IPEの果樹園2011

今週のReview

11/28-12/3

 

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ユーロ危機をめぐる考察 ・・・アメリカと世界経済 ・・・アジアと国際秩序 ・・・悲観するより感謝祭

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  ユーロ危機をめぐる考察

FT November 17, 2011

Germany is not for turning on how to save the euro

By Guido Westerwelle

FT November 17, 2011

One professor to another: listen to the people, or fail

By Michael Ignatieff

経済破綻の後、ギリシャでも、イタリアでも、政治家たちは問題の解決に失敗した。そこでテクノクラートが登場した。ギリシャのパパデモスLucas Papademos、イタリアのモンティMario Montiは、老練な、評価の高いエコノミストだ。しかし、なぜ国民は彼らを信頼するのだろうか?

彼らは、銀行家であり、エコノミストの仲間だが、彼らこそヨーロッパをこの混乱に突き落とした犯人たちだ。EUの諸制度でも、ギリシャやイタリアの財政でも、彼らが重要な地位を占めてきた。

テクノクラートは政治を超える神秘的な権威を持つと思われている。しかし、「政治を超える」ものなど何もない。危機とは常に政治の問題である。

両国の抱える問題は官僚的なものではない。財政再建、景気回復、競争力改善。そのために改良の抵抗を排し、議会で増税を承認させ、人々に公平な形で負担させる必要がある。それができないとき、ギリシャのように、統治不能になる。それは南欧全体に拡大しつつある。

パパデモスとモンティは、統治能力を回復しなければなあないが、二人とも政治的な正統性を持たない。国民選挙の結果として権力を得たわけではなく、失敗すれば政治家たちは「やっぱりな」と言うだけだ。成功すれば政治家階級がその使用を横取りする。どちらにしても政治家たちが勝利し、昔のやり方で支配する。

二人は時間を必要としているが、公務員たちは反対し、雇用主たちが反対し、債券市場が反対する。彼らの支持を得るのは厳しい交渉を要する。パパデモスとモンティはそれを知っている。ワシントンで行われた4月の講演で、パパデモスは、ギリシャの問題は解決策を選択することではなく、それを実施することだ、と述べた。

経済危機においても、南欧の人々に事実を認めさせることは難しい。これは欧州の計画全体に内在する「民主主義の赤字」を問うものだ。ユーロ圏の政治家たちは、有権者に共通通貨のコストを説明しなかった。政治家たちは、ギリシャやイタリアだけでなく、ドイツでも、国民にあえて真実を説明しなかった。真実というのは、ギリシャもイタリアも競争力を失っており、その消費は支払い能力を超えているということだ。ドイツ国民は、通貨同盟が放漫財政の国からドイツのような慎重な国へ、政治・経済コストを移転することを説明されなかった。

パパデモスとモンティは、政治家と違って、真実を説明できると考える。なぜなら彼らは選挙を気にしなくてよいから。しかし、ギリシャやイタリアの回復には長期間を要するのであり、テクノクラートへの信頼だけでは不十分だ。ヨーロッパの実験は、半世紀を経た今、あらゆる民主主義において政治的正統性の不足を残している。民主制は国家や地域に限られているからだ。テクノクラートの権威に頼るのは、その弱さの表れだ。

ヨーロッパは厳しい真実を語って正統性を得る政治家を必要としている。

研究者であり、政治家でもあった私が助言するとしたら、たった一つだけある。すなわち、あなたたちがそれ(改革)を行うのは、銀行家や、ヨーロッパ建設や、債券市場のためではなく、各土地の仲間たち、老若男女のためである、ということを国民に確信させることだ。彼らが究極の主権者である。あなたが彼らを代表するとき、成功するだろう。それに失敗すれば、国は統治不能に落ち込む。

FT November 17, 2011

The man who could save Italy

SPIEGEL ONLINE 11/18/2011

NYT November 17, 2011

The Technocratic Nightmare

By DAVID BROOKS

1990年代前半にブラッセルで暮らし、EUについて記事を書いた。当時はヨーロッパ統合の黄金期で、コール、ミッテラン、ドロールがいて、マーストリヒト条約や共通通貨が交渉された。

彼らは公務員として新しいヨーロッパを設計するという大事業に熱中した。しかし、奇妙なことがあった。

ヨーロッパの指導者たちが集まってサミットを開き、共同声明を出した。その後、各国のメディアを見れば、12の全く異なる出来事が書かれていたからだ。

ヨーロッパは法的・経済的に統一されていったが、共通の言語も共通の会話もなかった。指導者たちが「連邦federation」を称えても、イギリスとドイツでは違うものを意味した。

そこにはエリート主義が強かった。舞台裏では、テクノクラートたちが物事をあからさまに見下していた。ヨーロッパの大衆を信頼せず、政府は彼らのようなエリートが上から運営するものだった。

その結果、ヨーロッパ統合はよくわからない、複雑にでっち上げられた一連の制度になった。EUの指導者たちがマーストリヒト条約の承認に大衆の支持を必要としたとき、ブラッセル公園でみじめな集会を開いた。旗や展示場、講演が行われたが、聴衆はわずかで、退屈していた。新しいヨーロッパの国歌は、ベートーベンの「歓喜の歌」に歌詞が付いたものだが、誰も歌えなかった。

EUとは、言語、文化、歴史、市民生活を共有しないまま、法的・経済的にできた超構造物だった。それは第二次世界大戦後にできた、国連をはじめとする、様々な超国家機関のひとつ、情熱のない、安全な架空の政体である。

ブラッセルを去って17年経つが、彼らはEUを維持したことに私は驚いた。少なくともエリートたちと60歳以上の者には、統一ヨーロッパへの強い欲求がある。

しかし、そこに内在した欠陥がこの企画を破壊しつつある。ヨーロッパの諸民族は、様々な歴史、価値、文化を反映して、異なる経済、異なる文化を持つ。多様な経済文化を単一通貨に混ぜ合わせるなら、通貨は必ず爆発するだろう。

準国家としてのEUを守るべき道義的な連帯感がないことは明らかだ。オレゴン州のアメリカ人は、彼らの税金がいつアリゾナのアメリカ人に移転されたかほとんど気にしない。彼らは運命を共有した一つの国民なのだ。旧東ドイツの再建に途方もない補助金を支払った西ドイツ人も、一つの国民だ。

しかし、ドイツ人とギリシャ人、フランス人とドイツ人の間には、共有された一つのアイデンティティーがない。どのような犠牲も厭わない、というけれど、本当に支払いが必要になると、ヨーロッパのアイデンティティーは崩壊する。

表面的には、ヨーロッパ政治家の指導力や制度の欠陥が問題であるように見える。しかし、本当の問題は、テクノクラートの考え方にある。歴史や言語、文化、価値、土地を無視して、社会を背系・管理できると信じている、灰色の傲慢な人々だ。

ヨーロッパをこの用に築いたことは失敗だったが、これを簡単に逆転できない。ユーロが崩壊し、ドイツ・マルクが復活し、他のヨーロッパ諸通貨に比べて大幅に増価するだろう。他通貨の価値の暴落や不均衡はグローバルな破局をもたらす。

短期的には、ECBやヨーロッパの安定した諸国の政府、アメリカが安定化に向けた苦痛と支出を引き受けるだろう。そして嵐によって清められたヨーロッパは、テクノクラートの発想を排除し、多様な社会の有機的現実に合わせてヨーロッパを再建する。

ヨーロッパの指導者たちがなぜ第一次世界大戦を始めたのかわからなかった、というヨーロッパ中央銀行家が、最近、それを理解できた、という。危機の中においては、間違いを犯すことはいかにたやすいか、がわかった。

guardian.co.uk, Friday 18 November 2011

Ireland's budget leak to Germany brings home some harsh realities

Siobhán Dowling

FT November 18, 2011

The dangerous cocktail of global money and local politics

Moisés Naím

エリートの反乱もなく、民衆の街頭デモもない、政権を長く支配してきたイタリア最強の男、ベルルスコーニが退陣したのは、イタリア政府債券とドイツ政府債券との金利差が急激に広がったからだ。それはグローバル・マネーとローカル・ポリティクスとの衝突を表している。

グローバル・マネーの必要とローカル・ポリティクスの制約とを混ぜることは、政権を倒し、グローバル経済を変形する魔女の吐息になる。この緊張関係をどのように制御するか、それがわれわれの時代の大問題だ。

アメリカのすでに亡くなった議員であるが、Tip O’Neillは「すべての政治はローカルだ」という名言を残した。ローカルな問題や人間関係を知るほうが、グローバルな脅威に対処するよりも、政治家にとってはるかに重要である。地球規模の問題は、普通の有権者にとって、まったく縁がないように思えるだろう。たとえ今のような情報の充実した時代でも、支持政党を決めるのに国境の外の問題まで考える人は少ない。

他方、貨幣は世界化した。政治家が最も嫌うのは財政赤字の削減であり、海外の投資家が最も心配するのは財政赤字を政治家が実行する意欲です。以前からわかっていたことだが、金融のグローバリゼーションが、金融市場の要求に従う政治家にとって、有権者の怒りを避けることはますます難しくなっている。

数字がそれを示している。外国為替市場の取引は、わずか20年前と比べても、8倍になっている。1990年以来、直接投資は6倍以上になった。国際融資や株式市場でも、国際取引が急増している。

それに比べて、製造品の国際取引は地域的である。東アジアの製造業における域内貿易は、EU58%を超える、65%に達する。製造業は高賃金の雇用をもたらすから重要だ。しかし、資本や製品貿易の国際化に比べて、労働者はローカルなままだ。ほとんど移動できないともいえる。世界人口に占める移民の割合は3%でしかない。

ローカルな政治、グローバルな貨幣・資本、リージョナルな製品貿易、そして国境に閉ざされた労働者。こうした組み合わせが政治における毒性を増大させる。貨幣は光の速さで移動し、貿易は貨物コンテナで移動し、政府はローカル政治に合わせ、労働者たちはほとんど移動しない。これがヨーロッパだ。

残念ながら、我々にはこの毒素に対する解毒剤がない。グローバル・マネーから経済を守り、他方、ローカルな政治を世界化する。皮肉なことだが、今回の危機はそれを少し容易にするだろう。

このような考察をナイーブだと思うか? ローカルな政治にとどまれると思う者の方が、現実の拡大するギャップを知らない、それを埋める緊急の要請を見逃すほどナイーブなのだ。

FT November 18, 2011

That’s 1,000 olives, please

By Gillian Tett

SPIEGEL ONLINE 11/18/2011

Phoenix Europe

How the EU Can Emerge from the Ashes

SPIEGEL ONLINE 11/18/2011

Debt Crisis Contagion

The Euro Zone's Deadly Domino Effect

A Commentary by Wolfgang Münchau

ユーロ危機の広がりは、まるでキッシンジャーのドミノ理論だ。投資家たちは危機を過小評価している。ギリシャが離脱すれば、他の国でも債券は売れなくなり、ユーロ圏は解体する。

危機は、時間をかけるほど被害が拡大する。それが、アルゼンチンの教訓だ。

VOX 18 November 2011

An Open Letter to Dr Jens Weidmann

Charles Wyplosz

ドイツがECBの政府債購入に反対するのは間違いだ。なぜ最後の貸し手を嫌うのか?

次の三つの理由を検討する。すなわち、救済融資は違法だ。モラル・ハザードが起きる。ECBの独立性を損なう。

まず、ECBがギリシャ公債を直接に購入したことは条約を犯す、違法なものだった。この点は合意できる。しかし、通貨同盟は財政規律を、10年以上前に、「安定成長協定Stability and Growth Pact」としてまとめた。しかし、これは機能しなかった。条約の精神は、各国の財政や議会が権限を握ったままでは機能しないのだ。

財政規律を守らない政府は、ECBにより破綻するままに放置される。これが各国政府に財政規律を守らせる唯一の強制力であった。もしECBがこれを失うなら、事実上、ECBは各国の債務をヨーロッパ化してしまう。これは誰も支持しないことだった。ユーロ圏の政府をECBが救済することはドイツにとって受け入れがたいことであるだろう。しかし、それをしなければユーロ圏は解体する。

モラル・ハザードについて、その破壊的な結果について対処しなければならないだろう。しかし、危機を鎮静化するときに心配するのは間違いだ。財政規律を守らなかった国を処罰することは、たとえドイツ国民が強く求めても、ギリシャが示したように、うまくいかない。緊縮策は不況を深刻化し、財政赤字を拡大した。

正しい対応策は、各国の主権に配慮しつつ財政規律を実現できるような新体制を構築することだ。たとえば、各国の政府債券に金利差が生じる方がよい。ECBがレポ取引の担保として債券を受け入れるだけでその価値を実質的に保証できる。ヨーロッパの指導者たちは憲法に債務の制限を組み入れることで財政規律を強化する方法に合意した。

モラル・ハザードに対処するには多くの時間がかかるだろう。しかし、それは危機を克服してからだ。

ECBの独立性は重要だが、金融政策と財政政策の違いは明確にできない。政府債券のデフォルトは起きないと思われていた。ドイツのハイパーインフレーションは政府債券を無制限に現金化したからだ。ECBが行った債券購入はそうではない。既発行債券の価格を安定させるために購入するだけである。その額は少なくてよい。

より複雑な問題は、通貨同盟内の分担だ。ミクロとマクロの監視機関が独立することは起きそうにない。しかし、ユーロ圏の均衡監督とシステミック・リスクの監視は可能だろう。中央銀行が政府債券を支援するケースにつても、バジョット・ルールが必要だ。

VOX 18 November 2011

The threat to use the printing press

Hans-Werner Sinn

FT November 18, 2011

The steely headmistress with Europe in her thrall

By Quentin Peel

FT November 18, 2011

Now is the time to go back to square one

By Martin Jacomb

WP November 19, 2011

Why E.U. collapse is more likely than the fall of the euro

By Niall Ferguson

ヨーロッパは巨大なジェンガ・ゲーム(積み木の山から抜いて、さらに積み上げる)を続けている。この山はいつ崩れるのか?

ギリシャがユーロ圏を離脱すれば終わるのか? しかし、ユーロ官僚が恐れるのは、EUそのものから離脱する国が現れることだ。歴史上、大幅な調整を求められた場合、通貨同盟は崩壊した。しかし、ドイツはユーロ圏を崩壊させないだろう。そして離脱後のコストを恐れる南欧も、たとえドイツにデフレ調整を強いられても離脱しない。

ユーロ圏に入って独仏による政策監視を受けるか、このまま二流のEU市民となるか。ギリシャがユーロ圏を離脱するより、イギリスがEUを離脱するほうが容易である。

NYT November 19, 2011

Conspiracies, Coups and Currencies

By ROSS DOUTHAT

The Observer, Sunday 20 November 2011

Does the left have a voice in the euro crisis?

Nick Cohen

guardian.co.uk, Sunday 20 November 2011

Politicians under the euro: at the wheel but not steering

The Observer, Sunday 20 November 2011

World economy: new opportunities beckon beyond Europe

FT November 20, 2011

Austerity alone can’t save the euro

By Wolfgang Münchau

NYT November 20, 2011

Boring Cruel Romantics

By PAUL KRUGMAN

BLOOMBERG Nov 20, 2011

Deutsche Bank Could Transfer Financial Contagion

By Simon Johnson

FT November 21, 2011

The ECB must step in to save the eurozone

George Soros

FT November 21, 2011

The markets are not the monster

By Gideon Rachman

金融市場は怪物ではない。金融市場を国民や政治家の敵であると言うのは間違いだ。金融市場は政治家と有権者との間に立って、緊縮政策を緩和しているにすぎない。政治家の行動はさまざまな判断を生じるし、それらは金融市場によって示される。政治家たちが金融市場に敵対する姿勢を取ることは問題の解決を困難にするだけだ。

FT November 21, 2011

Only way to stop the run on eurozone debt

By Peter Bofinger and George Soros

ユーロ圏の政府債に対する取り付けが起きている。これは2008年に金融機関に対して起きた取り付けに似ている。当時は、銀行に対する政府に包括的な保証が行われて、取り付けが収まった。今また、自己実現的なユーロ圏の政府債券に対する取り付けが起きている。長期金利が上昇し、流動性危機が支払い不能に転化する。世界不況が拡大して、悪循環が生じるだろう。

できるだけ早く債券への取り付けを止めるべきだ。共同債に転換することにはドイツが強く反対している。他の選択肢として、ソロスが提案しているEFSFを介したECBの最後の貸し手機能を実現することがある。金融政策は短期金利を決めるが、この異常な事態では、長期金利に上限を定める介入も必要だ。

FT November 21, 2011

It’s too early for a Brady plan for Greece

By Guillermo Ortiz

Project Syndicate 2011-11-21

Can Italy Be Saved?

Michael Spence

VOX 21 November 2011

Welcome to Eurotaly

Paolo Manasse and GiulioTrigilia

危機の波及に関する多くのシナリオと異なったのは、イタリアがスペインよりも先に危機に陥ったことだ。その理由は政治である。スペインのザパテロ首相は次の選挙に立候補しないことを表明したが、ベルルスコーニは権力を手放そうとしなかった。

イタリアの改革の成功がユーロ危機を決めるだろう。イタリアがヨーロッパになるか、ヨーロッパがイタリアになる。

SPIEGEL ONLINE 11/21/2011

Pooling Risk

Merkel Under Pressure to Say 'Ja' to Euro Bonds

NYT NOVEMBER 21, 2011

Euro Blind

By SIMON CRITCHLEY

FT November 22, 2011

To the eurozone: advance or risk ruin

By Martin Wolf

投資家たちはユーロ圏の政府債券を保有したがらなくなった。ヨーロッパの政治家たちは資本市場との戦争を宣言しているが、債券を購入し、保有してもらわないと、危機が解決しないことを忘れている。

ユーロ圏は三つの結びついた課題に直面している。政府債市場で流動性が枯渇し、ユーロ圏内の競争力を失った諸国が格差を拡大し、各国間の経済関係が将来どうなるのか不安が高まっている。人々が将来もユーロ圏は維持されると信じるなら、ユーロ圏を出るよりも内部にとどまるほうが良いと思うだろう。

危機を克服してユーロ圏が続くためには、1.ユーロ圏の金融部門を共通の規制と共通の財源で保証し、2.ユーロ圏諸国の債務の大部分を共通のユーロ債に転換し、3.加盟諸国の構造や財政を税制する効果的な規律を確立するべきだ。

それは政治同盟への大きな前進を意味するが、今でも、ユーロ圏諸国にその用意はない。政治文化を共有せず、政治プロセスも共有しない共通通貨圏が、政治的に有効な権限を集中する憲法上の規定もないなら、ユーロ圏は維持できない。

FT November 22, 2011

It’s madness to follow a martingale betting strategy in Europe

By John Kay

FT November 22, 2011

Bonds for the euro

FT November 22, 2011

Sweden calls for prudent nations to be on standby

By Ralph Atkins in Stockholm

SPIEGEL ONLINE 11/22/2011

Flawed Role Model

Germany's Finances Not as Sound as Believed

By Ralf Neukirch and Christian Reiermann

WSJ NOVEMBER 22, 2011

Bailout of First Resort

FT November 23, 2011

Why Europe’s leaders welcome Monti

By Tony Barber in London

FT November 23, 2011

In praise of CDS

FT November 23, 2011

A three-pillar plan to underpin a new fiscal union

Manfred Schepers

guardian.co.uk, Thursday 24 November 2011

It is not inevitable that the EU – or democracy – will survive this mess

Simon Jenkins

guardian.co.uk, Thursday 24 November 2011

In today's debt crisis, Germany is the US of 1931

Fabian Lindner, for Social Europe Journal, part of the Guardian Comment Network

「その国は経済的・政治的な深淵にある。政府は破たん寸前で、強烈な緊縮政策を実施している。公共部門の被雇用者は大幅に賃金をカットされ、税金は劇的な増加する。景気は悪化して失業率が急上昇している。民衆は互いに街頭で内紛を激化させ、銀行は破産し、資本は海外に流出している。2011年のギリシャだろうか? いや、それは1931年のドイツだ。」

首相はパパデモスではなく、ハンリッヒ・ブリューニングだった。GDPが底なしに低下する中でも、議会を無視して緊縮策を追求した。その2年後、ヒトラーが権力を握り、8年後には戦争を始めた。

現在の危機と同様、1931年のドイツにとっても対外債務が重要問題であった。アメリカがドイツの最大の債権国であり、ドイツの債務はドル建てだった。借り入れた資金はフランスやイギリスへの賠償に使われたが、同時に、1923年のハイパーインフレ後、ドイツでは経済ブームが起きていた。今日、アイルランドやスペイン、ギリシャで起きたように。

アメリカの金融市場が1929年に崩壊すると、ドイツのバブルは破裂した。アメリカの投資家や銀行は損失を被って投資意欲を失い、リスクを減らし、特にヨーロッパへの投資を減らした。ドイツ、オーストリア、ハンガリーへの資本流入は止まった。

それはライヒスマルク(当時のドイツ通貨)ではなく、ドイツの銀行が供給できないドルを支払うことになった。すなわち、経常収支を赤字から黒字に大きく転換する必要があったのだ。しかし、現在のユーロ危機と同じように、当時のドイツも通貨制度に縛られていた。金本位制を維持するため、為替レートを変更できなかった。しかもブリューニングの経済顧問たちは、ハイパーインフレーションを再現するような切り下げの影響を恐れていた。それゆえ、物価を下げるしかなかった。

アメリカ議会は1930年にスムート=ホーレイ関税法を成立させ、世界的なドル不足が続いた。対米赤字とその支払いに苦しむ諸国は輸入を減らし、フーバー大統領の債務支払いを停止する提案もフランスとアメリカ議会の反対で遅れた。1931年にモラトリアムでドイツは刺激策が可能になったが、それは遅すぎた。銀行の倒産や失業率の上昇で、ナチスが政権を取った。

アメリカ(とフランス)がもっとドイツの銀行や政府に流動性を供給していたら、政治対立の激化は避けられただろう。しかしアメリカは孤立主義に向かい、混乱するヨーロッパから手を引いた。

現在、ドイツはECBが最後の貸し手として金融危機に介入するのを、1923年のハイパーインフレーションの記憶によって拒んでいる。しかし、正しい教訓は1931年の失業増大から学ぶべきだ。

アメリカは当時の失敗と第二次世界大戦から学んで、教材協力を指導することが平和と繁栄をもたらす、と知った。ユーロ危機を解決できないドイツは、その支持を失っている。

FT November 24, 2011

Currencies fall victim to a flight to safety

By Stefan Wagstyl

FT November 24, 2011

Germany is the real winner in a transfer union

By Sebastian Mallaby

ドイツは、まず、その思い込みを捨てるべきだ。ギリシャ人は50歳代で引退する。財政赤字をごまかす。何度も救済融資を受ける。税金を払わないアテネのスイミング・プール。こうした非難は行き過ぎている。他方で、ドイツは大きな利益を得ており、ユーロ圏を維持するために代価を支払うべきだ。

為替レートを見ればよい。もしユーロ圏がなければ、輸出を増やし、成長しているドイツの通貨が、ブラジルやスイスの通貨と同じように、大幅に増価したはずだ。逆に、対外貿易赤字に苦しむユーロ圏の国は、もし自国の通貨があれば大幅に減価し、競争力を回復できたはずだ。

資本移動も、ドイツに大きな利益をもたらしている。ユーロ圏内で、ドイツの金利に近い形で低利融資を受けたブームとインフレを生じた。彼らの投資が破たんしたことを非難するより、ドイツは救済するべきだ。自国の中央銀行を失った諸国の政府債券は、質への逃避に駆られた投資家たちによって売却され、ドイツの債券に流れ込んでいる。この同じ資本移動から、ポルトガル政府は高金利に苦しみ、ドイツ政府は潤沢な資金を得て、低金利で投資できる。

SPIEGEL ONLINE 11/24/2011

The Return of 'Madame Non'

Why Merkel Remains Opposed to Euro Bonds

By Charles Hawley

SPIEGEL ONLINE 11/24/2011

The Great Leap Forward

In Search of a United Europe

By Thomas Darnstaedt, ChristophSchult and Helene Zuber

ヨーロッパ市民は考えを模索している。ヨーロッパの未来はどうなるか? 諸国はどのような役割を担うのか? ブラッセルの政府はどうすれば機能するのか? 大陸規模の民主主義が、諸国民の間に統一と連帯とをもたらすのか?

SPIEGEL ONLINE 11/24/2011

Euro Bonds Debate

German Resistance to Pooling Debt May Be Shrinking

VOX 24 November 2011

Sovereign debt, government myopia, and the financial sector

Viral Acharya and RaghuramRajan

政府はなぜ対外債務を支払うのか? 貧しい国では、デフォルトによって借金ができないと公的サービスを低下するしかないから、債務を支払う。豊かな国は、デフォルトによって金融システムが破壊されるから、債務を支払う。

貧しい債務国の近視眼的な姿勢から、長期の視点を持つようになった政府は、債務返済能力を高めるための国内経済の変更や、新規の借り入れに含まれるコスト増を内部化するので、デフォルトを求めるようになるだろう。また生産性を高める高度な機械のために債務を負うのは、その支払いを維持する増税に限界があるだろう。

WSJ NOVEMBER 25, 2011

Brussels Brainstorms . . .

WSJ NOVEMBER 25, 2011

. . . Frankfurt Takes Cover

WSJ NOVEMBER 25, 2011

Is Italy Ungovernable?

By RAYMOND ZHONG


 (続き)