NYT November 17, 2011
Failure Is Good
By PAUL KRUGMAN
NYT November 21, 2011
The Supercommittee Collapses
guardian.co.uk, Tuesday 22 November 2011
Why the supercommittee's failure is a success
David Blanchflower
guardian.co.uk, Tuesday 22 November 2011
This tax battle is for the soul of America
Grover Norquist
guardian.co.uk, Wednesday 23 November 2011
How Occupy stopped the supercommittee
Dean Baker
guardian.co.uk, Friday 18 November 2011
Honduras: America's great foreign policy disgrace
Mark Weisbrot
guardian.co.uk, Tuesday 22 November 2011
Barack Obama faces stark choices about US policy on Egypt
Simon Tisdall
NYT November 22, 2011
A Discussion of Russia’s Future Is Long on Pessimism
By SERGE SCHMEMANN
FT November 18, 2011
China’s bank reform
FT November 20, 2011
China keen to avoid domestic backlash
By JamilAnderlini in Beijing
FT November 18, 2011
Occupy protests: Locked into defiance
By John Gapper and Shannon Bond
WP Saturday, November 19, 2011
Does America need Wall Street?
By Jeff Madrick
guardian.co.uk, Saturday 19 November 2011
A historical precedent that might prove a bonus for Occupy Wall Street
Nicolaus Mills
FT November 20, 2011
We have to do better on inequality
By Lawrence Summers
WP November 21, 2011
Occupy our consciences
By E.J. Dionne Jr.
WP November 21, 2011
Three ways to combat rising inequality
By Lawrence Summers
NYT November 22, 2011
Go Big, Mr. Obama
By THOMAS L. FRIEDMAN
l アメリカと世界経済
Project Syndicate 2011-11-18
The Anatomy of Global Economic Uncertainty
Mohamed A. El-Erian
YaleGlobal Online 18 November 2011
Painful Euro Crisis and Lessons for the World – Part II
Joergen Oerstroem Moeller
VOX 19 November 2011
Does openness generate growth? Reconciling the experiences of Mexico and China
Timothy Kehoe and Kim Ruhl
NYT November 19, 2011
Goodbye, Golden Years
By EDWARD P. GLAESER
NYT November 20, 2011
Central Bankers: Stop Dithering. Do Something.
By ADAM S. POSEN
アメリカ経済と世界経済に共通しているのは、政策における敗北主義だ。
近代の経済史において、1920年代のヨーロッパ、1930年代のアメリカ、そして1990年代の日本、いずれも大規模な金融危機の後、景気回復を維持するために必要な刺激策を途中で放棄することが起きた。残念なことに、世界はその失敗を繰り返しつつある。
アメリカ連銀とECBは直ちに一層の金融緩和を実施するべきだ。それが正しい。短期金利は下げられたが、大量に政府債券を購入して長期金利を下げ、投資を刺激するべきだ。
我々の経済は、非生産的な投資に偏った投機の時代を終わり、均衡を回復しなければならない。輸入から輸出へ、民間消費から貯蓄へ、減税からインフラ投資へ、そして金融部門が縮小しなければならない。それは新しい投資によって起きる。
しかし、経済の将来の見通しが不確かになれば、投資は減退する。投資を引き寄せようとしても、民間部門が巨額の債務に苦しむうちは難しい。債務問題を緩和して投資を促すことが、金融的な刺激策のなすべきことだ。
金融緩和は経済のリストラを妨げる、という意見もあるが、それは間違いだ。1990年代の日本でも、不十分な金融緩和によってゾンビ企業の延命が行われた。マクロ経済政策が景気を回復した2000年以降の10年で、やっと新しい成長産業に投資が行われるようになった。アメリカのS&L危機の後もそうだった。
量的金融緩和は、従来の金融政策を緩和したときと同じ市場の反応をもたらしている。長期金利は低下し、リスク資産の需要が高まって、投資家や家計は自信を回復している。さらに、連銀は政府と協力して、住宅債務の負担軽減も行うべきだ。それはアメリカの金融システムを負担から解放し、労働力の移動性を高めるだろう。すなわち、成長の能力を高める。
中央銀行の独立性は、単なる評価ではなく、現実の成果として考えるべきだ。中央銀行は政府と協力して債務処理に行動するが、政府債券の購入を独立性の名目で妨げるなら、経済危機の解決に背くだろう。1990年代の日本で不況が長引いたことも、今のユーロ危機がなかなか解決できないことも、中央銀行の財政当局との相互不信で望ましい政策の実行が妨げられたからだ。
Project Syndicate 2011-11-21
The Wages of Economic Ignorance
Robert Skidelsky
Project Syndicate 2011-11-22
Does Europe Have a Korean Option?
Simon Johnson
1997年の通貨危機から韓国が急速に立ち直った教訓を、ヨーロッパも学ぶべきだ。すなわち、構造改革と、それを助ける通貨安、輸出と成長である。ユーロ危機はその両方を準備している。
WSJ NOVEMBER 23, 2011
Did Ireland Need a Bailout?
By DICK ROCHE
l アジアと国際秩序
FT November 18, 2011
In search of a new Metternich for the Pacific century
By Lionel Barber
オーストラリアのギラード首相とオバマ大統領との合意が注目を集めた。
いつの時代にも、台頭する勢力を既存秩序に組み込むことができず、あるいは、新興国が既存秩序を認めず、対立や戦争が生じた。
ドイツや日本の興隆した時期、また、アメリカが大国となった時期も、大規模な戦争を経ていないけれど、スペインの急速ミンチであったキューバやフィリピンを奪った。
アジアにおける中国の急速な台頭が、アメリカと各国との軍事・安全保障の強化と貿易関係における依存・緊密化とをもたらしている。TPPでは、人民元の為替レートに関するアメリカの不満が関係している。貿易や通貨摩擦に関しては、レーガン政権がドイツとの関係で1987年の株価暴落、ブラック・マンデーを起こしている。
中国の国家が支援する輸出攻勢はアジアの貿易パターンをすでに大きく変えている。かつての日本と比べても、その変化のスピードと規模が大きく異なる。
相互の誤解が深刻な対立をもたらす。新しい安全保障条約を「封じ込め」網の構築に向けた動きとして、中国は脅威と考えるべきではない。19世紀のヨーロッパで平和を維持した大国間の協調に等しい、国際システムへの柔軟な姿勢を中国も示すことが重要だ。「太平洋=平和の時代」を築くのは、っ中国の理論家でもアメリカの理想主義者でもなく、真のリアリスト、メッテルニッヒKlemens von Metternichである。
FP Friday, November 18, 2011
Explaining Obama's Asia policy
Posted By Stephen M. Walt
FP Friday, November 18, 2011
Against the East Asia 'pivot'
Posted By Daniel Blumenthal
FT November 19, 2011
Obama-Wen talks take in controversy
By Anthony Deutsch in Bali
(China Daily) 2011-11-19
East Asia not US playground
By Tao Wenzhao
FP Monday, November 21, 2011
Too Big to Pivot
Posted By Daniel W. Drezner
FP Monday, November 21, 2011
Dizzy yet? The pros and cons of the Asia 'pivot'
Posted By Michael Green, Dan Twining
BLOOMBERG Nov 22, 2011
Obama’s Tripwire Postpones Australia’s Destiny
By Iain McCalman
Project Syndicate 2011-11-22
A South Asian Grand Bargain
Jaswant Singh
南アジアには複雑な対立と不信が重なっている。インドとパキスタンが対立しており、その周辺では中国、イラン、ロシアがアフガニスタンに関心を持っている。アメリカ軍は撤退を決めている。
この地域が平和と安定を取り戻すのは、小さな合意を積み重ねるより唯一、すべての大国が安全保障に深くかかわる和解をもたらす「大きな合意」を達成することだ、と考える。
アフガニスタンの安定は、地域だけでなく、エネルギーやインド洋の交易まで含む、平和と繁栄の条件にかかわる。アメリカ、中国、インドが、緊密に協力する関係を作り出すことは可能だ。
Project Syndicate 2011-11-22
Development Cooperation under Siege
Jomo Kwame Sundaram
Project Syndicate 2011-11-22
Asia’s Month of Milestones
Gareth Evans
FT November 23, 2011
China’s leaders jockey for Politburo positions
By JamilAnderlini in Beijing
FT November 23, 2011
The new Asian great game
Kishore Mahbubani
かつてヨーロッパの首脳会談が世界秩序の将来を決めた。しかし時代は変わった。今では、東アジア・サミットがそれを決める。インドネシア、バリ島で開催されたサミットには、初めて、アメリカとロシアが参加した。
歴史上、地政学的な意味で最も重要な関係は、現在の大国とそれに挑戦する新しい大国との間に見られる。すなわち、米中関係だ。緊張が高まると思われたが、それは異常なくらいに平静であった。
しかし、その時代も終わりに向かう。一つは、中国の外交的な失敗が続いて、「和平演変」のイメージが損なわれたことだ。もう一つは、アメリカが中国とってかわられることを不安に感じていることだ。これまで中国はアメリカの敵対心を刺激しないように注意していた。
米中間の対立は、新しい「グレート・ゲーム」の始まりとなる。中国は人民元の為替レートに関する要求を拒むだろう。しかし、金融改革では合意するだろう。EASへのアメリカとロシアの参加は、冷静かつプラグマティックに進んだ。ASEANは、ヨーロッパと違って、開放型の地域改革を進めるだろう。
アメリカが中国に対抗してTPPを推進することも、アジアの協力プロセスを中国に独占させないためだが、米中両国が競い合うことはアジアにとって好ましいことにもなりうる。それは人々の心をひきつける競争でもあるからだ。
新しいグレート・ゲームを平和的な競争の時代にするべきだ。
guardian.co.uk, Thursday 24 November 2011
US faces down China with much-trumpeted Burma visit
Simon Tisdall
SPIEGEL ONLINE 11/23/2011
Taking Back the Favelas
Rio Relying on Dubious Methods to Pacify its Slums
By Cathrin Gilbert
(China Daily) 2011-11-24
It's proved a wise decision
By Li Luosha
(China Daily) 2011-11-24
The role that US plays in Asia
By XueLitai
WSJ NOVEMBER 25, 2011
South China Sea Two-Step
By CARLYLE A. THAYER
NYT November 20, 2011
How China Can Defeat America
By YAN XUETONG
私は中国の古代思想家から学んだリアリストである。だからこそ軍事力ではなく、貧困の解消や思想においても、中国はアメリカを圧倒することができると考える。米中対立は、冷戦期の米ソ対立と異なる。
China’s quest to enhance its world leadership status and America’s effort to maintain its present position is a zero-sum game. It is the battle for people’s hearts and minds that will determine who eventually prevails. And, as China’s ancient philosophers predicted, the country that displays more humane authority will win.
LAT November 21, 2011
Can the American empire fight back?
Gregory Rodriguez
アメリカの衰退と、アメリカが世界に占める地位の低下が、多くのアメリカ人に不安をもたらしている。
WP Thursday, November 24, 2011
The decadence of the West
By Matt Miller
一人当たりGDPが6倍もあるアメリカ人が、貧しい中国人からの融資でその消費水準を支えている。同様にヨーロッパ人は、レバレッジを利用した挙句、ユーロ危機に苦しみ銀行や政府の救済に、中国からの資金を期待する。これこそ西側支配階級のデカダンスである。
Global Times | November 21, 2011
Sovereignty reigns supreme in rebalanced world order
By GustaafGeeraerts
l 悲観するより感謝祭
FP Wednesday, November 23, 2011
Medvedev announces failure of U.S.-Russia missile defense talks; threatens to withdraw from New START
Posted By Josh Rogin
FP Wednesday, November 23, 2011
8 myths about American grand strategy
Posted By Peter Feaver
WP November 24, 211
Be thankful — sensible solutions do exist for U.S. problems
By FareedZakaria
この国の悲観主義は感謝祭を祝うムードから遠い。しかし、今週、アメリカの気分を高揚させるニュースが続いた。
アメリカは発展した諸国の中でも最もダイナミックな国だ。確かにドイツには優れた製造業が維持されている。しかし、その工業とは、自動車、化学、機械など、20世紀前半の第二次産業革命によって成立したものだ。アメリカには脱工業化時代の情報産業から企業が育ち、世界市場を支配している。バイオやナノテクでもアメリカの技術は圧倒的だ。
日本やイタリア、ドイツも人口が減少しているけれど、アメリカの人口は若く、出生率が高い。
アメリカ経済は、巨大なバブルが破裂した後、悪影響を受けている。しかし、それは日本が20年間も停滞したことと比べれば、はるかに軽い。Lawrence Summersが指摘したように、日本は3分の1ではなく、85%も下落し、株価はそれをダウ平均株価に直せば2600ドルまで下落し、危機前の成長から予測されるGDPの水準よりも50%低い水準でしかない。
我々はユーロ危機を心配しているが、アメリカは十区通貨を持ち、しかも準備通貨であり、財政破たんを自分で回避できる。競争力の喪失も彼らのほうが深刻だ。
構造改革は決定的に重要だ。政治的な機能マヒもあるが、各地に改革の気運はあるし、政治家に期待できなくても、市民たちが解決策を見つける。
WP November 24, 211
The decadence of the West
By Matt Miller
WSJ NOVEMBER 25, 2011
The Obama Doctrine
By HUGH WHITE
FT November 24, 2011
Vietnam: a question of balance
By Ben Bland
FT November 24, 2011
Olympus epic is less Hollywood and more samurai
Peter Tasker
******************************
The Economist, November th 2011
That’s all, folks
The Italian crisis: Addio, Silvio
Europe’s debt crisis: Rushing for the exits
Charlemagne: Europe against the people?
Staring into the abyss: Europe and its currency
Asia-Pacific trade initiatives: Dreams and realities
Banyan: One dam thing after another
Azerbaijan: How to spend it
South Korea’s economy: What do you do when you reach the top?
(コメント) イタリアのベルルスコーニが政権を失うことは当然として、彼の長期権力がイタリア経済を停滞させたことを指摘します。ユーロ危機は、すでに銀行や債券投資家にユーロ解体の準備を促しています。カンヌ・サミットが、これまでのEUにはなかった政治介入とユーロ圏離脱の議論を許し、ベルルスコーニの退場を強いたのです。
ユーロ危機についての特集記事です。経済分析は目新しい部分がなく、興味を引きませんでしたが、後半ではEUに広まった右派勢力に関してオランダの変化に注目し、その他の政治的視点も展開します。また、将来のシナリオとしてヨーロッパ的な妥協の連鎖を示しますが、財政統合や政治統合についても経済構造改革についても、将来の可能性を否定しません。危機は歴史を加速し、選択こそが政治なのです。
アゼルバイジャンに生まれた石油の富が政治システムを腐敗させる姿と、1960年にアフリカ並みであった所得水準が、今やEU平均を超えるまでになった韓国経済の開発モデルと、これから必要な改革を考察します。
******************************
IPEの想像力 11/28/11
・・・新しい情報通信手段が抗議活動や不満を表現するようになれば、政治はそれに反応し始める。すると、どうなるのか? それでいいのか?
母が作ってくれる晩御飯を食べに大阪へ帰り、父と話し合って質問されました。大切な読者の一人です。
政治家はしばしば大衆の不満や不安を刺激します。アラブの春でも、ユーロ危機でも、アメリカの大統領選挙でも、あるいは、大阪市長選挙でも。人々は怒りや憎悪の対象を与えられて政治ゲームに参加します。
こうした選挙戦が互いの主張を精査し、弱点や欺瞞を暴き出し、候補者のビジョンや欠陥、人間性と危機への対応能力を試すことになる、というのは本当でしょう。しかし、金融ビジネスと政治ショーだけでは、勤勉であること、努力すること、長年積み重ねること、・・・といった労働の倫理が失われます。自分が豊かになるのは社会がその機会や条件を与えてくれたからだ、という社会的な感性は失われ、政治がそれを回復するようなルール、秩序、報酬体系と、法律・制度を作るためにある、ということを忘れてしまいます。
非常に優秀な頭脳を持つ者は、金融ビジネスで極端な富を築くことができます。社会保障で気楽に暮らせる浮浪者(そんな人がいるとしたら)は仕事に就きたがらないでしょう。報酬の良い仕事ほど、高齢者や組合員が仕事を独占し、手放しません。そして若者は、就職できずに派遣やアルバイトで親の家に寄生します。物価が安く、競争は厳しいから、老人たちは暮らしやすいけれど、企業は国内で利益を期待できず、投資しません。
ユーロ危機が例外ではありません。社会的な連帯感・結束・協力の姿勢がなければ、政治も経済も悪循環に陥り、機能を停止します。
なぜ中国の工業力や軍事力を恐れるのか? なぜアメリカのコメや牛肉を恐れるのか? なぜ東北の被災地や福島の原発事故の処理と再建を負担し、日本から分離しようとしないのか? なぜ油田の発見された地域や金融街だけで独立しないのか? なぜ北朝鮮は、国民が飢餓で苦しむ中でも、核兵器や弾道ミサイルを開発するのか?
円高ばかり心配するけれど、次の局面では、長期的な円安が始まると思います。ドルやユーロから避難する資本流入がもたらす極端な円高とデフレは続きません。優れた生産拠点は海外に移り、若者の能力や勤労意欲は急速に失われます。イギリスやアメリカの製造業がそうであったように。日本人の貯蓄によって国債が購入されるのは、海外投資が円高で何度も失われたからではないか。円安傾向が続く、と人々が予想するなら、海外の投資機会に向けて国内貯蓄が失われるでしょう。
円高と円安は、長期的に循環するだけで、円安による次の国内製造業の再生につながるのか? あるいは、食糧もエネルギーも、主要な工業製品も海外の工場に依存し、円安を止めるための介入で瞬く間に外貨準備も失って、日本人の生活水準が低下していくのか? 為替レートの変動はどこまで社会にとって望ましいのか? 円のジェット・コースターは中国が現れても続けられるか? 人民元に固定するのか?
ユーロ危機が最後ではありません。いつか、国境を越えて、人々は次第に為替レートを共有し、通貨と金融政策を共有するでしょう。そして地域的な需要や失業率の差異は、財政政策と、資本・労働者の移動によって対応します。そのためには、誰でも参加できる、もっと親密な政治コミュニティーを各地で建設し、結び付ける必要があります。
政治や経済の枠組みを変える挑戦に向けて、国家を超えた信頼を得られる政治家の文化的背景、国際交渉力、長期的視野、危機意識の共有、優れたビジョン、政治的意識・主体の形成・・・。アラブの春でも、ユーロ危機でも、アメリカの大統領選挙でも、大阪市長選挙でも、その答えがこれから示されます。
********
白馬会議2011 (2011年11月26日~27日)
「再起動せよ! ニッポン」という熱い呼びかけにふさわしい、内容のある企画でした。素晴らしい天候に恵まれ、国際会議の舞台として、白馬の宿泊施設は充実した環境と自然の景観を示してくれました。日本が置かれた大震災と原発事故のダブル・ショックこそ、社会・政治の閉塞状況を打破する高度な国民的危機意識を高めたはずです。
しかし、・・・日本の「パワー・エリート」がもしいるとしたら、彼らが主催者の意気込みを共有しなかったのはなぜでしょうか?
宣伝不足かもしれませんね。もっと政治家やマスコミが集まり、日本の財界や官界、知識人の中から、意欲に富んだ、若手の実力者たちを集めて、彼らの経験や問題意識を共有し、その熱気を高め合えるような企画にするための工夫が必要でした。大規模なシンポジウムも、少人数の自由な討議も、参加者たちによる発案や呼びかけも、あるいは、バックパック担いで集まる学生たちのテント村や、スポンサーによる「無銭飲食」パーティーも、あの「ホワイト・ハウス The West Wing」が描いた「チーズの日」みたいに、白馬会議で実現してください。
素晴らしい講演内容に感謝します。(わずかな紹介ですが。)
御厨貴 「日本政治の今後―<戦後>から<災後>へ」 ・・・政治はシステム、政治は思想、政治は何より人で決まる。こうした危機で、指導的な立場にある人の能力と思想が問われ、システムの根本的な見直しが可能になる。しかし、日本はこの危機によっても「起動」したとは言えそうにないな、と思いました。菅直人は「運動家」、鳩山は「オーナー意識」、自民党も旧政治スタイルを脱していない。明治維新でも廃藩置県で権力を集中するまで4年かかった。それまでは旧政治家の在庫一掃が続いたのだから。野田内閣の既視感と、ユーロ危機におけるテクノクラートを首相にした快挙を見習いたい、という話し振りでした。
武者陵司 「グローバル経済の今後―世界経済変動のダイナミクス」 ・・・技術革新を実現できるグローバルな経済システムとガバナンスが試されている。
黒田篤郎 「日本製造業の今後―ものづくり大国への復権」 ・・・海外投資によって製造業は内外で生き残りを図っているが、数年後に貿易収支、そして経常収支も赤字になるときがくる。円安が進めば日本の製造業の輸出によって成長に転換できるような産業構造をどのように残せるか。
飯田哲也 「日本エネルギー政策の今後―脱原発の理想と現実」 ・・・日本の原子力関係者・原子力村はあまりにもファシズムとタコつぼ型の技術者が支配しており、メルト・ダウンも防げない。再生可能エネルギーへの転換は、こうした無能な権力システムを無視して、市民や企業、能力のある官僚たちが協力することで始められる。
******************************