IPEの果樹園2012

今週のReview

4/30-5/5

 

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中国国内の政治スキャンダル ・・・人民元問題の解決 ・・・米中関係と世界秩序 ・・・南シナ海 ・・・フランス大統領選挙 ・・・ロムニーとオバマ ・・・ユーロ危機の終結へ ・・・日銀の変身 ・・・独裁者の追放 ・・・核兵器削減と不安定化 ・・・ミサイル発射とアジア軍拡競争 ・・・アイデアの奴隷

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  中国国内の政治スキャンダル

FP APRIL 19, 2012

April Is the Cruelest Month … for China

BY SOPHIE RICHARDSON

指導部の後退にも関わらず,中国は世界中で事件に関わり,政治的・経済的な紛争に巻き込まれている.以前の交代より,もっと困難であろう.特に,インフラ建設に関わる海外中国人労働者が襲撃される事件に,中国指導部への国内の批判が起きるかもしれない.中国政府は,もっと海外の政府や国際機関と良好な関係を保ち,彼らの協力を得る必要がある.

WP April 21, 2012

Bo Xilai and China’s corrupt secrets

By David Ignatius

Bo Xilaiスキャンダルは,中国が今にもアメリカをしのぐと信じる人々に再考を促している.第一に,この事件は中国に蔓延する政治腐敗のごく一部でしかないこと.第二に,アメリカ政府が過去2か月間,沈黙を守ったから,問題はこの程度に抑えられていること.

中国の台頭が示す闇の部分をBoスキャンダルは示した.共産党の幹部すべてが,親族による法律事務所や民間投資コンサルタントなど,同様の仕方で,利殖行為に励んでいるだろう.その仕組みを変えない限り,中国の政治システムが危機に瀕する.

地方レベルの幹部でさえ,マカオで一晩に100万ドルを浪費する.

警察署長のWang Lijunがアメリカ領事館に逃げ込んだとき,明らかに,彼はその事件の証拠を持って行ったはずだ.その後,アメリカ国務省は彼を北京に渡した.アメリカはそれを公開することもできたはずだが,中国の内政問題として処理した.それは習近平のワシントン訪問にも影響しなかった.

中国が,より開かれた,新指導部に移行するのに,米中の友好関係が今こそ重要である.

NYT April 21, 2012

A Body, a Scandal and China

By NICHOLAS D. KRISTOF

FT April 23, 2012

Real meaning of the rot at the top of China

By Daniel Bell

1989年,民主化要求によって崩壊しなかった共産党の政治システムは,現在,スキャンダルによっても崩壊しないだろう.

政治体制の正統性は,単に,民主主義体制に近づくことが基準ではなく,中国の民衆が支持するかどうかである.実際,中国国民の支持は今なお高い.その源泉は,1.民衆に福祉の改善,成長をもたらした,という儒教や社会主義の哲学.2.政治的な能力主義.上に立つ者は高い能力を示す必要がある.3.イデオロギー的な正統性.それはマルクス主義ではなく,今やナショナリズムである.外国勢力によって侵略された屈辱の歴史を否定し,尊厳を取り戻した共産党への支持は高い.

guardian.co.uk, Wednesday 25 April 2012

This Chinese blockbuster thriller might end in reform

Timothy Garton Ash in Beijing

中国で起きる政治変化は,すべて壁の中で起きており,犯罪小説のようにしか漏れてこない.しかし,中国で起きることが,21世紀の世界を形成する最大の要因であることは間違いない.

改革が必要だ,という声は,リベラルな学者や,自由市場派のエコノミスト,シンクタンク,作家,学生,だけでなく,共産党の政治学校,国営放送CCTVの中にも示されている.Boは,それを毛沢東主義のスタイルで示しただけだ.

FT April 26, 2012

The great middle class power grab

By Philip Stephens


l  人民元問題の解決

BLOOMBERG Apr 19, 2012

Don’t Blame China’s Currency for U.S. Trade Deficit

By Yukon Huang

VOX 21 April 2012

China: No longer the villain

Marco Annunziata

Project Syndicate 26 April 2012

America's Renminbi Fixation

Stephen S. Roach

米中戦略的経済対話におけるアメリカの目標を再考するべきだ.

アメリカはこれまで,2005年のSenators Charles Schumer and Lindsey Grahamによる人民元の過小評価に対する超党派決議などが示すように,米中貿易不均衡と人民元に目標をしぼってきた.この決議を求める議論は非常に単純だ.アメリカの商品貿易赤字は2005年以来の平均でGDP4.4%になるが,その35%が中国に対するもので,その原因は人民元が安すぎるからだ,と考えたからである.アメリカ国民にも,この意見は浸透している.

しかし,これは間違いだ.

第一に,アメリカの貿易は中国だけでなく,多くの国と多角的に行われている.むしろ,アメリカの主要な脅威は内にある.中国を非難するより,アメリカ政府は財政赤字を減らすべきだ.また,資産バブルに頼るより,家計の貯蓄を促すべきだ.

第二に,人民元の対ドル為替レートは2005年半ば以来31.4%も増価している.それはSchumer-Graham 法案が求めた27.5%を超えているのだ.日本がプラザ合意後に円高と厳しい不況に陥ったことを考慮して,中国は漸進的な切上げを選択した.さらに最近は人民元の国際化を目指している.

第三に,中国の対外不均衡は大幅に改善された.中国の経常黒字がGDPに対する比率は,2007年の10.1%から2012年の2.3%に減少した.

最後に,中国は世界の工場から組み立てラインへと進化した.中国からアメリカに輸出する製品の価値の20%から30%が中国で付加された価値である.概ね60%は外国企業の付加した価値を移動しているにすぎない.中国はグローバルな企業の下請なのだ.

アメリカにとって,中国は脅威ではなく機会である.今,アメリカの総需要を支える最大の部分,消費が冷え込んでいる.家計は債務を減らすことを急いでいる.それが数年は続くだろう.つまり,アメリカの景気回復には輸出が重要なのだ.

中国はアメリカの第三に大きな輸出市場になっている.しかも,最も急速に拡大しつつある.それゆえ,米中貿易の最大テーマは,人民元の為替レートではなく,中国市場への参入問題である.中国をWTOの政府契約に関する公開ルールに従わせ,アメリカも冷戦期の貿易規制を緩和するべきだ.戦略的経済対話の目標は,市場アクセスでなければならない.


l  米中関係と世界秩序

FT April 20, 2012

The west must work to understand a new world order

Kishore Mahbubani

世界は容赦なく,縮小し,濃密になり,より緊密に結びつき,複雑になっている.世界が直面する最大の危険は,西側の集団的思考類型である.それは国際情勢にとって欠かせないニュアンスを理解していない.

たとえば,イラン問題.西側の説明は明確だ.イランが核開発に成功するなら,イスラエル政府には空爆した選択の余地はない.しかし,イスラエル政府に時間切れを感じさせる本当の理由は,オバマの再選である.メドヴェージェフに明かしたように,オバマは再選されたら大胆な外交を展開できる.イスラエルにもパレスチナ国家との二国案を要求するだろう.(それはイスラエルの長期的な利益かもしれないが)現政権には悪夢である.

それでも西側は,そうした説明を繰り返し,しかも理由もなく,イランが受け入れたブラジルとトルコによる和平案を拒んだ.また,イランの最高指導者ハメネイが,核兵器を完全に否定したにもかかわらず,空爆の選択肢を実行するかもしれない.そのような空爆は,1953年にモサデク政権を倒すクーデタを英米が支持したのと同様,半世紀の遺恨となる.

たとえば,北朝鮮.その体制が愚かで,国民を飢えさせているのはもちろんだ.しかし,ミサイルの開発や,金日成生誕10周年の発射が,それほど不合理だろうか? そして,驚くべきことに,北朝鮮政府がミサイルが失敗であったと認めた.この無謬性を誇った体制が「正常な」国家に代わる大きな飛躍をしたにもかかわらず,誰もこのニュアンスを理解しないのか? アメリカ政府はさらに制裁を追加したが,孤立した国家を一層孤立させて何になるか?

たとえば,ミャンマー.西側の説明は明確だ.制裁が,ついにミャンマー政府を動かした.それは間違っている.制裁ではなく,ASEANによる包摂が成功したのだ.ASEANはミャンマーの加盟を認め,様々な会議にミャンマーの代表たちを招いた.それが彼らに,どれほど大きく遅れているか,気づかせ,「正常な」国家になる必要を認めたのだ.制裁によって叱りつけるのではなく,ASEAN加盟諸国はもっとニュアンスに富んだ,建設的な包摂を望んだ.

こうした現実を無視して,西側のメディアはクリントンやキャメロンが世界の外交を動かしているように報道する.西側の説明・思考類型は,出現しつつある複雑な現実を理解していないのだ.

YaleGlobal, 23 April 2012

To speed political reforms in Burma, the West can’t end sanctions soon enough

Philip Bowring

Project Syndicate 23 April 2012

Reinventing the Sino-American Relationship

Michael Spence

「中国でもアメリカでも,重大な構造変化が始まっている.」多くの人はこの変化が両国の競争や衝突に至ることを恐れている.

「しかし,両国は,出現してくる構造的現実を反映した新しい関係に入ることで,ともに利益を得られるし,そうすべきなのだ.すなわち,中国の成長とアメリカの対する規模の変化,急速な技術革新と生産の自動化,職場の消滅,発展途上国の所得上昇と,グローバルなサプライ・チェーン.」

その関係の核になる部分は単純だ.アメリカは技術革新を指導し,中国は市場規模を拡大する.両国とも,この共棲関係から利益を受ける.それを理解すれば,太平洋の両側で,協力と投資,そして改革を進めること以外に選択肢はない.

Project Syndicate 23 April 2012

A World of Convergence

Kemal Derviş

Project Syndicate 25 April 2012

To the Victors Go the Foils

Richard N. Haass

この数か月で,世界中に選挙を行う国がある.ロシア,中国,フランス,アメリカ,エジプト,メキシコ,韓国,など.民主主義から権威主義まで,その政治体制はいろいろであるが,共通した三つのことが言える.

1.どの国も完全な支配者ではない.完全な自立性や独立は実現できない.すべての国が,その工業製品や農産物,あるいは,資源,サーボスを外国の市場に売っている.経済的相互依存と脆弱性からは逃れられない.同様に,どの国もテロや武器,伝染病,気候変動から逃れられない.それゆえ,協力,妥協,多角的な交渉が欠かせない.

2.すべての国が技術変化の普遍的な挑戦を受けている.しかし,ジョージ・オーウェルが『1984年』で予想したのと逆に,技術は情報や権力を分散させた.人々はどこからでも多くの情報を得られるようになった.政府はそれを管理することも,独占することも難しい.同時に,民主主義諸国でも,読む物,観るもの,聴くこと,話す相手を自由に選べる中で,社会的合意を形成し,統治することが非常に難しくなった.

3.市民たちを満足させることは非常に難しい.しかし,特に中国やインドで,成長率が低下している.それゆえ,指導者が権力を維持することは難しい.さまざまな経済的,社会的挑戦に応え,しかも,ナショナリズム,ポピュリズム,など,極端なイデオロギーが広まるのを抑えなければならない.

国境を超える脅威に対抗する合意を形成するという課題に,どのように応えるのか? 国内の統治が困難な中で,指導者たちは海外をも統治する厳しい時代に向かう.

NYT April 25, 2012

China Slows Down, and Grows Up

By RUCHIR SHARMA

まだアメリカのGDPの半分にもならないが,中国の急速な成長は,その力と影響力を過大評価させている.しかし,今後,中国の成長率は半減し,中国は世界経済やアメリカにとって適度な競争国になるだろう.

一人当たり所得が5000ドルから15000ドルの間で,「中所得国のジレンマ」になる,と言われている.さらに,それを抜け出すことに成功したケースでも,成長率は以前ほど高くならない.1970年代の日本,1980年代の台湾,1990年代の韓国は,単に経済規模が大きくなって成長が難しいというだけでも,成長率が9%程度から5%程度に低下した.

中国の成長は1970年代の日本と似ているから,同じような経路をたどって,成長率は5%程度に減速するだろう.それは,グローバルなパワー・シフト,原油価格,アメリカの再工業化,資本移動に影響する.

この15年間の10%を超える成長は,破壊的な技術を利用した企業の成長によって実現された.競争相手を破壊し,部品供給を奪い,資本を吸い上げ,雇用を奪い,中国と競争する国が耐えられないような仕方で拡大した.それゆえ,中国が6%7%で成長することは,世界が競争する相手として,より普通の,あまり心配しなくてよい国に変えるだろう.

(Agencies) 2012-04-26

China's dream of electric car leadership elusive


SPIEGEL ONLINE 04/20/2012

Border-Free Travel

Germany and France Seek Reintroduction of Controls


NYT APRIL 20, 2012

Is Prostitution Safer When It’s Legal?

FP MAY/JUNE 2012

The Bedroom State

BY JOSHUA E. KEATING


l  南シナ海

(China Daily) 2012-04-20

Manila stirring up trouble

FP Wednesday, April 25, 2012

It may only smell like oil and fish on the South China Sea

Posted By Steve LeVine

Global Times | April 25, 2012

No need to fear US in South China Sea

フィリピンがアメリカと今も開発しているHuangyan Islandの近海では,中国海軍とフィリピン海軍が対峙しているが,そんな中で,アメリカがベトナムと5日間の海軍による交流を開始した.実弾演習は予定されていないが,その意味は大きい.

アメリカは,中国とフィリピンやベトナムの紛争に関与する何の法的な根拠もない.アメリカを無視するべきだ.中国は交渉を優先するが,軍事的な衝突にも準備できている.戦闘が始まれば,彼らの海軍力を一掃するために,中程度の戦争にまでエスカレートすることになる.

中国政府はアメリカが介入することにも準備しておくべきだ.アメリカ政府は南シナ海で中国軍と深刻な戦闘に入る戦略的な意志がない.アメリカとの衝突を懸念して,フィリピンやベトナムへの圧力を緩めてはならない.

中国は近海における軍事的関与に十分な軍事力を得た.過去の方針は見直すべきだ.中国が膝まで海に入るなら,他国は首まで沈むだろう.

Global Times | April 25, 2012

Manila needs to learn rules in South China Sea

By Ding Gang

中国を批判するときに「ルール」という言葉が多用されている.フィリピン外相はthe Declaration on the Conduct of Parties in the South China Sea (DOC)をルールだと考えた.しかし,DOCはまだ「戦術的なルール」であり,紛争には自制を求めている.

中国はまだ国際舞台に出たばかりだ.これからルールに従い,舞台の中央に上がる.

Global Times | April 26, 2012

Rise of Asia leaves US-Japan alliance unshaken

By Wang Wenwen


FP APRIL 20, 2012

This Week at War: The General's Dystopia

BY ROBERT HADDICK


l  フランス大統領選挙

NYT April 20, 2012

Voting for Yesterday in France

By OLIVIER GUEZ

選挙の中で話題になったのは国内問題ばかり.フランスの経済危機も,シリアの内線,サヘルのアルカイダ,イランの核開発も,何も存在しないかのような選挙だ.

すべての候補者が示した共通の政策は,グローバリゼーションに反対することだ.内向きのフランスを示す大統領選挙だった.フランスは小さな島になった.

 

The Observer, Sunday 22 April 2012

France rediscovers the allure of shaping its own singular destiny

Lucy Wadham

Project Syndicate 23 April 2012

France and Frankfurt

Harold James

ユーロ危機の震源は移動し,ついにフランスに至り,独仏同盟を犠牲にするかもしれない.フランス経済もバブルによって銀行システムや財政の脆弱さを増しており,今回の大統領選挙が危機のドミノ倒しをフランスまで広げそうだ.

サルコジが唱える「強いフランス」というスローガンは,まるで,「強いフラン」に聞こえる.もはやフランという通貨はなく,それはフランクフルトであり,ECBの支持を得ることに等しいのだ.しかし,サルコジによれば,左派の主張は通貨危機をもたらす.それはフランスからの資本逃避,債券市場の崩壊を意味する.自分が再選することで,フランスの富は守られるのだ.

左派は自分たちを金融的な陰謀の犠牲者であると見ている.1924年,社会主義的な,反右派連合政権が資本逃避と腐乱への取り付けで崩壊した.左派それをフランス中央銀行の陰謀と解釈した.1936年,共産主義者と協力した社会主義者によるレオン・ブルム人民戦線は,賃金引き上げや労働時間短縮などを実行したが,再びフラン危機により,2年以内に中道右派の政府に替わられた.

最近の例は,1981年のフランソワ・ミッテラン大統領当選によって始まった.銀行の国有化,賃金引き上げなどを行ったが,繰り返しフランへの取り付けが起きた.政府は厳しい資本規制を行った.ミッテランは選択を迫られた.フランスは一国社会主義の道を進むのか? あるいは,ヨーロッパ統合へと戻るべきか? 財務大臣のジャック・ドロールがUターンを実行し,「強いフラン」をもたらした.

現在は1981年と非常に似ている.1981年には,ヨーロッパの通貨的な安定を守るEMSがあったが,ミッテランはそれを,自分に敵対する右派政治家ジスカール・デスタンの個人的なプロジェクトだと考えていた.安定した通貨とは,労働者階級を抑える保守派のプロジェクト,不況の中で失業を強いるものだった.

2012年,ユーロ防衛はサルコジとメルケルの個人的な協力,「メルコジ」とみなされた.彼らは左派の嫌う予算の安定性などを求めた.左右の急進派がドイツ非難を選挙戦で主要な論点にした.そして,左派主流のホランドFrançois Hollandeもそうだった.英米の資金供給に比べて弾力性に欠けるECBの姿勢を繰り返し批判した.オランダ政府は,ポピュリストのGeert Wildersによる,「ドイツが押し付けた緊縮策」に対する攻撃で,崩壊した.

欧州委員会は,ミッテランの下で左派がEMSを拒否すると心配した.ドイツの金融指導はあまりにも成功し過ぎて,政治的な脆弱性になっている,と欧州委員は考えたのだ.フランスのUターンを支持することこそ,ユーロ誕生の起源であった.ドイツの押し付ける緊縮策を,ヨーロッパ的なメカニズムで緩和し,政治的に受け入れ可能なものにするべきだった.ミッテランの実験でドロールが用いた,GDP3%という予算赤字の基準は,今に引き継がれている.

しかし,金融市場は1981年よりもはるかに攻撃的である.2年の社会主義的実験が許されることはない.ヨーロッパ的な制度を急激に再編する強い圧力がかかって,その結果に信用が無ければ,Uターンどころか,突然死が起きる.

WSJ April 24, 2012

France and the Bond Market

By NICHOLAS SPIRO AND STEPHEN POPE

フランス経済が持つ周辺的な性格は良く知られている.問題はそれを投資家たちが正しく反映させているかどうかだ.

François Hollande1981年を繰り返す気はないだろう.その政策はサルコジと変わらない.改革の意志は弱いだろう.しかし,サルコジが再選されても,その指導力は弱い.ファンド・マネージャーたちが改革を疑うたびに,ドイツの助けに頼る.

FT April 24, 2012

Sarkozy’s failure reflects France’s identity crisis

By Zaki Laïdi


The Observer, Sunday 22 April 2012

Argentina's oil grab is timely retort to rampaging capitalism

Will Hutton

チリのCristina Fernández大統領が行った国有化は,実業家や資産家に対するグローバルな攻撃の一つである.それは長期において必要とされてきたバランスを是正する行動の一つだ.


l  ロムニーとオバマ

LAT April 22, 2012

Obama needs to find a theme soon

By Edward Luce

FT April 26, 2012

Romney must release a credible budget

By Lawrence Summers

WP April 26, 2012

Romney’s principled, radical view for America

By E.J. Dionne Jr.

もしロムニーが立場を簡単に変えるいい加減な政治家でないなら,その主張は19世紀後半のユートピア的資本主義への回帰である.政府は市場の力にすべてを委ね,最高裁が社会改革を目指す立法をすべて廃止する.ニュー・ディールも,偉大な社会も,2008年の不況を大恐慌にしないための措置も,すべては間違いだった.

FP APRIL 26, 2012

Obama's Jimmy Carter Moment

BY RICHARD WILLIAMSON

北朝鮮のミサイル発射実験は,いつか,核弾頭搭載の大陸間弾道弾でアメリカを狙う意志を示した.アメリカは「ジミー・カーターの瞬間」に至った.危険に満ちた世界で,指導者を失った国になる.食糧援助の合意が簡単に破棄されたのだ.他方,シリアでも独裁者アサドの虐殺は続いている.

オバマ・ドクトリンとは,あるときは大言壮語,あるときは支離滅裂,また,あるときは機能マヒ.


(後半へ続く)