IPEの果樹園2012

今週のReview

8/13-18

 

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中央銀行の限界 ・・・オリンピック ・・・革命と現実主義 ・・・北朝鮮 ・・・南シナ海 ・・・アメリカ製造業と政治 ・・・中国の改革 ・・・日本の変化 ・・・資源の呪い ・・・緊縮策と低金利 ・・・オバマ・ドクトリン

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  中央銀行の限界

NYT August 2, 2012

The Mañana Bankers

バーナンキやドラギは何を待っているのか?

成長は減速し,失業率は高いままだ.バーナンキは追加の刺激策を採らず,ドラギは何でもすると言いながら,赤字諸国にドイツと同じような注意をした.すなわち,ECBは政府債券を無制限に購入するが,その条件とは政府が緊縮財政と改革の約束を守ることだ,と.

金融政策が財政政策や構造改革と結びつくのは望ましいだろう.しかし,結び付けなくても,中央銀行にはできることがある.自律性をもって金融緩和するべきだ.

BLOOMBERG Aug 2, 2012

Central Banks Can’t Save the World

By Mohamed El-Erian

2008-09年の危機に比べて,中央銀行は世界経済の救世主にはなれない.中央銀行にできることは限られてきた.

アメリカ,イギリス,ユーロ圏の中央銀行家たちが会合を開いて,緊急性を感じていない政府の他の政策部門に行動を促そうとした.その焦りは,中央銀行は「政府に代わるものではない」,と述べたECBのドラギ総裁に代表されている.

また,中央銀行の行動の弾力性は,広く信じられているものほど大きくない,というのもわかった.

「中央銀行は解決の一部であるかもしれないが,ますます小さな役割しか果たせないことがわかってきた.彼らの利用可能な政策手段の威力は失われている.その負担は政府の他の部門や政治的指導力に向けられる.なぜなら彼らだけが,低成長や債務過剰,生産的活動への投資不足,といった根本問題の解決手段を持っているからだ.」

中央銀行には変えることのできない,競争力,財政改革,労働者の再訓練,などが必要である.戦略的な,協力した,包括的な対応が求められている.

guardian.co.uk, Friday 3 August 2012

Once again, the European Central Bank fails to act

George Irvin

FT August 3, 2012

Zen and the art of central banking

2012-08-03 (China Daily)

Mission for eurozone leaders

Project Syndicate 03 August 2012

One Money, (Too) Many Markets

Hans-Helmut Kotz

Project Syndicate 03 August 2012

Eurodämmerung

Harold James

Project Syndicate 03 August 2012

Why Eurobonds are Un-American

Daniel Gros

ユーロ債を使った「債務の共有化」がユーロ危機を解決する決め手になる,と,アメリカ建国時のハミルトン財務長官による州債の統合を理由に述べる者たちが,今,ヨーロッパで合意を形成しつつある.しかし,詳細に見れば,アメリカの経験はユーロ債導入を支持する有益な類推ではなく,その前例でもない.

第一に,各州の揮発債券を連邦政府が引き受けることは,各州が集団的な支払い義務を負う形で個々の週に債券発行を許すことではない.ハミルトンはモラル・ハザードを懸念する必要が無かった.なぜなら,連邦政府は各州が新規に発行する債券を保証しなかったからだ.

第二に,当時のアメリカ連邦債の規模(約4000万ドル)は,州債の規模(約1800万ドル)よりもずっと大きかった.つまり,州債問題は,独立戦争後の連邦財政安定化に関する中心問題ではなかったのだ.それらは独立戦争という共通の原因から生じていた.

しかも,当時の主要な財源は,国境における関税と課税であった.その意味では,連邦政府が一括して公的債務を返済するのが効率的であった.そしてその方が,アメリカの国内市場にとって障害となるような各州の課税を減らし,経済発展を促すことになった.

最後に,財政の安定化が成功したのは,根本的な改革が行われたからだ.金利を下げ,債務を長期化してロール・オーヴァーのリスクをなくした.独立後の数年は,連邦財政の約80%以上が債務の利払いと返済に費やされていた.わずかなショックでも,連邦財政は破綻の危機に瀕した.

当時のアメリカは,戦後再建ブームが続いて,連邦収入を増やした.逆に,今日のヨーロッパにおける成長の見通しは暗い.利払いは,ギリシャやイタリアでも,歳入の20%以下でしかない.本当の問題は,停滞する経済における,既存債務の借り換えなのだ.

ユーロ圏の公的債務が持続可能であるためには,既存債務の組み替え・削減が必要だ.もしすべての既発債を,たとえば,3%の利回り,20年満期のユーロ債に転換でき,5年間の猶予期間を与えられれば,危機は確実に解消するだろう.

現在のユーロ危機から見てさらに興味深いのは,ハミルトンの改革から50年経ってどうなったか,である.1830年代,40年代に,当時の輸送における技術革新がもたらしたブーム,運河建設に多くの州が過剰投資を行った.ブームが終われば,8つの州とフロリダ領は,主にイギリスに対する債務に,支払い不能となった.

イギリスの銀行家たちは,こうした信用できないアメリカ人には二度と投資しない,と脅した.こうして再び,ハミルトンが州債を吸収したのと同じ状況になり,イギリスは連邦が返済を保証するように圧力をかけた.しかし,アメリカ連邦政府は救済しなかったのだ.なぜなら救済には,州の多数(すなわち上院)と国民の多数(すなわち下院)を得なければならず,通常,それは不可能だった.EUがそうであるように.

デフォルトには痛みが伴う.1840年代の低成長と,外国の債権者たちによるすべての債務者に対する返済圧力が増した.デフォルトは容易なことではなく,それゆえすべての州(ヴァーモントを例外として)が信用を高めるために均衡予算を求める憲法修正に同意した.

EU加盟諸国も同じ道を歩むのか?

guardian.co.uk, Sunday 5 August 2012

Why the eurozone crisis threatens liberal reform in the east

Andrea Capussela

SPIEGEL ONLINE 08/06/2012

Interview with Italian Prime Minister Mario Monti

'A Front Line Between North and South'

SPIEGEL ONLINE 08/06/2012

Italy's Lost Generation

Crisis Forces Young Italians to Move Abroad

By Fiona Ehlers in Rome

FP AUGUST 6, 2012

The Big West Solution

BY SHIMELSE ALI, URI DADUSH, ZAAHIRA WYNE

大不況は終わったが,アメリカの失業率は高く,景気回復は遅い.しかしユーロ圏から見れば,アメリカはサクセス・ストーリーになるのだろう.

既に明らかなように,アメリカの諸州も2008年の世界金融危機に先立つ住宅バブルを回避できなかった.アリゾナ,フロリダ,ネヴァダの,「サンベルト」(諸州)は住宅バブルの崩壊を経験した.それは,ギリシャ,アイルランド,スペインという,いわゆる「地中海クラブ」と同じものだ.両方とも危機の後遺症に苦しんだが,銀行救済や公的債務の渦中に巻き込まれた地中海クラブよりも,サンベルトの方が力強く回復している.この点で,アメリカは回復をもたらす正しい姿勢を示している.

両者には多くの違いがあるが,通貨同盟としては同じである.すなわち,サンベルトも地中海クラブも通貨価値の切り下げを景気刺激や競争力の回復に利用できない.それゆえ両者とも,賃金引き下げや生産性上昇,労働者の地理的な移動,通貨同盟内の財政移転,によって調整を実現しなければならない.こうした点で,アメリカの方が最適通貨圏に近いのだ.地域間で異なる経済的ショックをより円滑に吸収できる.

サンベルトも地中海クラブも,アメリカ経済やユーロ圏の平均値よりも大きな景気変動を経験している.重要なことは,サンベルトが成長を回復していることだ.

サンベルトの住宅価格が速やかに調整したことは速やかな回復に役立っただろう.2007-11年に,フロリダとアリゾナの住宅価格は43%下落し,ネヴァダは53.5%下落した.これに対して,ギリシャ,アイルランド,スペインは,それぞれ同じ期間に12%33%15%しか下落していない.住宅価格の下落は住宅需要の回復を加速し,銀行にモーゲージ・ローンの損失を認めるように強いた.ヨーロッパでは,これが遅すぎる.誰もが余りにも長く住宅価格の安定を信じ,銀行は不動産による損失(不良債権)を認めなかった.そのことが他の銀行の地中海クラブ向け融資を抑制させ,預金者の預金引き出し,金融逼迫を強めている.

サンベルトの失業増大は地中海クラブよりも少ない.サンベルトの失業は減少しつつあるが,地中海クラブでは増大している.どちらも住宅バブルが崩壊したけれど,サンベルトでは労働者の流入が止まり,また,失望した労働者が市場から離脱した.他方,地中海クラブでは,より多くの雇用が失われた.それは不況が長引くことを経営者たちが予想していること,法律などにより労働者の解雇が容易でないこと,地中海クラブの競争力が失われたこと(ドイツに対して2030%も),が関係している.

財政移転は,連邦財政からサンベルト諸州に,GDP5%かそれ以上の規模で移転された.Martin Feldsteinの推定では,州GDP1ドル減少に対して40%に及ぶ財政移転があった.2009年に実施された財政刺激策も,危機の影響が大きかった諸州に多くの財政支出が行われた.

これに匹敵するようなものはユーロ圏にない.なぜならEUは国家ではなく,中央財政が無いからだ.ECBが銀行や政府債券を通じて資金供給したことは騒がれたが,同じことをアメリカの連銀や財務省は何一つ騒ぐことなく自動的にやっている.決定的な違いは,ユーロ圏内では,政府間財政移転がローンとして行われ,多くの厳しい条件とそれをめぐる交渉がともなうことだ.その財源が維持されるかどうかは,不確実で,市場に不安を生じる.

衝撃的な差は,アメリカ諸州の財政状態,バランス・シートに表れている.サンベルトの財政規模は連邦財政の中で小さく,財政均衡ルールを守っている.それゆえ,地中海クラブの信用格付けは大きく悪化したが,サンベルト州政府は債務危機を経験せず,フロリダの格付けはトリプルAを維持している.地中海クラブのように,不況期に赤字削減を強いられることもなく,サンベルトは景気変動を抑えるような反循環的財政支出を維持した.また,重要なことに,サンベルト諸州ではなく,連邦政府によるFDICTARPが銀行救済の融資を負担した.ヨーロッパでは,銀行と政府の関係が緊密で,国による違いがこうした処理を妨げている.

このように,両者の構造的な違いは大きく,その問題を解決するにはまだ多くの年数を要するだろう.比較により,ヨーロッパの通貨同盟はその弱点が明白になっている.すなわち,非常に異なった経済を単一通貨の下に扱い,市場による調整が遅く,強力な中央政府を欠いている.それはヨーロッパの政策担当者たちに,次の危機を防ぐための制度改革を示している.

BLOOMBERG Aug 6, 2012

Mario Draghi Cannot Save the Euro

By Simon Johnson

guardian.co.uk, Tuesday 7 August 2012

Germany seems serious about 'political union' in Europe – but would it work?

Jan-Werner Mueller

FT August 7, 2012

A lifeline is thrown to the periphery

By Lorenzo Bini Smaghi

危機が収まらないのは,EUIMFに融資を求める決断が遅すぎるからだ.その理由は二つある.

一つは政治的理由だ.外部から財政状態を監視されるのは国内政治によって大きなマイナスになる.もう一つは金融的な理由だ.金融的な支援を求めると,金利や債券利回りが上昇する.

ECBは,救済融資(と調整計画)を求めることへのスティグマ(烙印)を消すために,さまざまな改革を行っている.金融市場の波及を円滑にして,不確実さを減らし,自己実現的な,金融市場の破壊的行動を抑える.ECBが十分な資金を得て,ユーロ圏離脱のリスクにも対応できることを示す.民間資金がどの国にも利用できるようにする.

また救済融資の承認がユーロ圏諸国の承認を得るのに,国によっては議会が特別な条件を付加することもある.それは救済融資を受ける国に,外国から押し付けられる条件に従うという不満を強めた.一層の非政治化のためには,ユーロ圏の救済にあらかじめ基金を設けて,その融資条件を合意しておき,一定の条件(債券利回りのスプレッド拡大)に達した国は半自動的に救済融資を受け入れる仕組みを作るべきだろう.

もしユーロ圏が生き延びるために政治統合を進める必要があるなら,加盟諸国はより多くのEUレベルにおける意思決定を認めるだけでなく,その介入を受け入れねばならない.重要なことは,民主的な正統性と説明責任を,関連する決定について制度が確保することであり,この場合,ユーロ・グループがそれになる.

FT August 7, 2012

This will not be enough, Mr Draghi

By Sebastian Mallaby

FT August 7, 2012

Germany’s judgment day

By Quentin Peel

WSJ August 7, 2012

The ECB's Collateral Bailout

FT August 8, 2012

German voters face real choice on euro

WSJ August 9, 2012

The EU Can't Ignore Its Romania Problem

By TOM GALLAGHER

Project Syndicate 09 August 2012

Europe’s Solidarity Imperative

Peter Sutherland

ECBMario Draghi総裁が発言したことで危機が緩和した.しかし,それはいつまで続くのか? その問題は,金融や経済にあるのではなく,政治的,心理的,制度的なものである.

「ドイツの諺に,「信頼は良いものだが,支配はもっと良い」というのがある.これこそ,世界の債務危機がユーロ圏のガバナンス・システムを追い詰めて以来,ユーロ圏指導者たちがとった政策の基礎にある考え方だ.」

ユーロ圏の裕福な諸国は問題を抱える近隣諸国に多くの支援を与えたが,それは条件を付け過ぎたし,一時的であり過ぎたし,少しずつ追加的な形でしか示されなかった.ドイツなど,ユーロ圏諸国が資源の無駄遣いをなくすために確認するのは正しいが,リスクを制限し,最小限の必要しか満たさない姿勢は,次の融資は否定するような不安を生じた.

1957年に署名されたローマ条約は,ヨーロッパ史の高貴な,野心的転換を示した.すなわち,共通の制度,共通の利害に基づく,国際関係における連帯と予測可能性が,秘密外交と,その当事者たちがしばしば衝突をもたらした,伝統的な勢力均衡よりも効果的に,ヨーロッパの繁栄と安定性をもたらす,というものだった.」

ユーロ圏の指導者たちは,それ以前の,互いを信用しないヨーロッパ関係モデルに戻る誘惑を感じているかもしれないが,それは今や耐えがたいものになっている.

私の印象では,ドイツの大衆と政治的見解は,ユーロ圏の解体がドイツとヨーロッパの破局をもたらすことを認めつつある.そして,ユーロ圏を守るには,現在の政策に従うだけでは不可能であること,このまま続けることが加盟諸国間の差を長期的に拡大し,政治的,経済的な受け入れがたいものにすることを,正しいと認めるだろう.

ガバナンスの危機を,連帯のガバナンスに変えるときが来たのだ.ユーロ圏内の経済政策をもっとバランスの取れたものにし,ECBの役割を強化し,銀行同盟と財政同盟を実現し,部分的・条件付きの形で既存債務の共有を認めるべきだ.

文ですバンクだけが,他の中央銀行にないような,特別な憲法上の義務を負っている,と考えるのは致命的な間違いだ.


FT August 3, 2012

Lunch with the FT: Sir Howard Stringer

By Lionel Barber


l  オリンピック

FT August 3, 2012

Flexiworkers are heroes, not slackers

By Andrew Hill

VOX 3 Aug 2012

How local are labour markets? A look at the London Olympics

Alan Manning, Barbara Petrongolo

The Observer, Sunday 5 August 2012

Olympics: the Games volunteers show us how a big society could really work

かつて選手たちを迎える者は誰もいませんでした.オリンピックに人間的な顔を与えるため,ボランティアが組織されました.そしてボランティアの組織を超えて,より大きな社会がオリンピックの選手たちとより深い一体感を得ます.

guardian.co.uk, Sunday 5 August 2012

London 2012: Britain's Olympic gold rush provides a lesson for politics

Jackie Ashley

guardian.co.uk, Tuesday 7 August 2012

British Somalis: nomads no more

Nadifa Mohamed

ソマリ生まれ,ロンドン育ちの選手,Mo Farahが,1万メートルの金メダルを取りました.

イギリスに住むソマリア人は,自分たちがソマリア人であることをうまく説明することができませんでした.パキスタン人か,ジャマイカ人か,と子供の頃よく聞かれました.統計が示すソマリアは,自分たちが知る複雑な世界ではありません.

ソマリアは80年代後半から90年代前半に内戦を生じ,世界中に特異な遊牧民を形成したのです.しかし,ロンドンに育つ第二世代,第三世代は,ソマリアのルーツについて考えることになります.オリンピックがその機会です.

guardian.co.uk, Tuesday 7 August 2012

London 2012: how the Olympic Games have changed Britain

Hadley Freeman

WSJ August 8, 2012

Empty Shops on the Doorstep of the Games

By NABEELAH JAFFER

オリンピックで好況が続いたり,地元の商店街が儲かったりするのか? ロンドン市長やキャメロン首相の予想は間違っているだろう.


l  革命と現実主義

FT August 3, 2012

Syria’s slow-motion demolition

Ian Bremmer

WP August 3, 2012

Keeping Sudan from becoming another Syria

By John Prendergast and Dave Eggers

WP August 4, 2012

Meshing realism and idealism in Middle East

By Henry A. Kissinger

タハリール広場でムバラクの退陣を民衆が求めたとき,アメリカはそれを支持した.しかし,革命が,その破壊したものによってではなく,築いたものによって評価されるべきであれば,その後の1年は民主化革命のパラドックスを示している.

選挙の結果,民主化や西側の価値に否定的な主張をしてきたイスラム原理主義者が政権を獲得し,それにムバラク体制の継承者や軍隊が敵対する中で,民主化運動の非宗教的な指導者たちは消えてしまった.アメリカはエジプトに対して何を求めるべきなのか?

通常言われることに反して,アメリカはエジプトの国内政治を決定したことはない.サダト大統領は外交方針を転換したが,イスラム原理主義者に暗殺され,その後のムバラク体制は反体制派を厳しく弾圧してきた.アメリカはその時々の政治権力に対応するしかなかった.

ソ連が崩壊して,アメリカは中東地域の国内政治に直接介入するオプションを持った.ニクソンからクリントンまで,大統領たちはその利益よりリスクの方を重視した.ジョージ・W・ブッシュは,実際,ムバラクに複数政党による選挙を要求し,反体制派の弾圧を批判したし,オバマは同様の方針を示した.

アメリカの政策は敵対する方向に分裂している.民主的な価値を守るべきか,国際安全保障を重視するべきか.冷戦期のアメリカが安全保障を重視し過ぎたように,現在のアメリカは民主主義体制における党派的なポピュリズムに混乱している.しかし,リアリズムの戦略と民主化の理想との間で選択することは,決して解決にならない.

われわれは,イデオロギー的な反対派でも,その穏健派の声には耳を傾けるべきだ.われわれは安全保障上の関心に躊躇するべきではない.この二つの間に進むべき細い道を見出して,われわれの声を聞く相手がいるなどという幻想を持つことなく,交渉しなければならない.

シリアの情勢は一層複雑だ.それは単に民主化とその弾圧ではなく,アサドのアラウィート派やその他の少数派と,多数を占めるスンニー派との間の,支配権をめぐる戦いである.アサドの体制を終わらせてもその後の政治体制再建は,エジプトや,他の「アラブの春」よりも,さらに難しいだろう.包括的な政治秩序を築く創造的な指導部は現れず,シリアはエスニックや宗派ごとの構成要素に分裂するかもしれない.

アメリカは市民的な寛容さと個人の権利に基づく社会への長い変化を助けなければならない.しかし,それはすべての紛争でイデオロギー的な立場を押し付けることではない.中東における新しい秩序を目指す人々が,われわれの関心や価値観と一致する限り,アメリカもそれを助けることができる.こうした意味で,リアリズムと理想主義とは和解するのだ.

WP August 6, 2012

Is Saudi Arabia on the edge?

By David Ignatius

FP AUGUST 6, 2012

Capture the Flag

BY SAMI MOUBAYED

NYT August 7, 2012

Egypt’s Sinai Problem

Project Syndicate 09 August 2012

Toward a Syria Consensus

Javier Solana


l  北朝鮮

LAT August 3, 2012

The North Korea guessing game

By Donald Kirk

NYT August 3, 2012

North Korean Leader Calls for Greater Prosperity

By CHOE SANG-HUN

北朝鮮の指導者は「繁栄する国家」を求めた.経済発展で人民の生活を改善する.父の軍事優先を改め,中国の支援を受け入れて,金正恩は経済改革に着手するのか?

Project Syndicate 03 August 2012

Love and Marriage in North Korea

Katharine H. Moon

金正恩は,既に結婚し,子供もいるのではないか,と言われている.この指導者は,父親よりも,家族重視の人物として,賢明な若い妻の助言を聞くのかもしれない.


(後半へ続く)