今週のReview
6/29-7/4
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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THOMAS L. FRIEDMAN1,2,3 イラン大統領選挙後, アメリカ金融制度改革, アジア鉄道と統一市場, 世界マクロ管理, インフレか,デフレか? マルチよりミニ, 中国, ユーロ圏の問題整理, アマゾン
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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
NYT June 17, 2009
By THOMAS L. FRIEDMAN
(コメント) 中東を民主化すると、イスラム過激派が多数を占めて、権力を得ました。レバノン、ガザ、西岸、イラク、エジプト。民主主義は平和や安定をもたらさず、各地で反米と内戦が激化しました。中東の社会において、今、もっとも底辺から民衆を組織し、彼らを動員できるのはモスクだけだ、という事情があるからです。民主化を担うはずの、穏健な中道派は、イスラム原理主義者のような組織がなく、彼らの暴力による脅迫に沈黙することしかできなかったのです。
しかし、イスラム過激派の政府が行った支配は、しばしば住民たちの生活を困難にし、多数に支持されていない戦争を招きました。イランで起きた大衆的デモは、こうした情勢を変化させる新しい動きである、とTHOMAS L. FRIEDMANは注意します。
より穏健な人々が、自分たちのネットワークを作る情報伝達手段を手に入れたのです。インターネットの世界で、見知らぬ人々が情報を交換し、集会を開いています。それは国家の管理や過激派の暴力による脅しによっても消すことができません。ただし、彼らの政治傾向が「穏健」と言えるのは、今の過激派に比べた場合だけです。
最後に、THOMAS L. FRIEDMANは、イスラエルのネタニヤフ政権を結びつけます。イスラエルは、アフマディネジャドの暴言が、彼らの本質を良く示しているから、イスラエルの政策を正当化しやすい、と考えています。穏健派が選挙に勝つことは、アメリカからのイスラエル政府に対する支持を弱めるでしょう。イラン政府のトップにも亀裂が生じています。これらはイスラエルの入植政策にも影響します。入植を止めて、アラブ諸国の民主政府と話し合う方が、より確実な安全保障を得られるからです。
FT June 17 2009
America should also look to its fiscal health
By Kenneth Rogoff
The Japan Times: Wednesday, June 17, 2009
Balancing U.S.-China economic ties
By KENNETH ROGOFF
FT June 25 2009
Deficit disorder
By Edward Luce
(コメント) Kenneth Rogoffは、アメリカの財政赤字と社会保障制度(短期的に財政収入が増える、という期待)、そして、米中の国際不均衡と巨額の財政刺激策に頼った成長回復について、もっと積極的に対応しなければ危険である、と警告します。
The Times, June 18, 2009
Healthcare, not bailouts, could break America
Anatole Kaletsky
WSJ JUNE 25, 2009
Why We Need a Public Health-Care Plan
By ROBERT B. REICH
(コメント) 金融危機で砕かれた政府の財源、家計の借り入れ能力は、オバマ政権が積極的に実現したいと願っている社会保障制度、医療保険のコストについて、深刻な負担を意味するようになりました。
全国民を対象にした医療保険制度は、ROBERT B. REICHの「超資本主義」にぴったりのテーマです。ライシュは、アメリカがますます大企業(製薬会社、保険会社、など)やロビー集団の利益を利益誘導型政治に陥っている、と批判します。国民全体の長期的な利益はなかなか実現できません。大統領は試されています。
NYT June 25, 2009
The Only Public Health Plan We Need
By DAVID RIEMER and ALAIN ENTHOVEN
FT June 17 2009 How Iran’s Big Lie betrays the pledge of its revolution By Hooman Majd
FP Wed, 06/17/2009With turmoil in Tehran, Obama’s policy in flux Laura Rozen
WSJ JUNE 17, 2009 Five Ways Obama Could Promote Freedom in Iran By DAN SENOR and CHRISTIAN WHITON
(コメント) 1.ムサビの身の安全を求める。2.イラン国民へのメッセージ・テープを広める。3.ヨーロッパや湾岸諸国のイラン亡命人グループと大使の会談を設ける。4.アラビア語のラジオ放送を資金援助する。5.イランの改革派や反体制派がイラン国内で平等な意見表明の機会を持つように求める。
LAT, June 18, 2009 Iran's blame game
LAT, June 18, 2009 Inside Iran, a rebellion that is familiar and unpredictable By Babak Rahimi
LAT, June 18, 2009 Should Obama emulate Bush on Iran?
The Guardian, Thursday 18 June 2009 Iran's old rivals renew their battle Simon Tisdall
(コメント) ムサビとハメネイの闘いは過去にあったそうです。今では改革を支持し、混合経済を目指しますが、1979年のイスラム革命の際、ムサビがホメイニに近い強硬派であった、と指摘しています。
SPIEGEL ONLINE 06/18/2009 Europe Must Stand in Solidarity with Iranian Protesters By Claus Christian Malzahn
WP Thursday, June 18, 2009 Engage Iran, Not Ahmadinejad By Nader Mousavizadeh
(コメント) アフマディネジャドは交渉相手にしない。アメリカが呼びかけるのはイラン国民であり、彼らにとっての国益である、とチャーチルのロシアとの交渉姿勢を参考に、主張します。
NYT June 18, 2009 My Name Is Iran By ROGER COHEN
NYT June 18, 2009 Iran’s Nonrepublic
FT June 18 2009 Iran exposes gap between idealism and realism By Philip Stephens
(コメント) ワシントンでは、ハートと頭脳とが激しく葛藤を繰り返している、とPhilip Stephensは考えます。テヘランの通りを埋めた広義の民衆に合流して、彼らの勇敢さと正義を称えたい、と思うからです。このウィルソン的な理想主義を、外交のプラグマティズムが制止します。アメリカ大統領は、普遍的な価値のために「体制転換」を唱えたくないからです。
オバマは、アメリカがイラン民衆の闘いに関与して、「非生産的(足手まとい)」にならぬよう、注意しています。不正選挙の訴えにも、オバマは直接の指示を与えません。マッケインや共和党員、ドイツのメルケル首相と違い、不正があったことを前提に非難してはいないのです。実際、ヨーロッパの指導者たちも、発言には行動を必要としたロシアのグルジア侵攻については、その発言に慎重であったわけです。
EU諸国の一致した要求で、ロシアは早期に撤退する約束をした、とサルコジ達は自慢します。オバマと共和党員の姿勢について、どちらか正しいとは言い切れません。イラク撤退や核問題など、現実のイラン政府と外交による対話を進めたい、と考えるオバマ政権は、反体制派に加担しすぎることがないように注意するわけです。
FT June 18 2009 For now, silence is still the best policy
YaleGlobal, 18 June 2009 Obama’s Middle East Challenge – Part II Dilip Hiro
Asia Times Online, Jun 19, 2009 Divine assessment vs people power By Pepe Escobar
(コメント) イラン政府は大衆の抗議活動を非難し、取り締まりを強化するつもりでした。しかし、批難するのは「外国のメディア」や「ワシントン」です。
イランはチリのような独裁国家にならない、とTwitterは主張しました。彼らの要求は、1.最高指導者ハメネイの辞任。2.アフマディネジャドの追放。3.新護憲評議会の任命まで、Montazeriを最高指導者に。4.ムサビの大統領就任。5.新憲法の制定手続きを開始。6.政治犯の釈放。7.秘密警察・宗教警察の解体。
LAT, June 19, 2009 The beginning of the end for the Islamic Republic?
The Guardian, Friday 19 June 2009 Obama is right to stay out of Iran Eric Hooglund
The Guardian, Friday 19 June 2009 Iran's supreme leader stands firm Ali Ansari
(コメント) 最高指導者ハメネイは、抗議活動と和解するより、力による対決を選択しました。体制を維持する者にとって、その方が勝利は確実だから。
The Guardian, Friday 19 June 2009 The revolution will not be Twittervised Joshua Kucera
The Guardian, Thursday 18 June 2009 In Iran there is no mob but courage, and the mystical power of the crowd Simon Jenkins
SPIEGEL ONLINE 06/19/2009 IRAN EXPERT AFSHIN MOLAVI: 'Khamenei Has Never Seen a Crisis Like This' Afshin Molavi
WP Friday, June 19, 2009 'No Comment' Is Not an Option By Paul Wolfowitz
WP Friday, June 19, 2009 Hope and Change -- but Not for Iran By Charles Krauthammer
(コメント) 保守派の政治家やジャーナリストたちは、オバマの沈黙を強く非難します。民衆の頭をたたき割り、デモ隊を銃撃させ、ジャーナリストたちを国外追放するような政府と、アメリカ大統領は交渉しても良いのか? アメリカの道徳的な価値を回復するというのはどうなったのか?
WP Friday, June 19, 2009 This Is for Real By David Ignatius
NYT June 19, 2009 Fragile at the Core By DAVID BROOKS
NYT June 19, 2009 A Different Iranian Revolution By SHANE M.
FT June 19 2009 Technology is for revolution (and repression) John Gapper
FT June 19 2009 Iran at a turning point By Roula Khalaf, Najmeh Bozorgmehr and Anna Fifield
(コメント) 逮捕されても、殴打されても、抗議する人々の声は衰えていない、とこのとき論説は伝えていました。しかし、その勢いが続くのは短い期間です。
今回のデモが、イスラム革命後のイラン社会に、新しい歴史の局面を開いたことは疑いない事実です。しかし、政府はその声を聞く意図を示さず、今後の政治的決定が国民の支持を得ていないことは深刻な不安定さを残すでしょう。
1979年のイスラム革命は、シャーの体制を破壊する強い宗教指導者とその組織が抵抗運動を指導しました。彼らは手段を選ばず、苛烈に戦う意思を示したのです。しかし、今は違います。抵抗運動はインターネットで呼びかけ、指導者を持ちません。ムサビは平和的な抗議を唱えています。
デモの標的はアフマディネジャドです。しかし、宗教指導体制を廃止し、革命防衛隊や民兵に勝利するには、もっと強固な組織と戦略が必要になるでしょう。
大規模な殺戮や粛清が始まるのを決めるのは、今も、体制側の指導者たちです。彼らは民衆を分断し、圧倒することができます。しかし、それは終わりの始まりでしかない、と西側の外交官は観ています。
衝突を回避し、不正選挙による体制を見直し、民衆の声を聞きながら改革を進めることもできるはずです。もちろん、容易ではないけれど。
BG June 19, 2009 How not to help Iranians
Asia Times Online Jun 20, 2009 Beijing cautions US over Iran By M K Bhadrakumar
The Times, June 20, 2009 The Soft Power Moment
(コメント) オバマの「ソフト・パワー」が試されるでしょう。ハメネイとオバマ、国家の最高指導者が示す態度には、大きな差があるからです。ゴードン・ブラウンなど、ヨーロッパの政治指導者たちも、イラン政府のデモ鎮圧を非難しています。・・・日本の麻生首相は、それどころではないようですが。
オバマの声明は的確だった、と論説は指摘します。彼はイラン国民に呼びかけました。「私は彼らに知ってほしい。アメリカにいるわれわれがイラン国民のために決定することはできない、ということを。しかしわれわれは、イラン民衆の声が聞かれ、尊重されると信じている。」
絶大なソフト・パワーを持つオバマにとって、どのような党派の支持にも偏らず、民主主義の原則を支持することが重要です。
The Guardian, Saturday 20 June 2009 The Middle East in motion Joschka Fischer
(コメント) 優れた演説も、所詮、言葉に過ぎないのでしょうか? Joschka Fischerは、テヘランの大衆デモも含めて、中東世界が流動化しつつあるのは、オバマが行ったカイロ演説に始まった、と考えています。
カイロ演説を読みたくなりましたか? ホワイトハウスのHPにあります。http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-by-the-President-at-Cairo-University-6-04-09/
不正選挙を行っている国。民衆の抗議を弾圧してきた国。多くの政治犯や亡命者を抱えている国。情報メディアやインターネットを規制している国。・・・こうした国は、オバマ演説がもたらす民衆の政治的発言とその扱いに、今までになく、注意深くなるでしょう。
平和、という言葉を、大きく、広く解釈したとき、オバマの演説は、それが中東世界やアメリカを包む、宗教的な心情を含み、その違いを超えた使命に及ぶことを示そうとします。
Fischerは、イランが中国式の政治体制と経済成長を実現できるとは考えません。政治体制やイデオロギーがすでに弱まっているからです。変化しなければ、事態はますます悪化します。
The Guardian, Saturday 20 June 2009 Iran: Regime against change
WP Saturday, June 20, 2009 Iran, Revealed
BG June 20, 2009 The repercussions of a 'Twitter revolution' By Evgeny Morozov
The Sunday Times, June 21, 2009 People Power in Iran can carry the day
NYT June 21, 2009 A Supreme Leader Loses His Aura as Iranians Flock to the Streets By ROGER COHEN
(コメント) 宗教的指導者の権威は失われている、とROGER COHENは考えます。デモの群衆を観て、催涙ガスの残る街頭で抗議する人々と話し合います。「イスラムとは、自由の信仰である」というハメネイの演説を、誰が正気で聞くものか?
LAT June 21, 2009 The evolution of Iran's revolution By Robin Wright
The Guardian, Sunday 21 June 2009 The urge to split the world into two warring camps is childish Peter Beaumont
The Guardian, Sunday 21 June 2009 Iran's radical shows his reluctant side Simon Tisdall
WP Sunday, June 21, 2009 Realism on Iran? It's Called Freedom. By Michael Gerson
WP Sunday, June 21, 2009 In Tehran, a Moment For Obama to Seize By Jim Hoagland
NYT June 21, 2009 Bullets and Barrels By THOMAS L. FRIEDMAN
(コメント) 今の状態は非常に珍しい。サウジアラビアに雪が降るのと同じくらい珍しい、とTHOMAS L. FRIEDMANは書きます。なぜなら、中東世界の権力は、そのほとんどが、武器か、石油からしか、生まれたことがないから、と。この組み合わせを変えることは非常に難しい・・・
「石油の呪い」というのは、経済発展だけでなく、民主主義にも言えることのようです。その唯一の例外こそ、1979年のイスラム革命を起こしたイラン民衆でした。
ところが、イスラム共和国は、パーレビ国王の支配体制から学んで、石油の富を権力維持のために利用し続けました。貧しい者のために住宅を建て、政府雇用を増やし、食糧やガソリンを補助金で安くして、国民からの支持を確保したのです。同時に、武装集団を育てて、権力への脅威に備えました。
つまり、ムサビを支持するグリーン革命派は、イスラム宗教政治だけでなく、それを支える銃と石油の権力構造を打破しなければならない、と。この不正選挙の体制下では、民衆は「ひどい悪」と「軽い悪」とを選択するしかありません。だから、彼らはムサビを支持しました。なぜなら、すでに20%近いという失業者が街にあふれ、若者たちの将来を聖職者たちが阻んでいる、と見えたからです。
これは、ムサビへの指示ではなく、現体制への反対投票である、とFRIEDMANは書きます。また、体制は若者たちに銃を向けて大規模に殺戮することを恐れている、と考えます。今の支配者たちは旧体制に対して勝利したパターンを知っているからでしょう。
改革派は路上にその姿を示し続けなければならない。組織化し、改革方針を示し、何度でも、それを支持すると、街頭に出て主張しなければ、変化は阻まれてしまう、と。
NYT June 21, 2009 The Koran and the Ballot Box By REUEL MARC GERECHT
The Guardian, Monday 22 June 2009 Iran's revolution fades Dilip Hiro
SPIEGEL ONLINE 06/22/2009 THE WORLD FROM BERLIN: The Iranian Leadership 'Has Lost its Legitimacy'
WP Monday, June 22, 2009 Obama's Iran Dilemma By E.J. Dionne Jr.
WP Monday, June 22, 2009 Right-Thinking Realism By Paul J. Saunders
NYT June 23, 2009 Iran痴 Children of Tomorrow By ROGER COHEN
FT June 22 2009 Check-list for an Iranian revolution By Gideon Rachman
(コメント) テヘランにおける街頭の抗議活動は、革命を実現するのか? イラン情勢を旧ソ連圏の民主化要求と体制崩壊に比較することは意味がある、とGideon Rachmanは考えます。さまざまな色に代表される革命が、ウクライナ、グルジア、キルギスタンで起きました。その成功の条件には共通したものがあります。Andrew Miller(The Economist)は以下のように指摘しました。
1.体制を揺るがす圧倒的な多数の抗議。2.治安維持・鎮圧部隊の分裂・機能マヒ。3.独立したメディア。4.資金。5.体制内部の深刻な腐敗。6.政府からはみ出した反対派の指導者。7.抵抗運動の歴史的教訓。8.首都における強い支持。9.選挙の不正。
さらにRachmanは追加します。10.支配エリートの分裂。11.外国における革命運動の衝撃。12.外部からの支援。13.体制側による暴力の使用(あるいは、躊躇)。
もちろん、もし体制側が十分に冷酷で、権力を維持するために暴力を使用する決意が固ければ、中国政府が1989年に成功したように、抵抗運動を破壊できます。
FT June 22 2009 Iran protests enter dangerous waters
(コメント) 大規模な抗議活動が始まって、10日がたちました。この混乱を平和的に収拾する唯一の可能な道は、選挙結果を一部、修正し、アフマディネジャドとムサビの決選投票を認めることでした。しかし、ハメネイはそれを拒みました。それは聖職者たちの反対運動からも出ていた意見です。今や、政府の正当性は著しく損なわれています。
WSJ JUNE 23, 2009 Obama's Persian Tutorial By FOUAD AJAMI
Asia Times Online, Jun 23, 2009 'Color' revolution fizzles in Iran By M K Bhadrakumar
LAT June 23, 2009 The U.S. must be a quiet ally to Iran's protesters
LAT June 23, 2009 Obama's Iran policy is a bomb Jonah Goldberg
The Guardian, Tuesday 23 June 2009 Khamenei's regime is breaking apart Roger Schoenman
WP Tuesday, June 23, 2009 An Overlooked Force in Iran By Anne Applebaum
Asia Times Online, Jun 24, 2009 Neo-cons blast Obama's line on Iran By Jim Lobe
(コメント) むしろ、アメリカ国内政治への影響が重要なっけかをもたらすかもしれません。ネオコン勢力は、この機会に、オバマ政権の姿勢を攻撃してくるからです。「オバマはハメネイの仲間だ。」 北朝鮮のミサイルに加えて、今ではイラン情勢がオバマ政権の弱体化につながる、これでオバマもジミー・カーターだな、と観ています。
WP Wednesday, June 24, 2009 A Shift on Iran
IHT June 24, 2009 The End of the Beginning By ROGER COHEN
IHT June 24, 2009 Iran's Chinese Lessons By PHILIP BOWRING
The Times, June 24, 2009 The West must act against these monsters Babak Zamanian
Asia Times Online, Jun 25, 2009 Iran's streets are lost, but hope returns By Pepe Escobar
LAT June 24, 2009 Tyranny's new nightmare: Twitter Tim Rutten
LAT June 24, 2009 Obama's hitting the exact right note on Iran By Stuart A. Reid
(コメント) 「体制転換」を唱えることは、むしろ、逆効果である。Stuart A. Reidは、オバマを批判する意見に、正面から反対します。
政治学者Timur Kuranの意見を紹介しています。革命が成功するのは、政府に対する個人の意見と、反対派に対する公衆の支持とが、関係するからです。多くの民衆が街頭に出て政府に反対しているとき、それが十分な規模であれば、革命は始まるでしょう。アメリカ政府が選挙結果を支持するかどうかは、重要ではないのです。
たとえアメリカ政府が反対派を支援していると主張しても、彼らが民兵集団バシジの暗殺されるのを防ぐことにはなりません。オバマを批判する者は、イラン国民を助けるためではなく、アメリカ国内政治の闘争の材料にしているだけなのです。
The Guardian, Tuesday 23 June 2009 After a global howl of outrage, we have returned to business as usual Jonathan Freedland
WP Wednesday, June 24, 2009 Iran's Struggle, and Ours By Robert D. Kaplan
WP Wednesday, June 24, 2009 Bet on Neda's Side By David Ignatius
WP Wednesday, June 24, 2009 A Shift on Iran
NYT June 24, 2009 The Green Revolution(s) By THOMAS L. FRIEDMAN
(コメント) イランの反政府運動はアメリカ人に誉めてほしいなどと思っていない、とFRIEDMANも書きます。むしろ、イスラム体制を弱める決定的な改革を、アメリカ自身が国内で行うことを求めるでしょう。すなわち、もう一つの「グリーン革命」である、エネルギーの輸入石油依存体質を転換することです。
例えば、オバマ政権は今すぐ、ガソリンに対する「フリーダム・タックス」(ガロン当たり1ドル)を追加することです(貧困家庭と老人からは取りません)。それは再生可能資源への投資を促し、石油の効率良い製品(GMやクライスラーが開発中)へ転換を促し、独裁国家からの石油輸入を減らすのです。
かつて、サウジアラビアが石油価格の引き上げを止めて増産したとき、ソビエト連邦の解体が始まった、と指摘します。
NYT June 24, 2009 The End of the Beginning By ROGER COHEN
BG June 24, 2009 'Democracy' is a dirty word for Obama By Jeff Jacoby, Globe Columnist
WSJ JUNE 24, 2009 Iran's Regime Will Never Be the Same By EDWARD N. LUTTWAK
WSJ JUNE 25, 2009 The Mideast's New Spring of Freedom By SAAD EDDIN IBRAHIM
The Guardian, Thursday 25 June 2009 Twitter against the ayatollahs Neri Zilber
WP Thursday, June 25, 2009 The Sounds of Silence on Iran By Mona Eltahawy
(コメント) これはまた「トウィッター革命」と呼ばれるような、情報通信の波が招いた社会・政治革命です。:YouTube, Twitter, Facebook and other similar peer-to-peer social networking sites
しかし、インターネットによる犯罪、ナショナリズム、流言蜚語も、新しい政治の成分です。
FT June 17 2009
Not quite yet a house of Brics
China Daily 2009-06-18
BRIC building road to global economic recovery
By Liu Junhong
BG June 21, 2009
The world's new power brokers
The Times, June 23, 2009
We need Brics to build the world economy
Asia Times Online, Jun 24, 2009
The perils of multipolarity
By Martin Hutchinson
(コメント) 工業製品輸出、世界貿易、資源の輸出や輸入、外貨準備、国際通貨制度改革、などについて、BRICsが代表する政治力は重要です。
第二次世界大戦以来、アメリカが担ってきた国際秩序の維持・改革は、今やアメリカと他の先進諸国が協力しなければならない、また、新興諸国の代表として振る舞うほど、1930年代のように、自由貿易や国際金融市場の安定性は失われて行きます。
多極化した世界の秩序をどのような者にするか、アメリカの影響力を取り除くために、金本位制やSDR、商品通貨が注目されます。政治的な権力配分や、国際秩序・制度の改革でも、同じような対立が生じます。
FT June 17 2009
CSM June 17, 2009
What's missing from Obama's financial reforms
BBC 2009/06/18
US regulation still leaves gaps
By Steve Schifferes
(コメント) アメリカ政府の金融制度改革は、その中身がまだ見えてきません。連銀は強化されるでしょう。金融市場でも、その消費者がもっと保護されなければなりません。金融取引が標準化され、その情報は透明化されるはずです。・・・しかし、どうやって?
金融システムへの信頼を取り戻す。・・・どうやって?
金融システムへの監視や規制を強化し、抜け穴をふさぐ。・・・?
製造業と金融界の利害は対立し、住宅市場をめぐる政界の権力闘争も激しくなります。
BBCの記事は列挙しています。自己資本規制、証券化規制、モーゲージ保有者の保護、グローバルな規制。しかし、各制度・各国の政治的な利害は一致しません。
NYT June 19, 2009
Out of the Shadows
By PAUL KRUGMAN
(コメント) オバマ政権の改革案は、金融規制の大きな穴をふさぐかもしれないが、危機を招いたインセンティブの間違いを正していない、とKRUGMANは批判します。
今の金融監督・制度は、銀行が銀行として機能していた時代にできた。しかし、ベアスターンズも、リーマンブラザーズも、まるで違う。短期資金を調達して、長期の危険な投資によって利益を上げていた。だから、銀行としての活動に隠された、こうした収益メカニズムを「パラレル・バンキング」あるいは「シャドー・バンキング(影の銀行業)」と呼ぶわけです。それは取付けに弱く、利用者が保護されておらず、監督できていません。
KRUGMANは、連銀や預金保険機構がすべての金融ビジネスを包括する、という方針を歓迎します。しかし、金融機関が資産の最低5%は保有し続けること、報酬システムをもっと長期のパフォーマンスと結びつけること、という対策で十分だ、とは考えません。
WSJ JUNE 19, 2009
Addressing Systemic Risk
By ALAN GREENSPAN
(コメント) 6月3日にthe American Enterprise Instituteでグリーンスパンが行った講演です。
私が呼んだ限り、要点は、”Too Big To Fail”(TBTF)問題と、報酬メカニズム、に関する政府批判です。TBTF問題は、どのようにしても避けられず、金融危機がなくならないことを意味します。あるいは、これを抑えるために規制を強化すれば、金融市場は本来の役割を果たせなくなるでしょう。それはすなわち、「創造的破壊」の促進、資源の効率的な再配分です。
グリーンスパンはまた、政府が重視する金融ビジネスの報酬見直しや、金融政策によるバブルの積極的予防にも懐疑的です。規制しても正しい答えは得られず、金融システムの効率性を損なって、世界的規模の競争に敗北するだけである、と警告します。
FT June 21 2009
A thin outline of regulatory reform
By Clive Crook
The Guardian, Monday 22 June 2009
New rules aren't enough
Dean Baker
(コメント) Clive Crookは、金融改革が不十分で、特に金融革新によって生じている問題に対して応えていない、と批判します。細部は曖昧で、改革の一部は幻想である、と。
Dean Bakerは、制度を改革しても、それを動かす人々が責任を問われないのであれば、仕事をするフリが上手くなるだけだ、と批判します。グリーンスパンは住宅市場のバブルを抑制する権限・手段も、情報も得ていた。それにもかかわらず介入を嫌ったのだ、と。
FT June 22 2009
Why all regulatory roads lead to the Fed
By Frederic Mishkin
FT June 23 2009
Reform of regulation has to start by altering incentives
By Martin Wolf
(コメント) 現代では、優れた金融監督制度が、金融機関を健全にしなければならない、とFrederic Mishkinも考えます。しかし、それは連銀なのでしょうか? いいや、中央銀行より、金融市場の方が優れている、と主張します。金融監督の使命は、中央銀行と十分に重なりません。むしろ、連銀の独立性を損なうでしょう。
ところが、Mishkinは連銀の使命を支持します。困難はあるが、長期のインフレ目標などを加えれば、それは緩和できる、というのです。
Martin Wolfの議論は、金融改革で危機は防げない、という悲観論です。金融システムが持つ弱点がある限り、改革論では意味がないのです。金融システムは基本的にレバレッジを行い、その基礎には信用創造があり、不安から取り付けが起きれば崩壊します。
危機の根源にあるのは、有限責任の株式会社制度だ、とWolfは考えます。銀行は莫大な債務を負いながら、有限責任しか果たしません。そこには深刻な危機を醸成する条件があります。彼らがもっと頻繁に危機を起こさない方が不思議です。銀行の経営者たちには、自分の利益を増やす手段があり、失敗しても罰せられない法律があります。
だから、解決策は、彼らに十分な損失を強いることです。税金によって金融機関を救済し、経営者たちが利益を取り込んだまま解任もされないというのは間違っています。金融秩序を守るために、システミック・リスクは救済する、というのは、大銀行が自分たちの破綻をシステムに及ぼすことから、事実上、彼らが救済されることは分かっているのです。
それを防ぐために監督を強化する、というのでは、規制の裏をかくビジネスが拡大するだけです。どうすればよいのか? インセンティブを変えよ。失敗した銀行家たちに大きな損失を。
FT June 23 2009
A better way to promote financial stability
DeAnne Julius
NYT June 25, 2009
Our Crisis of Regulation
By RICHARD A. POSNER
The Times, June 26, 2009
Three warring kings won't find the right path
Camilla Cavendish
(コメント) RICHARD A. POSNERの批判は強烈です。報告書は、未成熟で、野心的すぎるうえに、ルーズベルト政権の金融改革を意識し過ぎだ、と。
DeAnne Julius とCamilla Cavendishは、イギリスの金融改革について議論しています。
WSJ JUNE 18, 2009
Tokyo Takes Action
WSJ JUNE 18, 2009
Message to Kim Jong Il
By CHUNG MIN LEE
The Japan Times: Thursday, June 18, 2009
Kim's defiance raising the stakes
By MICHAEL RICHARDSON
(コメント) 北朝鮮の核実験とミサイル発射実験は、その後の安保理決議によっても、解決の道が見えません。イランと北朝鮮について、オバマ外交が試されるという意味だけでなく、中東世界とアジアの秩序、すなわち、石油と中国が新しい展開を示すかもしれません。
Asia Times Online, Jun 19, 2009
Post-crisis riches ahead for East Asia
By R Taggart Murphy
(コメント) アジアの投資家たちが、今後も、ますます分散投資を行うとすれば、その手段が問題になります。なぜなら、アメリカは戦争と財政赤字でインフレの懸念があるからです。1970年代もそうでした。インフレの結果、産油諸国からアメリカに富が再移転されたけれど、今度は、東アジア諸国からアメリカに富が移転されるわけです。
それを防ぐことが中国、日本、韓国の共通の関心です。ヨーロッパはどうしたか? ドルの減価によって富を失うことを拒み、自分たちの通貨を作ったのです。ユーロで貯蓄し、ユーロで投資する。アジアもそうしなければなりません。
しかし、ドイツが共通通貨を受け入れたように、アジアの主要諸国が自国通貨を放棄するとは思えません。アジアに流れ込む富と軍備拡大を阻むために、1970年代と同様、アメリカは動くでしょう。
Asia Times Online, Jun 23, 2009
All aboard the Trans-Asian Railway
By Marwaan Macan-Markar
FT June 24 2009
Asia will struggle to escape its export trap
By David Pilling
(コメント) それは莫大なインフラ投資です。シンガポールから上海、ソウルからサマルカンド、アジア大陸が鉄道によって、あるいは、高速道路網によって結ばれることで、統一市場ができるでしょう。なによりも、アジア内陸部の貧しい人々が豊かになる機会を得るのです。各地において、規模の経済や特化の利益が享受でき、予想もしなかった土地で、予想もしなかった産業によって、成長の加速する地域が現れるでしょう。それは、アジアにおける冷戦を回避することにもなります。
David Pillingは、逆に、アジアの輸出依存がかつてない不況をもたらし、このパターンから容易に抜け出せない、と考えます。それは、1985年に、日本で前川報告が出たときにも主張されたことです。輸出依存を止めて、もっと内需主導の、開かれた経済を作る、と。日本は、もはや、あきらめたようです。
日本でも、中国でも、内需への転換は進みません。日本では派遣労働者など、富の分配が急速に不病化しており、中国でも、都市と農村との貧富の差が拡大しているからです。輸出競争によって内需への積極的な転換が阻まれてしまい、不況との悪循環を繰り返します。
FT June 18 2009
What is needed for a lasting recovery
Olivier Blanchard
FT June 21 2009
China will not save the world economy
The Guardian, Wednesday 24 June 2009
Swallowing China's economic medicine
Jonathan Fenby
(コメント) IMFのチーフ・エコノミストであれば、国際収支不均衡を重視するのはもちろんです。不均衡が危機や不況を引き起こした、とは言えませんが、それを悪化させ、拡大していることは確かです。
不均衡の調整は、理想として、アメリカが消費を削り、輸出を増やすこと、それと同時に、中国(や黒字諸国)が消費を増やし、輸出を減らすことを意味します。完全雇用を維持したまま、為替レートの変更も行われます。
世界マクロ管理が必要ですが、今回の危機が起きるまで、なにも行われていませんでした。米中協議も、多角的な監視や政策勧告も重要になるでしょう。そして、Blanchardは、特に中国の財政刺激策に注意します。それがもっぱら投資に向けられていることは、中国が輸出依存型の、消費を抑制した成長モデルから抜け出していないことを意味します。不均衡の調整は進みません。
Blanchardは、不均衡の調整が進まない場合、アメリカの景気回復は弱く、それゆえ財政刺激策に依存した状態が長く続く、と考えます。金融政策は効果がなく、財政赤字が増大するにつれて、市場がそれを嫌い、債務の増大に対して長期金利を引き上げるでしょう。こうしたアメリカ経済の停滞は、世界経済にとっても悪いことです。
世界の通貨・金融市場に、次の混乱が起きるかもしれません。もちろん、それを回避するために、アメリカは支出を減らし、中国が支出を増やし、たがいに為替レートを調整することが望ましい、と合意することこそ重要です。
FTは、中国の財政刺激策が、大き過ぎるし、また、小さすぎると考えます
Asia Times Online, Jun 19, 2009
Welcome to the G-8 world of illusion
By Hossein Askari and Noureddine Krichene
FP June 2009
What Does the End of the Recession Look Like?
By Annie Lowrey
(コメント) G8の景気回復楽観論は正しいのでしょうか? 金融危機や通貨価値への不安は、もうないのでしょうか?
「何という楽観主義か! 何というチアリーダーたち!」と、Askari and Kricheneは批判します。異常な金融緩和を繰り返した末に、まだ、崩壊を免れているというだけです。「安定化」など幻想だ!
FPの記事は、世界の主要な地域について、危機の後に何が起きるか、どう変わるか、を議論しています。
NYT June 21, 2009
Why Inflation Isn稚 the Danger
By ALAN S. BLINDER
FT June 25 2009
Co-ordination falls away as the global crisis abates
By Philip Stephens
FT June 25 2009
Inflation - the real threat to sustained recovery
By Alan Greenspan
(コメント) インフレとデフレ、内外の債務累積と金利・為替レート、あるいは、景気刺激策が不十分なまま引き締めに転じること、これらは持続的な成長に向かう過程で問題になります。しかも、ワシントン、北京、ベルリンで、その意見は一致していません。
Alan Greenspanの議論は奇抜です。彼はバブルの責任を問われていますが、それは予想不可能だと主張していました。今また、更に株価の変動が経済活動の水準を、物価以上に、決定すると主張します。株価を介してインフレの不安がある、というわけです。危機を回避できた以上、即座に、金融緩和政策と財政刺激策の異常な水準を正常化しなければならない、と主張します。なぜなら、市場による「創造的破壊」の過程を阻んで、政府による財政支出が民間需要に代わるからです。そのような政治的資源配分は失敗するに違いない。
FT June 25 2009
State support is vital in times of crisis
By George Magnus
(コメント) アメリカの財政赤字が増大しても、支払い不能を憂慮しなければならない理由はない、とGeorge Magnusは考えます。その理由は、1.金融市場全体の正常化には時間がかかる。2.バランスシート不況の中では、財務省証券の需要が増える。3.債務の累積は利回りと結びつかない。賢明な赤字と債務管理を行うことだ、と。
FT June 18 2009
Think small to tackle the world’s problems
By Moises Naim
FP Tue, 06/23/2009
Response to Minilateralism
David Rothkopf
20 is still a very big number
Ian Bremmer
On minilateralism
Stephen M. Walt
You say multilateralism, I say minilateralism... let's call the whole thing off
Daniel W. Drezner
(コメント) Moises Naimは、マルチラテラリズムは答えにならない、と断言します。200近い国が集まって合意を作ったり、その約束を守らせることは、全くナンセンスだ。貿易自由化交渉、核拡散防止、温暖化ガスの排出規制、アフリカの貧困解消、エイズ撲滅、・・・どれも失敗に終わった。
最も効果の上がる、最も少数の国で、拘束力のある合意を形成しなければなりません。それこそがマルチラテラリズムの「マジック・ナンバー」です。例えば、G20の会議は、世界不況を回避するために、世界経済の85%を占める20カ国・地域が集まりました。
Stephen M. Waltはこれを「ミニラテラリズム」と呼んでいます。ただし、それで問題が解決されるとは考えていないようです。
WSJ JUNE 19, 2009
We Need Greater Global Governance
By PETER MANDELSON
(コメント) 銀行家が悪いのか、債務で住宅を買う者が悪いのか、政治家や金融監督が悪いのか? 決めるのは難しい。
世界市場統合は進むが、グローバル・ガバナンスは間に合わない。国際収支不均衡には、ナショナリズムによって国際的な調整政策が採用されない、ということが示されている。
China Daily, 2009-06-19
Avoid dollar trappings to escape its trap
By Yang Mu and Lim Tin Seng
(コメント) あるいは、中国から見れば、アメリカ(そして欧米日)の無責任。外国に債券を売っておきながら、まだ金融緩和と財政赤字拡大を続けている。石油価格や金価格が示すように、インフレが再現しつつある。
どうすればよいか? ・・・アメリカの財政赤字を国際管理すること。BRIC諸国はドル建債券を売却すること。アメリカ政府は、それに代わって、外貨建債券を発行すること。世界経済がドルに依存するのを止めること。
FT June 21 2009
Europe cannot ignore its financial trilemma
By Lorenzo Bini Smaghi
(コメント) 金融監督のトリレンマ。ヨーロッパでは、主権国家が集まって共通通貨を実現しています。誰が金融市場の秩序を維持するのか? 「金融統合、金融安定性、各国金融監督の自律性」、これら三つは同時に成立しないのです。
金融当局が協調しなければなりません。それだけでは不十分です。金融監督は、各国で行っても、金融危機を防げません。金融機関の救済には財政負担が生じます。まずは、金融監督を統一するより、財政負担の共有化が進む、と予想します。
FT June 21 2009
Japan serves up valuable minimalist lesson
By Peter Tasker
(コメント) 金融危機によって、日本では欧米型の金融自由化と効率化が賛美され、欧米では金融ビジネスが批判され、分割されるでしょう。Peter Taskerは、危機がどちらにおいても起きる、と考えます。危機の違いは、その後、それが経済の効率化に役立つか、逆に向かうか、である、と。
日本が再び旧モデルに復帰しようとしていることには批判的です。
June 22 (Bloomberg)
Web Porn Won’t Hurt China as Much as Orwell Will
William Pesek
The Japan Times: Thursday, June 25, 2009
Dancing with the dragon
By BRAHMA CHELLANEY
(コメント) もちろん、中国ならやるでしょう。ポルノ映像をパソコンに映らなくするインターネットへの介入です。それは、the “Green Dam-Youth Escort” programと呼ばれます。うまくいったら、日本でも少しやってほしい・・・。
William Pesekは、これがオーウェル的世界(1984年)の実現だ、と批判します。それも正しいでしょう。しかし、民間部門・市民組織で、できないでしょうか?
アメリカの外交政策における中国の重要性がさらに高まっています。その結果、日本は相対的に軽視されるでしょう。しかし、日本とインドが協力するなら、アメリカにとって中国以上に重要な存在となります。
The Guardian, Tuesday 23 June 2009
China and the end of westernisation
John Gray
The Times, June 24, 2009
Currency, culture, Confucius: China's writ will run across the world
Martin Jacques
(コメント) 中国の台頭は、世界の西洋化、という歴史を終わらせるでしょう。それは経済的な規模の問題ではありません。政治秩序やイデオロギーにおいても、共産主義や冷戦以上に、中国の再登場こそ、西洋的な世界の終わりを意味するのです。
Martin Jacques, When China Rules the World: the Rise of the Middle Kingdom and the End of the Western World (Allen Lane £30)
NYT June 22, 2009
Ocean Rescue
(コメント) 世界の漁業資源は急速に消滅しつつあります。世界的な資源管理、監視体制が必要です。ニュージーランドやアメリカのシステムが世界化するのでしょうか?
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The Economist June 13th 2009
The biggest bill in history
Government debt: The big sweat
Deforestation and carbon credits: Seeing REDD in the Amazon
The Amazon: The future of the forest
Banyan: Chasing ghosts
Economics focus: Fatalism vs fetishism
(コメント) 金融危機の後始末として,政府には莫大な債務が残ります.その負担と金融市場の不安に耐えられるか? と考えます.戦争の残した債務の山はハイパーインフレーションやデフォルトを導きました.
地球温暖化に最も効果的な対策は,電気自動車ではなく,アマゾンの森を残すことです.アマゾンの熱帯雨林を守るには,所有権を確立して,伐採しないことへの代金を支払うべきだ,と主張します.実際,ヨーロッパの基金はそれをブラジル政府と協力して実行しています.
マハンの海軍を基準とした地政学がアジアで復活しています.また,金融危機後の「輸出悲観論」に対応する新しい開発戦略を,Rodrikは提唱しました.すこし変わっていますが.
The Economist June 13th 2009
Holding together: A special report on the euro area
Banks’ exposure to eastern Europe: Stand by me
The IMF’s search for funds: Promises, promises
(コメント) 特集記事が充実しています.ユーロ圏の混乱ぶりを見て,やはり最適通貨圏であるはずがない,と思った人は多いでしょう.これほど多様で,これほど多くの国を集めた共通通貨が維持できるはずがない,と.
特集記事の結論は,ユーロは解体しない,拡大する,です.弱い国が離脱して切り下げることはコストが甚大で,しかも一時的な利益を得ても,その後の苦しみは増すだろう,と考えます.また,むしろありそうな強い国の離脱は,独仏があまりにも多くの政治的威信をEU統合に注いでいるから,離脱しない,です.
面白いことに,イッシングは,かつて政治同盟が必要だ,と考えていたが,その後,必要ない,と考えるようになった,と応えています.政治同盟はあまりにも硬直的で,ユーロをむしろ苦しめるからです.制度を改善する方法として,ユーロ圏内の安定化基金が議論されています.
複雑ですが,日本やアジアも考えるべき問題が詰まっています.