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IPEの風 6/8/09
NHK「クローズアップ現代」を観ていると、電気自動車のもたらす社会変化を紹介していました。GM破産というニュースを追いかけるように、ガソリン自動車やハイブリッド車は絶滅する、というグリーン革命の宣教師・宣伝マンが勇躍しています。
言ってみれば、ビッグ・スリーを解体・分割して、1000人のオバマと環境ビジネスに、汚染された世界が食い尽くされる時代です。黒煙たなびく石油文明の覇者たちを悼む、新環境文明シリーズが始まっているのでしょうか?
・・・騒音、振動、そして、何よりもその排気ガスが不快で、健康や環境を破壊するガソリン車に代わって、静かで清潔な電気自動車が広まるでしょう。重要なのは蓄電池の開発です。ガソリン車のような複雑なエンジンやトランスミッションが必要ないから、少数の部品を組み立てるだけです。
モーターも車体も、誰だって作れるでしょう。だから、中国製の部品を使って、都会のビルの地下ガレージでミニ「自動車工場」ができます。かつて、都会の製鉄所(ミニ・ミル)が革命を起こしたように。
自動車は産業として消滅し、家電製品になります。どうぞ自動車を屋内に乗り入れてください。これはインテリアです。走っていない時間が多い自家用車は、個室として利用できます。本を読み、音楽を聴き、コーヒーを飲む。
電力は次第に環境に負荷を与えないスタイルに移行します。太陽・風力・地熱発電。火力発電でも、大量に処理する場合は、二酸化炭素を出さない技術があるそうです。排出される炭素を固定して、固形炭素を地球に還元します。
走るための蓄電池を他の家電製品も利用できるでしょう。さまざまな電源から充電し、同時に双方向で地域住民が分散利用する時代が来ます。ソーラー・パネルや風力発電が普及するように、家庭や地域のエネルギーを誰でも創り出し、貯めて、利用できます。
エネルギーと自動車が、パソコンやインターネットと同じように、もっと個人生活と密接に結びつきます。しかし、そうであれば、基礎技術や規格に関しては、世界的規模で民主的な統治を目指すことです。新しいマイクロソフトやグーグル、ウォル・マート・・・そして、原子力発電所に支配された、「マトリックス」の時代にしたくない、と思います。
ソフトは外部化され、激しい競争が様々な分野の新製品・新加工技術を実現するでしょう。軽量で、小型化され、どこでも、だれでも利用できます。人を運ぶことの容易さは、水道水のように、公共財になるでしょう。レンタ・サイクルのように、街の中では共有されるかもしれません。30分100円と使用電力代を払うだけで乗り放題・・・とか?
技術競争はその方向を変えます。たとえば、ゴミを出さないように。多くの部品が再利用され、蓄電池の希少金属も含めて、すべての資源を回収します。ビッグ・スリーと自動車産業は衰退し、消滅するでしょう。金融工学とデリバティブは、電力の売買が制度化され、市場が整備されて再び発達します。
数百の自動車メーカーと、数千、数万、数億の部品メーカーが、常に新しい供給ラインを形成します。中国、台湾、韓国と日本のコラボレーションが発展し、世界各地の企業連盟が互いに競争します。情報と供給のラインが共通化され、通貨同盟と同じように、戦争やナショナリズムを時代遅れにする、と期待されます。それは、政治家の熱病を冷ます、非戦ネットワークになります。
現在の自動車産業は、特殊な産業機械、ロボット、人間の入れない環境へ適応して、生き残るでしょう。つまり、戦場や先端医療、深海や宇宙空間、そして、・・・月や火星の開発業者になるのです。
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