今週のReview
9/6-9/11
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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自民党から民主党へ、 友愛社会1,2,3、 アフガニスタン戦争、 世界ケインズ主義、 ドルの退位、 トービン税、 マイナス金利政策、 タイヤ輸入の制限、 G20とオバマ
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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
FP AUGUST 27, 2009 Japan's New Shadow Shogun BY TOBIAS HARRIS
(コメント) TOBIAS HARRISは、小沢が闇将軍になるかどうか、という話題にだけ流されているわけではありません。鳩山の指導力不足や政策構想の欠如を補い、小沢が自民党を出てまでも実現したかった日本の姿を追求するチャンスがいよいよ来た、と考えてみる姿勢を示します。
Aug. 28 (Bloomberg) Schoolgirls, Comic Books Are Hollow Economics William Pesek
(コメント) William Pesekは、日本の選挙結果よりも、中国政府の産業政策や資本市場対策について、投資家たちは一層敏感に反応した、と書いています。首相が漫画を読んで若者の歓心を買ったり、アニメ文化で世界に日本の「カワイイ」魅力を発信したりする、というのでは、投資家も開いた口がふさがりません。
デフレに落ち込み、公的債務がGDPの二倍に近く、出生率が低くて高齢化が加速するような国に、投資する企業はない、というわけです。自民党の長期政権が示した指導者の貧困、政策アイデアの貧困は深刻です。もし鳩山が首相になれば、その仕事は、アジアや世界でどれほど日本が影響力を失ったか、それを痛感することから始まるでしょう。
ニューヨーク、ロンドン、シンガポールで、誰も日本のことに関心がない、その程度には驚くべきものがある、とWilliam Pesekは書いています。中国、インドネシア、韓国、・・・人びとは関心を持って話を聞きます。しかし、日本の話・・・になると、隣の人とおしゃべりを始め、トイレ休憩に立ちます。・・・インドやタイの話になると、再び雑談をやめて聞き始めるのです。
FT August 28 2009 Japanese elections
Asia Times Online, Aug 29, 2009 Voters skeptical about change By Catherine Makino
(コメント) 日本の有権者は、このままでは困るから、自民党には余りに失望したから、・・・民主党に投票したいというより、自民党に投票したくなかったから、という声を記事は伝えています。
この政権交代が、オバマを生んだアメリカ大統領選挙のように、日本を社会的・政治的な麻痺状態から覚醒させる力になるのか、国民は期待しています。ただ、問題は民主党政権が新しい政策のアイデアを持っていないこと、特に財源を持たず、日本政府の債務依存率をさらに押し上げるばかりだろう、ということが懸念されています。
NYT August 29, 2009 Lost in Japan’s Election Season: The Economy By MARTIN FACKLER
(コメント) MARTIN FACKLERも、選挙戦が重要な政策課題について何も議論を深めなかったことに驚きます。
膨張する政府債務と、高齢化し、減少する人口、1996年以来。アメリカが経済規模を50%以上増大させた時間で、日本経済の規模は変化しませんでした。この硬直し、沈滞した経済を、活気ある経済に変える政策を、政治家たちは何も示していません。
日本国民は、債務が累積したまま、いつか資本逃避が起きる日を待っているのでしょうか? 人口が減少し、企業が海外に移転されて、中国や韓国の経済に圧倒されてしまうのでしょうか? 具体的に、何をしよう、と言える政治家がいないのです。社会保障を充実し、出産費用の公的負担、育児手当、授業料の無料化、など、財政赤字を無視して支給する話ばかりです。
経済学者の多くは、市場を開放し、規制を撤廃し、移民を増やし、高齢者に再就労してもらう、といった対応を望んでいます。・・・それが正しいかどうか。
WSJ AUGUST 30, 2009 The Audacity of Yuai
(コメント) 民主党の勝利は、自民党が政権を独占することによって形成した、官僚や産業界との癒着を捨てさせる良い機会になる。
しかし、鳩山の政策は乏しい(具体性に欠け、財源がない)。WSJから見て、鳩山の政策は自民党と変わらない。農民や中小企業を競争から保護し、補助金で延命する。変わるのは名目だけであり、鳩山は「友愛社会」を強調する。(それは、友情と愛情のことだ。・・・何の意味もない。)
そんな政府で、世界第二の経済国家が回復するわけがない。GDPの180%に達する債務や8%に及ぶ財政赤字を解決できない。ところが、鳩山は赤字の穴を見ようともしない。
鳩山は、公然と資本主義を批判している。企業家を励ますことが重要だと理解していない。彼の意見では、中国は(アメリカより)アジアで支配的になるだろうし、日本は国内の富を再分配するしかない。アメリカにはこれまで通り日本を守ってほしいが、日本にある米軍基地は減らしてほしい、と求めている。人権を強調するけれど、現実には国連などの国際機関を支持するだけだ。
・・・こんな指導者に何ができるか?
BBC 2009/08/30 Japan victor hails 'revolution'
The Times, August 31, 2009 Democracy Wins
(コメント) 革命的な大勝利、と鳩山は言った。民主党は、企業を支援することから、消費者や労働者を支援することに、政策を転換する。・・・有権者は変化を望んでいる。福祉を充実させて、官僚制の支配を改革する。ロシアとの北方領土問題も解決したい。
日本は世界第二の経済でなくなるだろう。それは中国だ。人口の3分の1が年金生活者の国になる。鳩山は、アメリカからの独立、自立した外交を求めている。
The Timesは、日本の政治文化から見て、これは半世紀ぶりの地震である、と書いています。普通の民主主義になったわけだが、日本にとって未知の、不確実な未来である、と。
バブルが破裂した後、自民とは新しい成長モデルを見いだせず、魅力的な指導者も出せなかった。麻生首相は、国民の変化を嫌う性質によって、改革を妨げられたし、鳩山も、すぐに新しいことはできないだろう。新しい経験のない議員を多く抱え、民主党の行動は限られる。・・・
景気対策を急ぐ必要がある。しかし、年金や医療でも鳩山は改善を約束し、財政破たんは避けられない。自民党の長期政権を支えてきた官僚と大企業の親密な関係を破壊するなら、彼らの深刻なサボタージュ(不服従・協力拒否・妨害工作)を受けるかもしれない。
アメリカから自立して東アジア共同体、特に中国と協力する外交政策が成功するとは思えない。むしろ、何を言ったとしても、基本は変わらない、ということだろう。・・・むしろ、この選挙が重要であるのは、有権者が不満を持てば、政府は交代する、ということを示したことだ。
有権者は鳩山に多くのことを、しかも、迅速に行動するよう求めている。もし1年足らず先の選挙で、まったく逆の結果が出るとしたら、日本の政治は深刻な分裂状態・カオスに向かう。(・・・論説の趣旨を少し大胆に示せば。)
The Guardian, Monday 31 August 2009 Re-birth of Japanese democracy Ian Buruma
(コメント) 日本風に表せば、これは「津波」であり、「台風」であり、「地滑り」だった。民主党は480議席中の300議席以上を占め、自民党を権力から完全に追放した。
しかし、世界は中国の台頭という話題に執着したままであり、退屈な日本政治には関心を示さない。日本の担当者は、専門もなく、すべての話題を扱って、結局、若者文化や、乱れたセックスについて言及するだけだ。
なぜか? 日本の政治は退屈だから。Ian Burumaはその理由を、権力の独占、と考えます。自民党の内部で派閥争いが起きるだけで、しかもその内容は隠されている。派閥のボスは世襲の政治家族であり、莫大な資金を握っている者である。スキャンダルが繰り返し起きるが、これもたいてい権力を奪い合う過程で、誰かを失脚させるための陰謀にすぎない。
どこでも政治は、平和と繁栄を実現するために指導者を決めるわけですが、日本では自民党のボスが首相になり、産業界の利益代表と有能な官僚たちがこれを助ける(細かいことは決める)。そして安全保障と外交課題は、アメリカが決めたことに従うのです。・・・こんな政治が退屈なのは当然です。
欧米から見て、これは一党支配体制であり、ソフトな(つまり軍事クーデタはない)権威主義体制によって安定性を重視するアジア的政治スタイルなのです。今や中国もそうであるように。アジアでは論争する国会というのが機能しない。愚かにもそのような方法を輸入した韓国や台湾がどうなっているか、見ればよい。・・・しかし、Burumaは反対しています。韓国や台湾の民主主義は頑健であるし、日本に競争的な政治スタイルがなかった、というのは歴史的に見て間違いだ、と。
むしろ、日本の政治体制は、米ソ冷戦の国際秩序の一部として、ある程度までアメリカによって意図されたものだった、と考えます。戦後の政治が余りにも混乱し、特に、労働組合の激しい闘争や共産主義者による権力獲得を懸念したアメリカ政府が、イタリアでも同様の状況であり、保守勢力の合同を促したのです。保守政党は組合を暴力的に弾圧したが、中産階級には所得倍増を約束して政府への支持を獲得した。だから自民党の権力喪失は、こうした冷戦体制が終焉し、中産階級の繁栄を実現できなくなったことの結果なのです。
Burumaは、鳩山由紀夫が保守派の名門に属しており、約束した改革を実行できるか疑っています。しかし、政府に代わる反対派が存在することは正しい、と支持します。経済成長に頼る中国の指導者たちにも警鐘になる、と。
WP Monday, August 31, 2009 An Insider's Revolution By Daniel Sneider
(コメント) Daniel Sneiderは、この政変を額面通りに受け取りません。有権者も民主党も、根本的な変革を望んではいないからです。彼らは硬直したシステムに活を入れて、世界不況や高齢化、そして長年のライヴァルである中国に対抗する力を得たいのだ、と。
この政変は小沢一郎によって実現したが、彼の意図は誤解されている。小沢は、自民党の長老支配に抗して、党を離脱するときに『日本改造計画』を示した。・・・
国連平和維持軍への参加、国家としての世界戦略を持つこと、アメリカとは対等な関係を求め、アジアの近隣諸国を重視すること、小沢が望んだ計画はいよいよ実現しつつある、と記事は確認します。
それは、日本の左派だけでなく、旧体制にも嫌われたわけです。今となっては、小沢の主張はむしろ中道的な革新であり、野党から政権獲得を実現したイデオロギーとして、非常にふさわしいものであった、と思います。
FT August 31 2009 Sun rises on a new era for Japan
BBC 2009/08/31 Hatoyama faces daunting economic task By Robin Lustig
(コメント) FTは、民主党政府が注意すべき重要な条件を三つ示します。1.公約した支出が財政規律を失わせることはない、と示せ。2.官僚制度の改革は彼らを攻撃するだけではなく、むしろ鼓舞せよ。3.外交政策において、アメリカから中国寄りに立場を変えるような誤解を与えるな。
いずれも、全くそうだと思います。財政規律のない政権で、国債市場が資本逃避に向かい、高金利をもたらす危険は、どの程度かわかりませんが、外国投資家によって起きるでしょう。
BBCのRobin Lustigも経済問題の難しさを指摘し、鳩山の立場になりたいとは思わない、と書いています。公的債務累積、失業増大、デフレ、輸出減少・・・民主党の提案する政策は、公共投資の無駄をはぶく、公務員を減らす、環境や医療の技術革新にもっと支出する。つまり、民主党は環境や医療を成長産業だとみているのです。
企業は新しい分野を求めています。しかし、他方で労働者たちは仕事を失い、あるいは、派遣などの短期契約に頼る生活で苦しんでいます。スープの配給には300人のホームレスが並ぶ、と紹介します。
日本の「奇跡」は終わり、未来の歴史はまだ見えないのです。
Asia Times Online, Sep 1, 2009 China sees chance of Japanese remorse By Jian Junbo
NYT September 1, 2009 No Clean Sweep By PHILIP BOWRING
(コメント) Jian Junboは、鳩山による民主党政権の姿勢を確認します。外交的に中国と接近し、中国との和解を望む? もしそうであれば、田母神論文に示されるような日本国内の右翼思想、(侵略ではなく)アジア民族の解放を意図した正しい戦争だった、という歴史観を、きっぱりと否定する覚悟があるのだな? と。
日本政府は、ドイツがそうしたように、もっと勇気をもって、率直に、真摯な姿勢で歴史問題に向き合う必要がある、と。・・・外交の背後にある国家意識や、右翼イデオロギーの浸透、日本の目指す政治や国際秩序を深く考え、アジアに対する歴史認識を示さなければ、鳩山政権は何もできないまま崩壊するでしょう。
PHILIP BOWRINGも、鳩山の外交姿勢を問題にします。日本は、北朝鮮の核武装など、アメリカによる安全保障への強い関与を求めていながら、他方で、貿易相手国としては、アメリカよりも中国に最も依存する国になっています。・・・まるで韓国、そして、オーストラリアのように。
しかし、とPHILIP BOWRINGは注意します。アジアのサプライ・チェーンは、アメリカなど第3国に向かうのです。東アジア共同体は必ずしも正しい答えではありません。しかも、鳩山はアメリカ主導のグローバリゼーションを批判し、国内の伝統産業を保護するために地域共同体を利用できる、と考えています。
日本は、中国に対抗して自由貿易協定を増やすでしょう。また、中国の人民元が資本規制している内に、為替レートの安定化にアジア諸国と協力し、特に、アジア開発銀行を介して主導権を取れると思っています。中国に対するバランサーとして、ベトナムやインドネシアのような国に援助を集めています。
中国脅威論は、最近のイラク戦争やウォール街の資本主義が見たらした災厄によって、若干、弱められました。民主党政権は、EUをイメージして、日中が独仏のように共同で主導権を握り、国境紛争を解決することができる、と期待します。しかし、中国の軍備拡大は終わりそうにないし、それに対抗できるのは日米安保体制とアメリカによる核の傘なのです。日本には、それ以外に選択肢がない。
中国が、東アジア共同体の中で、日本と主導権を分かち合う、などと本気で期待しているのか? 中国側には、そのような考え方はない。・・・「空に二つの太陽は要らない。」 日本は沈む日であり、中国は昇る日である、と。
民主党政権は、この現実の複雑さを、もっとよく理解しなければならない。
The Times, September 1, 2009 Japan votes to swim with the current of history Jonathan Allum
LAT September 1, 2009 Japan's new rulers
The Guardian, Tuesday 1 September 2009 Is Japan's sun rising or setting? Simon Tisdall
(コメント) 日本という太陽は昇るのか、沈むのか? とSimon Tisdallは問います。鳩山は、ドイツのゲアハルト・シュレーデーでしょうか?
SPIEGEL ONLINE 09/01/2009 'A Mandate to Put an End to Japan's Postwar Period'
WP Tuesday, September 1, 2009 Shake-Up in Japan
NYT September 1, 2009 Japan’s New Leadership
NYT September 1, 2009 Japan’s Victors Set to Abandon Market Reform By HIROKO TABUCHI
(コメント) 民主党は、今の不況を小泉改革のせいにします。アメリカ型の市場自由化は間違いだった、と。また、輸出に依存した景気回復も批判します。そして、社会民主党と国民新党(小泉改革に反対して自民党を出た)と一緒に、連立政権を目指します。
新政権は、子供手当やガソリン税の引き下げによって、消費者の支出を刺激し、景気回復を目指します。また、官僚から権力を取り上げる、と主張します。他方、日本の生産性を上げること、デフレを防ぐこと、公的債務を減らすこと、については何も言いません。
記事は、この点で、製造業の高い生産性とサービス業の非効率とを指摘します。その理由を、日本の産業が既得権をもつ企業によって支配され、硬直化しているからだ、と、航空業への参入を例に挙げて、示唆します。時代遅れの産業政策が競争を妨げている、と。
人口が減少する経済では、成長率を高めるには生産性の上昇が重要です。そのためには競争を促す必要がある、というエコノミストの見解を紹介します。・・・しかし、日本における低生産性の例として、ガソリンスタンドで窓を拭く労働者や、オフィス・ワークにパソコンが普及していない、と主張するのは説得的でしょうか?
民主党の改革には未来がない、と結論しています。
China Daily 2009-09-01 Japan's change and non-change By Wang Ping
Asia Times Online, Sep 2, 2009 Something completely different in Japan By Axel Berkofsky
Asia Times Online, Sep 3, 2009 A rising sun sets By Francesco Sisci
(コメント) Francesco Sisciの記述は、自民党の権力独占が腐敗と無能をもたらした、という点で説得的です。自民党は既存の体制下で権力に近付きたいすべての党派を受け入れ、市場改革派から国粋主義者まで、何でもありの政党になりました。また、権力を維持するために利益誘導と政治献金のパイプを確立し、特に、大企業、農民、建設業に税金を使いました。
有権者が自民党に呆れはて、政治的な無意識から抜け出して反対票を入れたのは、経済状況が悪化し続けたからでしょう。しかし、それゆえ新政権には難しい状況が待っています。連立政権を組み、虚実の混じった小沢「闇将軍」の弊害を取り除き、債務累積と財政赤字を前提に、景気刺激や雇用対策を見出す必要があります。
Sept. 2 (Bloomberg) Obama Comparisons Don’t Fit This Stanford Ph.D. William Pesek
(コメント) 「これはオバマの当選とは違う。」 ・・・日本における民主主義の革命は、それが単なる概念ではなく、現実であるという点で十分に衝撃でした。しかし、鳩山が率いる民主党は「幅広い異なったイデオロギーを持つ、雑多な政党からの難民を集めた」混成部隊です。日本の誰に聞いても、新政権が何を変えるのか、わかりません。
同じスタンフォードのPh.D.を持つ62歳の鳩山は、オバマと何が違うのか? William Pesekは、今後の注目点を整理します。1.景気回復。2.社会保障制度の充実(無駄な公共工事や非効率な産業の保護より、教育や働く母親への支援)。3.競争力の改善(技術革新、起業支援、雇用創出)。4.高齢化社会への対応。5.出生率の引き上げ。6.アジア諸国との関係を緊密化(戦後の和解から、貿易と雇用を促進する)。7.経済のバランス(輸出より内需を重視。貧富の格差解消。円安政策を改め、外貨準備を有効活用)。8.何より、大胆に行動すること。
FT September 2 2009 A wiser Japan casts its vote without illusions By David Pilling
FT September 3 2009 Road to nowhere
The Times, September 4, 2009 Out of this world
(コメント) David Pillingは、鳩山の演説が「市民の皆様、・・・・」と呼びかけることに注目します。それは国民でも、社員でもない、という浜規子氏の指摘を強調します。かつては繁栄し、仲間意識の強かった日本の社会が、分裂し、解体しつつある危機に、自民党の政治家たちは無感覚であったからです。
労働者の3割が短期契約で、低賃金、不安定な仕事に就いています。トヨタやキャノンのような優良企業が大規模な解雇を発表しました。小泉改革は福祉に関する支出を財政再建のために切り捨て、地方の社会保障システムを担った郵便局も整理します。高齢化する村では老人しかおらず、老人が老人の介護に苦しんでいます。
自民党の政治家は、女性を「産む機械」と呼び、ホームレスを「怠惰」と軽蔑しました。有権者は、民主党の政策を支持したのではなく、自民党を政権からたたき出せ、という呼びかけに賛成したのです。民主党は、企業への景気対策より、困窮する人々を直接に支援することを優先します。
財政赤字を心配する声や、労働規制が競争力を削ぐという声もあります。しかし、民主党は正しい姿を示しました。それは、有権者の声を聞く、という姿勢です。
The Timesの記事は、鳩山夫人に注目します。小泉純一郎のエルビスのものまねよりも、鳩山夫妻の宇宙人ライフは、外国のプレスにもアピールするでしょう。
The Guardian, Friday 28 August 2009
Too early to hail China's stimulus success
Zhang Hong
Aug. 31 (Bloomberg)
It’s High Time to Ruffle a Few Billion Feathers
William Pesek
(コメント) 中国の財政刺激策は目標の8%成長を達成したのでしょうか? Zhang Hongは数字だけで喜ぶべきではない、と注意します。中国の統計数字は正しくないし、景気回復はV字よりW字型になるだろう、と。
輸出が回復しなければ投資は回復せず、政府によって国営銀行の融資を増やしても不動産バブルができるだけです。財政刺激策の割に雇用は増えていない、と硬直的な経済の問題を指摘します。そして、中国発のバブル崩壊が待っています。
William Pesek は、Stephen Roachの新著 “The Next Asia.” を紹介しています。アジアは多くの問題を抱えながら、世界経済の中心になる過程を進めています。たとえば、中国はますます不均衡、不安定で、非協力的、持続不可能な状態を示すでしょう。アジア全体としてもそうです。
アメリカ、EU,日本が不況になって、世界の成長を引っ張る「機関車」はなくなりました。ローチの推定では、アメリカは世界人口の4.8%を占め、2008年に約10兆ドルを消費しました。中国とインドを合わせると世界人口の約40%を占め、2.5兆ドルを消費しました。アメリカのいない世界を考えることは、悪夢なのです。
中国もアジアも均衡化を模索しますが、十分な政治的意志と市場経済への理解はともなっていません。たとえば日本が選挙で自民党政権を葬ったら、新政権は中国との和解を急ぐべきでしょう。アジアのすべてと緊密な経済統合を進め、アウトソーシングと自由貿易によって日本の競争力は改善されるからです。
アジアには協調のための政治的意志が欠けています。もっと消費に重点を置いた、平等で、環境を守る経済成長を実現しなければなりません。しかし、例えば中国政府が、最近、鉄鋼やセメント産業の過剰設備を整理する方針を示したとき、株式市場は暴落したのです。たとえ中国であっても、市場のファイン・チューニングは困難でしょう。
世界系座においてますます重要な役割を担い、発言力を増す、アジアの指導者たちに、この困難な課題は委ねられるのです。
WSJ SEPTEMBER 1, 2009
The Yin and Yang of U.S.-China Relations
By BY IAN BREMMER AND NOURIEL ROUBINI
(コメント) 米中戦略経済会議はどのように評価するべきでしょうか? この論説は、米中協力は可能であるが、行われないだろう、と考えます。国際協調(バードン・シェアリング)を目指すとき、米中が目指す方向は異なっています。彼らが直面している地政学的な課題も異なります。
確かに米中は重要な問題を共有しています。貿易不均衡、通貨価値の安定化、知的所有権、人権、保護主義、北朝鮮の扱い方、など。しかし、1.両国は国内課題に最優先で取り組む必要があります。2.双方が国内の官僚組織における対立を抱えています。3.中国は、アメリカが抱える世界的規模の地政学上の課題を共有したいと思いません。すなわち、イラン、イラク、アフガニスタン、イスラエル、パレスチナ、ソマリア、スーダン、などです。
しかし、それは中国がフリー・ライダーであることを意味しません。中国は雨力亜の通貨価値を安定するうえで不可欠の外貨準備保有を2兆ドルになっても続けています。また、国際金融市場が不安定なとき、中国経済が成長を続けることは、何より重要な貢献である、と主張するでしょう。
米中の戦略合意は、容易に達成されないのです。
BG September 2, 2009
China’s bright future - and filthy present
By Christina Larson
NYT September 4, 2009
Politics Permeates Anti-Corruption Drive in China
By DAVID BARBOZA
(コメント) 環境の汚染も、政治や経済の汚職も、中国は、他の開発諸国より早く、進んで改善に取り組むつもりだ、というニュースです。
FP Fri, 08/28/2009 The U.S.'s strongman policy in Afghanistan By Joanna Nathan
FT August 30 2009 Afghanistan is now Obama’s war By Clive Crook
(コメント) オバマはアフガニスタンにいつまでアメリカ軍兵士を駐留させるのか? これはオバマが言うような「正しい戦争」、「必要な戦争」なのか? この戦争に勝利できるのか? アメリカ国民はどこまでの犠牲を受け入れるのか? オバマの政治的な支持は下がっています。
外国人スタッフの生命を守り、カブール政府の正当性を高めるために選挙の実施を助けました。この戦争は「オバマ政権の選択」であり、不可避ではありません。今すぐ撤退することがないとしても、戦争の目的と手段を明確に説明しなければ、次第に問題になります。アフガン全域の治安を回復するには、駐留軍の兵力が不足しています。
The Guardian, Monday 31 August 2009 The Afghan 8os are back Jonathan Steele
FP AUGUST 31, 2009 The Real Winner of Afghanistan's Election BY HILLARY MANN LEVERETT
WP Wednesday, September 2, 2009 A Middle Way On Afghanistan? By David Ignatius
(コメント) アフガニスタンにおける戦争は、ますます1980年代と似てきた。ロシア兵たちは敵のことを「ゴースト(幽霊)」と呼んだ。今と同じように、ハイテクで重装備の軍隊に、ゲリラ部隊は静かに戦い続けた。ソビエト軍は戦争に勝利できないことを理解した後、撤退の決断をする勇気があった。オバマ政権にもできるだろうか? とJonathan Steeleは書いています。
元ソ連軍兵士の一人は語ります。「それはソ連とアフガニスタンの戦争ではなかった。内戦だ。(ソ連やアメリカのような)大国が敗北することはありえない。もし十分な数の兵士を送り込めば、占領し、虐殺することもできる。しかし、われわれは撤退する方がよい、と考えた。」
そして、何より、多くの人命を賭して実現した選挙の結果は、政府の正当性を高めるより、次々に不正や腐敗、非難の応酬をもたらしました。それらをオバマ政権が嫌ったのは言うまでもありません。大規模な長期的駐留によって、安定した民主国家を築くのか? あるいは、短期のテロ討伐に切り替えるのか? オバマは決断を延ばします。・・・これはオバマのベトナム戦争になる、と批判する者がいます。
アメリカは、イギリスやソ連よりも優れている、という確信が揺らぎます。
WSJ SEPTEMBER 2, 2009 How to Win in Afghanistan By MAX BOOT
Asia Times Online, Sep 3, 2009 US's 'arc of instability' just gets bigger By Pepe Escobar
(コメント) しかし、外交評議会のMAX BOOTは、撤退論を退け、増派を唱えます。タリバンは住民に支持されているのではない。タリバンの支配が拡大しているのは、治安の悪化によって彼らの恐怖や脅迫が効果を強めているだけだ、と考えます。
しかも、ロシアや中国を加えたNew Great Gameが世界各地で始まっています。それは「パイプスタン」とも呼ぶべき、石油・天然ガスの輸送パイプラインをめぐって支配領域を奪い合う戦争です。
WP Thursday, September 3, 2009 The Limits Of Force By Chuck Hagel
WP Thursday, September 3, 2009 Setback in Afghanistan
IHT September 4, 2009 The Same Old Mistake By KIMBERLY MARTEN
(コメント) ベトナムは確かに10年以上も続いた。しかし、アフガニスタンの戦争は9年目に入り、イラクに入って7年が経つ。・・・21世紀の現実に、20世紀の戦争が役に立つだろうか?
「今日、いかなる国も他国に自分の意志や価値を押しつける力はないのだ。新しい世界秩序が形成される過程で、アメリカは第二次世界大戦後にそうしたように、共通利益の連携を築かねばならない。その当時、国連やNATO、世界銀行、IMF、GATT(現在のWTO)のような国際機関が、欠陥もあったが、人間と政府の行動の境界線を確立し、また、世界が第3次世界大戦に引き込まれるのを防ぐことで、ほとんどの人びとは20世紀の後半に世界中でよりよい生活を送れる、という期待を高めた。」
Chuck Hagelは、現在の脅威が、こうした第二次世界大戦後の秩序から取り残された地域に生じている、と指摘します。
アメリカ軍とカブール政府は、19世紀後半にイギリス軍が犯したのと同じ間違った計画を発表した、とKIMBERLY MARTENは批判します。
NYT August 28, 2009
By PAUL KRUGMAN
WP Sunday, August 30, 2009
Thanks to the Deficit, the Buck Stops Here
By Joseph E. Stiglitz
(コメント) 世界恐慌が再発しなかったのは、ケインズ主義の勝利でしょうか? ・・・10年間で9兆ドルの財政赤字、という予測を、PAUL KRUGMANはそれほど恐れるべきではない、と考えます。景気が悪化しているのだから、財政赤字を増やすのは当然だ。その逆の方が恐ろしい。赤字が世界を救う、とPAUL KRUGMANは宣言します。
では、長期的な赤字はどうか? 債務については、持続可能性が問題である。・・・だからGDP比が示されます。そして金利も低い、と。人びとはアメリカ政府が債務を返済することに不安を持っていないわけです。ホワイト・ハウスの予測では、2017年に債務のGDP比は70%に達します(日本人なら170%でも驚かない!)。しかし、ベルギーは118%、イタリアは114%でも金融危機が起きませんでした。
また、赤字の主な源泉は医療保険、メディケアとメディケイドの補助金です。つまり、これは政治問題である、と。・・・赤字を恐れるな、医療保険改革を延期する方が恐ろしい。
Joseph E. Stiglitzも、財政赤字フェティシズム、を批判します。赤字ではなく、その使い道が問題です。しかも、このままでは、ドルの世界的な役割が損なわれるかもしれません。デフレとインフレのバランスを取るは、バーナンキと国際金融市場です。
Joseph E. Stiglitzは、ドルが世界的な準備通貨であるのは、財政赤字がインフレへの誘惑であることを市場が知っているから、アメリカにとっても、世界にとっても、悪い条件である、と考えます。それは、小さなショックから、不安の連鎖と自己実現的な通貨危機をもたらすのです。アメリカとは独立した世界準備通貨が必要です。
世界経済の安定性と成長にふさわしい通貨をどうやって創り出すか、Stiglitzは言及しています。SDRsの拡大(もっと大量かつ規則的に)や、世界経済管理と温暖化ガス排出規制に組み合わせる提案があります。もちろんアメリカ政府は反対するでしょう。Stiglitzは知っています。しかしアメリカは、いつまでもっと低い金利で借り入れる自由を持つでしょうか? また、ドルが世界の準備であることから生じているコストを無視できるでしょうか? 貿易赤字、不安定性、世界経済の停滞。・・・
FT August 30 2009
This is no time to throw away the crutches
Peter Clarke
CSM August 31, 2009
Is America still depression-proof?
By Mark Skousen
The Guardian, Monday 31 August 2009
Why the deficit hysteria? I only wish we'd borrow more
Robert Reich
(コメント) 赤字が多すぎる? いや、もっと必要だ! ・・・では、赤字はどうやって減るのか? 増税ではない。経済規模が重要だ。成長が実現すれば、財政赤字は消滅する。・・・財政赤字が小さすぎることを恐れる!
WSJ AUGUST 31, 2009
What Happened to the 'Depression'?
By ALLAN H. MELTZER
(コメント) 明けても暮れても、エコノミストたちは大恐慌の話ばかりしている。しかし、大恐慌が何か、知っているとは思えない。・・・1932年に失業率が25%に達した、あの大恐慌だ。
現実は誇張されている。回復が予想されるのに、まだ財政赤字を叫んでいる。政府も連銀も、そのエコノミストたちも、ケインズ主義の信念を表明したいだけだ。
WP Friday, August 28, 2009 Obamacare: The Only Exit Strategy By Charles Krauthammer
The Guardian, Sunday 30 August 2009 Obama is losing the health debate – but he can still mobilise and win Gary Younge
NYT August 30, 2009 Until Medical Bills Do Us Part By NICHOLAS D. KRISTOF
NYT August 30, 2009 Tax Reform’s Lesson for Health Care Reform By BILL BRADLEY
NYT August 30, 2009 Obama’s Mixed Messages By R. GLENN HUBBARD
NYT August 31, 2009 Missing Richard Nixon By PAUL KRUGMAN
WP Tuesday, September 1, 2009 Obama's Health-Care Realism By Norman J. Ornstein
(コメント) 医療保険制度の改革について。
BG August 28, 2009
He inspired change, progress worldwide
By Gordon Brown
(コメント) 政権が苦境にあるイギリス首相から寄せられた、ケネディーへの追悼文です。世界中で社会進歩のために支援を惜しまなかった人物として、首相は彼を惜しみます。
1990年代、ゴードン・ブラウンはケネディーの自宅に招待され、家族と一緒に夕食を摂りました。また、一緒にボートで話し合いました。ケネディーはイギリスの経験を知りたがった、と。アイルランド和平交渉について、イギリスの医療制度について。
・・・アメリカを改革することは世界の利益になり、世界を改革することもアメリカの利益だ。
WSJ AUGUST 28, 2009
Technology Can Fight Global Warming
By BJøRN LOMBORG
WSJ AUGUST 30, 2009
Why Oil Still Has a Future
By DANIEL YERGIN
(コメント) 温暖化防止の技術はできるか? たとえば、海を白くする? 世界は石油の時代を抜け出せるか? 金融資産として、温暖化政策として、ますます石油は政治的な問題になります。グローバリゼーションは、今後、世界の成長と石油需要をますます拡大します。
IHT August 29, 2009
By PAUL KENNEDY
(コメント) 世界の準備通貨をドルからSDRに代える話は実現するでしょうか? 4月のG20では2500億ドルのSDRsを追加に配分する、と決めました。2ヵ月後、BRICsの4カ国はドルの保有からIMF勘定に資金をシフトさせる、と示唆しました。
1944年にケインズが考えたように、「バンコール」を拒んだアメリカは、いよいよドルがその重みに耐えられなくなったことに気づくのでしょうか?
PAUL KENNEDYは、Joseph E. Stiglitとそっくり同じように、ドルの撤退が国際社会だけでなく、アメリカにとっても良いことだ、と主張します。そして、アメリカは赤字を垂れ流す、ペン先だけでいくらでもドルを支払える、というのは反米的な解釈である、と。アメリカは覇権国として世界に「公共財」を供給していた時も、そのように批判された。
BRICsが本気で一緒に独自通貨を求めるなら、国際貿易や国際通貨体制を相談したはずです。それらはアメリカの支払能力にできるだけ頼らないものです。その考えはフランスのドゴールやサルコジにも称賛されるでしょう。・・・ではなぜ、世界の貿易業者や通貨のトレーダーたちは、IMFが発行する、より公平な「バスケット通貨」を歓迎しないのでしょうか?
それは、次の覇権国が決まらないからだ、と考えます。ドルが退位するのは、中国の成長が続いて人民元が資本取引を自由化したときです。アメリカは債権国としてドルを世界に供給しましたが、その後、債務国となって世界に債務証券を供給し続けています。この不均衡な状態は続けられない、とPAUL KENNEDYは断言します。
「世界の人口の5%でしかない国が、世界GDPの20%、世界軍事支出の50%、世界の外貨準備の65-70%を自由に印刷した貨幣で供給している。」
Aug. 31 (Bloomberg)
Dollar Is Funny Money in Push for World Currency
Kevin Hassett
WSJ SEPTEMBER 2, 2009
Inevitable End to Dollar's Reserve Role?
By DENNIS K. BERMAN
The Guardian, Wednesday 2 September 2009
Time to ditch the dollar
Nick Dearden
(コメント) しかし、中国が供給しているのは人民元ではなく、ドルの外貨準備(の再配分)です。中国自身が貿易赤字を出すでしょうか? ・・・考えられない、とMichael Pettisは反論します。
The Observer, Sunday 30 August 2009
It's still not too late for you to cut the City down to size, Mr Brown
Will Hutton
FT August 31 2009
Cut the banks (and bonuses) down to size
By Philip Stephens
(コメント) イギリスの金融庁(FSA)長官がトービン税導入について言及しました。ボーナスを抑制する、と政治家は言いますが、むしろ金融部門の利潤が多すぎるのです。社会的に望ましい規模を超えて拡大した金融取引の弊害を抑えることこそ重要でしょう。つまり、金融取引に課税せよ、というわけです。
Philip Stephensも同様の点に注目します。FSAのターナー長官や、イングランド銀行のギーブ副総裁が指摘したように、金融街はその社会的な価値を問われるべきなのです。その莫大な報酬に見合った社会的な役割をはたしているのか? 金融サービス部門は肥大化している、という批判に応えられるのか? 電気通信分野と同じように、利潤や競争について公的規制が必要だ、と。
FT September 1 2009
Forget Tobin tax: there is a better way to curb finance
By Willem Buiter
(コメント) Willem Buiterは、トービン税に反対です。トービン税は、その目標としている為替レートの安定化や金融政策の自律性を達成できない、と考えるからです。しかし、金融部門を抑制するのに、なぜ為替市場か? むしろ、直接に金融取引が保険をかけることです。
WP Sunday, August 30, 2009 The Polish Prologue By Anne Applebaum
FT August 30 2009 Stalin still looms large over eastern Europe By Stefan Wagstyl
CSM September 01, 2009 Seventy years after World War II's start, old enemies take stock By Elizabeth Pond
FT September 1 2009 Putin and Stalin
(コメント) ヨーロッパ諸国やロシアは、第二次世界大戦について、どのような歴史解釈を採用しているのか? 国際対立は起きないのか? ・・・もちろん、アジアと変わらず、もっと起きています。
第二次世界大戦がはじまった日の70周年記念式典に、ロシアのプーチン首相とドイツのメルケル首相が参加しました。Stefan Wagstylは、東欧諸国におけるその解釈が論争になっている、と伝えます。
ロシアでは、今もスターリンの記録が秘密にされています。スターリンを批判しないプーチンも、当時の情報開示を認めません。
FT August 30 2009
Central banks can adapt to life below zero
By Wolfgang Münchau
FT September 3 2009
Europe has mapped its monetary exit
Jean-Claude Trichet
(コメント) 中央銀行は金利をマイナスにできるのか? スウェーデンの中央銀行the Riksbankは先週行いました。・・・そんなことができるの? すごい。もしゼロを気にしていたら、実質金利は余りにも高くなるから。中央銀行に預金する場合、金利をもらうより、取られます。
Wolfgang Münchauは、実際、ゼロ金利は始まっている、と考えます。金利がゼロに近付けば、すでに預金の手続きにはコストがかかり、預金を得ることはマイナスなのです。そのコストを預金者から取れば、マイナス金利の始まりです。
中央銀行は、預金を減らしてほしいと願うとき、それを金利で示すべきです。保守的な中央銀行家の中で、スウェーデンのような小国の、しかも金融理論の学者として尊敬されているLars Svenssonが副総裁だからできた、と指摘します。重要なことは、それが体系的に行われることです。市場にとって必要なときはマイナスにしても、必要がなくなればプラスに戻す。ゼロ金利を拒むECBのような姿勢は、実質金利を上昇させる点で、むしろ不安定なのです。
他方、ECBの総裁Jean-Claude Trichetは、非伝統的な手法(金融機関に無制限に貸し付けた“enhanced credit support”)が必要なくなれば(デフレ懸念と金融システム不安がなくなれば)終わらせる、と出口戦略をEU市民に明示します。
FT August 30 2009
Dire Land
John Murray Brown
BBC, Wednesday, 2 September 2009
Iceland's banks 'need to recover'
(コメント) アイルランドの銀行国有化とBad Bank案は議会で反対されています。空前の引き締め政策を採るしかない政府が、社会保障や雇用を切り捨てながら、銀行や不動産業者を税金で救済している、という不満があるからです。そんな不況の中で、EUのリスボン条約に対する再投票が待っています。
The Japan Times: Tuesday, Sept. 1, 2009
A dose of common sense for the crisis in capitalism
By KEVIN RAFFERTY
(コメント) アメリカ資本主義は批判されています。資本主義は破棄すべきか? 少なくとも、新しい資本主義が必要ではないか? 日本の産業政策も失敗し、IMFの元主任エコノミストや、クルーグマンなど、アカデミズムの資本主義批判、を紹介します。ウォール街の利益に侵された、という左派の政府批判にも共通します。
しかしKEVIN RAFFERTYは、政治家たちが資本主義や銀行を法律で拘束する前に、A.センの助言を聞くべきだ、と考えます。センは、アダム・スミスとA.C.ピグーを引いて、現在の危機を解釈しました。すなわち、市場や資本主義がうまく機能するための法・制度的な条件、危機が進行する心理的作用、を重視します。
センからの助言は、こういうことです。・・・「現実の経済が機能する仕組みをもっとよく理解せよ。」
WP Wednesday, September 2, 2009
The Rubber Meets the Road for Obama
By Harold Meyerson
(コメント) 中国からのタイヤ輸入が急増したことに対して、アメリカの鉄鋼労組(ゴム産業労働組合を含む)が保護を訴えました。それに応じて国際貿易委員会(International Trade Commission)からの勧告を受け入れるか、拒むか、オバマ政権は選択しなければなりません。中国との貿易を認めるにあたって、労働者の不安を考慮し、アメリカ政府は正常化のための合意(the Permanent Normalized Trade Relations with China)を2000年に得ました。これは輸入の急増を一時的に回避する合法的保護策なのだ、とHarold Meyersonは強調します。
2004年から2008年、中国からのタイヤ輸入は215%増え、その他の国からの輸入は5%減少し、国内生産も27%減少しました。保護策を求めたのは労働組合だけで、タイヤ企業ではありません。なぜなら主要なタイヤ企業はすべて、中国の工場を建設しており、その際の条件として、中国政府から生産の一定割合を輸出するよう求められているからです。タイヤ企業はアメリカに本社を持っているけれど、中国の国益を実現するものである、と指摘します。
オバマ政権は、その望む以上の金融救済策に関わって莫大な公費を認めました。中国との貿易摩擦や失業問題は、オバマが約束した労働者の雇用とアメリカ経済の復活を考える上で重要な問題です。この選択は、21世紀の貿易と経済を変えるでしょう。
FT September 2 2009
The G20 can lead the way to balanced growth
Lee Myung-bak and Kevin Rudd
WSJ SEPTEMBER 2, 2009
A New Global Growth Model
By WAYNE SWAN
(コメント) 今週末のロンドンG20に向けて、韓国の大統領とオーストラリアの首相が世界経済の均衡成長を求めています。両国が、開放されたダイナミックな経済成長が、よりバランスのとれた形で復活することを強く願っているのはもちろんです。・・・日本政府がこの声明に参加できなかった(?)のは選挙によるのでしょうが、G20で麻生政権が代表を送らなければ、日本は発言できません。麻生・鳩山間で何か考えるべきでしょう。
大恐慌後の景気回復に失敗した1930年代の悪夢は、金融危機を回避した後でも、持続的な成長を実現できるまで去りません。だからG20は、弾力的で、協調した、マクロ経済政策を実現する透明な手続きや制度に向かう会議でなければなりません。すなわち、
1.各国の回復策、2.IMFへの報告と、世界の均衡成長に向けたIMFによる評価、3.次のG20(議長国は韓国)による主要諸国の「ピア・プレッシャー」。
WAYNE SWANは、新しい世界均衡成長モデルを要求します。すなわち、
1.極端な手段を取り除く際の協力、2.世界需要の配分、すなわち貿易収支不均衡を調整するためにアジアの輸出依存成長を転換する、3.国際金融機関の強化、すなわちアジアの新興諸国に大きな発言権を与え、正当性と実効性を高める、4.世界の最貧困諸国に配慮し、また、資源の多角的なアクセスを守る、5.気候変動の国際的枠組み、それは国連と金融メカニズムが重要な条件である、と整理します。
BBC 2009/09/03
Joint call for bank bonus rules
BBC, Thursday, 3 September 2009
An end to bankers' bonuses?
Stephanie Flanders
FT September 3 2009
Financial stability depends on more capital
By Timothy Geithner
(コメント) 独仏が金融部門のボーナスに規制を求めようと協力する一方で、英米はそれが効果的でないし、金融市場を抑圧する点で経済成長にマイナスだ、と反対します。
むしろガイトナー財務長官がG20に求めるのは、金融機関が自己資本を十分に持たねばならない、ということです。この点で金融監督が強化されますし、資本が十分である基準は、個別の機関だけではなく、金融システム全体の安定性を考慮し、また、過去の実績ではなく、将来のリスクに備えたものでなければなりません。
FT September 3 2009
The global consensus is starting to crack
By Philip Stephens
FT September 3 2009
G20
(コメント) Philip Stephensは、G20に(ブッシュではなく)オバマが加わるとき、国際秩序の新展開が始まると期待します。危機を回避できたとしたら、彼らには次の課題が待っています。ピッツバーグにおけるG20で、国際機関や地域組織も加えた30の代表がオバマの下に集まるでしょう。
オバマのマルチラテラリズムがその成果を示す機会を与えられます。アメリカは、国際機関を通じて国益を実現することが最も望ましい、という第二次世界大戦後の考え方に戻ります。クリントン国務長官も「ニュー・グローバル・アーキテクチャー」を提唱しました。
他方、アメリカはますます、台頭する力に自覚的な勢力(中国だけでなく、インドやブラジル、程度は劣るけれどロシア)の声を聞かなければなりません。それは多極化しながらも、同時に緊密な相互依存をさらに深める、互いを無視できないシステムなのです。それは「極間世界秩序(the “inter-polar world”)」です。
金融危機への焼けつくような恐怖心が去った今では、確かに、アメリカの呼び掛けに対しても、中国やインドは西洋の権力拡大策でしかない、と冷ややかな態度です。しかし、いずれの極にも世界的な市場メカニズムを調整する力はなく、自国の利益だけが実現できる状況にないのです。何よりも、次の危機が登場の機会を待ちわびています。
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The Economist August 22nd 2009
Losing Afghanistan?
Japan’s election: Out with the old
Japan’s election: Railing against the wrong enemy
American health care: Keep it honest
Lexington: Still crazy after all these years
A murder in China: Crime and punishment
The euro-area economy: Growing apart?
(コメント) アフガニスタンの情勢も、日本の選挙も、ユーロ圏の経済困難も、面白いでしょう。しかし、中国の地方支配者が犯罪を権力の一部と理解している様子、アメリカの感情的な右派と左派が妄想を膨らませて政治を破壊してしまう様子に、アフガニスタンと同じくらい驚きます。