IPEの果樹園2010

今週のReview

1/11-/16

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* 感嘆キー・ワード **********************

初めの10、 イランの抗議デモ、 金融危機後の日本病帝国、 日本の迷走、 アイスランド、 中国、 G富裕層、 ユーロ圏の苦しみ、 朝鮮半島、 金融改革、 多角主義、 国民DNA

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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


FT December 30 2009 Awaiting the start of the 21st century

(コメント) 21世紀がどうなるか、最初の10年で予測するのは難しいでしょう。しかし、20世紀末の(日本を除く)欧米ユーフォリア、金融ビジネスに支配されたグローバリゼーションに代わって、9・11とアメリカの新しい戦争が始まり、世界金融危機とグローバル・インバランス、大恐慌回避のためのG20、アフガニスタン増派、環境サミットの失敗、で終わったことは象徴的でした。その背後には、常に、米中の覇権協調(もちろん対立を抑えたチャイメリカ体制)があったわけです。

FTは、世紀の始まりを回顧します。1910年には、ロンドン、ウェストミンスター大聖堂で、エドワード7世の大葬儀が催されました。そこでは、ヨーロッパの8人の王、ドイツの皇帝、オーストリアやオスマンの帝国を引き継ぐ者たち、エジプト、中国、日本の王室、そして多くの幼君や皇太子が握手していました。しかし、彼らは20世紀を決定する人々ではなかったのです。

大葬儀は、19世紀の最後の大歓声でした。1914年に第一次大戦the Great Warが起きて、革命をもたらし、帝国を破壊し、アメリカを世界権力として、初めて20世紀が形成されたのです。

19世紀の最初の10年も18世紀のエピローグでした。フランス革命の後、戦争を経てナポレオンを封じ込め、1814年のウィーン会議が19世紀のヨーロッパを形成しました。また、18世紀が始まったのも、1713年のユトレヒト条約でした。フランス、ブルボン王朝の拡大が阻止され、ヨーロッパにおける勢力均衡が成立したのです(そしてヨーロッパの外で大英帝国の建設が進みました)。

16世紀も、二つ目の10年間で重大な事件が起きました。1517年、マルチン・ルターがヴィッテンベルグ教会の扉に「95カ条の論題」を貼りつけました。それはヨーロッパを150年にわたって抗争に巻き込む宗教改革の始まりでした。

もちろん、世紀の区切りは人為的なものであり、最初の10年間に特別な意味はありません。しかし、数字が人間心理に及ぼす力はあるようです。それがキリスト教の暦に従うのも、金融危機など、グローバリゼーションの結果です。

願わくば、21世紀最初の10年が20世紀の悪夢の終幕であってほしい、とFTは祈ります。21世紀の形は、これから始まる10年間で起きることによって決まるでしょう。

NYT January 1, 2010 The God That Fails By DAVID BROOKS

(コメント) DAVID BROOKSは、航空機爆破テロ未遂について、アメリカ国民がヒステリックに叫ぶのを抑えます。システムは神ではない、と。

アメリカ人は(そして日本人も一層)、制度を過度に信頼しています。かつてはそうではなかった、とDAVID BROOKSは考えます。制度には必ず欠陥があり、歴史は予想しえないし、菅理し得ない。人びとは政府からの支援に感謝するが、自らの運命に対して責任を負った。

こうした成熟した態度が失われ、今では政府の失敗をヒステリックに糾弾します。政府は完璧でなければならない。いかなる失敗も政府に責任がある。それはまるで、何でも世話してもらえる若者が、両親にもできないことがあると、怒り出して叫ぶようなものだ、と。

アメリカ人はテクノクラシーの神を信仰してしまったのか? 技術支配国家は、確かに膨大な情報を蓄え、結びつけて、テロ対策本部を作りました。しかし、どれほどコンピューターをそろえても、監視システムは予測に失敗し、現実の性質を変えることはできません。個人の多様性はコンピューターに収まらず、余りにも膨大な情報によって、むしろ決定的な証拠は見逃されてしまいます。

信頼できる社会は、常に、そのようなリスクを考慮しておくべきです。ところが多くの人々は、まるで自分たちの信仰を損なわれたかのように、子供じみた非難を繰り返します。

China Daily 2009-12-31A triumphant decade

LAT January 2, 2010 It was the worst of times Tim Rutten

The Guardian, Saturday 2 January 2010 In the next decade, I hope global capitalism will end Cath Elliott

(コメント) 中国が最初の10年に満足と自信を示すのは無理のないことです。もちろん、自己満足や国際秩序への無関心を示すとしても、波乱や不満、国際秩序の一方的改変を唱えるより、少なくとも今は、好ましいものだと思います。

注目すべきは、アメリカが強い不満と孤立に向かう可能性です。最近、83歳で亡くなったジャーナリスト、Tim Ruttenは、最悪の年だった、と振り返っていました。特に、ウォール街の金融詐欺が横行し、人びとが金融部門の虚構の富に振り回されました。それが終わって、富は減少し、雇用も増えず、経済再建が行き詰まっています。

Cath Elliottは、戦争が終わること、貧困が亡くなること、自由に生き方を選べること、世界中の子供たちが、性別や、人種や、出生地にかかわらず、十分な教育を受けられること、清潔な水、食料を得て、病気から守られることを願います。

それは容易ではないでしょう。そのためには、国際法や、世界を導く優れた権威がなければなりません。しかしせめて、世界資本主義を終わらせてほしい、と願うのです。政府や国際機関は、裕福な少数者のためではなく、多くの貧しい人びとの生活を改善するために尽くしてほしい、新しい国際政治は利己的な関心でなく、人道的な目標に向かってほしい、と。

NYT January 3, 2010 Fruitful Decade for Many in the World By TYLER COWEN

The Observer, Sunday 3 January 2010 We need credible leaders with credible policies

NYT January 3, 2010 Ten for the Next Ten By BONO Dublin

(コメント) 世界史にとっては大成功であったこの10年を、アメリカ人は受け入れられないだろう、とTYLER COWENも認めます。

中国、インド、インドネシア、ブラジルを合わせれば、世界人口の40%以上を占めます。それらの成長率は高く、もし(欧米日の)成長率が1%であれば所得が倍増するのに70年を要しますが、(新興国は)5%であれば約14年で倍増します。アメリカがいくら世界の指導権を保持していると思っても、アメリカだけでは世界を動かせないことは明らかな時代が始まっています。

成長は新しいアイデアから生じる、とTYLER COWENは指摘します。そして、最近の携帯電話市場が新興諸国で拡大していることを例に挙げて、新しいアイデアは新興諸国の企業から次々に生まれている、と書きます。アメリカは1歩後退し、世界は2歩前進したわけです。

もちろん、他国の豊かさや創造性は、われわれをも豊かにするでしょう。たとえわれわれが一番であるという気分を失うのが、あまり楽しくないとしても。

The Observerは、労働党と保守党との違いを示し、イギリス社会をより公平で繁栄した姿に導く、信頼できる政府を求めています。

NYT January 5, 2010 An Uneasy Feeling By BOB HERBERT


FT December 30 2009 Iran protests turn into open rebellion

WP Friday, January 1, 2010 In protesters' fight for justice in Iran, U.S. stands on the sidelines By William Kristol

LAT January 6, 2010 An opposition manifesto in Iran By Robin Wright

(コメント) FTは、オバマがイランの抗議デモを支持し、ヨーロッパと協力して、慎重に革命防衛隊への圧力を増す制裁措置を取る姿勢を支持します。極端な制裁を発動して、イランの政治体制に反米ナショナリズムを扇動する口実を与えてはならないから、と。

世界は「自由な国」と「自由でない国」とに分割されている、とオバマは考えます。自由な国では、人びとは政府に同意するか、同意しない場合は新しい政府を組織する(間違った政府を倒す)活動を許されています。それはどちらも自分たちの幸福や安全を実現するためです。

オバマはアメリカの伝統により、イラン人民とともにアメリカは歴史を前進させる側に立つ、と約束します。トマス・ジェファーソンが独立宣言で書いたことです。そして、ジェファーソンは人類の権利としてそれを認めつつも、アメリカ国内に存在する奴隷制を受け入れるために、この『言い訳』を必要としました。将来、この問題も解決されるに違いない、と

その後も、人類の権利を要求する革命の波は世界に広がり続けました。2010年にはイランで体制転換が起きる。

The Guardian, Wednesday 6 January 2010 These protests should shame the west into a change of policy on Iran Timothy Garton Ash

FP JANUARY 6, 2010 Think Again: Iran's Green Movement BY HOOMAN MAJD

(コメント) Timothy Garton Ashは、イランと核開発交渉について合意を得るために、米欧は反政府デモを弾圧するイラン政府の姿勢に強く反対できないのか、と問い直します。

不正選挙によってアフマディネジャドが当選したことに抗議した運動から7カ月を経て、反政府活動は鎮圧されるどころか、その当時のデモの規模に戻りつつあり、さらに勇敢に、さらに憤慨して、彼らは現体制の根本的な転換を要求しています。それでも体制が維持されているのは、軍や革命防衛隊の弾圧が続いているからです。

最高指導者のハメネイは、抗議に参加する者を「神の敵」であると非難します。しかし、体制を擁護する者はむしろ大幅に離反し、支持をなくしている、とGarton Ashは考えます。ハメネイをムハンマドの裏切り者にたとえ、ハメネイの激しい非難を浴びたモンタゼリの葬儀に対して多数の民衆が集まり、反政府デモに参加したのです。

学生や高学歴の若者だけが抗議しているのでなく、経済不況と、アフマディネジャドによる補助金削減も重なって、政府への支持が失われています。予想外の大衆抗議に対して、体制側は秘密の会議において、少数の者が対策を打ち出すばかりで、混乱を深めます。イランの最高の知識人たちにも事態の向かう先は見えません。これはイランの内側で起きている、イランの危機であり、解決できるのはイラン人だけです。

すでに7カ月を経て、米欧の対イラン政策は見直しが必要だ、とGarton Ashは主張します。なぜならオバマは交渉によってイランの核武装を阻止することだけに関心を絞り、ヨーロッパと協力して効果的な制裁を組み合わせることに熱心でした。しかしGarton Ashも、今こそイランをだれが支配するべきかを問い、支配者が交替する最善のチャンスかもしれない、と考えます。そして新政府が成立すれば、核武装も放棄するでしょう。

世界に対して開かれた、平和的な交渉を優先する政府に変わることの方が、安保理で中国やロシアも受け入れ可能な、強い制裁案(それはイランに反帝国主義の宣伝と弾圧を続けさせる)を工夫するよりも効果的です。イランの国内危機を交渉の前進に役立てたい、というオバマ政権のスタッフは、政治のバランスを見失っている、と批判します。

・・・アメリカ政府はイラン内部の政治変化を、単にインターネット上の情報交換、衛星テレビ、携帯電話ネットワークで助けるだけでなく、彼らが西側の声を聞いていることをもっと意識して、言葉によって支持を強めるべきである。特に決定的な瞬間に、彼らが命を賭して自由を得る戦いに身を置いているときに、「西側の関心は核開発を阻止する交渉である」と説明することほど恥ずべきことはない。

言葉とイメージは外交の手段として重要です。オバマはもっと明確に、核の交渉を進める上でも、国内でその市民たちの普遍的な人権を否定し、彼らの血で汚れた手を交渉の席で差し出すなら、われわれがイラン政府と握手することはできない、と述べるべきです。

もしアメリカが核交渉を優先し、また、イランとの貿易額がアメリカよりも多いヨーロッパに交渉の主導権があるとすれば、今こそ、EU外交を代表する新しい組織が行動しなければならない、とGarton Ash訴えます。


LAT December 31, 2009 Trimming the lifelines

NYT January 3, 2010 Avoiding a Japanese Decade

(コメント) 金融危機後の政府介入によって不況を回避し続けることはできません。それがもたらす長期の停滞を「日本病」と呼ぶわけです。

「日本政府は必要な行動を取る決断ができなかった。銀行を処理せず、景気が回復する前に財政刺激策を止めて、経済を外からのショックに非常に弱い状態に放置した。その日本をアジア金融危機が襲い、2001年、アメリカのドットコム株価暴落が襲った。日本の年成長率は、1973年以来平均4%であったが、1992年から2003年は1%以下に落ち込んだ。」

オバマ政権は日本の経験を注意深く学び、その失敗を避けなければなりません。しかし、書いてあるアメリカの対策内容は日本の経験と同じだ、と感じました。アメリカがどれほど銀行の処理を(不況を招かずに)早く済ませられるのか、まだ示されていません。

FT January 3 2010 Unlearnt lessons of the Great Depression By Harold James

(コメント) 大恐慌は避けることができます。しかし、そのために1930年代の教訓を正しく学ぶことは、難しいのです。まず、二つの異なる教訓があります。一つは、ケインズの示した、民間需要が落ち込むことに対して政府が積極的に支出を増やすことです。もう一つは、フリードマンが示した、金融政策を引き締めないことです。

これらは正しく学ばれて2009年に世界大恐慌を起こす危険は去りましたが、次に、銀行を再建することや企業が債務を減らすことは、ミクロの調整問題であり、解決に時間がかかります(一般的な解決策もない)。1930年代の不況を拡大したのは、銀行の不良資産と信用危機が国際市場で波及したことです。1931年、国際的な債権国であったアメリカ、そして今の中国が、金融市場のクラッシュに不安を強めて投資を減らすことで危機は拡大するのです。

これまでは、世界市場の統合化を前提に、ダイナミックで裕福な、開放小国が繁栄してきました。シンガポール、チリ、台湾、ニュージーランド、ヨーロッパの旧社会主義圏、など。しかし、今後は新に帝国的な大国に貿易や投資が集まるだろう、とHarold James考えます。・・・真に帝国的な大国(Big Really Imperial Countries)の時代に戻る。

The Times January 4, 2010 Britain doesn’t need a dose of shock therapy Bill Emmott

(コメント) イギリス経済に必要な財政再建を、ショック療法ではなく、5年計画で行うように求めています。・・・多分これが、この読み取りにくい、複雑な論説の趣旨ではないでしょうか?

実際、景気を刺激する必要があるのに、財政再建もしなければならない。もし一国だけの危機なら、為替レートを大幅に安くして輸出を伸ばし、財政再建をした方がよいのではないか? もし、今もどこかの国がそれを行うなら、世界需要の取り合いになって、後に財政再建する国ほど不利益かもしれません。

そうなると、各国(特に小国)が競争的な減価と財政再建を急ぐことは、世界不況を悪化させるでしょう。「ショック療法を避ける」というのは、大国間の国際協調を要します。

WP Monday, January 4, 2010 In the aftermath of the Great Recession By Robert J. Samuelson

(コメント) アメリカの成長率は、債務を返済するために支出が減るから低下する、と予想されています。しかし、Robert J. Samuelsonの考えでは、そうではない。大不況によってアメリカ社会が保守的になり、老人に支配されて、若者も行動力を失い、その結果、成長率が下がるのです。だから輸出を増やすことに頼らず、国内の新興企業家や革新を促すべきなのです。

WSJ JANUARY 4, 2010 Uncertainty and the Slow Recovery By GARY S. BECKER, STEVEN J. DAVIS AND KEVIN M. MURPHY

(コメント) 危機からの回復が遅いのは、不況に金融危機が重なっているからであり、もう一つは、リベラル派が勝利してさまざまな改革を急ぎ、投資家に不確実さと将来(の増税)への不安を強めたからだ、と主張します。あからさまなWSJの投資家視点です。

Jan. 5 (Bloomberg) Washington, Bernanke, Still Fighting Wrong War Amity Shlaes

(コメント) 今はインフレと戦うべきか、デフレと闘うのか? バーナンキはデフレに執着しすぎている、とAmity Shlaes考えます。それは過去の大恐慌の経験を今の経済構造と誤解しているからです。また、デフレは必ずしも悪いものではない、と指摘します。長期の繁栄を維持する効果もあるから、と。

ドイツのハイパー・インフレーションは不況の混乱を深めました。それは一定の貨幣所得しか得られない人々を窮乏させました。バーナンキが、その権威で、両方の危険を避けるルールを築くことができる、と考えるのは楽観過ぎです。

Jan. 5 (Bloomberg) Double-Dip Risk Seen in ‘Stall Speed’ Recovery Stephen Roach

(コメント) 株価が回復しても、二番底についての不安があります。世界経済の回復に不安を残す4つの理由を指摘します。

1.金融危機は終わっていない。2.世界経済の収縮は大きい。3.需要面で、アメリカの消費は回復しない。4.供給面で、アジアの過剰投資は整理されていない。

さらに、財政刺激策を逆転して財政再建に転換する戦略が世界で同時に行われるかもしれません。他方、中国の輸出に対する保護主義的な反応がアメリカなどから起きるでしょう。

NYT January 5, 2010 This Year’s Housing Crisis

FT January 5 2010 Emerging markets need to target inflation By Ravi Kanbur and Eswar Prasad

(コメント) 住宅バブルの崩壊は、いったん落ち着いたように見えましたが、再び住宅価格を低下させているようです。金融危機や不況に至る危険があります。

オバマ政権の住宅差し押さえ抑制策は、それだけでは住宅市場を回復しません。一方では雇用を回復し、他方では、融資の元本を削減する手段を与えなければなりません。これは銀行の損失につながり、強く反対します。

他方、新興市場の価格下落(と、多分、世界的なデフレ圧力)にも歯止めが求められています。物価水準を一定の範囲に安定化する上でインフレ期待に影響を与える「インフレ目標」が、新興諸国の物価安定(そして金融政策の独立性)にも有効である、と。

Jan. 7 (Bloomberg) U.S. Engine of Growth Is No Longer Sure Thing Syed Salim Raza

The Japan Times: Thursday, Jan. 7, 2010 Grandmasters and the future of global growth By KENNETH ROGOFF

(コメント) チェスにおいて、1997年、IBMのスーパーコンピューターが人間の世界チャンピオンに勝利しました。だから、人口知能の進化が次の金融危機を防ぐ・・・?


FP Thursday, December 31, 2009

Are U.S.-Japan relations really in crisis?

Posted By Josh Rogin

NYT January 7, 2010

An Alliance Larger Than One Issue

By JOSEPH S. NYE Jr.

The Japan Times: Thursday, Jan. 7, 2010

Obama on track in Asia

By RALPH COSSA

(コメント) JOSEPH S. NYE Jr.は、日本の国民を説得する論説を載せていました。他方、NYTではアメリカ政府と一部の関心ある政治家を説得しています。普天間の移転計画を鳩山政権に計画通り進めさせる圧力は、それが日本国民(そして沖縄県人)に怨嗟を残すなら、長期的な戦略関係を大きく損なう危険がある、と。

JOSEPH S. NYE Jr.は明確に書いています。強固な日米関係は、東アジア地域で平和と繁栄を維持するために、中国を国際システムへ迎え入れる条件なのです。日本は北朝鮮の核ミサイルや中国の軍備拡大に将来も対応しなければならず、そのため日米安保を欠かせません。アメリカも、この地域の支配関係が日米中の3カ国の関係で決まると認めています。

しかし、鳩山政権が唱える、「対等な」日米関係、より緊密な日中関係、東アジア共同体はまだその意味が曖昧です。今後、時間をかけて共通の認識を築く必要があるわけです。

日米関係もアメリカのアジア外交の一つです。RALPH COSSAは、日米関係は悪化し、米韓関係は改善した、と書いています。機会があれば、朝鮮半島の交渉を進める可能性が高いでしょう。オバマは大統領選挙において米韓自由貿易協定(KORUS)に反対しました。しかし、双方にとって利益がある、と記事はオバマの政治的決断を求めます。また、韓国政府が軍の指揮権を回復する時期について、問題を指摘します。

インドネシアにおけるオバマの人気は高いものですが、訪問の機会を逃して低下するかもしれません。ミャンマーとの関係修復は、ASEAN諸国に国内の統治、ガバナンスを改善する姿勢を求めます。

しかし、何より米中関係は、オバマ政権の主要課題でした。中国を積極的に国際秩序の協力者として演出する見込みは、コペンハーゲンで失敗しました。北朝鮮、イラン、台湾、貿易、為替レート、環境、など、米中関係はその範囲も関与の深さも進展しましたが、その方向は曖昧です。

鳩山政権は、日米関係の見直しもアジアと国際政治の一部である、と理解しなければなりません。

WSJ JANUARY 5, 2010

No Plan for Japan

Jan. 7 (Bloomberg)

Black Swans Abound as Year of Tiger Shows Teeth

William Pesek

(コメント) 同じ日のWSJにドバイの論説が載っていました。湾岸戦争でフセインに征服されたクウェートが日本にたとえられましたが、今ならドバイでしょうか。他方、香港、台湾、韓国(朝鮮半島)、日本が中国からの強い影響を受けています。石油とドルから、中国へ。

鳩山政権が示した成長戦略を、WSJは旧式の政策介入として退けます。日本政府が選んだのは4Kです。すなわち、介護、観光、環境ビジネスと、研究開発、です。3Kと言えば、きつい、危険、汚い、といった労働条件を外国人労働者に結びつける言葉でしたが、新しい4Kは、日本の累積債務や失業問題、中国との対抗、を忘れさせてくれるような、素晴らしい成長(2%の成長、470万人の雇用)をもたらすでしょうか?

「コンクリートから人へ」のスローガンは好ましいけれど、適当な対策を講じなければ、それは消費されずに家計の貯蓄を増やす(債務を減らす)でしょう。GDP比200%に向かう国債残高、不況による税収減少、外国からの投資を躊躇させる環境政策、など、鳩山政権の見通しのなさをWSJは嘆いています。その上、デフレや円高という緊急の課題に何も触れていない、と。

William Pesekは、2010年の市場を激変させる「ブラック・スワン」を指名します。

1.日本を筆頭に、世界中で不況と財政赤字が深刻化しています。債務危機が起きるでしょう。2.世界需要が不足します。アメリカは不況回避のために低金利とドル安を望み、中国はドル安に固定し続けています。3.その結果、世界の景気回復が遠ざかるにつれて、「近隣窮乏化政策」の解禁日がやってくるでしょう。中国は東南アジア諸国とのFTAでブロック化を準備します。4.中央銀行のインフレ抑制、金融政策の独立性、は侵され始めるでしょう。

最後に、5.金融市場が容易に割り引くことのできないリスクがいっぱいです。航空機爆破テロ、ドバイ、ギリシャ、さらに、日本、イギリス、アメリカの債務危機、北朝鮮の崩壊、中国やイランにおける反政府デモ、関東やカリフォルニアの大震災、ソマリア海賊など、破綻国家の広める脅威・・・

IHT January 8, 2010

Focus on Policy, Not Politics

By VICTOR D. CHA

FT January 7 2010

Kansian economics

WSJ JANUARY 7, 2010

The Prosecution of Power in Japan

By MICHAEL AUSLIN

(コメント) 現実の政策を示せないままで政治的な見直しを宣言する鳩山政権の危険性を、VICTOR D. CHAは、韓国のノ・ムヒョン前大統領にたとえます。当時、米韓関係は悪化し、内外の企業は投資を止めて、海外に逃避し始めました。安全保障と成長戦略を明確にしなければ、通貨の暴落につながります。

日本では、藤井から菅への財務大臣交代が起きました。そして、注目を集めたのは円安を求める発言です。しかし、FTは円安発言を批判せず、日本には円安が望ましいけれど、長期的には消費が回復しなければならない。そのために当面は財政刺激策を要するが、日銀の余りにも保守的なインフレ重視の姿勢を改めさせることだ。さらに菅は、財政再建のための税制改革、そして、企業のガバナンスと配当の改善を要求するべきだった、と考えます。

「日本の難問を解くには、その不決断な保守主義を捨てて、リスクを避けるよりも果敢にリスクを取る姿勢に転換しなければならない。」・・・Mr Kan, a deficit dove and deflation hawk, follows his instincts – and does so bravely.

また、民主党の政治献金疑惑も深刻です。鳩山首相の弱点は超資産家であること、小沢幹事長の弱点は政治献金が集まり過ぎること、かもしれません。その明確な処理が行われて、国民に公開できなければ、ともに政界を去る決意を示してほしいです。自分たちがルールを変える地位にある政治家たちが、この問題をいつまでも残すことは許されません。英米のように、超党派(と外部)の委員会を設けて、期限を決めた報告(そして公聴会)と改革案を示すときです。

もっと大胆に、問題を解決する姿勢を競って示すことで、ガバナンスは動くはずです。


FT January 1 2010 Reykjavik stalls on Icesave deal By Andrew Ward

(コメント) アイスランドの国民が、なぜ国際金融ビジネスの失敗を償わなければならないか(一人当たり12000ユーロ、17300ドル、160万円)?

数カ月に及ぶ議会での論争を経て、ようやく可決された38億ユーロの支払いを、Olafur Ragnar Grímsson大統領は署名しない、として頓挫させました。しかし、この処理の遅れは100億ドル(70億ユーロ)のEUによる救済融資を妨げる恐れがあります。人口32万人の10%を超える署名を集めた、拒否の請願を受け入れたのです。

もしこの法案が成立しなければ、Jóhanna Sigurdardóttir政権は崩壊するでしょう。なぜなら、この法案はIMFその他の救済融資や、政府が目指すアイスランドのEU加盟申請の条件ともなっているからです。

NYT January 1, 2010 Iceland to Repay $5 Billion to British and Dutch Depositors By REUTERS

BBC 2010/01/05 Iceland leader vetoes bank bill

The Guardian, Tuesday 5 January 2010 Iceland is still reeling Eirikur Bergmann

(コメント) 通常、大統領の署名は形式的なもので、反対した例は一度しかありません。もし政府が国民投票に訴えても、国民の70%が「反対」するという予測があります。国民は、救済融資をエサにした外国からの圧力に政府が屈した、と考えています。

The Guardian, Tuesday 5 January 2010 Iceland president vetoes collapsed Icesave Bank's bill to UK Graeme Wearden and David Teather

SPIEGEL ONLINE 01/05/2010 Setback in Reykjavik: Iceland Blocks 3.8 Billion Euro Repayment to Dutch, British By NRC Handelsblad Staff

IHT January 6, 2010 Iceland Leader Vetoes Repayment for Foreigners By LANDON THOMAS Jr. and DAVID JOLLY

(コメント) これは国境を越えた債務処理であり、国際機関を使った、債権をめぐる「戦争状態」です。余りにも強く圧力をかけて、アイスランドが債務不履行に陥れば、預金者は何も得られず、国際金融市場に混乱が生じます。

アイスランドの投資銀行が国際的に短期融資や預金を集め、アメリカやヨーロッパで投資し続けたことが、金融危機によって一気に破綻しました。政府はその預金返済を求められています。主要銀行が負う600億ドルの処理はまだ残されたままです。

しかも記事は伝えています。「対立の断層は、ヨーロッパ諸国の政府間に拡大している。短気な債権投資家、格付け会社、IMFは財政支出削減、赤字抑止を要求して、不況に苦しむ国民と対立する。約6万人、アイスランド国民の5分の1が、法案に反対する請願に署名し、先週、それが大統領に提出された。」

BBC 2010/01/06 Iceland plans Icesave bill vote

The Guardian, Wednesday 6 January 2010 Iceland: Fire and ice

(コメント) 議会は、220日に国民投票で決める、と発表しました。アイスランドは、国際金融から切り離された氷の島に戻るのか、あるいは、債務奴隷の鎖に繋がれるのか? その両方かもしれません。

儲けるときは世界市場で、しかし、死ぬときは国民の負担で。このグローバル金融ビジネスの矛盾を最も先鋭に示すケースです。誰がこの無法状態を許したのか? だれの責任で監督し、処罰し、救済するべきか?

アイスランドは、かつてブームのときに銀行家たちを保護し、同じGrímsson大統領が彼らの「バイキング行為」を奨励していました。アイスランド国民は、特に、イギリス政府がテロ対策法まで使って銀行の資産を凍結し、アイスランド国民に返済を強制したことを憎みます。

ブームのころ、銀行家たちは「大き過ぎて潰せない」と慢心していました。しかし、アイスランドは小さく、弱い上に、大きな失敗で終わったのです。世界がその払い戻しを求めている、とThe Guardianは結びます。

FT January 6 2010 Iceland can refuse debt servitude By Michael Hudson

(コメント) もちろん、国際間の紛争は、戦争でなく、法によって決めるべきでしょう。また、戦後の賠償金が敗戦国の支払能力、その経済復興を妨げないことを基準に決められるように、アイスランドの債務返済も決められるべきだ、というMichael Hudsonの主張は説得的です。すなわち

・・・ヨーロッパの法律は、何をすべきか、特に、イギリス政府がランズバンキの子会社アイスセーブのイギリスにおける業務を閉鎖した処置について、何をすべきであったか、述べている。EUは預金者の秩序ある処理に関する権利を定めている。それは銀行が預金の1%を支払うことで設立する保証基金(TIF)から支払われる、と。

しかし、TIFは金融システムの危機に対応できない。EU財務大臣によるEcofin会合(20081114日)の声明はそれを示している。「アイスランドの金融・経済システムを再建することができるような手段」を見出すべきだ、と。あるいは、GDPの250%(国民一人当たり約2万ドル)に及ぶランズバンキの債務を支払えるか? また、IMFは200811月の声明で、さらに30%の減価が起きれば債務比率はGDPの240%に達し、「明らかに持続不可能になる」と述べた。

アイスセーブの合意に反対する者は、このEcofin声明に拠る処理を求めている。いかなる合意も、アイスランドの経済活力を奪ってはならない。しかし、イギリス、オランダ両政府は交渉を拒み、アイスランド政府もEU加盟の代償として、この支払いに合意した。

アイスランドの有権者は債務支払いのために大幅な増税を強いられることを恐れている。しかし、対外債務を支払う基礎はGDPではなく、貿易黒字、もしくは、外国からの新規借り入れや、海外投資家への資産売却である。ところが、アイスランドの資源・資産は、タラも、アルミニウム精錬も、地熱発電も、すでに銀行融資と利払いの担保になっている。

さらに、住宅債務の問題がある。アイスランドの住宅保有者は、物価連動型の債務を負っている。アイスランドのような小国にとって、物価は為替レートによって決まり、政府が債務を支払うために減価(による貿易黒字)を必要とすれば、それは他方で住宅債務の支払い負担を増す。住宅の差し押さえが、今の返済猶予期間が終わるとき、急増するだろう。

要するに、現状を考慮した実際的な経済原則で返済条件を決めるべきだ。支払えない債務は支払われない。アイスランドの経済を破壊するだけだ。すでに多くの人が住宅を失い、外国人労働者は帰国し、人びとは外国に出稼ぎに向かっている。まだあと、どれくらいの国民が国を離れるべきか? もしソ連崩壊後の生活水準悪化が参考になるなら、アイスランド人は何年寿命を縮めればよいのか?

FT January 6 2010 Do not put Iceland in a debtors’ prison

FT January 6 2010 Iceland’s president fights to contain fallout By Andrew Ward in Stockholm

(コメント) 世界金融市場には、かつてのように「債務者監獄(debtors’ prison)」が必要でしょうか? FTの指摘も明快です。

ランズバンキは「パスポート・ルール」によってイギリスにも支店を開きました。すなわち、その銀行が本国の監督に従い、本国の預金保険に守られているから、受け入れたのです。しかし、200810月にランズバンキが破産したとき、その預金はアイスランドの預金保険で保証できる額をはるかに超えていました。

法案は国民投票に付され、おそらく否決されるでしょう。しかし、債務者監獄にアイスランドを入れることが必要とは思えません。イギリスにとって、アイスランドへ融資することはわずかな額(イギリスの融資額の100分の1)です。隣国への友好を買うために安いものです。また、イギリスやオランダで活動する金融機関は、(同様の危機に際して)本国政府が返済を強いられるより、それ(イギリスが融資する処理)を好ましいと思うでしょう。

ポーランドや北欧諸国からの支援融資もIMFの評価に依拠しており、それはアイスセーブの処理にかかっています。EU加盟の承認も同じです。

ヨーロッパはそのルールを改善して、もっと強力な共通基準を必要としています。アイスランドに必要なものは債務者監獄ではなく、EUのルールです。

The Times January 7, 2010 Iceland’s deep freeze

WSJ JANUARY 6, 2010 Why Iceland Does Not Want to Pay By HANNES H. GISSURARSON

(コメント) 当時のイギリスは、銀行預金の90%を、しかも35000ポンドまでしか保証していません。その意味で、アイスランドは全額返済に不満を持つ理由がありました。しかし、The Timesは、イギリス政府が金融システムの信頼を回復するために全額保証を求めた事情を支持しています。

他方で、GDPの11倍に及ぶ投資銀行の対外投資は、中央銀行による救済と準備通貨の支援がなければ、事実上、その経済モデルのせいで破産していたのです。2009年、逆に、アイスランドの経済規模は10%も縮小し、凍結しています。

債務を増大させることで豊かになったと信じた国民が、その破産を引き受けるのは当然です。あるいは、支払いを拒否することも、さらに厳しいでしょう。

HANNES H. GISSURARSONは、アイスランド中央銀行の元理事、アイスランド大学の哲学教授です。内容を見れば、保守派の指導者、という印象ですが。不満の理由は4つです。

1.第1次大戦後のドイツ賠償金に匹敵する不合理な支払い要求だ。2.EEAで認められた預金保証を超えている。3.EEAの保証はシステム危機を想定していなかった。4.イギリス政府のやり方がアイスランドに与えた被害を無視している。

・・・しかも、社会民主党が中心となったJohanna Sigurdardottir政権は、英蘭政府に要求されたことをすべて受け入れてしまった。その余りの弱腰には国民も呆れている。合意を拒むことがEU加盟を阻むことになっても、もはや国民はEUを望まないだろう。

BBC, Thursday, 7 January 2010 We're all Icelanders now Robert Peston

(コメント) ベルリン市民でも、ケインズ主義者でもなく、アイスランド人になるのが今の流行?

英米政府でも、もし国民に銀行救済融資の決定を投票で尋ねたら、否決されてしまうでしょう。

銀行家の失敗を国民の税金で埋めるのは、どの国でも同じです。違いは、アイスランド国民の負担の程度が大きく、それを事前に知らなかったことです。


NYT January 1, 2010 Chinese New Year By PAUL KRUGMAN

(コメント) 2010年は中国の年だ、とKrugmanは考えます。中国の新年における大きな不安は通貨・金融政策です。

アメリカに140万人の失業をもたらした中国の重商主義的な経済運営が破たんします。中国が為替レートの調整を拒めば、他国は保護主義で対応するでしょう。・・・そんなことはできない?

1.中国が外貨準備を使ってアメリカに報復する、というのは間違いです。今、世界中が金融緩和しており、中国がドル資産を売っても金利は上昇しません。むしろドル安が起きるだけで、アメリカの競争力を改善し、貿易黒字(赤字削減)に貢献します。

2.保護主義は常に受け入れられない悪だ? 間違いです。国内で失業があるとき、しかも、国内政策で雇用を増やせないとき(為替レートの調整ができないとき)、保護主義は正しいのです。

FT January 1 2010 Biggest regional trade deal unveiled By Kevin Brown in Singapore

China Daily 2010-01-06 FTA is selling a bright future By Zheng Anguang

Asia Times Online, Jan 7, 2010 China-ASEAN pact offers more than win-win By Brantly Womack

(コメント) 中国とASEANFTAが注目されました。それは多くの免除する商品を残していますが、貿易の促進が相互の利益をもたらすはずです。

FT January 3 2010 The west’s preaching to the east must stop By Ronnie Chan

Jan. 4 (Bloomberg) Bubbles Threaten as China Shakes Off Bank Crisis Liu Mingkang

FT January 6 2010 The soap opera of China’s housing boom By Geoff Dyer

(コメント) Ronnie Chanchairman of Hang Lung Properties, Hong Kong)は、西から東へのパワーシフトを前提に世界秩序を改善し、平和をもたらすように求めます。そこには5つのシフトが起きています。1.西側は道義的な信用を失う。2.世界経済の管理責任を果たせない。3.経済の中心は大西洋から太平洋へ。4.アメリカ・ドルへの依存が終わる。5.開発された諸国は、日本のように、経済規模を維持するのが精一杯だろう。

Liu Mingkangは、中国経済の回復は力強く、成長を支える銀行部門にも問題はない、と考えます。

他方、Geoff Dyerによれば、中国で放映されている番組「カタツムリの家」が爆発的なブームということです。景気は良くても、中国人はますます住宅ローンの返済に苦しむ毎日に不満を持っています。住宅価格が上がり続けているのです。空室のままのマンション建設が続くのは、都市化のブームを前提し、自分たちの将来の資産として、金Goldのように、保有しようとしているからです。

不動産税を導入するべきですが、その番組が豊富に紹介するように、住宅市場をめぐる既得権は広く、大きくて、誰も税金を課すことなどできません。

FP JANUARY/FEBRUARY 2010 $123,000,000,000,000* BY ROBERT FOGEL

FT January 4 2010 Asia must loosen the grip of its exporters By Lorenzo Bini Smaghi

(コメント) ノーベル経済学賞を受賞したROBERT FOGELの予測ですから、決して無視できないはずです。2040年に、中国の覇権システムとして、世界経済のバランスはどうなっているのか?

・・・中国経済の規模は123兆ドルに達し、2000年の世界経済の規模を約3倍した大きさである。一人当たり所得は85000ドルで、EUの2倍以上、インドや日本よりもずっと大きい。・・・一人当たりの富では、アメリカはまだ中国に抜かれていないが、世界GDPに占めるシェアでは、中国40%に比べて、アメリカ14%、EU5%でしかない。・・・

中国経済の成長を加速してきた要因は今後も続くでしょう。、すなわち、教育への投資、地方・農村からの労働力の移動(ルイス・モデル)、です。他方、ヨーロッパは人口が減少し、労働力率も労働時間も低下します。

さて、現在のECBエコノミストの論説もあります。グローバル・インバランスに至った政策のゆがみを調整しない点で、中国など、アジア諸国の硬直した為替レートを批判します。それは、欧米で危機を生じたのと同様の、長期的な不均衡を軽視して短期的な利益と現状維持に固執する諸国の(そして、今やアジア諸国の)失政である、と。

China Daily 2010-01-04 Peaceful rise good for world By Zhang Tuosheng

FP Tuesday, January 5, 2010 Top Risk #1 -- Turbulence in U.S.-Chinese relations By Ian Bremmer and David Gordon

Asia Times Online, Jan 7, 2010 The blowback effect, 2020 By Michael T Klare

WSJ JANUARY 7, 2010 Don't Revalue the Yuan Yet By CALLA WIEMER

NYT January 8, 2010 Contrarian Investor Predicts Economic Crash in China By DAVID BARBOZA

(コメント) 為替レートによっては不均衡を解消できない、とCALLA WIEMERは反論します。中国国内の貯蓄と投資の不均衡を変えない限り、為替レートはそれを解消できないからです。また、金融市場の未整備と外貨準備の重要性を訴えます。

エンロンの破たんを予測したヘッジファンドの投資家James S. Chanosが、世界最大のコングロマリットと言える中国国家株式会社の予測をします。投機的な資本が集まる中国は、安定した成長軌道に向かいません。それは1000個のドバイを集めたよりももっと悪い、と。

相場の下落を予測して売りを先行させるChanosの方法は、中国のような株式購入を規制する国に適用できません。しかし、それに代わる手段として、建設やインフラ整備に関連する企業、セメント、石炭、鉄鋼、鉄鉱石を売る企業に注目します。

他方、ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを起こし、今はシンガポールに住む投資家、Jim Rogersは、中国はバブルではない、と断言します。


FT January 1 2010

Global super-rich no longer look so benign

By Chrystia Freeland

FT January 6 2010

How to make the bankers share the losses

By Neil Record

FT January 7 2010

Is Ben Bernanke descended from the Bourbons?

By John Cassidy

(コメント) グローバリゼーションが誕生させた新しい富裕層a global plutocracyに関する考察です。彼らは技術革新とその世界的普及(それにともなう市場拡大とエネルギー・資源への需要増大)で莫大な富を独占します。

それは政治構造や制度を激変させる「革命」です。市場で生きる才能のある、知識と情報をつかんで、大胆に行動する、高度な教育を受けた若い起業家・政治家たちが富を爆発的に増大させます。旧支配層を解体する平等化効果よりも、新しい市場の富を独占する不平等化効果が勝る恐れがあります。たとえば、アメリカでもiPhones, Google, Amazonは生活を快適にしましたが、同時に、多くの分野でグローバル・シフトを加速し、職場、産業、地域を崩壊させたでしょう。

特に、金融危機が不況を広めてから、ウォール街だけでなく、この新しい所得格差と政治構造が国民の強い不満の対象になっています。それは左派だけでなく右派の思想にも破壊的な衝動を生じます。社会的結束を再建できなければ、アメリカの国際的な地位も失われる、とJim Manziは考えます。

かつてエリート層(WASP)が、アメリカン・ドリームをだれにでも手が届く夢として描き、政治システムを依拠させたように、グローバル時代の新富裕層も新しい社会と政治を必要とします。

どうやって? それにはさまざまな制度を工夫するべきでしょう。私は以前から、Neil Recordが示したような提案を支持しています。銀行家・金融ビジネス関係者たちは、限度の所得を超える部分を、一定期間(たとえば10年)、別に保管するのです。そして、損失が出たときの処理と資本増強として、今は政府が税金で行っているような救済策を自分たちで行います。

銀行家たちの自制心と自衛能力は大きく改善させるでしょう。

他方、バーナンキの証言(金融ビジネスのカジノを助長した連銀の責任を否定した)を批判するJohn Cassidyの記事は、バブルと金融危機が再現する懸念を強めます。


WP Sunday, January 3, 2010

When political dysfunction threatens the economy

By David Ignatius

The Times January 7, 2010

It’s not the economy – and voters aren’t stupid

Anatole Kaletsky

(コメント) 金融危機や不況に対する救済には政府が積極的に介入するけれど、その費用はだれが払うのか? 政治はそれを決めなければなりませんが、誰も増税を支持しません。ではどうなるのか?

政府が機能しなくなる? 債務を支払うために、紙幣の印刷を繰り返す? David Ignatiusは、アメリカ政治の「カリフォルニア化」を懸念します。

Anatole Kaletskyは、イギリスの選挙を前に考えます。


BBC, Sunday, 3 January 2010 World's tallest building set to open in Dubai By Malcolm Borthwick

WSJ JANUARY 4, 2010 Of Burj and Babel

NYT January 5, 2010 Economy Is Down, but Dubai Tower Tops All By LANDON THOMAS Jr

LAT January 5, 2010 Dubai's Burj Khalifa is a tower to look up to

SPIEGEL ONLINE 01/05/2010 The World from Berlin: Dubai Tower "Will Become Symbol of Arab Adaptability"

WSJ JANUARY 5, 2010 Of Burj and Babel

NYT January 6, 2010 The Peak of Something

FP JANUARY 6, 2010 Tower of Babble BY WILLIAM EASTERLY

(コメント) ドバイの世界一高いビルBurj Dubaiについて、多くの記事が載りました。高さはエンパイアー・ステート・ビルの約2倍、828メーター、その尖塔は95キロ遠方からも見えます。そして、26000枚のガラスがその壁を覆います。推定建設費は15億ドル。でも、金融危機の後、誰が入るのか? 金融も、不動産も、ビジネスとしては砂漠の状態に戻りかねません。


LAT January 3, 2010

Time for a fresh look at a fateful year -- 1989

By Michael Meyer

(コメント) 1989年を描く神話が、その後の世界と脱社会主義圏に住む人々を傷つけて来た、とMichael Meyerは主張します。

1.「民衆のパワー」ばかりではなかった。2.歴史は皮肉と偶発性による。3.アメリカが勝利したのではない。


The Observer, Sunday 3 January 2010

Are we about to see the end of the much-vaunted eurozone?

Peter Oborne

FT January 5 2010

The eurozone’s next decade will be tough

By Martin Wolf

(コメント) Peter Oborneの主張は、強いユーロ批判です。ユーロは銀行家の統一市場と貨幣価値の安定化を求めた計画であって、そのために犠牲になるのは各地の製造業と失業に苦しむ民衆である、と主張します。スペインの若年(16-24歳)失業率は破滅的な42%にも達しました。

イギリスは、1992年のマーストリヒト条約において、賢明なジョン・メージャー首相の選択によりユーロからオプト・アウトしていました。Peter Oborneは、今後、ドイツの景気回復とともに金利が上昇し、財政的な移転による不況対策も期待できないから、ユーロ圏が解体する、と予想します。

しかし、なぜ共通通貨に困難が予想されたにもかかわらず多くの国が参加したのか? その理由は、参加した諸国が過去において独裁や社会主義に苦しんだ国だったからです。彼らは民主主義と政治的安定の理想としてEUとユーロを求めました。

他方、Martin Wolfも、今後の展開を懸念しますが、ではユーロ圏などない方が良かったのか、と言えば、そうではありません。なぜなら、その場合はヨーロッパ諸国の通貨危機が続発していたからです。小国の通貨では、金融不安で資本がドイツ・マルクに逃避するため、通貨危機に陥るのを避けるにはユーロ圏に参加するしかない、と考えたのです。

しかし、共通通貨を形成した際に議論されたのは、これが最適通貨圏だろうか、という点でした。つまり、インフレや不況に対する金融政策、対外不均衡の調整に必要な為替レートを、参加諸国は失う結果、ショックに対して大きな調整の苦しみを味わう、と懸念されたのです。今や、それが明確になりました。

ECBの決める金利は、スペインやアイルランドなど周辺諸国にとって低すぎたし、そのブームがもたらした高賃金で競争力を失ったのです。ブームの間、消費や投資の過熱と対外赤字は債券の売却で融資されていましたが、金融危機によってそれが止まりました。赤字は民間(借入)から政府(の不況対策)に移り、それでもECBの金利は高すぎて景気は悪化し続けます。財政赤字は増大し、債務不履行が恐れられています。

どうやって赤字を減らすのか? どうやって景気を回復するのか? 失業した労働者の流出や黒字国からの財政支援を除けば、周辺諸国に残された手段は、賃金を引き下げて競争力を得ることです。それは通常、長い不況によってのみ達成されます。

Martin Wolfは、ユーロ圏の周辺で起きた危機を、このシステムに内在する問題、と認めます。これを解決するには、かつてC.P.キンドルバーガーが述べたように、覇権国が最後の貸し手としてユーロを貸し付け、また、赤字国からもっと輸入しなければなりません。しかし、彼らがドイツから受け取れる支援はわずかであり、ユーロの価値は強すぎます。

FT January 5 2010

A stumbling Spain must guide Europe

The Guardian, Thursday 7 January 2010

The euro: Year of the Pigs

(コメント) ピッグズ、と言っても、豚の群れではありません。ユーロ圏で苦しむ4カ国 Portugal, Italy, Greece and Spainです。ドイツなど黒字諸国は、共通通貨の下で、赤字諸国の財政緊縮や賃金引き下げに頼るべきではないはずです。ECBのトリシェは支援を否定し、ドイツのメルケル首相は支援を考えますが、具体策は曖昧です。


WSJ JANUARY 3, 2010

The Cost of Korean Reunification

By PETER M. BECK

WSJ JANUARY 6, 2010

Finding Truth in the North Korean Fog

By GORDON G. CHANG

(コメント) PETER M. BECKは、朝鮮半島再統一の費用を最低でも2兆ドルと推定します。誰が、どのように、それを支払うのか?

統合のコストは、その形態・過程によって決まります。BECKによれば、東西ドイツのように、一気に統合する方が好ましく、ベトナムやイエメンのような内戦となるシナリオが最悪です。ルーマニアやアルバニアのような、上からの共産圏離脱をその中間ケースとみなします。

その費用は、おもに、北朝鮮の経済を現代の市場水準に結びつける(そして自立できる)ためのインフラ投資です。東西ドイツを例にとれば、20年間で約2兆ドルが支払われました。しかし、朝鮮半島に比べて、東西ドイツは容易な統合でした。1989年、東側の生活水準は西側の3分の1で、しかも、人口は4分の1、相互に貿易を行っていたからです。今、北朝鮮の一人当たり所得は韓国の5%、人口は2分の1で、さらに増加しています。

コストについてはさまざまな推定があります。北朝鮮の所得を、どのくらいの期間で、どの水準まで引き上げるのか、その目標により異なります。30年間で南の80%という水準を考えると、その費用は2兆ドルから5兆ドル、韓国だけが負担すれば、一人当たり4万ドルです。当然、日本や中国、アメリカ、国際機関(IMF・世界銀行)が分担しなければなりません。年間670億ドルを、アジア地域の平和と安定のために投資することは可能でしょう。しかし、分担のメカニズムを今こそ考えなければなりません。

GORDON G. CHANGは、Ralph Hassig and Kongdanの著書を基礎に、北朝鮮の体制崩壊が近い、と予想します。


Jan. 4 (Bloomberg)

Blaming Bankers for the Failings of Economists

Richard Posner

FT January 4 2010

Refocus the regulatory debate on essentials

By Nicholas Brady

(コメント) Richard Posnerは、金融危機の起源や背景を簡潔に要約し、オバマ政権の姿勢を批判します。なぜなら、危機を生じたのは(オバマが批判する)銀行家ではなく、金融監督・規制や金融政策であったからです。リスクの高い投資を放任し、金利は低すぎたし、さまざまな金融機関が生まれるのを見過ごしました。

「銀行家たちを責めるのは生産的でない」とRichard Posnerは断言します。政府は銀行の国際競争力を損ない、規制をますます複雑にし、住宅価格の支援策は価格調整を長引かせ、失業を減らすという望みで財政赤字を増やしています。

前例のない財政赤字とインフレへの不安を残して、アメリカ経済は先行きを危ぶむ状態です。

Nicholas Bradyも、規制改革を取り上げます。金融危機をめぐる議論や政府の対応は、最も重要な改革すべき点を見逃しています。すなわち、銀行を簡素な融資業務に限定することです。金融機関のリスクが監督できないのは、それが複雑すぎる(そして、業務も膨大になる)からです。

私はNicholas Bradyの提案にも賛成です。日本政府はアジアの金融市場統合を考える際に、こうした点を必ず主張してください。


FP JANUARY/FEBRUARY 2010 The Carter Syndrome BY WALTER RUSSELL MEAD

FT January 4 2010 America is losing the free world By Gideon Rachman

FT January 5 2010 The case for messy multilateralism By Richard Haass

(コメント) オバマ外交の問題点を議論する論説が増えています。

しかし、Richard Haassは多角主義への転換を支持します。「われわれは、皆、マルチラテラリストだ。we are all multilateralists now.

核物質・兵器の格差、テロ、伝染病、温暖化、保護主義、・・・いかなる国も単独で解決できません。ただし21世紀の多角主義は、明確な国際協定や国際機関によっても実現できない、と考えます。貿易自由化交渉も、気候変動の抑制も、一国一票の国連総会型民主主義は機能しませんでした。それは予想されたことであり、それゆえ、安保理が創られたのです。

問題を解決する能力を持つ少数の国が集まるエリート主義が、民主的な多角主義を補います。しかも、第二次世界大戦の戦勝国クラブという安保理の性格は修正されるべきです。G7をG20に修正したように、他にも、エリート主義には修正が必要です。

また、多角主義は、地域主義、機能主義、非公式組織、という方法で補完されています。いずれの修正や制度化にも、(公式の民主的合意・政府間条約に比べて)正当性が不十分です。

20世紀前半はドイツと日本の軍事的侵略と戦い、後半はソ連の拡大と戦った。新しい多角主義の制度を築くことこそ、21世紀の前半に直面する挑戦です。

YaleGlobal , 5 January 2010 Fallout from Copenhagen: Has the EU Lost Its Global Relevance? Jean-Pierre Lehmann

The Japan Times: Wednesday, Jan. 6, 2010 China wants it both ways By BRAHMA CHELLANEY

(コメント) 他方で、当然、中国がこうした多角主義を利用する側面もあります。コペンハーゲンの交渉過程にそれを見ます。

FP JANUARY/FEBRUARY 2010 The Elephant in the Room BY BARBARA CROSSETTE

FP Tuesday, January 5, 2010 Cheer up, America: You're still on top of the world By Daniel Twining

Foreign Affairs, January 6, 2010 Letter From New Delhi: Clash of the Tigers Basharat Peer

WP Wednesday, January 6, 2010 Without a movement, progressives can't aid Obama's agenda By Harold Meyerson

(コメント) リンドン・ジョンソン以後、カーター、クリントン、オバマ、民主党の大統領はすべて進歩的な改革を唱えて登場した、とHarold Meyersonは書きます。しかし、イデオロギーでも政治組織でも、現在のオバマは改革を支持する力が劣っています。新しい社会改革の運動が待たれます。


The Japan Times: Wednesday, Jan. 6, 2010

Facing a time of many tests

By TONY BLAIR

(コメント) イギリスのブレア元首相は、短期の政治学と、長期の政策選択、を問題にします。なぜなら金融危機で、何でも政府に解決を求める圧力が強いからです。世界は非常に流動的で、予測不可能な問題に満ちており、しかも、環境、エネルギー、中国、など、短時間で長期の政策を決定しなければなりません。そして、たとえ金融危機の抑制や収拾策についても、政府が緊急の対応を取るけれど、長期的には民間企業が回復しなければなりません。


The Times January 7, 2010

Migration threatens the DNA of our nation

George Carey

(コメント) 移民への「社会的受容力」を私は問題にします。しかし、それがどのようにして決定できるかは、まだ、わかりません。元カンタベリー大司教George Careyは、移民の急増に対するイギリス社会の良識(それを「イギリス国民のDNA」と呼ぶのには違和感がありますが)を形にしようと試みています。

極右の民族主義政党、BNPなどに、議席を奪われてもよいのか、という危機感があります。2029年には移民の数が7000万人に達する、という予測があります。移民の中にはイギリス社会の伝統的な価値を否定する集団が現れています。・・・それらはイギリス社会の将来の調和を損なうでしょう。

非常に異なる価値を持つ集団に対しても、それを統合していく力がネイション(イギリス国民)にはあります。しかし、ヨーロッパ各地と同様に、移民流入はイギリスの資源に対する過大な圧力になり、ネイションのDNAやエートスを脅かします。

首相は、寛容さ、フェア・プレイ、多元主義、を唱えます。しかし、イギリス社会に固有の価値を維持するため、同時に、言語、制度、歴史の共有、を求めるべきです。ネイションの構成を余りにも急速に変化させれば、イギリス人であることの価値を失うでしょう。

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The Economist December 19th 2009

Lexington: Bah, humbug

Arguing to death

Schumpeter: The silence of Mammon

Financial centres: Foul-weather friends

Economimcs focus: Paul Samuelson

Newspaper and Rechnology: Network effects

Yegor Gaidar

(コメント) Barbara Ehrenreichの話です。彼女は貧困の批判的な研究で有名ですが、乳がんの告知を受けました。アメリカ人は「ポジティブ思考」で、悲観的になると「カウンセリング」を勧められ、結局、現実の問題を無視し、否定するようなアメリカ文化を受け入れさせられる、と反発します。

ソクラテスが民主主義や大衆文化に反して知識を極めようとし、それゆえ民衆を侮蔑したような態度で有罪となって、毒杯を仰いだ話が紹介されています。アテネとソクラテスを、今のアメリカやアルカイダと重ねて描きます。

銀行家の強欲が非難されていますが、Schumpeterの記事はビジネスを擁護します。ビジネスは、1.協力を組織し、2.創造のために活動し、3.政治的多元主義を支持する。ビジネスは政治家以上に、激しい淘汰の世界であり、権力の肥大化を牽制している。

先日亡くなったP.サミュエルソンは、ポーランド移民の子供であり、1930年代の不況を経験したことが、経済学の基本原理を決めました。また、ガイダルはロシアの崩壊をギリギリで救った人物として追悼されています。他方、インターネットの登場で消滅しつつある新聞について、電信が新聞をどう変えたか、歴史的に考察します。