今週のReview
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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シュンペーター、 北朝鮮、 インフレ懸念は正しいか、 GM破産、 ドイツ1-2とラトビア1-2、 オバマの中東演説、 天安門事件20周年、 商品本位制
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ただしBG: Boston Globe, CSM: Christian Science Monitor, FEER: Far Eastern Review, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, IHT: International Herald Tribune, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
WSJ MAY 29, 2009
By CARL SCHRAMM
(コメント) 資本主義の基礎は脆弱だ、とシュンペーターほど深く理解していた経済学者は少ないだろう。彼はワイマール共和国の崩壊、ソ連の支配拡大、大恐慌、そして第二次世界大戦を経験した。中央銀行が景気循環を克服し、株価の暴落など起こらない、という現代の経済学者が持ち始めた自信を、シュンペーターは共有しなかった。
資本主義の基礎を回復する過程に、彼は企業家の「創造的破壊」を見た。資本主義はこうした崩壊を避けられないのか、と問うより、危機からの回復に焦点をあてた。・・・CARL SCHRAMMは、危機から回復するには非生産的な経済計画よりも、個人の自由と、それに依拠した経済の拡大過程が始めることを重視しなければならない、と考えます。資本主義だけが、個人の自由や民主主義と市場の拡大過程を両立させる、と。
たとえ経済危機を繰り返すとしても、資本主義は次善の策として、選択されるだろう、というのがシュンペーターの考え方です。ビスマルクが、マルクス主義の脅威に対抗して、プロシア的な福祉国家体制を築いたことに関して、シュンペーターは、社会的・経済的な移動性を抑圧する、と考えました。市場の調整過程に伴う、リスクや失敗から市民たちを守るルールは必要だけれど、資本主義の活力をそいではならない、と。
F.D.ルーズベルトのニュー・ディール政策は、金融市場をゆがめた政策介入の結果、1937-38年に危機を再発させた、とSCHRAMMは批判します。シュンペーターなら、現在の危機に対しても、民主主義的な資本主義の再生を唱えるだろう。雇用と富をもたらす企業家精神に富んだ資本主義は個人の自由から発するのであって、政府による保証や国債からは生まれない、と。
May 29 (Bloomberg)
Roubini Finds Economy Even He Can Be Bullish On
William Pesek
(コメント) 危機を予測する名人であるルービニが、韓国経済の回復に太鼓判を押した、というのは面白いです。北朝鮮の核兵器に狙われ、前大統領が自殺したというのに。
韓国は、アジア通貨危機の際にIMFの厳しい融資条件に従った経験があるため、迅速な調整を進めるでしょう。それにとどまらず、一方ではアメリカにとって、日本(長期停滞)ではなく韓国(ミクロの調整促進)が、危機克服のモデルとして重要であると気づくきっかけになるかもしれない、と期待します。
また韓国は、北朝鮮の脅迫に直面していますが、北朝鮮に関する中国の不満は高まっているでしょう。食糧援助であれ、石油であれ、中国こそが北朝鮮の生命線を握っています。それにもかかわらず北朝鮮の行った核実験やミサイル発射は中国政府の意図を無視したものでした。
ルービニの楽観は、韓国経済の早期復活と、北朝鮮の体制を維持したまま経済改革を選択する(中国やベトナムと同じ)可能性が高まった、とみなす点で、投資家にとって興味深いのです。
LAT May 29, 2009 North Korea and the problem with the PSI By Donald Kirk
WSJ MAY 29, 2009 The Test Ban Treaty Would Help North Korea By PAULA A. DESUTTER
FT May 30 2009 Gates signals tougher approach to N Korea By Demetri Sevastopulo in Singapore
(コメント) 北朝鮮への海上封鎖、臨検が発動されるでしょうか? キューバ危機の再来?
CTBTによるミサイル監視は十分でしょうか? 核不拡散の体制は確立していません。そして、北朝鮮が核武装すれば、日本も競争に応じる、と考えられています。
アメリカの国防長官、ロバート・ゲーツは、北朝鮮にその選択がもたらす結果を考えるよう求めています。日本や台湾が核武装を考えるだろう、と専門家たちは見ています。米中の防衛協議も支持しました。
WSJ MAY 30, 2009 North Korea and Diplomacy
The Sunday Times, May 31, 2009 A mad, bad dictator dangerous to know
BG May 31, 2009 US and China must stand up to N. Korea By Martin Malin and Hui Zhang
(コメント) オバマはあわててお土産を持ってくる、と北朝鮮が期待した、という推測は正しいか? 少なくとも、アメリカ政府は北朝鮮の核実験を無視するのが正しい? 問題は中国であり、米中協議です。
The Japan Times: Sunday, May 31, 2009 Why isolate a global pariah even further? By TOM PLATE
SPIEGEL ONLINE 06/01/2009 KIM JONG IL'S NUCLEAR BRINKSMANSHIP: New Cold War on the Korean Peninsula By Wieland Wagner
SPIEGEL ONLINE 06/01/2009 CHINESE POLITICAL SCIENTIST SUN ZHE: North Korea's 'Calculated Chess Move'
The Japan Times: Monday, June 1, 2009 Squeeze Pyongyang gently By KEVIN RAFFERTY
China Daily 06/01/2009 DPRK's moves driven by inner urge to power By Zhang Liangui
FP Mon, 06/01/2009 What the Iraq surge tells about North Korea today By Peter Feaver
The Guardian, Tuesday 2 June 2009 Korea's extremism turns toxic Yang Sung-chul
(コメント) 北朝鮮の行動は、イランより先に、世界の安定性を失う危険を示しつつあります。東アジアにおける核軍拡、冷戦の再燃です。アメリカと日本が中国を説得して、北朝鮮への物資を止めることもできるのでしょうか? もし中国が成功すれば、中国の台頭を最も恐れる近隣諸国から、大きな信用を得ることになります。
もうひとつ、強調されるようになった解釈は、北朝鮮の権力継承問題です。次世代への権力継承を行うためには、それに見合った成果が必要です。核保有国になることや、アメリカとの国交正常化と物資の援助はその目的に合致します。
WP Tuesday, June 2, 2009 Shadow Boxing in Pyongyang By Anne Applebaum
(コメント) Anne Applebaumは、北朝鮮のエスカレーションは中国政府の求めたものではないか、と考えます。中国政府は、アメリカに代わって、東アジアにおける秩序の決定的な変更を狙っている。これはオバマ政権の戦略を試すためのゲームであり、韓国や日本の長期的戦略を(アメリカから切り離し)動揺させる機会である。
こうでもしなければ、結局、東アジアにおける中国の役割を日本が認めることはないだろう。もちろん、日本や韓国、台湾が核武装する危険はある。しかし、中国はその瞬間を試し、北朝鮮を使って東アジアの分裂を演出しているだけだ。最後の瞬間には、アメリカではなく、中国が仲裁し、次の秩序を築くために。
北朝鮮は操り人形でしかない。中国が人形使いだ。
FT June 2 2009 Clearing the decks for Kim-Who
Asia Times Online, Jun 3, 2009 Korea: It's not the bomb, it's the funeral By Spencer H Kim
IHT June 3, 2009 Crying Wolf By PHILIP BOWRING
The Japan Times: Wednesday, June 3, 2009 The nuclear nightmare By BRAHMA CHELLANEY
(コメント) 北朝鮮の核保有は、イスラエルと同じように、生存を保障するためのものだ、という説明を、ナイーブだ、とPHILIP BOWRINGは批判します。もしそうであれば、北朝鮮のことは中国が決めればよい、という判断に向かうでしょう。
もし北朝鮮が勝手に核武装を進めているのであれば、核武装した将来の統一朝鮮や、日本とアメリカのミサイル防衛網は、中国にとって、あまりにも重要です。もはや北朝鮮は中国の懸念事項になりました。中国は、東シナ海にも重大な紛争事項を抱えています。排他的経済水域におけるアメリカ海軍との軋轢、フィリピンやベトナムとの争い、ASEANの排除、などが、北朝鮮を含めて、中国の安全保障構想を形成しています。
China Daily 06/03/2009 DPRK's N-test misfires at home and abroad
FT June 4 2009 It is China that holds the key to North Korea By Dennis Wilder
Asia Times Online, Jun 4, 2009 Pyongyang better left to its devices Francesco Sisci
Asia Times Online, Jun 4, 2009 The hazards of a hasty succession By Donald Kirk
IHT June 4, 2009 North Korea Throws Down the Gauntlet By HENRY A. KISSINGER
(コメント) キッシンジャーは、北朝鮮が核保有の段階を進めようとしている、と考えます。アメリカの政権交代を、そのチャンスと見たようです。
中国の問題だ、と考える議論も多いのですが、キッシンジャーは中国の方が難しい選択に迷っているだろう、と考えます。北朝鮮との歴史的関係も、長い国境線を共有していることも、近隣諸国との複雑な関係も、中国だけで北朝鮮の方針を変えられる、という楽観を否定しています。
北朝鮮が核保有の意志を固めたのであれば、それを放棄させるには強力な圧力を要するでしょう。中国も含めて、周辺諸国が一致した行動を取らねばなりません。北朝鮮の体制が不安定化することになるでしょう。つまり、中国を説得するには、北東アジア全体の安全保障を合意して動かす必要があるのです。
北朝鮮が核保有を許されるなら、アジアの核軍拡競争は加速し、また、中東でも同様の事態を招くでしょう。この問題は多極化した世界の主要諸国が協調(a concert of powers)によって解決するしかないのです。将来の環太平洋の政治構造が決定されるような問題を含んでいる。
The Japan Times: Thursday, June 4, 2009 The path with North Korea By RALPH COSSA
NYT June 5, 2009 Don’t Make It Worse By MIKHAIL GORBACHEV
Asia Times Online, Jun 6, 2009 A sombre scoop for Pyongyang's pawns By Donald Kirk
(コメント) ほんとうの政治が、問題を紛争に変えず、紛争を軍事衝突に変えないために求められる。MIKHAIL GORBACHEVは、日本で聞かれる軍事攻撃論を批判し、韓国の冷静かつ、同じ民族として同情する姿勢を称賛します。核兵器を持った国家が崩壊することは、何としても避けるべきことだ、と。
NYT May 29, 2009
By PAUL KRUGMAN
FT May 29 2009
How economists can misunderstand the crisis
By Niall Ferguson
BBC 2009/06/03
Krugman fears prolonged slowdown
By Steve Schifferes
(コメント) P.クルーグマンは考えます。突然、皆がインフレを心配し始めた。それは経済学ではなく、オバマ政権を困らせて景気刺激策をやめさせる政治家の発想だ。
インフレの兆候は何もない。確かに連銀は通貨を供給しているが、銀行はそれを返すばかりで融資していない。確かに財政赤字はGDPの100%にも達する可能性があるが、だからと言ってインフレで帳消しにしなければならない、という法則はない。歴史を見ても、最近の日本の例を見ても、極端な金融緩和を行ったがデフレが続き、財政赤字は100%をはるかに超えたがインフレは起きなかった。
当時、クルーグマン自身が日本にインフレ政策を求めたが、採用されませんでした。アメリカでも、日本でも、問題は政治にあるのです。
他方、Niall Fergusonはクルーグマンを批判しています。10年物財務省証券の利回りが急上昇したからです。ファーガソンは、財政赤字と金融政策とが金利上昇とインフレをはさんで対立するだろう、と主張しました。しかし、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマンは、世界的な貯蓄過剰の中では金利が下がってデフレが続く、と主張しました。
現実はどうか、よく見ておいたらどうか? と。
しかも、クルーグマンは歴史を参照にする例を間違えている。今は1930年代ではなく、1973-75年に近い、とファーガソンは考えます。人々は財政赤字を心配しており、1970年代のようにインフレが起きると考えています。確かに工業部門では膨大な生産力が過剰になっています。しかし、他方で、金融危機の直前まで石油や食糧、一次産品の国際価格は高騰を続けていたのです。
FT May 29 2009 The high cost of rescuing carmakers
The Observer, Sunday 31 May 2009 The lessons we should learn from the wreckage of the British car industry Will Hutton
(コメント) GMは破産法を適用されます。そして債権者は大きな損失を受け入れ、株主は資産価値を失い、労働者たちは大量に解雇されます。政府による緩和策が必要でしょうが、この過程は避けられません。
問題は自動車産業が世界的な生産力の過剰に苦しみ、同時に、エネルギー価格の高騰や環境規制に対応した技術変化を求められていることです。世界で年間9000万台が生産できますが、その需要は6000万代以下に減っています。
大規模工場に依拠した労働者階級の最後の集団として、自動車労働者は高い賃金と安定した職場を獲得していました。しかし、自動車産業の再編成と合理化によって、GMのイギリスやヨーロッパにおける工場、子会社の多くが縮小され、あるいは閉鎖されます。できるだけ雇用を維持したドイツに比べて、イギリス政府の支援策が全くないことに労働者は憤ります。
Will Huttonも、スカンジナヴィア諸国が開拓したような「フレクスキュリティー(弾力的で安定した雇用)」の制度を、イギリスも準備しておくべきだった、と労働党政権を批判します。しかし、企業に関してはシティーの支配に従うだけで、雇用を尊重する姿勢を失っていた。今の政権がスキャンダルで支持を失ったことは当然だ、と。
WP Sunday, May 31, 2009 'Shock And Awe' Statism By George F. Will
(コメント) これはオバマ政権と民主党議員たちの「衝撃と恐怖」作戦なのか!? 経営者の報酬は年に1ドル! 政府が経営する企業とは、こんなものか・・・"shock-and-awe statism"
FT May 31 2009 General Motors holds a mirror up to America By Robert Reich
FT June 1 2009 How Washington blew GM’s bankruptcy By Michael Levine
CSM June 01, 2009 Obama's socialized bankruptcy for GM
(コメント) 普通の破産処理ではなく、オバマ政権は事前に交渉した条件で破産することを受け入れさせました。利益を分かち持つ者として、債権者や労働組合は負担を引き受け、政府を通じて国民も破産処理の負担を引き受けたのです。景気が回復すれば、中国から自動車を輸入するより、アメリカで生産できるだろう、と。
しかし、何年も失敗してきた経営陣が、これで会社を立て直せるのか? オバマはなぜもっと労働組合の年金や医療保険を削らなかったのか? 議会はGMの経営にいろいろと口を出すのではないか?
The Guardia, Monday 1 June 2009 Building a new General Motors Thomas Noyes
SPIEGEL ONLINE 06/01/2009 WHEN GIANTS STUMBLE: General Motors to File for Bankruptcy By David Welch
NYT June 1, 2009 Owning G.M.
WSJ JUNE 1, 2009 What I Learned as a Car Czar By ION MIHAI PACEPA
NYT June 2, 2009 Obama Sees ‘Painful’ Birth of New G.M. By JACK HEALY and DAVID STOUT
WSJ JUNE 2, 2009 The Obama Motor Co.
NYT June 2, 2009 The Quagmire Ahead By DAVID BROOKS
FT June 2 2009 End of a US era
(コメント) これは、GMに代表されるアメリカの自動車産業が世界をリードした時代が終わっただけでなく、大企業を通じた社会経済システムの改造が終わったことを示しています。
南部に進出した日本の自動車会社は、より効率的で、労働組合の負担も小さく、優れた小型車を生産した。組合によって高賃金や優遇された退職後の生活を得た「労働貴族」は、製造業からサービス業へと経済構造を変えた技術変化や、グローバル化した競争の時代には生き残れないのです。
しかも、アメリカ政府は積極的に社会保障を担おうとせず、大企業に頼っていたし、新しい条件に見合った経済構造の変化を促しませんでした。アメリカ経済の改善という幻想を、安易な債務の膨張によって国民に振りまいたのです。
BG June 2, 2009 GM in Obama's repair shop
The Guardian, Tuesday 2 June 2009 A new US industrial policy Kevin Gallagher
The Guardian, Tuesday 2 June 2009 What's bad for General Motors is good for the world Aditya Chakrabortty
(コメント) これはアメリカの新しい産業政策でしょうか? 日本、台湾、韓国、中国と、アジア諸国に負け続けて、アメリカ政府もようやく本気で学び始めたのです。銀行だけでなく、エネルギーでも、自動車でも、アメリカ政府は民間部門を救済して行くからです。
金融危機や世界的な不均衡を回復するには、アメリカがもっと生産し、輸出しなければなりません。政府は、消費過剰を促すより、生産の拡大に資源を向けることです。しかも、それは環境保護に役立つ形で刺激されるのです。
産業政策は保護主義という批判を受けます。しかし技術や信用の供給・配分においては、市場の失敗もあるのです。特に、環境改善の技術に投資しても、その利益は他者の者になるため、市場の選択は社会的に見て不適当です。しかし産業政策は、政府の失敗を免れません。さまざまな非効率や汚職の温床となるでしょう。
確かに、ブラジルやインドネシアの失敗したケースもあります。しかし、他方で、台湾、韓国、日本は成功しました。その経験に学ぶなら、産業政策を民間部門や世界市場と結びつけ、政府の責任を問う明確な基準を持つことが重要です。
FT June 2 2009 Salutary lessons from the downfall of a carmaker By John Kay
(コメント) GMの成功は20世紀の経営という本質を示したが、その没落は21世紀の経営について示している、とJohn Kayは指摘します。
P.ドラッカーやA.チャンドラーが「経営」の重要性を示したのはフォードとGMの分析によってでした。その成功は、生産ラインによる大規模工場に体現されていましたが、グローバリゼーションは彼らのメリットをデメリットに変えました。消費の多様化や、もっと細かい分野で技術革新を繰り返す必要があったのです。専門的な経営者は内向きで官僚的になり、生産ラインを効率的にするエンジニアたちは企業組織を硬直化しました。
そして、生産コストを下げるには、海外に移転する方が容易になったのです。労働者たちが得た高賃金は企業の死を早めました。
FT June 3 2009 General Motors goes to the garage By John Gapper
LAT June 3, 2009 What was the point of bailing out GM?
BG June 3, 2009 GM and the world we have lost By Richard S. Tedlow and David Ruben
(コメント) GMはアメリカの繁栄を示すシンボルでした。1950年代に、CEOのCharles E. Wilsonが、上院の委員会で安全保障上の懸念を質問されたとき、有名な言葉を残しました。GMの利益がアメリカの利益と対立するような状況は考えられない。「長年、私は我が国にとって良いことはGMにとっても良いことだと考えていた。その逆も真実だ。」
GMは、第二次世界大戦中に、軍需物資の10%を供給した。GMは、1950年代半ば、アメリカのGDPの3%を占めた。Fortune誌の企業番付で、54年中の37年間、首位であった。2000年まで首位、2007年でも、ウォル・マートとエクソンに次ぐ3位、2008年は6位であった。
しかし、GMの経営は、消費者や株主、労働者、国民、そして現実の変化から離れて行われてきた、と批判します。
The Guardian, Saturday 30 May 2009
Joschka Fischer
(コメント) ドイツの関心がEUから離れてしまうことを、Joschka Fischerは心配しています。ドイツ人がナショナリズムに向かう兆候はありません。しかし、EUに将来に対する期待は失われて、自国の利益を主張し、それを実現する手段でしかない、という考えが広まっています。
その証拠に、不況が深まる中でも、ドイツはEUとしての打開策を示そうとしません。EUに関わっても、ドイツは最も負担させられるだけで、効果的ではない、というわけです。顕著な例として、もし今、ドイツ・マルクを捨てて、ユーロへの通貨統合を支持するか? と訊かれたら、ドイツの政治家たちは間違いなく、ノー、と答えるだろう、と。
確かに、ドイツ再統合は実現できたし、歴史的な「ドイツ問題」は終わって、EUは憲法の国民投票に失敗し、加盟国が増えて非効率なメカニズムになりました。しかし、この曖昧なEUを放置しまた他、各国が自分の利益を追求できる、というのは幻想です。
Joschka Fischerは問います。EUの東方への拡大を成功させるにはどうすればよいのか? ユーロや共同市場に死活的な危機が生じたらどうするのか? ロシアからのエネルギー供給で問題が生じたらどうするのか? 中東やアフリカについて、どのような政策を採るのか? 地球温暖化や新しい国際金融秩序に関する解決策に発言力を示せるのか? こうした問題に対して正しい答えとは、より強力な、実質的統合化を進めたEUだけが有効な答を示せる、というものです。
いずれの国も、EUの政治プロセスに関与し、投資しなければなりません。しかし中でもドイツこそ、最大の経済、最大の人口を持ち、困難な過去を持っている国として、EUを強化しなければならない、と主張します。
The Times, June 4, 2009
The great bailout - Europe's best-kept secret
Anatole Kaletsky
(コメント) EU財政とユーロ圏では、ラトビアが「アルゼンチン型」の為替レート固定化を選択していました。それゆえ市民たちはユーロ建やスイス・フラン建の低利融資を利用したのです。
今回の金融危機によって、ラトビアの固定レート制はこれ以上維持できなくなっています。そして通貨価値が暴落すれば、ユーロ建融資を受けた企業や市民は返済できなくなるでしょう。それは融資した銀行の倒産にもつながり、ルーマニア、ハンガリーなど、周辺諸国やユーロと固定している諸国の危機にも波及します。さらに、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、特にオーストリアの金融危機が起こるかもしれません。
ドイツはEU諸国の救済融資や公的資金供給を否定してきました。しかし、ドイツやイギリスが反対しても、ラトビアの金融崩壊を放置するわけにはいかず、EUの連邦財政が必要になるでしょう。政治家たちが反対する中で、いつものように、ヨーロッパ的な裏取引と財源移転が進行します。
LAT May 30, 2009 Israeli settlements: a building problem
(コメント) イスラエルによるヨルダン川西岸への入植地建設をやめさせるべきだ、とLATは主張します。
「ある者は占領地にイスラエル市民がいることは安全保障を高めると信じていた。また、ある者は宗教的な情熱や、歴史上のホームランド(母国)を求めていた。『大イスラエル構想』を、あまりにも多くのユダヤ人が、長い間、夢見てきた。」
1967年の6日間戦争から占領地への入植が始まり、10年後に4000人、オスロ和平プロセスが始まった1993年には11万6000人になりました。そのとき、二国家独立案が双方から合意されて、占領地を返還することになったのです。
ところが入植地の建設は止まらず、西岸への入植者は倍増し、今では120の入植地に30万人が暮らします。連立政権で、少数政党の支持を得るために、左派であろうが右派であろうが、イスラエル政府はこれを止めなかったのです。
アメリカ政府はこれに反対していましたが、その姿勢は曖昧でした。しかし、オバマ大統領とクリントン国務長官は、明確に、入植の停止を要求しました。入植地は和平の障害である、と。
アラブの住民の真ん中にユダヤ人のコミュニティーを築くことは、パレスチナ国家の設立を難しくし、大規模な入植地を廃止することは激しい政治的分裂と暴力的衝突になるだろう。そして入植者を守るためにイスラエル兵士を送り込み、パレスチナ人の移動を禁止することは彼らの激しい怒りをかう、とLATは指摘します。
何よりも、入植地の拡大は、独立国家案を支持したパレスチナ穏健派の政治的な孤立と衰退、武闘派の復活を招きました。同時に、国際社会はイスラエルへの関心を失い、入植行為を明らかな国際法違反である、と考えています。
アメリカ政府はあらゆる圧力を使ってイスラエルに入植の停止を求めなければなりません。そして、双方が土地を交換して、国境を合意することです。
NYT May 30, 2009 Mr. Obama and Mr. Abbas
WP Sunday, May 31, 2009 Time to Plant Mideast Seeds By Jim Hoagland
FT May 31 2009 Obama must build on Arab peace initiative By Ghassan Khatib
(コメント) オバマ政権は、イスラエルのネタニヤフ首相が和平交渉を否定した姿勢に強く抗議し、入植を停止するように求めています。核拡散防止協定に関連付けてイスラエルの姿勢を見直すというのは、戦略的な方針転換を求めている証拠だ、とGhassan Khatibは理解します。
オバマ政権のこうした強い要求は、アラブ世界が反米に偏り、パレスチナで穏健派を抑えて武闘派が伸長したのは、和平プロセスが進まないことへの不満がある、とオバマ達が認めたからです。それはイランの強硬姿勢や核武装論に対しても、アラブ世界からの広い支持を強めてしまったのです。
オバマ政権は、こうした過激化の傾向を逆転したいと考えます。紛争は、非暴力的な手段で解決できる、という確信を、パレスチナとイスラエルの双方に与えねばなりません。
WP June 2, 2009 Obama Courageous, Foolish or Both? By Robert Kagan
NYT June 3, 2009 Obama on Obama By THOMAS L. FRIEDMAN
(コメント) オバマ大統領に電話インタビューを行って、フリードマンは、その姿勢を伝えています。すなわち、中東では、誰もが何かをしているが、他の者がしていることには触れようとしない。しかし、真実はそれらが関係しており、それを認めて自分のしていることも変える必要がある。私は真実を語るだけだ、と。
イスラエルの入植とパレスチナ独立国家の否定は、イランの核武装と関係しているのです。正しい答えは、双方にとって建設的なアプローチを示して、2国家案を実現することです。
オバマは演説だけで彼らの信頼を得られるとは思っていません。これはオバマ政権の外交アプロープが動き出す、全体の一コマなのです。「過激派テロリストとのアメリカの戦いは、彼らが募集する人々の感情や信念を変えることも含んでいる。もしカイロやラホールにいる、22歳から25歳の多くの若者たちが、私や他のアメリカ人の演説を聞いてくれるなら、『彼らが言うことのすべてに賛成することはできないが、彼らは私が誰であるか知っており、彼らは経済発展を促し、寛容で、包括的な計画を望んでいるだろう』、そうであれば、彼らはテロリストの募集に少しでも応じようとしなくなるだろう。」
カイロ大学で、彼らと同じようなアメリカの若い大統領を見たアラブ諸国の学生たちは、きっとその言葉を信じたい、と思うでしょう。
The Guardian, Wednesday 3 June 2009 Speaking frankly in Cairo Reza Aslan
The Guardian, Wednesday 3 June 2009 A Bush in sheep's clothing Ali Abunimah
(コメント) オバマは羊の皮をかぶったブッシュだ、という非難は、オバマの言葉は現実にとってなんの意味もない、と考えます。アメリカのイスラエル支持政策は何も変わっていない、と。オバマは、ブッシュと同じように、テロリストが真空から生まれたと考えている。現実には、前の大統領、ブッシュが中東にもたらした破壊と殺戮によって生まれたのだ。
9・11に対してブッシュ政権が行ったことは間違いだらけだった。パキスタンのテロリストがニューヨークで3000人を殺したという理由で、平和を好む何万人ものイスラム教徒をアメリカ軍は殺し続けた。アメリカはイスラエルを作ったことも、それを守ったことも間違っていた。
母国への要求? 離散の苦しみ? ・・・ユダヤ人は何を言っているのか? パレスチナ人のことか? エスニック・クレンジングを行っているのは、今ではイスラエルだ。「暴力や殺害によって抵抗するのは間違っている。成功しない。」 オバマの説教は誰に向かってするべきか? ・・・
SPIEGEL ONLINE 06/04/2009 Obama's Unfinished Speech in Cairo By Gabor Steingart in Cairo
NYT June 4, 2009 Baker’s Ghost in Cairo By ROGER COHEN
LAT June 5, 2009 Obama in Cairo
The Guardian, Friday 5 June 2009 Obama's speech in Cairo: a bold vision
WP Friday, June 5, 2009 The Cairo Appeal
WP Friday, June 5, 2009 The Settlements Myth By Charles Krauthammer
NYT June 5, 2009 The Cairo Speech
NYT June 5, 2009 Democracy’s Price of Admission By TZIPI LIVNI
(コメント) イスラエルの前首相、元外相が、パレスチナ政府の民主主義について批判しています。たとえ選挙で選ばれても、ヒズボラやハマスは民主的な政府ではない、と。
NYT May 30, 2009
Preventable Deaths
(コメント) 貧しい国の子供たちが担う貧困問題について。子供たちに栄養のある食事とワクチンを提供したい、というWHOの活動に、豊かな国からの資金を求めています。
NYT May 31, 2009
Carbon Offsets: A Small Price to Pay for Efficiency
By ROBERT H. FRANK
WP Monday, June 1, 2009
Cap-and-Trade: All Cost, No Benefit
By Martin Feldstein
(コメント) 環境保護税は必要か? たとえば、ジェット旅客機で海外旅行する人々には高額の環境保護税を支払わせるべきか?
さらに、温暖化防止のために効率的な炭素の排出業者を保護し、非効率な業者を廃業させるために、市場で排出権を売買することは有効か? 炭素を排出する者が保護されるのは矛盾しており、いかさまか?
たとえば、自宅で取れたトマトと、遠い外国で取れたトマトであれば、遠方のトマトほど輸送において炭素を排出しているから、値段を高くするべきか?
炭素の排出量に上限を課して、排出権の総量を抑制し、それをオークションで販売すると、炭素排出量の多い業界は購入しなければなりません。炭素税と同じになります。そして、もし余ったら、足りない企業に売るわけです。仲介業者がいて、在庫管理や先物取引が効率化されます。
Martin Feldsteinは、オバマ政権の提案に反対しています。アメリカだけがやっても、消費者に負担を強いるだけで、地球温暖化を防ぐ効果はない。オークション方式をやめるなら、政府の気に入った企業だけが負担を免れる、と。
NYT May 31, 2009
By YU HUA
(コメント) 1989年6月4日に、民主主義を求める民衆の声は頂点に達しました。その後、人々は金もうけに駆られて行きます。政府はその後、天安門事件をニュースから遮断しました。それゆえ、20年たって、何も知らない若者が増えています。だから私は発言することにした、と、YU HUAは書きます。
In China today, it seems only officials have “the people” on their lips. New vocabulary has sprouted up — netizens, stock traders, fund holders, celebrity fans, migrant laborers and so on — slicing into smaller pieces the already faded concept of “the people.”
政府を糾弾する民衆や、中国人民の声は、失われてしまいました。1989年には、その言葉はむなしいものではなく、YU HUAが学んでいた北京だけでなく、全国各地で人民が抗議の声を上げていた。そして、どうなったか?
・・・突然、北京から警察が消えた、とYU HUAは回想します。地下鉄もバスも、ただで乗れた。皆が笑顔を見せて、行商人たちはデモの学生たちに無料で飲み物を配った。退職者がわずかな貯蓄から広場でハンガー・ストライキをする者に寄付をした。学生たちを支持するために、スリも仕事を止めた。
・・・そのときの天安門広場は、私にとっての故郷である。中国全土から集まった、連日、学生たちが声が嗄れて出なくなるまで街頭で演説していた。聴衆は何度もうなづき、たとえ若い学生たちのナイーブな意見であっても、温かく拍手した。
・・・私は5月末に帰省し、デモが終わるとは思ってもいなかったので、6月3日の午後に北京へ向かう列車に乗った。翌朝目覚めて、北京へ向かう列車の中で、軍隊が天安門に入った、というニュースを聞いた。・・・
「あの晩、私は理解した。人民が一つになって立ち上がり、彼らの声がさらに遠くまで光と熱を放つのを。それこそ「人民」の意味するものだ、と私は発見した。」
FT June 2 2009
How Beijing kept its grip on power
By Minxin Pei
(コメント) 天安門事件の後、共産党は二つの教訓を学んだ。一つは、指導部内のリベラルを粛清し、政治的統一を固めた。もう一つは、社会改良を目指すエリート層を共産党に取り込んだ。特に後者は成功した。高学歴の官僚、大学教授、インテリたちを、共産党の幹部にし、政治的な地位を与えた。
もちろん、共産党の方針に背くものには容赦しないが、暴力的な手段を効果的に使うようになった。反体制の小さなグループを弾圧し、市民生活には介入しなかった。そして政治的な抑圧に並行して、市民的な自由は満喫できた。政府が先導した、ナショナリズムの高揚を受けて、共産党は中国人の地位を高める擁護者となった。
中国に入れば、営利活動の自由はなく、労働組合もなく、環境規制もなかったが、グローバリゼーションの中で、西側企業も共産党の支配に逆らわなかった。その限りでは、大きな利益を享受できたし、共産党の支配が正しい、という宣伝に利用されることを認めていた。
しかし、Minxin Peiは指摘します。天安門事件後の共産党は成功し続ける結果として、権力の頂点におけるテクノクラートとインテリの保守的政治同盟に奉仕する支配政党でしかなくなってしまった。共産党はエリートだけのために存在し、中国の大衆に何の基礎も持たない。
だから今も、彼らは天安門事件を恐れている、と。
The Guardian, Tuesday 2 June 2009
Lessons from Tiananmen
Ian Buruma
FT June 3 2009
China’s success outstrips democracy for now
By David Pilling
WP Wednesday, June 3, 2009
Beijing's Favorite Capitalists
By Harold Meyerson
BG June 3, 2009
China's 'socialist road' to misery
By Jeff Jacoby
The Guardian, Wednesday 3 June 2009
Twenty years after a victory and a defeat, time for a progress report
Timothy Garton Ash
LAT June 4, 2009
China and the ghosts of Tiananmen
By Wang Dan
NYT June 4, 2009
Bullets Over Beijing
By NICHOLAS D. KRISTOF
(コメント) 軍隊が人民に発砲し始めるのを、NICHOLAS D. KRISTOFは20年前に見た、と書きています。人民中国が人民に対して銃撃し、天安門通りthe Avenue of Eternal Peaceは血に染まりました。
そのとき、彼はNYTの北京支局長でした。軍隊の一斉射撃が終わって、傷ついた者が倒れていても、助けに行く勇気はなく、人々の陰に隠れるように、立っているだけだった。ノートは恐怖に染められていた、と。
・・・軍は救急車に対しても発砲したから、他の救急車は近付かず、助けなかった。しかし、ついに人力車が負傷者と死者を集め始めた。それは、生活のために、荷台を自転車で曳く、農民であり、労働者だった。重傷を負った学生を運ぶ自転車の男性は、頬を涙で濡らしていた。彼は命がけで、彼が主張したわけではない、民主主義を守ろうとしていた。
・・・それは北京の各地で起きたことだ。その夜、空港への旧い道路を、東から軍のトラックが北京市に向かっていた。中年のバスの運転手は、彼らを見るとすぐに、バスで道路を封鎖した。軍隊が、どけろ、と叫んだ。しかし、私はお前たちが学生を攻撃するのを許さない、と断言した。銃口は彼に向けられたが、運転手はバスをのけるのではなく、キーを抜いて道路わきの林に捨てた。そして逮捕された。
その後、政治は安定している。結局、人力車の曳き手やバスの運転手は生活水準の改善を求めていただけなのか? しかし、市民たちが教育を受け、豊かになって、中産階級を形成すれば、台湾や韓国がそうであったように、政治参加を、すなわち、民主主義を要求するだろう。
FP Thu, 06/04/2009
How Tiananmen changed China -- and still could
By Dan Twining
(コメント) 「フランス革命の評価をするのはまだ早い」と周恩来が言ったように、天安門事件の正しい評価は始まってもいないのです。
The Guardian, Sunday 31 May 2009
Reinventing politics
Jeremy Seabrook
WSJ JUNE 1, 2009
Samurai Economic Smarts
By MICHAEL AUSLIN From today's Wall Street Journal Asia.
June 1 (Bloomberg)
Bubble Trouble Haunts Japan 20 Years After Crash
William Pesek
(コメント) 日本経済の衰退ぶりにしびれを切らせたMICHAEL AUSLINは、日本の歴史に成功のカギを見出します。それは中世末期の戦国時代、独立した領邦国家が戦争を繰り返し、織田信長のような革新的な支配者は「自由貿易圏」を作って、通行税や税金を引き下げ、あるいは、廃止した。商人や職人を集めて都市の産業を奨励し、成長を加速させた、と。
日経225株価平均が3か月で30%も上昇し、日本経済は復活したのか? しかし、再びデフレの危険がある。再びゼロ金利が必要になるが、それでもデフレ・ギャップは解消されない。そして円高が進む。それがバブル崩壊の20周年記念の日本です。
NYT June 1, 2009
Reagan Did It
By PAUL KRUGMAN
NYT June 2, 2009
Administration Is Near a Financial Overhaul Plan
By STEPHEN LABATON
FT June 4 2009
Public private investment programme
FT June 4 2009
Regulating derivatives
(コメント) 誰が犯人か? と言えば、それはもちろん、レーガンとその顧問たちだ、とクルーグマンは断言します。金融秩序は失われ、政府も家計も、債務に依存するようになりました。
現代の金融秩序を回復する取り組みは、まだ、手さぐりを続けています。
IHT June 1, 2009
In China, Geithner Backs Cooperation
By DAVID BARBOZA
FT June 1 2009
Geithner’s good start in Beijing
NYT June 3, 2009
Geithner Says China Has Faith in U.S.
By DAVID BARBOZA
FT June 3 2009
Chimerica
China Daily 06/03/2009
There's no free lunch
WSJ JUNE 3, 2009
Geithner's China Pitch
The Japan Times: Friday, June 5, 2009
Geithner's 'G-2' invitation
By KEVIN RAFFERTY
(コメント) 米中の経済戦略会議は、どのような成果を上げたのでしょうか? 具体的に、新しい協調政策を実施するとか、国際秩序の変更を話し合う、という時期ではないようです。しかし、たがいに、相手の情報を詳しく分析し、能力を見極めている、というところでしょうか。
FT June 1 2009
Europe must take control of banking stress tests
By Jean Pisani-Ferry and Beatrice Weder di Mauro
SPIEGEL ONLINE 06/02/2009
EU SPLIT OVER LESSONS OF CRISIS: UK, Ireland Resist Push for More Financial Regulation
By Hans-Jürgen Schlamp
FT June 4 2009
Europe must not let Latvia fall
(コメント) ラトビアの危機を救済するとしたら、その後の金融政策はECBに委ねられるべきでしょう。すなわち、バルチック諸国がユーロ圏に加盟することです。これは逆であったはずです。ユーロに参加したいから、国内の経済条件を満たす努力が求められていました。
小国の不均衡を調整するには、為替レートは効果がありません。貿易依存度が高く、切り下げはインフレになって、その効果を失ってしまいます。また、外貨建ての借り入れが大きい場合も、切り下げは返済負担を増やして不況を悪化させます。
つまり、バルチック諸国は為替レートを放棄して、政治・経済統合を進め、財政支援策や労働者の移動、投資を誘致するしかないのです。もしそれを拒めば、EU統合は失敗であった、という不安が周辺に広がります。
BG June 1, 2009
The danger of IMF policies
By Joia S. Mukherjee and Brooke K. Baker
Asia Times Online, Jun 4, 2009
IMF gains illusory strength
By Aldo Caliari
(コメント) 世界的な金融危機を回避するためにIMFは追加の財源を得たが、その融資政策を変えるつもりはあるのか? IMFはいつもインフレを心配し、金利を上げて、財政赤字を減らすように求めてきた。このような政策を、今、貧しい諸国に求めるなら、非常に危険なことである、とBGの論説は批判します。
アメリカ政府は、自国で行っているのと同じことを、IMFの融資政策にも求めるべきです。銀行を救済し、政府が融資や雇用を増やし、金融を緩和することです。
YaleGlobal, 2 June 2009
The End of the Globalization Debate?
Edward Gresser
(コメント) 金融危機と不況が続けば、失業者が増え、確実に、保護主義は広がり、グローバリゼーションは逆転します。オバマ政権は予想されたほど保護主義に向かいませんでした。しかし、NAFTAの見直しや、中国の人民元に関する不満は、議会にも政府内にもあるでしょう。国民の多数は今も貿易を支持していますが、金融危機を救済するだけでなく、もっと投資を増やさなければなりません。
Asia Times Online, June 3rd, 2009
An Asian Commodity-Based Currency?
By David Goldman
Asia Times Online, Jun 4, 2009
Dollar's fate written in history
By John Lee
NYT June 6, 2009
Russian Warns Against Relying on Dollar
By ANDREW E. KRAMER
(コメント) ドルが弱くなって、アジアは商品本位制を模索し、あるいは、中東やロシアと協力して、エネルギー供給と工業製品とを交換する国際通貨協定を結ぶかもしれません。それらは完璧なものではないと分かっていますが、最近もASEAN+3が合意したように、混乱したドル本位制を逃れる制度なのです。
アメリカでも、それは保守派の金本位制復帰論やリベラル派の開発援助リンク、などと関連して議論されてきました。アメリカ自身にとっても、世界最大の農産物輸出国であれば、金準備の流出を恐れるドル本位制から、豊かな耕地によって裏付けられたドル本位制に変わる方が良かったでしょう。
BBC 2009/06/03
The purchasing power of peace
By Jorn Madslien
(コメント) PPPと言えば、購買力平価ですが、この論説はちょっと違います。「平和の購買力」です。不況対策として軍備拡張や戦争を唱える向きに反対して、平和産業を拡大するわけです。戦争は兵士よりも装置産業の問題となっています。
他方、平和を求めるなら、軍備拡大よりも成長を促す方が効果的です。平和によって利益が出せれば、それは好循環をもたらします。景気対策としても、防衛産業より、小売業や金融、旅行、保険、などを刺激するように求めます。
FP Thu, 06/04/2009
The Call: US and China on a collision course
By Ian Bremmer
(コメント) Ian Bremmerは、米中の協力体制が前進する、という楽観を否定します。中国はまだ発展途上国であり、国際的な負担を引き受けるより国内の課題に振り回されるのです。米中間の国際政策協調を語るにも、その考え方や基本的な言葉が共有されていません。
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The Economist May 23rd 2009
Good news: don’t waste it
Land deals in Africa and Asia: Concerning foreign fields
Buying farmland abroad: Outsourcing’s third wave
America and climate change: Cap and trade, with handouts and loopholes
The Federal Republic at 60: A German anniversary
The industrial revolution explained: Supply and demand
(コメント) 世界最大の民主主義、インドの選挙で、国民会議派とシン首相の改革が勝利したこと。中東の産油諸国や中国などが、その外貨準備を使って外国の企業や技術を買うだけでなく、外国の耕作地を購入、あるいは、長期借入する、という話は、世界の再分割を憂慮させます。
アメリカの間違いだらけの環境政策、ドイツの戦後60年、そしてイギリスの最初の「産業革命」。いずれも興味深いです。