp. 72-102, 1994年10月.
- 「米国の資産選択行動に関する実証分析」『同志社商学』(同志社大学)第49巻第1号, pp. 55-80, 1997年7月.
- 「米国資産市場におけるポートフォリオ行動」『同志社アメリカ研究』(同志社大学)第33号, pp. 43-55, 1997年3月.
- 「Bank of Englandの中央銀行としての独立性と金融政策」『同志社商学』(同志社大学) 第48巻第3号, pp. 25-52, 1996年11月.
- 「マクロ・モデルにおける貸出市場の役割に関する一考察」『同志社商学』(同志社大学) 第48巻第2号, pp. 61-87, 1996年9月.
- 「景気循環における長短貸出し(借入れ)構成比率の変化」『同志社商学』(同志社大学) 第47巻第6号, pp. 80-103, 1996年3月.
- 「資産価格形成に関する理論・実証分析」『同志社商学』(同志社大学)第47巻第3/4号, pp. 94-122, 1996年1月.
- 「投資、ファイナンスと金融の不安定性」『信託研究奨励金論集』第16号, 社団法人信託協会, pp. 32-42, 1995年11月.
- 「ポートフォリオ行動と資産価格モデルの再評価」『経済変動(景気循環、バブル、構造変化を含 む)における公的金融の意義』平成6年度委託研究, 近畿郵政局預金部, pp. 48-61, 1995年9月.
- 「企業の財務行動と経済動向」『社会科学』(同志社大学)第54号, pp. 151-171, 1995年1月.
- 「景気循環とリスクプレミアム-信用供給と担保評価-」『六甲台論集』(神戸大学)第40巻第4号, pp. 113-133, 1994年1月.
- 「日本における株価のボラティリティー」『六甲台論集』(神戸大学)第40巻第3号, pp. 15-36, 1993年10月.
- 「資産選択、信用供給とマクロ経済の変動」Working Paper Series No.0041, Kobe University, Student-Association Graduate School of Economics, pp. 1-33, 1993年7月.
- 「金融機関の貸付供給について-鉄鋼産業への保険会社貸付のケース-」『文研論集』 (財団法人生命保険文化研究所)第103号, 家森信善氏との共著論文, pp. 101-122, 1993年6月.
- 「金融不安定性と実物経済」『六甲台論集』(神戸大学)第38巻第3号, pp. 50-67, 1991年10月.
学位論文
博士論文
- 「金融不安定性の分析-Minsky理論の展開と資産価格変動の実証-」1994年3月.
修士論文
書評
- 『中小企業金融論入門』藪下史郎・武士俣友生編著,東洋経済新報社(『経済セミナー』日本評論社, 2003年2月号).
学会報告
- 「信用とマクロ経済活動」日本金融学会関西部会(於:神戸国際会館), 2001年6月.
- 「中央銀行の独立性と信用秩序-イギリス-」日本金融学会春期全国大会(於:東京経済大学), 1998年5月.
- 「金融的要因と経済の不安定性」金融学会秋期全国大会(於:神戸大学), 1995年10月.
- 「銀行行動・資産選択と経済不安定性」金融学会関西部会(於:大阪市立大学), 1993年1月.
その他
- 公開講演録「金融危機と日本経済」『人文研ブックレット』No.44, 第79回公開講演会 2013年3月.
- 研究報告要旨「金融的要因と実物経済」『同志社商学』第46巻第5・6号, pp. 143-144, 1995年.
- 研究報告要旨「現代ファイナンスの展望」『同志社商学』第52巻第4・5・6号, pp. 448-450, 2001年.
- 研究報告「財政投融資システムの運営における問題の所在と展望」『岐路に立つ郵便貯金』第43回関西金融懇談会(寺地他)2002年9月
- 学会コメント「不確実性の変動と通貨当局の裁量政策について」西垣氏(名古屋大学大学院)1996年10月20日(熊本学園大学), 『金融経済研究』(日本金融学会編)第13/14号, pp. 278, 1997年.
- 学会コメント「Bank Net Worth and Economic Fluctuations」2004年9月12日(愛知大学), 三宅・中村氏(神戸大学)
- 私の研究「金融的要因とマクロ経済」『同志社時報』No.105, pp. 81, 1998年.
- 書評『マクロ金融政策の理論』(藤原秀夫著)『同志社時報』No.100, pp. 105, 1995年.
- 書評『現代アメリカ経済研究』(同志社大学アメリカ研究所/藤原秀夫著)『同志社時報』No. 101, pp. 83, 1996年.
- 海外通信「ロンドンの霧」『会報』(同志社大学商学部父母会)第30号, pp. 37-38, 2000年.
- 「ビジネスの世界に触れてみる」『父母会報』(同志社大学商学部父母会)第33号, app. 8-9, 2002年.
- 講演要旨「自分流、自分探し」『父母会報』(同志社大学商学部父母会)第36号, pp. 16-19, 2002年.
- 「現実のビジネスに触れる」『樹徳会報』(同志社大学商学部樹徳会)第115号, pp. 3, 2002年.
ゼミ関連ニュース
- ゼミナールあらかると「班ごとにテーマ演習、ディベートから学ぶ」『The Doshisha Times』(同志社タイムス社)pp. 3, 2002年.
- 「加速する金融再編~今なぜ、どうすればいいのか」『Wild Rover』(同志社大学)Vol. 17, pp. 16, 2000年.
- 「ディベートを通して現代社会が抱える経済問題を論じる」『ONE PURPOSE』(同志社大学), No. 119, pp. 13-14, 1999年.
- 南憲孝「演習対抗ソフトボール大会・念願の優勝(植田ゼミ)」『会報』(同志社大学商学部父母会)第27号, pp. 28-29, 1998年.
- 映画紹介「カサブランカ~哀愁、そして・・・~」『One Purpose』No. 107, pp. 28, 1996年
学外受託研究助成実績
1. 研究代表者として
1997-1998 |
文部科学省科学研究費補助金奨励研究「金融システムの安定性とマクロ経済活動の相関に関する理論実証研究」研究課題番号:09730066 |
2001 |
全国銀行協会研究助成金「わが国資本市場における機関投資家活動に関する理論実証分析」 |
2002-2004 |
文部科学省科学研究費補助金若手研究「マクロ経済動向のインディケーターとしての金融指標の役割に関する理論実証分析」研究課題番号:14730077 |
2003 |
郵貯資金研究協会研究助成金「リスク・プレミアムとマクロ経済活動」 |
2005-2007 |
文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)「フィナンシャル・アクセラレーター仮説と金融不安定性に関する国際比較分析」研究課題番号:17530252 |
2008-2010 |
文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)「市場型間接金融とマクロ経済」 研究課題番号:20530287 |
2. 研究分担者として
1993 |
信託奨励金(研究代表者:三木谷良一氏) |
1994 |
近畿郵政局委託研究(研究代表者:三木谷良一氏)「経済変動(景気循環、バブル、構造変化を含む)における公的金融の意義 -国際的視野のもとに我が国の事例を中心として-」 |
1996-1997 |
文部科学省科学研究費補助金基盤研究(B)(研究代表者:石垣健一氏)「中央銀行の独立性に関する理論・制度・国際比較研究」 研究課題番号:08303010 |
1998 |
全国銀行協会補助金(研究代表者:篠原総一氏) |
1997-1999 |
文部科学省科学研究費補助金基盤研究(B)(研究代表者:篠原総一氏)「日本・東アジア地域と北米地域の経済成長パターン及び経済統合に関する理論実証分析」研究課題番号:09430011 |
2001 |
近畿郵政局委託研究(研究代表者:寺地孝之氏)『岐路に立つ郵便貯金-郵便貯金の新しいあり方を求めて-』 |
在外研究
2000 |
ロンドン大学客員研究員 (LSE) |
2012 |
ロンドン大学客員研究員 (SOAS) |