IPEの果樹園2012

今週のReview

11/19-24

 

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二期目のオバマ ・・・中国の新指導部 ・・・アメリカと中東紛争 ・・・台頭する中国と国際関係 ・・・アメリカ共和党 ・・・ユーロ緊縮策と反対派 ・・・ナショナリストの日本 ・・・資源の呪いを断つ

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  二期目のオバマ

NYT November 8, 2012

Let’s Not Make a Deal

By PAUL KRUGMAN

民主党の大勝利であった.経済がまだ苦しい中で,上院では議席を増やした.カリフォルニア州の選挙でも勝った.しかし下院では,共和党が秘術を尽くして,今も多数を占めている.彼らは増税には反対するし,財政赤字に不平を言う.

オバマ大統領は共和党の反対をどうするべきか? 彼らの要求を呑むのか?

いや,断じてそうではない.タフに交渉しなければならない.たとえ脆弱な回復状態の経済を犠牲にすると脅されても,妥協“grand bargain”を許すべきではない.確かに,「財政の崖」がもたらす危険は小さなものではない.増税と支出削減は経済を不況に突き落とすだろう.

誰もそれを望むことはないのだ.たとえそうであっても,オバマ大統領はそれ(共和党が支配する議会の間違った決定)を,交渉において必要なら,(譲歩によって)止めるべきではない.

その理由は,オバマが大統領になってから,共和党が経済を破壊するという同じ脅迫をするのは3度目だからである.国民は富裕層に増税するべきだと感じているのに,共和党は富裕層へのブッシュ減税を延長するように要求している.オバマは同じ要求に対して,2010年末に譲歩した.2011年にも再び譲歩した.過去の譲歩が,彼らに今のような行動を許したのだ.

こうした脅迫が常態化すれば,国家は統治不能になる.

オバマ大統領は,ノー,というだけだ.財政の崖があるなら,それを越えて進め.

「財政の崖」は,それほど激しい衝撃をもたらさずに処理できるし,そもそも共和党を支持する企業家も望んでいない.経済危機を招くなら,共和党への支持も崩壊する.

再選されたオバマの地位は強められている.彼はアメリカ国民が支持したことを前提に,共和党がアメリカ国民の意志を否定する,と主張できる.

それは,アメリカの政治システムを正すことでもある.

WSJ November 8, 2012

The Peril of Second Terms

By JOHN STEELE GORDON

オバマは再選された16人目のアメリカ大統領になった.支持者たちは歓喜している.しかし,二期目の歴史的経験から学ぶ必要がある.そして,過剰な政治介入を避けるべきだ.

Abraham Lincoln William McKinleyは二期目に暗殺された.他には,Richard Nixonが任期途中で辞めた.しかし,Harry Trumanも朝鮮戦争の拡大をめぐり,不服従のマッカーサーを解任したが,最後の年にはニクソンの支持率をも下回っていた.Ronald Reaganもイラン・コントラ疑惑,Bill Clintonも弾劾裁判(モニカ・ルインスキー・スキャンダル)で,二期目に国民の支持を失った.

Ulysses GrantThomas Jefferson は個人的関係や外交問題で,アメリカの利益を損なう,間違った関与を示した.Franklin Rooseveltも二期目に過剰な介入で失敗した.ニュー・ディール政策を否定した最高裁と対立し,憲法の保障する制度的バランスを変えようとしたのだ.

最悪の二期目を味わったのはWoodrow Wilsonであろう.「我々を戦争から救う」というスローガンで僅差の勝利を得たわずか1カ月後に宣戦布告し,191812月には戦後の交渉に参加するためヨーロッパへ行って,7ヶ月近くもアメリカに帰らなかった.交渉の成果はわずかなものだ.国際連盟の弱さも,報復的な講和条約の内容も,自ら努力して失敗した上院の国連加盟承認も,彼自身の健康を奪っていた.半身不随となり,片目の視力を失った.

大統領にとって,二期目の経験は破滅的である.しかし現代では,James Madisonほどの経験をすることはないはずだ.1814年,イギリスの侵攻により,その首都を焼かれたのだ.

FT November 9, 2012

The real lesson from Obama’s victory

Robert Reich

オバマの勝利は明白な教訓を示した.ラティーノ,アフリカ系アメリカ人,若者は民主党を支持し,白人男性,特に,大学を卒業していない白人男性は共和党を支持した.

この支持基盤を維持するために,民主党は,移民,家族保障,税控除の適用拡大,低所得層への学資援助,など,政策の改革を推進しなければならない.それだけでなく,かつては支持者であった白人男性を取り戻すべきだ.

彼らが共和党支持に代わったことを説明するとき,1960年代,南部で市民権運動が広まったとき,民主党がそれを支持し,共和党は「人種カード」を使って白人を奪った,と言われる.この説明は,もっと重要な変化を見逃している.大学卒ではない白人労働者の賃金が,グローバリゼーションや技術変化の結果,1970年代後半から減少し始めたことだ.現在,彼らの(インフレの影響を除く)収入は35年前よりも少ない.

民主党は,この傾向に対して何もしてこなかった.

民主党は,労働法を改革して労働組合の結成や存続を容易にすることもできたはずだ.民主党は,ドイツのように,生産性上昇の利益を労働者に分け与えるよう,圧力をかける国民的なシステムを導入することもできたはずだ.民主党は,貿易自由化のすべての合意について,相手国にアメリカの中間的賃金水準の半分に等しい最低賃金を要求し,アメリカ自身の最低賃金を交渉の基準にできたはずだ.民主とは,中産階級や労働者への税を減らし,富裕層に増税できたはずだ.

民主党が白人労働者を見捨てたから,この空白を共和党が奪ったのだ.人種差別,外国人排斥,同性愛反対,福音主義,何であれ,共和党は利用した.

民主党の原則を回復しなければならない.われわれは,金持ちのための政府ではなく,普通の人々のための政府を必要としている.

The Guardian, Sunday 11 November 2012

US politics today is as absurd as Britain's under George III

Geoffrey Wheatcroft

FT November 11, 2012

Obama’s next task is to split the GOP

By Edward Luce

FT November 11, 2012

Obama has four years to fix the economy

By Jeffrey Sachs

政府は強化するべきか? 解体するべきか? アメリカの有権者が出した答えは,もっと小さい政府ではなく,もっと良い政府を,であった.

選挙戦の争点は,短期的な財政刺激策から,長期的な構造問題に移って行った.実際,オバマが行ったのは中西部の自動車産業とその関連ビジネスを再建する産業政策であった.救済パッケージと電気自動車への研究開発が政府の支援を受けた.

気候変動は,最後になってハリケーン・サンディの話題とともに議論された.それは単に水位の上昇だけでなく,災害を予測し,災害を緩和し,緊急事態に対応する集団的な能力の問題であった.

しかし,オバマ政権が問題を解決するには,税収が少なすぎる.アメリカ政府はGDP32%しか得ておらず,カナダの38%,ドイツ35%,スウェーデン39%に比べて,財政再建しながら,貧困解消やインフラ投資ができない.

さらに,歳入の規模だけではなく,短期的なケインズ主義的刺激策しか考えていない民主党の姿勢が時代遅れで,間違っている.アメリカは経済部門を大幅に変化させる必要に直面している.医療費や大学授業料は高すぎるし,インフラは崩壊し,経済は化石燃料に依存している.総需要を増やすのではなく,これらを根本的に変える構造変化の問題のだ.

オバマはIT革命の成果をもっと利用できる.例えば,大学教育や医療サービスをオンラインで提供すれば,その価格は劇的に下落する.またIT革命を利用して,スマート・グリッド,スマート・シティ,低炭素エネルギーにも転換できる.政府は,IT型の大学に用地を与える,など,その転換を助成することだ.

誰がその費用を負担するのか? やってみれば簡単だろう.タックス・ヘイブンに登記してあっても,本社の所在地に関係なく,その利潤に最低20%を課税する.高所得者の税額控除に上限を設ける.超富裕層に穏やかな増税をもとめる.炭素税や,金融取引税を導入する.これらは,政治的には困難であろうが,経済学から見て正しいことだ.

オバマは,改革を議会や企業ロビイストに潰されてはならない.ビジネスの利益も人民とともにあり,国家の利益でなければならない.人々は,嵐,洪水,交通渋滞,教育費の高騰,医療費,日々の電力供給,など,問題を解決するように求めている.

問題解決のための4年間を,という選挙スローガンは,選挙の勝利によっても終わらない.始まったばかりなのだ.

NYT November 10, 2012

Budget Showdown Offers an Opportunity for Progress

By CHRISTINA D. ROMER

NYT November 14, 2012

Standing Tougher


l  中国の新指導部

FP NOVEMBER 8, 2012

Kafka in Beijing

BY JOHN GARNAUT, SANGHEE LIU

北京のカフカ.・・・20081226日.19歳の女性Long Meiyiが,北京でもっとも派手な,高級ナイトクラブSoftly Shaking Barで,鉱山企業の大株主である男Zhou Shiliに会った.彼女を育ててくれた義理の父親Tian Wancangは,この市(Liupanshui, an industrial city of 3 million people in southwest China's Guizhou province)の副市長で,政治エリートの一人であった.男は,地域の有力者につながるコネを求めていた.

男は,Longを気に入って,電話をかけ,贈り物や金を与えて,性的関係を求めた.彼女もその母親も,この男を嫌ったが,男の要求は続き,金を得ていたことで女性は従うしかない,と思った.

母親は男にそれ(交際・性的関係を強要したこと)を訴えると主張したが,こうした問題で,中国の司法制度は機能しなかった.皮肉なことに,義理の父親はLiupanshui "stability preservation" apparatusの責任者でもあった.それは市民からの苦情を処理する,政府側の期間である.彼女の問題が起きるまで,彼はそれがどれほど「効果的に」市民を監視し,その声を抑え込んでいるか,気づかなかった.

Longの母親は地元の警察にも訴え,警察は当初協力的で,捜査し,証拠を集めた.しかし,男は地域の共産党政治局員でもあった.政治的な圧力が働くと,警察は担当を変わり,彼女たちに応えなくなった.母親は北京へ行った.地方官僚が腐敗して対処しないとき,中国人が最後に考えるのは,中央政府に訴えることである.それが成功することはほとんどない.

政府の対応に不満を強めた彼女たちは,ついに,問題を公にした.香港の雑誌Phoenix WeeklyLomgの強姦事件を黙殺した地方政府に関する "petitioning mayor" という記事を載せ,注目を集めたのだ.その後,彼女はインターネットにも情報を載せた.北京政府はこれを嫌い,雑誌の記者は暴漢に襲われ,地方の共産党本部から警告を受けた.Longも頻繁に警告され,ドアを叩かれ,ついに誘拐されて,殴打された.母親は,指導部の交代が終わるまで,静かにするよう確認された.

こうした報道があって,Phoenix Weeklyに,同様のケースについて情報を寄せる者が4000人以上も出た.人々は,なぜ民主主義が必要か,を知っただろう.Longは,外国のジャーナリストに接触し,Foreign Policyがこの記事を転載している.

FT November 9, 2012

China’s players rehearse in the dark

By DavidPilling

超政治的な実行委員会は存在しない.演説も,テレビ討論もない.たとえ彼の妻が有名な歌手であっても,歌うことはないだろう.人民大会堂に風船の波が飛ばされることもない.

習近平は,第18回共産党大会において,新しい第5世代指導部のトップに立つ.彼らが退場することで,それは確認されるだけであり,アメリカの血みどろの選挙戦に比べて,恐ろしいほど平穏である.アメリカの選挙に比べて,世界はあまりにもわずかな関心しか寄せていないが,中国の指導部交代は一層重要であるだろう.オバマの任期が終わってからも,2022年まで,中国の権力は彼らが握るからだ.経済規模は2倍になり,海洋大国にもなっているだろう.

中国はアメリカの覇権に挑戦し,特に,アジアでは中国版モンロー・ドクトリンが実現しているかもしれない.

何よりも驚くべきは,習をはじめ,新指導部について,世界がほとんど何も知らないことだ.中国社会の急速な近代化に比べて,その指導者を選択する仕方はあまりに蒙昧だ.それはまだ,座席が政治的地位を示し,指導者を称える歓呼の声で権力を示す,北朝鮮の権威主義的政治体制を思い起こさせる.

その主要な演説は胡錦濤の報告であったが,それは毛沢東からのイデオロギー的な連続性を強調する内容で,改革を期待する者には失望するものであった.しかし,崩壊を避けるには,改革するしかない,と彼らは考えている.

FT November 11, 2012

In defence of how China picks its leaders

By Daniel Bell and Eric Li

共産党大会に関して,西側の報道はすべてマイナス評価である.批判的論評は,腐敗が共産党の中枢にまで及び,政策課題は公に議論されず,中国人民はその過程から排除されている,と言う.

しかし,批判は中国の政治システムを正しい視点で評価していない.この30年間に大幅な改革を実現してきた中国の政治システムは,大国のガバナンスにとって最適な形に近づいている.すなわち,トップにおける能力主義,底辺における民主主義,である.しかも,その中間では多くの実験の余裕がある.

確かに地方のレベルでは,民衆が参加する方が良いだろう.コミュニティーが必要とするものをよく知っており,指導者も彼らが決める.しかし,大国の指導者を一人一票で決めるのは問題だ.なぜなら,市民たちは互いに影響を及ぼす公共財に関して投票するべきであるが,大国になるほどその計算は難しい.少数の裕福な者が情報と理解において優れ,システムを自分たちにとって有利な姿に改変する危険がある.

もしこの問題を解決するため,正しく理解する能力をテストして,理解の優れた者にのみ投票権を与えるとしても,投票権を認められない人々はそれに反対し,従わないだろう.民主的な政治システムは失敗する.

さらに,民主主義システムは,公共財に関する影響が世代や国境を超えて広がることを無視している.その結果,しばしば議会は前世代に債務を押し付け,地球温暖化を観るまでもなく,他国にコストを押し付ける.

複数政党制と異なり,中国共産党の政治システムは,こうした問題を能力主義と党内の競争的な能力開発システムによって解決している.共産党は,次第に,革命政党から能力管理組織に変化してきた.まずエリート大学に合格し,その中から共産党員になった者が,党内で成果を競って選別されていく.組織の底辺から,次第に上位において,地位にふさわしい成果を上げることが求められる.優れた人材を集めることが難しい,複数政党制の統治システムでは,これができない.

確かに,中国式の能力主義システムにも問題はある.特に,腐敗・汚職が広がることだ.それを抑えるには,開放的で信用のあるメディア,透明性,効果的な司法制度,管理への高い給与,独立した汚職監視機関,などが有益である.

民主主義体制と権威主義体制,という二元論で批判するのは間違いだ.重要な区別とは,良いガバナンスか,悪いガバナンスか,である.中国の政治体制を改善する方法は,中国人の文化と歴史,現代の条件に照らして,決めるべきだ.西側の民主主義をまねることではない.

FT November 12, 2012

China’s new leader is hemmed in by history

By Roderick MacFarquhar

WSJ November 12, 2012

China Stands Still at the Crossroads

By QIAN GANG

Project Syndicate 12 November 2012

Reshaping China’s Government-Services Supply Chain

Andrew Sheng, Xiao Geng

NYT November 13, 2012

New Leadership in China

NYT November 13, 2012

Dynasty of Different Order Is Reshaping China

By IAN JOHNSON

最も困難な経験をした世代は,頼るべきものは家族のほかにない,と理解した.彼らは「太子党」の基礎になった.中国には指導者を決めるシステムが無い.だから,彼らは近親者を頼る.彼らは改革に強く反対する.

中国は,わずか数家族によって支配されるようになる.

FP NOVEMBER 13, 2012

What Do Rural Chinese Villagers Think About Their New Bosses?

BY TREFOR MOSS

FP NOVEMBER 13, 2012

Men in Black

BY NELS FRYE

NYT November 13, 2012

China’s Great Shame

By YANG JISHENG

私を育ててくれた叔父を含む,3600万人が,1958年から1962年の中国における大飢饉で餓死した.飢えた人々が人肉を食べたというケースが何千もある.

その犠牲者数は,第一次世界大戦の2倍,193233年にスターリンが餓死させたウクライナ人ンや,ヒトラーが第二次世界大戦中に虐殺したユダヤ人の約6倍である.

50年を経ても,この飢餓を中国では自由に議論できない.人民日報は,飢饉のあったことさえ否定する.その理由は政治的なものだ.毛沢東の政治的な遺産を引き継ぐ共産党の権威,政治的正当性を損なうからだ.経済学者のA.センは,民主主義において,大規模な飢饉は起きなかった,と述べた.

FT November 14, 2012

China’s rapid change and missed chances

By DavidPilling

FT November 14, 2012

The first big test for China’s new leaders

Yao Yang

輸出額が減少し,中国経済の成長は減速している.中国は国内市場の拡大を必要としている.しかし,家計の消費が増大するとは必ずしも言えない.労働力の供給は2015年がピークである.もっと技術革新と人的資本に頼る時代になる.

選挙はないが,中国にも政治循環はある.改革の期間が過ぎると,成長による弊害を緩和し,社会的・政治的な安定化を追求する時期が来る.胡錦濤は安定化を目指した.

都市と農村との戸籍を分けるhukou systemの改革がカギを握る.この制度は1958年に都市への労働者の移動を規制するために導入された.これが,実質的に,出生地によって差別を合法化した.しかし,16000万人の農村戸籍を含む,24000万人が,出生地と違う場所に住む.この制度を改善すれば,別々に住む家族への仕送りをやめて,消費が増大し,子供や老人にとって生活が改善できるだろう.

地方政府の改革反対派は間違っている.地方政府は,出稼ぎ労働者たちの負担で,財政赤字を補てんしているからだ.それは子供たちの教育や,成長の機会を奪っている.

FP NOVEMBER 14, 2012

Xi's Got Issues

BY GEOFF DYER

中国には「財政の崖」もないし,諜報機関のボスのセックス・スキャンダルもない.しかし,習近平はオバマ以上に政治的プレッシャーを感じているだろう.

たとえ権威主義体制であっても,政治には瞬発力が重要だ.胡錦濤はSARSウィルスの緊急事態を管理し,WHOの検査を回避する過程で支配権を確立した(the Economistは,「SARSが中国のチェルノブイリになるか?」と関心を示した).習近平の課題はSARSほど劇的でないが,政治的関心が集まる交代の機会に,習も最初の100日間を利用しなければならない.

日本との尖閣諸島問題.国内経済改革.政治改革.いずれも反対勢力との軋轢が生じる.しかし習には,改革のために時期を待つ,という選択肢はないはずだ.

WSJ November 14, 2012

Tibet Is the Test of China's Rise

By LOBSANG SANGAY

FT November 15, 2012

China: The thin red line

By Jamil Anderlini in Beijing

FT November 15, 2012

China’s leaders must embrace democracy

By Minxin Pei

中国共産党が何を唱えようと,中国の将来をめぐる異なる発言が起きている.民主化論争も戻ってきた.現状維持は不可能だ,という認識はすべての改革の第一歩である.

たとえば,マクロ経済の不均衡,民間部門への差別,金融抑圧,革新の不足,という中国経済の病状の背後には,国家主義的なクローニー資本主義の悪弊がある.

不平等,腐敗,環境破壊に対して,大衆の抗議活動は増大している.国際的に見ても,1974年にスペインの民主化で始まった流れは80か国に及んだ.中国の一党支配体制も,たとえ高度に洗練されたシステムになっても,組織の腐植と民主的転換を免れない.

民主制はそれ自身を政治的な「創造的破壊」によって革新できるが,一党支配体制にはそれができない.

SPIEGEL ONLINE 11/15/2012

The Charming Hardliner

Xi Jinping Assumes Reins of Restive China

By Bernhard Zand in Beijing

FP NOVEMBER 15, 2012

Can the Chinese have a French Revolution?

Posted By Paul Bonicelli

中国にフランス革命は迫っているのか? その状況には違いがある.

1.  中国共産党とその官僚たちは,18世紀後半のブルボン王朝とその支持者たちに比べて,はるかに明敏であり,柔軟である.

2.  鄧小平とその後継者たちが築いた中国は,明らかに,民主的な資本主義システムに向かっている.ブルボン王朝と違い,中国の支配層はその変化を認識している.

3.  彼らは資本主義的な経済的繁栄に依拠して,民主制の導入や法の支配,といった改革を進めることができる.ブルボン王朝は重商主義体制とパトロン関係,現体制の恒久化を前提していた.

大衆の抗議活動や,専門職・知識人の体制からの離反が「革命」をもたらすだろうか? ジャコバン派やジロンド派が現れ,ルソーの理想を実現するロベスピエールの恐怖政治が再生するのか? それは誰にもわからない.

FP NOVEMBER 15, 2012

Apocalypse Mao

BY CHRISTINA LARSON

環境破壊を抑えることこそ,新指導部が真っ先に取り組むべき課題である.


後半へ続く)