今週のReview
8/17-8/22
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
******* 感嘆キー・ワード **********************
アジア統合、 チャイナ・プライス、 日本、 プーチン、 パレスチナの治安部隊、 医療保険制度、 アイスランド、 戦争のない国、 世界不況の教訓、 中国の不均衡
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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
Asia Times Online, Aug 6, 2009
By Andy Yee
(コメント) アジアの統合に関する適切な整理だと思います。概略を紹介します。・・・
オーストラリアのケヴィン・ラッド首相が「アジア・太平洋共同体」を提唱しましたが、先日の米中サミットでは無視されました。ヨーロッパ型の市場・政治統合が目標になるのは難しいのです。
中国の周りには三つの地域協力組織が存在します。すなわち、東南アジア諸国連合the Association of Southeast Asian Nations (ASEAN), 上海協力機構the Shanghai Cooperation Organization (SCO) and 南アジア地域協力連合the South Asian Association for Regional Cooperation (SAARC) です。
三つの組織は経済統合について異なった水準にあり、政治的には異なる政治的対抗・同盟関係に基づいています。すなわち、アメリカ・中国、中国・ロシア、中国・インド、です。政治的・軍事的な関係も、組織によって異なっています。上海協力機構は、中国とロシアとが共同軍事演習を行いました。アセアンは、従来よりも積極的に政治・安全保障問題を扱おうとしていますが、まだ表面的です。南インドでは、むしろインドとパキスタンの間に対立があります。
こうした組織の違いは、それぞれが依拠する地域の事情によるものです。すなわち、
・・・東アジアでは貿易や投資を通じて民間の経済・市場統合が大幅に進みました。その中心にはASEANの動きがあります。ASEANは、アメリカとも、中国とも、日本とも、積極的な市場統合を望んでいます。すなわち、日本や中国との自由貿易圏を合意して、実現しつつあり、ASEAN+3による「チェンマイ・イニシアティブ」により1200億ドルの外貨準備を利用できます。
中国の姿勢については、アメリカの覇権を嫌って、アメリカをアジアから排除するという解釈と、国際秩序の責任あるメンバーになるという解釈と、二つが対立しています。2001年、米軍偵察機EP3が、沖縄嘉手納基地から離陸後、中国空軍と接触し、海南島に不時着した事件では、東南アジア各国が沈黙を守りました。彼らはアメリカと中国とが対立し、どちらにつくか、と選択を迫られる事態を恐れています。
ASEAN主導の組織化とは、中国とアメリカ、その他の東アジア諸国(日本、韓国)を受け入れるものでなければなりません。
アメリカとその同盟諸国は、「ASEAN+3」が中国の支配を強めることを心配しています。そこで、EAS(東アジア・サミット)を提唱し、インド、オーストラリア、ニュージーランドといった「ASEAN+3」に属さない国も加えた組織化を推進しているのです。中国は、それに反対することは避けていますが、EASより「ASEAN+3」を重視します。また中国は、協調が中国の行動を制約することを嫌い、非公式な2国間対話を好みます。
・・・中央アジアでは、中国とロシアの協力による中央アジア安全保障の体制が公式に成立しています。2004年から反テロ地域協力、2007年から合同軍事演習を行っています。7月5日の新疆ウィグル自治区における反政府暴動に対して、人民日報はアメリカを非難し、48時間以内にモスクワは強い支持を表明しました。
その代償に中国は、中央アジアにおけるアメリカの影響を抑えるロシアの活動(CSTO)を支持しました。特に、(チェチェンなど)コーカサスにおけるロシアの支配を支持したことは重要です。
(上海協力機構については、イランの加盟が話題となったが、オブザーバーにとどまっている。なぜなら、イランが加わることで、その地域的な意味も、経済的・政治的な意味、反米主義も、大きく変化するからだ。ブラジル、モンゴル、インド、アフガニスタン、イラン、パキスタン、東南アジア諸国連合(ASEAN)もオブザーバー加盟を申請する。)
・・・南アジアでは、南アジア地域協力連合SAARCがあるけれど、機能していません。その理由は、主要な加盟国であるインドとパキスタンが戦略的に対立しているからです。またSAARCは加盟諸国間の貿易が少なく、経済的な刺激にもなっていません。インドとSAARC諸国との貿易額は全体の2.8%に過ぎず、ASEAN諸国とは24.9%もあります。
中国は2005年にSAARCにオブザーバーとして参加しました。また、1999年には昆明で、雲南省政府が、インド、ミャンマー、バングラデシュを招いて、地域協力開発会議を開きました。南西中国と北東インドとの輸送インフラをつなぐ試みですが、今も非政府レベルにとどまっています。
インドは中国の南アジア進出政策を強く警戒しています。中国はパキスタンと戦略的な関係を持ち、インドとの国境紛争を抱え、インド洋に海軍を進出させる考えです。また、インドを牽制するためにバングラデシュやネパール、スリランカに影響力を強めています。
ニューデリーと北京とは、互いに戦略的な対抗関係を意識しています。中国は海軍の基地や給油所を、ミャンマー、スリランカ、インドのライバルであるパキスタンに設けました。SCOとBRICのサミット直前、インドは中国との国境地帯に軍隊を展開する、と発表しました。
・・・東アジアは経済的に統合が進み、政治的な関係は弱い。中央アジアは、逆に、政治的な関係が強く、経済統合は進んでいません。そして、南アジアは経済も政治も遅れています。その結果、東アジア地域は、今後もリーダーが複数存在し、アメリカ、中国、日本、ASEANの複雑な関係が続くでしょう。すなわち、ASEANが中心的な結び付きを提供し、フレキシブルな交渉の場となり、SCOにもSAARCにも似ることはないのです。
東アジアの経済的なダイナミズムを前提すれば、気候変動、金融危機、新しい安全保障問題、多国籍企業、など、世界的規模の挑戦にとって、この地域が決定的な意味を持つはずです。しかし、あまりにも複雑な政治的関係により、新しい地域協力制度は形成できないのです。調和的な、効果的な制度は、さまざまな勢力のバランスから生じるでしょう。
The Guardian, Saturday 8 August 2009
US fuels Asian arms race
Mustafa Qadri
Asia Times Online, Aug 12, 2009
China quietly reshapes Asia
By Stephen Blank
(コメント) 安全保障を願う国は、常に、軍備拡張に走ります。安全保障のジレンマが、現代のインド洋でも確実に起きています。
アメリカとインドは協力して、中国の軍備拡張に対抗します。急速な成長と労働力、市場規模は、アメリカにとってインドとの経済関係が深まることを重視させるのです。インドとパキスタンの対立に、米中の戦略的な同盟が重なり、拡大します。
中央アジアとロシア極東地域において、中国とロシアは協力関係を深め、それは中国からの貿易や投資を急速に拡大しています。
China Daily, 2009-08-13
Slow but sure withering away of the 'China price'
By William Daniel Garst
(コメント) Alexandra Harneyの著書 “China Price” の紹介ですが、その積極的な側面を強調します。江西省から広東省の深圳に来て、カシミア縫製工場で働く貧しい少女Li Luyuanは、それでも数カ月おきに約120ドルを家族に送金しました。そのお金で家族は種籾やその他の必要なものを買うことができました。
「さらに、彼女は経済的社会的な上昇階段を上ることができた。それは中国の地方において一般に欠けているものである。」・・・「縫製工場で1年間働いた後、彼女は不動産取引をする新しい仕事を得た。」そして彼女は25ドルから790ドルの月収を得るようになりました。それは中学卒業程度の、地方の貧しい家族にとって、女性が得る収入として法外な高額です。
中国の成長が、労働者の賃金も引き上げている、と指摘します。中国は低賃金を利用して急速な成長を行い、賃金水準を引き上げて、他の諸国に安価な生産拠点の地位を譲っていく、と輸出と成長の関係を主張しています。「チャイナ・プライス」が安価な製品のシンボルでなくなるとき、アジアは大きく変わるのです。
WSJ AUGUST 13, 2009
Beijing Bubblenomics
By MICHAEL KURTZ
(コメント) あるいは、世界が深刻な影響を受けるのは、中国の株式や不動産市場におけるバブルがはじけるからでしょうか? 中国が金融緩和しなければ、アメリカの景気回復は難しくなり、他方で、中国が金融緩和し続ければ、中国のバブルが崩壊してアメリカや世界の景気回復を損ないます。
それは、ある程度、日本のバブルとその崩壊を再現しているのかもしれません。
FP AUGUST 6, 2009
Think Again: Twitter
BY EVGENY MOROZOV
(コメント) 携帯電話より、YouTubeより、トウィッターが最先端の革命手段なのでしょうか? その評価をめぐって、FPでEVGENY MOROZOVが回答しています。
Aug. 7 (Bloomberg)
Paula Abdul Is Perfect Act to Follow Clinton’s
William Pesek
(コメント) クリントン元大統領は北朝鮮の指導者と数時間を一緒に過ごしました。このことについて、CIAから聴取されたはずです。それを勝手に(!)想像した記事です。・・・次は日本に行って麻生を救出してやるのだ、と言っています。
NYT August 7, 2009
Land of the Rising Yen
By AKIO MIKUNI
Aug. 10 (Bloomberg)
Big Mac Says All About World After Lehman’s Fall
William Pesek
Aug. 13 (Bloomberg)
Dollar’s Replacement Is Just 6,700 Miles Away
William Pesek
(コメント) AKIO MIKUNI氏は、日本が円安による輸出依存型成長をやめるべきだ、と主張します。むしろ円高によっても競争力を失わない品質の高い産業に集中することで、内需主導の成長が維持できるだろう。一時的には輸出部門で倒産や失業が増えるけれど、このまま円安を期待するのは間違いだ、と考えます。
しかし、円安を意図した政策など、本当に採用され、実行されたのでしょうか? 為替レートを政策的に動かすのは難しいでしょう。デフレ懸念と金融緩和が続いて、円安が定着してしまった、と解釈してはどうでしょうか? その意味では、William Pesekの論説が興味あります。
なぜなら、リーマン・ショック後の世界金融システムを、莫大な資本がアジアからアメリカに流れた、と指摘するからです。日本だけでなく、アジア諸国がアメリカ市場向け輸出に依存しています。その結果、アジア諸国の為替レートはドルに対して大幅に過小評価(購買力平価、もしくは、ビッグ・マック指標で)されており、他方、ヨーロッパの通貨は過大評価になっています。彼らは逆に需要を奪われて苦しんでいます。
中国が保有するドル債券を売る、ということは考えません。中国やアジア諸国が外貨準備を増やし続けているのは、アメリカ市場に依存して成長しているという弱さを表しており、今のように不況に苦しむ時期に、ドル売りは望まない、と。
では、どうすればよいのか? 人民元やSDRで保有するのでもなく、Pesekは円を買うように勧めます。円はその地位を下げてきましたが、今や避難先として最適です。低金利によるキャリー・トレードが世界中で円の利用を促し、世界市場の主要な準備通貨になるでしょう。
The Guardian, Monday 10 August 2009
Japan tries to loosen the US leash
Simon Tisdall
FT August 10 2009
DPJ chief hits at ‘US-led’ globalism
By Mure Dickie in Tokyo
(コメント) 日本は政権が交代しても、イギリスと同じような、長期的な同盟関係を維持して、東アジアの安定化に重要な役割を果たすことができるでしょうか? アメリカ政府の側は、そのような関係を期待しているわけです。
「友愛(思いやり)の政治」を説く民主党の党首、鳩山は、アメリカの指導してきた「市場原理主義」を批判しました。制約のないグローバリゼーションにも反対してきました。アメリカのユニラテラリズムが終わり、ドルの役割にも不安が生じています。「東アジア共同体」を積極的に支持しよう、と主張します。
こうした主張は、政権を獲得した場合、アメリカとの摩擦を生じるのではないか? 他方、国内では、財政再建のためにも、包括的な政治システムの再建が必要だ、と主張します。
SPIEGEL ONLINE 08/07/2009
CAN WASHINGTON LEARN FROM BRUSSELS' MISTAKES?
Avoiding Europe's Carbon Trading Missteps
By Mark Scott
(コメント) ヨーロッパが先行した温暖化ガスの排出権取引ですが、アメリカはその経験から何を学ぶべきでしょうか? たとえば、企業よりも消費者が主要な受益者になるように運営されるべきだ、と主張しています。EUでは排出権を過剰に供給し、価格の暴落を招きました。企業は、むしろ排出に追加のコストを安定して生じることで、温暖化ガス排出を抑制するインセンティブにしなければなりません。
NYT August 9, 2009
Missed Opportunity on Climate Change
By N. GREGORY MANKIW
(コメント) オバマが署名した温暖化防止の法案は間違っている、とMANKIWは憤慨します。
温暖化は、基本的に、経済学が「外部効果(不経済)」と呼ぶものです。その解決策は、課税すること(炭素税)で社会的なコストを私的な取引に反映させることです。オバマは選挙中に、増税が嫌われるので “a cap-and-trade system” を提案しました。それは温暖化ガスを排出する企業がオークションによって排出権を買い取る仕組みであり、その価格が炭素税と等しくなるはずでした。
しかし、議会が提出した法案は、排出権を特集利益の業界に無償で配布してしまうものです。その結果、温暖化ガスの排出は抑制できず、炭素税課オークションで手に入るはずであった歳入は失われて、不況期に必要な財源が不足します。減税や雇用の創出が不可能になってしまいます。
オバマ大統領はこれに署名すべきではない、と主張します。
BG August 12, 2009
The dangers of a carbon trade war
By Michael A. Levi
(コメント) 外交評議会のMichael A. Leviは、通商政策に及ぼす影響を考察します。アメリカ政府が温暖化ガスの排出に追加のコストを求めることは、他国に比べて生産条件を悪化させ、工場の海外移転を促す、という理由で、関税の引き上げを政治家たちが求めているからです。自由貿易に反するのではないか?
Michael A. Leviは、どちらの主張にも理由がある、と考えます。追加的なコストを強いられる業界が工場の海外移転を止めることは難しいでしょう。しかし、技術革新や他の分野における投資が促されることを求め的としている以上、それも必要なのです。また、関税を上げれば、報復されて、世界中の保護主義を刺激します。
関税率の決定は難しく、環境保護のコストと関係のない業者にも利益を与え、国際的な反発を招くでしょう。むしろ、温暖化ガスに課税する追加のコストに応じて、それに関わる国内企業に減税する方がよい、と主張します。
SPIEGEL ONLINE 08/07/2009
'A RECIPE FOR CHAOS'
By Horand Knaup
(コメント) リベリアにおける民主的秩序の確立は、困難に直面しているようです。内戦の犠牲者を慰め、その反省と国民和解を目指したthe Liberian Truth and Reconciliation Commission (TRC)は、新しい政治抗争の焦点になっています。その運営は、旧兵士たちの強い反対、証言や立証の難しさを抱えています。
FT August 7 2009
To the court of King Kim
By Christopher Caldwell
NYT August 7, 2009
The Clintons’ High-Return Diplomacy
By DOUGLAS H. PAAL
(コメント) 二人の女性ジャーナリストを取り戻したクリントン元大統領と、その妻であるヒラリー・クリントン国務長官。もちろん、北朝鮮に核兵器の放棄を求める姿勢に変わりはない、と言います。しかし北朝鮮が、外交的に孤立していない、という宣伝に利用された、とCaldwellは批判します。
他方、DOUGLAS H. PAALは、アメリカ市民を連れ戻したことを支持します。
The Japan Times: Sunday, Aug. 9, 2009
North Korea's way of trying to break the ice
By TOM PLATE
The Japan Times: Sunday, Aug. 9, 2009
Pariahs of Asia and their nukes
By GWYNNE DYER
IHT August 10, 2009
No Rush to Talk With North Korea
By ANDREI LANKOV
(コメント) 交渉によって北朝鮮に核兵器を放棄させることはできない。北朝鮮は核を保有することに大きな利益を観ている。安全保障も、援助も、国内政治における権威も、核保有と結び付いて必要だ。大型の経済援助は魅力がない。なぜなら中国型の開放改革は時間がかかり、情報の独占も失われる。北朝鮮のエリートたちは地位を維持できないだろう。
しかし、交渉は続けるべきだ。大きな成果は上げられないが、北朝鮮の情報を得られるし、核兵器や核技術の輸出を阻止し、北朝鮮内部の混乱から突発的な攻撃に踏み切るリスクを減らせる。何より、時間をかけることは北朝鮮にとって事態を好転させるものではない。
北の国民が情報を得る機会が増えれば、いつか、今の政治エリートも変化する時期が来るはずだ。
WP Sunday, August 9, 2009
The North Korea Fallout
By Henry A. Kissinger
(コメント) 何よりも、大きな政治目標、例えば、世界への核拡散を防ぐ、という目的に照らして、また、アメリカ国民が世界中で人質に取られる不安を持たなくてよいように、クリントン氏は北朝鮮へ行くべきでなかったのだ。
FT August 7 2009 Putin has misread his Georgian lesson
The Japan Times: Sunday, Aug. 9, 2009 20th-century legacy of confrontation lives on By SERGEI KARAGANOV
Asia Times Online, Aug 12, 2009 Russia reflects on Putin's decade By Robert Coalson
(コメント) プーチンが首相になって10年経ちました。ロシアはどう変わったのか?
自信を持てないプーチン政権が、モスクワの爆弾テロに対して、チェチェンの独立派を非難し、第二次チェチェン戦争を開始したころから、強硬派のスタイルと国民の支持を高めました。また、プーチン支持者は、国内におけるオリガーク達の無秩序な振る舞いを非難しました。
もちろん、それを固めたのは石油価格の高騰と外貨準備、それによる国内経済の安定から、さらに活況が続いたことでした。ところが、同じ時期に、ロシアは外交的には孤立し、新冷戦が唱えられたほど、西側と敵対します。国内の権力はプーチンとその周辺に集中しました。
石油価格の下落と金融危機は、ロシア経済の基礎が脆弱であることを暴露しました。プーチンの高い支持率は、国内メディアを統制し、プーチンへの反対勢力が弾圧されて、交代できる指導者がいないことによります。
経済不況や国際政治における孤立にもかかわらず、困難を打開するためにプーチンを支持する声が強まります。
SPIEGEL ONLINE 08/12/2009 THE WORLD FROM BERLIN: 'Responsibility For Activist's Murder Lies in Moscow'
FT August 12 2009 The meaning of brotherhood
Foreign Affairs Letter From Tbilisi: Georgia's Change of Fortune Lionel Beehner
FP AUGUST 12, 2009 (Un)civil Society in the North Caucasus BY SARAH MENDELSON
The Guardian, Thursday 13 August 2009 Killing with impunity in Chechnya Tanya Lokshina
(コメント) SARAH MENDELSONは、モスクワやグロズヌイで相次ぐ弁護士や人権運動家、ジャーナリストたちの殺害事件について書いています。EUの人権裁判所に事件を訴えたチェチェンからの亡命者もウィーンで殺害されました。
オバマ政権は、それでも、テロ組織を取り締まるためにロシアと協力するのでしょうか? むしろ、ロシア政府による「国家テロ」を非難するべきではないか?
The Guardian, Saturday 8 August 2009
Migrants' gains evaporate
Rahila Gupta
Asia Times Online, Aug 11, 2009
Remittances save the Philippines
By Joel D Adriano
(コメント) イギリスでは移民の有益さが説得力を失い、フィリピンでは不況期にますます移民からの送金が重要性を増しています。しかし、移民送金に依存しすぎることは、フィリピン経済の依存は経済発展を妨げる、と批判されています。
IHT August 8, 2009
Aging Nations
By PHILIP BOWRING
(コメント) 東アジアの儒教国家における男尊女卑は、女性の社会進出を妨げ、男性支配と女性人口比率の低下、低出産率によって、どこでも高齢化の中で人口減少を経験しています。今や、西欧型の社会保障や女性の社会的進出を進めて、この危機を抜け出す競争に、中国やシンガポール、韓国、日本も参加しています。
NYT August 9, 2009
Their Gamble, Everyone’s Money
(コメント) JPモルガン・チェイス、ゴールドマンサックス、などは、証券取引で大きな利益を上げています。それは、世界中で何百万人も損失を被った同じ市場なのです。称賛されるべきか、非難すべきか?
議会は金融ビジネスの巨額の報酬を制限しようと議論しています。しかし、金融ビジネスがどのような取引で利益を上げているか、がより重要な問題です。金融規制が改善される目的と同様に、金融システムが健全で、危機を起こさないように、報酬も決めるべきなのです。
銀行がリスクの高い取引に対して多くの自己資本を準備しなければならないように、もし政府に救済を求めるのであれば、そのような報酬はあきらめるべきだ、と。
NYT August 9, 2009
By THOMAS L. FRIEDMAN
(コメント) ヨルダン川西岸では、イスラエルの入植地建設や自爆テロによって秩序が失われ、イスラエル軍が占領して経済活動も沈滞していました。それが、最近では取引が増え、経済に活気が戻っている、と言います。パレスチナの民族治安部隊(NSF)が訓練され、配置されているからです。
NSFは、イスラエルの軍隊やハマスの民兵に代わって、イスラエル人もパレスチナ人も取り締まります。パレスチナ自治政府のアッバス大統領とその首相が、アメリカの資金援助を得て、ヨルダンで訓練を始めました。イスラエル軍もNSFの能力を認めています。ハマスを排除した地区で、住民たちはハマスの死者の葬儀には集まらず、NSFの犠牲者の葬儀に多く集まった、とTHOMAS L. FRIEDMANは書いています。
NSFが治安を回復した地域では、イスラエル軍が多く設置した検問所が撤去され、人びとは移動の喜びを取り戻しています。NSFは単なる警察ではなく、パレスチナ国家の誕生を先取りしたものだ、と考えます。アメリカはこの好循環を支持するべきでしょう。NSFの訓練、イスラエル軍の撤退と検問所の撤去、パレスチナ人の経済回復、パレスチナ国家への期待。
FT August 9 2009
Ten pointers on how to think like a German
By Ralph Atkins
The Guardian, Monday 10 August 2009
Stimulus or bust
Joseph Stiglitz
(コメント) ケインズ経済学は失敗したのか? アメリカの失業率が高いことを理由に、財政刺激策を批判するべきではない、とJoseph Stiglitzは主張します。比較すべきは、現在の失業率と、財政刺激策を決めなかった場合の失業率であり、それはもっと高かったでしょう。予想されたように、財政刺激策の規模が小さすぎたのです。
しかも、政府支出はなかなか実行されていません。財政刺激策の3分の1は、ケインズ主義が反対するような減税に充てられています(このような時期には支出に向かわない)。政府の財政赤字は増え続けています。特に、州政府の赤字は均衡が憲法によって求められており、歳入の減少に応じて支出を急速に減らしています。
政府は銀行の救済に取り組んでいますが、景気が低迷しているときに融資はなかなか増えません。需要の多くを占めた消費も、個人が債務を減らすことはあっても、借入によって消費を回復する見込みはないのです。このような時期には、政府支出がぜひとも必要です。
Joseph Stiglitzは、債務の累積も問題ではない、と考えます。債務としてだけでなく、適切な財政刺激策であれば、それは資産を増やし、成長を回復することで、アメリカの財政基盤を改善するだろう、と。将来、インフレの心配はあるが、当面はデフレを避けることが重要だ、と。
The Guardian, Monday 10 August 2009
The case for no stimulus
Dean Baker
NYT August 10, 2009
Averting the Worst
By PAUL KRUGMAN
WP Tuesday, August 11, 2009
Stay the Stimulus Course
By Alan S. Blinder
(コメント) 財政刺激策の効果が表れてくる時間を考えれば、景気の悪化を緩和したことは重要です。財政の赤字や債務、世代間移転だけを強調するのは間違いです。
FT August 13 2009
How to release the next boom
By George Magnus
(コメント) 次の成長について。新興市場がキャッチ・アップを続ける。市場は拡大し、制度が調整される。景気回復の悲観論は欧米に限られるのか?
BBC 2009/08/13
Why are France and Germany out of recession?
By John Moylan
WP Thursday, August 13, 2009
Is America Through the Worst of the Recession?
(コメント) アメリカは最悪の時期を過ぎたのか? WPに論争が集まっています。Rogoffは、最悪期は脱したが、今後の回復は以前ほどの力がない、と考えます。
FT August 13 2009
Eurozone economy
YaleGlobal, 13 August 2009
What About the BRICs?
John Frankenstein
(コメント) ユーロ圏やBRICsが景気を回復して、世界貿易や成長を導けるでしょうか?
FT August 9 2009
US must reappoint chairman Ben
FT August 11 2009
Central banks must time a ‘good exit’
By Randall Kroszner
(コメント) バーナンキは再任されるべきか? 中央銀行総裁は、優れた官僚と優れた政治家の両方の資格を要します。・・・問題は「出口戦略」です。
CSM August 10, 2009 Healthcare crisis solved (with vouchers) By David C. Rose
The Guardian, Wednesday 12 August 2009 From crisis, healthcare reform – on both sides of the pond Sasha Abramsky
WSJ AUGUST 12, 2009 The Truth About Health Insurance
The Guardian, Wednesday 12 August 2009 Thank heaven for the NHS Michele Hanson
NYT August 13, 2009 10 Steps to Better Health Care By ATUL GAWANDE, DONALD BERWICK, ELLIOTT FISHER and MARK McCLELLAN
(コメント) このままでは、医療保険制度のコストは増す一方で、しかもそれに加入できる人はわずかでしかない。既存のシステムは役に立たない。
議論がヒート・アップしたのはコストの爆発が心配だからだ。二つの選択肢しかない、と言われれば皆が警戒するのは当然だ。すなわち、増税するか、医療サービスを割り当てにするか。
しかし、政府が提案するのは医療保険制度をつくりかえることで、より効率的にサービスが提供できるようにする、というものだ。・・・そんなことが可能か? という懐疑が広まる。ヨーロッパではやっているが、アメリカ人は信じない。アメリカ中を探せば、もっと低コストで、効率的な医療サービスは見つかる。
アメリカ各地から、そのような地域や医療機関の医者、病院経営者、地域のリーダーを招いて、話し合ってもらった。・・・それは、アメリカ中で実行可能だ。
FT August 10 2009
A runaway deficit may soon test Obama’s luck
By Niall Ferguson
(コメント) オバマ大統領は幸運だ、とNiall Fergusonは強調します。内政、外交、特に景気刺激策でも成果を上げています。しかし、金融ではバーナンキが重要です。それに、ブッシュ政権と違って、オバマの時代は議会が重要になったと考えます。財政刺激策を決めたのも、医療保険制度を提出したのも、民主党が支配する議会です。それは弱点にもなりそうです。
国民は、財政赤字を心配しています。オバマの政策で最も支持率の低いテーマです。債務が累積して長期金利が上昇し、景気回復を妨げるのではないか、と懸念されています。Fergusonは、危機が世界的な規模で起きていることを重視し、1933年のクレディットアンシュタルトと同じように、どこかで起きた危機がアメリカに波及することを警戒します。アフガニスタンの軍事行動も、中国からの闘志も、オバマが望むほど好ましい状態を維持するとは限りません。
ある日、オバマが幸運から見放され、アメリカの債務は累増し、成長率は低迷する。
FT August 10 2009
Luck of the Irish
(コメント) アイルランドは(スペインも)ユーロ圏で大きな経済の縮小を経験しています。特に末期には、大規模な融資と不動産市場のバブルがもたらした成長でした。政府は不況と銀行救済で赤字を膨張させつつあります。しかも、政府のつくった「バッド・バンク」は、利潤を制限してしまう、とFTは批判します。
FTは、バブル前に、アイルランドが採用した低課税、すぐれた労働力があるので、危機後の成長を期待できる、と考えています。
FT August 11 2009
FT August 13 2009
Icelanders are angry but will make sacrifices
By Jóhanna Sigurðardóttir
(コメント) アイスランドの金融破たんと対外債務の支払いは、ヴェルサイユ条約におけるドイツの賠償金に比べる者もありますが、むしろ1982年のラテンアメリカ債務危機に似ている、とFTは指摘します。特に、シカゴ学派の経済学が宣伝していたチリの自由化と成長が崩壊し、民間債務の累積と経済停滞の10年間を経験した例と似ているようです。
イギリスとオランダは、アイスランドのランズバンキ銀行が海外に設けたインターネット・バンキング、アイスセーブの破綻に対して、自国の預金者に全額を返還するよう求めています。これは政府間交渉で受け入れたはずですが、アイスランド議会が承認しません。イギリス人預金者も、高い金利にだけ注目し、金融当局はランズバンキの高収益にだまされたわけです。
現在の首相、Jóhanna Sigurðardóttirシグルダルドッチールは、アイスランドが直面する困難な状況を訴えています。アイスランドは、政府を縮小し、賃金を引き下げ、インフラ投資を減らします。国内の銀行再建、海外の資産家との交渉、EU加盟申請も始めます。
しかし、弱みに付け込んで法外な要求をするイギリスやオランダの姿勢は受け入れがたい、という不満です。イギリス政府がアイスセーブの本社であるランズバンキ(また、一時的にアイスランド政治も)をテロ集団のリストに並べ、資産を凍結しました。その影響で、カウプシング銀行のロンドン個会社も金融庁の検査を受け、倒産しました。
大国の行動が小国を大いに苦しめていることを考えてほしい、と。
BG August 10, 2009
What it’s like in a country without war
By Stephen Bergman
(コメント) 戦争のない国? ・・・それは、「終戦記念日」を迎える日本のことでしょうか? いいえ、違います。記事はコスタリカの高地にある村Tierra Tranquilaを、そして、コスタリカを紹介しています。アメリカはいつも戦争しているが、コスタリカでは無料の医療サービスが国民すべてに提供されています。なぜ、そんなことができるのか? ・・・1948年に、政府は軍隊を違法とし、軍事費をゼロにしたからです。
FT August 11 2009
Europe needs to screen Chinese investment
By Maaike Okano-Heijmans and Frans-Paul van der Putten
WSJ AUGUST 11, 2009
China’s Yukos
(コメント) ヨーロッパも、アメリカや日本、オーストラリアが持っているような、外国企業や投資家による自国企業の買収を審査する機関が必要だ、と述べています。それは、特に中国が莫大な外貨準備を使って外国企業を買収する意図を示しているうえに、政治的な目的で企業買収が利用されるという不安があるからです。
しかし、FTの論説は、今後とも新興市場諸国からの直接投資は増えるのであるから、それを妨げることなく、むしろ歓迎するためにも、EUとして審査基準をオープンにする(保護主義や国による不透明な扱いを取り除く)ことが望ましい、と考えます。
他方で、オーストラリアの資源会社、リオ・ティントに、中国アルミ社が投資する交渉が決裂したのち、産業スパイとして中国捜査当局がリオ・ティント社員を拘束した事件は、今後の展開次第で外国企業の警戒感を強めるでしょう。WSJの記事は、この事件が中国におけるユコス(プーチン大統領が、政府に反対する石油富豪を犯罪者として投獄し、その企業を国営企業に買収させた事件)になる、と警告しています。
The Japan Times: Tuesday, Aug. 11, 2009
Seven topics for a summer day
By HUGH CORTAZZI
(コメント) イギリスでも日本でも重要な選挙を控えています。しかし、政治よりもますます多くの紙面がスポーツの話で埋まっています。21世紀の初めに考えておくべきことがあるはずです。
1.冷戦終結とEUの重要さ。2.EUとロシアとの関係。3.テロや戦闘的なイスラム原理主義者の脅威。4.史上空前の世界金融危機、5.気候変動と人類の危険。6.ヒトゲノムの遺伝子解読と倫理、7.インターネットによる幼児ポルノや詐欺。
もし自民党であれ、民主党であれ、日本の政治家が首相になってEUを訪問すれば、こうした問題に深い思想を示す力量を持たねばなりません。
The Japan Times: Wednesday, Aug. 12, 2009
Seven global lessons from a teachable event
By RAMESH THAKUR
(コメント) 白人の警察官が黒人のハーヴァード大学の教授を逮捕した事件の解釈です。一つの事実は、異なる視点で語られると、まったく異なった意味を持ちます。それは容易に「白黒」が付けられない問題です。その解決は、ホワイトハウスで一緒にビールを飲んでも得られません。
そして国際政治でも、発展途上諸国は欧米諸国の要求に懐疑的です。人道、国内の正義、テロ、を責めるより、国家間の不正義やテロをもたらす貧困、教育の欠如、絶望を重視するからです。核拡散よりも経済発展を重視するのは当然です。
異なる集団に加えられた傷や損害は、同じ集団内のものよりも、一層強く記憶されます。
The Guardian, Wednesday 12 August 2009
Unemployed need more than McJobs
Dan Roberts
The Guardian, Wednesday 12 August 2009
A safe haven for the super-rich
John Kampfner
The Guardian, Wednesday 12 August 2009
Recession will deepen inequality
Madeleine Bunting
The Times, August 13, 2009
The recovery will prove Thatcherism right
Bill Emmott
(コメント) 失業者が増えているだけでなく、多くの才能ある若者がマック・ジョブでわずかな所得を得ています。それは経済全体にとっても損失です。Madeleine Buntingは書いています。不況の影響は極めて不平等である、と。
Bill Emmottは、悲観論や「ネオリベラリズム批判」を一蹴します。自由な、弾力的な市場を持った国ほど、回復が早いだろう、と。
1.確かに世界的な規模ではあるが、1930年代以来の正規の大不況というのは誇張である。2.不況は国によって二つのタイプに分かれる。すなわち、西側に金融不況と、新興市場の景気後退(インフレと金融引き締め)である。だから、後者は急速に回復する余地がある。3.不況と一緒に原油価格の高騰が続く時代は続くだろう。環境保護論は強まる。4.レーガン=サッチャーの政策思想が支配した30年間が終わった、というのは誇張である。
むしろ、本当に不況がこのまま終わるとしたら、サッチャーの政策モデルが成果を示すだろう、とBill Emmottは考えます。
NYT August 12, 2009
A Nascent Debate in Germany: Research or Manufacturing?
By CARTER DOUGHERTY
WP Wednesday, August 12, 2009
Just One Word: Factories
By Harold Meyerson
(コメント) 製造業の拠点であったドレスデンが、かつての東ドイツのように、その役割を失いつつあります。中国が世界の工場になって、アメリカ企業と同様に、ドイツ企業も生産拠点をどこに求めるべきか、疑い始めています。政治家たちは、製造業がもたらす雇用や研究開発の拠点を失いたくありません。
「シリコン・ヴァレーに工場はない。・・・それはシンク・タンクだ。」
アメリカに産業(育成)政策はない。むしろ、それに反対する政策がある。中国などに頼るだけではいけない。
FT August 12 2009
How Afghans can build a better future
By Ashraf Ghani
(コメント) 日本だけでなく、現実の条件を変えるために、選挙は重要な機会です。
アフガニスタンには資源があり、多くの潜在的な可能性がある。しかし、世界で最も貧しい国の一つだ。選挙によって、腐敗した政治家から、もっと意欲のある若手の政治家に関心を向けます。周辺諸国や、ロシア、インド、近隣諸国との取引を増やすため、地域統合化の協力が進んでいます。
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The Economist August 1st 2009
Crunch time
Japan’s elections: Demolition men
Commercial property: A concrete problem
The collapse in commercial property: Towers of debt
Financial reform in America: Wobbling
High-frequency trading: Rise of the machines
(コメント) 世界不況の回避では一定の成果を示してきたオバマ政権ですが、支持率が急落する予感があります。医療保険制度改革が支持されないからです。外交においても、中東で成果につながるのか、議論があります。
日本の選挙について、記事は民主党が勝利した場合の官僚制依存からの脱皮を評価しています。たとえ政権を採っても、先例があるように、自民党と官僚の抵抗や妨害を乗り越える政治力が必要です。
しかし、今週の注目点は民間不動産価格の下落が大量の不良資産を残している、という指摘です。銀行救済は注目されましたが、不動産市場はだれでも参加できる投機市場した。その後始末は、日本のように時間をかける結果にもなるわけです。
それに平行して、金融規制や監督の制度改革は容易に合意を形成できず、すでに機関投資家は超高速コンピューターによる詐欺的な利潤を増やしています。
The Economist August 1st 2009
Asia’s economies: From slump to jump
Rebalancing the world economy: China – The spend is nigh
(コメント) 金融危機の解消には世界経済のバランス回復が必要だ、の第2回は中国です。
中国の外貨準備は、人民元が安すぎて、しかも国内消費が少なく抑えられている(輸出部門の投資が奨励されている)からだ、と言われてきました。この記事は、実際には消費も急速に増えている、と言います。しかし、GDPの方が急速に増大しているから、消費のシェアが下がっているのです。問題は、企業の貯蓄が多いことであり、富の分配が家計よりも企業に偏っていることです。
それゆえ、単に社会保障を整備することが解決ではなく、国営企業への優遇措置を廃止し、もっと労働集約的な分野を拡大し、配当を増やし、人民元を切り上げて、家計の所得・消費を増やすべきなのです。そして、この点にこそ中国国内政治の最も厳しい対立があり、回避され続けてきたわけです。