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基質酸化サイトと酸素還元サイトを併せ持つ高活性触媒粒子を開発しました
フェノール類の酸素酸化を促進するナノザイム(人工ラッカーゼ)Chem. Eur. J. 2024
高温でも高いラッカーゼ活性を示す「金属有機構造体(MOF)」を開発しました。ラッカーゼ (laccase) は、銅イオンを含む酸化酵素で、主にフェノール化合物の酸化反応を触媒します。植物、菌類、昆虫などに広く存在し、特に木材の分解やリグニンの代謝に関与しています。
また、漆(ウルシ)に含まれているラッカーゼは適度な温度(20~25度)と湿度の環境において漆の成分であるウルシオールというフェノール化合物の酸化重合を促進し漆を硬化させます。
ラッカーゼは、バイオセンサー、バイオ燃料電池、繊維や紙の漂白、化学合成など多岐にわたる利用が可能であり、環境触媒として環境浄化や廃水処理に利用する研究も行われています。このように極めて有用な酵素ですが、ラッカーゼには熱に弱いという欠点があります。我々は、MOF粒子の中にラッカーゼが持つ「酸素分子を水に還元する部位」と「フェノール化合物を酸化する部位」を構築しました。このMOF粒子は、室温でも酵素ラッカーゼよりも高い活性を示しますが、ラッカーゼが機能しない80度において更に高い活性を示します。本研究は、博士後期課程の中原さんの研究です。現在、さらに活性の高いMOF粒子を開発中です。
抗酸化酵素の活性部位をもつ抗酸化MOF粒子を開発しました
活性酸素を消去する抗酸化ナノザイム(人工Superoxide Dismutase)Chem. Eur. J. 2023
優れた抗酸化作用を持つ「金属有機構造体(MOF)」を開発しました。 このMOF粒子は、粒子内に多数の活性部位を持つため、体内で有害な物質である活性酸素種(ROS)を消去する酵素であるSODを凌駕する活性を示します。
活性酸素種はアレルギーや炎症と関連があり、このMOFはそれらを減少させることができます。 そのためにアレルギー症状を緩和する薬としての活用が期待されます。
本研究は、博士後期課程の中原さんが主体的に行いました。 ESR測定については茨城大学の藤澤清史先生、XPS測定については現在京都大学の小板谷貴典先生、
MOF・MOPの専門家である京都大学iCeMSの古川修平先生、アレルギーの専門家である産業医科大学の吉田安宏先生との共同研究になります。 現在、さらに活性の高いMOF粒子を開発中です。
酸化チタンを触媒とする可視光による炭素-炭素結合反応を発見しました
酸化チタンを触媒とする可視光による炭素-炭素結合形成)Adv. Synth. Catal. 2023可視光照射によって、二つの炭素‐炭素結合形成する反応を発見しました。 この反応には酸化チタン粒子を用います。 通常、酸化チタンは紫外線にしか応答しませんが、反応にもちいる有機化合物と酸化チタンの相互作用により、可視光による反応が達成されます。 可視光を用いることで、太陽光を用いた有機合成への道が開かれます。 この研究は博士後期課程のRoyさんの博士論文のメインの研究になります。 EurekAlert!とAZoNetworkで紹介されました。 現在、酸化チタンの可視光応答性を更に向上させる手法を開発中です。
水分子を酸素源とするエポキシ化反応を開発しました
水を酸素源とする電解エポキシ化 Molecules 2023
水分子を酸素源とするエポキシ化反応を開発しました。 この反応にはホウ素がドープされたダイヤモンド電極を用います。 この特殊な電極を用いることで、過炭酸イオンを合成します。
過炭酸イオンはマンガン錯体によって、即座にエポキシ化反応に用いられるため、安全安心な有機合成と言えます。 この研究は、現在ベルギーのGhent
Universityに留学中の天内さんと博士後期課程のRoyさんの研究です。 現在、マンガンを用いた新たな電解酸化を開発中です。