IPEの果樹園2009

今週のReview

7/20-7/25

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* 感嘆キー・ワード **********************

帝国の教訓、 新疆ウィグル自治区の騒乱、 A. Kaletsky、 L. Summers、 環境問題の解決、 三宅一生、 アメリカのウルトラC、 スウェーデン

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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


FP Mon, 07

10 lessons on empire

Stephen M. Walt

(コメント) イギリス帝国興亡史(Piers Brendon, The Decline and Fall of the British Empire, 1781-1997.)を読んで、Stephen M. Waltはアメリカ帝国主義が学ぶべき教訓を整理します。

1.「慈悲深い(慈善の)帝国主義」など存在しない。・・・ギボンが書いたように、遠く離れた土地や多民族を、彼らの気持ちや利益に反して服従させておくというのは、人の性向にも理性にも、これほど反したことはない。イギリス人は、たとえ支配を続けるために、帝国の従属国民を何千人殺しても、帝国が自分たちや従属諸国にとって有益のものであると考えた。アメリカ人はそのような幻想に振り回されるべきではない。もし世界中に軍隊を保有し、他国の内政に干渉するなら、それは必然的に多くの人間の頭を吹き飛ばすにいたる。

2.すべての帝国は自分たちの行動を正当化するイデオロギーを持っており、それはしばしば現実と一致しない。・・・帝国の支配は服従した国の利益になるどころか、社会的な混乱をもたらした。イギリスによる「分割統治」は、その土地に根深い対立と独立への障害を残した。

3.帝国の成功とは、大規模な「ハード・パワー(軍事力)」の行使を必要とした。・・・名声や威信ではなく、経済基盤と圧倒的な軍事力を失う時に帝国は終わる。遠い他国の領土で、何十億ドルも軍事支出している場合ではない。

4.帝国の衰退と、その富裕化は同時に進み、ますます栄華に執着する。・・・

5.帝国は多くの異質さを内包する。・・・

6.帝国の建設には終わりがない。・・・そのコストとベネフィットを計算することは難しい。イギリスはインドを支配し、エジプト、イエメン、ケニア、南ア、アフガン、ビルマ、シンガポールを支配していった。それは積極的な帝国建設者の野望によるとともに、先に獲得した植民地を守るという理由で正当化された。

7.帝国の運営には多くの無知で無能な人々がかかわった。・・・傲慢で、腐敗した、人種差別主義の愚か者が、帝国の建設に逃げ込んできた。アメリカがイラクで示したように。

8.大国は、自分の利益であると思えば、どのような手を使ってもそれを得ようとした。・・・道徳的にも、倫理的にも優れた、文明化された社会である、と自称しながら、その科学的な優越性を軍事力に利用して、非文明人を大量に殺戮した。これもアメリカがイラクで示した。

9.ナショナリズムと地域のアイデンティティーが、長期の帝国支配を妨げる潜在的な障害になる。・・・

10.「帝国の威信」は、資産であり、また、罠でもある。・・・

帝国を失っても、イギリスの生活水準は高いし、その国際的な影響力は秀でています。アメリカは、帝国を築くことなく、その成果と名声を高めるほうがよいのです。

IHT July 14, 2009

Empire of Bases

By CHALMERS JOHNSON

(コメント) 主要な大使館の建設費用で、アメリカ政府は破たんする? バチカン市に劣らぬ広さのバクダッドにおけるアメリカ大使館。イスラマバードやパキスタンのアメリカ大使館。


The Japan Times: Thursday, July 9, 2009

Spread of democracy stalls

By BRAHMA CHELLANEY

(コメント) 世界の民主化は逆転するのか? テヘラン(北京、など)の民主化デモは弾圧されてしまいました。市場自由化と経済的繁栄が民主主義を促す、というのも確かではありません。

中国の国際政治・経済における地位は急速に高まりました。民主主義よりも権威主義のほうがスムーズに発展できる、という中国モデルを世界に広めようとしています。他方、アメリカのイラク撤退は民主主義国家の犯す過ちを世界に宣伝しました。


FP JULY 9, 2009 How China Wins and Loses Xinjiang BY CHRISTINA LARSON

The Guardian, Friday 10 July 2009 Identity runs deep in China Martin Jacques

(コメント) 漢民族とウィグル族との感情的な反発、憎しみについて、また、北京政府の民族政策について、政策や支援が成功しているとはとても見えません。

大量の漢民族の流入によって、ウィグル族やチベット族は故郷において少数民族になりました。貿易や投資が増えても、その経済発展から大きな利益を得ているのは漢民族だけである、という強い悔恨や怨嗟が広まっています。

これは、漢民族が急速に歴史的な復活を意識し、漢民族主義を唱えることと重なっています。少数民族の文化や権利に配慮するという意識は欠けています。特に、大規模な移動については、民族感情を刺激することが増えました。

WP Friday, July 10, 2009 The Right Way To Help the Uighurs By Ellen Bork

FT July 10 2009 Trouble at the margin

(コメント) チベット、台湾、香港、などと比べて、ウィグルの対するアメリカの政策は弱いことを認めます。分離独立主義やイスラム原理主義によるテロを浸透させないためにも、アメリカ政府は中国に要求するべきでしょう。すなわち、中国政府がウィグル族の人権・自治権をもっと重視し、民主主義と政治改革によって、彼らが生活の改善を図る道を重視するべきだ、と。

たとえば、ウルムチの山に向かう地帯Yamalik Mountainにはスラムが形成されています。急速な成長の中で、ウィグル族の底辺では貧困が広まっている、といいます。ビジネスの機会においても差別されている、と感じるウィグル族は、アメリカへの出国や民族主義の否定を求めています。

The Jakarta Post, 10 July 2009 Muslin Nations Told To Help Uighurs Ary Hermawan

FEER July 2009 All Eyes on Xinjiang by Calla Wiemer

China Daily 2009-07-10 Separatists' modus operandi By Wu Chaofan

BG July 11, 2009 Beijing’s wages of intolerance

WP Sunday, July 12, 2009 Now the Uighurs

The Guardian, Monday 13 July 2009 China's twin troubles Jonathan Fenby

SPIEGEL ONLINE 07/13/2009 ETHNIC UNREST IN XINJIANG: Uighurs Lament their Lost Homeland By Andreas Lorenz

(コメント) 資源(特に石油と天然ガス)開発や政治的安定化のために、中央からの投資と移民が殺到したシルクロードの辺境においては、近年、経済開発が加速していました。

・・・高層ビルが建ち、ケンタッキー・フライドチキンに若者が集まる。・・・ウィグル族の居住地区には老朽化したアパートが並ぶ。・・・政府は地区の整理を行っているが、なかなか進まない。・・・警察は、漢民族の襲撃から自分たちを守ってくれない。・・・漢民族の貧しい移民が住むスラムもある。・・・相互に恐怖心や憎悪が増す中で、暴力や放火が起きている。

・・・中国人のほうが教育水準が高く、言葉や商売、融資を得る点で優位がある。中国人の方が早く学び、早く投資する。主要なビジネスは中国系になった。

・・・流入する中国人は、すべてを北京に従わせ、植民地の支配者のようにふるまった。夜明けの時間は2時間も遅いのに、北京時間が強制された。地域の「パレスチナ化」が進んでいる。北京政府は、テロリズム、分離独立主義、宗教的原理主義、を排除しようとしている。・・・イスラム教徒としてヴェールを取ることを拒んだ女性は職を失った。

SPIEGEL ONLINE 07/13/2009 The G-8 Is Dead By Dirk Kurbjuweit

FP JULY 13, 2009 Mute Muslims BY MOISÉS NAÍM

FT July 13 2009 China is now an empire in denial By Gideon Rachman

(コメント) 1991年にソ連が崩壊したとき、多民族国家として生き残ることはできませんでした。中国はどうなのか?

中国指導部はソ連崩壊の原因を研究し、教条主義的なイデオロギー、権力に安住したエリート、共産党の休眠状態、経済停滞、を指摘しました。しかし、無視している要因は、ソ連が民族主義の諸共和国に分裂したことです。

チベットやウィグルの抗議行動に対する北京政府の反応が意味するのは、それが典型的な帝国の擁護であった、とGideon Rachmanは指摘します。そして、インドネシアの将軍と話し合ったことを紹介します。将軍は東チモールの住民の態度に憤慨しました。なぜなら、彼らはジャカルタからの資金で建設された素晴らしい道路や学校に感謝しなかったからです。・・・中国政府や中国人も、また、民族主義を軽視している、と。

ゴルバチョフ時代の東欧で起きたことが、中国の西域で起きる可能性はほとんどないでしょう。漢民族の流入ははるかに大規模だからです。また、中国経済の成長率は高く、中国政府は分離主義者を弾圧する軍事力の行使を躊躇しません。しかし、民族主義の怨嗟は長く消えません。

The Guardian, Tuesday 14 July 2009 A civil rights movement for Uighurs Rebiya Kadeer

China Daily 2009-07-14 Life-saving Uygurs

IHT July 15, 2009 The Echoes of Xinjiang By PHILIP BOWRING

The Japan Times: Wednesday, July 15, 2009 China's false monoculture By BRAHMA CHELLANEY

(コメント) 境界線の書き変え。漢民族の大規模流入。植民地支配を正当化するための歴史教育。地域のアイデンティティーを否定するための同化政策。政治的弾圧。

FEER July 2009 Free Liu Xiaobo by Phelim Kine

China Daily 2009-07-16 The hidden agenda behind Xinjiang violence By F. William Engdahl

(コメント) 中国政府のメディアでは、アメリカなど、海外のNGOを介したウィグル族の暴動支援が批判されています。それは上海協力機構を敵視し、パイプライン建設を妨害するためである、というジャーナリストの意見を載せています。


FP JULY 9, 2009

The Inept Captain of a Sinking Ship

BY TOBIAS HARRIS

FT July 13 2009

Japan is dared to defeat the LDP

FT July 14 2009

Japanese elections

FP Tue, 07/14/2009

The coming tsunami from Japan

By Dan Twining

Asia Times Online, Jul 15, 2009

Japanese trial puts a culture in dock

By Scott North

The Times July 15, 2009

Japan’s choices

(コメント) 麻生首相は歴史的な敗北に向かって進んでいる、と、泥船に乗った狸のように描かれています。Now, Aso is nothing less than an inept captain of an already-sinking ship: a mediocre-at-best politician incapable of rescuing his party from looming electoral defeat and, possibly, a post-election split.・・・自民党の改革に、国民は不信を強めています。

FTは自民党を、年老いた、体重の多すぎる、相撲取りにたとえます。有権者が大きな変化を望む以上、自民党では戦えません。しかし、民主党も輝きは乏しく、鳩山は、麻生と同じく、伝統的な政治家族の一員だ、とFTは憂慮します。金融危機や日本経済の革新について、民主党が明確なアイデアを示しているとも思えません。自民党ではないことが有利に働くでしょうが、政策を示せ、と。

The Timesは、政権交代が、政治経済の停滞を逃れる重要な機会になる、と指摘します。ところが日本はそれを利用してきませんでした。累積債務と財政赤字を減らすのは難しいでしょうが、対外黒字は改革のテコになるかもしれません。


July 10 (Bloomberg)

This $17 Trillion Divorce Won’t Be a Pretty One

William Pesek

CSM July 10, 2009

Can China buck the dollar?

FT July 10 2009

China and the US dollar

FT July 15 2009

China’s $2,000bn foreign reserves

FT July 15 2009

Inflation in China

(コメント) 中国は、アメリカ議会のクレジット・カードをキャンセルしようとしている、とMark Kirk上院議員は感じました。ブレトン・ウッズ体制Uを解体するには、1985年のようなプラザ合意が必要です。しかし、それが成功するには、とほうもない制度による協調が求められます。This process will require considerable cooperation, be it through the International Monetary Fund, the Group of 20, the Asia-Pacific Economic Cooperation forum, the Association of Southeast Asian Nations or a yet-to-be-created entity. 日中間だけでも、政治的・外交的な問題を解決しなければなりません。

「超・準備通貨」が検討され、・・・中国は、ヨーロッパや日本と違って、ドルによる国際体制を混乱させるのか? 中国は日本を超えるか? ドル安が進んでも、中国はそれを阻止し、日本も人民元の動きを追っています。

外貨準備が二兆ドルを超え、インフレが復活してくるとしたら、中国の正しい政策は何か? それでも国内需要を守ろうとすれば、世界市場は分裂します。

aleGlobal, 16 July 2009

Dams in China Turn the Mekong Into a River of Discord

Michael Richardson

(コメント) 東南アジアの政府や政党は、すでに旧来の国境を無視しつつあります。中国による、メコン川最大のダム建設は、東南アジア全体の政治摩擦を生んでいます。もし中国がメコンの流れを失わせたら、東南アジア諸国にとって、世界金融から流動性が消えた現在の金融危機に匹敵する大災厄でしょう。


The Guardian, Monday 13 July 2009

The US needs money, not time

Dean Baker

July 16 (Bloomberg)

Pimco’s Bond Optimism Clashes With Obamanomics

William Pesek

(コメント) オバマの財政刺激策は小さすぎた、と批判されています。しかし、同時に、オバマが、日本の財政破たんを繰り返すのではないか、と疑われています。そして、麻生首相が解散した議会と、大敗北への突進は、次の選挙に向かうオバマの姿です。野党が批判するように、刺激策の内容は無駄なものが半分を占める、と引用します。

オバマは財政赤字を埋めながら刺激策を行うために中国の貯蓄を必要とします。それは共和党議員の怒りを買っています。他方、日本では麻生が、財政刺激策を増やす口実として、アメリカとの協調や役割分担を主張します。

GDPの200%を超えることが確実な公的債務は、どうすれば長期金利の上昇と民間投資のクラウディング・アウトを避けられるのか? とWilliam Pesekは不思議に思います。オバマが債務を増やせば、次第に、日本の貯蓄も奪い始めるでしょう。

日本の政治家たちは(一時的には)無制限に債務を増やせると思い始めたのかもしれません。しかし、その債務を国内の金融機関が喜んで購入している状態がいつまでも続くでしょうか?

The Times July 16, 2009

Don’t worry about rate rises, fear stagflation

Anatole Kaletsky

(コメント) 危機を予想できなかった多くの専門家たちは、それでも危機の将来を予想します。今、危機の将来に何を憂うべきか?

三つの間違った憂慮について。金利上昇。通貨供給の過剰(インフレ)。財政赤字。投資は容易に回復しないし、通貨供給は融資の減少を補っているにすぎません。当面、財政赤字が増えることは当然です。しかし、長期的には深刻なリスクをもたらします。

三つの重大なリスクについて。景気が回復しても財政赤字が容易に解消しないかもしれません。国際的な不均衡、特にアジアとアメリカとの不均衡も、容易に解消しないでしょう。ヨーロッパ内でも不均衡が続きます。

ドイツから東欧や地中海諸国の消費を刺激するために財政移転することをドイツの有権者が不満に思うとしたら、危機が生じるかもしれません。そして1970年代が示したように、高い失業率があっても、労働組合や公共部門の労働者、保護主義的な政府、エネルギー企業のカルテルが、インフレを引き起こす力を持っています。

Anatole Kaletskyは、ヨーロッパのスタグフレーション(財政破たん、金融混乱)を恐れるべきだ、と考えます。


FT July 10 2009

Lunch with the FT: Larry Summers

By Chrystia Freeland

(コメント) ローレンス・サマーズの名前はメディアでほとんど読みません。オバマ政権に彼が入ったとき、経済政策をめぐる激しい論争や対立のボスになると攻撃されたと覚えています。しかし、不思議なことに、彼は姿を消しました。そのサマーズが、FTの記者Chrystia Freelandと昼食を摂れば、話を聞きたい、と思います。

サマーズの輝き続ける経歴と、ハーヴァード大学学長辞任に関しても触れていますし、財務長官や連銀議長ではなく、NEC委員長の地位が不十分ではないか、という誘いも掛けています。

面白いのは、オバマ政権が、金融危機の収拾と経済再建に賭けるだけでなく、オバマが政治家として訴えてきた社会保障制度や教育制度の改革も犠牲にしない、という、二つの目標を同時に掲げていることです。

クリントン政権下でグラス=スティーガル法の破棄に関わったとか、その後、ヘッジ・ファンドの顧問として多額の報酬を受け取ったとか、質問を受けています。グリーンスパンやルービンが信奉した「効率的市場」に関する疑念も指摘しました。アジアやロシアの通貨・金融危機に厳しい引き締め策を強制したことで、今のアメリカの危機に彼らが類似性を指摘することには反論します。ただし、自国の危機には同情が強く働くことを認めます。

金融自由化に向かう90年代の流れは、誰にも十分な規制や介入を認めなかった、と弁解しています。サマーズは金融システムに生じている様々な問題に注意を払ったけれど、政治は動かせなかった、というわけです。そして、危機に至って流れが変わった。

新しいアメリカ経済は、消費よりも輸出重視、エネルギーよりも環境重視、生化学・ソフトウェア・民生品を重視、中産階級を重視し、所得が集中することを緩和するだろう、と考えます。そして、成長率は必ずしも低下しない、と強気です。

国際的な不均衡に関しても、これまでのように黒字国が外貨準備を蓄積することはないだろうから、均衡に向かう、と考えます。それはアメリカ経済の変身と一致するのです。

最も興味深いのは、サマーズがNEC委員長の仕事に充実していることです。彼は、すべての政策が、経済学から見て、どのような意味があるかを、余すところなく示すようにしている、といいます。経済にかかわることはなんでも、最高の経済学の知見から、大統領に開設されます。それこそが経済学の望ましい姿なのだ、と。

・・・キッシンジャーがサマーズを絶賛したことを思い出しました。


FT July 10 2009

The town that Wal-Mart built

By Jonathan Birchall

(コメント) カンパニー・タウンというのがあります。日本でも、トヨタのように。ウォル・マートはどうでしょうか?  Wal-Mart Store No. 1, opened in Rogers, Arkansas in 1962 ・・・その歴史を知りたいです。


The Guardian, Saturday 11 July 2009

Praying for a revolution in economics

Alex Andrews

The Observer, Sunday 12 July 2009

Our laboratories and colleges ought to define Britain, not our greed

Will Hutton

(コメント) グリーンスパンと経済学のモデルに関する「信仰」が、金融危機の条件でした。彼はそれを認めました。それは信念の危機a crisis of faithです。

新古典派の普及と、その経済神学に関して、批判しています。

Will Huttonは、経済運営をヘッジ・ファンドに頼るのではなく、企業家たちがヘッジ・ファンドではない生産的な投資を重視するような条件を求めます。

FT July 14 2009

After the storm comes a hard climb

By Martin Wolf

The Guardian, Tuesday 14 July 2009

There's nothing magical about Golden Sacks

Dan Roberts

(コメント) Martin Wolfは、最悪の時期は去ったけれど、多くの問題は残されている、と考えます。異常な金融緩和と巨額の財政赤字、債務に依存した経済、銀行の不良債権、ドルによる国際通貨制度の運営、・・・経済学にとっても、いずれも明確な解決策を示せない問題です。

ゴールドマンサックスが黒字を出しても、金融システムが健全になった証拠とは言えません。Dan Robertsは、その利潤の多くを給与やボーナスにしてしまったことに憤慨します。


FT July 11 2009

Obama calls for good governance in Africa

By William Wallis in Accra

FP JULY 15, 2009

Obama's Trash Talk

BY ANDREW M. MWENDA

(コメント) オバマがガーナ議会で演説しました。責任ある指導者、民衆の参加できる制度、ガバンスを改善せよ、というメッセージです。“Africa does not need strong men. It needs strong institutions.” アフリカが必要とするのは、独裁者ではなく、堅固な制度です。

“Development depends upon good governance. That is the ingredient which has been missing in far too many places, for far too long. That is the change that can unlock Africa’s potential. And that is a responsibility that can only be met by Africans.”

しかし、ANDREW M. MWENDAは「クズ演説」とみなします。「民主主義とチェック・アンド・バランス」という一つの答えでアフリカを救えるのか? オバマの演説はこれまでの欧米の話に何も加えていない。オバマは人種差別を気にせずにアフリカ人を批判できるだけだ。

独裁者は国内の微妙なバランスで意思決定している。その構造を変えるのに単純な答えはない。シンガポールや韓国を例に挙げるが、民主主義的な発展ではなかった。アフリカにも自分たちで決定し、失敗する余地を与えるほうがよい。


WP Sunday, July 12, 2009

A Russian Economy In Reverse Gear

By David Ignatius

(コメント) 現在、ロシア経済は、自由市場と指令経済の、最悪の特徴を併せ持つ状態になっています。新富裕層や資本家たちが極端に腐敗した、裏取引や独占的利益を確保し、他方、旧共産主義体制と同じような官僚制度の政治的介入が増えているのです。中国とは逆に、発達した経済を持ちながら、発展途上国への転化を促進しています。労働者たちの生産性は急速に低下し、貧困を正当化します。政治権力主導の「近代化」とは、その富を奪う制度を再建することです。


FT July 12 2009

Berlin has dealt a blow to European unity

By Wolfgang Münchau

(コメント) ドイツの憲法裁判所が示した判断は、リスボン条約を受け入れるものでしたが、同時に、EUの将来についてドイツの立場を制限する内容を含んでいます。

1.主権は国家にある。EUではなく、個々の加盟国が決定するしかない。主権をEUに移すには、各国の憲法を廃して、それに代わる憲法をEUが作るしかない。権力を共有することはできるが、主権は共有できない。2.ヨーロッパ議会は立法府ではない。それは単一のEU人民を代表していない。加盟諸国の代表である。3.EUの拡大は現状で止める。主権をめぐる合意はリスボン条約が最後になるだろう。将来、新しい条約が導入できる見込みはない。

Wolfgang Münchauは、この判断をおおむね認めますが、ユーロ圏の安定化を無視している、と考えるようです。財政政策に一切の共有を認めなければ、ユーロ圏やEU加盟国でユーロを採用していない諸国が、金融危機を悪化させ、不況の連鎖を拡大する恐れがあります。その場合、財政政策の一部をEU全体で行使する余地が求められるでしょう。

The Japan Times: Sunday, July 12, 2009

Ethnic profiling threatens very ethos of EU

By JAMES A. GOLDSTON

(コメント) JAMES A. GOLDSTONは、各国の警察が今も"ethnic profiling"(エスニック集団を特定の犯罪と結び付ける)に頼っています。これは違法です。もっと、マイノリティーと協力した犯罪捜査、テロの防止が効果的でしょう。


FT July 13 2009

No pipe dream

SPIEGEL ONLINE 07/13/2009

NABUCCO PIPELINE DEAL: Independence Day For European Gas

WP Tuesday, July 14, 2009

A Well-Placed Pipeline

(コメント) カスピ海の油田地帯からロシア圏を迂回してヨーロッパに天然ガスを送るナブッコ・パイプラインが実現するだろう、という話です。イランやイラクの石油・天然ガスもつながる可能性があります。ヨーロッパのエネルギー安全保障を変え、ロシアの圧力を抑えます。

その莫大な費用を民間投資家が賄えるのか? 多くの点で政治的リスクもあります。


The Guardian, Tuesday 14 July 2009

Pip was right: nothing is so finely felt as injustice. And there the search begins

Amartya Sen

(コメント) 正義について、二つの理論を整理します。一つは社会契約論(ホッブス、ロック、ルソー、カント、ロールズ)。もうひとつは社会選択論(アダム・スミス、コンドルセ、マルクス、ウルストンクラフト、J.S.ミル)です。前者は唯一の合理的な社会を目指しますが、後者は存在している社会の不正義を取り除く方法を考えます。


WP Tuesday, July 14, 2009

The Summit of Green Futility

By Anne Applebaum

LAT July 16, 2009

Energy: the next frontier

The Guardian, Thursday 16 July 2009

Climate change: Green dreams

(コメント) 環境の危機を心配するなら、G8やコペンハーゲン超サミットのような国際会議などせずに、環境問題を解決する経済条件を作り出すべきだ、とAnne Applebaumは主張します。

解決策を実現するのは、政治家でも、環境団体でも、歌手やスポーツ選手でもなく、投資家である、と。ピッケンズのような環境ビジネスの投資家が成功して、ソーラー・パワーなど、環境問題を新しい投資先とした億万長者が世界中に何万人も出現するとき、環境問題は解決されるだろう、と想像します。

オバマはアメリカも環境問題に真剣に取り組むと宣言しました。そして、これ以上のサミットは必要ありません。国際会議に集まるジェット機の燃料を節約して、アメリカを非難する舞台に金などかけず、政治家たちは自国に帰って仕事をするべきです。化石燃料が新の社会的コストを反映するように、もっと課税しなければなりません。石油価格に中東の軍事費用を支払わせ、世界中のぜんそくに苦しむ人々を救う費用を支払わせ、原油事故などで汚染された美しい海岸線を回復する費用を支払わせます。

LATは、アポロが月に着陸して、人類最初の足跡を残した40年目の記念日に、化石燃料から新しいエネルギーへの転換を成功させる計画を始めるべきだ、という主張に注目しました。必要な条件とは、アメリカが政治的な意志を固めることです。2020年までに、アメリカは外国の石油に依存しなくなる、というオバマ大統領の宣言です。

今回の発端は、スプートニク・ショックではありません。しかし、多くの科学者とコンピューターの予測が、氷河の後退や、地球の反対側における熱波、大気の平均気温上昇を示しています。

エネルギー転換と温暖化防止を成功させるための経済的コストは、技術開発や教育への大きなプラスの効果によって利益をもたらすでしょう。世界中がアメリカの成果を称賛し、感謝するでしょう。それは子孫への贈り物にもなるのです。

イギリス政府は、すべての権能を動員して、具体的な緑の社会を実現する、と主張します。


WP Tuesday, July 14, 2009

Tipping Point in Tehran

By Robin Wright

The Japan Times: Wednesday, July 15, 2009

Anatomy of an Iranian revolution delayed

By MANSOOR MOADDEL

Asia Times Online, Jul 17, 2009

Iran should look East, not West

By Shirzad Azad

(コメント) 街頭デモを暴力的に封じ込め、多くの逮捕者や亡命者を出した末に、体制側は勝利を確保したのでしょうか?  Robin Wrightは、イランのイスラム共和体制がその正当性や覇権を大幅に失った、と考えます。反政府側はリーダーシップを、政府側は統一を、固めなければなりません。しかし、運動の力は失われていないでしょう。逮捕者たちの裁判や抗議の声によって、必ず、復活します。

Shirzad Azadは、日本で3年間研究した経験があり、イランの将来を欧米ではなく、もっとアジアの経験から学ぶべきだ、と主張します。


NYT July 14, 2009

A Flash of Memory

By ISSEY MIYAKE

(コメント) 三宅一生が広島出身で、7歳のときに原子爆弾を見たことなど、私は全く知りませんでした。彼はアメリカで認められる服飾デザイナーとなり、今、オバマ大統領に広島の経験を伝え、和解とともに、アメリカが核のない世界を作るために役立て、協力してほしいと願っています。

三宅氏がそのような気持ちになったのも、オバマの言葉が彼の心をとらえ、開かせたからです。オバマなら被爆者たちの気持ちを分かってくれる、アメリカ国民に伝えてくれる、と信じたからでしょう。自分は広島の生き残りだ、それを言わなければならない、と感じたのです。

86日の平和の日に、オバマ大統領を広島に招待する運動があるので、これに応えてやってほしい、と三宅氏は投書したのです。


YaleGlobal, 14 July 2009

Will the Crisis Reverse Global Migration?

Jayati Ghosh

(コメント) 世界には、推定で約2億人の移民がいます。しかも、その数字は非合法移民を含みません。彼らは経済危機の最大の犠牲者です。フィリピンからの大規模な労働者の輸出は逆流しつつあるでしょう。しかし、不況が送金を減らすとしても、移民が終わることはないようです。むしろ、増加する地域さえあるのです。また、女性の移民が増えるでしょう。グローバリゼーションは複雑な姿をしており、単純に消えてしまうことはありません。

NYT July 15, 2009

Part-Time Workers Mask Unemployment Woes

By DAVID LEONHARDT

NYT July 16, 2009

French Workers Facing Layoffs Ratchet Up Threats

By DAVID JOLLY


FP Wed, 07/15/2009

Kim Jong Il's illness changes North Korean picture

By Ian Bremmer

Asia Times Online, Jul 16, 2009

China, please invade North Korea

By Francesco Sisci

(コメント) アメリカ国防総省は、金正日の体調悪化が著しく、権力継承問題が一気に進む可能性に言及し、非常事態にも対応する用意ができている、という趣旨の記者会見を行いました。

誰も望まないような戦争が、本当に、始まる心配があります。

1979年に中国がベトナムと戦争したように、北朝鮮に侵攻してほしい、とアメリカ政府は望んでいるでしょうか? 6カ国協議など、さまざまな考えがあります。

日経新聞が心配するように、将来の朝鮮問題とは、統一朝鮮がEU、中国、アメリカとも自由貿易協定を結んで、東アジアの経済・金融中心地になる一方、日本の政治的影響力や経済活動が一気に空洞化する問題になるかもしれません。


Asia Times Online, Jul 16, 2009

Keynes is not enough

By Walden Bello

(コメント) 金融危機の背景には、新古典派経済学が重要な役割を果たしていた。ケインズは多くの重要な考察を示していた。

ケインズで良いのか? ケインズの仮定もグローバリゼーションの中で見失われる。企業もますますグローバル化している。国民生活の繁栄も国際的な金融制度の問題である。財政刺激策をグローバル化できるか?

ケインズの理論は一国主義的であるので、自由貿易や通貨価値の安定化を求めた。それは危機を緩和し、抑制するかもしれないが、むしろ次の危機を拡大しているのではないか? 我々の時代のケインズを必要としています。


The Guardian, Thursday 16 July 2009

Will Iceland make it to the EU?

Eirikur Bergmann

FT July 16 2009

A cod peace

(コメント) アイスランドはEU加盟を申請しても、EU諸国がこれ以上の拡大に関心を向けません。・・・そう思っていたら、中国政府が国際通貨問題、国際経済開発、など、積極的に主張しています。アイスランドの銀行は、対外債務や資産を処理できるのでしょうか?

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The Economist July 4th 2009

Banyan: When the catfish stirs

Climate change, health care and the budget: A squeaker, with more to come

(コメント) 東京は二つのプレートの上に乗っていて、時折、激しい振動を経験します。よくこんなところに首都を置いたな、という記事です。日本の権力争いがもたらした偶然と言えば、そうですが、

地震の危険を示す地図があったり、建物には耐震性を求めたり、・・・しかし、建設業界は政治家に多くの献金をしており、東京から日本政府は逃れられない?

これまで経験した大地震と、これから起きる自民党政権の崩壊を、ともに政治的指導力があれば乗り越えられるだろうに、と結んでいます。

次に、アメリカの直面する地震ですが、それは気候変動と社会保障制度の改革であり、ともに、財政赤字によって政府の行動が制約されているときに取り組まねばなりません。オバマは就任演説で、困難から逃げない政府を国民が支持するように求めました。温暖化ガスの排出権取引を介して、毎年の排出権をオークションで売却し、その収入を社会保障制度の財源に充てる、というウルトラCが構想されていたわけですが、共和党だけでなく、多数の国民がエネルギー関連商品の価格上昇を嫌っており、議会が決めたのもエネルギー業界との癒着を促すだけ?の法案でした。

The Economist July 4th 2009

Charlemagne: Those exceptional Swedes

World food process: Whatever happened to the food crisis?

Buttonwood: Caveat creditor

Reforming finance: the EU’s proposals: Divided by a common market

(コメント) 政治に対する観察は続きます。イタリアで開かれたG8については読む暇がなく、むしろローテーションで6カ月間のEU議長国となるスウェーデンについての記事を読んで、その聡明な政治力に期待します。

自動車産業の労働者を救済するため、政府は何をするべきか? 1.自動車産業の生き残りを補助金と保護主義、その他の手段で支持する。あるいは、2.競争力のない企業や衰退産業を支援するのではなく、労働者の救済に尽くす。3.企業や労働者を守るより、高賃金社会を維持するためには、世界的な高水準の商品を生産できるように革新と生産性上昇に集中する。

すなわち、1.フランスのサルコジ大統領。2.スウェーデンの右派政権、ラインフェルド首相。3.スウェーデン労働組合IFメタル(そしてSaabの労働者代表)のZuza氏。すなわち、スウェーデンでは、右派も左派も、リベラルな改革に積極的です。

政府による経済管理と福祉国家の代表、ヨーロッパ社会民主主義を実現した国とみなされてきたスウェーデンですが、記事はそれが戦後の50年間に過ぎず、1859-19650年には、自由貿易と自由市場によって、貧しい農業国から急速に豊かになった、と振り返ります。現在のEUにおいても、その姿勢は協調的なダイナミズムの前進を示します。すなわち、金融危機を抑制するためにロンドンの規制に従う必要はなく、EUの合意でルールを定める。議長国は選出すればよい。EU拡大を支持し、トルコやロシアも加盟させるべきだ。・・・

世界の食料価格上昇に対しても、もっとも望ましいのは生産性の低い諸国で投資が増えて、生産性の上昇と農民の所得が増加することです。しかし、投機的な資金の移動や食糧や農産物を確保するための大国の政治介入、など、将来の不安が目立ちます。

中央銀行に代わって、国際金融市場における民間の資金調達が世界の金融膨張を加速させた経緯を考えますと、今後、債権者たちの怒りは、世界をもっと固定レートと高利回りの確保できる枠組みに向かわせるでしょう。

EU諸国は今も、共通規制を嫌って、国際銀行業からの分離を画策しているのかもしれません。しかし、金融救済の後の財政赤字によって、資本流入を促す動機も強いのです。