前半から続く)


l  国際通貨システムと危機

VOX 21 December 2012

Kenen on the euro

Barry Eichengreen, Charles Wyplosz

国際金融論における世界で最も優れたエコノミスト,Peter Kenenが,今週,プリンストンで亡くなった.多くの問題で重要な貢献をしたが,理論でも実践でも,ユーロの問題で特に彼の影響は重要であった.彼はヨーロッパの部外者であり,通貨統合の実質に懐疑的であった.しかし,同時に彼はヨーロッパを支持し,その懐疑を同情的な視点から描くことに成功した.

最適通貨圏に関して,Robert Mundellが対照的なショックと非対称的なショックとを重視したとき,Kenenは地域経済の多様性がそのショックを緩和すると指摘した.今,ユーロ圏は,中国という巨大な経済が世界市場に参加したことで,ドイツが供給する資本財に大きな需要を追加された.他方で,ポルトガルやイタリアが供給できる消費財には中国の生産者が競争に加わった.このショックを,ユーロ圏無しに各国がどのように吸収できたか,Kenenの議論はユーロ圏の有効性を支持している.

Kenenは財政統合の必要性も重視したし,銀行同盟やTARGET2の問題も理解していた.金融機関の破たん処理やユーロ圏からの離脱が,適当な制度を欠くとき,破壊的な影響を強めることも知っていた.

Project Syndicate 21 December 2012

Financial Reform’s Breakthrough Year

Simon Johnson

NYT December 23, 2012

Could A.I.G. Happen Again?

NYT December 23, 2012

Stabilization Won’t Save Us

By NASSIM NICHOLAS TALEB

「財政の崖」は,単なる崖ではなく,システム全体が海に沈むことを意味する.システムの安定化のために,われわれは低金利,銀行救済,債券購入,貨幣供給を続けている.それは,癌に対する痛み止めでしかない.問題はさらに深刻になり,しかも不平等が増している.経済は脆弱性を高めて,システム全体がカオスに向かう.

安定化が目標ではなく,成長を実現することが重要だ.そのためにはシステムの分散化を進めるべきだ.意思決定が集中化したのは,二つの大失策による.イラク戦争と,金融危機だ.

FT December 24, 2012

Another global financial crisis may be on the way

DeAnne Julius

巨大リスクには事欠かない.ユーロ圏の離脱,中東の紛争,アメリカ議会の財政危機,中国との領土紛争から太平洋におけるアメリカの軍事介入.しかし,最大のリスクは「次のグローバル金融危機(GFCⅡ)」である.

しかし,1.経済の脆弱さは短期間で克服できない.2.経済政策は限界に達した.3.政治の弱点が強められる.

危機を緩和するには国際政策協調しかない.危機を監視し,必要なら,封じ込める.保護主義に転化せず,危機の波及を防ぐ.その舞台はG20しかないが,残念ながら,次の議長国はロシアだ.

FP DECEMBER 24, 2012

9 Stories That Will Move Markets in 2013

BY DANIEL ALTMAN

FT December 27, 2012

In an economy not so far, far away

By IzabellaKaminska

FT December 27, 2012

Crisis takes toll on Greeks’ mental health

By Joshua Chaffin in Athens


l  アメリカの支配力

NYT December 21, 2012

The False Promise of Energy Independence

By MICHAEL A. LEVI

「アメリカのエネルギー自給」という目標が達成できる,という見通しが,間違った期待を高めている.国際石油市場の浮動性により,石油価格の急速な上昇は,アメリカが世界市場から完全に分離されない限り,消費者に突然の増税と同じ効果を与える.それ増えアメリカは中東の政治不安に対する外交の関心を低下させるべきではないし,これからも介入する必要がある.

資源の潜在的豊富さが,意図しない不幸な結果をもたらす「呪い」を,外交は避けねばならない.

BLOOMBERG Dec 23, 2012

Will 2013 Mark the Beginning of American Decline?

By Simon Johnson

アメリカの支配が終わる,という主張は半世紀前から繰り返されてきた.どの国がアメリカに代わるのか? ソ連,日本,ヨーロッパ? しかし,世界第一の経済国家になるには3つの問題に回答する必要がある.

1.個人に対する所有権を確立しているか? それなしには投資が起こらない.中国もソ連と同じく,失格だ.2.金融システムは高い生命力を示すか? 日本はバブルで損なわれたが,中国やブラジルはどうか.3.政府と民間部門で債務は持続可能か? ユーロ圏内の政府は失敗した.

アメリカにも,経済,社会,政治の深刻な問題がある.いつとは言えないが,政治が機能し,ウォール街が整理され,社会保障の負担を税制と均衡させる必要を満たさない限り,他の国がアメリカに代わるだろう.しかし,どの国にもその準備はない.

WP December 24, 2012

Don’t kill the shale-gas boom

By Robert J. Samuelson


FP DECEMBER 21, 2012

Exit the Conciliator

BY PETER W. GALBRAITH

FT December 23, 2012

Arab awakening is only just beginning


l  世界貿易の新しいガバナンス

VOX 22 December 2012

WTO 2.0: Thinking ahead on global trade governance

Richard Baldwin

国際的な生産ネットワークに結びついた,剤,投資,サービス,ノウハウ,人材の故郷を超える移動,すなわち,「グローバル・サプライ・チェーン貿易」が世界を変えている.WTOはその変化に遅れた.

グローバリゼーションの最大の勝者は,工業力を築くより,このサプライ・チェーンに参加した発展途上諸国であった.アメリカ,ドイツ(ポーランド,トルコ),日本(中国,韓国,インドネシア,タイ)のサプライ・チェーンがそれを実現した.インドは例外である.他の新興市場は資源など,一次産品を輸出している.

WTOが溶解した後,世界貿易はTPPのようなメガ・リジョナル合意によってガバナンスを交渉している.新しいルールは,二国間合意,地域合意,そして発展途上諸国の自律的な改革によって形成される.ハーモニゼイションへの新しい規律をもたらすのがメガ・リジョナル合意だ.しあkし,中国など,いくつかの巨大新興経済は排除されている.

分裂と排除を回避することこそ,WTO2.0の使命である.

GATT/WTOは,相互利益と市場開放を世界全体の原則として多国間交渉を進めた.それは発展途上諸国にとって厳しい条件であったから,彼らに特恵関税を認めた.しかし,WTO2.0は違う.サプライ・チェーンによって急速な工業化を実現する諸国が,関税による輸入代替工業化を時代遅れにした.特恵関税ではなく,発展途上諸国はサプライ・チェーンに参加するか,自律的に自由化や改革を進めて直接投資を奪い合う.

ただし,大国間の競争がある臨界点を超えて,WTO1.0を無視し,世界市場を分割するかもしれない.われわれはそれを防ぐガバナンスをまだ見出していない.

FT December 23, 2012

A decisive year for ‘deglobalisation’

Howard Davies

金融ビジネスの脱グローバリゼーションと規制強化が進む.それはコストをともなうだろう.


l  中国とアジアの変貌

Global Times, December 23, 2012

Decade of change as global power shifts

(中国の主要な国際戦略家たちがグローバル・パワー・シフトの意味を考察する.)

FT December 24, 2012

Patriotic education distorts China world view

By Jamil Anderlini in Beijing

21歳のCai Yangは,反日抗議活動の中で,トヨタを運転していた同胞を自転車の鍵で殴った罪に問われた.子供のときからに日本人は悪魔で,反日戦争のテレビ・ドラマばかり観てきたら,日本人を恨んでも仕方ない,と仲間は言う.

天安門事件とソ連崩壊の後,中国の指導者たちは,共産党に効果的な思想が必要であると考えた.そして,新しい「愛国教育」キャンペーンを始めた.それは外国の侵略者の野蛮さを強調し,中国人の指導者が犯した非道な事件を無視したものだった.若者たちの間にナショナリズムと西側の犠牲者という心情を強めて,政府の正統性を高める宣伝であった.

今,中国人が自国に抱く感情と,近隣諸国が中国を見る感覚とは,あまりにも大きく異なっている.彼らは自分たちがまだ貧しく,弱い,侮辱された国民であると感じている.若者たちは,中国が平和を愛する国で,拡大主義では決してない,と考える.

その国民感情は近隣に対する外交政策の急転換に反映されている.今では友好関係を維持する国が世界にほとんどない.それは,国際的に見て機能していない,パキスタンと北朝鮮だけだ.そして,領土紛争が激化する日本は,第二次世界大戦中,実際に中国で残酷な支配を行い,まさに今,右派の政権が成立した国だ.

1年前,中国と日本が戦争することを話すのは愚か者だけだった.しかし今では,西側外交官や中国政府の顧問もそれを真剣に懸念している.戦争の話題は,政府職員や一般市民の間でも,危険なほどに広まっている.

中国の教育システムや世界観を変えることはできないが,その感情的なギャップを,外国の指導者たちも知っておくべきだ.

2012-12-24 (China Daily)

Sino-US ties need new approach

By Douglas H. Paal and Paul Haenle

Global Times | 2012-12-25

Pedigree politicians see tough path ahead

By Key-young Son

NYT December 25, 2012

Chinese Officials Find Misbehavior Now Carries Cost

By ANDREW JACOBS

FT December 26, 2012

Asia must free itself from western chains

By Chandran Nair

産業革命とその思想は世界中に広められた.世界金融危機,エネルギー不足,地球温暖化,食糧危機,などを経ても,アジアの指導者たちは,国民が享受し利用することもない,都市化や消費拡大のような西側文明を目標とする思想を,今も信じている.

西側の知的な支配から離脱しなければならない.ハーヴァードやケンブリッジではなく,アジアの諸大学から育った知識人・指導者たちが,新しい挑戦を始めるべきだ.

FT December 26, 2012

Asian jitters drive race for strategic ties

By Victor Mallet in New Delhi

インドとASEANが,アジアの民主主義大国間で友好関係を深めるためにサミットを開催した.彼らは,まだ相互の貿易額が小さいものの,アメリカや日本と同様に,拡大する中国の影響を懸念している.

NYT December 26, 2012

World's Longest High-Speed Rail Line Opens in China

By KEITH BRADSHER

BLOOMBERG Dec 26, 2012

China Survives a Big Year

By Noah Feldman

FT December 27, 2012

US must see other countries have laws too

By AnnLee

FT December 27, 2012

Asian prosperity

日本が「平和憲法」の下で急速な成長を実現したように,中国も「平和的な台頭」を唱えて成長を実現した.

政治とは分離して拡大してきた経済関係に関わらず,アジアの政治対立がエスカレートして制御できなくなるリスクが生じている.最近の緊張関係を鎮静化するには,中国も,日本も,アメリカも,互いになすべきことがある.

BLOOMBERG Dec 27, 2012

Billionaire Princelings Ruin a Chinese Vision

By William Pesek


l  クリスマスという外交

NYT December 24, 2012

Christmas Ornaments, Child Labor

By MARJORIE ELIZABETH WOOD

アメリカでは何百万人もの子供たちがクリスマス・ツリーの下でプレゼントを開ける.悲しいことに,その飾りは,強制された児童労働によって生産されたものである.

世界金融危機の後,児童労働が増えている.製造業のサプライ・チェーンに含まれる,中国,インド,ブラジル,インドネシア,など,アメリカの主要な貿易相手国である.バングラデシュでは,最近の衣料工場火災で,112人が犠牲となった.その多くは,わずか12歳の少女を含む若い女性であった.

市場を介して,消費者にはこの傾向に歯止めをかける力がある.クリスマスや新年の贈り物をするとき,考えてほしい.

BLOOMBERG Dec 24, 2012

Christmas in Crisis

By Philip Scranton

FP DECEMBER 25, 2012

When foreign policy pundits analyze Santa Claus

Posted By Daniel W. Drezner

真に結びついたグローバル化した世界において,サンタクロースとは何か? 何を実現してくれるのか?

Ian Bremmer: サンタはGゼロ・ワールドの化身である.覇権国家は戻って来ない.国家に帰属しないアクターが強大な情報機関を動かす.つまらない者たちが奴隷の軍隊になる.彼こそ無法のアクターだ.国際的な規範を破っても,G20hはその活動を止めることができない.

Niall Ferguson: オバマの勝利がそうであるように,サンタクロースは善意の力に関する幻想だ.発展途上諸国は土着のクリスマスの英雄を手放さず,彼らが平和と繁栄を導くものと信じている.目を覚ませ! オバマ政権は,クリスマスとの「戦争」を宣言する.

Anne-Marie Slaughter: なぜ,この太った,年老いた,裕福な,白人の男性が,世界の子供たちにプレゼントを配って歩くのか? クロース夫人は北極を出たがらないだけか? あるいは,この祝日の因習に縛られているのか? もっと家族にふさわしい形で,女性も含めて,もっと皆が参加し,年間を通じてプレゼントを配る方が良い.


l  サイバー世界の大企業戦略

NYT December 25, 2012

Google Moves Onto Microsoft’s Turf in Business Software

By QUENTIN HARDY

GoogleMicrosoftのビジネス市場を侵食している.Google Appsは,文書作成,協働,テキストやビデオの交換,など,すべてクラウドによって提供するものだ.これは零細企業やハイテク起業家に向けて開発されたが,大企業が採用し始めた.

WSJ December 25, 2012

Apple vs. Google vs. Facebook vs. Amazon

By JESSICA E. LESSIN, GREG BENSINGER, EVELYN M. RUSLI and AMIR EFRATI


l  イギリス

The Guardian, Wednesday 26 December 2012

Britain and Europe: putting the horse before the cart

The Guardian, Wednesday 26 December 2012

A huge risk we pro-Europeans must take

Shaun Woodward

FT December 26, 2012

Britain needs to adopt a more German face

By Chris Giles

イギリス経済の将来は,成長率を(1980年代4%から90年代1.1%へ)低下させた日本よりも,東西再統一後のドイツに似ているだろう.特に,雇用が大きく異なっている.

日本では,不安定な雇用や失業した若者の世代が両親に頼って生活した.出生率が危険な水準まで低下するのも当然だ.他方,再統一後のドイツは,成長率が(1980年代の約2%から1996-2006年の1.3%へ)低下し,緊縮財政と社会福祉の改革を進めた.東ドイツを吸収する負担は,イギリスの北海油田が産油量を減少させ,銀行部門が縮小したことに等しい.しかし,危機後も雇用が増加した.女性や外国人労働者の参加も増大するように社会改革が進んだ.

イギリス経済は,日本のように悪化しないだろう.むしろ,ドイツになる.

******************************

The Economist December 15th 2012

Over the cliff?

Italian politics in turmoil

Non-bank finance in Europe: Embracing the alternatives

America and the Middle East: The masochism tango

Russian politics: A new ideology for political ends

Measuring diversity: The London effect

Foxconn: When workers dream of a life beyond the factory gates

Inequality in China: To each, not according to his needs

(コメント) アメリカの「財政の崖」や,イタリアにおけるモンティ辞任(ベルルスコーニによるEU破壊),ヨーロッパにおける非銀行金融仲介機関,オバマ外交と中東政策の失敗.いずれも重要でしょうが,それほど面白い話ではありません.

むしろ,プーチンの第3期権力が目指す「イデオロギー」や,ロンドンから郊外都市へ拡散する移民コミュニティー,そして,世界最大の製造企業となった台湾のFoxconnが模索する次の飛躍,最後に,(南アフリカのアパルトヘイトにたとえられた)出稼ぎ労働者への差別が中国に世界最大の所得格差を実現しつつある話が,大いに目を引きます.

******************************

IPEの想像力 12/31/12

学生たちの卒論草稿を読んで,一緒に話し合うために残っていました.しかし,あまり来ないです.何でもインターネットで探し,パソコンで書いて,eメールの添付で提出し,メールのやり取りで済ませるからです.

ゼミの学生たちと,20年振り?のボーリングを楽しみました.124点も出たので満足です.

*****

ゼミ生の卒業研究を話し合う中で,ロナルド・ドーアの新著を知りました.『金融が乗っ取る世界経済:21世紀の憂鬱』です.

私は,ドーアが「日本型資本主義」や「ステークホルダー」の利益を重視する主張に賛成でした.アメリカの投資文化が,日本やヨーロッパの政府,富裕層の意識を変え,極端な所得格差を支持するまでに社会道徳を変えました.金融ビジネスの膨張やパニックの被害を抑えるためには,政府が法律や制度を変えて是正するべきだと思います.

やたらに数学で飾った経済学が,所得格差や投資文化を賛美し,金融資産の膨張を正当化するのは愚かなことだと思います.為替レートも,金利も,社会保障も,シンプルな原理が国民的な(そして,グローバルな)合意に基づいて確立される方が,社会や貧しい人にとって良いでしょう.

しかし確かに,こうした傾向を助長しているアメリカが,将来,中国の成長によって,その影響力を失うとしても,ドーアが描くほど,私には歓迎できません.中国の投資文化は,アメリカ以上に格差や投機的要素,不安定さを含むかもしれません.

雇用の多くを生み出しているのは,Foxconnのような巨大製造業ではなく,町の小さな工場,パン屋や中華料理屋さん,家電の修理・販売点,コンビニ,スーパーマーケット,そして,病院,介護施設,行政機関,だと思います.彼らの優れた勤労精神やサービスが,十分な市民生活を実現できる社会の方が,住みよい社会であると思うのです.

そして,金融ビジネスではなく,日本の気候や風土を生かして,将来の農業が主要な輸出産業になり,都市近郊の野菜農家や酪農とともに,裕福な,若い農民層を増やすでしょう.

*****

研究室から見える建物の解体作業は,巨大な重機によって行われます.蟹のハサミのようなアームを動かして,コンクリートの壁や柱を砕いて行きます.鉄骨なども細かく分けて,平らな地面に戻してしまいます.

作業は,主に,・・・たった二人の運転手が行います.

Why poverty? というシリーズがあります.元旦の再放送で,「アニメ貧困史」を観ました.

極端な貧困や飢餓は,優れた政府が無いところで起きた.中国は貧しかったが,飢餓は起きなかった.・・・孔子が,それを為政者に説いています.権力者には徳が無ければならず,旱魃や災害などに備えて,食糧を備蓄したのです.

ヨーロッパ人による植民地化は,住民の土地や住宅を奪った.ヨーロッパ人は,現地の貨幣を廃止した.・・・ヨーロッパから世界各地に向かった軍事的な征服活動は,金銀を奪い,労働者を奴隷にして,商品作物を作るために畑や鉱山で使役しました.現地の住民が貧しくても,彼らは救済のために何もしなかったわけです.

産業革命は,都市の貧困を生んだ.救貧院は,社会福祉に変わった.労働条件は悪化した.・・・それは「相対的貧困」という新しい貧困だ,と言います.また,農村を追い出された労働者たちは都市の工場で,ますます長い時間,劣悪な労働条件を耐えて働かねばなりませんでした.幼い子供や女性もそうでした.

農業革命は,世界の貧困を減らした.開発援助や融資は,世界の貧困を増やした.トリクル・ダウン説は,まやかしだ.・・・裕福な世界は,漸く,貧しい世界に対して何かしなければならない,と考えるようになりました.農業生産性の改善は貧困を減らしたでしょう.しかし,援助や融資は,役に立ちませんでした.

資本家や支配者は,貧しい者を搾取している.他方,毛沢東の大躍進は失敗だった.・・・マルクスは,貧困が搾取によるものだ,という考え方を確立しました.働きたいと思う人々にも,それに見合う仕事が無い.どれほど働いても,まともな生活を送る所得を稼げない.裕福な者にとって都合の良い形で,グローバリゼーションは進められています.

急速な成長をもたらす決まった方法はない.・・・マイクロ・ファイナンスで,自分の店を持つまでになった女性がいます.出稼ぎにきた町で,アイスクリームを売って貯蓄し,大企業を起こした人もいます.ブラジルの大統領は,教育の改善に投資しました.さらに,両親が子供たちを学校へ行かせるような支援策を実現しました.

つまり,貧困とは何か? ・・・自分たちは,仕事さえあれば働きたい.食糧配布に並びたくない.

*****

New York Timesに,ユーロッパ経済が不況に苦しむ様子を示す写真集がありました.

http://www.nytimes.com/interactive/2012/12/30/world/europe/eurocrisis-photos.html?ref=world

******************************