今週のReview
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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ロシアの暗黒、 金融改革、 オバマ外交とイラン、 グローバル・ガバナンス、 通貨価値とイギリス病、 世界企業の民主化、 日本経済の再建、 Niall Fergusonの講義、 経済学の成果、 北朝鮮、 ユーロ圏の復活、安定化、進歩の思想、移民の国
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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
FP DECEMBER 22, 2009 They Killed My Lawyer BY WILLIAM BROWDER
(コメント) 市民的秩序を守る法律が容易に無視される世界に行くことを、私たちは恐れなければなりません。ロシアはその一つにすぎないでしょう。私たちの国の中でも、私たちの関わる諸国においても、法律を無視する兆候を見逃してはならない、と強く感じます。
WILLIAM BROWDERは、ロシア最大の投資会社であったHermitage Capital Managementを設立し、そのCEOでした。この記事によれば、2007年6月4日に投資会社はモスクワ内務省の予期せぬ大規模捜査を受けます。税務処理の調査という名目を無視して、会社から印鑑や書類、取引企業の記録などをすべて持ち去りました。
10月半ばに、聞いたこともないロシア企業からの訴えにより、セント・ペテルスブルグ調停裁判所に呼び出されます。雇ったこともない弁護士が会社の代理人として偽造された契約書についての負債を認めた結果、投資会社は莫大な支払いを求められ、しかも会社の名義は殺人罪の確定した人物の所有に変えられていました。
その書類はモスクワ内務省が押収したもので作られた、と会社の弁護士であるSergei Magnitskyは証明しました。そして2007年12月に、Sergeiの発見した証拠に基づいて、会社は訴えを起こします。しかし、そのとき、すでに会社の資産は奪われていたのです。
なぜこうした冤罪が負わされたのか、Sergeiは調べ続けました。そして2008年6月5日、ある手紙によって、会社が登録しているロシア郊外の町、Khimkiで銀行口座を開設したことから、その資産を知った地元政府による違法な課税を受け、ロシア史上最大とも言える2億3000万ドルの支払いを行った結果、資産が失われたと判明します。この犯罪を消すために、その後の冤罪と呼び出しが行われたのです。
Sergeiは、この大幅な過剰徴収を取り戻すためにモスクワ税務署に訴えます。2008年7月の訴状には、ロシア政府の7つの部局が関わったと書いてありました。この告発があってから、内務省は会社の弁護士たちに露骨な圧力をかけ、4つの異なる事務所から来た弁護士たちの多くに、国を出るか、身を隠すよう仕向けます。ロシアに残ったのはSergeiだけでした。
内務省の二人(Lt. Col. Artem Kuznetsov and Maj. Pavel Karpov)を名指しした訴状を2008年10月7日に出してから、1カ月以上たって、その部下3人が朝8時にアパートでSergeiを逮捕しました。会社の経理は明朗でしたし、そのときSergei は雇われてもいませんでしたが、2001年の納税について罪をかぶせたのです。法律は無意味でした。
もちろん家族や関係者はSergeiを救おうとしました。アメリカ議会で証言し、アメリカ国務省とイギリス外務省に救出を訴えました。専門家の団体やジャーナリストにも情報を流して助けを求めました。しかし、そうした方法はロシア内で影響力がなかったのです。彼らはSergeiへの圧力を強めました。それでも彼は屈しませんでした。
2009年11月16日、Sergeiが死んだことを、1か月以上も経って知らされます。この1年間、彼はいくつもの刑務所を移動させられ、眠ることもできないような酷い条件で、外との連絡もできないままでした。家族との電話もできませんでした。急激に体重が40ポンド(約20キロ)も減り、膵臓と胆石の病気という診断で即座に手術されました。激しい腹痛で壁を叩き続けても、医者は診てくれなかったそうです。それでも法の正義を信じて、訴えを取り下げなかったのです。
「もしわれわれ皆が彼の勇気と不屈さのわずかでも持っていたら、世界は今よりもずっと住みよい場所であるだろう。彼の英雄的な戦いと、彼が殉じた理想を、われわれは決して忘れてはならない。」
LAT December 24, 2009 Russia's soft spot for Stalin
BG December 24, 2009 Stalin: The gift that keeps on giving
(コメント) アメリカ人がロナルド・レーガンを好むのも妙な気がするけれど、次第に多くのロシア人がスターリンを慕うというのはとんでもない話だ、とLATは書いています。
モスクワの赤の広場において、スターリンの生誕130周年を祝う集会がありました。20世紀でもっとも残酷な大量殺戮を命じた政治指導者の一人であるスターリンを称賛する人々は、ロシア第二の政党である共産党だけでなく、ロシア政府の公然とした支援を受けてますます増えています。
スターリンや秘密警察の悪夢からロシアが完全に目覚めるのは、いつのことか?
WP Saturday, December 26, 2009 Russia's 'sphere' in Europe By Ronald D. Asmus
The Japan Times: Saturday, Dec. 26, 2009 Will Russia save the West? By SERGEI KARAGANOV
(コメント) Ronald D. Asmusは、オバマ政権が対ロシア関係を再生するために対話を重視するとしても、ロシアの望みの何が正当で、何は正当でないか、明確にしなければ意味がない、と考えます。その重要な条件は1990年のパリ憲章であり(東西ドイツの再統一や、その後の東欧諸国の自由を認めた)、すべてのヨーロッパ諸国は等しく安全保障を得る権利があり、新しい協力関係を構築するためにどの国と組むかを選択する自由がある、と認めたものでした。それは大国の「影響圏」という考え方からの転換でした。
ところが、プーチン政権はNATOの東方拡大を嫌い、ロシアの影響圏を確認するように求めています。それはロシアとNATOとの軍事衝突を招きかねません。
ロシアについての戦略論を読むとき、ヨーロッパとの同盟を長期的にも認めつつも、アジアや中国へのパワー・シフトを重視する、という話が、日本の現在と重なりました。
FT December 29 2009 Broken Bosnia needs western attention By William Hague and Paddy Ashdown
(コメント) デイトン和約から14年が経ちました。しかし先月、ボスニア=ヘルツェゴビナにおける米欧の主導する和平案が失敗に終わりました。アフガニスタン以上に、ヨーロッパの平和はバルカン半島にかかっています。EUは、制裁や軍事的な威嚇より、ボスニアをEU加盟に向けた交渉の中で説得できると考えていました。ボスニアとセルビアの協力がそれに続くはずでした。
しかし、ボスニア経済は国際支援でようやく維持されており、再建が進んでいません。ボスニアの内部分裂と崩壊が進むことは、EU政治に深刻な影響を及ぼすでしょう。アメリカとEUはもっとボスニアの再建に関与しなければなりません。すなわち、ボスニアの中央政府を強化し、EUとNATOに加盟させることです。
LAT December 25, 2009
By Nicole Gelinas
The Japan Times: Friday, Dec. 25, 2009
Ever-widening pay gaps
By HUGH CORTAZZI
(コメント) Nicole Gelinasは、アメリカ議会が成立させた金融改革法案の前提を批判します。すなわち、今回の危機は金融監督が不統一であったから起きた、という前提です。オバマ政権の方針に基づき、議会も新しい金融サービス監視委員会によってすべての機関やサービスを統一して規制すれば危機を防ぐことができると考えました。
しかし、Nicole Gelinasによれば、監督機関がリスクを評価することは難しく、また伝統的なルールとして共通の規制を行い、個々の商品や金融機関ごとに規制を変えることはしないだろう、と予想します。それでは危険な資産による融資を増やすことで生じた今回の危機は防げなかったのです。
むしろ大恐慌後にフランクリン・ルーズベルトがやったように、株式による借り入れを制限する方がよい、と主張します。銀行や企業は投資を失敗し、倒産することがあります。しかし、融資を制限することで、それが経済全体を巻き込む危険を減らすのです。
HUGH CORTAZZIが論じているのは、銀行部門の高額報酬についてです。たとえば、イギリスの企業重役と一般労働者との給与格差は81倍にも及び、これは過去10年間で倍増した、ということです。経済社会の適正なバランスを欠く状態ではないでしょうか?
金融ビジネスの高額報酬は、それが本当に優れた才能や激しい労働によって正当化できるものか、他の職業との関係を検討されるべきです。短期的な取引で莫大な利益を得られるという金融市場の性格を容認したことが、イギリスでも日本でも、労働者の勤労意欲を損ない、才能ある人々を製造業・ハイテク部門から金融部門に奪ったかもしれません。
WP Sunday, December 27, 2009
The words on the 'Street'
By Simon Johnson
LAT December 27, 2009
Wall Street bailout -- the great sideshow of 2009
By Robert B. Reich
(コメント) Simon Johnsonは3冊の本を紹介しています。自分たちが生き残るために、ルールや法律を変え、税金を使いこんだ銀行家たちの話です。
Robert B. Reichは書きます。「ウォール街は回復したが、普通の人々の生活は今も悪夢と混とん、破滅に満ちている。」
アメリカはもっと貯蓄し、もっと輸出するだろう、とオバマは語りました。グローバル・インバランスを調整するためには、中国がもっと消費し、もっと輸入しなければなりません。しかしRobert B. Reichは、アメリカ人が債務を増やして消費し続けたのは、アメリカで増大した富が、普通のアメリカ人ではなく、ますますウォール街の銀行やヘッジ・ファンドに集中してしまったからだ、と主張します。
政府はアメリカの景気も雇用も次第に回復すると考えています。しかしReichは、アメリカ人のあまりにも多くが職場や所得、住宅、貯蓄を失った、と考えます。彼らが奪われたままであれば、景気の早期回復も期待できない、と。
NYT December 27, 2009 Back From the Brink (but Watch Your Step) By JULIE CRESWELL
The Guardian, Monday 28 December 2009 Christmas presents for bankers Dean Baker
CSM December 28, 2009 Markets fail. That’s why we need markets. By Arnold Kling and Nick Schulz
BBC 2009/12/29 Viewpoint: Derivatives alone don't wreck markets By Robert Reoch
The Japan Times: Wednesday, Dec. 30, 2009 Is Britain really breaking London's bankers? By RONALD J. GILSON
The Times December 31, 2009 Towering ambition always comes before a fall
WP Thursday, December 31, 2009 Now stabilized, the U.S. financial system must reform itself
(コメント) Arnold Kling and Nick Schulzは、政府規制と自由な市場のどちらが経済の再生をもたらすか、と考えるのではなく、両方を主張します。市場が失敗するから政府規制を重視するというのは、政府規制ならうまく行くのではなく、市場が失敗しないような規制を敷くことで、市場が回復することを意味します。
Robert Reochも、金融危機と自動車事故を比較します。どれほど性能のよい、安全性の高い自動車でも事故を起こします。それは運転手が悪いからであり、また、道路が危険な状態にあるからです。新しい金融市場がデリバティブ(とリスクのグローバルな分散)を駆使するようになって、金融危機が避けられなくなった、というより、デリバティブと金融機関を正しく監視し、事故が起きないように指導・強制しなければなりません。格付けや金融監督、中央銀行が、こうした役割を担います。
デリバティブはグローバルな金融市場の媒体として機能しています。悪い運転手を罰することなく、自動車を禁止しても仕方ないのです。
RONALD J. GILSONは、イギリスのゴードン・ブラウン首相が銀行家たちを非難した結果を予想します。銀行の支払うボーナスに50%の課税をする、というのは、次の選挙で劣勢の労働党を指導するブラウンが労働者の強い不満に応えるものです。これに対して銀行家たちは、ロンドンから立ち去るぞ、という脅しを発しました。
フランスのサルコジ大統領はこれを歓迎し、アングロサクソン型資本主義を激しく攻撃していた姿勢を銀行への課税として追随します。それぞれが戦略的な行動を取る結果は、しかし、ヨーロッパからロンドンに銀行が集まり、イギリスの利益をもたらすだろう、とRONALD J. GILSONは考えます。
なぜなら、ブラウンの課税は銀行の支払うボーナスに対する一回限りの課税であり、選挙で保守党が勝利する結果、次の政権では行われません。その意味では、課税というより、銀行家たちの傲慢さと金融危機に対する罰金です。他方、フランスはボーナス課税を制度化し、アングロサクソン型の金融市場から離脱します。こうしてロンドンの地位は守られるのです。
アメリカの金融改革は、まだ、中途半端です。銀行の救済がその整理を意味し、不良な資産は売却して倒産させ、優良な銀行だけ再生するはずでした。しかし、不況を抜け出すために政府の公的資本と連銀からの融資や不良資産買い取りが続けられて、どの銀行も整理・倒産していません。
金融危機の結果、世界がどのような通貨秩序、貯蓄と投資のメカニズムを整備するのか、むしろ、英米は指導力を失うのかもしれません。
WP Friday, December 25, 2009
2009: The year of living fecklessly
By Charles Krauthammer
(コメント) オバマはイランの反政府デモに強い支持を与えなかった。それは許しがたい失敗である。
イランのアフマディネジャド大統領は、オバマの無能な提案を拒否しただけでなく、アメリカが8000発の核弾頭を撤去しない限り、イランは核開発を続ける、と宣言した。こうして2009年のオバマによる「エンゲイジメント」、対話外交は失敗に終わった。イランのミサイル発射実験と核武装への接近が、その成果だ。
それは単なる失敗の年ではなく、素晴らしい機会を無駄にしてしまった年でもある。イランは革命の瞬間を迎えていた。大統領選挙とその結果に対する抗議運動と、最近のモンタゼリ追悼デモは、イランの神権独裁体制を転換する条件になり得た。
ところがオバマは彼らの自由の要求から身を引いたのだ。破廉恥な沈黙を守り、その後も、不承不承の支持を与え、それでも殺戮を好む政治体制に関与(エンゲイジメント)し続けた。イランに対してではなく、コノイスラム・ファシストたちが作る、イスラム共和国に対して、アメリカは対話の正式な相手として政治的正当性を認め続けた。
なぜそれが重要なのか? 革命が起きる瞬間とは、予期せぬ歴史の転換を、民衆が、そして権力を握る人々が、理解するのである。体制はその絶対的な権限を失った、と。弱体化した支配者たちが正当性を渇望しているときに、なぜアメリカ政府がそれを与え続けたのか?
ロナルド・レーガンがソ連を「悪の帝国」と非難したとき、その演説が収容所の人びとにどれほど強烈な電気ショックを及ぼしたか、シャランスキーは証言した。そのニュースは独房から独房へ、壁を叩く暗号の音信で伝えられた。彼らは孤立していないこと、アメリカが彼らの大義を支持していることを知ったのだ。
オバマの無関心は、アメリカの価値を裏切るものだ。それは第1級の大失策である。
人権問題を除いても、オバマは核兵器をどうやって廃絶するのか? 交渉は無益だ。制裁は弱く、不承不承に、部分的で、かつ、遅すぎる。核兵器を廃絶する以上に、その体制こそが問題である。インドやイギリスが核を保有することを問題にはしない。唯一の希望は体制転換だ。
1980年代、ポーランドの「連帯」に与えたように、弾圧されている反体制派に情報ネットワークを提供する。同じように重要なことは、言葉の上でも、外交的にも、最高の政治レベルで彼らを支持することだ。
この革命は成功するのか? その可能性は低いが、成功の見返りは莫大だ。その波紋はアフガニスタンからイラクにおよび、レバノンやガザにもイランの武器供給で活動する勢力がいる。
イランが、良くも悪くも、2010年を動かすだろう。イスラエルが爆撃するかもしれないし、イランが核武装するかもしれない。だから、体制転換の機会を失うオバマの失策は許し難いものだ。
SPIEGEL ONLINE 12/26/2009 Iranian Regime Critic Kadivar: 'I Am Convinced that the Regime Will Collapse'
IHT December 28, 2009 Tehran's Biggest Fear By SELIG S. HARRISON
The Guardian, Monday 28 December 2009 Is this Iran's second revolution? Simon Tisdall
SPIEGEL ONLINE 12/28/2009 Violence in Tehran: Iranian Demonstrators Put the Regime on the Defensive By Ulrike Putz
LAT December 29, 2009 Iran slayings point to increasingly desperate regime
The Guardian, Tuesday 29 December 2009 The weary, fractious streets of Iran Abbas Barzegar
NYT December 29, 2009 Iran’s War on Its People
(コメント) SELIG S. HARRISONは、イランの政治体制を崩壊させる危機があるとしたら、それはテヘランの抗議デモではなく、クルド人や、アラビア人少数派の分離独立運動から生じるだろう、と考えます。
Simon Tisdallは、1979年のイスラム革命を指導したホメイニの正当性が失われ、現体制に反対するテヘランのデモによって、民衆と支配者たちは歴史の反対側に立っている、と考えます。
NYTも、厳しい弾圧にもかかわらず、イスラム教の祝祭を期に始まった反政府行動と、それに参加する人々の勇気を称賛しています。そして、オバマ大統領の姿勢を支持しています。オバマはイラン政府との対話を求め、核開発を平和的に解決しようとしました。また、市民への暴力を批判し、ノーベル平和賞の授賞式でも、アメリカは彼らの側に立つ、と表明しました。
最高指導者ハメネイ氏は、1979年の革命を思い出すべきです。民衆が求めているのは、基本的な自由、経済的保障、政府が市民たちを殺すのではなく、守るべきだ、ということです。
The Japan Times: Tuesday, Dec. 29, 2009 Persuading China to put the screws to Iran By MICHAEL RICHARDSON
The Japan Times: Wednesday, Dec. 30, 2009 Iran the challenge in 2010 By DAVID HOWELL
WP Thursday, December 31, 2009 In the face of protests, Iran's leaders are at an impasse By Ray Takeyh
IHT December 31, 2009 Change Iran at the Top By ROGER COHEN
(コメント) 中国が国内で何をしているか、北朝鮮や台湾との関係をどう考えているか、アメリカとの利害は必ずしも一致しないでしょうが、イランの核開発について安保理による強い制裁を決議するためにアメリカと協力する余地があります。MICHAEL RICHARDSONの記事は、この点を考察しています。
アメリカ政府スタッフが中国側を説得する理屈は、このままではイランの核武装を止められず、その前にイスラエルが空爆を行うだろう。それは湾岸地域の戦争を引き起こし、原油価格が高騰する。中国の成長にとって深刻な影響が生じるはずだ、というものです。
さらに、イランが北朝鮮に続いて核武装に成功すれば、中東やアジアにおける核軍拡競争は避けられず、それは日本の安全保障を脅かすから、核武装を選択するかもしれない、と続きます。ロシアと中国は、制裁のレベルを上げるのか?
Ray Takeyhは、反体制派の運動が持続し、全国的に組織されてきたことに驚きます。現在の抵抗運動は、主要なイデオロギーやカリスマ的指導者を欠いている点で、1979年の運動と異なります。それは逆に、現在のイスラム共和国が国民の支持を失い、行き詰まったことを示している、と考えます。かつてのシャーと同様に、政治的基盤を拡大しようとする政策転換は手遅れです。
アメリカはそれに対して、核問題に配慮して主張を鈍らせるのではなく、人権を擁護し、革命防衛隊など、弾圧組織への経済制裁を強めるべきです。
The Japan Times: Friday, Dec. 25, 2009
The challenge of Seoul's G20 chairmanship
By BARRY EICHENGREEN
(コメント) G20の議長国となる勧告は何を課題にするべきか? 先の議長国であるイギリスのゴードン・ブラウンは、金融危機の原因や解決策について、国際合意と協調した行動を取るように呼び掛け、G20をそのフォーラムとした。それは明白な問題と解答があり、比較的容易な課題でした。
韓国のイ・ミュンバク大統領は、もっと難しい、不明確な課題に取り組みます。すなわち、金融制度改革が合意されるべきですし、極端な金融緩和や財政赤字からの協調した出口戦略が必要です。また、グローバル・インバランスの解消については、中国とアメリカの役割だけでなく、その規模から見て、アジアの協力が必要です。
EICHENGREENは、G20の正当性や制度の改善を課題とします。なぜなら、G20には明確な根拠がなく、むしろIMFの理事国、24カ国がふさわしい、と考えます。さらに、この組織の内部で主導権を握る欧米諸国に対抗して、効果的な討議を行うには、新興諸国も事前協議が必要でしょう。
議長国は、こうした問題について、正直な仲介者の役を務めることです。
FT December 27 2009
Still lost in the old Bretton Woods
FT December 27 2009
Wen dismisses currency pressure
By Geoff Dyer in Beijing
(コメント) 軍備と戦争のための国庫から、大恐慌、国際金融市場を経て、金融システムそのものが大きく変わりました。国際金融機関が変わるのは当然です。しかし、政治が動かなければ、それは固定されたままです。
国際金融機関IFIs(International financial institutions)ができても、グローバル・ガバナンスはともないません。ドーハ・ラウンドは新興諸国の不満によって頓挫し、IMFの融資は増えたけれど改革は進みません。G20が唱えた保護主義の抑制も、即座に無視されました。ニュー・ブレトン・ウッズの掛け声ばかりで、政治的な意志は欠けています。
危機に応じて国際機関がいくらできても、政治的な意志がなければ機能しない、とFTは嘆きます。その「政治的意志」はどこから来るのか? 主要国の合意です。たとえ自国の負担や調整によるコストが一時的に生じるとしても、国民に説得できる説得的なロジックと政治的な信頼を、指導者たちが得ていることです。
たとえば、アメリカが、中国が、・・・EUが、・・・日本が。
Dec. 28 (Bloomberg)
U.S. Dollar Takes Temperature of Troubled World
Paul Kennedy
(コメント) 「オランダ病」と反対の極に、「イギリス病」があったわけです。この論説は、いくつかの意味で面白いです。
なんでも市場で取引される時代です。通貨価値や国債、各国の政策効果が、市場の反応に依拠しており、市場で評価される時代なのです。たとえ失業者が増えて、世界各地の政府が崩壊し続けても、俊敏で、聡明な、利益を逃さないトレーダーたちがボーナスを増やします。
そんな世界では、国際通貨制度や国際政治の不安が高まれば、より安全な資産への逃避が起こります。それは国際金融センターが「最後の貸手」として機能する条件でもあるわけですが、国際金融センターを抱える国では、通貨価値が強くなります。そして、対外貿易赤字の膨張や国内産業の衰退が加速します。・・・「イギリス病」
あるいは、通貨の増価に悲鳴を上げる国内産業に対応して、金融緩和を繰り返すなら、金利は実質マイネスになって、それは内外でバブルを生じるでしょう。・・・「日本病」、「アイスランド病」
アメリカやドルも、こうした病の例外ではあり得ません。通貨危機や破綻国家が増えれば、そうした地域の資産が安定した通貨や国際金融センターの銀行口座に集まります。国際通貨の変動は、各国の政策運営と政治的危機の循環によって説明できそうです。Paul Kennedyは、1914年に至るイギリスを例に挙げています。
ドルが国際通貨であることは、オバマに同じようなジレンマをもたらします。国際政治が安定すればドルは準備通貨としての長期的な衰退傾向に苦しみます。他方、国際政治が危機を生じるなら、ドルの価値は高まり、低金利と金融バブルを生じるか、あるいは、ドル価値が異常に高まって国内産業の衰退にアメリカ政治が翻弄されます。
こうしたジレンマにオバマがどのように対処するのか? 21世紀の国際秩序が決まるでしょう。
FT December 29 2009
The challenges of managing our post-crisis world
By Martin Wolf
(コメント) Martin Wolfの父はヒトラーの時代のドイツを生きて、一族の多くが虐殺されたそうです。生き延びた父が教えた最大の教訓とは、文明のもろさ、であったとWolfは書きます。
破局において人間性の醜い、残酷な側面が強調され、文明は容易に崩壊します。経済危機を回避し、緩和することは、エコノミストの使命なのです。
危機が回避されて、このまま回復するかのような安易な満足感をWolfは批判します。これから解決すべき重大な問題とは、1.バランス・シート不況。銀行だけでなく、企業も家計も、バランス・シートを回復しなければならず、その支出を抑制するでしょう。2.平和時においては史上空前の公的債務が累積します。これは続けられません。3.国際収支不均衡の調整。赤字国と黒字国の間の不均衡を放置しておくことはできません。市場によって危機を生じる危険が高まります。4.中国など、黒字国の政策は調整を阻みます。火星に向けて輸出するのでなければ、彼らの成長モデルを調整する内外のメカニズムが必要です。5.金融システムのダメージは修復されておらず、しかも、救済によってグローバルな金融寡占体制が肥大化しています。
China Daily 2009-12-30
Asia's IMF?
China Daily 2009-12-30
Rebuilding the globe after double trouble
By Andrew Sheng
(コメント) この記事によれば、2003年のチェンマイ・イニシアティブは中国が呼び掛け、昨年末に、外貨準備のプールを合意しました。1200億ドルのプールに、日中は32%という等しい配分で提供します。
Andrew Shengは、Paul KennedyやMartin Wolfの問題提起を、アジアや中国から見ています。
・・・中国が行った財政刺激策による世界経済への貢献を忘れて、西側諸国は人民元切り上げを要請することに熱心である。しかし、世界経済が健全な成長過程に戻るためには、二つの根本問題に応える必要がある。すなわち、一つは、グローバルな金融アーキテクチュアの再構築。もう一つは、経済思想や哲学について、西側から東側(アジア)へ支配権を移すこと。
ドルに依拠した金融構造は持続できない。それは「トリフィンのジレンマ」として指摘されたように、国内経済の条件と国際経済の要請とが矛盾したのである。アメリカは世界にドルで流動性を供給し続け、金融資産市場にバブルを生じたが、その破綻により世界経済を急速に収縮させた。民間部門の損失や支出減を補い、緊急避難的な政策を続けているが、金融緩和を続ける90年代の日本的な解決策は、キャリー・トレードによって新興市場の金融に浮動的な資本流入を増やした。
世界は今、「逆トリフィン・ジレンマ」に苦しんでいる。準備通貨の発行国、アメリカにとって好ましい金融政策が、その他の世界にとっては間違っている。このままでは、西側のバブル破たんを救済するために、東側でバブルを起こすだけだ。西側に代わって東側が莫大な消費にふけり、借金し、地球環境を破壊すればよいのか? こうした議論は、過剰な支出が資源を枯渇させて成長を阻んだことを忘れている。
世界経済を再建する経済思想について、ケインズのような革新的思想家は現れていない。西側の経済思想や哲学は破綻した。国際金融制度を改革する合意を形成するにはまだ時間がかかるだろう。これまでの経済思想は、グローバルな生態系への負荷を無視してきた。
たとえば、グリーンGDPを基準に採用して、持続可能な開発を議論してはどうか? ・・・とAndrew Shengは提案しています。
The Guardian, Wednesday 30 December 2009
As threats multiply and power fragments, the coming decade cries out for realistic idealism
Timothy Garton Ash
(コメント) 「グローバル・ガバナンス」は存在しない。われわれが今も、国際機関ではなく、諸国の政府によって問題を解決するしかない。・・・
国連安保理も、IMFの投票制度も、何も変わっていません。戦争なしに、国際機関が大きく変わることなどないのです。ハンチントンは、2010年に米中間の戦争を予想していました。
グローバル・ガバナンスなしに、グローバルな問題を説くこと。コペンハーゲンはその到達された水準が低いことを顕著に示しました。理論では、200カ国ほどが「国際社会」のために、国連の主催で、人類にとっての顕著な危機である気候変動を防ぐために、国際条約を結びはずでした。しかし、実際は、最終日の午後7時に、アメリカ大統領が中国の首相と、ブラジル、インド、南アフリカの指導者たちも読んで、予定外の会合を開いたのです。そして5カ国は、反対もありながら会議に受け入れさせる、弱い合意だけを得ます。ヨーロッパは会合に呼ばれることもなく、オバマとコーヒー・テーブルを囲んで記念撮影に参加しただけです。
2020年になっても、この状態は変わらない、とTimothy Garton Ashは予想します。世界GDPの半分を占める米中欧がG3を形成し、問題に応じて、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカ、といった関係する主要国を呼びます。国連主催の会合も開かれるでしょう。行動する意志と能力のある国が戦略的な連合を形成して、問題ごとに解決策を合意する。それが2010年代のリアリスティックな理想主義が直面する困難な課題です。
IHT December 26, 2009
Business and the Way of Democracy
By ANDREA BONIME-BLANC and MARK BRZEZINSKI
(コメント) 世界的な民主化の流れが、次には企業にも継承されるだろう、とANDREA BONIME-BLANC and MARK BRZEZINSKIは考えます。株式保有者による企業の支配が、もっと利害関係者のすべてに対して情報の提供と民主的な意志決定への参加を制度化した姿に変わっていく、と予想します。
ポーランドから1989年のベルリンの壁崩壊を見て、社会主義モデルが終わったのだ、と考えたのは、もっと息の長い民主化過程の一部であったかもしれません。ポーランドを含む民主化の流れは1970年代にギリシャ、スペイン、ポルトガルの軍事独裁体制が崩壊したことで始まり、ラテンアメリカやアジアにも及びました。イランでも、中国でも、政治的な透明性と説明責任を求める運動は続いています。
世界企業になれば、政府やさまざまなステークホルダー(stakeholder)から要求が強まります。それらをいい加減に抑えるよりも、情報を開示して、普遍的な説明を行い、彼らが支持してくれる方が、優れた人材や協力者を得て、企業の能力を高められるでしょう。それは、腐敗(贈収賄、癒着、談合)防止や、人権、環境保護など、市民社会の道徳的な価値を守ることを意味します。
BBC 2009/12/26
Armchair deputies patrol US border
By Claire Prentice
(コメント) アメリカとメキシコの国境を電子的に要塞化し、麻薬の密輸や犯罪の取り締まり、そして非合法移民の排除を目指した前政権の「システム」が紹介されています。Texas Virtual Border Watch Programmeやthe Texas Border Sheriff's Coalition (TBSC)です。
IHT December 26, 2009 A Record Budget Stirs Debt Worries in Japan By HIROKO TABUCHI
WSJ DECEMBER 28, 2009 Tokyo Budget Blowout
(コメント) 社会福祉を重視した鳩山政権の予算案をwelfarismと呼んで、不況対策を無視している、とWSJは批判します。税収よりも国債発行の方が大きい、公的債務依存がGDP比200%に向かう予算案です。しかも、将来の楽観的な予想は必ず外れるだろう、とさらに赤字が増えることを警告します。
むしろ、小泉政権がやったように、予算措置の要らない規制緩和や起業促進の方が重要だ、と。
China Daily 2009-12-28 East Asia needs breakthroughs in cooperation By Zhou Muzhi
IHT December 29, 2009 In Southeast Asia, Unease Over Free Trade Zone By LIZ GOOCH
The Japan Times: Wednesday, Dec. 30, 2009 The Japan-India partnership to power a multipolar Asia By BRAHMA CHELLANEY
(コメント) 冷戦後のグローバリゼーションに対応できなかった日本の政治的な内紛を批判し、Zhou Muzhiは、中国がEU型の東アジア統合を指導するように求めています。国境をなくしてEU経済が成功した姿を見習うべきだ、と中国人は考え、他方、日本の金融関係者は今もドルの復活を信じています。
ASEAN諸国にとっても、中国との貿易はますます重要になっています。2003年の596億ドルから、2008年には1925億ドルに達しました。FTAは貿易財の90%から関税を取り去る、ということです。それはEEAやNAFTAに次ぐ規模であり、人口は19億人です。もちろん、中国からの安価な輸入品を恐れる工業関係者も多くいますが、中国市場への輸出も期待できます。
日本は、インドへの経済支援と協力関係を強化しつつあります。
The Japan Times: Monday, Dec. 28, 2009 Economy chasing its tail By GREGORY CLARK
(コメント) 財政再建を掲げて日本経済を復活させると主張した橋本政権、小泉政権の失敗の後で、いよいよ鳩山政権は「3度目の正直だ」という期待をGREGORY CLARKは退けます。なぜなら、経済が財政刺激策を必要としているのに、支出を削減しようとするからです。
日本経済は、尻尾を追いかける犬のようです。800兆円の公的債務を前にして、政府は財政赤字を減らそうとします。その結果、景気は悪化し、税収は落ち込み、さらに財政赤字が膨らみ、公的債務を増やします。
どうすればよいのか? 経団連や日経新聞の好む財政再建、サプライサイドの改革(規制緩和、起業家精神、技術革新)を、今の需要不足の経済では、時間がかかり、効果も怪しい、と批判します。むしろ、十分な規模の財政刺激策で不況を脱すれば、悪循環を逆転させて、税収も増える、と考えます。
金融緩和だけでは融資も、生産的な投資も行われず、景気を回復する力がない、と批判します。では、どうするか? ショック療法? ・・・なんでもやることだ。カジノでも、ディズニーランドでも、しないよりは良い。移民政策も自由化し、通貨を極端に割安にして輸出を増やす中国などに対しては国内産業を守れ、と主張します。
しかし、どうせ政府がやるなら、生産性を改善し、雇用も創出し、乗数も大きいような、効果的な公共投資を増やすことです。他方で、税収を確保する方法も改革しなければなりません。・・・ところが鳩山政権は、政府支出を切り詰め、間接税に頼り、高速道路を無料化する、・・・そんなことやってる場合なのか?
BBC 2009/12/29 Nikkei peak: 20-year anniversary
FT December 30 2009 Japan unveils ambitious growth strategy By Michiyo Nakamoto
IHT December 31, 2009 Japan Unveils New Plan for Growth By HIROKO TABUCHI
(コメント) BBCの記事が示す日経平均の折れ線グラフは、全く日本が世界から無視されていく様子を示すものです。
日本政府が発表した今後10年間に2%の成長を達成する計画を、どの程度、信用できるでしょうか? 環境、医療・介護、観光、・・・これが成長モデルでしょうか? アジア太平洋の成長モデルと統合する過程に関心が向かいます。
China Daily 2009-12-30
Hatoyama faces Catch-22 over American air base
By Ming Jing
WSJ DECEMBER 30, 2009
Why Japan Needs a 'Hatobama'
By IAN BREMMER AND NOURIEL ROUBINI
(コメント) NOURIEL ROUBINIが署名していながら、日本に関して何を知っているのか、という疑問を感じる無内容な論説です。鳩山の政策能力には疑問があり、それは日本の選挙システムや民主党が首相の能力を厳しくチェックしなかったからだ、というわけです。オバマのように、鳩山も妥協してプラグマティックな政策に転換せよ・・・? なるほど、そうでしょう。
FT December 27 2009
The decade the world tilted east
By Niall Ferguson
(コメント) ハーヴァード大学におけるNiall Fergusonの講義(“Western Ascendancy:Mainsprings of Global Power”)を聞いてみたいです。
「1500年頃から、なぜ、東側に比べて人口も少ない、遅れていたユーラシア大陸の西端が、その他のすべての世界を支配するようになったのか? ユーラシア大陸の東側の方が、人口も多く、もっと洗練された社会を持っていたのに。」
さらに、それが分かれば、将来を予想します。「ルネサンスと宗教改革の中で、西欧に興った文明が世界を支配する時代は終わるのか? それは科学革命と啓蒙主義によって前進し、大西洋を越え、南極と北極まで到達した。そしてついに、産業と帝国の時代はその頂点を過ぎたのか? 」
こうした講義のきっかけは、ニューヨーク大学でHenry Kaufmanに尋ねられたからだ、ということです。誰かマネーとパワーの歴史に興味を持つ者が、それ以外の土地ではなく、マンハッタンの島にそれらが辿り着いたことを説明してほしい、と。いくつかのバブルや9・11を経て、「馬上の時代精神」であったナポレオンが「大型バイク、ハマーに乗った時代精神」としてシュワルツェネッガーに変わってしまった時代の流れを解明したい、とFergusonは考えます。
2007-09年の金融危機を中国は見事に乗り越え、沈滞する欧米市場をしり目に、将来の問題はあっても、高成長を続けています。その革命は、まさに史上空前の爆発です。イギリスは1830年から1900年の70年間でGDPを4倍に増やしましたが、中国は1978年から2004年までの26年間にGDPを10倍に増やしました。アメリカのGDPは10年前に中国の8倍ありましたが、今では4倍です。ゴールドマンサックスの推定では、2024年に中国の経済規模がアメリカに並びます。
Fergusonは、西側が世界に文明を広げた原動力は6つあった、と考えます。1.資本主義的企業、2.科学的方法、3.私有や個人の自由に依拠した法・政治システム、4.伝統的な帝国主義、5.消費社会と「プロテスタント的」勤労精神、6.自己目的化する資本の蓄積。
中国には、1.2.と、儒教的な修正を受けた4.5.6.があります。しかし、3.はありません。中国も、繁栄するために何らかの民主主義を必要とするのか? まだ分かりません。
WSJ DECEMBER 28, 2009
The Rebirth of Charter 08
By JOHN LEE
The Guardian, Wednesday 30 December 2009
How not to handle China
Jonathan Fenby
The Japan Times: Wednesday, Dec. 30, 2009
A decade of Western losses and Asian gains
By GWYNNE DYER
China Daily 2009-12-31
A triumphant decade
(コメント) 西側は「テロとの戦争」に狂騒していますが、その間もアジアの興隆は確実に進み、世界の地殻変動は止まりません。GWYNNE DYERは書きます。
「テロリズムなんて気にしない。過去10年間に、世界で約5億人が死亡したが、テロの犠牲者は5万人にすぎない。しかも、そのうち4万人はインド、パキスタン、イラクに住んでいた。西側に住んでいたのは4000人でしかない。」
テロの脅威に対処するために、西側は不相応な支出を行いました。ヨーロッパの諸帝国は、わずか30年間で「世界大戦」という彼らの戦争によって富を消耗し尽くし、帝国は消滅したのです。アメリカも、同様に、戦争、減税、財政赤字、金融混乱の末に、そのグローバルな金融帝国を失いつつあります。
では、アジアは、特に中国は次の世界秩序をこのまま築くでしょうか? 二つの不安があります。一つはエネルギー・資源、もう一つは温暖化です。
中国もインドも石油輸入に大きく依存しており、また、石炭の消費も急増しています。同時に、たとえ摂氏2度の温暖化でも、両国の自然災害や環境破壊は激化し、食糧供給は急減しそうです。その経済的な奇跡も早期に終わるかもしれません。
FT December 27 2009
How economics managed to make amends
By Arvind Subramanian
(コメント) 経済学は金融危機を予測できませんでした。それは恥ずべき大失策でしょうか?
Arvind Subramanianは、危機の予期し得ないものだ、というケインズの指摘を紹介し、むしろ経済学者が過去の危機から何を学び、それを危機から世界不況へと進ませないために政策として実現したか、を強調します。
大恐慌の主な原因は三つです。1.金融引き締め政策、2.財政健全化への固執、3.保護関税、為替レートの競争的切下げなど、近隣窮乏化政策。この最後の要素が抑制されたことは驚きだ、とArvind Subramanianは強調しています。
なぜ大恐慌の再現は阻止できたのか? それは、バーナンキとオバマ政権が非正統的な手法まで用いて、ときには、ソ連のゴスプランとまで言われながら、金融緩和や財政支出を一斉に行ったからです。しかも、こうした手法は世界中の国が採用しました。経済学は大恐慌の教訓を等しく各国政府の幹部にまで浸透させていたわけです。もし教訓が学ばれていなければ、各国は非常時の対応策としてバラバラな行動を取ったはずであり、2009年の世界経済は全く違っていただろう、というのは説得的です。戦間期がそうであったように。
2009年、大恐慌は十分に起きる条件を備えていました。経済学はその防衛に成功したのです。
WSJ DECEMBER 27, 2009
By DANIEL BLUMENTHAL AND LESLIE FORGACH
(コメント) 保守派のシンクタンクthe American Enterprise Instituteに属する二人は、アメリカが6カ国協議の再開に成功すれば、北朝鮮の体制崩壊も可能である、と考えます。その理由は、金正日の後継者指名と、商人階層の台頭に怯えた通貨のデノミ実施です。無価値になった旧貨幣を燃やすなど、激しい抗議活動が起きている、と。中国への脱出を目指す人びとの移動に、特に懸念を深めています。
どうすればよいのか? 北朝鮮が宥和できるとして、その延命策に協力するべきではない、と論説は主張します。崩壊に瀕した体制が協力する可能性はなく、新しい体制が誕生してから、彼らは正当性の承認と支援を求めるのです。それゆえ、アメリカが韓国や日本と協議して、短期的、長期的な戦略目標に合意することです。短期的には、核兵器の排除、朝鮮半島の非核化、人道的な危機や難民流出に対処することです。長期的には、南北朝鮮の再統一です。日本は朝鮮半島の将来に強い関心を持っているから、協力を約束できる条件が必要です。
当然、中国は北朝鮮との緊密な情報網を用いて、米韓日の北朝鮮崩壊シナリオを阻止する可能性があります。しかし、中国が単独で行動を起こすことは、朝鮮半島をめぐる大国間の紛争を激化するでしょう。アメリカは3カ国の方針を示して、中国を説得することです。協力して危機管理と統一過程に参加するか、あるいは孤立して沈黙するか。
3カ国の合意と準備が周到であるほど、中国を説得できる余地もあるでしょう。
The Guardian, Monday 28 December 2009
I've changed my mind about racism
Gary Younge
The Times December 30, 2009
Immigrants, infants and grey Britain
Alice Fishburn
(コメント) イギリスの移民問題です。日本と同じ問題を、彼らはどのように議論しているのか?
警察の人種差別を告発した調査レポートの発表で、かつては人種差別主義が解消されるという希望もありました。しかし、Gary Youngeは、それが根深い人種差別主義への(政治の)回帰を軽視した者であった、と悲観します。
クリスマスになっても、子供のいない社会には、買い物に並ぶ家族もいません。私たちの社会は、高齢化し、多文化化し、人口過密になっています。それは移民流入と関係があります。もし移民が不況になって帰国し続ければ、移民の利益が失われたことを受入社会は知ると思われます。
The Guardian, Monday 28 December 2009
Blame Denmark, not China, for Copenhagen failure
Martin Khor
SPIEGEL ONLINE 12/28/2009
Interview with German Environment Minister Norbert Röttgen: 'China Doesn't Want to Lead, and the US Cannot'
(コメント) コペンハーゲン・サミットに関する評価です。デンマーク政府の失敗か、中国の姿勢が問題なのか? 国際会議や民主主義の意味を考えます。
NYT December 28, 2009
The Big Zero
By PAUL KRUGMAN
(コメント) 平均的なアメリカの家族は所得の増加がゼロ。住宅の所有者も利益はゼロ。株式保有者も、利益はゼロ。当時、サマーズ財務副長官が、他の政策担当者たちと同じく、アメリカ金融市場の情報を信用していたわけだが、その情報の正しさはゼロ。繰り返しバブルによって失いながら、アメリカ人が学んだこともゼロ。
資本主義の勝利をたたえ、アメリカのビジネスと政治のエリートたちが陶酔した時代が、実はゼロばかりだった。
FT December 28 2009
The next decade of monetary union
(コメント) ユーロ圏の景気回復はどうすれば可能か? ユーロ圏の解体を恐れるべきか?
これまで、一方では東欧への拡大が、他方ではアイルランドやスペインの好景気が、ユーロ圏の成長を維持してきました。金融危機はそれらが持続可能でなかったことを示し、ブームやバブルで失った競争力を回復するために、彼らは財政赤字の削減や賃金の引き下げを模索しています。成長のエンジン(と見えたもの)が永久に失われたのです。
ユーロ圏は今も世界不況に脆弱です。それは、ユーロ圏の主軸をなすドイツ経済が輸出に依存しているからです。また、金融部門が脆弱であったからです。これらを再建する見通しは立っていません。ユーロ圏が輸出を伸ばすことは世界経済を不安定化しますが、ドイツが成長率を高めることも困難でしょう。
世界経済やドルの変動から離れて、ECBが安定した通貨を供給し、ユーロ圏は自律した成長モデルを追求できるはずでした。しかし、その求心力を失う危険があります。
FP DECEMBER 28, 2009
Europe's Love Affair with Bureaucracy
BY STEPHANIE HOFMANN, KENNETH WEISBRODE
SPIEGEL ONLINE 12/29/2009
Euro under Threat: Culture of Corruption Drags Greece Down
By Ferry Batzoglou and Clemens Höges
IHT December 31, 2009
E.U. Challenged to Restore Fiscal Credibility
By LANDON THOMAS Jr.
(コメント) ユーロ圏の弱い諸国が国債の不履行に陥り、強い諸国がその支払いを分担するか、弱い諸国(あるいは、強い諸国)が共通通貨を離脱し始める、という不安が広まっています。
しかし、LANDON THOMAS Jr.は、共通通貨の本当の試練は、財政再建が遅れる中で、ドイツやフランスなどが経済状態を回復するとき、ECBが金利を引き上げることによって生じます。財政赤字を減らせないPiigs諸国Portugal, Ireland, Italy, Greece and Spain (the so-called Piigs)は、大量失業をもたらすような高金利と財政赤字削減(公務員の賃金カットや企業倒産、学校や病院の閉鎖、年金削減、増税、など)を受け入れ続けるでしょうか?
インフレや失業率が異なる地域が共通通貨を維持することは、労働力移動や財政移転を大幅に認めない限り、難しいのです。不況の国ではECBへの反発が強まるでしょう。
しかし、LANDON THOMAS Jr.は続けます。「逆説的だが、機能不全の分裂したヨーロッパ二重経済は、ドルに対するユーロ切下げという多くの者が長く待ち望んだことを行えば、経済を回復させる最善の機会でもある。」つまり、アメリカを助けたドル安に代わって、次はユーロ圏が減価によって回復を助けられる番です。
Paul De Grauweもそれを認めます。ユーロ圏解体の不安が広まる結果、ユーロ安が続き、それによってユーロ圏は救済されるだろう。ユーロ高は行き過ぎだ、と市場が認め始めたのです。
同時に、本当の回復はユーロ圏内部からしか起きないのです。アイルランドが示したように、サービス、不動産、政府部門で賃金が下げられ、激しい反発が起きても、競争力を失った産業は整理され、失業するか、賃金を下げるか、新しい投資が生産性を高めることを促すしかないのでしょう。
WSJ DECEMBER 28, 2009
Prepare for a Keynesian Hangover
By BENN STEIL
(コメント) 2008年にブッシュ政権が銀行の債務増大を是正することなく、金融規制を撤廃した結果、2010年にオバマ政権は政府と中央銀行が信用創造を担い、公的支出で民間部門を「刺激」し続けることになりました。
BENN STEILは、このあまりにもケインズ主義的な現状が景気回復をもたらすには、銀行部門から不良資産を一掃しなければならない、と指摘します。見かけの安定化や回復とは別に、銀行はゾンビ企業を生き残らせるために別会社を設けて融資を続けるばかりなのです。1990年代の後半に、インドネシアの銀行がやったことと同じである、と。それでは資源配分を悪化させたままです。
しかし、企業や銀行を倒産させて整理することは政治的に不可能でしょう。つまり、「政府と組んだ大宴会を信用創造で賄う」という、国境の南側でよく見た、アメリカ政府の批判し続けた状態に、アメリカ自身がいるわけです。しかも、アメリカの造幣局は、アメリカ国内だけにとどまらず、世界中に紙幣をばらまき続けます。
アメリカの不況は二番底を覚悟するべきだ、と。
Dec. 29 (Bloomberg)
Obama’s Next Trillion Spending Might Be Worth It
Amity Shlaes
FT December 29 2009
Rome offers Obama a lesson in limits
By Paul Kennedy
(コメント) オバマのアフガニスタン増派を歴史上の経験から憂慮しています。どれほど強大な帝国でも、その限界を知らねばなりません。アフガニスタンの地勢や天候を考えれば、アメリカ兵やイギリス兵の戦いは苦しいものです。むしろ、歴史上の撤退から学ぶべきなのです。
確かに現代のテロリズムには国境がなく、ネオコンたちが理解したように、世界の果てまで根絶するしかないかもしれません。しかし、支配者にとって選択は重要です。勝てる見込みのない戦いを、勝利と認められないような目標を、オバマは選択したのではないか?
WP Tuesday, December 29, 2009
Forecast for repressive regimes in the 'Teens'
By Anne Applebaum
(コメント) アフガニスタンから撤退して、オバマはその力を何に集中するべきか? おそらく、アメリカ経済の復活でしょう。しかし、国際政治においては、中国です。
Anne Applebaumは、Arthur Koestlerがやったように、世界の事件から未来を占います。ケストラーは1905年9月6日のロンドン・タイムズによって、ロシア帝国の崩壊、革命、リベラリズムの終末、を取り上げました。それに代わってApplebaumは、(アメリカではなく中国の)世界最速の列車、テヘランの抗議デモ、中国とトルクメニスタンのパイプライン(ロシアの石油支配を終わらせるかもしれない)、ナイジェリア人のテロ未遂、を取り上げます。
WSJ DECEMBER 29, 2009
Obama's Historic Health-Care Victory
By ROBERT DALLEK
(コメント) 「保険制度改革が、意図されたように(無保険の)3000万のアメリカ人に医療保険を拡大し、国家債務を抑制できれば、未来永劫にわたって民主党員は共和党員をさらしものにするだろう。」フーヴァー大統領が大恐慌への対応を誤ったように、共和党は同胞市民たちの苦しみを軽視しました。
「もしその法案が約束を違えるなら、大きな政府への国民の偏見は強められ、保守的な共和党員たちが国政を牛耳る機会が再来するだろう。」それでも民主党は、弱者に同情的な政党として信頼されるでしょう。
1935年の社会保障法案、1964年の市民権法案、1965年のメディケアと、教育に対する国家支援法案に並ぶ、オバマの歴史的な勝利です。
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The Economist December 19th 2009
Greece and the euro: Athenian dances
London as a financial centre: The real windfall
Banyan: Currency contortions
(コメント) 金融危機から「大恐慌」に向かうのではなく、世界は「大不況」への鎮静化に、すなわち、「安定化」に成功しました。1930年代と同じような「大恐慌」が起きても不思議でなかった昨年、それを回避したことは素晴らしい、と記事は称えます。
それは主要諸国の政府が、空前の規模で、しかも迅速に、金融緩和や救済融資、財政刺激策を実行したからです。しかし、同時に回復は脆弱で、問題は残されたままです。銀行は肥大化し、住宅価格は下がり続けており、各国の財政赤字も急増しています。
世界経済は「収斂」ではなく「発散」(経済パフォーマンスが国・地域によって異なる)に向かうでしょう。家計の債務に支えられたアメリカの需要は失われ、ギリシャのような債務への不安は、ユーロ圏の安定性を脅かします。逆に、中国など、新興市場では過剰な金融緩和がバブルの危険を示し始めています。
この「発散」を抑制し、均衡した成長に導くカギは、中国が人民元を切り上げ、アメリカなど、旧工業諸国は(協調した)財政再建の中期計画を示すことだ、とThe Economistは考えます。あるいは、中国が人民元を過少に評価したまま貿易黒字を増やし、旧工業諸国の輸出は増えず、それゆえ財政赤字が増え続けて金融市場の不安(そして、中国製品への保護主義)を高めるかもしれません。
The Economistは、ギリシャもアイルランドのような厳しい緊縮財政と賃金カットが必要だ、と考えます。他方、シティの銀行家に課税し、ボーナスから税金を取っても、金融機関や資産家がロンドンを離れるだけで税収が減り、結局、残された国民の増税になるだろう、と政府に反対します。
人民元に関する論争では、Banyanが中国政府の反論(財政刺激策と高成長による世界景気への貢献)を取り上げます。特に、中国企業に蓄積されている貯蓄が資本集約的な輸出部門などに投資されている、と批判します。
The Economist December 19th 2009
The Idea of Progress: Onwards and upwards
Rice in Japan: You are what you eat
Going to America: A Ponzi scheme that works
(コメント) 進歩の思想、日本の米作、アメリカへの移民。いずれの特集記事も興味深いです。
1861年のImre Madach, “The Tragedy of Man” を取り上げ、物質的な豊饒さの向こうにまで続く、進歩の思想を支える6つのアイデアに言及します。すなわち、言語、コミュニティー、科学、通商、道徳的感性、政府、です。物質的、金銭的に豊かであることは、必ずしも、幸せを意味しないからです。
進歩とは、平等や自由など、社会の仕組みや質に関わる言葉です。その意味で、たとえ6つの言葉で示される手段を駆使しても、人類が本当に進歩できるかどうかは、人類自身の徳性に委ねられています。
特に、科学の成果が社会を豊かにするのか、貧しくするのか、歴史は答えを出せません。素晴らしい科学的知識に、多くの恐るべき結果も示されているからです。核エネルギーがもたらした核兵器、生化学や情報通信技術がもたらす成果に対して、さまざまな恐怖が広まっています。ドイツの化学工業はナチスに毒ガスを提供しました。G.オーウェル『1984年』、A.ハクスリー『素晴らしい新世界』、(映画、ブレード・ランナー、マトリックス)の描くディストピアを考えます。
進歩がかなり危ないものであるとしても、また、ユートピアを実現できないことが早くから分かっていたとしても、進歩の思想は単なる歴史の楽観ではないのです。逆に、なぜディストピアは実現しないのか? The Economistは思想家 Susan Neiman に注目します。彼女は、人類が優れた徳性を示すことに注目しました。理想のために犠牲を払うことが人間の高貴さなのです。
ビジネスや銀行が優れたガバナンスを必要とするように、科学もガバナンスを求めます。その背後には、人類の徳性を高め、それに支持されるという、進歩の思想があります。
米を作り、米を食べる、日本人の徳性と結びつけられた理想が、同時に、日本人を国際政治で孤立させ、経済的に衰退させ、その農村人口を死滅させつつあります。
アメリカは世界中の才能ある人々、勤労意欲・上昇意欲のある人々を吸収しています。「1995年から2005年の間にアメリカで設立されたエンジニアとテクノロジー関係の企業の4分の1は、移民によって始められた。・・・その数字は移民の子(たとえば、アマゾンを創設したJeff Bezos)を含まない。」「最も生産的な人びとは、しばしば、最も移動しやすい。・・・国家、地域、企業は、才能を求める世界争奪戦に参加している。」
・・・同化? Joshua Lee:韓国出身、貧しい日雇労働者であった父がソウルの米軍基地で働いた。1990年、27歳で渡米。ケンタッキーで神学を学ぶ。韓国系アメリカ人の女性と結婚。韓国語の新聞に記事を書く。・・・法律? Dennis Downing:イギリス出身、キツネ狩りの犬を訓練する専門家。イギリス政府のキツネ狩り禁止により渡米。・・・政治活動? Ayaan Hirsi Ali:ソマリアからオランダへ渡る。国籍を取り、国会議員にもなる。しかし、イスラム社会における女性差別を描く映画を作って、イスラム過激派に命を狙われ、アメリカに渡る。オランダよりアメリカの方が思想が自由に表現でき、それが支持されればファンドを集めて運動もできる。
外国生まれの市民の割合は、アメリカの13%が豊かな国の平均である8.4%を大きく超えている。絶対数では圧倒的に多い。アメリカ3800万人は、ロシアやドイツの4倍、日本は200万人足らず、中国も100万人しかいない。日本にも、機会を求める熱意、優れた才能、希有な経験を有する人々が、世界中から集まってくる時代が来るでしょうか? グローバル国家、グローバル連合、the United States of Global human beings?