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IPEの種 3/6/2006

ブリュッセルとジュネーブへ,移民政策の調査に行ってきました.EU,EESC(ヨーロッパ経済社会評議会),ETUC(ヨーロッパ労働組合連合),そしてILO(国際労働機構),IOM(国際移住機構)です.本当は移民たちを助けるNGOsや,ヨーロッパの移民研究者にも会いたかったのですが,適当な団体や研究者を見つけて,話し合いをアレンジする時間が足りませんでした.年度末には定期試験の採点,地方入試出張,その他で十分な時間が取れず,そのまま準備不足の出発となったわけです.

とはいえ多方面のご協力により,興味深い話をいろいろ聞けました.わざわざ面会時間を割き,話してくださった方々に心から感謝いたします.その内容についてはぜひ論文を書いて,日本の移民政策に少しでも役立ててもらいたいです.

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ブリュッセルでは,南(Midi)駅から歩いて20分ほどのところにあるホテルに泊まりました(南駅周辺は治安が悪く,それゆえホテルが安いのです).また,ジュネーブでは手頃な料金(私の場合,1万円以下!)のホテルが見つからず,結局,その隣のローザンヌ(もっと近いと思ったのですが・・・)に安めのホテルを見つけて予約しました.このホテルは駅から急な坂道を登り,複雑な,曲がりくねった道の果てにありました.どちらも日本からインターネットで予約したわけです.

こんな季節です.おまけに,天気も良くなかった.毎日のように雨が降り,ときには吹雪になりました.イギリスやヨーロッパでは,傘が必要な,日本のような雨は少ないと思うのですが,今回は何度も傘を差しました.約束の時間に遅れてはいけないし,電車やバスには乗りたくない(間違って乗ったら戻れない!),タクシーは高い・・・ それでも,ヨーロッパの神々が助けてくれたのか? 不思議と,すべて一人ぼっちのインタビューをこなしました.そう,困窮する者に微笑む幸運のことを,私は《神》と呼ぶのです. ・・・豊かな者は,なんでも金で買えるから!?

いつも最初に,調査の目的を簡単に説明してから,私は彼らにその機関やその人自身の移民についての考え方,あるいは立場を尋ねました.・・・「最近,日本でも人口の減少と高齢化が心配されています.そのため,移民導入の可能性について議論する者も現れました.しかし日本人の多くは「外国人」と暮らすことに不安を感じ,恐れていると思います.」

「そんなとき,ヨーロッパで移民が大きな社会・政治問題になっていることを彼らも知りました.テレビで,パリ郊外の暴動の様子を観たり,デンマークの新聞が載せた風刺漫画に対する激しい抗議活動を観ました.もう少し前には,オランダで映画監督が殺され,イギリス北部の諸都市では「人種暴動」が起きましたね.また,ヨーロッパ中で人種差別を掲げる極右の政治勢力が議席を伸ばし,各地で移民への襲撃事件が起きています.」

「日本人や日本政府は,こうしたヨーロッパの経験と情報から多くを学ぶべきだ,と私は考えました.そして,ヨーロッパの人々や政府,さまざまな国際機関が,移民をどう考えているのか? どのように対処しようとしているのか? その移民政策について,成功例も,失敗例も,具体的に知りたいと思ったのです.」・・・

私の問題提起は独創的なものではありませんが,なかなか効果的でした.それは,彼ら自身が何度も自問し,あるいは問い詰められたことに近かったからではないか,と思います.この説明だけで,十分に多くの情報や意見を聞けた場合もあります.しかし,彼らの話が私の期待した様に進まない場合,さらに4つの共通質問項目を用意してきた,と話して,それに対する返答を求めました.すなわち,

「1.移民問題とは何か? (もしそれが「問題」であるとしたら.それはどのような意味で「問題」なのか?) 2.移民問題に対する解決策とは何か? (そもそも「正しい」解決策などあるのか?) 3.移民政策を決めるもの(要因,勢力,制度など)は何か? (何が現実の移民政策を決めているのか? 今後,移民政策はどうなるのか?) 4.移民に関する国際協力は重要か? (あるいは,必要のない,無駄なものか?) 国際移民システムは誕生するだろうか? 」

(調査旅行の続きを読みますか? → U )

なお,以下の記事は移動の飛行機で手に入れたFinancial Timesから集めたものだけです.あしからず.

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