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IPEの風 9/6/09

もし鳩山由紀夫氏が「IPEの果樹園」を読むとしたら(・・・そんなことはないと思うけれど)、<今週のReview>が日本の新しい首相に答えを求める「世界の重要問題」を示している、と気づくはずです。すなわち・・・

「アフガニスタン戦争で勝利するために、日本の支援策は何か?」 ・・・東アジアにおける将来の安全保障体制でも日米安保が最も重要な役割を担う、と考えるなら、日本政府にアフガニスタンでの治安回復を支援してほしい、と願っているアメリカ政府に(強いられるより、自ら提案し)応じることでしょう。

小沢氏は国連平和維持軍への参加を示唆しました。社会民主党は(もちろん)自衛隊の海外派遣に反対するでしょう。大いに論争して、国民が合意できるような安全保障政策を示してください。新政権はアメリカに何を提案できるでしょうか? 安保理決議を前提に、自衛隊がアフガニスタンで協力できる形を、社民党も含めて提案してください。日本の非核や平和憲法を、国際舞台で実現する姿勢を示すのです。

「どの国が、世界経済の機関車になれるか?」 ・・・アメリカと中国の財政刺激策が注目される一方で、日本は輸出の落ち込みがマイナス成長に直結する姿ばかり騒がれました。アジア新興市場の成長モデルを転換しなければ、貿易摩擦と保護主義が強まり、アジア発の金融恐慌に向かい、欧米との協調体制は遅れて、今度こそ回避できないかもしれません。外貨準備をIMF経由で発展途上諸国に融資する提案のように、新しいアイデアや制度を示してください。

「ドルの退位について、国際通貨制度改革の展望を示せるか?」 ・・・ドルの退位、ユーロ、SDRs、人民元の変動に対して、日本の金融市場や貯蓄はどのように反応しますか? 郵政民営化を逆転させて、郵便貯金や年金の財源をどう運用するのですか? アメリカ主導のグローバリズムより、東アジア共同体への参加を重視する、という姿勢を問われるでしょう。

「金融部門の肥大化、所得格差に反対するなら、それを改善する方法は何か? トービン税、マイナス金利政策、デフレと日銀の金融政策について、日本政府の見解は?」 ・・・「タイヤ輸入の制限をアメリカ政府が検討するように、中国に移転した工場から日本向け輸出が増え続けた場合、どうするか?」 ・・・「G20とオバマの目指す世界統治の秩序再建に、日本はどのように協力できるか?

・・・的確に(日本の国益や世論を反映して)応じることは、難しいでしょう。そこで、必要なデータや資料を用意し、専門家と(むしろ市民として)関係者を集めて自由に議論してもらう。政策審議会のように委員を限定しない。議事録(要旨)を公開し、頻繁に公聴会も開く。それらを材料に、戦略会議で日本政府の方針を決めてください。そして、首相や大臣は、自分の政治姿勢とともに、その政策の意義と効果を世界に向けて説明すべきです。

・・・ゼミ生と話していたとき、日本にもデモが起きるでしょうか? と聞かれました。デモが重要な役割を果たす国があるのに、日本には起きない。そんな話題を『グローバリゼーションを生きる』に書いたからかもしれません。しかし私は、「デモが起きるか?」というのを、「テロが起きるか?」と聞き違えました。

デモはまだ起きそうにないが、テロなら起きるかもしれない、と思いました。自民党であれ、幸福実現党であれ、保守的イデオロギーの怨嗟は出口を求めてさまよっています。日本の政治を転換した事件のいくつかも、テロに関わる混乱でした。しかも、ドイツでハイパーインフレーションが始まった決定的瞬間は、外相がテロによって暗殺された時だ、という記事を紹介していたからです。

テロはだめだが、デモは望ましい、と強調したいわけではありません。中国では、賃金不払いに関する労働争議、土地収用に反対する農民の抗議運動、などが起き、環境破壊や医療サービスに対する不満から数万件の抗議と騒乱が毎年起きている、と読みました。裁判所や地方政府への不満・不信が高まっている証拠です。

民主党が権力を握った政府は、新しい試みとして、ホームページにデモ参加者を募ってはどうでしょうか? インターネット上で国会議事堂に集まる、バーチャル・デモです。争点を掲げてデモを呼びかけ、アクセス数が1万件を超えれば画面に人が集まり始めます。政府による政策情報の開示や公聴会の案内、政策論争の書き込みともリンクしてください。アクセス数の変動を一定のルールでデモ参加者の画像と連動させます。

保守主義者であれ、市場自由派であれ、社会主義者であれ、指導者が戦車に乗り込み、議会を砲撃しなければ支配的制度や政策を変えることもできない、という国が増えるかもしれません。しかし日本では、人びとがバーチャル・デモに参加し、それでも不満なら現実の集会を組織するよう呼びかけて、改革を進める圧力を政権政党や官僚組織に加えるのです。

主要なテーマは何でしょうか? たとえば、成長戦略(自由化、社会参加、金融資産)、財政刺激策(社会保障、雇用創出、地方経済再生、公正な基準による制度の改革)、国際戦略(安全保障、企業・技術者・労働者の国際化、社会政治統合の促進)。・・・

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