今週のReview
10/26-31
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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中国について、 銀行・金融制度の改革、 アフガニスタンに増派すべきか? ビル・ゲイツ、 ドルの没落? ユーロの時代? 日本について、 環境問題、 同盟の終わり、 リスボン後のEU
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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
China Daily 2009-10-15 Migrant workers' pension
Asia Times Online , Oct 22, 2009 China's graduate glut grows By Antoaneta Bezlova
(コメント) 内陸部から出稼ぎにきた最初の人びとは20年以上働き、そろそろ引退の年齢に達する。このまま年金がもらえないとしたら、それは社会正義に反するだろう、と中国政府は懸念します。年金制度の改正が必要です。現行制度は15年継続して働いた者に年金を支払うけれど、制度ができてまだ10年しかたたず、このままでは適用されないことになります。彼らは(戸籍の管理制度により)出身地の制度でも、雇用されている企業の制度でも、年金がもらえません。
「これは、出稼ぎ労働者への差別に依拠した搾取である。」と、記事は断言します。
2007年、蘇州には約500万人の年金加入者がいますが、83万人が支払いをやめました。その多くは出稼ぎ労働者です。彼らは年金支払いを出身地の政府と統一管理し、彼らがどこにいても資格は認められ、年金支払いを受けられるべきです。
大学卒業生にも就職の危機が起きています。就職センターに通って、それでも仕事が見つからず、出稼ぎ労働者と職を奪い合って賃金を下げているのです。それは勉学を重視してきた儒教の伝統的秩序にも影響する、と記事は指摘します。
昨年よりも54万人多い、610万人が大学を卒業しましたが、2008年の就職率は70%以下でした。今年は200万人が失業する、と予測されます。雇用主は、英語が話せる大学卒業生より、田舎から来た出稼ぎの少女たちを好みます。また、熟練労働者が不足しています。労働市場はより統合され、より厳しい競争を促します。
本人だけでなく、一人っ子政策で子供に多額の教育費をかけてきた良心の失望は非常に大きいわけです。十分な職場を提供できない政府に対する批判が強まります。政府はこれまで、大学の入学者を増やし、将来の成長に向けたハイテク技術者や法律関係の専門家を育てましたが、世界金融危機の影響で、企業はこうした分野の採用を大きく減らしました。政府は、今、人民解放軍の採用規定を見直すように求めています。
China Daily2009-10-15 Time East Asia learnt from unity proverb By Feng Zhaokui
(コメント) 東アジア共同体を、幻想だ、中国の覇権を強いられる、アメリカを排除するものだ、と批判する日本のメディアに反論しています。EUのように、地域協力は有効であり、指導者や覇権は重要でなくなる。また、EACの成功によってアメリカとの相互依存は深まるのであり、排除することは利益にならない、と述べてます。
NYT October 20, 2009 Fed Chief Cites Role of Trade Imbalances in Crisis By EDMUND L. ANDREWS
WSJ OCTOBER 20, 2009 Bernanke Calls on Asia, U.S. to Do More to Address Trade Imbalances By JON HILSENRATH
(コメント) 米中間の貿易不均衡が再生すれば金融不安をもたらす危険がある、とバーナンキ連銀議長が言及しました。しかし、人民元を批判するより、アメリカ国内の貯蓄率、特に、政府の財政赤字を批判しています。
アメリカは貯蓄を増やして消費や投資を抑えるから、その分もアジア諸国は需要を刺激して、世界経済をけん引しなければなりません。典型的なマクロ政策協調による世界経済管理です。そして、為替レートを強調しないのは、すでにドル安が進んでおり、人民元に言及しなくても中国は独自に判断するはずだし、むしろドル暴落を予感させる危険がある、と判断したかもしれません。
他方、WSJの記事は、このまま中国の人民元が管理されて、増価を加速しないならば、均衡の回復に向けた米中間の紛争が起きることを予想しています。しかし、バーナンキは、貿易不均衡に対してはアメリカの貯蓄率を高める政策を支持しており、貿易に介入することには反対である、と明言します。財政赤字を抑制すれば、ドルの信認が回復し、しかも、貿易不均衡も抑制できる、という主張を取り上げるのは、少々雇用を減らしてもドル価値の維持(そして、アメリカへの投資)を重視するべきだ、というメッセージでしょう。
China Daily2009-10-20 Hasten IMF reform
(コメント) 同じ日に、中国はIMF改革を主張しています。すなわち、IMFにおける中国の発言権を増大させるべきだ、と。中国は、日本を抜いて、アメリカの次に大きな発言権を持つべきなのです(現在は6番目)。G20と同様に、新興経済諸国により重要な役割を認めるガバナンスを実現できるから、と考えます。
FT October 21 2009 China must keep its eyes fixed on the exit By Qin Xiao
FT October 21 2009 Top China banker warns on asset bubbles By Geoff Dyer in Beijing
(コメント) 中国政府や企業が今後も輸出指向の成長を続けられると思うのは問題です。世界経済の不均衡は解消されるべきだからです。むしろ中国は国内消費を増やしてそれに貢献することです。
また、中国の消費者物価は安定していますが、すでに次の資産バブルは始まっています。中国でこそ、二番底の心配とバブル再燃の心配が同時に強まっているのです。そのことは、政府の景気刺激策によって回避されるかもしれませんが、逆に、それが政府介入の恒常化をもたらし、計画経済の復活(民営化や市場自由化の後退)が懸念されます。
他方、アメリカで保護主義が強まれば、世界の貿易体制を損なうでしょう。米中ともに国内の政治圧力は強まっています。そして、米中における政府の対応は、将来のグローバリゼーションを決めるのです。
China Daily 2009-10-21 Issues for economic growth model By Liu Yuhui
WSJ OCTOBER 22, 2009 Why China Isn't Ready to Lead By VICTOR SHIH
(コメント) Liu Yuhuiの論説は、ピッツバーグ・サミットの合意を受けて、中国政府が世界経済の均衡を回復する過程で責任を担うことを前提とした、実に明確な政府行動の要請です。
欧米が経済の内外における均衡回復に努めるなら、中国経済が輸出によって成長する余地は失われるのです。アメリカが保護主義に向かったことを批判しつつも、中国政府は積極的に経済構造を転換することで、中国経済の成長率を維持しつつ、世界経済の均衡回復にも貢献する意思を示します。特に、欧米日に比べて財政は比較的健全であり、政府が国内経済の改革を指導する余地があります。すなわち、過剰設備を減らし、炭素の排出量を減らし、中小企業の発展を支援することです。
VICTOR SHIHは、逆に、中国の経済改革の限界を強調します。中国の財政刺激策や外貨準備だけ見て、世界経済に果たす中国の役割を期待するのは禁物です。中国はそれをどのように利用するつもりなのか?
政府はルールを曲げて、中小企業や外国投資家を妨げ、その利益を奪って、国有企業の損失を補うような介入を選択している、と批判します。それは、中国がまだ、世界経済の指導的な役割を担う国家になれないことを意味します。
LAT October 15, 2009 James Monroe, a president for our times? By Harlow Giles Unger
(コメント) モンロー宣言のジェイムズ・モンロー大統領、その外交ではなく、国内経済政策が、オバマの学ぶべき先例でしょうか?
記事によれば、1819年にも、モーゲージの差し押さえで多くのアメリカ人が自宅を追い出され、失業率は16.8%にも達しました。当時、人びとはエーカー当たり2ドルで土地を買うことができる西部を目指してアパラチア山脈を越えました。土地の価格は上昇し、銀行は人びとが返済できないほど多くの融資をしたようです。それどころか、銀行自身が勝手にいろいろな紙幣を印刷し、何の保証もないのに、印刷できる限りどんどん融資した、とあります。
しかし土地の需要には限りがあるので、投機業者は銀行融資を得て、騙しやすい入植者に土地から得られる作物で返済できる、とそそのかしたわけです。投機熱はあまりに激しく、売られる土地が誰のものか、何度も重ねて売られていないか、ということさえも買い手は確認しなかった、というほどです。
野放図な投機と詐欺に関する懸念から、議会は銀行に紙幣を発行する際の正貨(コイン、金、銀、など)を要求する法律を作りました。最初にいくつかの銀行が閉鎖すると、預金者は取り付けに殺到し、1,000行以上が倒産し、バブルは破裂しました。
多くの者が破産し、銀行がつぶれ、人びとは住宅を失いましたが、議会の共和党員は財政赤字を認めず、彼らを救済しませんでした。モンロー大統領は議会の怠慢に憤慨し、国民の融和を解き、自ら経済回復策を指導します。それは当時の連銀から政府が借り入れて州にインフラ整備(道路、ターンパイク、運河の建設)を行わせるものでした。
こうして繁栄の時代を築き、その成果として不動産や内国税をすべて撤廃します。そして外国の敵と戦うより、国内の繁栄を求めました。アメリカを攻撃するより、アメリカと貿易することで利益を得るように、と他国に警告したそうです。
The Guardian, Friday 16 October 2009 Obama isn't helping. At least the world argued with Bush Naomi Klein
(コメント) オバマ政権は、国際協調による外交を進めているか? むしろアメリカの介入が他国の怠慢を奨励しているのではないか? 環境政策、国連人権委員会、G20、など。
WP Friday, October 16, 2009 Debacle in Moscow By Charles Krauthammer
WP Saturday, October 17, 2009 Kremlin Rules
(コメント) 与党「統一ロシア」の勝利に終わった、ロシア議会選挙の非民主的な過程を、モスクワを訪れていたクリントン国務長官が批判しました。
WSJ OCTOBER 18, 2009 Russia Worries About the Price of Oil, Not a Nuclear Iran By GARRY KASPAROV
(コメント) オバマの膨張したレトリックは、膨張した通貨価値と同じように、破滅的な暴落をもたらす。結果が出せなければ、オバマの「善意バブル」は崩壊するだろう。
The Guardian, Thursday 15 October 2009 We are paying an enormous price for the myth that banks are too big to fail Simon Jenkins
FT October 15 2009 Bankers, bonuses and the market: plus ça change By Philip Stephens
(コメント) 銀行を救済しなければならなかったのか? もっとほかの仕組み・手段があれば、処理できたのではないか? 銀行は以前のようなボーナスを支払うべきなのか?
「すべては変わった。」そして、「何一つ変わらない。」と、Philip Stephensは整理します。
すなわち、大規模なウォール街救済は「アメリカ版社会主義」です。ワシントン・コンセンサスは退場し、中国やロシアの国家資本主義が欧米の側にも浸透してきます。危機は、国家の行動やケインズ主義の威信を回復しました。
しかし、何も変わっていません。銀行家たちは莫大なボーナスを復活しています。政権は、ドイツでもイギリスでも、左ではなく、右に傾きました。どれほど資本主義が嫌われても、資本主義に代わる優れた経済制度はだれも示していません。
現状維持を打ち破る問題提起に及んだ勇気ある人物は二人だけです。金融部門の拡大が経済にとって好ましいか? と問いかけたイギリス金融庁のロード・ターナー長官。経済や政策の成果をGDPではなく、人びとの幸福によって測るべきだ、と主張するジョゼフ・スティグリッツ。
市場経済は中国やロシアにおよび、西側だけのものではなくなった、ということによる政治的な重心のシフトが、長期的に残る結果なのです。
The Guardian, Saturday 17 October 2009 If ever there was a time for an emergency super-tax, it's now Polly Toynbee
The Guardian, Wednesday 21 October 2009 Tax, don't ban, bank bonuses Bill McIntosh
(コメント) 胸の悪くなるボーナスの話が戻ってきた、とPolly Toynbeeは嘆きます。銀行はあたかも政府の管理が及ばないかのようです。課税も、規制も、法律も。金融資本家たちは、もはや民主主義を超えたのか? たとえG20で合意しても、銀行ボーナスは抑制できていません。
銀行の免税措置に制限を加えるべきです。税金を逃れる行動を抑制すること。そして、財政赤字が膨張する中で、金融部門への臨時の増税を行う時である。
Bill McIntoshは、むしろ銀行のボーナスを肯定したうえで、課税を勧めています。ボーナスは成功報酬(という企業文化)であり、また、賃金を企業業績に合わせて弾力的に調整できる仕組みなのです。
NYT October 19, 2009 The Banks Are Not All Right By PAUL KRUGMAN
(コメント) 一時的な銀行国有化を主張したKrugmanは、それに反対して救済融資を続けたオバマ政権、特にLawrence Summersを批判します。
銀行家の報酬を規制しようというけれど、実際に利益を上げているのはゴールドマンサックスのようなトレード部門です。シティ・バンクやバンカメは再び損失を出して、中小企業への融資を抑制し、不況と雇用情勢をさらに悪化させています。
Krugmanは、銀行制度の改革も強調します。カジノに他人の金で入って儲けるだけでなく、大きな損失が出たら政府が助けてくれる、という制度の下では、危機が再発するのは確実だから。ゴールドマンサックスの成功は、オバマ政権の失策なのです。
WSJ OCTOBER 19, 2009 In the World of Banks, Bigger Can Be Better By CHARLES CALOMIRIS
(コメント) 「大き過ぎて潰せない」・・・本当に、そうでしょうか? IMFの元主任エコノミストであるSimon Johnson は銀行の規模を制限するように提案しましたが、CHARLES CALOMIRISは反対します。金融業の規模の利益と複雑さが犠牲になるからです。
政府による救済資金が納税者の負担にならないように、しかもリーマン・ブラザーズのような市場の混乱を招かずに、銀行を倒産させることはできるでしょうか? そのためには、あらかじめ国境を越えた債権債務関係の処理方法を各国の金融監督者間で合意しておくことです。
しかし、明らかに銀行の規模が大きければ、この問題は難しくなります。なぜ銀行はこれほど巨大化するのでしょうか? それはノーベル経済学賞を得たOliver Williamsonの指摘によれば、市場による取引よりも、組織内部の取引の方が効率的であるからです。
すなわち、銀行が規模の利益を発揮するのは、1.銀行の取引相手である企業が世界的なサプライーチェーンを構築しているから。2.さまざまな金融商品を必要としているから。3.安価でしかも優れた金融商品を扱えるから。4.金融市場の国際統合を促し、また、新興市場経済の伝統的な金融機関にも代替するから。
銀行の規模を制限する提案は、こうした利益を失うのです。
FT October 20 2009 How to manage the gigantic financial cuckoo in our nest By Martin Wolf
FT October 22 2009 Why curbing finance is hard to do By Martin Wolf
(コメント) Martin Wolfは、金融部門の回復は「ファウストの契約」によるものであり、銀行救済政策の失敗である、と考えます。銀行は危機から学んで利益を回復したのではなく、中央銀行と政府の救済策によって、潤沢な資金と政府保証を得て、簡単に金もうけをしています。他方、金融ビジネスではボーナスが復活している横で、金融危機に全く罪のない人びとが職や住宅を失って苦しんでいるのです。莫大な財政赤字は将来の負担増を意味します。しかも、金融制度の改革は進みません。
Martin Wolfは、金融システムを救済することを支持しますが、財政状態の悪化は2度とこのような救済策が取れないことを示しています。そして、金融ビジネスや銀行への規制強化に反対する金融街の声を強く批判します。金融部門は縮小しなければなりません。そうでないとしたら、それは過大なリスクを取って利益を上げてきたことを改めようとしていないのです。
市場の規律も、金融監督も、ともに失敗しました。それに代わる方法もありません。両方を使って、より安全な、危機を招き寄せない金融システムが求められています。
金融部門を危機から遠ざけるためにイングランド銀行総裁Mervyn Kingが支持したのは、安全な「公共事業」のような金融と、危険なカジノのような金融とを、分けることです。Alistair Darling蔵相とGordon Brown首相は、しかし、即座に反対しました。ノーザンロックは安全な金融機関のはずでした。それでもこれらを区別する理由とは、商業決済を管理することは安全なはずだからです。危険なのはリスクを取るビジネスです。
金融救済は、以前にもまして、モラル・ハザードを強めるでしょう。その不安は、金融部門の分割を魅力的にするのです。それでは、銀行を確実な決済システムと国債でも資産保有に限定するべきでしょうか? グラス=スティーガル方を再生するのでしょうか?
Martin Wolfは、それもできない、と考えます。明確な境界線は引けないし、リスク管理は不完全で、すべてを監督できません。本当に実行するとしたら、すべての融資には100%の準備を用意し、すべての資産価格を市場で常に表示します。その場合、銀行業は消滅する、と。
私たちは、金融危機を恐れて、レバレッジの全くない世界を望むだろうか? そうではないだろう。だから、破産を法律で認め、一定の自己資本を要求し、簿外取引を規制し、景気変動に合わせて金融監督します。予測される危機に対して準備を要求し、債券による資金調達をすべての分野で制限します。
FT October 20 2009 Brazil’s new capital tax
FT October 22 2009 Capital controls
(コメント) 資本規制も、債務危機や通貨危機を繰り返した新興市場経済にとって重要です。「ブラジルは経済的成功の犠牲者になりつつある。」 つまり、通貨価値が高くなる過ぎて、「オランダ病」が心配なのです。それは既存産業の競争力を失わせ、産業空洞化と失業をもたらします。
最善の対策は「生産性の向上」である、と記事は述べますが、既存部門の生産性を上げるのは容易ではありません。外資の流入を抑えるために課税することは、資本コストを高めて(生産性改善を妨げ)、逆効果である、とFTは考えます。また、ブラジル政府は選挙のために、通貨レアルの増価を歓迎するかも知れません。ブラジルの金利が上昇して資本流入(と増価)が続くより、課税して増価を抑制し、将来のアメリカの金利上昇による資本流出を抑えられる方が好ましいのです。
もうひとつの記事においては、資本流入に対して、不胎化や増価を許す政策は、必ず、最善とは言い切れない、と認めます。実際、富裕諸国の極端な金融緩和とキャリー・トレードが規制や課税によって抑制されるのは正しいでしょう。資本規制への(富裕国投資家・金融ビジネスからの)あからさまな批難も、金融危機によって消滅しました。
The Guardian, Wednesday 21 October 2009 It's payback time for our bailed-out bankers Will Hutton
(コメント) Will Huttonも、キング総裁とダーリング蔵相の論争を取り上げています。金融ビジネスの削減を唱えたキングへの強い支持です。金融救済の次には、必ず、根本的な金融制度の改革が必要です。
FT October 15 2009
Whatever happened to imbalances?
By Samuel Brittan
(コメント) 国際収支不均衡を重視しなければならないか? Samuel Brittanは、それを否定します。ドル暴落の予言や過剰貯蓄による不況説は間違いだ、と。中国はアメリカに融資するし、アメリカはドル暴落を防ぐことができます。そもそも金利や為替レートは不均衡によって変動しているのです。もし回復過程を妨げる(債務処理にこだわる)銀行が多すぎるとしたら、新銀行にとって代わるよう促すことです。
FT October 15 2009 New Nato troops will not make up for Karzai II By Max Hastings
FP OCTOBER 16, 2009 The Case for Humility in Afghanistan BY STEVE COLL
NYT October 18, 2009 The Vietnam War We Ignore By LEWIS SORLEY
NYT October 18, 2009 From Defeat, Lessons in Victory By GORDON M. GOLDSTEIN
(コメント) カブール政府のガバナンス改善とアメリカを中心としたNATO軍の増強が、各国の政治情勢においても支持されるのか? 重大な選択に直面しています。主要国のどこかが抜ければ、国際協力体制は瓦解しかねません。
ベトナム戦争の過程が繰り返し言及される状況になりました。STEVE COLLは、ソ連の失敗や、東南アジアにおけるアメリカの失敗から学ぶべきだ、と主張します。アフガニスタンとパキスタンをイスラム原理主義のテロ集団の手に渡さないために、国際協調を前提にして、アメリカは戦います。
退役軍人のLEWIS SORLEYは、ベトナムとの比較で、いくつかの点を指摘します。軍事力の使用を抑え、現地政府を支援し、情報収集に努め、経済復興や治安回復に尽力する。国内の支持を固めることも重要です。
また、GORDON M. GOLDSTEINは、ケネディーとジョンソンを振り返って、4つの教訓を示します。1.軍人の助言はあっても、大統領自身が戦略を持って決断しなければならない。2.戦略に従って国内政治を大統領が決めるのであって、戦略を国内政治の材料にしてはならない。3.軍人と公然と対立するのは良くないが、その要求に屈するのはもっと良くない。4.曖昧な目標のために軍を動かすことは間違いだ。
FP OCTOBER 19, 2009 Disastrous Lessons BY MARK MOYAR
LAT October 20, 2009 Nobody wins in the Afghan runoff election By Rajan Menon
LAT October 20, 2009 The Afghanistan problem By Gilles Dorronsoro
(コメント) アメリカは、NATOの同盟諸国と一緒に戦い、現地政府にも支持されていなければなりません。しかし、たとえば、再建や援助はしばしば現地における(個人主義的な)対立や反目の原因にもなる、というのは、介入の容易でない事情を感じます。
NYT October 22, 2009 More Troops Are a Bad Bet By NICHOLAS D. KRISTOF
NYT October 22, 2009 There’s No Substitute for Troops on the Ground By MAX BOOT
FT October 22 2009 Obama must shift the debate about a troop surge By Tyler Moselle
(コメント) NICHOLAS D. KRISTOFは、「ナショナリズム」の影響を考えます。「タリバンの原理主義イデオロギーは彼らをわれわれと戦わせた。しかし、彼らは報酬のためにも戦い、年長者の教えによって戦い、伝統的な部族の掟によって戦い、アメリカ軍が自分の甥を殺したから戦った。あるいは、彼らの土地にいる異教徒の軍隊を嫌って戦ったのです。」
アメリカ軍がパシュトン族の地に入ることは、何を意味するのか? むしろ、パキスタン、イエメン、ソマリアに、アフガニスタンより多くのアルカイダ戦士がいるのではないか? アメリカ軍の撤退は、アメリカの弱さを示すことになり、パキスタンを不安定化する、と反対されています。
しかし、KRISTOFは、目標を引き下げるべきだ、考えます。アフガニスタンが民主主義の手本になるのは遠い将来の可能性です。アメリカ軍は都市部を守り、アフガニスタン軍を訓練し、南部のパシュトン人を加えて正当性を高めます。タリバン戦士の一部と和解し、痴呆の支配者を懐柔し、援助や保護を与え、アメリカとの関税を撤廃して、雇用の創出を助けます。
それでも、国民は4万人の兵力と年間100億ドルの戦費を支払うのです。それは、アメリカ国内で200万人の恵まれない子供たちのために保育園を立てることのできる費用です。
MAX BOOTは、Stanley McChrystal将軍の求める4万人の増派を強く支持します。アフガニスタン南部のHelmand River Valleyにおける重要拠点であるNawaの治安回復と市民生活の復興によって、増派の重要性は示されます。アメリカの増派こそが、この土地に平和と繁栄をもたらしたのだ、と。
オバマ政権が、増派と撤退との中間的な選択肢を主張する危険を指摘し、戦場において中間はない、と批判します。自分たちが主導権を取るか、あるいは、敵に取られるか、だけである。もし増派を拒めば、兵員を要する対テロ作戦は実行できなくなり、米軍の士気も落ち、アフガニスタン情勢が一気に悪化する。
LAT October 16, 2009
Pyongyang duck
By Paul B. Stares
The Japan Times: Wednesday, Oct. 21, 2009
Another twist and shout from North Korea
By TOM PLATE
(コメント) 金正日の健康が回復し、その指導力が疑いないものになったから、関係諸国は対話を再開するでしょう。北朝鮮は核兵器を決して手放さず、また韓国も中国も、本気で北朝鮮の体制崩壊を招くようなことは望みません。では、アメリカは何のために対話するのか? 1.核保有国の地位を認めない。2.核兵器・技術の拡散を防止する。3.北朝鮮の情勢(特に、体制の不安定化)に関する情報を得る。・・・北朝鮮の体制を安楽死させるための国際監視体制、というわけです。
TOM PLATEは、北朝鮮の姿勢に重要な変化があった、と観ています。それは、北朝鮮の河川管理が韓国側で複数の犠牲者を出したことについて、公式に謝罪したことを指します。クリントンや温家宝の訪問もありました。金正日は、中国との協力を誇示し、アメリカとの直接交渉と一括合意を狙っているのです。日本(アフガン支援の問題でアメリカと衝突する懸念があります)や韓国は、それを促す十分な経済的援助を約束するでしょうか?
WP Friday, October 16, 2009
By Michael Gerson
(コメント) 「もしあなたがビル・ゲイツなら、世界で104の国家のGDPよりも大きな基金The Bill and Melinda Gates Foundationを管理している(それより小規模な国が104カ国もある)。」 6年か7年前に、ゲイツは1冊の本Gordon Conway, "The Doubly Green Revolution: Food for All in the 21st Century,"を読んで、アフリカに第二の「緑の革命」を起こそう、と決心しました。
「60年代のインド、80年代の中国のように」、アフリカにも奇跡を起こせる、とゲイツは想像します。アフリカに必要なものは、単に改良された種子だけでなく、道路や市場、最高の学校です。そして、遺伝子組み換え技術を品種改良に適用します。しかしそれは、チェルノブイリや狂牛病の後の時代として、ヨーロッパとの政治論争を引き起こすでしょう。しかし、ゲイツは科学を敵視してはいけない、と考えます。
YaleGlobal , 16 October 2009
Mind the Gap: Public and Government Views on Migration Diverge
Joseph Chamie
WSJ OCTOBER 19, 2009
Immigrant Scientists Create Jobs and Win Nobels
By SUSAN HOCKFIELD
(コメント) 移民をめぐる反発が政治団体や選挙を動かすようになれば、ますます移民への反対や攻撃が強まります。政府は、移民をめぐるコストと利益との評価を冷静に議論できるように、いつでも準備しておくべきでしょう。実際、イタリア、ギリシャ、スイスでは移民排撃の政治事件が起きています。
WSJの論説は、移民受け入れが重要な熟練労働者や技術者、はてはノーベル賞を得た科学者をも輩出するような、すぐれた人材の源であることを強調します。アメリカの高等教育や勤労精神、起業家精神を支えているのも移民たちです。
FP OCTOBER 16, 2009
BY CHRISTIAN CARYL
(コメント) ドルは国際通貨の地位を退くのか? Benjamin Cohen、Richard Cooper、Jeffrey Frankel、Barry Eichengreenといった優れた研究者たちの意見を紹介しています。
ドルの外貨準備や国際取引は増えています。石油価格をドルではなく、他の通貨建てにする話は、いつもドル安によって起きます(そしてドル安が終われば消えます)。ドルのほかに考えられる、ユーロ(ばらばらの国家群)にも、SDRs(単なる合成された振替手段)にも、円(経済停滞)や人民元(資本自由化を恐れる)にも、ドルに劣らず、もっと重大な欠陥があります。もちろん、もしイギリスやサウジアラビア、日本が、ユーロ(もしくは人民元)に統一するようなら、ドルに対抗できるでしょう。しかし、特に安全保障面で、彼らはアメリカとの長期的な関係を重視するでしょう。
まだ将来も、ドルに代わる通貨はない、というのが彼らの結論です。
Foreign Affairs
Dollars Without Borders
Dilip Ratha
(コメント) 移民たちが送金に使うのもドルです。ドルへの信頼が目立ちます。また、危機や災害のときには、家族のために外国からの送金が増える傾向があります。ただし、今回は裕福な諸国の経済危機であり、むしろ逆ではないかと懸念されました。
さらに、不況で失業が増えると、移民への制限や差別的な扱いが増えて、それが移民送金を減らす(赤字国の国際収支にも影響する)、と心配されています。
FP 10/17/2009
Drooping Dollar (II): Will the greenback take a plunge?
By Phil Levy
SPIEGEL ONLINE 10/20/2009
Recovery Risks: Europe Concerned as Dollar Decline Continues
(コメント) 最近の6カ月間で15%のドル安について、Phil Levyは、PPP(購買力平価)で示し、その問題点を述べ、他方で、投資家の「美人投票」を説明します。この二つは為替レートが不確実なことの理由になります。
ドル安がもっと進むかもしれない、という不安は、投資家のドルからの逃避を招く危険を常に残します。
他方、ドル安・ユーロ高(に偏ること)は輸出を損なう、と懸念されています。
The Guardian, Monday 19 October 2009
Embrace the dollar's downfall
Dean Baker
(コメント) 中国人がドル安に不満を示して財務省証券を購入しなくなる、というシナリオは何を意味するでしょうか? Dean Bakerは、恐れることではない、と考えます。
なぜなら、中国がドル建債券の購入をやめれば、金利が上昇し、他方で、ドルに対して人民元が増価するからです。アメリカの金利上昇は、必要なら、連銀の債券購入によって回避できます。他方、むしろある程度の金利上昇が住宅価格のバブルを完全に取り除けるなら、その方がアメリカは健全な長期的成長に戻れるだろう、と考えます。
さらに、人民元とドルとの調整が進めば、中国からの輸入品は価格が上昇し、アメリカの輸出品は価格が下落します。こうして、これまで奪われてきた製造業の雇用がアメリカで回復するのです(もちろん、中国は内需を刺激して雇用を維持できます)。
金利の上昇に苦しむのはシティ・バンクなど、巨額の債券保有者です。債券価格は下落して、銀行は縮小するでしょう。それもバブル処理の過程で避けられないことです。ところが、これを避けるために、Washington Postの論説などは中国からの投資を強く求めるのである、とDean Bakerは批判します。
FT October 19 2009
Why the euro is not the next global currency
By Jean Pisani-Ferry and Adam Posen
(コメント) SDRsや人民元ではなく、なぜユーロがドルに代わる通貨として、もっと注目されないのか? と著者たちは問います。金融危機は、むしろアメリカの財政赤字を無視して、ドルへの需要を増やしました。
ユーロは著しい成功を収めながら、自らその国際利用を制限し、地域通貨にとどまっています。すなわち、ERM-Uによる為替レートの安定化やマーストリヒトの財政基準を維持しており、ユーロ加盟を望む周辺諸国の制約になっているのです。またECBは、アメリカの連銀のように、金融危機の及ぶ諸国に対して直接の融資による支援を避け、IMFを通じて融資しました。
こうした姿勢は、ユーロ圏の指導力が欠けている結果である、と論説は批判します。ドルの衰退がさらに顕著になれば、複数の通貨が国際通貨市場で併存する移行期間が続くでしょう。他の候補に比べて、ユーロが優越した位置にあるにもかかわらず、国際通貨への交代を拒むとしたら、それはアメリカが1920年代・30年代にそうであったように、世界経済を大きく混乱させる要因にもなるのです。
ユーロ圏がすべきことは、金融統合を完成し、経済のガバナンス(特に危機管理)を高め、ユーロ圏の拡大やユーロを利用する諸国への安定化融資に応じ、持続的な経済成長率を高めること、です。しかも、こうした課題はユーロの国際通貨としての成功を目指すためというより、ユーロ圏自身の経済状態を改善する条件と同じです。
ユーロ圏の生産性・開放度・ガバナンスを改善することで、ユーロは世界的な役割を担うこともできるでしょう。
FEER October 2009 The DPJ and U.S.-Japan Security by Michael Auslin
WSJ OCTOBER 22, 2009 The Widening U.S.-Japan Security Divide By CAROLYN LEDDY
Asia Times Online , Oct 22, 2009 Why an East Asian Community matters By Jian Junbo
(コメント) アメリカのミサイル防衛システムを否定し、防衛予算を削減し、沖縄の普天間基地移転計画を見直し、インド洋上の給油活動をやめて、日本はどのような安全保障政策によって生き延びるのか? とMichael Auslin(アメリカの保守系シンクタンクthe American Enterprise Institute)は問います。中国との友好関係を深め、東アジア共同体を築くことによってか? そのような主張はアメリカ政府の方針にも変更をもたらします。
「東京とワシントンの双方で、戦略論、行動計画の共有、その基礎にある政治的意志が徐々に変化していくだろう。それは双方の安全保障政策、そして信頼できるパートナーとしての関係を損なう恐れがある。」
またCAROLYN LEDDY(a Council on Foreign Relations-Hitachi Ltd. international affairs fellow in Japan)は、さらに明確に、鳩山政権の安全保障政策を批判します。
普天間基地からの米軍移転計画の見直し、インド洋上の給油活動の中止、東アジア共同体構想の推進、これらは東アジアの安全保障の要である日米同盟を損なう恐れがある、と。民主党の発想は意味がない。アメリカの核の傘があることを効果的にするには、曖昧さを維持する必要がある。しかも、北朝鮮や中国が弾道ミサイルに核を装備するとき、共同体構想でそれを防げるのか?
はっきり言えば、鳩山政権の主張は有権者の人気を重視したポピュリズムである。日本の安全保障政策が機能マヒに陥る様子に、中国や韓国は注意しているに違いない。
鳩山政権が日米同盟を見直したいのであれば、まず、戦後の安全保障政策についてアメリカが大幅に負担し続けてきたことを直視し、日本の負担を引き上げるべきだ。
さらに、上海のthe Institute of International Studies at Fudan University に属するJian Junboが考える東アジア共同体は、地域統合の一般的利益に、鳩山政権の示す日本政治の変化を読み込んだものです。
9・11とイラク戦争、北朝鮮の核保有など、最近の国際情勢により、日本がアメリカによる(占領政策を引き継いだ)安全保障体制から独立しようとしている、と理解しています。また、日本と近隣諸国との信頼醸成には時間を要する、と指摘し、中国は時間をかけて漸進主義を取るべきだ、と主張します。
Oct. 21 (Bloomberg) Lost Decade Is Heading Toward Two-Decade Mark William Pesek
WSJ OCTOBER 22, 2009 The DPJ Formula for Growth By AKIO MIKUNI
The Japan Times: Thursday, Oct. 22, 2009 Does Japan really want to stay competitive? By HUGH CORTAZZI
WSJ OCTOBER 22, 2009 The Real Face of the DPJ
(コメント) William Pesekは、日本の「失われた20年」と呼びます。戦後最長の景気回復を自民党政権は自慢していましたが、ゼロ金利と史上空前の財政赤字を前提にすれば、経済停滞は続いている、と考えます。今も、藤井財務相が記録的なスピードで信認の危機を生じている。
あるいは、外国投資家たちは「日本のバルカン化」を憂慮します。それは中国の重要性が高まってくることで、中国とアメリカの関係が日本内部の利益集団と政策決定をばらばらにする、という不安です。制御不能の亀井大臣はそのシンボルです。
AKIO MIKUNIは、全く逆に、民主政権の政策転換を強く支持しています。新政権の経済政策は、官僚・自民党・建設業者そして大企業主導の公共事業や円安誘導をやめて、もっと直接に家計・消費者を助けることで景気を刺激するものです。
円高を放置する「ベナイン・ネグレクト政策」は、もちろん、かつてアメリカ政府がドル安を放置した政策ですが、日本政府が消費者の利益を重視する政策転換を明確にした印として、三國氏が借用します。それは輸出依存の成長維持政策に転換を求めるものでもあります。
しかし、財政赤字を増やすことで金利が上昇し、民間投資をクラウド・アウトする懸念を、資本流出ではなく国内に資本を留めるために好ましい、と主張している点は、少し矛盾を感じます。確かに、高金利は高齢者の利子所得を増やすでしょう。
民主党政権の成長モデルが何を目指すのか、もっと政府の政策ブレーンが前面に出て、一貫した説明を何度でも国民に示すべきです。
HUGH CORTAZZIも亀井金融相を取り上げます。彼は、各国が独立しており、競争において日本が世界一になった(ジャパン・アズ・ナンバー・ワン)時代を今も夢見ている、と。その発言は、あまりにも反米的であるし、市場に依拠した資本主義を嫌っている。日本の重商主義政策は一定の成果を上げたが、その最後にはバブルを生んで大失策となった。
日本の銀行は今では欧米で相手にされていない。亀井は中小企業を助けるために銀行をいじめるより、預金者や貯蓄を正当に守りながら、もっと効率的な銀行を育てることで企業の要求に応えるべきだ、と。もしモラトリアムのために自己資本基準を緩和したりすれば、日本の銀行は世界市場から締め出されてしまう。・・・その他、市場の機能を理解せず、信頼しない亀井発言を悲観しています。
WSJは、斉藤次郎氏のジャパン・ポスト総裁就任を、「天下り」として批判します。郵便貯金とそれによる国債購入や政治系金融機関の融資は、官僚支配体制の最重要なシステムです。どう見ても、民営化ではなく、これを守ることが新総裁の仕事になりました。
亀井静香金融相は、郵便局のネットワークを、地方の老人介護や雇用創出にまで拡大するつもりです。民主党政権は、市場ではなく政治家が、貯蓄も雇用も配分するべきだ、と思っているのか? 自民党と同じではないか?
BBC 2009/10/17
The death of language?
By Tom Colls
(コメント) 世界の約7,000種類の言語は急速に消滅しつつあります。かつて著名な言語学者が、2100年には90%の言語が失われているだろう、と予測しました。アメリカの言語データベース団体、Ethnologueは、すでに死滅した言語のデータを473種類も持っています。
さらにEthnologueによれば、・・・6%の言語で人類の94%が話し合い、最大の使用者がいる言語は中国語(8億4500万人)、スペイン語(3億2900万人)、英語(3億2800万人)であり、133の言語には10人以下の使用者しかいない。
言語が死滅すれば、ユーモアや愛情、人生の表現方法が失われます。言語は人びとを結びつけ、人びとを集める、文化やアイデンティティーの要なのです。自分たちの言語を失った人々は、何世代も、社会的崩壊や抑鬱、自殺、麻薬依存などに苦しむ可能性があります。
The Guardian, Saturday 17 October 2009
From Golden State to failed state
Robert Cruickshank
(コメント) ジンバブエは破綻国家ですが、カリフォルニアも同様な破綻州です。政治システムが財政問題を解決できないまま、失業者が増えています。安全保障や経済的繁栄、安定した雇用を提供できません。すでに20世紀後半から、拡大する郊外や農場が土地、石油、水、金を浪費していました。しかし、充実したインフラがあったので、アメリカの理想は輝いていました。1970年代後半の保守派による納税者の反乱が文明の基礎を破壊したのです。
The Observer, Sunday 18 October 2009
The world's future is being decided this weekend
Nicholas Stern
CSM October 19, 2009
Copenhagen: A new global deal for sustainable development?
By Johan Rockström
(コメント) 1万年もの間、人類とその文明を守ってくれた地球the Earth systemの自己制御能力が、すでに、限界を超えてしまったかもしれない、と多くの研究者たちは恐れています。それを食い止め、あるいは、修復するために人類が何かできるということを示すことこそ、コペンハーゲンに指導者たちが集まる意味です。
The Japan Times: Tuesday, Oct. 20, 2009
Political horse trading and climate change
By NOREENA HERTZ
The Guardian, Tuesday 20 October 2009
Our nuclear tragedy
Jonathon Porritt
(コメント) 国際政治システムと原子力発電所。どちらかが地球温暖化を抑える決め手になるでしょうか?
鳩山首相はG20で大胆な数値を示して喝さいを浴びましたが、ピッツバーグで政治家が示したのは「言葉だけ」である、と記事は悲観しています。温暖化ガスの排出量を減らす話し合いは、国際政治の現実において、貿易や為替レートをめぐる紛争、IMF増資や国連・安保理改革といった外交交渉と切り離せません。
いくつか原子炉を建造すれば温暖化問題は解決できる、という幻想をJonathon Porrittは批判します。イギリスの持続可能な開発委員会the Sustainable Development Commissionは、さまざまな視点(コスト、廃棄物、放射能の半減期、安全性、核の拡散、安全保障、他の新型原子炉が登場する、など)から原子炉のメリットとデメリットを検討して、採用するべきではない、と結論しました。
SPIEGEL ONLINE 10/21/2009
'You Need Two to Tango': Pessimism Abounds as Copenhagen Climate Talks Near
Lars-Erik Liljelund
YaleGlobal , 21 October 2009
Beyond Copenhagen: How to Cool the Planet
Peter Heap, Barry Carin, Gordon Smith
SPIEGEL ONLINE 10/22/2009
An Ecotopia for Climate Protection: Samso Island Is Face of Danish Green Revolution
By Clemens Höges
(コメント) 発展途上諸国は自分たちに温暖化ガス抑制の義務があるとは考えません。他方、すでに発展した裕福な諸国は、彼らのためにコストを負担する義務があるとは考えます。政治的合意ができれば、国際機関を設けて合意を形成し、実行を促すしかないでしょう。それにはG20しかありません。
デンマークのSamso島は、エコロジストたちのユートピア(エコトピア)です。住民たちは消費する以上の再生可能なエネルギー(風力、太陽、酸化熱)を得ています。
NYT October 18, 2009
The Power in 11/9
By THOMAS L. FRIEDMAN
Foreign Affairs, November/December 2009
The Suicide of the East?
Philip D. Zelikow
(コメント) 2001年の9・11に、ニューヨークのツイン・タワーはテロ攻撃で崩壊しました。1989年、11・9に、ヨーロッパを分断してきたベルリンの壁は崩壊しました。
THOMAS L. FRIEDMANは考えます。新しいゴールデン・アーチ理論です(マクドナルドの店がある諸国は互いに戦争しない)。その名は「ピープルズ・パワー」です。11・9は素晴らしいアイデアが現実を変えることを示しました。他方、9・11は恐るべきアイデアが自爆テロをもたらしました。
アフガニスタンとパキスタンを安定化するために軍を増派するべきでしょうか? THOMAS L. FRIEDMANは、ピープルズ・パワーが何と結び付くか、を問題にします。もしその土地でピープルズ・パワーが進歩的な思想と結びつくのであれば、アメリカは軍や物資を送ってそれを助けます。
しかし、Philip D. Zelikowの描く東欧・ソ連の崩壊はそれと異なります。体制が崩壊したのは、人びとが共産主義に幻滅したからだ、と考えます。東は体制の自殺(非暴力的な体制転換)を選択したのです。
FT October 18 2009
The free market is not up to the job of creating work
By Mort Zuckerman
WP Monday, October 19, 2009
Who's going to get the jobs machine going?
By Robert J. Samuelson
WP Wednesday, October 21, 2009
Who's afraid of the free market?
By Harold Meyerson
(コメント) 自由市場に対する信頼は、雇用を十分に提供できないときに失われます。Mort Zuckermanは、資本主義の信頼を回復するためには大規模な公共投資をするしかない、と主張します。たとえば、インフラの整備に投資する、あるいは、企業の研究開発投資を免税にする。
しかしエコノミストたちは財政赤字を心配します。雇用創出と財政赤字抑制のどちらが重要か? また、ゴールドマンサックスのように、デリバティブ取引で儲けることだけが自由市場の擁護ではありません。
FT October 19 2009
How small nations were cut adrift
By Gideon Rachman
(コメント) Harold James, The Creation and Destruction of Value. この本を紹介しながら、金融危機後のグローバリゼーションを考えます。関税や規制が撤廃され、安全保障が確立されて、グローバリゼーションにおける小国の役割が重要になるはずでした。ニュージーランド、チリ、アイルランド、バルチック諸国、スロヴァキア、スロヴェニア、など。
しかし、世界金融危機で情勢は一変しました。政府や中央銀行の介入が全面的に増え、規制や課税が重視されるでしょう。タックスヘイブンの島国だけでなく、スイスですら、不安を感じています。しかし、スイスには安全保障の問題がありません。
再び、大国の時代になるのでしょうか?
The Guardian, Monday 19 October 2009 Twenty questions for the BNP Sunny Hundal
The Guardian, Wednesday 21 October 2009 When you watch the BNP on TV, just remember: Jack Straw started all this Gary Younge
The Guardian, Wednesday 21 October 2009 The BNP's stolen heroes David Cesarani
The Times October 22, 2009 The Right Questions
(コメント) イギリスBBCの討論番組Question Timeに、移民排斥やホロコースト否定などで有名な極右のBNP(イギリス国民党)党首が出演しました。これを認めたBBCに対して、激しい抗議運動が起きました。
アメリカでは共和党系FoxNewsの政治風刺番組がオバマ政権を「社会主義」「人種差別主義」と辛らつに攻撃し続けたことで、オバマから偏向を避難されました。しかし司会者はさらに攻撃的に政府に挑んでおり、今も関心を集めています。
WP Tuesday, October 20, 2009
By Anne Applebaum
(コメント) この夏、アフガニスタンで亡くなったイギリス兵士は24名に達します。フランスでも、アメリカでも、犠牲者を悼む映像が流れました。
2001年以来、アフガニスタンの戦場で死んだ兵士たちは、アメリカ850人、イギリス221人、カナダ131人、フランス36人、ドイツ34人、オランダ21人、イタリア22人、スペイン26人、ポーランド15人、など。
腐敗したカルザイ政権の下で、なぜ兵士たちは死ななければならなかったか? 各国の政治的不満が高まっています。・・・
ここまでは、遠くの戦争に対する悲しみや苦しみを政治家たちが受け止める力を試されているのだ、と思いました。しかし、Anne Applebaumの論説はさらに展開します。
・・・各国が戦死者を悼む映像や言葉は、自国の兵士しか描かない、と。まるで自分たちだけが戦っているかのように。しかも、この戦争には自分たちにとっての国益がない。フランスでも、オランダでも。アメリカでさえ、(たとえ犠牲者の率がアメリカより高い国があっても)自国の負担だけが問題なのです。
アフガニスタンの戦争が国際的な作戦であること、その目標や守るべきものは国際社会にあること、兵士たちは決して国旗や国歌の軍隊を代表していないということを、メディアに登場する誰も語ろうとしません。
戦場において失われるのは、「西側」という概念、長い時間をかけて大西洋の両側で色あせてきた「同盟」の概念なのです。NATOは、その創設以来、初めて、戦場において誰の士気も鼓舞しなくなったのです。アフガニスタン戦争であれ、他の何であれ、同盟諸国の論争を進んで引き受けるような指導者はどこにもいない。
次にNATOが必要となる戦争が起きても、そのときまでNATOが存続しているとは思えない。・・・私たちにとって、日米安保体制もそうでしょうか?
FT October 20 2009
A crisis in search of a narrative
By Daniel Yergin
(コメント) 現在の世界金融危機も、大恐慌がそうであったように、新しい物語を形成するのです。
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The Economist October 10th 2009
The EU after the Irish vote: The future’s Lisbon
Charlemagne: The presidency stakes
Schumpeter: Hating what you do
Foreign-currency mortgages: The bills are alive
(コメント) リスボン条約後のEUに関する考察が並びます。リスボン条約をアイルランドが2回目の投票で承認したのには、(賛成も、反対も)有権者たちに多くの異なった理由があるでしょう。
The Economistは、EUの「大統領」や「外交」「安全保障政策」が統一されること、27カ国に及ぶ意思決定メカニズムが「多数決」によって集中すること、を称賛するつもりはありません。EUは連邦制を目指すべきではなく、単一市場こそが共同体の核心であり、それゆえ、EUの拡大を持続し続けることでEUの価値は高まる、と記事は主張します。
「政治は地域に限られる。しかし、経済は世界化する。この矛盾を解くために、EUは成長し続ける。」リスボン条約は欠陥の多い枠組みであり、これを論争し続けることに意味はない。
EUを代表する政治的な力量を持った大統領を選んで、これまでの内部改革だけでなく、もっと国際秩序の改革にも発現し、貢献する時代を拓くべきである、とThe Economistはブレアの登場を待ちます。
フランスの国営企業が民営化されて、自殺者が増えた話から、労働者の「不満・不幸」を扱っています。その結びは要領を得ませんが、記事は面白いです。
スイスに出稼ぎに行っていたオーストリア人が、スイス・フランで賃金を受け取り、金利の低いスイス・フラン建ての住宅融資を利用したことは賢明でした。しかし今、外貨建ての住宅融資という金融商品が、ラトビアやハンガリーのように、金融システムや財政を崩壊される心配が紹介されています。興味深いのは、その対応にもいろいろあることです。ラトビアは通貨価値の変動による支払い負担を法律で免除しました。ハンガリーの債務者は、スイスの低金利政策(とECBの通貨スワップ)によって負担を軽減されています。オーストリアは、一定以上の通貨価値の変動があった場合、債務を自国通貨建てに変更するよう求める法律を作りました。こうした商品の販売を抑制し、禁止する国もあります。
The Economist October 10th 2009
The debate about Chinese asset prices: A bubble in Beijing?
China’s roaring economy: Bull in a china shop
Singapore’s sand shortage: The hourglass effect
Kenyan politics: Rebuilding at a crawl
Migration and development: The aid workers who really help
(コメント) 中国の刺激策は、不十分なのか? あるいは、バブルを招くものか? シンガポールの砂輸入と周辺各国の規制。ケニアの政治崩壊。そして、移民と経済発展の関係が、テロ対策として行われた移民送金の報告義務付けによって解明されました。