IPEの果樹園2010

今週のReview

2/8-/13

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* 感嘆キー・ワード **********************

金融危機の次に, トヨタのグローバル・リコール, ブレアの審査, オバマの銀行改革:StiglitzEICHENGREEN カナダに危機は無い, ギリシャの債務危機:MünchauPisani-FerryRoubini, 米中関係, David Hale, 日本:トヨタとJAL, イタリアのユートピア

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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


FT January 27 2010

Why we should expect low growth amid debt

By Carmen Reinhart and Kenneth Rogoff

(コメント) ほぼ同時に出た三つの論説は、アメリカ経済の課題を考えています。すなわち、財政赤字・債務危機、世界的不均衡・国際通貨危機、インフレーション・国内通貨危機。

Carmen Reinhart and Kenneth Rogoffは、過去の例が当てはまるなら、金融危機は財政危機(そしてデフォルトの連鎖)に転化する、と考えます。政府は、金融救済、不況による歳入減と刺激策で、その債務を急速に増やしています。

Reinhart and Rogoffは、1930年代のようなデフォルトの連鎖が起きるとは考えていません。当時の国際金本位制や、脆弱な各国の金融システムは、今と異なるからです。金融危機の規模も小さいものです。しかし、債務の比率は歴史的なデフォルトの水準(GDP比90%)に近付いているし、経済の低迷がそれを耐えられなくする、と懸念します。

ある時点で、市場は警告を発し、財政赤字の拡大にプレミアを求めるでしょう。そして、高金利と増税が、その国の経済を減速し、不況を招きます。

幸い、先進諸国に比べ、多くの新興市場は財政状態が悪化しておらず、対外債務への依存は少なく、レバレッジを縮小させつつあります。ただし、ヨーロッパの新興諸国はそうなっていません。ギリシャやアイルランドは対外債務比率がGDPの100%を超え、デフォルトを予感させます。それに影響する新しい要因は、IMF融資と世界金利の動向です。

IMFは、昨年4月から融資を拡大してきました。それは各国の調整を助けましたが、それでも債務負担が政治的に手に負えなくなる国が現れています。彼らは債務の組み換えを求めていますし、IMFも2001年のアルゼンチンのように、債務累積と不況を悪化させるばかりで、結局、デフォルトの破壊的影響を増幅しただけ、というわけには行きません。金融危機に対して大幅に緩和された条件で融資を行ったIMF自身が、その出口戦略を模索しています。

また、世界金利は低下する傾向が続いてきました。それは政府に対する市場の規律を弱めたはずです。しかも債務を累積した政府は、短期債務を増やして金利負担を減らす選択に向かいがちです。市場の不安が生じると、短期債務の借り換えに苦しむ結果となるでしょう。

雇用情勢を考えれば、財政刺激策を止めることは政府にできない選択です。これは戦後の金融危機において、北欧でも日本でも、スペインその他の新興市場でも生じています。危機後の消費が回復しない中で、刺激策を止めれば不況に戻る懸念があります。しかし、政治家たちが調整(財政赤字の削減)に取り組むのが早ければ、債務危機のリスクも抑えられます。

WSJ JANUARY 27, 2010

Global Rebalancing Is America's Job, Too

By STEPHEN S. ROACH

WSJ JANUARY 27, 2010

The Fed's Anti-Inflation Exit Strategy Will Fail

By ALLAN H. MELTZER

(コメント) 金融危機のコストが財政赤字に転化されるのは理解しやすいです(それゆえ、銀行家たちへの政治的反発が生じる)が、そのコストが貿易摩擦やインフレに転化されるということは有権者に理解しにくく、それゆえ、政治的に利用されやすい(中国や中央銀行家への政治的不満が高まる)、と言えます。

STEPHEN S. ROACHは、アメリカやEU諸国が中国との貿易摩擦に対して、人民元切り上げを要求することを危惧しています。二国間の不均衡を責めることは間違いですし、中国自身が輸出に依存した成長の大幅な変動に衝撃を受けて、もっと国内消費に依拠した成長への転換を図りつつあります。何よりも、人民元が増価しても中国の黒字が減る保証にはなりません。

しかし、失業率が高まれば、中国叩きの政治家が支持されるでしょう。他方、中央銀行による異常な金融緩和を続けることへの不満も(特に、金融資産保有者に)生じています。

ALLAN H. MELTZERは、失業率が高まる中で、中央銀行の金融政策に対する政治圧力が強まることを懸念します。

連銀は、インフレ抑制と失業の解消という二重の役割を引き受けて、1970年代に、その矛盾をフィリップス曲線で解こうとしましたが、結果的に、高インフレと高失業率に至りました。ポール・ボルカーがフィリップス曲線(と議会)を無視してインフレ抑制のために通貨供給を抑え、15年間も低インフレと低失業率をもたらした後、(グリーンスパンとバーナンキの)低金利時代がフィリップス曲線のジレンマを再生してしまいました。

バーナンキのインフレ抑制策は、銀行が法的に必要な準備を超える過剰な資金を供給されている以上、効き目はないだろう、と。


WSJ JANUARY 28, 2010 Toyota: Too Big, Too Fast By PAUL INGRASSIA

LAT January 29, 2010 Toyota's troubles accelerate

FT January 29 2010 Cars: Off the road By Jonathan Soble and Bernard Simon

FT January 29 2010 Toyota’s recall

WSJ JANUARY 29, 2010 Toyota's Ghost in the Machine By HOLMAN W. JENKINS, JR.

(コメント) 「トヨタの生産拡大(そして世界最大)は、その品質や安全性を犠牲にしたものだった」と非難する声が高まっています。・・・かつて「日本型経営(あるいは資本主義)」が大いに称賛され、その後、強く否定されるようになったことを思い出させる事件です。(あるいは、小沢一郎に対する検察の曖昧な決着について生じた不信感と同じ、法律や報道における偏りを疑わせる事件です。)

急激な生産能力の拡大、特に、海外生産拠点に品質管理には、まったく異なる難しさがあったかもしれません。PAUL INGRASSIAはその起点として、2006年、テキサスの新工場で、新規労働者が作ったピックアップ・トラックのリコールを指摘しています。その後も、アメリカ、ヨーロッパ、中国で、リコールを繰り返し、高品質の評価を失いつつあった、と。

アメリカでは中古自動車の市場にそれが即座に反映されます。日本の人口も自動車市場も縮小する中で、海外生産拠点から世界市場で販売し続けるには、トヨタがグローバル企業としての人材養成や品質管理を実現できるか、試されるときなのです。

NYT January 30, 2010 Toyota Recall Hits 9 Million Cars Worldwide By MICHELINE MAYNARD

CSM February 3, 2010 Toyota recalls: Thank Uncle Sam

(コメント) もしこれが刑事番組やミステリー小説なら、犯人を探す場面でしょう。・・・最も大きな利益を受けたやつはだれだ? GMやフォード、あるいは、韓国や中国の自動車メーカーでしょう。(しかし、日本の検察庁が小沢を首相にしたくなかったから、とか、GMの再建にエコカーを売り出すこととトヨタの信頼を損なう事件とが重なってオバマ政権が労働組合を喜ばせた、とか、「陰謀」説をどれほど考慮すべきでしょうか? 私は採用しません。)

日本政府は自動車会社の利益を代弁しますが、アメリカ政府は消費者の利益を代弁する、という分け方がどの程度正しいのでしょうか? 確かに、事故が起きてもリコールせずに済ます、という、政府機関と大企業の間に暗黙の取引があるだろう、と思います。日本で特に多いかどうか?

LAT February 3, 2010 Put the brakes on Toyota's plant closure By Harley Shaiken

The Times February 4, 2010 The Car in Front

BBC 2010/02/04 Toyota's reputation could be tarnished for years By Jorn Madslien

FT February 4 2010 Warning to Toyota: speed can kill

FT February 4 2010 Toyota recall

The Times February 5, 2010 Welcome to the world of the two-way mirror Joe Joseph

(コメント) 日本と英米との文化の違い、政府や企業の行動の違いはなくならないでしょう。「たとえ日本人が、青い背広と白いワイシャツを着て、ガラス張りのオフィスビルで働いても。」「たとえテレビで日本企業の製品のコマーシャルが英米の消費文化を称えても。」・・・だまされないぞ、とJoe Josephは考えます。

「日本文化と西側文化との衝突は、地球の地殻プレートがそうであるように、表面的には円滑で、切れ目なく続いているようでも、地下の震動がその誤解や不可解さのひび割れを感知させる。」・・・それがトヨタのリコール(政府・消費者の抱く不信感)だ、と。

「世界経済の上級クラブに入って40年も経つのに、日本はまだアジアの背景を失わず、孤立した島のようだ。」


The Guardian, Thursday 28 January 2010 The real problem was Blair's policy towards America, not Iraq Martin Kettle

(コメント) 労働党は多くのことを成し遂げました。ヴェテランの労働党支持者は、それを振り返って、「多くの新しい学校を建て、新しい病院も建てた。その多くはトニー・ブレアのおかげだ。」と言います。「私は彼のために多くの時間を費やした。今もそうだ。しかし、イラクですべてがおかしくなった。一体全体、どうして彼はブッシュと結び付いたのか?」 このように憤慨する者は多くいます。

BBC 2010/01/29 I'd do it again - Blair on Iraq

The Guardian, Friday 29 January 2010 Tony Blair at the Chilcot inquiry, part II Jackie Ashley, Jonathan Freedland, Martin Kettle, Seumas Milne and Henry Porter

The Times January 30, 2010 The 2010 question

The Guardian, Saturday 30 January 2010 Blair was wrong. He still is. But let's not fetishise the UN Polly Toynbee

(コメント) BBCです。ブレアはチルコット委員会でもイラク戦争の正当性を主張しました。ブレアは、「後悔していない・・・サダムは地域と世界に対する脅威であり、怪物だった・・・イラクの現状は改善された・・・もう一度同じ決断をする」と断言します。

しかし、愛する家族を失った人々の怒りや悲しみに一切の同情を示さないブレアの態度を、BBCなど、多くのメディアは嫌います。

The Timesによれば。ブレアは明確に述べました。戦争とは、合法か違法か、という問題ではない。それは虚言でも、陰謀でも、詐欺でもない。首相であった私の政治的決断だ。あるいは、ブレアはまた指摘しました。戦後の占領計画はあったし、人道的な危機や油田の放火を防ぐ計画もあった。生物化学兵器の使用を避ける計画もあった。計画がなかったのではなく、計画は失敗だった。たとえば、イラク国家は機能し続け、再建に協力すると前提されていました。他方、内戦が激化し、アルカイダやイランの介入を招くとは予想されていなかった、と。

The Guardian, Saturday 30 January 2010 Blair at the Iraq inquiry: No regrets

FT January 30 2010 Blair holds his ground on Iraq

The Guardian, Sunday 31 January 2010 Tony Blair sold the Iraq war on his judgment. His judgment was wrong

FT January 31 2010 Lessons from Chilcot on the Atlantic alliance By Max Hastings

(コメント) Max Hastingsは、この委員会の審問に当惑します。イラク戦争において、イギリスはアメリカに従っただけであり、独自に決定できなかっただろう。アメリカ政府は主要な指導者に対して議会や諮問委員会で証言させることはなく、証拠もないのだから、イギリスの責任者だけを問うことに意味はない。・・・

チルコット委員会の意味は、イギリスのガバナンスが、当時、議会によるものではなく、大統領型の決断に代わっていたことを示すことだ、とMax Hastingsは考えます。誰もブレアを止められなかったのです。

さらに、Max Hastingsは大西洋同盟がイギリス政府とその外交政策を縛ってきたことを認めています。それは日本にとっても興味深い指摘です。・・・イギリスの影響力ある戦略家がイラク戦争を強く嫌っていたにもかかわらず、こう語っていた。「それでもアメリカ人がやると決めたのであれば、われわれも一緒に行くしかない。」 1945年以来、その確信はイギリスの官僚、外交官、軍人の心に刻み込まれていた。イギリスの外交にとってアメリカとの軍事同盟は欠かせないものだった。

EUが外交・安全保障で信頼できる関係を築けない限り、イギリスの前提は動かせないのです。

WSJ JANUARY 31, 2010 Tony Blair's Iraq Statesmanship

The Times February 1, 2010 Blair the dictator bulldozed us into war William Rees-Mogg

The Japan Times: Thursday, Feb. 4, 2010 Tony Blair still in denial By HUGH CORTAZZI

(コメント) その意味では、ブレア元首相がイラク戦争を正当化したことは、WSJに限らず、アメリカの安全保障関係者や多くの政治家たちも喜ばせたわけです。サッチャーに並ぶ大政治家として、その雄弁さを称えています。

あるいはWilliam Rees-Moggのように、この雄弁さによってイギリス国民は戦場に押し出された、ブレアはブルドーザーだ、と非難します。そして、たとえ9・11によって政治家たちのリスクに対する考え方が大きく転換したとしても、なぜ9・11の再発を防ぐことが「イラク侵攻」でなければならないのか? ブレアは答えていない、と論駁します。ブレアはイラク以外のリスクを比較せず、イラクに対する異なる戦略を比較していません。

ブレアは首相として4つの戦争に参加しました。シエラレオネ、コソボ、アフガニスタン、そして、イラクです。コソボとイラクについて、国連憲章に照らして、軍事力行使の正当性が疑われています。


LAT January 29, 2010

Obama's banking proposals are a good first step

By Joseph E. Stiglitz

(コメント) 経済学に従えば、“incentives matter”です。Joseph E. Stiglitzは、オバマの金融制度改革を、まだほんの始まりでしかないという限定付きで、支持しています。

オバマの提案は、大銀行を処罰し制限するのではなく、大銀行だけが得ている政府保証・補助を取り去り、金融市場を正常化するものです。「大き過ぎて潰せない」という問題を放置すれば、彼らはギャンブルを繰り返し、金融救済が再現されます。大銀行は、効率的であるからではなく、政府保証を得ているから優位を保ち、利益を増やせるのです。

デリバティブ市場の標準化、透明化と競争促進は必要です。しかし、その限界もありそうです。だから、銀行はヘッジファンドや自己勘定でのデリバティブの売買を禁止されるべきでしょう。デリバティブを扱う業者は、その損失をすべて自分たちで負担しなければなりません。

The Japan Times: Friday, Jan. 29, 2010

A bully pulpit for Obama's financial reforms

By BARRY EICHENGREEN

(コメント) オバマの2年目は金融改革に指導者としての強い姿勢を示すべきだ、とBARRY EICHENGREENは考えます。

1年目の経済政策を評価して、財政刺激策と銀行システムの安定化に成功したことを称えます。ただし、財政刺激策は楽観的な前提が間違っていたし、減税に偏っていたために消費より貯蓄を増やしました。また、中期の財政再建計画がなく、財政赤字への不安を強めました。銀行システムの安定化も、もっと資本注入を行うべきだったし、(それを使って)、金融危機を招いた銀行幹部を最初に交代させるべきだった、と主張します。しかし、ストレス・テストとTARPは安定化に成功しました。

また、議会の妥協を待つ手法による医療保険制度改革も、世論の支持を得られていませんが、明らかに保険会社に新しい条件を受け入れさせ、貧困層への保険を拡大する補助策を取り入れています。財政再建をめぐる議論でも、オバマは同様の中間的な立場を採っています。

BARRY EICHENGREENは、医療保険制度や財政再建と違って、金融改革には金融関係者に対抗する勢力が存在しない(医療保険は議会、財政再建は市場が監視した)、と主張します。金融制度改革は余りにも専門的で、それを理解する金融関係者は自分たちが大きな利益を得ている現状を維持する偏向を示します。

しかし、危機の処理として政治圧力が高まったときしか、金融制度の包括的な改革は実現できません。オバマは今こそ、改革を求めて国民が選んだ政治指導者として、その公的権威を最大限に発揮しなければなりません。

「公正な社会」を実現してほしい、という国民の声を受けて、オバマ政権は教育や再訓練の支出を増やすでしょう。また、道路、橋、港など、生産性を改善するようなインフラに投資し、先進的な経済における平等をもたらすために、良質の雇用を増やすような政策が取られるべきです。

NYT January 31, 2010

How to Reform Our Financial System

By PAUL VOLCKER

(コメント) ボルカー自身によるオバマ金融制度改革の基本です。銀行はリスクを伴い、破綻する恐れがあります。だから規模を抑制しなしたが、金融技術の発達はそれを不可能にしました。それでも、基本的な銀行業とそれ以外は分離しておくべきであり、その上で、銀行業の破綻を処理できる機関を設置するべきです。

NYT February 1, 2010

Good and Boring

By PAUL KRUGMAN

(コメント) 「危機の時代には、良いニュースは伝えられない。アイスランドの崩壊はトップニュースになるが、カナダの銀行が安定していても注目されない。」

PAUL KRUGMANは、カナダの銀行システムをアメリカの金融改革と比較します。同じような条件(アジアから安価な商品と安価な資金が流入した)でありながら、アメリカでは金融危機が起き(住宅債券市場が崩壊し、すべての主要金融機関が破産した)、カナダは平静である。なぜか?

「大き過ぎて潰せない」から金融危機が起きた、というボルカー・ルールの前提をカナダの例は否定する、とPAUL KRUGMANは考えます。カナダの銀行はすべて大き過ぎるでしょう。しかし危機は起きていません。その理由は、詐欺的な金融サービスから消費者を守る政府機関が存在し、証券化やデリバティブを抑制したことであり、銀行がレバレッジを規制されていることです。

PAUL KRUGMANは、議会の勢力分布から、金融改革は成立しそうにない、と考えています。しかし、金融システムを「カナダ化」することは可能だろう、と提案します。

NYT February 2, 2010

Bankers in Davos Seek a United Message on Volcker Rule

By ANDREW ROSS SORKIN

FT February 2 2010

Focus on ways for banks to fail safely

By Kevin Warsh

FT February 2 2010

Volcker defends bank rules

By Tom Braithwaite in Washington and Francesco Guerrera in New York

Asia Times Online, Feb 3, 2010

Let's atomize Wall Street

By Martin Hutchinson

(コメント) 巨大(ビヒモス)銀行から「ブティック・バンク」へ、とMartin Hutchinsonは主張します。ウォール街の問題とは、システミック・リスク(特に金融救済)、レント・シーキング(特にインサイダー取引)、利害対立(発行市場と売買の仲介を兼務)、です。いずれもボルカー・ルールは解決できません。


NYT January 29, 2010

Building Haiti’s Economy, One Mango at a Time

By PAUL COLLIER and JEAN-LOUIS WARNHOLZ

WSJ JANUARY 30, 2010

A Marshall Plan for Haiti

By RAYMOND A. JOSEPH

(コメント) 治安が回復し、インフラが整備されれば、ハイチには経済発展の条件が豊富にある、と考えられます。非常に豊かで開放的なアメリカ市場が、対岸にあるのです。アメリカはハイチに対する優遇措置を採り、国際機関は融資や援助を行うでしょう。

The Guardian, Sunday 31 January 2010

Haiti's road to recovery

Jeffrey Sachs

NYT February 1, 2010

Thinking About a New Haiti

The Guardian, Thursday 4 February 2010

Building a new Haiti

Mike Gonzalez

(コメント) 地震で失われたガバナンスと経済活動を、どうやって回復できるでしょうか? Jeffrey Sachsの提言はその基本を示します。5分野: 1.小作・小地主の農業部門、2.建設、3.港湾サービスと軽工業、4.小規模の交易、5.公共サービス、特に、医療と教育。

また、一定の期間(5年)、資金や援助を全体として調和させる機関が必要です。米州開発銀行が良いだろう、と考えます。その組織に、ハイチ難民や現地政府も参加・協力します。

戦争や巨大な災害がガバナンスを覚醒させる契機になるケースがあります。

Mike Gonzalezは、これがイラクやニューオーリンズの再現ではないか、と疑います。「ハイチ人は思うだろう。これは1915年に来たアメリカ海兵隊の再現ではないか。2006年にも、米軍と国連軍が来た。・・・20世紀前半のアメリカのハイチ占領(そして、キューバ、プエルトリコ、ニカラグアの占領)はアメリカの「裏庭」を支配するものであった。21世紀になっても、それが変わることはない。」

ハイチの再建とは、播基文国連事務総長やビル・クリントンが2009年に述べたように、輸出加工区を拡大して、アメリカの衣服製造業に安価な労働者を提供することでしかない。新しいハイチが、多数のハイチ人のために組織される、民主的で、もっと透明なものでなければならない、と。

地震で崩壊する以前の「不正義な社会」を再建することは間違いです。


BBC 2010/01/29 Mounting fears over Greek economy

FP JANUARY 29, 2010 Show Me the Drachmas BY TRACY ALLOWAY

(コメント) ギリシャの債務危機と、それが刺激するユーロ通貨危機は、EUによる集団監視体制に保証される形で救済融資を得て、収拾されるはずです。

しかし、ギリシャの首相は繰り返し「救済を望まない」と主張し、EUは繰り返し「ギリシャのデフォルトもユーロ離脱もない」と断言しています。ギリシャ政府が財政赤字を削減する劇的な手段(公務員の解雇や給与引き下げ)を取れるとは考えられません。それは市場参加者を不安にさせるばかりです。

TRACY ALLOWAYの論説がその背景を伝えます。

ユーロ圏の苦境について、「ブタ(PIG)に口紅はぬれない」とレポートにも書かれたそうです(かつて、ペイリン候補に使われましたが)。金融市場は、突然、ヨーロッパ周辺部の金融危機に目覚めました。単一の通貨圏内で、債務状況や景気回復の速度が異なっていることについて、政治対立の危険が高まります。通貨圏を離脱するべきだ、と政治家やエコノミストたちは主張し始めます。

Martin Feldsteinは、ユーロ解体を最初から予想していました。ECBによる共通の金融政策には限界があります。金融危機に対応して行われた急激な資金供給が、危機の回避とユーロ圏内主要国の景気回復によって引き締めに転じました。しかし、それは周辺部の債務依存諸国にとって耐えられないことなのです。

特にギリシャは対外債務が多く、しかも、競争力を失っています。財政赤字を減らし(金利負担や新規債券発行を減らす)、物価や賃金を引き下げる(競争力を回復する)しかありません。他方、ユーロ離脱も解決策になりません。新通貨を発行しても金利は上昇し(さらに、デフォルトで)、同様に、財政赤字を削るしかないでしょう。

対外債務は切り捨て、新ドラクマを切り下げて輸出を伸ばす、という戦略は考えられますが、人びとがユーロへの資産離脱を急ぎ、ドラクマを暴落させて、金融機関も破綻します。また、危機が他国(特に、ギリシャ債券を保有するフランス、スイス、ドイツ)にも波及して、EU市場が不況になれば失敗します。

だれも積極的な解決策を示さないまま、ユーロへの不安が為替レートを減価しています。それは、わずかでも、ギリシャとユーロ圏の危機を回避させる要素です。

The Guardian, Saturday 30 January 2010 Greece: Under a Byzantine shroud

The Guardian, Sunday 31 January 2010 A way out of the Greek nightmare Kevin Featherstone

(コメント) ダヴォスでは、ギリシャがデフォルトになる、中国に債券を買ってもらう、ユーロ圏を離脱する、という話がされたようです。もちろん、すべてないだろう、と。

この2週間の欧州委員会とEU蔵相閣僚会議(Ecofin)が、ギリシャへの支援策を話し合い、デフォルト、もしくは、再建計画を選択するでしょう。長期的にユーロ離脱やユーロ崩壊を決めるのは、政治であって、経済ではない、とThe Guardianは考えます。そして、ギリシャにもEUにも、経済改革しかありません。

FT January 31 2010 What the eurozone must do if it is to survive By Wolfgang Münchau

(コメント) ユーロ圏の信用不安が高まっています。スペインが危機になれば、ギリシャやアイルランドと違って、ユーロ圏を巻き込むでしょう。

危機を避けるために必要なことは、1.明確な危機管理システム、特に、モラル・ハザードを抑えるだけの十分な監視制度。2.ユーロ圏内の不均衡解消策、特に、黒字国と赤字国の調整政策。たとえば、ギリシャやスペインが緊縮策を採るだけでなく、ドイツが刺激策を採ること。3.ユーロ圏を包括する統一した金融監督・規制。

Wolfgang Münchauは、同時に、ユーロ圏内の相違を超えてECBが権威を保つための政治的なバランスを重視します。ギリシャにも、オランダにも、信頼されるような金融政策を決定することは容易でない(不可能に近い)と言えます。もしドイツのメルケル首相が、ECBの次期総裁にドイツのアクセル・ヴェーバーを就けるなら、このバランスが崩れるかもしれません。つまり、ECBの政策決定は、ドイツの権力を代弁したものと見なされるからです。

ユーロ圏はもっと対外的な統一した姿勢を示すべきです。国際通貨制度の改革は急速に進むかもしれません。そして、統一したユーロ金融市場を形成しておくべきです。

WSJ JANUARY 31, 2010 The 'Secret' of Poland's Success By JACEK ROSTOWSKI

(コメント) ポーランドはヨーロッパで唯一危機を免れた国です。その秘密は何か? 「自由市場の原則を守ったこと」である、とJACEK ROSTOWSKI財務大臣は主張します。ポーランドは不況に対しても財政刺激策を採らず、財政を引き締めました。自由貿易を維持し、外国からの投資を集めました。ポーランドは経済規模が比較的大きく、金融機関はレバレッジを抑えていました。通貨の減価はポーランドの不況を緩和しました。企業や出稼ぎ労働者は危機に積極的に対応したのです。

FT February 1 2010 The best course for Greece is to call in the Fund Jean Pisani-Ferry and André Sapir

(コメント) もしギリシャがユーロ圏でなければ、ハンガリー、ラトビア、ルーマニアと同様に、すでにIMF融資の対象になっていたはずだ、とJean Pisani-Ferry and André Sapirは考えます。ところがユーロ圏であるために、ギリシャは債務危機にならない(という誤解があり)、また、ユーロ圏内の国際収支不均衡に対する融資制度を利用できる、そのせいでIMFは介入しないわけです。

事態が悪化したのは、ECBが緊急融資の担保としての条件を厳しくし、ギリシャ国債が外れたからです。同時に、ギリシャ政府は再建策を示していません。では、なぜIMF融資によって処理しないのか?

EUは二つの理由でそれを拒んでいます。1.ユーロ圏が自分で問題を解決できないこと、IMFを介してアメリカ政府の助けが必要になることを嫌うから。2.EU内の政策監視機能、特に、安定・成長協定が損なわれるから。そこで、EUの財源、もしくは、豊かなEU加盟国からの救済融資が考えられねばなりません。

欧州委員会はギリシャの財政再建を監視できるでしょうか? 対外債務とEU加盟諸国内の安定協定との、どちらを優先するか、難しいでしょう。しかし、これも政治的な判断です。・・・ギリシャ政府への反感が強まる? ユーロ加盟諸国が意志統一できない? 一部の国は救済を受ける可能性もあるので離脱する? より大規模な国の救済融資にも同様に対処できるか?

それゆえ、むしろギリシャをIMF融資の処理に委ねるべきだ、とPisani-Ferry and Sapirは主張します。

WSJ FEBRUARY 1, 2010 Greece's Long Road to Default By DESMOND LACHMAN

(コメント) EUからの支援を受けてギリシャはデフォルトを免れる、という楽観をDESMOND LACHMAN否定します。

なぜなら、EU内で競争力を回復するためにはギリシャの物価と賃金が20%〜30%も下落しなければなりません。それには、切り下げができない以上、数年に及ぶ低成長と高失業の期間が必要になり、その影響で公的債務のGDP比率が150%を超えるだろう、というわけです。これは持続不可能である、と。

FT February 2 2010 Medicine for Europe’s sinking south By Nouriel Roubini and Arnab Das

(コメント) Nouriel Roubini and Arnab Dasの優れた整理は、多くの他の論説を整理する基本的枠組みになるでしょう。

金融危機で信用が逼迫したとき、世界中にレバレッジを拡大しすぎた政府や銀行がありました。住宅債券が焦げ付き(アイスランド、アメリカ、イギリス、スペイン、アイルランド、中東欧諸国)、銀行が破たんし(アイスランド、アメリカ、EU,ロシア、旧ソ連圏)、準政府債券が返済不能になり(ウクライナ、ドバイ)、そして政府債券がデフォルトになろうとしています。それがギリシャです。

財政破綻と競争力の喪失は東欧諸国と共通です。ユーロ圏に参加するという期待から「コンバージェンス取引」が過熱しました。ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインの国債がドイツの国債並みに低金利で発行できたわけです。この信用ブームは生産性の改善を超えて賃金を上昇させ、伝統的な輸出部門から競争力を奪いました。硬直的な官僚主義と労働・財・サービス市場は、EUの平均賃金より低かったにもかかわらず、高付加価値分野への投資を妨げました。2008-09年のユーロ高がそれを加速したのです。

債券の金利が上昇すれば、ギリシャもアイルランド・ハンガリー・ラトビアが採った財政緊縮策を採用すべきです。それはドイツが再統一後に行ったように、大幅な実質賃金の切り下げと競争力を高める構造改革により、内的な通貨価値の切り下げを行うことです。

他方、より安易な選択は財政の手直しやごまかしで調整を遅らせることです。それは2010年半ばにもギリシャの債券発行を不可能にするでしょう。その結果、1.他のEU加盟国による融資を受ける、2.IMF融資、3.今までになかった国、たとえば、中国からの融資、4.切下げ、デフォルト、新「ドラクマ」通貨への債務の転換、すなわち、アルゼンチン型再編、が指摘されます。

信用できる財政緊縮計画をギリシャ政府が発表して、EUの連帯を掲げ、ECBや主要加盟国がその表現を改めれば、ギリシャ債券の金利が下がって危機を脱する、という期待があります。しかし、EUだけではIMF融資のような条件がなく、監視も不十分です。RoubiniらはIMFを排除しない介入を支持します。

ギリシャの問題は、財政統合、政治統合を伴わない通貨統合の持続性について、疑問を強めました。なぜなら、アメリカでも多くの州が財政破綻しますが、地方の問題は連邦レベルで解決されているからです。財源が補てんされるか、破産処理されます。ユーロ圏にもそのような分担メカニズムが必要です。スペイン、イタリア、ポルトガルなども、ギリシャと原理的に同じ問題です。

アイルランドの緊縮財政、ポルトガルのデフレ、ラトビアやハンガリーの期待引き下げ、など、ユーロ圏に属するすべての国が厳しい選択に直面します。政治的・財政的な統合を欠き、労働力移動も不十分で、資本移動が自由香されたユーロ圏では、そのような厳しい調整が不可欠です。

救済融資を禁止するなら、財政的な分担(たとえば、債務の組み換え)を公式のルールとして認めることです。さもないと、不況のたびにユーロ圏解体が議論されるでしょう。

NYT February 2, 2010 The Not-So-Safe Euro Zone

(コメント) ギリシャの対外債務と財政赤字はユーロ圏の合意を無視しています。ギリシャの雇用や税制は腐敗・脱税によって破綻しています。それでも、ギリシャを救済して財政を国際管理しなければ、ユーロ圏の金融不安は収まらない、とNYTは考えます。ユーロ圏の信頼を回復するために、フランスとドイツが救済策とその条件を示すように求めています。

BBC 2010/02/03 Greece to face economic scrutiny

BBC 2010/02/03 EU to police Greek accounts

BBC 2010/02/03 Could Greece be expelled from the eurozone? By Andrew Walker

SPIEGEL ONLINE 02/03/2010 Pressure to Reform

FT February 3 2010 Greeks in bondage

(コメント) EU単独による緊縮策の監視が始まりました。これに対してギリシャの労働者たちが激しく抗議します。・・・なぜ労働者が代償を強いられねばならないのか?

The Guardian, Thursday 4 February 2010 Greeks must fight the neoliberal EU Costas Douzinas

(コメント) 病気よりも治療の方が多くの苦しみを与えるなんて、受け入れがたい、と労働者たちはEUの強制する緊縮策に反対します。・・・燃料の増税、退職年齢を引き上げ、公務員給与の引き下げ、特に研究職は40%も引き下げ。・・・現在の不況から、緊縮と歳入減の悪循環を経て、永久の貧窮経済に向かいます。・・・ヨーロッパの民主主義と社会モデルが失われる、ギリシャがその戦場です。


LAT January 30, 2010

Okinawa's air base battle

WSJ FEBRUARY 4, 2010

Will America Defend Its Asian Allies?

By ANDREW SHEARER

(コメント) 米軍が沖縄から撤退すれば、日米安保やアジア諸国の戦略は大きく転換し始めるでしょう。LATは、既存の合意を実行するように鳩山政権に求めつつも、それができない場合を考慮し始めます。

台湾への武器売却問題や、ダライ・ラマのオバマ大統領訪問、など、米軍の安全保障は、アジアの何を、どこまで守るべきでしょうか? アメリカの防衛計画見直しは、中国やアジアにおいて強化を唱えつつも、その細部は曖昧だ、とANDREW SHEARERは批判します。アジア各国は高性能の武器をさらに購入し、軍拡競争が加速しそうです。

しかし、ギリシャの不安がもたらすユーロ安や、アジアの不安がもたらすアメリカ製武器の購入が、漸くグローバル・インバランスの緩和をもたらすとしても、誰もその調整を喜べないでしょう。


WP Saturday, January 30, 2010 Populism popular at the World Economic Forum in Davos By David Ignatius

WP Saturday, January 30, 2010 At Davos, the globalizers are gone By Ian Bremmer

NYT January 31, 2010 Never Heard That Before By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) ダヴォスは世界の潮流を予見します。THOMAS L. FRIEDMANが注目した言葉は、“Political instability” です。しかも、ロシアやイラン、ホンジュラス、だけでなく、アメリカについて、人びとは不安、予測できない、と感じています。・・・アメリカが世界を不安にする。

銀行も、多国籍企業も、ヘッジファンドも、カザフスタンやアルゼンチンに投資する前に政治的リスクを検討します。アメリカについても、投資機関には政治アナリストが必要です。

「北京コンセンサス」が不安を解消するでしょうか? IHTのKatrin Bennholdが指摘したその特徴を紹介しています。北京コンセンサスとは、「儒教と共産主義と資本主義」の混合種です。単一政党が支配する強力な政府指導がともない、資本市場は規制されます。日常的な人気投票に煩わされることなく、権威主義的な意志決定で、難しい選択も、長期投資も行えます。

アメリカ政治や経済の麻痺状態を思えば、ワシントン・コンセンサスの延命や再生は難しい。

The Times February 1, 2010 Which Capitalism?

FT February 1 2010 How the bottom fell out of ‘old’ Davos By Gideon Rachman

(コメント) The Timesの観た世界経済フォーラムは、二つの問題を示しています。長期的には、資本主義の性格が問われ、今直ちに解決すべきは、銀行とボーナスの処理です。資本主義をめぐる旧来の左右の対立ではなく、ソ連やEUでもなく、中国のような新しい挑戦者、権威主義的な国家資本主義が登場しています。

金融危機で失われたのは、市民と金融街との間の社会的合意、信用です。

FT February 2 2010 What the world must do to sustain its convalescence By Martin Wolf

(コメント) 「心臓麻痺で倒れたが、何とか一命を取り留め、さて、どれくらいで完全に回復できるのか、たとえ本当に回復するとしても、さっぱり分からない、そんな男の隣に座っている感じだった。」とMartin Wolfはダヴォスの印象を書いています。

ボルカー・ルールが魔法の杖にはならず、各国は輸出を伸ばそうとしていますが、すべての国が黒字になるような火星への輸出は(まだ)できません。危機を脱して、各国が政治を正常化すれば、アメリカもEUも中国も、G20型の協調に積極的に参加する姿勢を失いました。

Martin Wolfの掲げた世界GDPに占める割合を示すグラフは意味深長です。G7は1995年頃に50%を割り、今や40%を切るところです。他方、ブリックス諸国は急速に増大し、25%に迫りつつあります。ここに覇権の衰退と政治・金融不安を見るか、あるいは、火星を見出すか?

The Times February 4, 2010 We need a new capitalism to take on China Anatole Kaletsky

(コメント) グローバルな資本主義システムは移行過程に入りました。1930年代、1970年代がそうであったように。

・・・中国やロシアの挑戦を否定したり、その調和や収斂を期待したりするのは間違いだ。アメリカの資本主義と中国の資本主義は、長期的に、衝突するしかない。市場が常に正しい、というサッチャー=レーガン型資本主義は危機によって変わらなければならない。新しい資本主義、Capitalism 4.0を求めて、多くの変化はすでに起きており、多くの問題が既に提起されている。


The Japan Times: Saturday, Jan. 30, 2010 Year of U.S.-China discord? By IAN BREMMER and DAVID GORDON

(コメント) 米中関係は、彼らが今なお「経済的MAD(相互確証破壊)」に頼って回復しつつあり、そのことを双方の指導者が意識していること、アメリカの「ポピュリズム政治」と中国の「国民的威信回復」とが真正面でぶつかり始めたこと、を示しています。

そして、このまま、中国は輸出を増やし続け、アメリカはドル安を促すのでしょうか? 中国のGDPが世界GDPの10%に達し、アメリカの失業率が10%に達したとき、その衝突は避けられません。アメリカ議会が保護主義を唱え、中国政府はドル体制からの離脱を唱えています。

何が衝突のきっかけか? アメリカは中国に国際政治の責任を引き受けるべきだと主張します。中国政府は国内市場における指導的企業の育成を外国企業の犠牲によって進めています。アメリカでは中国製品の安全性、中国における知的所有権の保護、が強い疑念を残しています。そして、2008年の大統領選挙では、候補者の中国に対する姿勢を争点としていませんでした。

LAT January 31, 2010 China, and children as a commodity

WSJ JANUARY 31, 2010 Standing Up for Taiwan

The Guardian, Sunday 31 January 2010 Beijing raises its voice Martin Jacques

(コメント) アメリカが台湾への63億ドルの武器売却を認めたことは、中国政府の激しい抗議を引き起こしました。軍の相互交流を停止し、武器売却に関わる企業への制裁措置など、厳しい対応を示したことは、世界のバランス・オブ・パワーが変化したことを意味する、とMartin Jacquesは考えます。

FT February 1 2010 China overplays its hand on Taiwan

WSJ FEBRUARY 1, 2010 China Won't Be a 'Responsible Stakeholder' By JOHN LEE

FP Monday, February 1, 2010 Can the U.S. afford to continue supporting Taiwan? By David Rothkopf

FP Monday, February 1, 2010 Arms to Taiwan, and a course correction in Asia? By Will Inboden

(コメント) アメリカは何のために台湾の安全を保障するのか?

冷戦終結後のアジアにおいて、アメリカは同盟諸国、すなわち、日本韓国、オーストラリア、もちろん、台湾をまとめて、安全保障を築いてきました。オバマ政権が台湾への武器売却を、中国の抗議にもかかわらず、支持することは、アメリカがアジアの安全保障に関与する姿勢を示す上で重要です。アメリカは、一方で中国の市場開放と成長加速を支持し、他方で、台湾の平和的な統一を支持してきました。中国の抗議は、日米関係の見直しとともに、これを動揺させる理由です。

Will Inbodenは、EUの対中政策に見られる欠陥を指摘します。中国市場がますます重要になると、ヨーロッパ各国は中国との友好関係を競い合い、より有利な条件を得ようとして対中政策を弱めています。このような事態を回避しなければなりません。中国の台頭に、アメリカ、ヨーロッパ、日本、インドなど、自由、繁栄、平和、を掲げて、中国を国際秩序に取り込む必要があります。

たとえばベトナムは、中国の台頭を意識して、対米関係の改善を優先し、そのシグナルとして政治犯を釈放し、信仰の自由を認めた、という指摘があります。

chinadaily.com.cn 2010-02-02 Sino-US relations, a bumpy road By Yuan Boyang

WSJ FEBRUARY 2, 2010 The China Export Edge By ALEXANDRA HARNEY

Foreign Affairs, February 2, 2010 The End of the Beijing Consensus Yang Yao

(コメント) 北京大学のYang Yaoは、中国政府自身が改革によって「私有制と国有制の複合、基本的所有権、広範な政府介入」をその特徴とする「北京コンセンサス」をすでに脱した、と主張します。この30年間の改革は、財政を健全に保ち、経済開放、民営化、市場自由化、私的所有権の保護、という新古典派経済学の市場原理を実現するものでした。国営企業の80%はすでに民営化され、株式を公開した企業もあります。

Yang Yaoが重視するのは、こうした市場自由化の結果、中国にもアメリカ並みの所得格差が表れ、特に都市と農村の格差は社会問題となっているけれど、中国政府は特定の経済集団の利益に偏ることなく、中立の立場を維持してきた、という点です。その結果、共産党政府は「他の権威主義体制に比べて、成長を高める(市場に依拠した)政策を採用する傾向があった。」

そして、この開放政策と自由化政策の結果として、社会的な不満を緩和するために政府の市場介入は拡大しています。それでも民衆の抗議を意識する中で、政治的なバランスを保つ先進諸国の方法として、中国政府も民主化の導入を避けられない、とYang Yao考えます。

FP FEBRUARY 2, 2010 Big Trouble With Big China BY JOHN LEE

FT February 3 2010 It is the poor who pay for the weak renminbi By Arvind Subramanian

(コメント) 人民元の価値を政府が過小評価した水準に固定している、という批判は、もっぱら中国の貿易黒字とグローバルな不均衡問題として議論されています。Arvind Subramanianは、その結果、中国は関心を持たず、真の犠牲者が隠され、政治的な解決を難しくしている、と指摘します。不均衡を「過剰貯蓄」と「過剰消費」で非難し合っても意味はなく、中国政府は外国から強制されて政策を変更しません。

Subramanianは、人民元の過小評価を保護貿易政策とみなします。そして、その犠牲者は、他の新興経済や発展途上諸国なのです。すなわち、ブラジルのように資本流入が通貨価値を引き揚げて成長を損なう恐れがあります。あるいは、多くの発展途上諸国が輸出という成長のエンジンを奪われました。彼らが一緒に中国の政策転換を要請することで、その重商主義政策、近隣窮乏化政策を終わらせるべきだ、と。

IHT February 4, 2010 Who Needs Whom More? By PHILIP BOWRING

(コメント) 台湾の武器売却について、中国がアメリカ企業に制裁を科す? そこで疑問が生じます。誰が誰により多く依存しているのか? アメリカ企業は中国市場を失うことに耐えられないのか? あるいは、長期的に、中国経済の成長がアメリカ市場を失うことに耐えられないのか? 中国こそ、今なお、アメリカ市場や外国企業の投資と技術移転に依存しているのです。

Feb. 4 (Bloomberg) Biggest Bubble in History Is Growing Every Day William Pesek

WP Thursday, February 4, 2010 A growth lesson from China By George F. Will

WP Thursday, February 4, 2010 It's time for the Obama administration to burst Beijing's bubble.


The Guardian, Sunday 31 January 2010

Making globalisation pay

Khaled Diab

(コメント) Khaled Diabは、グローバルな最低賃金を提案します。普通、それは無理だろう、と思いますが、グローバリゼーションはその条件を形成します。

ここで問題となったのは、多国籍企業が各国政府の補助金や労働者の賃金格差を利用して大きな利益を得ていることです。ベルギーのビール会社は多国籍企業に買収され、その会社は同時に外国で安価な労働力も利用し、アメリカのビール・ブランドを企業買収し、巨額のボーナスを支払っています。またGMは、ドイツの補助金を得るため、利益の出ているアントワープ工場を閉鎖してしまい、失業者が増えました。

市場競争は効率的な生産を組織して富を増やすはずですが、企業は各国政府に補助金を競わせ、工場を移転して労働者の賃金を引き下げ、分割された市場を多国籍企業に有利な形で利用しています。そうであれば、規制や介入を制度化する方が、社会的に望ましい結果をもたらすでしょう。

Khaled Diabは、多国籍企業が自国で保証している最低賃金の半額を、世界のどこでも、雇用する労働者に支払うよう求めています。多くの批判はあるでしょうが、これも改善に向けた試みです。あるいは、「頭脳流出」や工場移転への課税を組み合わせて、雇用調整基金を設けてはどうでしょうか?


NYT January 31, 2010 The State of the Union Is Comatose By FRANK RICH

NYT February 2, 2010 The Geezers’ Crusade By DAVID BROOKS

WP Wednesday, February 3, 2010 A jobs lesson from the New Dealers By Harold Meyerson

FP Thursday, February 4, 2010 Fiscal misery and good company Posted By Phil Levy

(コメント) アメリカ国内政治の観察です。一般教書演説、共和党からの攻撃、医療保険制度改革を成功させる社会運動、雇用対策、財政赤字と資本の奪い合い?


FT January 31 2010

How Guantánamo could rescue Iceland

By David Hale

(コメント) グァンタナモ基地を誘致して金融危機から脱出する。David Haleは、アルゼンチンの通貨危機に際しても、アメリカのミサイル防衛網の拠点をアルゼンチンが提供せよ、と提案しました。好悪はともかく、アメリカの軍事基地がある国は通貨危機にならない、という指摘に、国際秩序の政治条件を強く感じます。

David Haleは、120億ドルのGDPしかないアイスランドがイギリスとオランダに56億ドルの預金を払い戻すことは容易でない、と認めます。しかし、アイスランドの金融破たんは、同時に、アメリカとの安全保障同盟を失った結果でした。冷戦下のアイスランドにはアメリカ軍のケフラヴィーク基地があり、大西洋の空軍中継地としてアメリカとの特別な関係を保っていたのです。冷戦終了により、4年前に、基地は撤去されました。

・・・もしアメリカ軍がまだアイスランドに基地を持っていたら、ポールソン財務長官やバーナンキ連銀議長はヨーロッパの銀行に電話して、クレジット・ラインを維持するように求めたはずだ。ペンタゴンはイギリス大蔵省に電話して、反テロ法を使ってアイスランド最大の銀行の資産をイギリス政府が接収するのをやめさせただろう。格付け会社はアイスランド債券の格付けを大きく下げることはなかったし、それゆえ銀行に取り付けも生じなかった。逆に、金融危機に乗じて、カウプシング銀行はイギリスのRoyal Bank of Scotlandを買収したかもしれない。

さて、冷戦を再現することはないでしょうが、David Haleはオバマ政権がほしがっている条件を知っています。グァンタナモ基地を海外に移転することです。アイスランドがそれを引き受けて、預金の返済や通貨価値の下落を免れます。実際、13人の囚人を引き受けたパラオに、アメリカ政府は2億ドルを支払いました。


Feb. 1 (Bloomberg)

Toyota Recall Is Moment to Counter China’s Rise

William Pesek

(コメント) William Pesekは、GDP世界第2位の地位を中国に奪われた日本人の気持ちを「悲哀」とみなします。・・・それに加えて、日本を代表する優良企業、トヨタは数百万台の自動車をリコールし、日本航空は倒産する! 中国が2020年までにアメリカを抜くという予測も、耳に入りません。

中国の経済規模が「チャイナ効果」を及ぼします。経済規模で並ぶだけでなく、もし人民元が3割から4割も過小評価されているとしたら、また、その人口規模が11倍もあることを思えば、日本より大きな影響をすでに及ぼすのは当然です。たとえ一人当たり所得が13分の1でも。

日本政府・企業は繰り返し構造改革を唱えてきました。バブル破たん、失われた10年、アジア通貨危機、アメリカの金融崩壊。しかし、そのたびに改革を延期し、国債を累積し、円安を求めたのです。

しかし、今や日本企業の業績は中国に依存し、さらに、中国政府はアメリカの債券を世界一多く保有しています。しかも、日本の賃金は企業の競争力を奪い、高齢化が進み、財政赤字がこれ以上増やせない水準に達しています。S&Pは日本国債の格付けを下げようとしています。他方、中国政府は資産バブルに対して真剣に取り組み、所得格差の拡大にも注意を払っています。さらに製造業に依存し続ける日本の不況から学んで、中国はサービス分野の規制を緩和し、生産性を高めようとしています。

日本は、確かに、急速に拡大する隣国の市場に対して輸出できる絶好の位置にいます。しかし、安全保障面ではアメリカに頼っています。

日本政府は警鐘に対して目を覚まし、トヨタの復活とJAL再建を推進するしかありません。

YaleGlobal , 3 February 2010

Will Japan Emerge from its Shell? – Part I

Edward J. Lincoln

WSJ FEBRUARY 3, 2010

Tokyo's Economic Crack-Up

(コメント) Edward J. Lincolnの論説は物足りません。・・・日本は国際公共財を利用しておりことから、当然、もっと公的な負担を引き受けるべきでした。アメリカ政府の要請にもかかわらず、日本は動きませんでした。その理由として、戦争の記憶、保護主義的な政策・成長パターン、同質的な社会・文化、を指摘します。それでも日本企業の海外進出と日本人の留学ブームによって、漸く条件が変化しつつあります。安全保障を分担しないとしても、一つの有望な分野は、環境政策です。

その前に、政府は深刻なデフレを解決しなければならず、国際戦略どころではないでしょう。


SPIEGEL ONLINE 02/01/2010 After Minarets, the Germans: The Swiss Populists' New Enemy No. 1

LAT February 3, 2010 France's misguided plan to ban burkas

SPIEGEL ONLINE 02/04/2010 'City of the Future': Italian Village Welcomes Refugees with Open Arms By Juliane von Mittelstaedt

(コメント) スイス、フランス、イタリア、ヨーロッパ各地の移民・人種差別問題です。

マフィアは嫌うだろうが、イタリアの外国人労働者受け入れ計画は成功している、とJuliane von Mittelstaedtは伝えます。イタリア南部では労働者が北部やドイツ、アメリカへ流出し、それを補うように海外からの流入が起きています。

イタリアの村Riaceの村長Domenico Lucanoは、人口が減少してバー、商店、教会、学校が閉じてしまった村を復活させるために、世界から移民や難民を受け入れます。ソマリア、エリトリア、アフガニスタン、ボスニア、イラク、レバノン・・・

He is a small man with big dreams and a favorite word: utopia. He is not a member of any political party, and when he ran for office, his campaign was based on nothing but a simple idea: The poorest of the poor would save Riace and, in return, Riace would save them. He won the election.

それは、イタリアの最も貧しい地方、最も貧しい土地で生まれた「グローバル・ヴィレッジ(a global village)」です。地元の人々と難民たちは一緒に働きます。ここが彼らのユートピアです。

「エチオピアから来たヘレンは、船で着いたとき妊娠8ヶ月でした。Calabrianの綿織物工場で高品質の羊毛を織ります。イラクから来たムハマドは、マフディ派民兵に迫害されていましたが、今ではケバブを売り、建設現場で働きます。小柄なソマリア人女性のシュクリは、23歳ですが13歳に見えます。二人の子供の母親です。彼女はガラス吹き職人として働き、ガラスから蝶をつくります。」

1600人の住民に220人の移民が加わり、村長は人口が3000人に回復することを期待します。

数週間前に、Rosarnoでアフリカからの移民労働者が暴動を起こし、弾圧されました。Lucano村長はテレビのインタビューで、移民たちを歓迎する、と発言しました。3人のギニア出身の少年たちが村を訪れ、Lucanoはルールを説明しました。彼らはその内容にショックを受けます。奇跡だ、と彼らは思いました。

老人たちは村の若者たちと衝突することを恐れましたが、彼らも移民たちと一緒に働いています。マフィアだけは嫌っています。この村では、治安を確保してやる、という名目を失いました。

NYT February 4, 2010 A Bitter Guest Worker Story

(コメント) アメリカが移民法を改正しなければ、そして、移民を生み出す社会に雇用や成長がなければ、人身売買や強制労働、国際奴隷貿易はなくなりません。


NYT February 3, 2010

When Economics Meets Politics

By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) 政治的な、あるいは、地政学的な意味で、2009年は予想外に静かな年でした。主要国は国内経済の回復に集中できたのです。しかし、2010年は難しい、とTHOMAS L. FRIEDMANは考えます。

三つの問題を指摘します。1.アメリカの銀行システム改革(資本主義の心臓を手術できるか?)。2.中国によるインターネット規制と産業・技術スパイ(中国政府による組織的な産業諜報活動がある中で、中国の電子機器製品・ソフトを買えるか?)。3.イラン核武装を阻止するための経済制裁(民主化を弾圧するイラン革命防衛隊に対する制裁を目指すが、その効き目がなければアメリカ・イスラエルの空爆が待っている?)。

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The Economist January 23rd 2010

Stop!

The growth of the state: Leviathan stirs again

Reforming banks: The weakest links

Reforming banking: Base camp Basel

Schumpeter: The tale of Mr. Jackson

(コメント) 金融危機と不況は政府を膨張させ,「大きな政府」,「福祉国家」,「ケインズ主義」,などが復活しているように見えます.しかし,それは短期的な現象でしかない,とThe Economistは考えます.

しかし,政府の拡大は他の原因もあります.左派が重視する,人口の高齢化と年金・医療費の増大.右派が重視する,戦争,テロ,麻薬,移民,国境監視.そして,グローバリゼーションの下でも,大きな政府を世界的な国家間競争にフル稼働させる中国,ロシア,など,新興諸国家の軍備計画,企業・資源・資源・情報をめぐる<戦争>,さらに政府系投資信託の増大.

その長期的な見通しは? ・・・政府の肥大化は,それ自体の中に抑制する要因が働く余地がなく,資源を浪費し,規制や保護を増やします.本当に優れた者は,それらの外に,フロンティアの彼方に育つでしょう.

特集記事は,短期的な肥大化は,すでに各地で大きな政府に対する反対運動,あるいは,資本市場の反発を受けている,と紹介します.真に政府が担うべき仕事は何か? 政府がいくら大きくなっても,金融危機を防ぐことはできません.むしろ,政府の債務危機が広まる気配です.

銀行システムの安定化を確保する望ましい対策とは何でしょうか? The Economistは,BISの自己資本規制に批判的です.自己資本を大きくしても,あまりにも複雑で,絡み合った銀行システムは,最も弱い部分から崩壊するからです.また,景気回復のためには,自己資本を増やすために融資を減らすような条件を示せません.

もっと違う方法はないのか? 二つのアイデアを示唆するにとどまります.銀行に自動的な自己資本注入を,あるいは,銀行システムの安定化する部分だけ分離を.


The Economist January 23rd 2010

China’s assertiveness at sea: Choppy waters

Capitalism in China: The spirit of enterprise fades

China’s economy: Central heating

Ukraine’s election: Five years on in Kiev

Georgia and Russia: Ungodly suffering

Manufacturing blues: Another one bites the dust

Education: Reaching the poorest

(コメント) 中国に関する記事が興味深いです.エネルギー,輸送,安全保障,国家(そして軍)の威信,などが関わって,中国の成長は東シナ海や周辺地域で紛争の条件をいつも抱えています.他方,経済に関する記事は,改革開放の起源となった最初の輸出加工区から,急速に発展し,都市化した(シェンチェン)市を紹介します.初期の新興企業ブームは終わり,大企業や法律,賃金の上昇,などで,起業家はもっと農村部に移ってしまいました.また,世界恐慌を回避する素晴らしい役割を果たした中国の景気刺激策が,すでにボトルネックを示し,過熱とインフレを抑える局面に入ったかも知れません.すなわち,人民元の増価を再開するときです.

ウクライナとグルジアに関する記事(後者は書評です)が印象的です.オレンジ革命のカリスマ指導者は権力の虜として「ガス・プリンセス」,プーチンの理解者に転じました.グルジア戦争は,ロシアの準備した戦争であり,西側のイデオロギーを振りまくサーカシビリ大統領を懲罰するものであったにもかかわらず,西側の沈黙,メディアの偏向(サーカシビリの暴挙)は不当だ,という本を紹介しています.

歴史あるイギリス企業は次々に買収された,という不満を,日本国民も抱くようになるのでしょうか? 世界の最貧困層に教育をもたらす記事に,私は注目します.