IPEの果樹園2012

今週のReview

6/4-6/9

 

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ユーロ危機最終章 ・・・KRUGMAN ・・・ギリシャ悲劇 ・・・中国資本主義 ・・・アメリカ資本主義 ・・・協同組合 ・・・トニー・ブレア ・・・オバマ式クーデタ ・・・アイルランドの国民投票 ・・・太陽光発電 ・・・日本脱出か,ヒトラーか? ・・・モンゴル

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  ユーロ危機最終章

BLOOMBERG May 23, 2012

Hey, Germany: You Got a Bailout, Too

BLOOMBERG May 24, 2012

Bubble in Austerity Shows Europe Is Ignoring 1997

By William Pesek

ギリシャが燃えているのに,ヨーロッパの官僚たちは問題をこじらせている.私はタイを思い出す.タイの通貨価値が暴落し,韓国,マレーシアに飛び火し,西側にも影響が及んだ.あれから15年が経つ.

2008年には欧米から東に危機が波及し,今やヨーロッパの危機がアジアの貯蓄に助けを求めるが,15年前の教訓を学ぶ方が良いだろう.すなわち,グローバルな金融システムでは,政治家・官僚たちが会議を開くよりも危機の広がる方がはるかに速い.また,世界には頼りになる成長のエンジンが無い.

今でも,主としてドイツから,緊縮策を強く求める声が上がる.1997年のアジアにはアメリカやIMFが財政赤字削減を求めた.しかし,2008年の金融危機にアメリカがそんなことを守らなかった.当然だ.アジアがやったように銀行を救済したのだ.かつてはアメリカ経済が不況に苦しむアジアを助けることができた.今,中国がその外貨準備を使ってヨーロッパを助ける,と期待されたが,それは無理だとわかった.香港の株価が示すように,中国にも不況の恐れがある.

ギリシャの救済に政治が動いても,ユーロ圏の問題を放置しているようだと,スペインに危機が波及するという不安が生じる.スペインの経済規模は世界で12番目であり,アジア通貨危機において韓国がそれくらいだった.金融危機は,できるだけ早く処理に取り組み,成長に向けた大胆な改革を始めることが重要だ.

韓国はそれに成功した.政府と民間の債務を処理し,経済を改革して競争力を高めた.15年を経て,韓国企業の躍進を観ればそれがわかる.サムソン電子はソニーを圧倒し,現代自動車はトヨタの地位を脅かす.

2027年に,スペインは今の韓国のようになっているだろうか? あるいは,ユーロではなくペセタを使っているのか? アジアの教訓を学ばないヨーロッパに,私は期待できない.

Project Syndicate 25 May 2012

The Threat of German Amnesia

Joschka Fischer

FP MAY 25, 2012

The Name Is Bond. Eurobond

BY HEATHER A. CONLEY AND UTTARA DUKKIPATI

ユーロ圏の17か国の指導者たちが話し合ったのは,ユーロ債について,である.イタリアのモンティ首相やEUのファン・ロンパイ大統領はユーロ債導入を支持したが,ドイツ連銀のワイドマン総裁は否定的だった.

ユーロ債とは,要するに,ユーロ圏の全加盟国が債券発行を集団で行う仕組みである.現在は,各国が政府債を発行している.バブル処理や,財政赤字の累積した諸国は,債券発行が単独では難しくなった.IMFやECB,EU諸国からの救済融資に頼るのにも限界がある.そこで,ユーロ債に期待する.

その問題点は,財政状態が健全な国にとって,債券発行の負担が増すことだ.英紙the Guardianによれば,ドイツ政府のコストを年間620億ドル,GDPの2%,追加するだろう.

さらに,特にドイツが強く反対する理由は,モラル・ハザードである.ギリシャ,アイルランド,ポルトガル,スペイン,が低い金利で借り入れるなら,改革への圧力が失われる.この問題があるため,追加の救済融資を行う際に,ドイツは財政協定の合意を強く求めたのだ.

それゆえ,ユーロ債のさまざまな形態が議論されている.すなわち,1.最大限のユーロ債.既存債務をすべて共同化し,債券発行も共同で行える.どの政府が債務を支払えないときでも,他の政府がそれを支払う.ドイツはこれを強く嫌っている.

2.60/40ユーロ債.モラル・ハザードを避けるため,単独の債券発行と共同の債券発行とを混ぜる提案がある.最も議論されているのが,共同債をGDP比60%まで抑えることで,それを超える部分は高金利という罰を受ける提案だ.

3.債券買戻し基金.GDP比60%を超えた部分は17か国が返済を保証する.返済の条件は欧州委員会が定める.ユーロ債の導入は,債務諸国の財政再建に対する完全な権限を必要とする.それが無理であるから,最小限の共同化が選択肢になるだろう.しかし,その場合,ユーロ債の導入が危機の解決策にはならない.

4.プロジェクト債.インフラ投資のためのEU財源としてユーロ債を発行する.欧州議会はユーロ圏の周辺に構造改革を促す公共投資として29300万ドルを合意した.それがうまくいけば,さらに追加されるだろう.しかし,問題は,プロジェクト債の成功が民間投資を誘発できるかどうかに掛かっていることだ.

ユーロ債が債券発行を集団で行えるとしても,公的債務を減らすことはできないし,構造問題,貿易不均衡,競争力,長期の成長刺激策,も解決できない.それらこそギリシャやスペインに必要なことである.

ユーロ債は危機を小休止させる.しかし,それはいずれ再発し,ユーロ圏の強い経済を損なう.ユーロ債の導入は,ドイツがそのコストを受け入れるかどうかによって決まる.

SPIEGEL ONLINE 05/26/2012

Six-Point Growth Plan

Merkel Prepares to Strike Back Against Hollande

Project Syndicate 26 May 2012

France’s Broken Dream

Martin Feldstein

ユーロ危機とは,第二次世界大戦後のフランス人政治家,Jean Monnet and Robert Schumanによるヨーロッパ合衆国計画が失敗に終わった,ということだ.

財政協定は各国の政府債務を減らす権限がなく,EUが政治統合に向かうのを妨げる最後の試みでしかない.ヨーロッパの国際政治おける地位は低下し,ドイツが救済の条件を決めている.フランスの野望は潰えたのだ.

FT May 27, 2012

How to build a fiscal union to save the eurozone

By Wolfgang Münchau

NYT May 27, 2012

In Euro Zone, a Debate Over Bonds

By JACK EWING and PAUL GEITNER

オランド大統領が,ユーロ債に何を意味するつもりかわからないが,これでドイツの金をギリシャやスペインが自由に使える,と考えるなら間違いだ.

さまざまな提案があるが,ユーロ債の意味は債務の一部を共通のプールにすることだ.それはヨーロッパの機関が発行する債券で管理される.その旧債務はすべての加盟国が責任を負う.既存の債務を含めるのか? どの国でも共同債券を発行できるのか? まだ何も決まっていない.

驚くことに,ユーロ圏諸国全体の債務はその全GDPに対して87%でしかなく,これはアメリカ政府の債務・GDP比が100%を超えている状態よりも,少ないのだ.ユーロ危機は,南欧の数か国が投資家の信用を損なったことに尽きる.

もしユーロ圏諸国が債務を共通のプールにすれば,その債券市場はアメリカのドル債券に匹敵し,スペインやイタリアの信用も大幅に回復するだろう,と期待する者がいるわけだ.逆に,それができなければ南欧で国家破産が起きる

しかし,ユーロ債が機能するには,制度の根本的な改革が必要だ.各国は財政の中身まで監視し,軍事費や年金でも,他国の関与を招くだろう.「ヨーロッパ合衆国」を強く支持する者だけが,こうした改革を歓迎する.我々は国家主権の大分を移譲しなければならない.

他方,ECBもユーロ債発行機関の信用を高めることが必要だが,これに反対している.なぜなら,それはECBの政治的独立性を損なう,と考えるからだ.しかし,アメリカ連銀がしているように,形式的には否定しても,国家破産が起きるようなことは回避させるという暗黙の保証を市場に与えることはできる.それさえも,ECBは拒むかもしれない.

ドイツは,特に,ユーロ債による金利低下がイタリアやギリシャの放漫財政を奨励する,と恐れるだろう.そこで,一定の条件(GDPの60%まで)を満たす場合だけユーロ債で発行できる,というブルー・ボンド案が出てくる.それを超える部分は個々の政府がレッド・ボンドを発行し,高金利を支払う.また,ブルー・ボンドの発行には加盟国すべての承認を求め,ドイツに拒否権を与えることも考えられる.

FT May 29, 2012

The riddle of German self-interest

By Martin Wolf

ユーロ危機はどうしたら終わるのか? と皆が私に質問する.その答えには,三つの問題が関係する.1.ユーロ圏はどうなっていくのか? 2.ドイツはユーロ圏をどうするのか? 3.ユーロ圏はどうなるべきか?

ユーロ圏諸国の多く,特に,ギリシャとアイルランドは,不動産バブルと財政赤字の残した債務に苦しんでいる.民間部門が債務を減らしている中で,政府の財政再建を進めている.銀行の資産は傷つき,民間需要は落ち込み,政府支出は減らされ,輸出も伸びないから,多くの経済は縮小し,失業者は増え続けている.緊縮策には希望が無い.ユーロ圏は長い夜の旅を続けるしかない.

第二に,ドイツはユーロ圏の問題に対して7つの拒否を示した.:no eurozone bonds; no increase in funds available to the European Stability Mechanism (currently €500bn); no common backing for the banking system; no deviation from fiscal austerity, including in Germany itself; no monetary financing of governments; no relaxation of eurozone monetary policy; and no powerful credit boom in Germany

ドイツの政策担当者が考えていることで,ユーロ圏の崩壊をめぐる二つの仮説がありえると思う.第一に,崩壊を阻止しないケース.ドイツは,弱い経済が苦しみ,自分で出ていくのを待っている.その方がユーロ圏は政策思考がまとまり,金融・財政の安定化のために,弱い経済を救済するドイツの負担も小さくなるだろう.第二に,弱い経済が本当に政策を実行して,それが成功するケース.「内的な切下げ」を行い,輸出を伸ばして景気を回復する.構造改革や資産売却で投資を増やす.それが短期には赤字を埋め,長期の成長をもたらす.そこまでできなくても,モラル・ハザードは抑えられる.

しかし,弱い経済の離脱オプションはドイツにとっても損害をもたらす.ドイツの輸出額で中国向けは5%でしかなく,42%がユーロ圏内である.すでに輸出依存の成長は軟化している.しかも,ユーロ圏の逆転を許したことがドイツの経済覇権を長期に損なう政治的コストは甚大だ.

ドイツには離脱を阻止する意志がない.しかし,その方法はある.7つの拒否の中から,いくつかを受け入れることだ.ユーロ債の発行,銀行システムの保証,財政引き締めの緩和,金融緩和,ドイツにおける財政拡大,など.それはユーロ圏崩壊のリスクを減らし,長期的な政治統合に向かわせる.

ヨーロッパの将来は,ドイツが国益をどのように認識しているかによって決まる.

BLOOMBERG May 29, 2012

Euro Bonds With Strings Are Europe’s Best Way Forward

By Clive Crook

WSJ May 29, 2012

A Fiscal Union Won't Fix the Euro Crisis

By AUSTAN GOOLSBEE

guardian.co.uk, Wednesday 30 May 2012

How to lift Europe out of its unemployment crisis

Will Hutton

「ヨーロッパの指導者や政策担当者たちがなすべきことは,単なるユーロ危機の鎮静化ではなく,この機会をつかんで経済政策の枠組み全体を変えること,加盟国が銀行システムの公的バランス・シートを変え,技術革新や投資の政策を変え,重要な雇用の保証を与えつつも弾力的なものにするように,社会契約の型を変えることである.行動するときだ.」

技術変化は早く,企業の寿命が縮まっている.企業は次の十年で合併や再編,消滅を予想している.しかし多くの国で雇用し,その解雇はますます困難だ.それは若者の失業増加に強く影響しているだろう.私の提案は,需要面の支援とともに,雇用や解雇を円滑にする改革を実現する,というものだ.それは,労働者階級の既得権だけを攻撃するのではなく,社会的な打開策をもたらす枠組みの一部でなければならない.

デンマーク人の考え方,"flexicurity"を学ぶことだ.労働者の解雇は容易になるが,政府と企業は生涯にわたる職業教育を充実させ,失業手当を引き上げ,雇用主には解雇を最後の手段にさせる.ECBは,加盟国が行うこのflexicurity事業に必要な資金の債券発行に融資する.

こうしてヨーロッパ経済は岩礁から浮かび上がって離れる.

FT May 31, 2012

German bonds hold the secret to the eurozone crisis

Stephen King


l  PAUL KRUGMAN

NYT May 24, 2012

Egos and Immorality

By PAUL KRUGMAN

金融危機の被害が明らかになってきたころ,オバマ大統領は穏健な金融規制を導入した.常軌を逸する脱税の抜け道を防いだ.そして,ロムニーが行ったような企業の売買が,しばしば労働者を解雇し,彼らの年金を食い物にしたことを指摘し,アメリカ経済の運営を任せるにふさわしくないことを示唆した.

ウォール街は,予想通り,憤懣をぶちまけた.それは宇宙の支配者がどれほど幼稚で,攻撃されることに敏感か,を示すものだ.彼らのおとぎ話を否定しておこう.すなわち,だらしない経営者とのろまな労働者がアメリカ経済の生産性を抑え,外国との競争に負けた,というのだ.そこへ,ロムニー(あるいは,ゴードン・ゲッコー)のような堅固な意志を持った買収王が現れ,たとえ金持ちを嫌うやつらがいたとしても,彼らのおかげでアメリカ経済はよみがえり,誰もが利益を得た,と.

これは全部ウソだ.

生産性の急上昇など起きなかった.生産性が最も急速に上昇したのは,金融が厳しく規制され,プライヴェート・エクイティなどほとんど存在しなかった,戦後の一世代である.また,アメリカの貿易収支はいつも赤字であったわけではない.むしろ1950年代から70年代までは均衡していた.大幅な貿易赤字を出すのは,金融ビジネスが野放しになったレーガン政権からだ.

労働者まで利益が及んだtrickle-down? そんなことは起きなかった.この30年間に生産性は大きく上昇したが,その小さな部分だけが労働者に与えられた.そして,金融ビジネスの仲介や売買を扱う者たちが,その結果何が起きるか疑わしいのに,莫大な富を得たのだ.彼らはそれを問われることを嫌う.しかも自分達には脱税や特権があることを擁護する.

それは,愚かであり,彼らのエゴである.我々の現状を見るとき,その行動は道徳を欠いている.

無責任な銀行家たちが引き起こした不況のせいで景気悪化が起き,5年目になる.銀行家たちは救済されたが,今も大恐慌以来の長期失業者の水準であり,経済の他の分野は苦しんでいる.この国民的な悪夢を見ることもなく,経済エリートの多くは大統領のこと菜が彼らの気分を損なったと非難する.

恥を知れ.

FT May 25, 2012

Lunch with the FT: Paul Krugman

By Martin Wolf

ユーロ圏はどうすれば救われるか? ギリシャは無理だろうが,まだユーロ圏は救える.絞首刑の前に考えを改める罪人と同じように,ドイツが考えを変えるかもしれない.

なぜリベラルの代表になったか? 別に,意図してなったわけではない.

日本は何を正すべきだったか? 振り返れば,日本はバブル破裂後の経済をかなりうまく管理したと思う.「失われた10年」にも一人当たり所得が低下することはなかったのだから.時代をさかのぼることができるなら,われわれは天皇に謝罪しなければならない.そして,今のアメリカが日本になってほしい,と願うわけだ.

アメリカ連銀は何を間違ったか?  Ben Bernankeを責めるのは,数字の上でデフレを避けたというだけで,わずかなデフレであれインフレであれ,経済が沈滞している状態を軽視し,放置しているからだ.実質マイナス低金利など,思い切った手を打った.問題は,アメリカがますます日本のようになっていることだ.財政が動かないとしたら,連銀はもっと動くべきだ.クルーグマンなら,さまざまな資産購入を通じて2兆ドルを追加供給する.特に,期待を重視することだ.アクセルを踏み続けるべきだ.連銀にはその覚悟が無い,と人々は心配しているから.

ユーロ圏は失敗だったのか? 誰の責任か? 最初から,財政同盟を必要としていた.次善の策として,もっと高いインフレ率を求めている.そもそも非対称的なショックを嫌って作ったユーロ圏が,やはり非対称的なショックのせいで崩壊しつつある.

アメリカ政治と金,マクロ経済学,構造的失業論批判,・・・アメリカでは,だれでも,何でもできるのだ.ノーベル経済学賞を受賞した男が,もっとも論争好きの新聞コラムニストになってもよい.

NYT May 27, 2012

Big Fiscal Phonies

By PAUL KRUGMAN


l  ギリシャ悲劇

NYT May 24, 2012

The Crisis This Time

FT May 25, 2012

Europe raises spectre of an ungovernable world

By Mark Mazower

左派のSyrizaは,前進する自由を求めた.しかし,その中身はわからない.彼らはネオリベラリズムを敵だという.40年前の軍事独裁政権,あるいは,第二次世界大戦中のナチスに対する抵抗運動のように.彼らがユーロ危機について使う言葉は,われわれに深い歴史的な問題を思い出させる.政治や民主主義,国際協力に関する問題だ.

この世界を統治可能な場所にするというのは,2世紀前に,ヨーロッパで生まれた思想だ.Jeremy Bentham“international”という言葉を作って,ナポレオンの敗北から数十年に広まった.当時,ナショナリズムは強まったが,「国際協力」もそれと並んで支持された.活気ある各国民主主義は,多様な人民の間の協力を必要とした.

EUは,国際協力が各国の福祉や民主主義を促すという古い思想の継承であった.アメリカがヨーロッパ統合を支持したのは,成長をもたらし,共産主義を買うたし焦るだけでなく,民主主義を再生するからであった.実際,共同市場の初期の時代には,生産性が高まり,成長が西欧に広まっただけでなく,不平等が大幅に解消され,社会サービスや福祉への支出が増えたのだ.

しかし,この25年は,多くの利益が失われ,疑いが増した.主権と国際協力が相互に補完的であるという考えも支持されなくなった.その逆転をもたらしたのは,ボルカ―やカムドシュのような国際金融官僚たちだった.このネットワークに参加するには,主権を放棄するように求められた.その結果にもかかわらず,ヨーロッパは熱心に経済の金融化を支持したのだ.

ユーロ危機で問われているのは,ギリシャの離脱や,EU事態の成否を超えた問題である.それは,この世界が統治できるという思想そのものだ.EUはかつて,この思想の最も大胆な実践者であったが,21世紀になって,支配する者とされる者,テクノクラートと有権者とのギャップを危険なまでに拡大した.金融市場に支払う苦痛を考えれば,もはや国際協力が良いことであると思えなくなっている.

新しい政治言語が必要だ.

NYT May 26, 2012

A Power Vacuum Is Killing the Euro Zone

By TYLER COWEN

FT May 27, 2012

Only a new political order can rescue Greece

By PavlosEleftheriadis

危機が解決できないのはギリシャの政治が原因だ.そこでは憎悪が強められ,多数派支配が強まり,それゆえ公務員の雇用や公共部門の支出が政治的な支配によって決まった.行政は機能せず,すべてにおいて政治が決定した.新聞は衰退し,政治は利益団体によって私物化された.

解決策は,新しい,信頼できる政党が誕生することだ.そして民主的な制度や新聞を回復し,腐敗を一掃し,生産的で競争力のある経済を取り戻すのだ.

SPIEGEL ONLINE 05/28/2012

Greek Leftist Leader Alexis Tsipras

WP May 29, 2012

Yugoslavia’s lessons for Europe’s disunion

By Charles Lane

かつて,そこには連邦があった.アルプスからアドリア海まで,西野キリスト教圏とビザンチウムとの間にある古来の分割線をまたいで.

連邦は,歴史的に憎悪を抱く人々の間の戦争を永久になくすものであった.共通通貨と,労働と資本の自由な移動が,善意と相互依存を築いた.連邦は,人情味の無いアメリカ資本主義と,非効率な中央計画との間で,「第三の道」を提示した.そして,アメリカとの同盟でも中国との同盟でも,ロシアとの同盟でもない,非同盟のパワーを結集するセンターになった.

しかし,ユーゴスラビアは1991年に崩壊した.10年以上の紛争激化を経て,第二次世界大戦後は葬ったはずの流血のエスニック紛争がよみがえったのだ.

ユーゴスラビアの崩壊と現在のEUと比較するのは大げさかもしれない.しかし,過小評価してはいけない.ヨーロッパは連邦として行き詰った.政治的にも,経済的にも,支払い不能である.

VOX 29 May 2012

The fiscal economics of a Greek exit

Daniel Gros

guardian.co.uk, Wednesday 30 May 2012

Europeans' economic future has been hijacked by dangerous ideologues

Mark Weisbrot in Madrid

FT May 30, 2012

Bankia fiasco carries the same old lessons

By John Gapper

Project Syndicate 30 May 2012

An Argentine Guide to the Greek Crisis

Andres Velasco

VOX 30 May 2012

Greek exit from the Eurozone: Neither inevitable nor desirable

Avinash Persaud

ギリシャの離脱やデフォルトは誰にとっても大きな損失でしかない.大幅な債務削減を行ってギリシャを返済可能にし,同時に,将来の債券発行がそれによって制限され,市場がギリシャや赤字諸国に高金利を要求することは,ユーロ圏にとって望ましい.


l  ポーランド

SPIEGEL ONLINE 05/25/2012

The Miracle Next Door

Poland Emerges as a Central European Powerhouse

By Erich Follath and Jan Puhl


l  中国資本主義

LAT May 25, 2012

China on the capitalist road

By Michael Kinsley

NYT May 26, 2012

Can China Escape the Low-Wage Trap?

By JAMES FALLOWS

中国は,世界的な企業の下請として,少ない利益と低賃金の罠から抜け出せるか? それは「中国のApple社」が誕生するか? という問題である.そのためには,法の支配や知的所有権などが必要であることを認めている.しかし,それが意味するのは「自由な社会」であり,共産党の政治的支配と対立するだろう.

豊かな社会を模倣する中国の能力は素晴らしい.しかし,それには限界がある.次は,自由な社会を模倣できるだろうか?

WP May 28, 2012

Anxiety in China about the road ahead

By Jackson Diehl

Project Syndicate 28 May 2012

Greece-Proofing China

Yu Yongding

2012-05-29 ( China Daily)

Violence in Syria must end

YaleGlobal, 29 May 2012

China’s New Flexibility on Foreign Intervention

Johan Lagerkvist

Global Times | May 30, 2012

Yuan takes another step on path to globalization

Global Times | May 30, 2012

China, Russia offset West’s actions in Syria

NYT May 30, 2012

In China, a New Round of Stimulus

By MICHAEL WINES

Global Times | May 30, 2012

South China Sea needs Asian-led forum to tackle frictions

By Xiang Lanxin             

WP May 31, 2012

China’s stimulus policy means trouble down the road

BLOOMBERG May 31, 2012

Billionaire City Belies Capitalism’s Victories

By William Pesek

香港は,中国資本主義の「炭鉱のカナリア」かもしれない.中国のWTO加盟から10年間は歴史的なブームであった.その間に香港の億万長者は増えた.それも中国経済に減速の懸念が生じるまでだった.かつてレッセフェール資本主義のショーケースであったが,アングロサクソン型金融資本主義のモデルとなり,その再評価にさらされている.

しかし,もし小さな香港でさえ経済モデルの転換に苦しむとしたら,中国資本主義の将来には深刻な不安を生じることになる.

Global Times | May 31, 2012

US force can't preserve peace in Asia-Pacific


(後半へ続く)