第55回中日理論言語学研究会

日 時:2022年07月24日(日)
開催方式:zoom(オンライン)


ご報告:

関係者の皆様へ: 先にご案内させていただいた第55回中日理論言語学研究会は、7月24日(日)、Zoomオンラインにて65名の方々にご参加いただき、成功裏に終わりましたことをご報告申し上げます。
<本研究会では「孤立的言語における統語論と形態法」というテーマをめぐり、シンポジウム形式で研究発表を行いました。冒頭で、沈力氏から趣旨説明があり、テーマの重要性と本研究のいきさつについてお話がありました。
沈家せん(Shen Jiaxuan)氏は、談話レベルの問と答という二元論理に基づいて、中国語文法には二元対称と二元シェアリングのシステムが基本であることを提案しました。この提案に基づいて、量化表現のペアリング現象「毎〜都〜」、品詞における動詞と名詞の対等関係、語彙もペアで分離される現象「“ganga"→“不gan不ga”」などは無理なく二元対称法に基づいて説明でき、またよく知られている中国語の兼語文は二元シェアリング法で捉えることができると主張しました。
沈力(Shen Li)氏・韋とう(Wei Tong)氏は、連続変調の生起が統語構造に依存していることから、典型的孤立言語であるチワン語の語形成も非典型的孤立言語である北京語の語形成も統語レベルで行われていることを示しました。さらに、チワン語の語形成に第一姉妹関係の制約がかかることから2音節の合成語しか許されないのに対して、北京語の語形成には第一姉妹関係制約がなく、3音節語も4音節語も許されるという事実から、北京語はチワン語より総合度(synthitic degree)が高いと言えることを指摘しました。
馮勝利(Feng Shengli)氏は、韻律の概念の更新、フットを構成するAとBの軽重非対称的関係、声調とイントネーションの関係について、事実を挙げながら説明し、韻律がどの言語に存在し、それが文法構築にも関与していると論じました。
最後にディスカッションを行い、フロアからも多くの質疑がなされ、大いに盛り上がった会となりました。お忙しい中、ご発表・ご参加いただいた皆様に心より御礼を申し上げます。

次回の第56回中日理論言語学研究会は10月にオンラインで開催予定です。詳細は追ってご連絡させていただきます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

それでは、今後ともご指導・ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。




<発表者及び発表題目(敬称略、順不同)>
(発表概要(PDF)を一部公開いたします)


シンポジウム:「孤立的言語における統語論と形態法」

沈 家せん(中国社会科学院語言研究所教授):
「語言0-2羅輯:“二元倚変” 与 “二元共享”」(PDF)


沈 力(同志社大学)・韋 とう(同志社大学大学院生):
「従連続変調看壮語与北京話的構詞法」(PDF)


馮 勝利(北京語言大学・香港中文大学):
「漢語韻律語法近年来的幾個重要発展」(PDF)






※著作権は発表者にあり、引用される場合「中日理論言語学研究会第55回研究会発表論文集」を明記すること