「阪神地区公立高等学校出身者のキャリア形成に関する調査」報告     目次 目次



U 基本属性について

サンプルの性別(F1)は、男性の317サンプル(42.8%)に対して、女性が424サンプル(57.2%)であり、女性が男性をやや上回っている。年齢構成を見ると(表2)、各年齢層にサンプルが10%前後でほぼ均等に分布していることがうかがえる。したがって、平均年齢も34.7歳と30歳代の中央に近い値になった。

配偶者および子どもの有無、同居家族などを尋ねたところ(F3・F4)、配偶者がいるサンプルが551、子どもがいるサンプルが446と、いずれも6割を超えている。平均子ども数は1.7人、平均末子年齢は3.2歳であり、子どもがいるサンプルの過半数が未就学児童を抱えていることになる。

また、父母や祖父母(配偶者の父母や祖父母を含む)とは、約2割にあたる155サンプルが同居しており、うち7割にあたる109サンプルが配偶者のいないサンプルであった。つまり、未婚者が親と同居し続けているのが実態であり、例えば子ども数が多くなれば同居が増えるという育児サポートを示唆するような関係は、むしろ見出せなかった。一方、サンプルが比較的若年層ということもあり、日常的な介護負担があるサンプルは25と3.4%にとどまるものの、うち4割強にあたる11サンプルが親世代以上と同居していた(F5)。

次に最終学歴を尋ねたところ(F6)、7割以上の534サンプルが「大学」であり、その専攻分野も「社会学・心理学・教育学」(19.9%)「文学・哲学・史学・外国語学」(16.3%)を筆頭に様々である(F8)。一方、専門学校や短期大学を選択したサンプルも1割程度あり、1例を除いてすべて女性であった。専攻分野も「生活科学」や「芸術(音楽・美術・デザイン等)」に集中している。このように、最終学歴には性別差があり、男性は317サンプル中10サンプルを除く96.8%が「大学」「大学院」であるが、女性はそれが76.4%にとどまるのに加えて、高等学校を卒業してから進学していないサンプルも18ある。なお、最終学歴となった学校の所在地は、やはり近畿圏が中心であり、近畿2府4県で74.4%に達している(F7)。

サンプルの特徴としては、何よりも女性が優勢であることが挙げられよう。その中には、既婚で専業主婦というサンプルも多く、子どもが生まれたばかりという例もある。しかしながら、確かに最終学歴に性別差は観察されたものの、進学校の卒業生で3/4以上が大学、大学院卒であることから、社会で十分活躍できるだけの高い知識や能力を持っていることも明らかである。そのような女性が、家庭生活に重きをおきつつも、就業や社会活動に関してどのような意識を持ち、どのようにキャリアプランニングしているのか、分析視角の一つとして注目したい。



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