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l  ニクソン訪中40周年

WP February 11, 2012

Nixon’s great decision on China

By David Ignatius

今月はニクソン訪中の40周年である.それは指導者が,過去の立場を転換し,ショッキングではあるが有益な決断をする瞬間を示している.ニクソンは慎重にその転換を準備した.

ニクソンはチャンスをつかみ,中国の開放をもたらした.

WP February 11, 2012

The U.S. and China need to show a little mutual restraint

By Kenneth Lieberthal and J. Stapleton Roy

FT February 12, 2012

China and US create less pacific ocean

By Geoff Dyer in Washington

西太平洋とアジアにおける軍拡競争は加速している.アメリカは中国の軍備拡大に刺激され,中国はアメリカのアジア展開に反発する.アメリカが財政緊縮下で提示したアジアの空海戦略についての評価は分かれている.その目的は,むしろ外交によって支配する戦略に中国を転換させ,アジアの相互利益や多角的な関係の中に取り込むことかもしれない.

FT February 13, 2012

Obama and Xi should talk tech, not trade

By Yukon Huang

WSJ FEBRUARY 13, 2012

China and America: A Profitable Partnership

By TUNG CHEE HWA

(China Daily) 2012-02-13

For better Sino-US ties

Project Syndicate 2012-02-13

Nixon Then, China Now

Minxin Pei

ニクソンが中国を訪れたとき,その当面の変化を予想しただろうが,長期的な変化は予想できなかったはずだ.1972年にもしニクソンが行動しなかったら,中国はその孤立化政策を続けていたかもしれない.

40年後,中国は世界最大(量)の輸出国であり,その重要性は世界中で感じることができる.すなわち,アフリカの銅山にも中国は関わり,アメリカのアップル製品にも中国がかかわる.しかし今は,他方で,中国が世界経済と統合することで発揮されたこの成長を,このまま持続できるのか,と問うべきであろう.

中国にはグローバリゼーションに対応する制度やルールがない.国際援助を扱う独立の機関はなく,移民政策もない.グローバル・イシューを扱う専門の政策研究機関もない.中国には,Huawei, Lenovo, Haierを例外として,グローバル企業がない.またそれらも,下位分野に偏り,利益の多い研究開発,デザイン,マーケティング,サービス,流通の分野は外部に委ねていることが多い.

中国には,特に社会科学や人文学の優れた教育機関がない.それらは極度に政治的なカリキュラムに従っている.高度に才能を要する人材は育てられない.こうした欠陥は,すべて,共産党の一方支配体制が続くこと,しかも彼らがリベラルな価値やグローバリゼーションに反発することを意味している.

40年を経ても,ニクソンが感じた中国の政治体制が示す欠陥は,まだ改革されていない.

(chinadaily.com.cn) 2012-02-14

Increasing interdependence demands closer EU-China cooperation

By Herman Van Rompuy & José Manuel Barroso

LAT February 15, 2012

A new China, a new test for the U.S.

By Nina Hachigian

Project Syndicate 2012-02-15

The Long March from Shanghai

Christopher R. Hill

ニクソン訪中は,中国の成長をもたらすだけでなく,国際的な地位を高めた.その中国は,シリアに対する安保理決議に拒否権を行使した.これは,真空において行われた選択ではない.アメリカ軍が中国を意識してアジアで増強されることも関係しているだろう.中国が不信感を持つ限り,北朝鮮の問題も解決できない.

そして,中国を封じ込めることは考えられない.中国もアメリカも,相手の失敗を望む余裕はない.


l  米中対立と衰退論

WSJ FEBRUARY 11, 2012

Why the World Needs America

By ROBERT KAGAN

guardian.co.uk, Tuesday 14 February 2012

'Losing' the world: American decline in perspective, part 1

Noam Chomsky for TomDispatch, part of the Guardian Comment Network

guardian.co.uk, Wednesday 15 February 2012

The imperial way: American decline in perspective, part 2

Noam Chomsky for TomDispatch, part of the Guardian Comment Network

ケネディー大統領が支持したピッグス湾事件の50周年である.アメリカ外交の失敗を振り返ろう.ベトナム戦争とイラク戦争のつながりは何か? 現在のアメリカ外交と「アメリカ衰退論」は何が間違っているか?

FT February 14, 2012

How to crank up America’s economic dynamo

By GlennHubbard

FP FEBRUARY 14, 2012

The Rise or Fall of the American Empire

BY DANIEL W. DREZNER, GIDEON RACHMAN, ROBERT KAGAN

GIDEON RACHMAN(ゼロ・サム)とROBERT KAGAN(アメリカが作った世界秩序)の二人のアメリカ「衰退」論争です.

WSJ FEBRUARY 16, 2012

How I'll Respond to China's Rising Power

By MITT ROMNEY

VOX 16 February 2012

The renminbi’s prospects as a global reserve currency

Eswar Prasad

人民元が国際通貨になるしかない? そんな議論が支配的であるが,それは必ずしもドルを追い出すわけではない.

また,たとえ完全に資本取引を自由化せず,為替レートを変動レートに転換しなくても,中国は香港を利用して,また,政府・中央銀行間のスワップを活用して,人民元による取引を増やしていくだろう.

中国の高成長と経済規模は,その通貨を国際取引で使用する企業や国を増やす.もし中国が他のマクロ政策を調整し,金融市場を十分に発達させることができたら,中国式の人民元による国際取引が拡大する.そのときには,アメリカ・ドルも一定の地位を保つ.

WP Friday, February 17, 2012

Has the U.S. lost its will to compete in the global economy?

By Robert J. Samuelson

アメリカ衰退論により,アメリカの企業幹部や政府,労働者は,かつてのように競争力を回復するきっかけをつかむか?


l  ユーロ危機の先に

FT February 12, 2012

Why Greece and Portugal ought to go bankrupt

By Wolfgang Münchau

FT February 12, 2012

Europe can learn from Japan’s austerity endgame

By Peter Tasker

善意によって最悪の結果をもたらすことがある.財政再建を目指すヨーロッパの政治家たちは,金融機の後に緊縮策を取ればどうなるか,日本の経験から学ぶべきだ.

日本がバブル破裂後の債務削減に伴う苦しみを,広く分散させることに成功したこと,ケインズ主義的な財政赤字が不況の回避に必要であったことは認めるべきだ.日本が失敗したのは,デフレによってタックス・ベースが縮小し続けたことだ.その結果,消費税を上げても税収は減り,財政赤字はGDP2倍になった.

自民党も,政権を奪った民主党も,財政再建のために妥協するしかなくなって,国民の不満は既存政党に対するポピュリスト的な不満の代弁者,大阪の橋下徹に集まった.しかし,橋下はル・ペンと違って単なるポピュリストではない.日本の政治には地方分権もリフレ政策も必要である.こうして日本はようやく健全な経済を取り戻せるかもしれない.

guardian.co.uk, Monday 13 February 2012

Greece and the return of the economic 'death spiral'

David Blanchflower

FT February 13, 2012

Germany faces a machine from hell

Gideon Rachman

ユーロ危機のせいで,ドイツ人への嫌悪や偏見がよみがえっている.

ダヴォスの世界経済フォーラムで,イギリスのキャメロン首相も,アメリカのガイトナー財務長官も,IMFのラガルド専務理事も,ドイツのメルケル首相をせめて,丁寧に,しかし,同じことを述べた.ドイツはもっと金を出せ,と.

しかし,彼らは間違っている.「防火壁」のために金を出し,ユーロ債の発行を認め,ドイツ経済が南欧からの輸入を増やして黒字を減らすために財政刺激策を取れ,という.それは間違いだ.そもそも彼らは金を出さない.イギリスなど,今回の救済融資に加わることも避けたのだ.

ドイツに間違いがあったとすれば,統一通貨の導入を支持したことだ.その責任はある.メルケルは,様々な要求に対して,先に政治同盟を確立するよう求めた.しかし,これも問題だ.政治同盟は主権を大幅に失い,ギリシャやイタリアと予算を共有するのだ.それは支持されない.ドイツは政治同盟を先送りし,構造改革を要求した.しかし,これも機能していない.

ドイツ政府の高官たちは,こうした矛盾をよく知っている.自分たちが落ち込んだ問題について,お手上げなのだ.ある高官は,単一通貨を地獄から届いた機械にたとえた.この機械は我々が発明したのに,止めることができない,と.

FT February 13, 2012

Greece far from safe even after debt swap

By Willem Buiter

ギリシャ議会がオムニバス法案を可決した日曜日の夜,アテネの町は燃えていた.この法案にはトロイカと合意した財政緊縮,民営化,構造改革,銀行の資本増強,が含まれている.しかし,ギリシャの政府債務危機は終わっていない.融資によって一時的な鎮静化が見られても,すぐに次の危機が来る.3月後半には,144億ユーロの支払いが必要だ.

合意にかけているものは何か? それは,合意を実行する決意と仕組みだ.実施問題が解決できなければ,赤字削減も,民営化も,構造改革も,結局,進まない.行政の欠陥,家計の貯蓄不足,非銀行部門の競争力も改善できない.

その解決策は外から与えられるものではない.ギリシャの中から,それを実行する者が現れて同盟を組むしかない.

ギリシャは離脱するかもしれない.そのコストは,離脱に対する準備が進むことで,以前に比べて低下した.

SPIEGEL ONLINE 02/13/2012

'The Troika's Policies Have Failed'

European Doubts Growing over Greece Debt Strategy

SPIEGEL ONLINE 02/13/2012

SPIEGEL Interview with George Soros

'Merkel Is Leading Europe in the Wrong Direction'

YaleGlobal 13 February 2012

For US, Europe’s Debt Woes Are An Ocean Away

Bruce Stokes

VOX 13 February 2012

The ECB’s trillion euro bet

Charles Wyplosz

ECBによる金融機関の保証は,政府債のデフォルトを回避する銀行経由の方便であるが,そのリスクを中央銀行が被る点で,危機解決に向けた必要な条件であるとしても,非常に大きな賭けである.

それは,事態をさらに危険なものにした,と言える.ECBの資金供給で,銀行システムはますます多くの政府債を購入するからだ.1兆ユーロの賭けである.

guardian.co.uk, Tuesday 14 February 2012

Austerity fails, yet we're too shy to think outside the box

Simon Jenkins

FT February 14, 2012

Much too much ado about Greece

By Martin Wolf

ユーロ圏のGDPに占める割合が,わずか2%でしかないギリシャに,なぜこれほど苦悩するのか? ギリシャがデフォルトになって,ユーロ圏を離脱するのを許すだけでよいのでは?

CitiのエコノミストであるWillem Buiterは,この18か月以内にギリシャが離脱する見込みが50%に達する,と述べた.

1.ギリシャは(民間とトロイカ)債権者との合意に達するか? 2.その計画で財政再建は成功するのか? 政府は赤字を減らしたが,競争力の改善は遅れている.3.それはギリシャの利益か? 4.それは世界の利益か? 5.ギリシャ危機はユーロ圏に何を教えているか?

SPIEGEL ONLINE 02/14/2012

Misery in Athens

'New Poor' Grows from Greek Middle Class

By Johannes Korge and Ferry Batzoglou

WSJ FEBRUARY 14, 2012

Fear and Loathing In Athens

By BRIAN M. CARNEY

NYT February 14, 2012

Europe v. World

By EDWIN M. TRUMAN

ユーロ危機は,アメリカに3度目のヨーロッパ介入を求めている.アメリカは好まないかもしれないが.第一次世界大戦,第二次世界大戦がそうであったように,戦争ではないが,金融危機の戦場へ.

厳しい財政事情と再選に向けた選挙戦を控えるオバマ政権が,ユーロ危機の救済に関与することを嫌うのは当然だ.しかし,アメリカが受け身であることは危機と世界経済の不均衡を強める恐れがある.アメリカは融資の条件を示し,合意が成立したときの世界中bの支持を明確にするうえで,積極的に指導力を発揮するべきだ.

アメリカが支持するための融資条件は4つある.1.政府債務のGDP比率が90%を超えていない諸国,特にドイツは,緊縮策を逆転させる.2.ECBは金利を1%から0.25%にまで下げる.3.ヨーロッパの金融安定基金を少なくとも1兆ドル以上設ける.4.新規融資は,その他の融資がすべて返済されてから,返済されるものとする.それは中国や湾岸諸国が融資に加わるのを助ける.

そして,ユーロ危機の救済融資に応じる新興諸国が,IMFにおける発言力を高める要求は,速やかに実現させるべきだ.

NYT February 14, 2012

Portugal’s Debt Efforts May Be Warning for Greece

By LANDON THOMAS Jr.

WSJ FEBRUARY 15, 2012

The Limits of European Solidarity

By MARIAN L. TUPY AND RICHARD SULIK

Project Syndicate 2012-02-15

From Argentina to Athens?

Mohamed A. El-Erian

10年前にアルゼンチンがデフォルトになったときのことをよく覚えている.アルゼンチンもIMF融資を受けて,その後,デフォルトになった.アルゼンチンも近隣諸国との地域協定,メルコスールに参加しており,金融機の回避を求める地域協力が模索された.しかし,救済融資も国際合意もむなしく,人々は預金を引き揚げて,資本逃避が加速した.

ギリシャがアルゼンチンのデフォルトを繰り返さないためには,1.他の選択肢はない,といった脅迫は止める.2.新救済融資は,債務削減と制度改革を組み合わせ,政策の実行,競争力改善,民間投資増大に結びつける.3.融資がもたらすプラス面を強調する.4.ECBIMFの権威を損なうような利用を控える.

Project Syndicate 2012-02-15

A New European Growth Agenda

Philippe Legrain

最も重要なことはユーロ圏(そしてヨーロッパ)の成長率を高めることだ.

財政赤字を気にして政府は構造改革や競争力しか言わないが,それでは成長を促せない.銀行の自己資本を高めて融資を促すこと.さらに,中国が人民元の切り上げを求められるように,黒字諸国,特にドイツは成長を高める政策を採るべきだ.

FT February 16, 2012

Only a full IMF programme can save Greece from default

Lorenzo Bini Smaghi


BLOOMBERG Feb 12, 2012

Thailand’s Troubles Show Democracy’s Shaky Future

By Pankaj Mishra

近代化論が唱えた中産階級は成熟せず,民主化の行方は不透明だ.東南アジアにおいて,成長は1930年代のヨーロッパを再現するような不安を感じる.

Project Syndicate 2012-02-14

Africa’s Imperiled Democracy

Alfred Stepan and Etienne Smith


FT February 13, 2012

Foreign critics should not worry about ‘my’ rule

By PaulVolcker


WP February 13, 2012

European airfare war

SPIEGEL ONLINE 02/15/2012

Hot Air

The EU's Emissions Trading System Isn't Working

By Alexander Jung


l  グローバル市場と国家

Project Syndicate 2012-02-13

The Nation-State Reborn

Dani Rodrik

国民国家は時代遅れ,無意味,消滅する,というような意見が多い.しかし,世界金融危機はそれがまったくの迷信だと確認した.・・・誰が銀行を救うのか? 誰が金融市場の監督ルールを決めるのか? 誰がうまくいかないときに責められるのか? それは,ほかの誰でもない,その国の政府だ.G20IMFも,バーゼル銀行監督委員会も,単なる余興でしかない.

国民国家に対する知的な攻撃には2種類ある.一つはエコノミストたちによる攻撃だ.彼らは政府を財・資本・人の自由な移動に対する障害と考えている.各国の政策担当者を市場に介入させなければ,グローバルな市場がすべてを解決してくれる.そして,より統合化された,効率的な世界市場が生まれる.

しかし,国民国家が無ければ,市場のルールや規制もない.レッセフェールだけでは,金融危機の頻発によって,大きな政治的反動を招くだろう.もし経済政策のすべてを国際的な官僚制度に委ねるなら,民主主義や政治的責任は失われる.

第二の反対論は,世界市民的な倫理学から生じる.彼らにとっても,国境など人為的な障害物である.我々が世界との関係を深め,組織化されるにつれて,忠誠心や道徳も拡大するだろう.

しかし,国民国家への忠誠心は強く,人々は国民や民族としてのアイデンティティを維持している.たとえ輸送費や通信費が大幅に安くなっても,経済,社会,政治活動は,地球上において様々に異なる選好,必要性,歴史的な敬意を基にして集約される.

国民国家の衰退,という神話に,われわれは制約されている.

Project Syndicate 2012-02-14

The Global Future of Europe’s Crisis

Kemal Derviş

IMFはギリシャに対する公的債権を削減するよう求めた.しかし,債権者・政府は政治的な伝染,すなわち,そのような要求が債務諸国から続発することを恐れた.

通貨同盟は,完全な経済統合に基づいていなかった.インフレ率の高い国は,数年を経て,デフレを必要としている.それを実現するまで,大幅な失業が伴う不況の時期が続くのだ.問題は,それが政治的に耐えられるのか? である.

黒字国がインフレ率を高くすることは,赤字国のデフレを緩和するだろうが,債権国政府は赤字削減の圧力が緩和されることを望まない.それでは改革は進まないのだ.政策決定を奪われたギリシャの苦悩を示したのが,パパンドレウ前首相による国民投票提案であった.EUIMF・債権者との合意案を呑むべきかどうか,国民が答えるべきだ,と主張した.しかし,24時間もたたずに提案は抑えられた.金融市場とヨーロッパの指導者たちが(恐怖に駆られて)圧力をかけたからだ.

世界中で,金融資産のストックが増しており,国際資本移動に政策決定は影響されるようになっている.もしなんかの理由で,資本市場と中国政府がアメリカの債券を購入しなくなれば,アメリカの金利は急上昇し,不況に陥るだろう.

政治が国家を超えることで,市場の変動を民主的な政治過程に埋め戻す必要がある.グローバル化する市場と国民国家による政治との矛盾は,「境界を超える政治」がヨーロッパだけでなく世界中で起きることで,新しい解決策を見出すまで続くだろう.


FP FEBRUARY 14, 2012

SOF Power

BY DAVID BARNO, TRAVIS SHARP


NYT February 14, 2012

Iran Is Ready to Talk

By DENNIS B. ROSS

WP February 16, 2012

How history lessons could deter Iranian aggression

By Fareed Zakaria

Project Syndicate 2012-02-16

The Iranian Nuclear Threat Goes Global

Itamar Rabinovich


WSJ FEBRUARY 15, 2012

Beating a Dead (Monetary) Horse

日本の問題は,金融政策ではない.アニマル・スピリッツが無いことだ.

WSJ FEBRUARY 16, 2012

Reading Austen in Tokyo

By JOSEPH STERNBERG


l  Zoellickの世界銀行

FP Wednesday, February 15, 2012

Waiting for the next World Bank president

Posted By Daniel Runde

FT February 16, 2012

The quiet revolutionary who saved the World Bank

By SebastianMallaby

Robert Zoellickがどれほど優れた世銀総裁であったか,いくつも例を挙げて示しています.

インターネット時代に応じて,これまで蓄えるだけであったデータを公開し,その優れた利用法まで公開コンテストで募った.2010年のハイチ大地震の後,救済活動で崩壊した首都の写真を公開し,民間からの支援を組織した.新興諸国の役割を称賛し,世銀増資に応じる新興諸国は全額の半分を満たすに至った.発展途上諸国の問題に限らない,多角的な国際機関として,地球温暖化にも積極的に貢献した.リーマンショック後の新興市場で生じた金融逼迫に即応して,融資額を倍増させた.インドネシアは債券投資家の資本逃避を,世銀の支援によって,鎮静化できた.

その任務は無限にあり,国際機関への批判は強い.しかし,Zoellickはその有効性を示した.

WP Friday, February 17, 2012

How to find the best leader for the World Bank

By Mohamed A. El-Erian

欧米によるIMF・世銀のトップ独占を繰り返してはならない.アメリカは,国際機関のトップ人事に関する模範を示すべきだ.

必要な条件を公開し,一定期間,応募者を求め,それを政治利用させない,そして,最終的には25人の理事による自由選挙とする.最高裁判事の指名と似たものにする.その結果が,アメリカの候補である可能性は高いが,国際機関が植民地の統治者である,という印象を払拭する.


Project Syndicate 2012-02-16

Germany’s Sunshine Daydream

Bjørn Lomborg

ドイツが太陽光発電の拡大に賭ける補助金と投資は,その非効率な技術により,成功しそうにない.


Project Syndicate 2012-02-16

The Uptick’s Downside

Nouriel Roubini

世界経済の成長には,少なくとも4つのダウンサイド・リスクがある.1.ユーロ危機とヨーロッパ不況,2.中国とアジアの減速,3.アメリカの回復に勢いが失われる,4.アラブの春から,イスラエルによるイラン空爆,シリア紛争など,さまざまな中東の不安定化.

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The Economist, February 4th 2012

A fistful of dollars

China’s economy: Time for a property tax

Taxing China: Pay and play

Japanese banks : Quietly does it

Free exchange: The silent bazooka

(コメント) 時間が無くて,ほとんど読めませんでした.ぱらぱら見た感じでは,面白い記事が少ない!? Facebookの株式公開で桁外れの資本が集まっても,私の関心は刺激されません.

非常に面白いと思ったのは,中国が住宅や土地に課税する話です.中国人は政府に税金を取られるのを嫌っている.もう十分に取られた,と感じて.しかし,景気刺激策で大きく支出を増やしたのは地方政府でした.彼らの財源は,土地を売ることです.

それは,香港とかシンガポールがやったよな,成長期の日本だって(田中角栄のように),似たようなものではなかったか,と思っていると,そうではない.なぜなら,中国には私有財産が無く,課税もない,という共産主義国家だからです.国家が所有している土地ですから,農民から取り上げて売ってしまう.農民には土地の補償をしますが,土地を買う開発業者・不動産屋は住宅を建てて高く売る.この差で地方政府の潤っていたのです.

この仕組みの問題は二つ.一つは農民の不満(騙された.奪われた).反乱が各地に起きています.もう一つは,土地投機と価格の不安定化.政府は土地の売買に課税しますが所有には課税していない.バブルをあおって,今度は価格が暴落し,売れなくなって財政赤字が賄えない.

土地への課税には,都市の中産階級,特に,マンションをいくつも持っている共産党エリートの裕福な家族が反対する.都市=土地政治の貧困が,地方の反乱とバブルを膨張させます.

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IPEの想像力 2/20/12

娘が友人と二人で開く小さな展覧会に,作品の搬入と搬出を手伝って,署名用紙を置いてもらいました.さよなら原発1000万人署名,です.ご存知でしょうか?

大学院以来の友人である松尾氏が,協力してもらいたい,と送ってきたものです.なるほど.面白い.集めてみよう,と思いました.私なら,「どうなってるの? 脱原発!!」という感じです.

原子力エネルギーや脱原発について,昨年のゼミ合宿でディベートのテーマになり,少し調べました.コスト面で,疑いあり.長期的な安全性で,疑いあり.短期的な安全基準で,疑いあり.原発事故が繰り返されたのですから.しかし,消滅すると思われたこの技術が生き残ったのは,核兵器とセットで研究する「必要性」があったからではないか,と私は思いました.安全保障です.

原爆を恐れ,原爆を憎み,その廃止を国家の至上命題としているなら,原子力エネルギーなんて,どうして日本が開発するのか? それは,おそらく,石油ショックがあったからです.エネルギーを外国に頼ることに強い不安を感じて,日本政府は核分裂や核融合を理想化する余地を見たのでしょう.さらに,地球温暖化が注目されるようになって,原子力は大いに重要なエネルギー供給源となりました.ただし,どちらも経済的な繁栄を至上命題とする,エコノミック・アニマルの日本人です.

私は,議論を複雑にするように学生たちに求めました.原発は安いか? 放射能は安全か? など,あれかこれか,のディベートは真実をつかむことなく,判定する人々の感受性をめぐる競争と妥協,打算に終わるでしょう.選挙や政治とはそういうものだ,と割り切って考えない私には,そういう議論は間違いなのです.

私は,Monbiotの論説を持ち込み,図を描きました.彼は,地球温暖化を抑えるために原子力エネルギーは必要だ,と主張します.再生可能エネルギーをいくら開発しても,石油や石炭に代替する可能性は低いからです.2者択一ではない.3つの目標を考えるのです.石油・石炭に頼らず,快適な生活を実現する.原発で地球温暖化を防ぎ,エコロジーを守る.石油も原発も拒んで,物質的な文明を放棄し,地球環境・生物多様性・エコロジーの未来を守る.

この最後の選択肢,「ナウシカ・オプション」と私が命名した未来は,実現するでしょうか? ありえない,と言うけれど,どのような政治や経済であれば実現するのか? と話しました.

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春休みになって,ゼミ生と会うこともないので,私は家族以外に署名を集めることも難しいな,と思いました.

大学で教えているのだから,キャンパスで署名活動してみよう,と思いました.小林君を誘って,春休みの,あまり誰も通らないキャンパスですが,まあ,机を出して半日を費やし,話し合うのも楽しいではないか,と思ったのです.署名は水平的な呼びかけであり,高次の政治変化を促す仕掛けだと思います.1000万人署名,というのは大きく掲げたものですが,たとえ1万人でも,あるいは,キャンパスの1000人でも,政治を動かす可能性はあるでしょう.

しかし,大学も,生協も,「署名」というものに警戒感が先立つのです.カルト集団や外部の政治勢力が入り込むのではないか,ということでしょう.私はここにも,自治会活動を失って,学生が政治を議論しなくなった日本の閉塞感を見たように思います.

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酒見賢一の『墨攻』を読んで,大いに感銘を受けました.墨子の思想や活動を詳しく知らないのですが,この小説は,戦争を否定した墨子が,王でも大臣でも,戦争をしてはならないと説得し,それが聞き入れられないときには,単に非戦を説くのをやめて,攻められる側に加わって完璧な防衛策を施した,というわけです.・・・なるほど.

墨守ならぬ,墨攻です.しかし,この小説の展開はさらに深く,この戦争の思想を追求して行きます.簡潔な対話や描写で,儒家との比較,大義をなすとは何か,墨家の思想がもたらす平和とは何か? 読む側に考えさせます.

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河北新報・特別縮刷版『311東日本大震災 1か月の記録』を拾い読みしました.そして雑誌『世界』の別冊「破局の後を生きる:東日本大震災・原発災害特集」を読み,Foreign Policyの別冊 TSUNAMI: JAPANS POST-FUKUSHIMA FUTURE, edited by Jeff Kingstonを読みながら,何度か泣いた.「泣く」,というのは変かもしれません.苦しくてうめく(呻く),といった意味で,泣いたのです.人間の尊厳を奪われるような,堪えられない話が多くあります.その文字が伝える事実や経験ではなく,それを想像し,突然,共鳴する瞬間に.まるで優れた小説を読むような,ありえない,信じられない経験を想像したのです.

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