今週のReview
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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保護か支援か、 北朝鮮、 金融危機と不況の回避、 イランの大統領選挙後、 21世紀の革命、「日本化」1,2、 ラトビアの苦しみ
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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
FT June 11 2009
Legal trade barriers must be kept in check
By Jagdish Bhagwati and Arvind Panagariya
(コメント) G20は保護主義を避けるように求めました。それは現実に高まりつつあります。保護主義には合法的なものもあります。そして、Bhagwati and Panagariyaは、非合法な保護主義を抑えるために、合法的な保護主義を利用せよ、と主張します。
あからさまに関税を引き上げ、輸出品に補助金を与えるケースは抑えられているようです。しかし、主要国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル)でも、自動車産業を救済するために様々な優遇策や補助金を与えています。これも非合法な保護主義です。またアメリカ議会が景気刺激策につけた、「アメリカ製品購入」の条件も非合法な保護主義です。
こうした非合法な手段が広まれば、WTOという「法の支配」が侵食されます。それは1930年代の関税障壁乱立と貿易戦争に向かいます。
これを抑制するには、合法的保護主義を活用するしかない、とBhagwati and Panagariyaは考えます。すなわち、セーフガード、反ダンピング、政府契約、です。そもそもこれらは、自由貿易を実現するために、不況期の回避策を認めるものです。
非合法な保護主義に対して合法的な報復を奨励することで、WTOは保護主義の蔓延を防ぐことができるのです。そうすれば、1930年代に戻ることはなく、(冷戦期の米ソが核攻撃で均衡した)「相互確証破壊」を必要としないはずだ?
FT June 11 2009
Crisis? What crisis? The market confounds the left
By Philip Stephens
(コメント) 西側は資本主義崩壊の危機にあるのか? J.M.ケインズへの称賛、左派政党の復活? 政府は市場に大規模に介入し、大銀行を次々に救済しました。
しかし、1930年代への回帰という不安が間違いであったのと同様に、ロシア型の国家資本主義を支持する者は増えていません。自由市場のイデオロギーは自爆したのであって、その敵対者に滅ぼされたわけではありません。ヨーロッパ議会の選挙で票を集めたのは伝統的な左派ではなく、穏健右派でした。外国人排斥を唱えた極右も支持されていません。
その理由は、アングロ・サクソン型の資本主義に抗して福祉国家を支持してきたのは、左派だけでなく、キリスト教の伝統であったからです。金融危機に対して激しく反発したのは、旧来のイデオロギーを誇示した左派だけでなく、中道右派政権でした。サルコジやメルケルが金融ビジネスを批判するときの方が、資本主義批判を繰り返す左派よりも、大きな支持を得たのです。
市場経済への支持は失われておらず、グローバリゼーションの利益を引き続き享受したいと人々は願っています。しかし、同時に、その苦痛を取り除き、緩和してほしいのです。それゆえ、人々が望むのは「大きな政府ではなく、活動的な政府」です。市場派開放し続けるけれど、ショックに対する効果的な緩和装置を備えてほしい、と。
中道左派は、世界的な危機から政治的な配当を得るために、この点を学ばねばなりません。確かに、市場の「見えざる手」は信頼を失いました。しかし、有権者は資本主義を「国家権力の拳」でたたき壊してほしい、と望んでいるのではあません。
グローバリゼーションのもたらす利益を認めたうえで、もっと広くその機会を分け与えるべきだ、というのです。すなわち、「支援の手」を求めている、と言えます。
市場への信頼は、国家に適応能力を求めています。ここに左派の学ぶべき教訓があります。
The Guardian, Friday 12 June 2009
America's socialism for the rich
Joseph Stiglitz
(コメント) 政府による銀行や企業の救済は、その解体、再編成を意味します。「大き過ぎて潰せない」、「大き過ぎて経営できない」という問題に加えて、「大き過ぎて金融再編できない」という問題も指摘できます。
オバマ政権が金融機関を救済しながら、株価をゼロにし、債券を株式化しなかったことは、債権者の圧力と債券市場の混乱を恐れたからです。そして、Joseph Stiglitzは、その結果として国民は莫大なコストを強いられる、と批判します。
オバマの政策を「社会主義」と批判するのは間違いです。なぜなら、今回の危機とその処理過程で苦痛や損失を強いられているのは貧しい住宅保有者たちであり、むしろ金融ビジネスの高額報酬経営者や超資産家たちが救済されたのです。彼らの政治的な影響力を抑えるべきです。
BBC 2009/06/12 Robust message for North Korea By Jonathan Marcus
China Daily 2009-06-12 Urgent need for peace, stability in Peninsula By Zhu Feng
WSJ JUNE 12, 2009 A New Plan for Pyongyang By NICHOLAS EBERSTADT
(コメント) なぜ北朝鮮は核実験とミサイル発射を繰り返すのか? その目的や意図がわかりません。目的が明確になれば、交渉の可能性があるはずです。
安保理決議は、北朝鮮に出入りする船舶の積み荷を検査することを求めました。中国やロシアも反対せず、この決議に加わったことを、アメリカ、日本、韓国は重視します。しかし、中国とロシアの支持はより曖昧な説明がつきます。ロシアはこれが軍事衝突につながらないよう求めています。
Zhu Fengによれば、朝鮮半島の核問題を考える中国の視点とは、世界の強国として中国が台頭するために好ましい環境を作ること。世界的な期待や責任から自由を得ること、です。
Asia Times Online, Jun 13, 2009 North Korea resolution lacks teeth By Donald Kirk
WP Sunday, June 14, 2009 Welcome, Dear Leader! By Peter Carlson
WP Sunday, June 14, 2009 Up Close and Personal, Here's What I Learned By Victor Cha
(コメント) 息子への権力継承を図っている、という金正日の行動を変えるために、オバマ政権は何をなすべきか? 軍事攻撃や外交交渉、アル・ゴア元副大統領をピョンヤンに派遣する、といった提案よりも、Peter Carlsonは考えます。・・・金正日をアメリカに招待してはどうか?
金正日はアメリカを数週間旅して、資本家たちとお茶をともにし、エコノミー・チケットで飛行機に乗って国内を移動し、ハリウッドのスターたちと歓談する。
50年前に、良く似た状況で、アイゼンハワー大統領がこれを行った。そしてそれは成功したのだ。ある意味では。1959年、ソ連のフルシチョフ書記長をアメリカに招待し、その不適切な行動を抑制した。すなわち、核兵器で西ベルリンを消し去ると話していた。・・・記事は、ソ連の独裁者が示した珍道中を、面白く描いています。
If Kim wants to go to Disneyland, by God, let him go. Back in 2001 Kim's oldest son, Kim Jong Nam, was arrested trying to enter Japan on a fake passport. "I wanted to go to Disneyland," he explained. So why not give the whole Kim clan free passes to the Disney theme parks of their choice?
核兵器で火遊びをするには、世界が小さくなりすぎた、と悟るかもしれない、と。
The Japan Times: Sunday, June 14, 2009 The will to deal imaginatively with a crisis By HUGH CORTAZZI
(コメント) ヨーロッパは北朝鮮の核実験に関心がない。ヨーロッパ議会の選挙や自国の不況が気になっている。北朝鮮の行動は予測できない。論理的な交渉ができない。
さて、北朝鮮を問題にするとき、どのように対応するべきか、関係する諸国の意見が一致していない。中国は北朝鮮が日本の軍備増強や核武装につながるのを心配している。日本はアメリカの核の傘によって守られているが、右派はそれを信用していない。
日本は中国の成長が民主化を促すと期待していたが、そうなっていないことに不安を強めている。中国には世界不況の影響で失業者が増えている。社会不安が強まれば、反日運動や台湾の統一を材料に共産党が政治宣伝を強めるかもしれない。
中国とアメリカの経済摩擦は強まっている。それは米中関係を政治的に難しくするが、日本産業は中国経済との統合化が進み、米中関係が悪化すれば日本企業が大きな損失を被る。中国政府は財務省証券を売ることが自分たちの利益にならないと理解しているが、アメリカ国内の保護主義圧力の回避や、世界の景気回復に協力しなければならない。
日本政府は中国が北朝鮮との交渉で決定的な役割を担っていることを知っており、日本人には拉致問題への関心が強いので容易に譲歩できない、ということを中国に知ってもらわねばならない。しかし、日本政府の行動は政策よりも人物によって決まる選挙結果に依存しており、国民を指導できる強い個性の政治家を欠いたまま、選挙が遅れている。・・・
Asia Times Online, Jun 16, 2009 Doubts over US-China-Japan talks By Jian Junbo
(コメント) 東アジアの安全保障が、アメリカを中心とした二国間協定の同盟関係の束から、アメリカ、日本、韓国、そして、中国やロシアも含む多角的な合意を重視したものに変わろうとしています。北朝鮮の核問題を集団的安全保障によって解決することで、それは大きく前進するでしょう。
NYT June 17, 2009 North Korea’s Threats
Asia Times Online, Jun 18, 2009 Obama lights North Korea's fuse By Donald Kirk
NYT June 12, 2009
Soros Says Default Swaps Should Be Outlawed
NYT June 14, 2009
Rewriting the Rules
By PAUL M. BARRETT
WP Monday, June 15, 2009
A New Financial Foundation
By Timothy Geithner and Lawrence Summers
(コメント) ガイトナーとサマーズがオバマ政権の金融制度改革を説明しています。金融危機の原因の一つは、金融監督制度の失敗であった、と反省します。より頑健で安全な金融システムを作るために、
1.個別の金融機関だけでなく、金融システム全体の安定性を監視する。2.かつての銀行システムから、資産で保証された証券の市場を中心としたシステムに変化した。これに対応する。デリバティブ市場も整備し、規制する。3.消費者や投資家の保護を強化する。4.金融機関を救済した後、金融システムの安定性を損なうことなく、秩序ある整理を行う。5.世界的規模の金融監督制度を目指す。
危機だからこそ、金融システムに対する信頼を回復しなければならない。信認の危機を克服することで、不況が終わる。
FT June 15 2009
Principles that must guide financial regulation
Duncan Niederauer (chief executive of NYSE Euronext)
(コメント) ほとんど同じ原則が述べてあります。大恐慌以来の部分的な修正が積み重なって、複雑な、不明瞭な金融監督制度ができてしまいました。これを整理しなければなりません。
その原則は、1.投資家を保護し、信頼を回復すること。新しい金融手段は、株式、債券、保険の要素が混じっています。2.金融監督を全国で統一し、国際的にも調和させること。3.複雑な新しい金融商品を影で扱わないこと。デリバティブの取引を標準化する。金融商品の透明性と信頼性を高め、取引の記録を残し、追跡できるようにする。4.金融監督システムをスマートにする。巨大な監督システムだけで危機を防ぐことはできなかった。質の問題だ。
FT June 15 2009
US regulatory showdown
FT June 16 2009
The three steps to financial reform
By George Soros
(コメント) ソロスの考える正しい金融監督jシステムでは、第一に、グリーンスパンが避けたようなバブルの判定を行います。それは間違いを犯すでしょうが、民間の市場参加者がバブルに向かう傾向を変えられない以上、公的にしなければならないことであり、間違うとしても市場との情報交換で是正されて行くのです。
第二に、通貨供給だけでなく、信用の利用可能性を規制しなければなりません。マージンや自己資本比率を規制します。また、規制は市場の条件に応じて変化させます。
第三に、効率的市場仮説は間違いでした。また、モーゲージの証券化はリスクを変えました。レバレッジも国際規制するべきです。商業銀行と投資銀行を分けるより、内部で分離する方がよい、とソロスは考えます。ヘッジ・ファンドも厳しく監督します。
最後に、デリバティブは株式と同じように厳しく規制し、同質的な、標準化された、透明性の高い取引にしなければなりません。特に、CDSは禁止します。なぜなら、CDSは銀行や企業が倒産することを利益と見なす者を増やすからです。高額の生命保険に入った者を殺してもよいと宣言するようなものです。
CSM June 17, 2009
What's missing from Obama's financial reforms
By the Monitor's Editorial Board
The Guardian, Wednesday 17 June 2009
Obama and Darling too soft on bankers
Larry Elliott
(コメント) 不況を恐れ、金融システムの信頼をこれ以上傷つけないように、英米の政府は小規模な金融改革に終わりそうだ、とLarry Elliottは懸念します。しかし、ルーズベルトは銀行を国有化し、分割したし、厳しい自己資本基準を設けて倒産させた、と指摘します。今こそ、銀行の規模を縮小するべきだ。
The Guardian, Friday 12 June 2009
The recession is far from over
Ann Pettifor
NYT June 12, 2009
The Great Unwinding
By DAVID BROOKS
(コメント) DAVID BROOKSは指摘します。現代とは、「レバレッジによる金融膨張の時代から、金融大逆転による経済圧縮の時代へ」と表せる。
可処分所得に対する債務の比率は、1960年の55%から2007年の133%に増大しました。市場化された債務の規模は1951年のGDP比143%から2008年の350%に増大しました。GDPに占める消費の割合は、1960年代半ばの62%から2008年の73%に増大しました。
他方、中国や日本、ヨーロッパはアメリカに輸出したのです。
金融危機に対するポールソン=ガイトナー=バーナンキの政策対応は成果をあげました。深刻な不況を回避できたのです。しかし、債務は残っています。今後、アメリカ人は消費を減らし、貯蓄を増やすでしょう。
奢侈的な消費に依存した部門から、もっと研究や投資に関連する部門や、人や資源を移す必要があります。しかし、それには政治的な抵抗があるでしょう。選挙区の企業が倒産することを阻止するために、日本のように、長期の停滞をたどるかもしれません。住宅バブルが破裂しても、あわてて金融緩和を続け、商品バブルを招くだけかもしれません。
アメリカ経済を再建できるかどうかは、政治にかかっています。
The Guardian, Tuesday 16 June 2009
A double-dip recession?
Larry Elliott
FT June 16 2009
The recession tracks the Great Depression
By Martin Wolf
(コメント) Larry Elliottは、なぜインフレを恐れるのか? と考えます。問題は、不況にもかかわらずインフレ率が下がらないことです。その理由は、1.ポンドが30%も安くなったから、2.景気刺激策、3.不況がインフレ率に反映するのには時間がかかる。そして、二重底の危機が始まる。
二人の歴史家Barry Eichengreen and Kevin O’Rourkeによる大恐慌との比較にMartin Wolfは注目します。なぜなら、現在の危機は1930年代の大恐慌が始まったときとそっくりだからです。工業生産や貿易の落ち込みは、まさに大恐慌が始まったことを告げています。ただし、貿易は保護主義によって落ち込んだわけではありません。
重要な違いは政策対応です。ケインズとフリードマンの知見をわれわれは忘れません。だから、1930年代と比べて金融緩和(ゼロ金利)が進み、財政も大幅な刺激策を実現しました。それは効果を表すでしょう。
では大恐慌を回避できて、何も問題は残らないのか? 残念ながら、そうではないのです。マクロ経済の刺激策は、まだ誰も理解していないほど、長期に及ぶ必要があるでしょう。なぜなら、バランス・シートが悪化した結果、民間投資や消費がなかなか回復しないからです。その間、政府が支出し続けるしかありません。
だから、大幅な公的債務が形成されるでしょう。それに対して、市場が不安を強めます。政府は、引き締めに転じる時期を決める際に注意しなければなりません。早すぎれば不況が再発し、遅すぎればインフレや資本逃避(そして高金利やドル安、スタグフレーション)が起きます。
大恐慌を回避する戦いは、まだ始まったばかりであり、本格的な景気回復という勝利への道は長く、険しく、不確かなものです。
NYT June 12, 2009
Lebanon’s Triumph, Iran’s Travesty
By ELLIOTT ABRAMS
(コメント) レバノンとイランで選挙が行われました。それは、民主主義によって中東世界が変化することを試す機会になるでしょう。選挙によってヒズボラは敗北し、あるいは、銃によってレバノンの支配を奪い返すのでしょうか? 選挙によってイランの人々は自由を叫び、あるいは、宗教政治支配が自分たちの正当性を示すセレモニーとするのでしょうか?
「選挙は重要である。しかし、自由で、公開され、公平でなければならない。レバノン国民はヒズボラを拒むことができた。イラン国民は、残念ながら、自分たちを支配する者を選べない。」
BBC 2009/06/13 Ahmadinejad re-election sparks Iran clashes
The Guardian, Saturday 13 June 2009 Riots erupt in Tehran over 'stolen' election Ian Black and Saeed Kamali Dehghan in Tehran
The Guardian, Saturday 13 June 2009 An election confiscated Masoud Golsorkhi
The Guardian, Saturday 13 June 2009 Election mania turns to confusion Henry Newman
The Guardian, Sunday 14 June 2009 An attempted coup in Iran Henry Newman
(コメント) 不適切、不公平な選挙に代わって、都市の直接行動が政府の交代を求めています。ムサビが勝利するという予想が地方からも集まっていました。
The Guardian, Sunday 14 June 2009 The resonance of Iran's shattering dreams Simon Tisdall
NYT June 14, 2009 Winds of Change? By THOMAS L. FRIEDMAN
(コメント) オバマ大統領の登場と対話の訴え、イランにおける改革派大統領への交代で、中東世界が変わるという希望がありました。
THOMAS L. FRIEDMANは、変化への力を4つ挙げています。すなわち、情報技術革新、ブッシュによる独裁体制破壊、イスラム過激派の失敗、オバマのソフト・パワー。
インターネット、ブログ、YouTube,携帯電話のよるメッセージ交換が、若者たちの間に普及しました。情報の伝達は水平的になり、政治的なテーマが活発に語られ、不正はただちにビデオ投稿されます。
政治的なスペースは、3段階の発展を遂げました。ブッシュ政権はアメリカへの憎悪を掻き立てましたが、同時に、イラクのフセイン独裁を破壊し、レバノンからシリアを追い出しました。その後の統治に失敗した結果、イスラム過激派が権力を得ましたが、彼らの宗教支配は民衆の反発を呼びました。宗教指導者たちが反米を叫ぶのに好都合だったブッシュ政権が終わり、オバマが登場すると、人々は対話を期待するようになったのです。
FT June 14 2009 Iranian theocrats impose their will
(コメント) テヘランの衝突は、宗教ではなく、食糧や雇用を求める貧困層の酒部であり、イスラム革命後に権力を拡大した宗教指導者たちと、それを解体して自由な言論や経済活動を求める都市中間層の要求である、とFTは考えます。これは、階級闘争だ、と。
The Times, June 15, 2009 Tehran Spring
(コメント) テヘランの春は弾圧によって消えるのか? Timesは考えます。
これは国民が嫌う厳格な宗教支配体制、そこに生じた経済破綻と腐敗などに、一定の民主的なうわべを与える試みのはずでした。しかし、公海の政治討論が、デモが、西側への支持が表明されるに及んで、支配者たちは驚き、直ちに中止させるべきだ、と考えたわけです。分断された社会において、中産階級や若者たちが自由を求めている。イスラム革命を維持するためには、今すぐ、乱暴に、すべてを終わらせよう。・・・
アヤトラ、ハメネイが説教し、宗教警察が動くでしょう。かつてソ連圏の衛星国家で、民主主義の見せかけに若者たちが抗議したことに似ています。彼らは民主主義による変革を信じ、それに裏切られたことに絶望し、憤慨しています。通信やインターネットが遮断され、デモ参加者は逮捕され、外国メディアは非難され、ハメネイが討論を封じました。
しかし、事態は以前のように安定しないでしょう。体制の信任は動揺し、講義が復活すれば弾圧を強めることになります。アフマディネジャドの権威は薄れ、外国やイスラエルへの非難を強めるでしょう。西側は再びその度量と警戒を試されます。時間が改革派の側にあります。イランの変化は止められない、と。
Asia Times Online, Jun 16, 2009 The meaning of the Tehran spring By Pepe Escobar
The Guardian, Monday 15 June 2009 Seismic events in Iran and Israel have set a critical test of Obama's resolve Jonathan Freedland
WP Monday, June 15, 2009 The Iranian People Speak By Ken Ballen and Patrick Doherty
(コメント) Pepe Escobarの詳細な分析も共通しています。
The elite wants subdued, muzzled, if not destroyed, reformists of all strands: any relatively moderate cleric; the late 1970s clerical/technocratic Revolution Old Guard (which includes Ayatollah Hashemi Rafsanjani, Mohammad Khatami and Mousavi); "globalized" students; urban, educated women; and the urban intelligentsia.
オバマ政権の対応は難しいでしょう。
WP Monday, June 15, 2009 Neither Free nor Fair
WP Monday, June 15, 2009 Khamenei's Coup By Mehdi Khalaji
(コメント) Mehdi Khalajiの論説は、現在の選挙結果と大衆抗議の全体を的確に整理しているように思います。
アフマディネジャドの当選を告げる最高指導者ハメネイの演説は、核兵器の開発、ヒズボラ、ハマスへの支援、敵対的な地域政策を続ける、という意思表明であったとKhalajiは理解しました。オバマ政権は、改革派が対話に応じてくれることを望んでいます。しかし、1950年代にイランのモサデク政権をクーデタで崩壊させることに関与した記憶を刺激しないために、アメリカは発言を控えてきました。
しかし、テヘランから地方都市に至るまで、改革派の抗議活動と、それを弾圧する警察や革命防衛隊などとの衝突が続く中で、オバマの発言が期待されています。イラン政府は、インターネットや携帯電話を停止し、衛星のテレビやラジオの放送電波を妨害しています。外国のジャーナリストたちは国外退去させられ、改革運動の主な人たちが拘束された、ということです。
ハメネイが候補者たちに選挙結果に対する発言を禁じても、ハタミ元大統領が指導する「闘う聖職者会議」という改革派は、人民の声を守れなかったこと、政府が選挙結果を覆し、再選挙しようとしないことについて、人民に向けて謝罪しました。
アフマディネジャドはイラン内外において危険な政策を唱えてきました。特にテレビ討論以後、その支持率は急激に低下し、地方でも、都市の労働者にも、支持されていません。ムサビは、今や、選挙結果を取り消すことが、政府への信頼を回復する唯一の道だ、と述べました。ハメネイは、アフマディネジャドが240万票以上を得たと発表しましたが、それは12年前のハタミが得た記録を超える、非現実的な数字です。
また抗議運動は、人々に屋上で神を称えるよう求めました。それは1979年の革命を想起させることです。革命以後、かつてなかった社会的・政治的な団結が生まれています。バナー、ヘッドバンド、ポスターが緑で統一されました。アフマディネジャドの当選を阻止する運動です。
Khalajiは、イラン国民の求める国際監視団の管理する自由で公平な選挙を、アメリカ政府が支援するよう求めます。
WP Monday, June 15, 2009 Some Good in a Bad Election By Anne Applebaum
(コメント) これは典型的な不正選挙、政府が管理する選挙を行う国でさえ、人々が選択の可能性を与えられれば、それに応えることを通じて、抗議の意思を示し、それを無視する政府に対して激しい抗議行動を始めた、予想できない政治の始まりです。
ブッシュがイラク侵攻を「中東に民主主義を実現する」と正当化して以来、民主主義は陳腐で内容に書ける、軽蔑された言葉になりました。特に、アメリカの支援した各地の選挙が予想外の結果に終わったことで、民主主義を支持することも警戒するのが実情でした。そんなとき、イラクの「管理された民主主義」に変化が起きたのです。
ムサビが改革・民主化の指導者である、などとは言えないことを指摘しています。ムサビが首相を務めた1980年代、多くの政治犯が逮捕されたのです。それでも人々は、アフマディネジャドの再選を阻止するために投票しました。人々はその集計が正しくないと抗議し始め、非難の叫びとともに通りを埋め尽くしたのです。
NYT June 15, 2009 Neither Real Nor Free
NYT June 16, 2009 Iran on a Razor’s Edge By ROGER COHEN
IHT June 16, 2009 Time for Change? By H.D.S. GREENWAY
FT June 15 2009 Democracy could still win in Iran By Gideon Rachman
LAT June 16, 2009 What now on Iran?
LAT June 16, 2009 Obama's choice is not to choose on Iran Jonah Goldberg
The Guardian, Tuesday 16 June 2009 Change in Iran will come from within Masoud Golsorkhi
The Guardian, Tuesday 16 June 2009 History floods Iran's moment Ian Black
WP Tuesday, June 16, 2009 What Do Iranians Want? By Jeffrey Gedmin
(コメント) イスラム反革命が起きるのか? グリーン・レヴォリューション。
内務省や、革命防衛評議会など、政治活動を厳しく取り締まるほど、人々の不満は蓄積されていました。都市中産階級が参加することで、抗議活動は弾圧を跳ね返せます。
西側は何の役割も果たさない、と信じてはいけません。イラン国民は西側の声、特にオバマの声を聞いています。西側からの情報で自分たちの行動を組織するのです。もしイランの元体制やアフマディネジャドが本当に選挙で勝ったと思うなら、情報を公開し、世界にイランへの関心を持ってもらうことで勝利は確実になるだろう。
大多数のイラン人が何を望んでいるか、その声を聞くべきだ。
WP Tuesday, June 16, 2009 Obama's Message to Iran By David Ignatius
(コメント) 「世界がイラン国民の参加する姿を見守っている。それは素晴らしいことだ。」「イラン人民と、その民主主義をアメリカは支持する。その国の統治形態を変えるのは、彼らの決定であって、アメリカではない。」
しかし、街頭にまだ学生たちが残っているのに、イラン政府が軍を投入した場合は、どうするのか? イランの反政府組織は十分に体系化されておらず、まだ革命を起こす力はない、とアメリカの情報部は見ているようです。
オバマの登場とそのクールな政治スタイルは、アフマディネジャドの虚言に飽きたイランの若者たちに、合理的で現実的な思考の可能性を高めた、と指摘します。
WP Wednesday, June 17, 2009 Obama's Iran Conundrum By Robert Kagan
(コメント) オバマの支持者は、いよいよブッシュの正しさを認めるのか? とRobert Kaganはオバマ外交の合理性と浅薄さを批判します。イスラム過激派でも交渉によって説得できる、というオバマが、イラン政府の意向に反して民主化デモを支持するだろうか? そして、中国政府にも天安門事件を鎮圧できたことを祝福するのか?
FT June 16 2009 Iranian clerics caught in a bind
BG June 16, 2009 Ahmadinejad's coup d'etat
BBC 2009/06/17 Crisis will decide Iran's future path By Jim Muir
(コメント) 現在の危機は、イラン社会内部のバランス・オブ・パワーを変え、イランの将来の歴史を決定する。革命防衛隊でさえ、過去の選挙において改革派にも多く投票してきた、といいます。もし圧倒的に多くの抗議デモに直面し、その中に彼らの息子や娘が含まれているとしたら、彼らはデモの鎮圧命令に従うでしょうか?
イラン指導部の内部対立も含めて、バランスの変化を詳しく紹介します。
LAT June 17, 2009 Iran's election opens generational fissure By Ramin Jahanbegloo
FP Tue, 06/16/2009 More things Obama should be saying and doing about Iran By Christian Brose
The Guardian, Wednesday 17 June 2009 Khamenei's supreme dilemma Chris Emery
The Guardian, Wednesday 17 June 2009 When will Obama back Persian people power? Simon Tisdall
The Guardian, Wednesday 17 June 2009 Twitter counts more than armouries in this new politics of people power Timothy Garton Ash
(コメント) 21世紀の革命には情報通信手段が不可欠です。人民の力は、インターネットや携帯電話、ソーシャル・ネットワーク、FaceBook、YouTube、などに依拠して現れます。
個人は、国家権力の監視システムや暴力装置に対して、まったく無力です。しかし、社会の圧倒的な多数が動くとき、どのような殺し屋集団も、それに対抗することはためらうでしょう。それこそがマハトマ・ガンジーの説いた「無力な民のパワー」です。
現在の危機を招いた背景について、複雑な政治過程の相互作用を考察しています。また、2007年のビルマにおける僧侶たちの抗議活動がそうであったように、多くの場合、短期的には容易に弾圧されるでしょう。
イランの3人に2人は30歳以下の若者たちです。彼らは情報通信技術に慣れ、政治的関心とエネルギーを蓄積しています。大学教育も充実し、卒業者の半分は女性です。彼らはイスラムの伝統的秩序よりも、職場や機会を求めています。
人民の力が体制を変えるには、1.単純なプロパガンダを受け入れない人々の知性が広まり、2.体制側に内部分裂が生じている、という条件が必要である、とTimothy Garton Ashは考えます。革命評議会が「不正選挙」によるアフマディネジャド再選の結果を発表した後、何が起きるか? イランの国民が決めるしかありません。
われわれにできることは何もないのか? ・・・一つだけある。彼らが情報を交換するインターネット空間の自由を保障してやることです。Twitterの利用時間を、イラン人たちがデモの情報を交換する時間には必ず開けておくように。Googleのペルシャ語翻訳機能を充実するように。・・・ようこそ、21世紀の情報=文化=政治革命へ!
WP Wednesday, June 17, 2009 Tehran Drama
NYT June 17, 2009 Iran’s Hidden Revolution By DANIELLE PLETKA and ALI ALFONEH
Asia Times Online, Jun 18, 2009 Khamenei rides a storm in a tea cup By M K Bhadrakumar
IHT June 18, 2009 Cultures Clash in Tehran By RICHARD BULLIET
(コメント) DANIELLE PLETKA and ALI ALFONEHは、真の変化を見るべきだ、と主張します。革命防衛隊による「静かなクーデタ」がイスラム政治体制の内部で起きています。イスラム革命後の宗教政治が若者たちに嫌われ、経済的にも失敗を繰り返す中で、それに代わって、軍事独裁政治が強化されてきたのです。宗教指導者たちは軍事的な支配に頼って自分たちの得た特権を維持するしかない、と考え始めました。そして革命防衛隊とその民兵組織は、アフマディネジャドの政府で重要なポストを独占しました。
あるいは、歴史的な文化対立でしょうか? アメリカでも、ベビーブーマー世代が政治参加して、ベトナム戦争に反対する流れができました。イラン社会の基層が変化しているのです。
WP Saturday, June 13, 2009
Could We Engineer a Cooler Planet?
By Samuel Thernstrom
The Guardian, Monday 15 June 2009
Scared silly over climate change
Björn Lomborg
(コメント) 温暖化ガスの排出は現在も発展途上諸国で増えており、規制されていません。中国だけでも、2030年までに、世界全体の現在の排出量を超えるでしょう。温暖化は止められない。問題は、それがいつ、どの程度の被害をもたらすか、だけである、と。
環境問題は、解決策がいつもSF小説のようになります。「ジオ・エンジニアリング」とは何か? 地球環境工学? いっそ、アメリカは温暖化でメキシコのようになり、首都をアンカレッジに移転し、カナダに人口が大規模に移動して、北米合衆国への移行が実現する話か、と思いたくなります。
ここでは、フィリピンのピナツボ火山が爆発して2〜3年も大気の温度を下げたことを再現しようとする科学調査を意味しています。あるいは、低深度層積雲が太陽からの熱を反射する仕組みを人工的に作るとか・・・ しかし、火星を住みよくして移住する計画ではないようです。
Björn Lomborgは、逆に、人々の恐怖のレベルが人工的に高く引き上げられてしまったことを批判しています。それはブッシュ前大統領がサダム・フセインの脅威を高く印象付けて軍事介入を正当化したのと同じように、間違った政策を導くでしょう。「環境破壊によって地球が滅亡する」と教えられた子供たちには、多大なコストが待っています。
特に、アル・ゴアの「不都合な真実」を子供には見せないように。もっと冷静に、建設的な議論ができるはずだから。
NYT June 13, 2009
Geithner’s Plan on Pay Falls Short
By JOE NOCERA
The Observer, Sunday 14 June 2009
It's the Conservatives who are now promising real reform in the City
Will Hutton
(コメント) 金融機関が公的な介入や税金で救済されている以上、彼らには市場の規律以上のものが必要です。ガイトナーは、金融機関の報酬システムに規律を与えるべきだ、と政府の幹部官僚や金融ビジネスのボスたちを招いて説明しました。それは踏み込んだ要求でしたが、現実に提案されたのは報酬を監視する委員会の設置だけでした。
シティの改革はどうでしょうか? Will Huttonは、金融制度の改革には政治的ガッツと高度な知性が必要だ、と指摘します。しかし、どちらの意味でも、ゴードン・ブラウンも含めて多くの大蔵大臣たちが金融街の奴隷となった、と。
ポール・クルーグマンは、金融危機の後には、主要諸国が「日本化」"Nipponisation"するだろう、と予告したそうです。家計もビジネスも債務の負担に苦しみ、バランス・シートの悪化は短期に回復できません。経済状態は数年に及ぶ停滞を迎えます。大恐慌は避けたかもしれないが、長期不況は避けられない、と。
だからこそ金融システムの改革は重要だ、とHuttonは考えます。金融の目標は、短期的な個人報酬によって変動を繰り返すことではなく、雇用や技術革新を助けるものです。
FT June 14 2009
Optimism is not enough for a global recovery
By Wolfgang Münchau
NYT June 15, 2009
Stay the Course
By PAUL KRUGMAN
(コメント) 主要先進諸国は金融緩和と財政赤字による刺激策から早く転換しすぎる恐れがあります。中国が世界不況を免れ、他の国に刺激を与えるという期待も間違っているでしょう。
PAUL KRUGMANは、インフレ警戒論を批判します。現在、アメリカは歴史上3度目の「流動性の罠」を示している、と。それ以上、金利が下がらなくなる点です。1930年代のアメリカ、1990年代の日本、そして今のアメリカ。それにもかかわらず、インフレを心配する議論が強まっています。実際には、民間に代わって政府が大幅な赤字を出さなければ経済は回復しないのです。しかも、日本のように時期尚早の財政再建は失敗します。
通貨供給量が増えても、まだデフレが心配なのです。
WSJ JUNE 15, 2009
Nostalgianomics
By BRINK LINDSEY
(コメント) PAUL KRUGMANを激しく批判します。不平等を緩和すると称して、間違った経済運営が甚大な悪影響を残した。1970年代を忘れたのか? 間違ったノスタルジアだ!
IHT June 15, 2009
By NASSRINE AZIMI
(コメント) なかなか興味深い、不思議な論説です。NASSRINE AZIMIは、日本的なもの(日本文化)こそ、日本の弱点であり、強さでもある、と結論します。
一つは、65年前に、激しい戦争に勝ったアメリカ軍が日本占領するにあたって、日本人はどのように反応するか、その国民にアメリカ兵はどのようにふるまうべきか、専門家に研究を依頼したわけです。それが、ルース・ベネディクトの『菊と刀』でした。ベネディクトは一度も日本を訪れずに、1400年にわたる政治・経済システム、日本人の文化や信仰を研究し、また日系アメリカ人と話し、日本の映画や政治宣伝を研究して、この名著を書いたそうです。
ベネディクトは、日本文化は仏教でも、儒教でもなく、日本的である、と結論し、おそらく、その後の欧米の日本研究を今も方向付けているのでしょう。
また一つは、日本の教育システムの崩壊と、改革の遅さです。高齢化、失業、犯罪、北朝鮮の脅威、第二次大戦後の最も深刻な経済縮小、などに直面しても、日本の改革は進みません。
ところが、矛盾していますが、日本は強さを保っている、と指摘します。素晴らしいサービス、素晴らしい輸送システム、素晴らしい先端技術、素晴らしい安全で清潔な町。勤勉で、繊細で、職人気質の人々がいます。文化は深く、幅があり、国土は美しく、多様です。国民健康保険、99%の識字率。グローバリゼーションのマイナスの影響に苦しみつつも、町の商店街やパチンコ屋は明るく、若者たちには「かわいい」文化が支配して、男たちもお化粧に凝っている。武士道に感動したベネディクトは驚くだろうが。
アフガニスタンの留学生は、戦争から復興する自国のために教訓を得ようとして、祭りなど、日本の伝統文化に魅了されたそうです。・・・新幹線よりも。
そう、日本を見くびってはいけないのだ、とNASSRINE AZIMIは考えます。日本は今も日本的であり、その弱さに見えるものにこそ、強さも秘められている。
BBC 2009/06/15
Dollar poses dilemma for Bric countries
By Katie Hunt
FP June 2009
The Decoupling Debate Is Back!
By M. Ayhan Kose, Eswar Prasad
IHT June 17, 2009
China Tests the Waters
By PHILIP BOWRING
(コメント) BRICについての言及です。ドル支配の終わりをどこまで願っているか? 九世界の不況からどの程度自立して成長を続けられるか?
PHILIP BOWRINGは、中国が様々な方向でその影響力を試している、と考えます。そして直接投資を介した買収によって、国際的な競争力政策や所有権をめぐる論争に加わりました。
WP Monday, June 15, 2009
The Return of Capitalism
By Fareed Zakaria
NYT June 16, 2009
Recession and Revolution
By ROSS DOUTHAT
(コメント) 資本主義は死なないし、新しい資本主義という考えも大げさだ。危機が過ぎれば、資本主義はもっと繁栄し、もっと求められる、とFareed Zakariaは信じています。
世界的な経済危機で、既存の政治権力が崩壊するかもしれません。ただし、それはアメリカではなく、イランやロシアです。1930年代にはヨーロッパでした。
自由主義と民主主義に対抗しうるイデオロギーはどこにもありません。
FT June 16 2009
Europe will need to raise taxes in harmony
By Matti Vanhanen
FT June 16 2009
Latvia: A lat to worry about
By Robert Anderson and Stefan Wagstyl
(コメント) Matti Vanhanenはフィンランド首相です。なぜ小国は苦しむのか? 財政赤字、通貨供給、為替レート、経済政策の基本について、市場統合が進めば独立した変更が予想外の結果をもたらします。だから、大国の経済政策に従うより、協調のルールを決めてほしい、というわけです。
ラトビアは、為替レートを切り下げなければ不況が続きます。しかし、為替レートを切り下げれば、危機は深刻化し、国際的に波及します。周辺諸国への波及、スウェーデンの銀行システムへの損失、ECBの安定化融資、など、失うものが多すぎます。だから、ECBやIMFの支援を受けて、不況の程度を抑えながら為替レートが維持できる方法を模索しています。つまり、賃金や物価を引き下げることです。
ラトビアの国民はバブル景気によって得た貯蓄や富を失うでしょう。それは同時に、ソ連の共産主義体制から抜け出す移行過程の混乱と危機でした。もし国民が負担を分かち合うなら、ソ連時代の苦しみを思い出して、デフレによる調整を耐えられるかもしれません。
他方、アルゼンチンは切り下げました。そして、切り下げによって固定レートを維持するために従ってきた不況の悪循環を断ったのです。為替レートを低い水準で管理し、国内の需要を刺激しました。賃金を抑制し、それと同時に、公共料金は補助金を与えて低く維持してきました。
アルゼンチンのキルチンネル政権は、その後の経済運営に失敗した、と批判しています。しかし、(ラトビアにも)為替レートの切り下げと景気回復は可能である、と当時の政策担当者は語ります。
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The Economist June 6th 2009
Detroitosauurus wrecks
The bankruptcy of General Motors: A giant falls
Russia’s economy: A new sick man
Iran’s presidential election: No certain outcome
Charlemagne: Lonely at the top
Central banks7 exit strategies: This way out
(コメント) GMの倒産が注目されました。あるいは、ロシア経済の意外な強さも。
イランの大統領選挙は予想がつかない、と予想!されていました。
欧州委員会のバロッソ委員長は、右翼にも連邦主義者にも反対します。