IPEの果樹園2012
今週のReview
12/31-1/5
*****************************
アジア諸国の血統政治 ・・・国務長官と国防長官 ・・・インド経済の復活 ・・・アメリカの世界戦略 ・・・ユーロ危機 ・・・日本の保守政権 ・・・国際通貨システムと危機 ・・・アメリカの支配力 ・・・世界貿易の新しいガバナンス ・・・中国とアジアの変貌
[長いReview]
******************************
主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP:
Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian,
NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington
Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)
l アジア諸国の血統政治
FP DECEMBER
20, 2012
Dynasty
BY ISAAC STONE FISH
アメリカではケネディーとブッシュがそうであるように,韓国でも朴Park Geun-Hye(Park Chung-heeの娘)が親子で大統領になった.
アジアには権力を引き継ぐ「政治王朝」が多くある.
日本のShinzo Abe(Nobusuke Kishiの孫).中国のXi Jinping(Xi Zhongxunの息子).北朝鮮のKim Jong Un.タイのYingluck Shinawatra(Thaksinの妹).バングラデシュのSheikh Hasina(Sheikh Mujibur
Rahmanの娘).パキスタンのAsif Ali
Zardari(Benazir Bhuttoの夫).など.
それは,政治社会体制の違いに関わらない.カンボジアのAung San Suu Kyi(Aung Sanの娘)はノーベル平和賞の受賞者で,独裁者と協力して自由化を進めている.民主的なマレーシアのNajib Tun Razak(2番目の首相の息子で,3番目の甥).遅れた植民地から最新ハイテク都市国家に導いたシンガポールのLee Kwan
Yewの息子がLee Hsien Longだ.
有権者が彼らを好むのは,その父や祖父の主張によるのではない.アジアは第二次世界大戦後に植民地から独立を達成した国が多い.だから,独立の英雄たちの子孫であることは,有権者にアピールする有利さがある.インドでもっとも強力な政治勢力,国民会議派を支配するのは今もJawaharlal Nehruの子孫である.
アジアの独立や革命を担ったのは,西洋と違って,個人ではなくクラン・部族だった.彼らの子孫は社会主義的なアジアで忠誠の貴族のように養育され,カリスマ性を帯びた後継者に育った.国民から権力の正当性を得るには,彼らの持つ権力者のブランドが有用であった.アメリカもそうなる可能性がある.
もちろん,これは危険なことでもある.毛沢東が人々の家族的な紐帯を破壊し,国家に結び付けたことは,大規模な飢餓と無秩序を生んだ.その破壊を生き延びた後継者たちは,システムや政府を制度化して子孫に引き継がせた.中国の政治局には7人中5人の子孫がいる.
FT
December 21, 2012
Daughter
set to shake off father’s shadow
By Simon Mundy
Park Geun-hyeが初の女性大統領となったことが,必ずしもすべての国民にとって大きな転換を意味しない.彼女は,変革のシンボルではなく,忘れがたい過去の政治のシンボルでもあることを知るべきだ.
父のPark Chung-heeは,韓国経済の高成長の基礎を与えたが,同時に,反対派を弾圧し,拷問し,殺害した.Park
Geun-hyeは,同じような独裁体制をもたらすと批判された.そこで,当時の苦痛や苦難に対する謝罪を表明することで応えたが,同時に,自分の父親の墓に唾を吐くことを国民は望んでいないだろう,と追及を避けた.
彼女の当選を,疑う者は多いだろう.本気で「公平な社会」を公約としたなら,それを実現して疑いを晴らすことだ.そして,父の影から出ることになる.
FT December
26, 2012
A
year in a word: Princeling
By Jamil Anderlini in Beijing
中国の暦では2012年は竜の年であった.しかし,中国の官僚政治体制(宮廷政治)においては,明らかにprincelingの年だった.Bo Xilaiの失脚に始まり,Wen Jiabaoの退任と,Xi Jinpingの最高位が公認されたのだ.
NYT December 20, 2012
Playing
Taxes Hold ’Em
By PAUL KRUGMAN
Project
Syndicate 27 December 2012
Over
the Cliff We Go
J. Bradford DeLong
l 国務長官と国防長官
FP
DECEMBER 20, 2012
Born
on the Seventh Floor
BY DOUGLAS BRINKLEY
ジョン・ケリーはアメリカの国務長官になるべくして経歴を積んだ人物である.彼が10歳のとき,父のRichard
Kerryは法律顧問として,分割されたベルリンへ行くアメリカ代表に加わった.
ヨーロッパ各地を父と一緒に移動し,President Dwight Eisenhower, and diplomats George Kennan, Dean
Acheson, and George Marshall,といった多くの政治家,英雄たちと食事を共にした.彼のパスポートは4フィート3インチの高さになる.ベトナム戦争に従軍し,5カ国語に精通している.
反戦運動にもかかわり,穏健かつ有能なメンバーとなった.Vietnam Veterans Against the War (VVAW)のスポークスマンとして,1971年,上院外交聴聞会で次のように質問したことは有名だ."How do you ask a man to be the last man to die for a
mistake?" VVAWは戦争を激しく憎んでいたが,ケリーは違う.彼は外交戦略に関する深い質問を行い,その持続不可能性を問い,アメリカがパワーと影響力を無駄にしている,と考えた.
BLOOMBERG
Dec 23, 2012
Kerry’s
Lifelong Training to Be Top U.S. Diplomat
By Albert R. Hunt
FP
DECEMBER 24, 2012
The
Other Pivot
BY DAVID ROTHKOPF
クリントン国務長官は,国務省による外交の技術を復活させた.
過去数十年におけるアメリカ外交と国務省の衰退は,ホワイトハウスが外交に占める中心的割合を高めたからであり,アメリカの一極世界がそれを可能にしたからであり,アメリカの行動に対する支持を得ようと考えなくなったからである.それはまた,テロとの戦争が重視されたからであるし,情報通信技術の発達が大使や外交官の重要性を低下させたからだ.
意外にも,多くの要素が逆転した.第一に,オバマ大統領は,敵への非生産的な非難を止めて,オープンに関与を求める時代を画した.第二に,アメリカ経済の困難や,イラク・アフガニスタンの情勢が悪化したことで,アメリカは戦争を避けるようになった.そしてクリントンが外交を体現して行動した.リビア,シリア,アジア,国連.
アメリカ外交は中心的な重要性を回復した.
NYT December
25, 2012
Give
Chuck a Chance
By THOMAS L. FRIEDMAN
あなたはChuck Hagelについて聞いたことが無いかもしれない.反対論もあるが,私はHagelが国防長官になるのを支持する.彼の意見が「主流派」と少し異なるのが,その理由だ.
Hagelは,イスラエル・ロビーを批判した.アメリカ上院議員として,イスラエル・ロビーの命令を採用せず,アメリカの国益を推進した.アメリカがイスラエルの生存にとって重要であるとしても,その自己破壊的な右派の政策(西岸の入植拡大,2国家案の破棄)を支持してはいけない,と考える.多くの上院議員は同じことを考えているはずだ.しかし,イスラエル・ロビーに逆らうことは,それほど不都合で,政治的に危険なのだ.
Hagelは.哲学的な姿勢を非難される.彼はイラン核開発計画の交渉による解決を求めている.また,ハマスにも関与政策を模索する.それは,現実に成功する見込みはないと思う.イランの体制はアメリカへの憎しみによって正当性を得ているし,ハマスはパレスチナ人に災厄をもたらしているがガザ地区に根差しているから消滅しないだろう.イラクやアフガニスタンで再び戦闘を生じることを避けようとするが,それは彼自身がその失敗を経験したからだ.
アメリカは世界の安定性を守るべきだし,それゆえ強くなければならない.しかし,「財政の崖」を考えれば,防衛予算は削減され,スマートな戦略を求められる.だから私はHagelを支持する.すべての意見を聞いたうえで,Hagelに行動させるべきだ.
FP
DECEMBER 26, 2012
What's
at stake in the Hagel affair
Posted By Stephen M. Walt
上院議員Chuck Hagelの国防長官に関する適任性に関して,私は自分の先の支持論に追加しない.ここでコメントしたいのは他の3点だ.1.オバマ政権が正式の指名以前にHagel の名を漏らし,しかも明確に指示しなかったという致命的な不手際.2.Hagel の指名はイスラエルや中東に関する政策に影響せず,Kerryの国務長官指名とともにイランに対する政策を変えるかもしれない.3.ワシントンにおける政治情勢,オバマの外交が問われている.彼らはイスラエルに対する既存の政策を破壊するのが怖くて,オープンに議論しなくなっている.だから,現実に機能する中東政策を打ち出せないのだ.Hagelを指名するなら,オバマにそれを変える覚悟が無ければならない.
l インド経済の復活
BLOOMBERG
Dec 20, 2012
India’s
Unfinished Journey to Economic Success
By A. Gary Shilling
NYT December
22, 2012
In
India, a Dangerous and Divisive Technocrat
By VIKAS BAJAJ
Gujarat州の経済成長と行政の有能さを理由に,財界はNarendra Modiをインドの次の首相にふさわしいと考えている.しかし,それは間違いである.
なぜなら,Modiの政治手法は著しい混乱をもたらすものであったからだ.2002年に州の行政長官になったModiは,その指導力を示すことに大きく失敗した.イスラム教徒によって放火された列車事故が58人のヒンズー教徒を犠牲にした事件の後,群衆がイスラム教徒を襲って1000人近い人々を殺戮した.その多くの女性や子供であった.州の行政幹部は,Modiが暴徒を止めるなと命じた,と証言している.
その後,Modiは調査委員会を否定し,自分の無罪は最高裁で証明された,と主張する.しかし,彼の幹部の多くは有罪となった.
Project
Syndicate 27 December 2012
India’s
Second Wind
Martin Feldstein
インド経済は復活した.2004-08年の平均成長率はおよそ9%であった.インドがこの急成長を続けるのは難しい.
インドには優れた大学や研究所が多くある.しかし,基礎教育の普及状態は破滅的に貧弱だ.カースト制度や労働法が効率的な労働市場を損なっている.少ない予算から農村の数百万人に給付するポピュリストの政策は,その労働を妨げ,賃金を引き上げ,国際競争力を低下させている.ビジネスは様々な規則やあまりにも遅い行政手続きに邪魔されている.価格補助金のシステムは複雑で,官僚の腐敗が広まっている.
インドのインフラは近代的な経済を支えられない.電力供給は非常に少なく,しばしば停電する.非効率的な港湾,混雑した道路,輸送状態はどうしようもない混沌である.政府支出や規制を変えるにも,12億人の国民による複数政党の連邦制民主主義が,広大な大陸を覆っている.現行政府も不安定な連立政権だ.
インド経済の成功は,技術を身に付けた企業家たちが新しい事業を起こして,増大する中産階級の基礎になっていることだ.貯蓄率は高く,海外からの資本流入も新しい工場や設備に吸収されている.財政赤字を削ることは,より多くの民間投資を実現するだろう.
幸い.インド政府は,最近,国債格付けが低下し,経常収支赤字を融資する脅威になると自覚して,積極的な対応を示した.特に,新蔵相にPalaniappan Chidambaramを指名したことは重要だ.Chidambaramはハーヴァード大学に学んだ法律家であり,既に蔵相を2度経験し,市場に依拠した政策によって成長を喚起することを知っている.
最近,インドはWal-Martのような外資系大規模消費店の参入を認めた.税制を州の間接税から全国的な付加価値税などに変更した.民間企業と組んで,政府はインフラ投資を増やしている.国民のすべての成人が利用可能な認証システムを導入し,農村や都市の貧困層にも資金移転をデジタルな手段で可能にする.
インドの復活は再生するだろう.さらに多くの人々が貧困を脱出し,中産階級になる.
l アメリカの世界戦略
guardian.co.uk,
Friday 21 December 2012
The
coming drone attack on America
Naomi Wolf
何千,何万というドローンが,米軍や商業目的で,監視の特別な権限をもって飛行している.それは軍事的な手段にもなりうる.それは新年早々に始まるだろう.こうして警察国家は,公式に,成立するわけだ.
FP
DECEMBER 21, 2012
Time
for another round of hypothetical holiday gifts
Posted By Stephen M. Walt
世界の指導者たちにもクリスマス・プレゼントを用意した.
1.バラク・オバマ ・・・ダートボード.2期目に取り上げる課題は山積しており,優先順位はつけがたい.
2.シリアの独裁者,バシャール・アル・アサド ・・・目を覚ますためのアラビアコーヒーを1ポンド.さらに良いのは,家族と一緒に(世界中)どこでも好きな所へ行ける片道切符,
5.アメリカの子供たち ・・・攻撃的な武器の禁止.
7.ヒラリー・ローダム・クリントン ・・・1年間のスパ会員権.2017年で終わる図書契約.
8.共和党 ・・・オズの魔法使いと会える周遊券.
9.コンゴ東部の住民 ・・・奇跡を,プレゼントするしかない.
WSJ
December 23, 2012
The
Return of Toxic Nationalism
By ROBERT D. KAPLAN
西側のエリートたちは,普遍的な価値が反動勢力を打ち破る,と信じている.人権,女性の解放,ソーシャル・メディア,金融市場,国際機関や地域機構が人類を分かつ障壁を倒すために,彼らは円滑な移行を提唱する.
悲劇的なほど,それは彼らの自己投影された世界でしかない.グローバルなコスモポリタンではなく,ナショナリズムや宗派による団結こそが,より反動的で排他的な力をふるうことを無視している.
2011年のカイロ,タハリール広場がそうだった.西側ジャーナリストたちは,比較的高所得のアラブ・リベラル派が,権威主義体制の崩壊後,すぐに権力を獲得すると期待した.しかしその後,エジプトでは数か月間も,軍部とムスリム同胞団とイスラム原理主義・サラフィストとの間で激しい闘争が続いた.組織の無いリベラル派には何の力もない.イスラム主義者とナセル派軍隊とのある種の協力体制が現れるだろう.
中東では,宗派や信仰,エスニックな部族間で分離が進んでいる.初期には自由が求められたが,それは血による団結を重視するアイデンティティに向かう自由になった.その集団を超えるような愛情や人間性は広まらない.アジアでも,19世紀や20世紀に西側がそうであったように,ナショナリズムはまだ若く,強い生命力がある.激しい軍備拡大競争が進み,中国,日本,など,各国のナショナリズムが呼応して強められる.
南シナ海でも,東シナ海でも,地図をめぐる勢力圏の衝突は,シリアで起きていることと同じである.インドやロシアでも,ナショナリズムは勢いを得ている.弱体化するEUは,社会・経済状態が悪化する中で,ナショナリズムと原理主義の活性化を止められない.ギリシャに広まる新しいファシズム運動は,その一つでしかない.
真の戦いは,市民社会や人権を重視して一層の統合化を信じる人々と,民族や血,過激化した信条によって異質なものを排除する人々との間に展開されている.前者が勝つとしたら,まず.後者を無視するのではなく,それがぜい弱な民主体制より,住民たちの欲求に応えていることを認めることだ.
WP
December 24, 2012
Will
2013 see action on Iran’s nuclear program?
By Jackson Diehl
The
Guardian, Tuesday 25 December 2012
We
have until June 2013 to end the Iranian nuclear crisis
Shashank Joshi
NYT December
24, 2012
Another
Try at Nuclear Negotiations
NYT December
25, 2012
The
Dawning of Domestic Drones
FT December
26, 2012
America
will reaffirm its commitment to Europe
Anne-Marie Slaughter
アメリカはEU-US自由貿易圏を完成するだろう.それは繰り返し提唱され,失敗してきたが,来年は違う.経済的な要望は強く,政治的な障壁は低い.EUもUSも経済成長を熱望している.しかし,金融政策は力尽きたし,財政政策は緊縮しかない.残されたのは貿易の拡大だ.関税を撤廃し,より重要な,非関税障壁を撤廃する.オバマ政権は太平洋と大西洋に自由貿易圏を築くだろう.
それはアメリカがEUの政治的重要性を認めて,EUとユーロ圏の復活のために政治的な梃を与え,イギリスの離脱を防ぐものである.
FP
DECEMBER 26, 2012
Poland's
Shale Gas Dream
BY DIMITER KENAROV
FT December
27, 2012
Seismic
events will shape the Middle East
By David Gardner
FT December
27, 2012
World
leaders will follow Merkel’s lead
Ian Bremmer
軍事紛争や貿易戦争ではなく,国内政策によって改善できることがもっとある.外交でいい加減な約束をする指導者たちの言葉は信認を失う.2013年には,US,ヨーロッパ,中国が,もっとリスクの少ない,コストに見合う戦術を取るべきだ.
例を挙げよう.オバマはシリアのアサドに警告した.反政府軍に化学兵器を使用すれば,アメリカが報復するぞ,と.しかし,それは通常兵器による殺戮を承認したことを意味する.あるいは,イランの核兵器開発だ.オバマは国内の政治的支持を得るために,イランの核開発を許さない,と述べただけだ.
アメリカも中国も,指導者たちはメルケルに学ぶべきだ.彼女はユーロ危機においても,慎重に言葉と行動を選んだ.国内の支持率が健全に維持される程度に,交渉の過程を抑えた.空想的な目標を示せば,信認が失われる.
2013年,アメリカと中国はサイバースペースの商業利用と紛争抑制を目指す.っ中国は近隣諸国との海上における領有権争いで貿易を使って脅迫する.アメリカとヨーロッパはイランに破棄を求め,EU官僚はギリシャやスペインに改革を求め,中東の各国は不干渉を要求し合う.アフガニスタンからNATOが撤退すれば,インドとパキスタンの牽制が強まる.
その深刻なコストとリスクを担う者の言葉だけを,人々は真剣に聞く.
l ユーロ危機
guardian.co.uk,
Friday 21 December 2012
European
politics are impotent, moribund and in need of life support
Tim Parks
FT
December 21, 2012
Finance:
The great Greek gamble
By Sam Jones
VOX 21
December 2012
Eurobonds:
The design is crucial
Roel Beetsma, Konstantinos Mavromatis
FT December
23, 2012
A
year in a word: Grexit
By Ralph Atkins
2012年,年間最優秀の新語は「グレグジット」である.「ギリシャのユーロ圏離脱」を意味し,ヨーロッパの指導者たちを苦しめた.ユーロ圏は離脱を許さない制度である.シティグループのエコノミスト,Ebrahim Rahbariが,Willem Buiterとの共著になる報告書で2月に示した.
SPIEGEL
ONLINE 12/24/2012
A
Dose of Its Own Medicine
Schäuble's
Secret Austerity Plan for Germany
By Christian Reiermann and Michael Sauga
The
Guardian, Wednesday 26 December 2012
Germany's
austerity plans will beggar Europe
Costas Lapavitsas
ユーロ危機は終わった? フランス大統領もそう信じているが,それどころではない.危機は最悪の局面を迎えるのだ.
政治家たちが平静さを見せるのは,ギリシャへの新しい融資を決めたからだ.そして,再び緊縮策,規制緩和,民営化だ.ヨーロッパの周辺部では6年目の不況が続いている.緊縮策はイタリアやフランスにも及んだ.ユーロ圏全体が,ベルリンの唱える緊縮の盲信を止められない.
ドイツ的なユーロ圏が誕生する.マルクを失ったドイツは,ユーロ圏で弱くなったのか? そうではない.緊縮策は,ヨーロッパ周辺部を巨大な東ドイツに変える.そこには成長が無く,賃金が低く,貧しく,経済のダイナミズムが無い.さらに,東ドイツを支えたような財政移転(年間600億ユーロ)はほとんどない.
ドイツはユーロ圏の財政政策や銀行同盟を受け入れない.ユーロ圏内の他者に自分たちの税金が行くからだ.そのドイツの決定が,「怠慢者」に対する財政の厳格な規律を求め,ユーロ圏の大銀行だけを監視し,ドイツの中小銀行は監視を免れる.
ドイツ的なユーロ圏の証拠は,それが真の原因を無視することだ.ドイツとその他のユーロ圏諸国との効率性に差があることが危機の原因である.それは,ドイツが常にユーロ圏内のインフレ率よりもインフレを抑制したからだ.ドイツは他の地域よりも賃金を厳しく抑制した.その結果,ドイツの求める経常収支黒字が続いた.同時に,周辺部の赤字と債務が増えた.
緊縮策と賃金引き下げは,この不均衡を解消する野蛮な方法でしかない.しかし,ドイツの賃金がもっと上昇しなければ,この治療には効果が無い.ドイツは国内需要をもっと拡大するべきである.ところがドイツの内需はほとんど増えず,ユーロ圏がドイツの重商主義の道具になっている.
失業,生産力の破壊,絶望がヨーロッパを覆っている.経済的,社会的な混乱が深まるだろう.
Project
Syndicate 27 December 2012
The
European Oasis
Dominique Moisi
Project
Syndicate 27 December 2012
A Second
Chance for European Reform
Hans-Werner Sinn
l 日本の保守政権
FT
December 21, 2012
Foreign
holdings of JGBs hit record
By Jonathan Soble in Tokyo
日本国債の外国人保有額は86兆円に達し,発行残高の9%を超えた.安倍政権の財政刺激策は国債をさらに増発する.しかし,それでも超低金利を利用している.世界の景気は不確実で,ユーロ債務危機が続いているからだ.
WP
December 21,2012
Abe’s
election in Japan will affect America’s Asian pivot
By Glen S. Fukushima
自民党の政権復帰は,1.民主党に比べて経験がある,2.専門官僚を利用できる,3.安倍は日米同盟の強化を公約している,という点で日米関係を改善するだろう.
安倍晋三の政権獲得は,経済の復興によって支持されるかどうか決まる.安倍の政治的原則は,日米関係を重視する点でアメリカにプラスだが,アジア外交で摩擦を生じる点でマイナスだ.世界第3位の経済規模を持つ日本がどこに向かうか,アメリカはアジアに対する影響力を行使しなければならない.
WSJ
December 23, 2012
Help
Beijing Step Back From Hegemonism
By KAZUHIKO TOGO
2012年,尖閣諸島に関する中国の日本に対する圧力は全て成功したように見える.しかし,それは自己破壊的なものだ.
日本政府は,領土問題は存在しない,という立場であった.これは北方領土に関するロシア外相の発言と同じだ.この姿勢を変えるべきだろう.そして,条件を付けずに安倍首相は中国政府と交渉し,現状維持を合意するだろう.すなわち,日本は尖閣諸島の領有を国際的に認められているが,その島に上陸したり,何かを建設したりしない.他方,中国は尖閣の領海や領空を侵犯しない.
なぜなら,これを力によって変更する中国の主張は,国連憲章が認める第二次世界大戦後の秩序を否定するものであるからだ.武力による秩序の変更を,1978年の日中友好条約は「覇権主義」と呼んで否定した.中国政府はその姿勢をも否定することになる.
中国の文化は,その文明の特徴を国際秩序にも求めてやまない.それは新しい中華の秩序である.もし中国が,日本や西洋の帝国的侵略の歴史から学ぶなら,経済的,政治的な地位の上昇を,武力と覇権主義によってではなく,国際秩序の文化的な変容として追求するべきだろう.
NYT December
27, 2012
Japan
Might Revise Apology on Wartime Sex Slaves
By MARTIN FACKLER
WSJ
December 27, 2012
Asia's
Pivotal Power
By RICHARD FONTAINE AND DAN TWINING
タカ派の思想とナショナリズムの高揚,世界貿易の幹線経路で,海上の地政学に依拠した軍事衝突も辞さず,過去の栄光の記憶が復活を求めてやまない.それは中国のことではない.安倍晋三が政権を執った日本である.
安倍は,日本の復活と影響力の衰退を逆転する,と決意している.中国こそ未来であり,日本との同盟関係は過去のものだ,と考えるアメリカ人もいるが,日本を無視することは間違いだ.アジア最強の日米関係は世界のバランス・オブ・パワーを変える.
日本は,将来の成長を生み出す技術を持っている.日本は世界でトップクラスの援助供与国であり,たとえば,ミャンマーのインフラ整備を支援する.日本はアメリカ軍に基地を提供し,5万人の駐留に財政支援している.日本は軍事力を整備し,分野によっては中国軍を超えている.日本は軍事力の行使を次第に拡大している.その憲法上の制約を,安倍政権は変更する決意である.中国の台頭と攻撃的な姿勢がそれを促した.
日本に勝る同盟国はない.安倍政権の政策が成功することを,アメリカは望む.
2012-12-27
(China Daily)
Japan's
policy flawed
NYT
DECEMBER 21, 2012
Dreaming
of Haiti
By ERIC HERSCHTHAL
VOX 21
December 2012
Avoiding
middle-income growth traps
Pierre-Richard Agénor, Otaviano Canuto,
Michael Jelenic
(後半へ続く)