「阪神地区公立高等学校出身者のキャリア形成に関する調査」報告    目次 目次



V 現在の就業状況について

現在の主な就業形態を尋ねたところ(問1)、「正規職員・従業員」として就業しているサンプルが450と6割を占めた。その他の就業形態が占める割合は、いずれも5%程度までと少なく、むしろ就業していないサンプルが2割に達しており、その145サンプル中139サンプルが女性であった。

現在の勤務先に就職した平均年齢は26.2歳であったが、大学卒業後に新卒者として就職した勤務先に、現在も継続して就業しているサンプルが過半数である(問2)。現在の勤務先の従業員数は、「5000人以上」の大企業が22.1%と最も多く、公務員や教員として就業している「官公庁・学校」が、それに次ぐ22.0%を占める反面、「1〜29人」の零細企業などに就業しているサンプルも2割近く存在している(問3)。

現在の勤務先の主な業種は、民間企業などの中では「製造業」が2割と若干高いものの、他の業種間に大差はない(問4)。1割を超えているのは、他に「教育業」(学校を含む)と「官公庁」のみである。現在の職位は、サンプルがまだ30歳代であることから、「一般社員・職員」「係長・主任クラス」までで7割に達する(問5)。役職付の大半に相当する「係長・主任クラス」「課長クラス」には圧倒的に男性が多いが、「次長クラス」や「経営者・役員・自営業主」に女性が存在しないわけではない。ただし、勤務先が従業員数99人までの小企業あるいは官公庁に限定されている。

現在の主な仕事の内容は、多かった回答から順に「専門的な仕事」(36.6%)「営業・販売・接客」(16.4%)「一般事務」(13.4%)「研究開発」(12.1%)となり、他はすべて5%に満たない(問6)。全体的に多様な仕事に従事しているといえるが、就業形態によって若干の偏りがあり、「契約職員・従業員」「派遣職員・従業員」「パートタイマー・アルバイト」として就業している73サンプルは、うち64サンプルが女性であり、主な仕事の内容は「一般事務」である。また、「自営」の36サンプルのうち、「専門的な仕事」と回答したサンプルが15と最も多く、法律事務所や経営コンサルタントなどが中心であった。

昨年(2002年)1年間の税込み労働所得(事業所得を含む)を9ランクに分けて尋ねたところ(問7)、「400〜599万円」が3割強、次いで「600〜799万円」(23.2%)「200〜399万円」(18.6%)と、この3ランクで73.6%に達している。各所得ランクを中央値で評価して平均所得を求めたところ、全サンプルでは521.3万円であったが、男性の644.3万円に対して、女性は385.9万円にとどまっている。特に、100万円未満の48サンプルのほとんどが女性(45サンプル)であった。

現在の仕事に対する評価としては、63.1%のサンプルが(やや)満足しており、これに「どちらともいえない」を加えると9割近くになる(問8)。仕事に(やや)不満を抱いているサンプルは1割強と意外に少なく、これらの傾向に顕著な性別差は見られなかった。


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