IPEの果樹園2009

今週のReview

12/7-/12

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* 感嘆キー・ワード **********************

ドバイ・ワールド, 人民元と国際金融市場, ブームと規制の政治経済学, アフガニスタン増派:AshFriedman, 環境サミット, ドルの水準と次の国際通貨制度, 日本, 北朝鮮

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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


BBC, Thursday, 26 November 2009 Dubai not too big to fail? Stephanie Flanders

FT November 26 2009 A breath-taking blunder in Dubai

(コメント) アメリカ市場が感謝祭の休日になったとき、ドバイの政府系開発業者、Nakheel社のドバイ・ワールドが220億ドル(記事によっては350億ドル)の債務に対する支払いを6カ月停止すると発表しました。しかも、市場関係者のだれもが、ドバイの開発にはアブダビ政府が資金を提供しており、いつでも救済するだろう、と信じていたのです。それが否定されたとき、パニックが起きました。すでにUAEの中央銀行から100億ドルを得て、救済されたはずでした。次の100億ドルも半分渡ったということです。その結果が、突然の支払い停止でした。

投資家の息の根を止めた発表によって、ドバイのこれまでの評価は破壊されました。湾岸の金融センター、貿易中継地、香港あるいはシンガポール、フランクフルトを目指したドバイが、今ではむしろアルゼンチンです。

外国からの資金と外国からの専門家を集めて、砂漠に都市国家を築いたドバイの首長Sheikh Mohammed bin Rashid al-Maktoumは、世界金融危機とその後の不況による不動産価格の下落や観光業の悪化に対応できなかったのです。2002-07年の危機までの期間に、不動産価格は4倍に上昇し、その後半減した、と記事は伝えています。そして、今後も下落するでしょう。

Sheikh Mohammedは、ドバイの主要な金融・不動産閣僚を解任しました。アイヴィー・リーグ出身の金融専門家たちに代えて親族で固めた宮廷革命である、とFTの記事は伝えています。しかし、その理由や意図は全く説明されていません。市場の信頼が回復する道筋が全く見えない、と。

世界最大の政府系投資信託を運営するアブダビが、ドバイ開発の後援者であることを市場は知っているから、ドバイの債務にも信用を与え続けてきました。そのアブダビが知らないようなドバイの債務支払い延期は、ドバイの証券を単なる紙切れに変える不安を強めています。首長国がアイスランドの仲間入りである、という不安です。ドバイ主要企業の格付けが下がり、湾岸諸国全体に信用不安が波及し、さらに新興市場の債券にも及んでいます。

ドバイの意図はわかりません。債券保有者ではなく、納入業者や契約者への支払いを延期したい、という意味であったかもしれません。それは過去にもあったし、今回もそうであることを今すぐに表明しなければならない、と結んでいます。

FT November 26 2009 Dubai gambles with its financial reputation By Jim Krane

BBC 2009/11/27 What spoiled the party in Dubai? By Ben Thompson

(コメント) 砂漠の海岸沿いに一つの島を見つけて、高層ビルで埋め尽くし、マンハッタンを作ろうとしたら、誰だって止めるだろう。それがNakheel社の描くDubai Waterfrontでした。

なぜ? という市場関係者の問いに、Jim Kraneは興味深い考察を示します。アブダビは、ドバイを救済するとしたら、その代償として何を求めるだろうか?

首長国連邦間のより緊密な統合化を求めるでしょう。それは財政の監視を意味し、ドバイの首長に勝手な不動産開発を許しません。さらに、ドバイの勝手な関税・通商政策を終わらせ、イランやイスラエルの大使館を閉じさせるでしょう。ドバイのSheikh Mohammedは、これを嫌ったのではないか、と。

つまり、ドバイの成長にとってロンドンやニューヨークの銀行家たちは必要だったが、ドバイ首長が地域に取り結んだ関係、すなわち、カラチ、ムンバイ、リヤド、テヘランとの関係は、銀行家たち以上に、欠かせないものだった。

Ben Thompsonは、逆に、危機によってドバイは成熟する、と楽観しています。そのために危機と整理は必要でした。

BBC, Friday, 27 November 2009 British banks and Dubai Robert Peston

The Guardian, Friday 27 November 2009 Dubai: the new Iceland? Eirikur Bergmann

(コメント) 2007年にレイキャビクを訪問したシカゴ大学のR.アリバーが、極北の小さな首都にクレーンの林立する景色を見て、即座に、バブルが破裂するだろう、と思った話は有名です。しかし当時は、外国人の学者に、アイスランドのヴァイキング経済は正しく理解できないのだ、と無視されました。

世界の大型クレーンの4分の1以上が集まった、というドバイの摩天楼が、それ自身の重みで崩壊したときも、アリバーの予感は正しかったわけです。金融危機のパニックが起きています。ヴァイキング経済が消滅したとき、そこに残ったのは海だけでした。ドバイの摩天楼も、後に残るのは砂漠だけです。

Eirikur Bergmannは、アイスランドの教訓として、迅速な処理を挙げています。主要銀行を閉鎖し、国有化しました。資産が失われ、債務返済負担が増えましたが、失業率が9%に達し、通貨価値が半減した後、経済は回復に向かっている、と言います。アイスランド経済のすべてがバブルに投資した銀行家と同じではなかったし、その投機はもっぱら海外で行われていたからです。それゆえ、金融危機のコストが海外で生じています。

二つの危機は、この後、異なるでしょう。アイスランドは金融ビジネスの富裕層をロンドンに移住させました。他方、ドバイは石油や金融ビジネスの富裕層をドバイに移住させました。アイスランドはタラ(資産資源)を輸出できますが、ドバイは石油を持っていません(近隣諸国の石油資本を使用しています)。

The Guardian, Friday 27 November 2009 Dubai: a city built on sand Simon Jenkins

FT November 27 2009 Reality catches up with the Gulf’s model global city By Roula Khalaf

(コメント) アラビア湾岸の世界都市モデルであったドバイの役割は終わったのでしょうか?

2週間前でも、ドバイはロンドンの資産家や金融機関に、重税の国から逃れてドバイに来るよう誘い続けていました。ドバイの開発業者は、リーマン・ショック後の金融危機も他の新興市場を損なうことで、むしろドバイに人材や資金が集まる、と主張しました。

Roula Khalafは、ドバイが債務や開発計画を整理して、健全な投資に集中することは概ね合理的である、と考えます。ただし、首長の独断や政治的内紛によって、市場の理解を得られないまま進めることは投機と暴落をもたらす、と警告します。

FT November 27 2009 Dubai reveals the fragility of finance

NYT November 28, 2009 Dubai Debt Troubles Push Down Stocks in U.S. and Asia By JAVIER C. HERNANDEZ and BETTINA WASSENER

The Times November 28, 2009 Jordan and Dubai, parallel universes collide Janice Turner

The Times November 28, 2009 A Danger in Dubai

(コメント) 投資家たちの信頼を損なったドバイの事件後、最も重要なことは、首長たちが自由市場の原則に従って経済を再建するのかどうか、という点です。

これまで金融危機を利して欧米の資産を買い漁ってきたアラブの投資家たちが、今回の企業再編をどのように扱うのか? 欧米政府・中銀の莫大の資金投入で回復しつつあった金融機関が、このショックで、間違った楽観論を払しょくされるのか?

低金利の持続が不動産バブルをもたらすのは世界中で起きたことだ。今や、ドバイ政府はその損失を引き受けるべきである。そして首長国の財政を公開しなければならない。アブダビはドバイの再建を助けるか、ドバイを縮小するべきである。

WSJ NOVEMBER 28, 2009 Dubai's Debt Reckoning

FT November 29 2009 Global Insight: Dubai’s neighbours are wary By Roula Khalaf, Middle East editor

WSJ NOVEMBER 29, 2009 Much Ado About Dubai By ZACHARY KARABELL

IHT November 30, 2009 The Dubai Crisis By PATRICK SEALE

(コメント) ドバイの問題は以前から知られており、パニックの原因は、むしろ世界金融危機の渦中にある投資家心理です。

他方、ドバイを建設したのは、アラブの起業家精神であり、低金利の融資、何でも実現できるという考え方でした。信仰と民族の紛争に沈んだアラブ世界の端に、ダイナミックで物欲に支配された植民地が出現したのです。他の何にもまして、ドバイはこの地域のショッピングモールであり、ナイトクラブでした。

しかし、PATRICK SEALEはドバイが復活すると考えます。なぜなら、ドバイは、石油収入がふんだんに流入し続けている首長国連邦の一つだからです。また、ドバイの金融ビジネスが地域にもたらす役割は失われていません。800億ドルの債務も、アメリカ政府が救済したAIGへの1000億ドルに及びません。それでもパニックが大きかったのは、欧米日における旧来の投資家たちが、新興世界の動きに不安を感じているからです。

彼らはドバイの示す挑戦に怯えたのであり、ドバイ・モデルは失われないでしょう。

The Times November 30, 2009 Enough glitzy debt: time for regime change

BBC Monday, 30 November 2009 Dubai: Wholly avoidable crisis Robert Peston

(コメント) ドバイの債務は周知の事実でした。知られていなかったことは、アブダビが救済融資につける厳しい条件であり、 ドバイの債券の価値が損なわれる程度であり、誰がドバイへの融資や債券を持っているか、でした。その不安がアメリカ財務省証券への逃避を生んだのです。

Robert Pestonは、救済融資は確実であり、欧米市場への波及は限定されていた、と考えます。むしろ、危機を警告するIMFの役割は、その目的を十分に達していないことがはっきりしました。こうした危機への備えが、いずれの政府にも求められています。

SPIEGEL ONLINE 11/30/2009 End of the Boom? Dubai's Debt Woes Unsettle Financial World By Beat Balzli, Alexander Jung and Bernhard Zand

FT November 30 2009 This is not the end of the road for Dubai By Sultan Sooud Al Qassemi

(コメント) Sultan Sooud Al Qassemiも、債務の支払い停止は国際資本市場で異例のことではないし、低利融資によってドバイの投資環境は改善されました。企業の整理、汚職の追放など、難しい課題があるとしても、新しい金融市場の条件に見合った、より緊縮的な、しかし、すぐれた新ドバイが誕生する、と考えます。

WSJ NOVEMBER 30, 2009 Dubai World in Talks on Debt Restructuring By NIKHIL LOHADE AND SUMMER SAID

FP Mon, 11/30/2009 Dubai no longer flying high By Phil Levy

Asia Times Online, Dec 1, 2009 Dubai, debt and a return to reality By Chan Akya

Asia Times Online, Dec 1, 2009 CREDIT BUBBLE BULLETIN: Dubai watch by Doug Noland

NYT December 1, 2009 Abu Dhabi’s Silence Raises the Heat on Dubai By ROBERT F. WORTH, HEATHER TIMMONS, and LANDON THOMAS Jr.

IHT December 1, 2009 In Dubai Debt Crisis, a Test of Law and Islamic Banking By HEATHER TIMMONS

BBC 2009/12/01 How Islamic finance missed heavenly chance By John Foster

(コメント) シャリア(イスラム法典)によって禁止された行為があるために、イスラム金融は異なった形態で発達しています。その可能性は、世界金融危機における欧米金融システムの後退で注目されるはずでした。しかし、ブーム・アンド・バーストに巻き込まれて、同様に、デフォルトの山を残しています。

オイル・ダラーだけでなく、イスラム経済は独自の経済を組織しています。「キリスト教徒の」銀行業が高利禁止を無視してから、今のようなウォール街やシティが発達し始めました。イスラム金融も、後戻りできなくなる前に、同じことを避ける試みが繰り返されるでしょう。

Dec. 1 (Bloomberg) Dubai Son-of-Subprime Shows Disease Still With Us Matthew Lynn

NYT December 1, 2009 In Wake of Dubai, Trying to Predict the Next Crisis By GRAHAM BOWLEY and CATHERINE RAMPELL

FT December 1 2009 Open economies need open states

(コメント) この会社は政府と無関係だ。“This company is independent of the government.” Sheikh Mohammedは述べたそうです。これはアイスランドの政府スタッフが海外債権者に「説明」する姿勢と同じです。・・・儲かるときは一体。破綻するときは無関係。

国際投資家たちは何も分かっていない、とも主張したようです。FTは、その通りである、と逆に批判します。ドバイの政府や金融機関の関係は何も分からない。サウジアラビアでも、アラブ首長国連邦でも、政府と企業や政府系金融機関の関係は、外から何も分からないのです。彼らはそれを利用して有利な融資を得てきました。政府や王族とのつながりがあり、保証があるかのように。

ドバイ・ワールドの債務支払い拒否は、この関係をはっきりと否定しました。それは金融市場で大きな代償を支払うことになるのです。ドバイが貿易拠点として、金融センターとして、再生されるなら、グローバル経済の動きを秘密裏に関わる状態から抜け出すべきです。

BG December 1, 2009 Dubai: Bubble and trouble

The Guardian, Tuesday 1 December 2009 The debt, excess and exploitation is not Dubai's alone. We've all been at it Jonathan Freedland

(China Daily) 2009-12-03 A lesson from the Dubai crisis By Yi Xianrong

NYT December 4, 2009 Debt Crisis Tests Dubai’s Ruler By ROBERT F. WORTH and HEATHER TIMMONS

(コメント) Yi Xianrongが、ドバイ・ワールドの債務危機が及ぼした大きな影響から、中国金融システムが学ぶべきだ、と主張していることは興味深いです。欧米発の世界金融危機より、ドバイの開発投機こそ、中国の次の危機回避策を準備させるのです。政府が関与する金融ビジネスと、低利融資による不動産開発、というのはそっくりです。

ドバイの首長、Sheik Mohammed bin Rashid al-Maktoumは、砂漠に桃源郷を建設する夢にとり憑かれている、という批判を無視してきました。その熱狂によって、アブダビによる救済策の可能性にも応えなかったわけです。父親は貿易拠点を目指し、自身は金融センターを目指しました。

それは、ラスヴェガスに見えますが、彼の理想としては10世紀のコルドバでした。「3分の1は起業家、3分の1はリチャード・ブランソイン風の空威張り、3分の1は建設業者。」 しかし、余りにも急速に、余りにも多くのことをやろうとした、と。休日を狙って債務支払いの停止を発表したときには、その威信も陰りを見せました。

しかし、NYTの記事は、アラブ世界の戦乱や貧困の水準を見れば、たとえ莫大な債務を負っているとしても、ドバイの成し遂げたことの方が重要だ、と述べます。


FT November 26 2009

Time is up for short-term thinking in capitalism

By Al Gore and David Blood

(コメント) 資本家的な社会に、長期的な、人びとの生活を改善する力を回復させる可能性を説く、政治的アピールです。・・・人間の本質が短期の快楽に向かう傾向を示すから。(この説明には納得できませんが。)

「短期思考の弊害」として、世界金融危機を挙げ、その反対に、長期的決断を要する課題として、「持続可能な発展」を挙げます。この二つを結びつけるのが、市場の基本要素である、会計、情報開示、誘因(動機付け)、規制、責任、です。


FT November 26 2009

Chinese stocks are set to lead the world

By Anthony Bolton

FT November 27 2009

China’s ‘locally global’ financial reforms

By James Kynge

(コメント) 中国式のグローバリゼーションも進んでいます。香港と上海を結んで、新しい国際金融センターに変える計画は、世界主要企業の株式上場や、国際商品市場の中国における価格決定など、中国式の支配を前提に、その拡大を目指しています。

しかし、最も重要な人民元の国際化がどうなるか、はまだわかりません。なぜなら、これはドルを介したアメリカの金融政策の影響から逃れる、という防衛的な意味合いが強いからです。しかし、すでに中国は多くの国に人民元による取引や融資を提供し、ASEAN諸国とのFTAも充実させつつあります。中国の支配と世界市場の拡大を、アジアにおける人民元の利用拡大によって実現するつもりです。

資本移動が本当に自由化されるなら、中国の支配が失われるのかどうか?

NYT November 29, 2009

Dangers of an Overheated China

By TYLER COWEN

FT November 29 2009

The cost of China’s excess capacity

(コメント) 中国は世界金融危機を免れた、というのは幻想である、とFTは考えます。中国は今も貯蓄過剰で、投資に過度に依存した成長を続けており、結果的に世界市場への輸出を増やさねばなりません。その過剰生産設備は、中国人民に重い負担となり、世界経済の均衡を破壊し続けます。

(China Daily) 2009-12-01

Nine economic dilemmas in 2010

By Liu Yuanchun

(コメント) 2010年に中国経済が直面する課題とは、1.重工業・化学工業の再編、2.雇用不足、3.輸出奨励策の廃止、4.不動産バブル、5.土地利用における均衡回復(中央政府と地方政府の対立)、6.技術導入と企業再編、7.為替レート、8.金融政策、9.構造調整政策。


FT November 26 2009 Boomtime politicians will not rein in the bankers By Avinash Persaud

NYT November 27, 2009 Taxing the Speculators By PAUL KRUGMAN

(コメント) 1930年代の不況をもたらした真の原因は、金融規制が危機の後に強まるからです。それは景気循環を増幅しました。政治は景気が良くなるとそれに便乗します。

「ブームが続くのは、誰もそれを止めようとしないからです。その時の政府は、次の選挙までブームが続くことを願います。ブームの初期には、成長率が高まり、低インフレで、倒産も少ないのです。政府は、これが彼らの政府の優れた成果である、と自慢します。銀行家たちは、それによって自分たちの報酬を正当化し、規制を排除します。ブームは金融業の拡大を促します。そして大学への寄付によって伝統的な批判を和らげます。こんなときに、わずかな報酬しか得ていない規制当局が、わざわざ立ち上がって、このブームは持続可能でない、などと言っても仕方ないのです。」

現在、銀行家を批判することに熱心な大学やメディアは、なぜブームのときに、もっと警告を発しなかったのか?

こうして、規制の対象が変化するので、リスクは正しく捉えられません。多くの政治家や規制当局が、リスクをまるで金融手段に付属している性格とみなしていることは間違いです。リスクはその持ち手によって変化します。それが安全だと宣言することが、リスクを増やします。

ブームは確かに、革新が生じて収益が高まったから起きるのです。自動車、鉄道、電力、インターネット、金融革新、など。世界は以前とまったく違うから、(過去と同じ)危機は起きない、というのは正しいでしょう。しかし、過剰投資によって新しいリスクが生じます。

リスクをとらえることは困難であり、金融規制は政治の変化に弱いものです。このような世界では、リスクを監視する統計的な手法も、制度の改革も、十分に機能しません。金融手段ではなく、その行動様式を変える必要があります。金融機関は、景気循環と逆に資本準備を保有しなければなりません。そしてリスクに対応する、統計ではなく、制度的な手段を重視することです。追加の自己資本を求めても金融システムを守れません。なぜならブームにおいてリスクは過小評価され、追加の資本を求められない分野で取引が膨張するからです。

・・・私は、「インフレーションの政治経済学」を思い出しました。

FT November 30 2009 Insight: Deflating the bubble By Charles Goodhart

(コメント) 日本ではデフレが深刻になって、日銀が量的緩和(QE)政策に戻るべきかどうか、その評価についての論争が再燃しています。

Charles Goodhartは、量的緩和(QE)政策が銀行融資をむしろ減らす効果があった、と述べています。QEによって得た資金を銀行は、一種の保険として、保有し続けました。国債も購入せず、金融政策の働きが失われています。ただし、QEを積極的に行った英米は、消極的な欧日に比べて、為替レートが減価して(景気を刺激して)います。Goodhartは、融資を増やすためには、流動性の罠を脱するマイナス金利が必要だ、と主張します。

こうして堂々とした主張が欧米でも表明されている以上、日銀はマイナス金利を積極的に導入するべきである、と思います。

BBC, Tuesday, 1 December 2009 Shouldn't banks work for us? Robert Peston

FT December 2 2009 How to take moral hazard out of banking By Niall Ferguson and Laurence Kotlikoff

(コメント) 金融危機には、救済融資を行って、同時に金融緩和します。このとき、政府は国債を低利で発行できますから、銀行のまともな資産を回収して、迅速に処理し、再び銀行を市場に戻せば、国民の負担は大きくないはずでした。

しかし、ドバイ・ワールドが債務不履行になったとき、その主要債権者にロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が含まれていることにイギリス国民は驚くでしょう。RBSはイギリス国民の税金で再建中の銀行です。それが多額の資金をドバイの投機的な開発に利用し続けているのです。他方、国際商品市場や金価格が示すように、インフレの懸念が強まり、金利が上昇し、負担が重くなっています。

それゆえ、救済融資によるモラル・ハザード問題を背景に、Niall Ferguson and Laurence Kotlikoffは、メルビン・キング総裁の大胆な提言、金融ビジネスと、公共機関とギャンブルとに分離すること、を考察します。通常、議論されているのは、新しいグラス=スティーガル法や、ナローバンキングです。しかし、それは問題の一部しか解決できないようです。

ここで提案されるのは、目的を限定した金融業Limited purpose banking (LPB)です。特定金融業者は、債券を発行して資金を得ます。融資を得て投資することは禁じられます。その債券を買うのはミューチュアル・ファンド(オープン型投資信託)、すなわち、われわれ投資家です。

キング総裁のたとえでは、前者が公共機関、後者がギャンブル、かもしれません。この二つは結び付きやすいですが、提案では、その関係を明確に分離して、しかも間に公的機関the Federal Financial Authority (FFA)を挟み、情報を開示させます。

Dec. 2 (Bloomberg) Roubini’s Bubbles Float on Flimsy Credit Source Caroline Baum

The Times December 4, 2009 Big bank bonuses make failure more likely Anatole Kaletsky

(コメント) RBSの経営陣について、政府に交代を求めています。


FT November 26 2009

The Group of 20 must be stopped

By Anders Åslund

(コメント) これまで国際機関は、重要な戦争の後で成立した、戦勝国クラブでした。G20を画期的なグローバル・ガバナンスを評価する意見もありますが、Anders Åslundはこれに反対します。

世界経済の85%、世界人口の3分の2を占めても、G20は国際協調の原則を損なっています。すなわち、少数の大国が集まって世界のすべての国に政策決定の方針を示す、という行為が、あまりにも僭越で、今まで多角主義・国際機関や国際協調を支持してきた弱小国家の主権を侵し、彼らの反発を招く、という点です。

20のメンバー国には、何も明確な選考基準がありません。G20内部の意思決定メカニズムや合意のルールについても明確ではありません。一部のインサイダーが秘密裏に交渉して決めた要素が強いでしょう。国際連盟を無能にした重要な非加盟国の存在を、その後、国際機関では「普遍性」の原理として重視してきました。この点でも、G20は失敗です。

G20の最も重大な欠陥は、1648年以来の「国家主権」を無視したことです。G8は明確に主要国の懇談、意見交換でした。しかし、G20は、金融に対するグローバル・ガバナンスを主張します。世界の他の160カ国は、彼らの決定に従い、代表を送れないし、情報も得られない、というのは19世紀の砲艦外交である、と批判します。

最後に、G20を支配しているのは、世界金融危機を引き起こした諸国です。だから、金融政策の失敗、世界的不均衡への反省、為替レート政策の間違い、金融監督の不備、タックス・ヘイブンの利用、ヘッジ・ファンドへの融資、など、G20は自分たちの犯した罪を重視しません。

これはナポレオン戦争後にメッテルニヒが作った神聖同盟に似ている、とAnders Åslundは厳しく批判します。それは立派な名目を立てながら、実際は、大国による反動的な体制維持が目的でした。アメリカは、中国、日本、ヨーロッパの主要国にG20で同意を求めるのです。しかし、本当に重要な改革は小国が提案してきた、と歴史を振り返ります。

IMFこそが改善を必要とする国際機関であり、G20の役割は補完的なものにとどめます。


WP Friday, November 27, 2009 A hug from Lula

LAT November 28, 2009 IAEA not the best solution to the Iran nuclear problem

FT November 30 2009 Iran is playing a dangerous game

BBC 2009/11/30 Iran - more sanctions after new defiance? By Paul Reynolds

FT December 1 2009 A nuclear deal with Iran is still within reach By Clifford Kupchan

The Times December 1, 2009 Wake up: we cannot wish away Iran’s bomb David Aaronovitch

The Times December 1, 2009 Iran’s Adventurism

The Guardian, Tuesday 1 December 2009 Imposing idiot sanctions on Iran is a direct route to war Simon Jenkins

Asia Times Online, Dec 2, 2009 ElBaradei's last hurrah on Iran By Kaveh L Afrasiabi

(コメント) イランの核開発に関するEUや、IAEAのエルバラダイ所長、アメリカ、オバマ政権の姿勢が変化しています。アフマディネジャド大統領は、平和利用を認めて経済援助を受けられるという提案を拒否しました。そして、逆に、ウラン濃縮工場を10か所で建設する、と発表しました。

典型的に、国内の不安定性を対外強硬策によって隠そうとしているのかもしれません。


The Guardian, Friday 27 November 2009 Afghan withdrawal would be folly Robert Fox

WP Friday, November 27, 2009 In Afghanistan, real leverage starts with more troops By Frederick W. Kagan and Kimberly Kagan

WP Saturday, November 28, 2009 Get real on Afghanistan By Colbert I. King

FT November 29 2009 Afghanistan is Obama’s biggest test By Clive Crook

BG November 29, 2009 No more troops to Afghanistan By Paul G. Kirk Jr.

FP Mon, 11/30/2009 Afghan militias: the sorcerer’s apprentice’s genies By Thomas Ruttig

FP NOVEMBER 30, 2009 Afghanistan Is Still Worth the Fight BY J ALEXANDER THEIR

Foreign Affairs November 30, 2009 Letter From Kabul Kim Barker

LAT December 1, 2009 What the U.S. can achieve in Afghanistan, despite Karzai By Mark Moyar

NYT December 1, 2009 A Tragic Mistake By BOB HERBERT

(コメント) アイゼンハワーは戦争を嫌っていました。BOB HERBERTは、その言葉を引用して、オバマの増派決定を批判します。悲劇的な失敗であるが、同時に、オバマにとって最も容易な選択であった、と。そもそも、ブッシュ=チェイニーのもたらした果てしない戦争を引き継いだことが悲劇です。

昨年以上に多くの自殺者が軍から生じていますが、経済状況の悪化で仕事の見つからない若者たちが軍に募集し、兵士の補充はできています。「アメリカは崩壊した。学校は荒れ果て、経済の破滅し、ホームレスと失業者の数が増加している。その一方で、われわれアフガニスタンの国家を再建しており、兵士一人当たり100万ドルもの費用をかけて、何万もの兵士を送り込む。」

オバマはむしろ、戦場から兵士を引き揚げて、国内の経済再建に取り組むべきだった、とBOB HERBERTは主張します。しかし、オバマはそれを国民に告げるほど強くなかったのです。弱腰。すでに戦場で任務に就いた兵士たちを裏切り、戦端を縮小して、敗走を命じる。そのような非難を受けることが分かっていたから。

ベトナム戦争を拡大したジョンソンの証言を引用します。

FP DECEMBER 1, 2009 Addicted to Contractors BY ALLISON STANGER

WSJ DECEMBER 1, 2009 The Afghan-Pakistan Solution By PERVEZ MUSHARRAF

CSM December 2, 2009 Obama speech: kicking the can down the road in Afghanistan By Graham E. Fuller

CSM December 2, 2009 Obama agenda in Afghanistan: Don't forget about Pakistan By Oliver Roy

LAT December 2, 2009 The reality of Afghanistan Tim Rutten

LAT December 2, 2009 Obama's Afghanistan gambit

FP DECEMBER 2, 2009 The Roads Not Taken BY JOSHUA KEATING, DAVID KENNER

(コメント) オバマによって選択されなかった選択肢について、考察しています。

たとえば、即時撤退。なぜオバマは選択しなかったか? もし今撤退すれば、カルザイ政権は崩壊するでしょう。アフガニスタンは、特にパシュトン人の地域においてタリバンが支配します。オバマは大統領選挙以来、イラクからアフガニスタンへの重心の戦略的移行を唱え、アフガニスタン内の協力者を得てきました。こうした方針が放棄され、オバマへの信頼が損なわれるだけでなく、多くの者を見捨てることになります。

他の選択肢についても、検討しています。

The Guardian, Wednesday 2 December 2009 Obama has charted an Afghan course. Britain must lead the way on Pakistan Timothy Garton Ash

(コメント) イギリスの政治指導者が何を目指すべきか、Timothy Garton Ashの整理は見事です。

オバマが私たちに語ったように、アフガニスタンとパキスタンは次のテロ攻撃を防ぐために、また、テロリストの避難所や養成所にしないために、勝利しなければなりません。イラク戦争がブッシュの戦争であったのと対照的に、アフガニスタンは国連安保理が認め、限定された使命を得た(アルカイダを掃討し、ビン・ラディンをとらえ、タリバンの戦闘能力を破壊する)、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国のNATO軍が担う戦争でした。

それゆえ、イギリス(やヨーロッパ)は、アメリカの決めた戦略に従うかどうか、を議論するのではなく、イギリス(もしくはヨーロッパ)にとっての重大な利害を検討することで、アフガニスタン戦争に関する決定を示さなければなりません。イギリスなどにとって、パキスタン出身の多くのマイノリティーが住んでおり、また、核物質がテロリストにわたる危険や、破綻国家を増やさない、という重大な利害をアメリカと共有しています。

その後、国連安保理の議決を得られないまま、ブッシュ政権はイラク戦争に資源を集中し始め、アフガニスタン戦争を忘れてしまいました。この失策は、アフガニスタンの政府を弱め、タリバンの復活と汚職の蔓延につながりました。オバマはそれを繰り返さない、と決断しています。

オバマの選択は、折衷的な内容であると同時に、成功を達成し、撤退するまでの期限を決めています。すなわち、西側の軍隊は3年から5年でアフガニスタンをすべて撤退します。歴史上の帝国の侵略と撤退を見てきたパキスタンの諸部族は、それを予想していたでしょう。

しかも、言うまでもなく、オバマの選択は政治的な計算を前提しています。中間選挙があり、2012年の再選がかかっています。オバマは「成功」を定義するより、実際は「失敗」を避けなければならないのです。テロを封じ込め、核の拡散を防ぐ、という死活問題を除けば、残りは政治的な修辞なのです。

本当に、そのような目的のために、自分の息子や娘が命を失うリスクを容認できるのか? 地に泥のインターネット映像を見れば、今すぐに撤退することしか受け入れられません。

Garton Ashは考えます。この問題に直面している他の諸国と、同盟関係を維持するために、共通の答えが必要だ、と。かつてドイツが脅かされたとき、英米が戦ったように、今は英米が深刻な脅威にさらされています。それでも子供たちの命には代えられない、と国民は思うでしょう。しかし、すでに8年間の戦いで、生命と辛苦を費やした戦場を、民主主義の国際同盟を守る一部として、あと数年を担い続けることは重要である、と。

ただし、二つの条件を追加します。一つは、オバマの軍事的・民生的な補充が、真に、撤退のための準備を進めることです。アフガニスタンが完全に民主国家になることを目指すのではなく、それがテロ組織の温床にならないように、完全な失敗を避けることです。

もう一つは、イギリスがパキスタンに対する包括的・長期的・非軍事的な支援策を立案し、実行することです。それを実現するためには、イギリスに住むパキスタン出身の人びとが協力し、重要な役割を果たさねばなりません。その計画が成功する過程で、パキスタン系住民は右翼が避難するような治安の脅威ではなく、膨大な潜在的資産となるのです。

The Guardian, Wednesday 2 December 2009 Obama under fire from all sides Dan Kennedy

SPIEGEL ONLINE 12/02/2009 Searching in Vain for the Obama Magic By Gabor Steingart

WP Wednesday, December 2, 2009 Surge, then leave By David Ignatius

WP Wednesday, December 2, 2009 Obama's lonely decision Robert Kagan

WP Thursday, December 3, 2009 This will not end well By George F. Will

(コメント) 戦争を終える最短の方法は、戦争に負けることだ、とかつてジョージ・オーウェルは言ったそうです。オバマの増派計画は、半熟で、真剣さが足らず、成功しない、とGeorge F. Will考えます。

WP Wednesday, December 2, 2009 An Afghan strategy

NYT December 2, 2009 The Afghanistan Speech

NYT December 2, 2009 This I Believe By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) THOMAS L. FRIEDMANは、オバマの増派計画に反対です。フリードマンは、ミニマリスト戦略を選択し、アフガニスタンの部族指導者たちとともに、タリバンの支配体制を倒すことを優先します。アメリカは国内の再建を急ぐべきであり、その分、安全保障やアフガニスタンの回復は遅れます。

フリードマンは4つの原則でアメリカの外交を考えます。1.アメリカの優れた条件を後世に継承する。2.強いアメリカを失えば世界は不安定化する。3.彼らの社会が不満を生じることで、アメリカは嫌われる。4.アラブ=イスラム社会が政治改革を嫌い、硬直的であるのは、石油収入によって軍備を拡大してきたからだ。

それゆえ、フリードマンは、ガソリン税を引き上げ、代替エネルギーの開発を主張します。国家建設は不可能ではないが、不況時に、コストがかかり過ぎる、と。

NYT December 2, 2009 A Good but Puzzling Speech By DAVID BROOKS AND GAIL COLLINS

FT December 2 2009 Obama doubles his Afghanistan bet

FP Wed, 12/02/2009 The 5 messages Obama's speech sent to the world By Will Inboden

(コメント) この決定は、誰にとって、どんな意味があるのか? アメリカが動けば、世界がそれを考えます。ヨーロッパ、中国、イラン、インド、パキスタン。・・・日本はありません。

The Times December 3, 2009 At last. Obama’s vision offers hope for all sides Clare Lockhart

LAT December 3, 2009 Obama's folly By Andrew J. Bacevich

(コメント) ブッシュの失敗を引き継ぐよりも、今すぐにプラグを抜くべきだ。オバマは、ニクソンと同じように、再選されるためには停戦を延期し、勝利を約束するつもりだ。

The Guardian, Thursday 3 December 2009 Obama's message of hope – to Taliban Nushin Arbabzadah

WP Thursday, December 3, 2009 What Mr. Obama changed

NYT December 3, 2009 Johnson, Gorbachev, Obama By NICHOLAS D. KRISTOF

(コメント) あなたがアフガニスタン南部の村人であれば、教育を受けたこともなく、自分たちの土地の歴史は侵略者を撃退することであった、と考えるはずです。

パシュトン人の多くは、狂信的で残酷なタリバンを嫌うが、それ以上に、外国人のアメリカ軍を信用できません。なぜもっと部族の長老に相談して作戦を決めないのか? なぜもっと学校を建設して成功したNGOを学ばないのか?

YaleGlobal , 3 December 2009 Obama’s Afghan Gamble Bruce Riedel

BG December 3, 2009 Obama’s big gamble in Afghanistan

Asia Times Online, Dec 4, 2009 Obama rings the curtain on Pax Americana By M K Bhadrakumar

The Times December 4, 2009 Barack Obama’s plan is seriously flawed. We need more Paddy Ashdown

(コメント) オバマの計画は軍事計画であって、政治計画ではない。たとえば、国際社会はどのように関与するのか? カルザイ政権はどのように改革できるのか?


SPIEGEL ONLINE 11/27/2009 China Agrees to Slow Emissions Growth

NYT November 27, 2009 China Joins U.S. in Pledge of Hard Targets on Emissions By EDWARD WONG and KEITH BRADSHER

(コメント) 中国政府は、コペンハーゲンの環境サミットを前に、排出量の規制より、エネルギー効率の改善を目標として掲げました。これは、温暖化防止の国際体制が成長を損なうことを避け、また、すでに豊かな諸国が排出量の大幅削減を達成するべきだ、と考えるからです。

この基準は、一人当たりのエネルギー使用量に大きな差があることを取り上げるよりは合意しやすいでしょう。しかし、排出総量を早く減らす必要がある、と考える欧州諸国やエコロジストの観点からは、非常に不満足な提案です。中国は、その後の交渉を容易にする意味でも、すでに既存の政策でその目標を達成しつつあるのかもしれません。

アメリカ、中国、インドの姿勢が国際合意のカギを握っています。中国が方針を示したことで、アメリカの交渉姿勢が問われます。

FT November 27 2009 A climate of suspicion By Christopher Caldwell

(China Daily) 2009-11-27 Green clock starts ticking

The Observer, Sunday 29 November 2009 Is there any real chance of averting the climate crisis?

The Guardian, Monday 30 November 2009 Copenhagen climate conference: Emission impossible Nicholas Stern and George Monbiot

(コメント) Nicholas Sternは、21世紀の最大の挑戦が気候変動防止と貧困解消だ、と考えます。コペンハーゲンにおける国連環境会議は非常に重要です。「地球の平和と繁栄がかかっている」と言うのです。われわれがエネルギー、種の多様性を守るために成長モデルを変えるか、あるいは気候変動が干ばつや難民、文明の衰退をもたらすのか? 20年か30年で、新しい技術や低炭素経済を実現しなければなりません。

政治指導者たちに非常事態の意識があるでしょうか? 特に裕福な諸国は貧困国を説得しなければなりません。コペンハーゲンで、効果的、かつ、公平な枠組みを合意するために、三つの問題を解決することです。1.世界の二酸化炭素排出量を、現在の500億トン足らずから、2030年に350億トン、2050年に200億トン以下まで抑えること。2.欧米日は1990年水準の少なくとも80%に2050年で抑えること。他方、インドや中国を含む発展途上諸国は、最初、その増大を抑え、続いて、減少させること。3.貧しい国の環境行動計画に対して、豊かな国は信頼できる実質的な支援を与えること。Sternは、年の支援額を2015年で500億ドル(2020年で1000億ドル)、GDPの0.1%にすぎない、と推定します。

相互不信や悲観論、大きな展望を欠いて、深刻な危険に落ち込むではなく、豊かな国も貧しい国も、政治指導者は真のビジョンと指導力を示すべきだ、と。

他方、George Monbiotは悲観的です。1997年の京都議定書をアメリカが支持しなかったように、今回も、アメリカ上院は反対するでしょう。その理由は同じく、貧しい国(インドや中国)が参加しない(アメリカ産業の競争力を損なう)、ということです。コペンハーゲンの国際交渉も、ドーハ・ラウンドと同じ運命をたどるのではないか、とMonbiotは懸念します。すでに次の会議はメキシコで開き、カンクンで貿易自由化交渉が決裂を宣言したように、気候変動を防止する枠組み作りの交渉もメキシコで終わる、と噂されているのです。

合意が遅れれば遅れるほど、決定的な摂氏2度の上昇を防ぐために必要な排出量の削減は大きくなり、それは政治的、経済的、技術的に不可能になってしまいます。また合意の遅れは、ただちに、新エネルギーの開発に必要な投資を妨げ、石油採掘・供給増加への投資を追加します。その投資額は、2030年までに256億ドルと推定されます。石油生産者の所得は5倍に増え、30兆ドルに達するでしょう。

ますます資源を少数の国に頼り、エネルギーを得るために莫大な「身代金」を要求されます。

WSJ NOVEMBER 30, 2009 The Economics of Climate Change

WP Tuesday, December 1, 2009 Target practice in Copenhagen By Eugene Robinson

FT December 1 2009 Why Copenhagen must be the end of the beginning By Martin Wolf

(コメント) 確かに、気候変動に関する科学は不確実であり、その対策コストも莫大だ。しかし、それが確実に正しいとわかるまで待てば、気候変動を抑えるには遅すぎるだろう。地球を使って何度も実験することはできない、とMartin Wolfは懐疑論を牽制します。

Wolfは、そのコストを実行可能な規模とみなす世界銀行の推定に賛同します。しかし、懐疑論が示すように、私たちは気候変動と対策の効果を注意深くモニターしなければなりません。

興味深い指摘があります。一つは、アメリカ人が自動車をもっと燃費の良い(EUの標準)小型車に乗り換えれば、世界の16億人が電力を利用できるのに等しい、というものです。気候変動の防止と、二酸化炭素の排出量抑制は、燃費(技術)、アメリカ(裕福な諸国)、貧しい人びと(新興市場と最貧国)、に関係のある、地球規模の集合行為問題です。その制度的・政治的な解決が重要であり、困難であるのは言うまでもありません。

地球の平均気温が2度上昇するのを防ぐために、私たちはすべて、すなわち、エネルギー需要を抑制し、再生可能エネルギーの使用を増やし、核エネルギーを利用し、炭素の吸収率を高め、石炭より天然ガスを利用し、森林を守らなければならない、とWolfは主張します。それに見合う政治的な合意は、コペンハーゲンで始まったばかりです。始まりの終わり、つまり、議論ではなく行動に移す時だ、と。

その際、三つの観点を強調します。1.長期の見通しを得るために、炭素排出量の安定した価格が必要だ。EUの排出権市場は不安定であり、炭素税が望ましい。2.排出規制を緩和する場合、その支払いと区別するべきだ。それは富裕諸国の負担で発展途上諸国のエネルギー効率改善を促すように設定する。3.単にエネルギー価格を高くするだけでは、既存エネルギーの開発投資が増えるだけだ。新エネルギーの技術開発・革新に投資しなければならない。

The Guardian, Wednesday 2 December 2009 Stopping deforestation with a Tobin tax Tony Juniper

(コメント) アマゾンの熱帯雨林は、毎日、大気中に200億トンの水分を供給し、南米各地に雨を降らせています。それは主要な河川を満たし、ブラジル南部、アルゼンチン北部、パラグアイといった、世界の重要な穀倉地帯を維持しているのです。アマゾンはカーボン・サイクルにとっても重要です。人間の経済活動が排出する温暖化ガスを吸収するからです。炭素排出量を2050年までに200億トン削減するには、アマゾンの熱帯雨林を守り、再生することが重要です。

熱帯雨林を維持する国に対して財政的な保障を行う、という計画は、年間200億ユーロの財源を求めています。世界不況によって主要国が資金提供を減らす懸念があり、財源の不足より、歳出の選別や振り替えが議論されています。・・・日本のように。

経済の優先順位を変えて、主要諸国がトービン税(国際通貨取引に対する低率の課税)を導入し、一つの試算によれば、0.005%の課税で280億ポンドを得ます。投機家たちのボーナスになってしまうような資金を取り上げて、もっと社会的に有用な使い方を求めるのは当然だ、というわけです。

The Guardian, Wednesday 2 December 2009 Enough posturing politics. Time to let the experts lead Jeffrey Sachs

(コメント) 政治家の合意は待っていられない。彼らが役立つことは何もない。低炭素社会への移行を実現する技術、社会行動、エネルギー・システム、輸送、食糧生産、水の管理、人口、などを科学者が解決するしかない。彼らが前面に立つ時だ。

The Guardian, Thursday 3 December 2009 Climate change Russian roulette Mikhail Gorbachev and Alexander Likhotal

FT December 3 2009 Trade could hold the key to a climate deal By Bård Harstad


FT November 27 2009

India and Pakistan: a strained restraint

By Amy Kazmin

NYT November 28, 2009

New paths to India and China

NYT November 29, 2009

India’s Eternal Crisis

By PANKAJ MISHRA

(コメント) 南アジアにおいても、イスラム教やヒンズー教など、極端な宗教勢力によるテロが活性化しつつあるのでしょうか? オバマが関与することで、インドと中国が協力し、日本と韓国、中国も和解・協力できるでしょうか? 


IHT November 27, 2009

Dollar at 14-Year Low Against Yen

By BETTINA WASSENER

FT November 29 2009

We must get ready for a weak-dollar world

By Jeffrey Garten

(コメント) ドル安について、アメリカは気にしていません。日本は円高によって不況が深刻になることを恐れます。またアジア諸国や新興経済は、ドル市場で儲からない資金が流入してくることを嫌います。

Jeffrey Gartenの理解では、このドル安は一時的でも、循環的でもなく、恒久的に、ドルの均衡水準が下がるのです。その理由は、もはや、アメリカの財政赤字が自国の負担だけでは容易に解消できず、また、アメリカの消費者が以前のように金融緩和で成長を維持するだけの需要をもたらせないからです。アメリカは、強いドルではなく、弱いドルを必要としています。

弱いドルは、当面の金融危機と公的債務の増大によって必要になっただけでなく、アメリカからアジアの新興経済へパワーがシフトすることへの、長期的・構造的な変化がもたらす政策転換である、とGartenは支持します。「次の10年間、アジアの新興市場は、アメリカの2倍の速さ、EUの3倍の速さで成長する。2020年までに生産される富は、中国、インド、インドネシア、韓国、ベトナムを合計した方が、アメリカ、日本、EUを合わせた合計額よりも大きくなるだろう。中国、インド、韓国はドルの外貨準備を減らしつつある。・・・工業諸国による輸入が減っても、アジアの域内貿易はブームに至り、それを融資するのはドルだけに限らないだろう。」

Jeffrey Gartenは、単にドル安で債務を軽減し、成長を取り戻せる、と考えているのではありません。ドル安の弊害も指摘しています。交易条件が悪化してアメリカ人の生活水準は低下します。特に、貧困層は輸入品の価格上昇に苦しむでしょう。それはまた、インフレを招きやすく、それゆえ金利を高めます。アメリカ起業は、高度な技術や品質で国際競争力を維持するより、安価な製品で利益を得ようとします。それは国家のプライドを損ない、国際的な影響力を低下させます。

「半世紀に及んだドル中心の世界経済は衰退するだろうが、それが円滑に、漸進的に進む保証はない。ドルの衰退は競争的切り下げ、重商主義的な通商政策に至る。」(つまり、貿易戦争です。)

Jeffrey Gartenは、次の国際通貨制度が、ドル、ユーロ、円、人民元、SDRを加えた、多通貨による体制になる、と考えます。しかし、その具体的な仕組みが定着するまでには時間がかかり、そうであるからこそ、今すぐに交渉を始めなければならない、と主張します。

ガイトナー財務長官は、このクリスマスから年明けまでに、イギリス、ユーロ圏、日本、中国の当局者と秘密裏に会うでしょう。彼らが答えるべき問題とは、・・・「経済パワーの根本的な移動にふさわしい(国際)通貨制度とはどのようなものか? どのような過程がそれを実現できるのか?」

新しい時代が、金融市場のもたらすデフォルトと大規模な金融崩壊によってではなく、政治指導者たちの合意と協力によって誕生するとしたら、この話し合いは決定的に重要です。

Nov. 30 (Bloomberg)

American Peso Leaves Yen Nowhere to Go But Up

William Pesek

(コメント) アメリカがドル安を必要としているとしたら、日本はもっとそうではないでしょうか? ところが、日本はアメリカとは逆に対外黒字(国内貯蓄)とデフレ、円高に苦しんでいます。

あわてた鳩尾山政権が、日銀に金融緩和の圧力をかけるとか、協調介入を示唆しましたが、William Pesekは評価しません。日銀が資金を与えても融資は増えず、協調介入は他国が乗ってこないからです。日本の成長率を挙げたものは、自民党が発注した不要な公共工事ばかりではないか、という疑念を強めています。ドバイ・ワールドが債務支払い停止を発表したように、こうした低金利と建設工事に頼る日本の景気刺激策は問題を解決できない、というのでしょう。

これまでの発想を変えるためにPesekが紹介した提案は、減税策です。しかも、日銀が現金化します。銀行の融資を待つこともいらないし、建設会社にやたらと公共工事を発注することもいらない。消費者が購入することで、地方経済も、中小企業も、活気を得るでしょう。なるほど、ぜひ試してほしいです。

他方、日本で融資も投資も増えないのは、「アニマル・スピリッツ」が死滅してしまったからです。アジアの新興市場が拡大する中で、日本がどのような役割を担えるのか、政府にはその展望がありません。将来に向けた希望がない家計は、消費を増やせないのだ、と。この点では、日銀ではなく、政府こそが方針を示すべきです。

Nov. 30 (Bloomberg)

China Hitches Yuan to Dollar, Cedes Control

Caroline Baum

WSJ DECEMBER 1, 2009

The Last Great Dollar Crisis

By JOEL HARRIS

(コメント) Caroline Baumは、ニクソンショックの状況と今のオバマの抱える問題を比較します。オバマも、中国の胡錦濤主席に言うべきでした。「ドルはアメリカの貨幣であるが、それ(ドル安)はあなたの問題だ。」ドル安に不満を述べるヨーロッパの関係者に答えた、ニクソン政権の財務長官であった、ジョン・コナリーの名言です。

言い換えれば、アメリカは他国の利益のために金融政策を変える責任を負わない。ドルを外貨準備として蓄積したのは中国政府の選択であった。ドル安が問題なら、中国が政策を変えればよい、と。ただし、セント・ルイス連銀総裁であったビル・プールの指摘も引用しています。アメリカは国内物価を安定させる義務があり、それは世界経済にとっても良いことだ、と。

中国は、為替レートの不安定化や、輸出部門の競争力を心配する一方で、ドル建外貨準備の評価損や、国内の金融緩和がバブルを促すリスクにも直面しています。そして、ドル安とともに中国の輸出が増えるなら、貿易摩擦や保護主義が高まることを無視できないでしょう。

JOEL HARRISは、ドル準備をため込んだ1970年代後半のサウジアラビアなど、OPEC諸国と比較します。ドルを利用した外交圧力は、結果的に、アメリカのインフレを下げる政策をもたらした、と考えます。

実際には、OPEC諸国はIMFのSDR創設を支持しましたし、インフレによってドルの価値が下がった場合、その損失を補償するように求めました。そして、ドル以外に、スイス・フランやドイツ・マルクでも準備を保有し始めたのです。中国は、この経過から学んでいる、とHARRISは考えます。

サウジアラビアの「ドル外交」は、その後にカーター政権の方針転換と、ポール・ボルカーの金乳引き締めを(その影響の程度は不確かであるが)もたらした、と指摘します。

FT November 30 2009

Retread required

By Alan Beattie

(コメント) Alan Beattieは、ドーハ・ラウンドの決裂を、大恐慌の再現を防ぐためにできたIMF・世銀に並ぶ重要な役割に照らして、今こそ再生するべきだ、と説いています。また、プラザ合意にも言及し、為替レートの調整を促す国際協調を人民元に対しても行う可能性を指摘しますが、まさにプラザ合意のせいで日本はバブルを経験し、成長を損なわれた、という中国の理解が制約となっている、と指摘します。また中国は、アメリカからの低金利融資が世界的な不均衡やバブルを招いた、という姿勢で、人民元への批難を逸らせます。

マルチラテラリズムだけでは答えにならない。大国間の協調、ミニラテラリズムが重要だ、というRazeen Sallyの意見も紹介しています。

 

FT December 1 2009

Competitive devaluations threaten a trade war

By Michael Pettis

(コメント) アジアにおいて既に競争的な切り下げが始まったかもしれない、とMichael Pettisは警告します。先週、ベトナムが人民元の減価を意識して、その通貨を切り下げたからです。これでタイなどのアジア諸国が動揺し、切下げ・減価が波及するかもしれません。

Barry Eichengreenは、ここでも紹介した論説で、1930年代の貿易戦争は再現しない、と主張しました。しかし、Barry Eichengreen and Douglas Irwinの論説を取り上げて、金本位制を離脱した国は不均衡や不況を免れた、という主張に反論します。なぜなら、為替レートを動かせない国は、産業への補助金や保護主義という、他の方法で市場を守るしかなかったからです。

世界不況においては、変動レート制だけが答えではなく、むしろ需要を増やす国際政策協調がなければ、競争的切り下げ(アジア)と産業補助金(ヨーロッパ、アメリカ)、保護関税(アメリカ)による大恐慌が再び迫ります。


NYT November 28, 2009

Baghdad Garden Becomes Graveyard, Full of Grieving

By ROD NORDLAND

(コメント) バクダッドの墓地を紹介した写真に胸を打たれました。


WP Sunday, November 29, 2009

The right reform for the Fed

By Ben Bernanke

NYT November 29, 2009

Bernanke Warns of Risks in Push to Revamp the Fed

By JOHN H. CUSHMAN Jr.

WP Monday, November 30, 2009

Fed 'reform' we don't want

By Robert J. Samuelson

(コメント) 連銀と議会との権限や監視をめぐる争いです。アメリカでは権力の集中を嫌う伝統があります。庶民を犠牲にして大銀行を守った、という不満を背景に、中央銀行は議会の反感を買っているようです。

各国の中央銀行総裁が振るう巨大な権力は、どこまで・どうやって民主的な正当性を得ているのか、という問題にもつながります。


FT November 29 2009 Greece can expect no gifts from Europe By Wolfgang Münchau

The Guardian, Wednesday 2 December 2009 Greece doesn't have to follow Dubai Jens Bastian

FT December 2 2009 Greece’s economic burden By Kerin Hope in Athens and Ralph Atkins in Frankfurt

(コメント) アイスランド、ラトビア、ドバイ、そして、今度はギリシャです。

ギリシャの場合、ユーロ加盟国であるため、もし政府が債務不履行になれば、その扱い方に明確な方針がないことによる不安が生じています。ギリシャの債務はだれが支払うのか? 誰が財政再建を命じるのか?

ユーロ圏諸国が恐れているのは、ギリシャ政府を救済した場合のモラル・ハザードである、とWolfgang Münchauは指摘します。ギリシャ政府は財政安定協定を破ったのであり、(財政再建の厳しい条件を呑まなければ)救済されないでしょう。そして、市場を介してユーロ圏が一部のコストを分担します。その影響が限定的である限り。しかし、その政治的圧力がギリシャの反発を高めれば、ユーロ圏のコストも増大します。

このままでは、ギリシャの国内危機がEU内・国際政治のチキン・ゲームと化します。ギリシャがユーロ圏を離脱する、という選択肢も検討されています。


FT November 29 2009

A better way to choose Europe’s top table

By Howard Davies

SPIEGEL ONLINE 11/30/2009

Welcoming the Lisbon Treaty: A Change for the Better in Europe

European Parliament President, Jerzy Buzek

The Guardian, Monday 30 November 2009

Europe's 1788 moment

David Marquand

FP DECEMBER 1, 2009

The Eurocrats Europe Needs

BY JAMES JOYNER

IHT December 3, 2009

Who? Who?

By GEOFFREY WHEATCROFT

(コメント) EUのガバナンス・制度改革(大統領、外交代表部)、その人選をめぐる評価です。David Marquandは、アメリカ独立革命に比較しています。


BBC 2009/11/30 Tough debate ahead after Swiss minaret ban By Imogen Foulkes

SPIEGEL ONLINE 11/30/2009 The World from Berlin: 'Germany Would Also Have Voted to Ban Minarets'

WSJ NOVEMBER 30, 2009 Switzerland and the Minaret

CSM November 30, 2009 Swiss minaret ban: Can Europe learn to trust its Muslim citizens? By Tariq Ramadan

CSM November 30, 2009 Swiss minaret vote and vague fears about Islam

The Guardian, Tuesday 1 December 2009 The Swiss ban makes me shudder Jonathan Freedland

WP Tuesday, December 1, 2009 Europe's call to intolerance By Mona Eltahawy

IHT December 2, 2009 The Call From the Swiss Minaret By CLAUDIO CORDONE

FT December 1 2009 Muffled muezzins

LAT December 2, 2009 Swiss ban on minarets is pure discrimination

SPIEGEL ONLINE 12/03/2009 How the Right Is Wrong: The Bizarre Logic Behind the Swiss Minaret Ban By Yassin Musharbash

(コメント) ヨーロッパ中で、イスラム化を懸念する声が渦巻いています。スイスのイスラム教モスクに対する尖塔の建設禁止は、多くの論争を刺激しています。


NYT November 30, 2009 The Jobs Imperative By PAUL KRUGMAN

BG December 1, 2009 To boost jobs, give tax breaks to businesses that hire

WP Thursday, December 3, 2009 Time for more stimulus By Harold Meyerson

WP Thursday, December 3, 2009 Job creation made hard By Robert J. Samuelson

NYT December 3, 2009 The Job Summit

(コメント) アメリカの失業率を下げるために、政府に何ができるでしょうか?  PAUL KRUGMANは、金融危機さえ沈静化すれば、後は景気回復とともに雇用も増えるだろう、という受動的な政策に憤慨します。失業によって失われる労働者の熟練や意欲、障害に及ぶ若者のキャリアは、景気回復を待つ政府の無責任さを質すものです。

地方政府への財政支援によって公共部門のサービスと雇用を維持し、さらに雇用を創出する直接的な手段として、ニューディール政策のWPA(公共事業促進局)を再現するべきだ、と述べています。しなわち、低賃金で失業者を公共事業に吸収するのです。


Asia Times Online, Dec 1, 2009 The day Beijing blinked By Antoaneta Bezlova

YaleGlobal , 1 December 2009 Brazil: Dances with Dragon Alexandre de Freitas Barbosa

(China Daily) 2009-12-02 Making Asia's bond markets work for the region By Jong-wha Lee

Dec. 3 (Bloomberg) Lingerie Central Deserves BRIC Nod From Goldman William Pesek

The Guardian, Thursday 3 December 2009 Big savers got us into this mess, as well as big spenders Robin Wells

The Japan Times: Thursday, Dec. 3, 2009 Time to get tough on China By GREGORY CLARK

(コメント) アジアと中国、ブラジル、ドイツ、国際政治の多極化をめぐる論説です。中国政府の一国主義的な経済政策・外交政策に対して、主要諸国は協調して政策変更を要求するときかもしれません。


BBC, Wednesday, 2 December 2009

Bad in Japan

Stephanie Flanders

FT December 3 2009

Tokyo should not lose its nerve on the yen

WSJ DECEMBER 3, 2009

Japan Money Flood

(コメント) 円高とデフレ。日本政府は、金融政策による対応だけでなく、減税や社会福祉手当、今日的な雇用の促進、などを求められています。


WSJ DECEMBER 3, 2009

Kim Jong Il's Fake Currency 'Reform'

By MARCUS NOLAND

(コメント) 北朝鮮の通貨制度改革、あるいは、デノミネーションについて、MARCUS NOLANDは国家の管理を離れた企業活動を搾取し、掌握するための、逆向きの経済改革である、と批判します。トルコやガーナは、ハイパーインフレーションを鎮静化してから、デノミネーションによって経済活動の回復を図りました。北朝鮮は違います。特に交換する金額に上限を設けたことは、秘匿した資産の価値を破壊するための経済攻撃です。弾圧、犯罪、収賄、収容所、強制労働・・・そのような国家の利益にとって必要な通貨制度「改革」です。

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The Economist November 21st 2009

How to feed the world

Feeding the world: If words were food, nobody would go hungry

Monsanto: The parable of the sower

The deficit problem: Dealing with America’s fiscal hole

America’s fiscal deficit: Stemming the tide

Europe’s public finances: Weighed down

The public-sector finance: The state’s take

Barak Obama in Asia: The Pacific (and pussyfooting) president

Banyan: Land of Eastern promise

Siera Leone’s corruption problem

Schumpeter: Remembering Drucker

China’s exchange rate policy: A yuan-sided argument

(コメント) 人類のまだ多くの部分は、将来も、飢餓の恐怖から逃れられないのです。特に、主要諸国が気候変動の強調した抑制策の合意に失敗し、モンサント社が開発し続ける新しいモンスター穀物の種子が制限されれば・・・? といった話です。A.センの権限による飢餓の解明とは、かなり違いますが、矛盾するわけでもないでしょう。むしろ、ますます権限メカニズムを改善する必要があるわけです。

そして、世界の大部分で財政赤字の赤い洪水が押し寄せています。アメリカ、ヨーロッパ各国、そして世界の比較から、いろいろな考察が得られそうです。そして、決して何かが特に優れているわけでもない・・・?

オバマのアジア外交は、どうして猫のように静かに歩くのか? シエラレオネでは腐敗の撲滅がようやく成果を上げるかもしれません。ドラッカーの創り出した「経営学」は、常に、微妙で、危ない橋を渡る、カリスマの存在が求められます。最後に、中国の為替レート政策について中国側から示された合理的反論の紹介です。