IPEの果樹園2009

今週のReview

3/30-4/4

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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******* 感嘆キー・ワード **********************

東欧の金融危機とEU分裂、 アメリカの危機対策:ガイトナー、グリーンスパン、 民主主義とは共存できない?  G20と国際協調、 失業問題と労働組合、 ロドリク

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor, WSJWall Street Journal Asia


WP Monday, March 16, 2009; A17

The Shadow of Depression

By Robert J. Samuelson

(コメント) 人々は、現在の不況に苦しむだけでなく、過去の大恐慌が再来するという恐怖に怯えています。しかし、それは間違いだ、とRobert J. Samuelsonは主張します。

大恐慌の厳しさは、アメリカ経済は1933年に25%の失業率、1929年のピークからGDPの25%が減少する、という数字が示しています。現在の不況は、失業率が8.1%、GDPの減少額は2%でしかありません。

Samuelsonは、大恐慌が残した危機への安定化装置を指摘します。フード・スタンプやメディケイドは、当時、存在しませんでした。また、財政政策と金融政策も、当時と比べて、はるかに迅速かつ積極的に危機の緩和を目指して実行されています。

しかし、たとえ少数派でも、Barry Eichengreenが類似性の高まりを意識している以上、その意見を無視できないな、と私は思います。かつては金本位制が危機を国際的に波及させましたが、今では銀行と金融市場が同じ危険性を高めています。

それは国際政治の混乱や対立を意味します。今でも、新種の保護主義やナショナリズムを強める懸念があります。人々や企業家が不安を強めるほど、消費や投資は抑えられ、不況は続きます。

NYT March 20, 2009

Perverse Cosmic Myopia

By DAVID BROOKS

(コメント) DAVID BROOKSは、ヨーロッパの政治指導者たちが近視眼的で、国際協調・マルチラテラリズムに値しないことを厳しく批判します。世界的な規模で不況が拡大しているときに、IMFの制度改革など議論して何になるか? そんなことだから、ヴェルサイユ条約も、大恐慌も、国際会議は歴史的な破局を止められなかったのだ。

ヨーロッパが、ガイトナーやサマーズの協調的刺激策を拒む理由は、1.何でも世界の仕組みが悪いと思う傾向、2.アメリカと中国の刺激策によって回復することにただ乗りする、3.財政赤字を制限している、4.そもそも財政的な刺激策を考え方として受け入れない。


NYT March 16, 2009

A Continent Adrift

By PAUL KRUGMAN

FT March 16 2009

Reforms key for central and eastern Europe

By Radovan Jelasic governor of the National Bank of Serbia

FT March 18 2009

Precarious podium

By Tony Barber

(コメント) PAUL KRUGMANは、EUが連邦政府を持たないことを憂慮します。スペインはヨーロッパのフロリダであり、住宅投資がバブルになって失われたとき、もっと金融緩和や財政刺激策が必要でした。しかし、ECBは危機対策の緩和を行わず、統一した財政政策もありません。ヨーロッパのフロリダであるスペインで住宅バブルが破裂した後、建設業に代わる雇用や所得の源泉を得るには、かつて切下げを行った方策はユーロによって失われました。

このままでは不況の地域で、ユーロは失敗であった、と多くの者が思うでしょう。

セルビアの中央銀行総裁Radovan Jelasicは、東欧諸国がこれまでの資本流入に依拠した成長モデルを改め、また、EUレベルの金融監督・規制を強化するように求めています。しかし、改革や新しい成長モデルのは曖昧です。年金・医療・教育の改革を通じて競争力を高める、といった要求です。他方、失敗のイメージは明確です。為替レートの急激な減価とデフォルト、ハイパー・インフレーションです。

Tony Barberの記事は、EUサミットの示した危機対策(乏しい内容)を要約しています。2週間前のヨーロッパ議会を訪問したクリントン国務長官は、金融危機の対応に消極的なEUを批判しませんでした。真剣な協議ではなく、外交的儀礼に終始したのではないか? 彼女が賞賛したせいか、単一市場、共通通貨、中東欧の安定的秩序、は崩壊の淵に近づきます。

ドイツの政治家は、ギリシャやアイルランドのような他国の救済に資金を出すことを認めません。他方、東欧圏にはロシアが再び進出する機会を得ます、

The Guardian, Saturday 21 March 2009

Is it 1929 or 1989?

Dominique Moisi

WP Sunday, March 22, 2009; B02

Thank God America Isn't Like Europe -- Yet

By Charles Murray

FT March 22 2009

Europe needs a better plan for its banks

By Wolfgang Münchau

FT March 22 2009

Europe coughs up

(コメント) 2009年は、1929年や1989年に並ぶ、歴史を変える年になる予感があります。

ヨーロッパのようになりたいと望むアメリカ人は愚かである、とCharles Murrayは考えます。そして、奇妙な、違和感の残る、米欧人間モデルの解剖図を展開します。

私は、単純な構図として、ヨーロッパが金融システムのモザイク状態に苦しんだと思います。それが領土国家の政治的な権威や嫉妬によって、ますます機能不全になっているわけです。

Wolfgang Münchauは、ヨーロッパがアメリカに比べて政策対応に遅れていることを批判します。ECBはアメリカ連銀に遅れて金融政策を変更してきました。すでに実質ゼロ金利を達成していますが、量的緩和には進まないでしょう。債券市場が分裂しているから、と示唆します。

政府は、一旦、財政刺激策や金融救済(特に他国への救済)を拒みましたが、危機が深刻になったことで再考するでしょう。すべての国が同じ対応を取らなくても、金融危機への救済策には、公的資金も使った銀行部門への資本増強・不良債権処理と、銀行の再編・整理が必要です。銀行国有化や量的緩和は、それを助ける手段に過ぎません。

FTの簡潔な要約が面白いです。G20に向けてEUサミットが開かれました。そして、財政刺激策に慎重なドイツと、金融規制に慎重なイギリスとが妥協して、EU内や東欧の金融危機に苦しむ諸国にも支援を拡大する姿勢を示す、というヨーロッパ政治が機能したわけです。

IMF規模を倍増する提案やEU外の国にも国際収支問題に緊急融資する規模を倍増させました。金融規制に関しては、ヨーロッパ規模の規制を強化し、ヘッジ・ファンドやプライヴェート・イクイティ、そして、格付け会社への監視を強めます。

しかし、温暖化防止や発展途上諸国への支援策は決まっていません。

FT March 23 2009

Hungary

FT March 25 2009

Prague’s presidency

(コメント) ある国に深刻な通貨危機が起きると、IMFに融資を請う。IMFのチームが来て、政府と融資条件を交渉する。そして、交渉が長引き(あるいは受け入れたことで国民の反発を受け)、政府が倒れる。・・・ラテンアメリカでも、アジアでも、今は、東欧で起きています。

資本流入が止まり、資本逃避が起きています。経常収支の赤字を削減しなければなりません。そうでなければ為替レートは暴落し続け、債務不履行とハイパー・インフレーション、貿易の途絶に至るでしょう。為替レートの減価は輸出を増やすはずです。しかし、物価や為替レートが安定しなければなりません。悪循環を避けるために、IMFは内需を抑制し、放置すれば確実に膨張する財政赤字を削減させます。

たとえIMFのチームが来なくても、政府は同じような「調整」を国民に説得するはずです。IMFは、それを交渉として政治合意にまとめる潤滑油・緊急融資を提供する仕組みです。しかし、資本逃避が抑制できれば、もっと雇用を守れたでしょう。バブルで儲けた富裕層に課税できたら、また、債務を再編できたら、もっと返済負担を減らせる(国民の生活水準低下を抑える)でしょう。資本自由化を死守することが望ましいのか? と思います。

他方、EU議長国であるチェコでも連立政権が崩壊しています。

FT March 24 2009

German squabbles

NYT March 25, 2009

European Bank Resists Rush to Print Money

By CARTER DOUGHERTY

(コメント) ドイツの左右穏健派による大連立政権は、経済危機のさなかに選挙を迎えて、政治家たちはますます政党による政策対立を煽り、政府を制約している、とFTは批判します。

ヨーロッパの政治と歴史において、「ザロ金利」や「量的緩和」、「銀行救済」は、“printing money”という汚名をぬぐえません。ECBのトリシェ総裁は、ユーロ圏の金融システムがアメリカと違って銀行融資により多くを依存している、と強調します。

しかし、アメリカの金利が下がれば(そして量的緩和が進めば)、ユーロ高が進むでしょう。たとえ望まなくても、財政刺激策が動かせなければ、一層の金融緩和を強いられます。まるで、1980年代後半の日本を見るようです。

NYT March 26, 2009

E.U. President Calls U.S. Stimulus the ‘Way to Hell’

By STEPHEN CASTLE and DAN BILEFSKY

(コメント) 大西洋間で世界金融危機に対する対応の違いが鮮明になっています。アメリカ政府が財政刺激策における協調を呼びかけたことに対して、EU議長国のチェコ共和国首相は、the “way to hell”と呼んで拒否しました。旧共産主義国の有権者や政治家にとって、政府介入や大きな政府は、決して解決策ではないのです。

NYT March 26, 2009

I.M.F. Approves Romanian Rescue

By DAVID JOLLY

NYT March 27, 2009

Serbia Receives $4 Billion Loan From the I.M.F.

By DAVID JOLLY

(コメント) アイスランド、ウクライナ、セルビア、ベラルーシ、ハンガリー、ラトビアに続いて、ルーマニアもIMF融資に合意しました。金融危機を恐れて、ますます資本が小国から大国の債券に逃避しています。そして、大国の政府は、金融緩和と財政刺激策により、またIMFやその他の国際金融機関を通じて、あるいは二国間のスワップや貿易信用・保証、経済援助として、その資金(たとえ一部でも)が公的に還流するように努めます。

EUの組織では、その関心がますますユーロ圏解体の危機に集中しています。

The Times, March 26, 2009

Ten years on, the eurozone must beware of Greeks bearing debts

Charles Grant

(コメント) ギリシャの激しい反政府デモに対して、EUは救済融資を行わず、経済危機の深化とユーロからの離脱を放置するのか?  Charles Grantによれば、それはない、ということです。

経済改革や技術・競争力を改善せずに、財政赤字や、資本流入に依拠したブームで、経常収支赤字の拡大を放置していた国は、ギリシャを含めて一斉に資本流出と危機を経験しています。財政赤字を抑えることは難しく、消費を削って輸出を増やすくらいなら、ユーロから離脱し、切下げたい。政府にそのような誘惑があることを知っている金融市場は、こうした政府の債券を買いたがらず、プレミアを要求します。もしギリシャが本当にユーロから離脱すれば、他の諸国にもますます圧力がかかるでしょう。

しかし、Charles Grantはギリシャがユーロを離脱することはない、と考えます。その理由は、1.ギリシャ国民の多数はユーロからの離脱を望んでいない。離脱すれば資本が流出し、融資もされず、企業にユーロ建の債務が残る。2.EUは救済融資をしないと合意しているが、ユーロ圏への不安拡大を恐れる加盟諸国は融資に応じるしかないだろう。イギリスもドイツも、それを認めています。

問題は、融資条件です。改革を促し、政府の赤字体質を是正するには、厳しい条件を求めたいはずです。しかし、他方でギリシャ国内の政治不安もあります。EUはIMFと切り離して、独自の融資条件を模索していますが、Charles Grantは間違いだと主張します。IMFが融資条件を示すのでなければ、政治交渉は暗転し、おまけに、ギリシャ国民の憎悪を残すだろう、と。

ユーロ圏の救済融資に、世界の金融秩序が試されています。


FT March 17 2009 Why saving the world economy should be affordable By Martin Wolf

(コメント) IMFが主要国の財政赤字拡大を実行させるべく監視するべきだ、というのは、なかなか思い切った、4回転半のジャンプだな、と感じます。・・・つまり、IMFと言えば、インフレ抑制のために財政赤字の削減を要求するはずでしたから。しかし、同じように考えれば、デフレ抑制のために財政赤字を拡大せよ、と命じるのも、なるほどアメリカ政府になら、できるか!

金融危機と不況を回避するために、財政赤字を拡大するべきである、とガイトナー財務長官は主張し、ヨーロッパ、特にドイツ政府はこれを批判しました。なぜか? 財政赤字がインフレをもたらす、というだけでなく、政府や民間で過剰な支出を続けた赤字国(債務国)に対して警告するのが黒字国(債権国)の立場だからです。

しかし、黒字国ドイツが拡大政策をとり、赤字国アメリカは緊縮政策を取るとしたら、世界不況はさらに深刻化するでしょう。そして、債務の水準は確実に高まります。むしろ、IMFを巻き込んだ世界的規模の「プラザ合意V」(T:日米、U:米中)です。

FT March 17 2009

Self-assembly solution

By Peter Thal Larsen and Chris Giles

(コメント) スウェーデンの金融危機を処理した経験について、Bo Lundgrenがアメリカ議会に助言しています。「スウェーデン・モデル」と言われる特別な解決策はなく、また、本格的に危機を意識して行動したのは決して早くなかった、と述べたそうです。国有化した銀行は2行に過ぎません。他の銀行は自ら資本増強策を取ったのです。危機の経過が年代順に示してあって、有益です。

日本の話と比べて面白いと思ったのは、不良債権額の公表(審査)を重視しなかったことです。そんな数字の根拠は乏しく、小さくても、大きくても、市場は様々に疑うのです。むしろ、厳格な基準で、すべての申請を受け入れました。混乱を回避するのが目的であり、多くの銀行を国有化する意図はなかったのです。そして、銀行の経営権を握って、厳格な整理を指示しました。

三つの原則が必要です。国有化されても銀行は営利主体として活動を続けること。営利活動と政治介入とを明確に区別すること。そして、市場と国民からの信頼を維持するために情報を公開した、と。不良債権を処理することは、融資の拡大を目指す銀行と同じではいけない。だから“Bad Bank”を分離した。しかし、とスウェーデンの当局者は述べています、不良債権を購入しようとは考えなかった。なぜなら政府には正しい価格が分からないから。つまり、経営権を握って、最後まで銀行家たちに処理させたのです。

記事は、さらに、スウェーデンの経験が今の英米と異なり、単純に適用できない理由も挙げています。1.規模、2.複雑さ、3.政治的支持、4.特にクローナを大幅に減価できたこと、です。しかも、バルチック諸国への融資拡大に深く関与して、スウェーデンの銀行は金融危機に再び関わり、政府の救済融資を受けている、と指摘しています。

FT March 17 2009 Bring finance out of the shadows

WP Wednesday, March 18, 2009; A13 The Nationalization Option By Harold Meyerson

(コメント) グラス=スティーガル法があっても、危機は防げなかった、とFTは考えます。むしろ、銀行や保険会社が築いた「影のシステム」が規制を無視して膨張した、と批判します。

Harold Meyersonは、ガイトナーがAIGのEdward Liddy会長を解雇するべきだ、と主張します。ガイトナーの救済案は、あいかわらず、危機の条件を作った連中にその処理を委ね、国民に負担を求めている、と。

FT March 18 2009 Geithner needs to be given a chance

FT March 19 2009 IMF criticises US stability plan By Edward Luce in Washington

FT March 19 2009 Why the Turner report is a watershed for finance By Martin Wolf

(コメント) イギリス金融システムに対する方針転換を示唆する報告書が出ました。FSAの新長官Lord Turnerによるものです。

個別のリスク管理はシステムの安定性を保証しない。むしろ、システムをより危険なものにした。すなわち、長期融資を短期の証券にして混ぜ合わせ、分散し、世界中に「有毒」債券をばらまいた。さまざまな改善策を並べて、最後に、EU内の国境を超える銀行活動を「アイスランド問題」として規制を求めています。

それでも、なお、健全な銀行ビジネスとカジノとを分離することは拒んでいる、とMartin Wolfは批判します。そして、他の欠点も。

The Japan Times: Thursday, March 19, 2009 Bourbons of global finance By HOWARD STEIN and CLAUDIA KEDAR

(コメント) IMFは、金融危機の起源となったネオリベラリズムの普及をアメリカ財務省のサマーズやガイトナーと協力して進めてきた。今、IMFはアメリカに対して財政赤字の拡大を支持し、同時に、ラトビアやウクライナなど、通貨危機の国に対しては融資条件として財政赤字の削減を求めている。この世界的な二重スタンダードを見直さない限り、国際機関への信頼は回復できない、と批判します。

IMF融資から中所得国は逃げてしまい、最貧国への融資を世銀と争っています。ブッシュが世界銀行を私物化しようとしたように、オバマはIMFを利用するのか?

LAT March 20, 2009 Wise up, Mr. Geithner

WP Friday, March 20, 2009; A19 Does Geithner Get It? By Eugene Robinson

NYT March 21, 2009 The Fed Does Battle, Again

(コメント) AIGのボーナス問題で、ガイトナー財務長官への政治的な支持が失われつつあります。金融安定化に向けた新しい提案が準備されている中で、政治的な条件を欠いては致命的に後退となるでしょう。公的資金で救済され、存在しているウォール街のビジネスが以前と同じようなボーナスに潤うのを、国民は断じて許せないのです。

WSJ MARCH 23, 2009

My Plan for Bad Bank Assets

By TIMOTHY GEITHNER

(コメント) ガイトナーは、日本やスウェーデンのケースから学び、銀行のバランス・シートが損なわれるのを防ぐべきだ、と考えたようです。銀行ではなく、企業(や家計)部門が債務超過に陥るバランス・シート不況を、オバマ政権が意識しているのかどうか?

ガイトナー自身がWSJに説明しています。Public-Private Investment Programでは、債券や住宅の価格決定は民間市場で行なわれる。しかも、資産の買い取りは民間部門と一緒に行う。こうして、ガイトナーは最も難しい局面を回避できる、と思っているようです。民間の力が弱いなら、それを助ける。政府が支援した投資の損失は民間部門が同じようにかぶるし、利益があれば政府(国民)も回収できる。これは、ガイトナー投資銀行なのです。

ガイトナーにとって、これは作戦全体の一部でしかないのでしょう。金融緩和や財政刺激策、住宅差し押さえの回避策、中小企業向け融資、など、金融危機と不況に対する処理は全体として進んでいます。たとえポールソンが失敗したとしても、今なら民間部門の投資を呼び戻せる、と考えたようです。

この計画は、その名前Public-Private Investment Programが示すように、日本のように銀行が自主的に不良債権を処理するのを待って落ち込んだ長い経済停滞も、スウェーデンのような国有化で容易に処理できるという安直な政府による経済管理も、ともに拒否するために考え出されました。

BBC 2009/03/23 US unveils $1tn toxic asset plan

BBC 2009/03/23 Q&A: US bank rescue plan

The Guardian, Monday 23 March 2009 How the $1tn bank bailout will work Graeme Wearden

The Guardian, Monday 23 March 2009 In defence of Timothy Geithner Maura Kelly

(コメント) オバマ政権下で、一段の金融緩和と財政的な支援策がそろいました。連銀は住宅・モーゲージを買い、長期国債を買って、量的緩和策を始めました。

ガイトナーの新安定化策は、モーゲージの政府と民間による共同購入基金です。その考え方は、100ドルの住宅債権をオークションで84ドルと評価された。政府が6ドル、民間が6ドル出し、残りの72ドルは政府の融資になる、という。

その前提となっている考え方は、アメリカの金融システムが、なお、健全であること、一時的な買い手の不在を政府が補うこと、です。しかし、以前、ポールソンが政府と民間とが協力して買い上げる基金の設立を提案しましたが、失敗したわけです。

Maura Kellyは、ガイトナーを支持しています。確かに、USバークレーのBrad DeLongが指摘したように、この計画では、国家がヘッジ・ファンドのように行動します。そして、うまくいけば、「有毒」債権を市場から取り除いて、再び機能するようにできるでしょう。

The Guardian, Monday 23 March 2009 Show me the books, Mr Geithner Josh Bivens

The Guardian, Monday 23 March 2009 Timothy Geithner's toxic plan Dean Baker

FT March 23 2009 Double or quits in Washington

FT March 23 2009 Geithner’s plan

(コメント) オバマは問題を市場で解決すると決めたようだ、とFTは書きます。だからガイトナーの課題は市場を回復することなのです。しかし、金融機関の体力が失われている今、市場取引は容易に成立しません。問題は、憤慨する有権者たちの前で、政府の負担を明確にしないことです。他方、銀行は売却をせかされます。

WSJ MARCH 23, 2009 Treasury Unveils Toxic-Asset Plan, Citing 'Acute Pressure' on Banks By MAYA JACKSON RANDALL and MICHAEL R. CRITTENDEN

LAT March 24, 2009 In Geithner we trust?

LAT March 24, 2009 Geithner's plan isn't money in the bank By Simon Johnson and James Kwak

(コメント) ガイトナーは、銀行を救済するのではなく、銀行部門を介して市場を救済するのが目的だ、と明確に主張しなければなりません。

Simon Johnson and James Kwakの記事は、ガイトナー案の問題点に関する良い解説です。1.資産価値は市場でもっと低くしか評価されない。2.レモン問題、つまり、銀行は最悪の資産を売ろうとするが買い手には分からない。3.国民の銀行家非難。十分な財源を得られない。

銀行が不良債権を合理的な価格で売るときだけ、この計画は成功する、と。

WP Tuesday, March 24, 2009; A13 The Repairman's Burden By Eugene Robinson

(コメント) ガイトナーは過去の金融システムの上に再建しようとしている。しかし、ポピュリズムが強まれば、彼はその餌食になるだろう。

WP Tuesday, March 24, 2009; A13 Tackling Toxic Assets

(コメント) 幾人かの専門家による評価です。

WP Tuesday, March 24, 2009; A12 Mr. Geithner's Plan

NYT March 24, 2009 The Bank Rescue

(コメント) 銀行家も政府・財務省も、互いを信用できません。嘘をつく機会がある以上、嘘をつかないことは愚かである、という個人的・短期的な判断を、アメリカ人は否定できないのです。もちろん、アメリカ人でなくても。

銀行システムの危機というものは、他国の例を観ても、支払い不能の銀行と健全な銀行とを分離し、失敗した銀行の重役は解雇し、株式は価値を失い、残った損失と銀行の処理を政府が決める。それ以外にないようだ、とNYTは認め、オバマ政権がそうではない提案をするなら、説明が足りない、と批判します。

NYT March 24, 2009 U.S. Lays Out Plan to Buy Up to $1 Trillion in Risky Assets By BRIAN KNOWLTON and EDMUND L. ANDREWS

BG March 24, 2009 Geithner's halting detox plan

WSJ MARCH 24, 2009 The Geithner Asset Play

WSJ MARCH 24, 2009 Why Congress Will Kill the Bank Rescue By VINCENT REINHART

(コメント) 結局、ガイトナーの提案ではリスクのほとんどを政府・納税者が負うのではないか? 市場のオークションが正しい価格を示せるのか? 処理の仕組みがわかっているのだから、資産の良しあしを分かっている内部情報を持つ者が(納税者を犠牲にして)大きな利益を得るのではないか?

VINCENT REINHARTは、ポールソン前長官の提案と比べています。重要な違いは購入価格の決定です。民間部門が決めて、その損失も利益も民間投資家と政府とが同様に負担するのです。しかし、議会における危機の犯人探しと金融機関の重役たちに報復する声は強まっています。ガイトナーの提案は、それと矛盾するかもしれません。

FT March 25 2009 We need to share the bill for bail-outs By John Gapper

(コメント) 今や、金融機関は「大き過ぎて潰せない」だけでなく、「大き過ぎて救えない」という問題を抱えています。金融機関の国有化は解決ではなくなり、その国際所有が求められます。では、救済のコストを各国間で正しく分担できるでしょうか? IMFを介して交渉するしかないのです。

アイスランドでも、私はそう感じました。

FT March 25 2009 Daddy, tell me, what exactly is a derivative? By James Carville

WSJ MARCH 25, 2009 Toxic Assets Were Hidden Assets By HERNANDO DE SOTO

(コメント) 政治は複雑さを嫌う。オバマは金融安定化策への支持を得るのに苦しみます。国民は、政府が何を買うのか、なぜ買うのか、理解できません。

貧者の中に「資本」を見出した経済哲学者、HERNANDO DE SOTOは、デリバティブを所有・経済ルールに従わせる原則を示そうとします。所有制による経済システムは、透明な情報システムを機能させるときだけ効果的に働きます。スミスもマルクスも強調したように、「富とは生産されるものであり、所有のことではない。」

CSM March 26, 2009 edition How not to sell toxic mortgages By the Monitor's Editorial Board

March 26 (Bloomberg) Geithner Deals Wall Street a Can’t-Lose Hand Margaret Carlson

The Guardian, Thursday 26 March 2009 A grand bargain for global capital Will Hutton

(コメント) 穏健左派の理論家としてWill Huttonの議論に示された政策も、決して特別な政策ではないな、と思いました。1.銀行部門の再建、2.中央銀行による流動性供給、3.厳しい金融監督による信頼回復、4.国際機関の強化・ガバナンス改善、5.黒字国による刺激策のIMFによる監視、6.より公平で持続可能な資本主義を目指せ。

The Guardian, Thursday 26 March 2009 Brown must focus on the banks Bill Emmott

(コメント) 穏健右派の理論家としてBill Emmottをみなすのは適当でないかもしれませんが、イギリス政府が関心を銀行システムの部分的国有化・早期再建に集中するよう求めています。景気が悪化するたびに追加の刺激策を要求されても、財政赤字で通貨・金融不安を招きかねません。もはや景気刺激はポンドの減価による輸出増にかかっており、それは世界市場が回復しなければ難しいのです。

イギリス政府が動かせる経済に対する介入手段は、すでに国有化した銀行部門の一部(RBS and Lloyds/HBOS)にあります。これらを完全国有化して、その資産を整理し、銀行部門の再編に明確な方針を示すときです。

FT March 26 2009 We need a better cushion against risk By Alan Greenspan

(コメント) 「旧ソビエト連邦にバブルは起きない」とグリーンスパンは反論します。市場経済の成功は、たとえバブルや危機をともなっても疑う余地のないものだ、と。

中央銀行にバブルが予知できなくても仕方ない。ユーフォリアの形成はモデル化できない。We can model the euphoria and the fear stage of the business cycle. Their parameters are quite different. We have never successfully modelled the transition from euphoria to fear.

FT March 26 2009 Geithner’s new rules of the game

WSJ MARCH 26, 2009 Geithner Calls for Tougher Standards on Risk By DAMIAN PALETTA, MAYA JACKSON RANDALL and MICHAEL R. CRITTENDEN

(コメント) ガイトナーは、単に部分を修復しているのではなく、ゲームのルールを変えるのだ、と主張しました。他方、FTWSJは、(当然ながら)過剰な規制を恐れます。


FT March 18 2009

Lessons for the west from Asian capitalism

By Kishore Mahbubani

The Sydney Morning Herald, March 21, 2009

Meltdown is causing a crisis of confidence in globalisation

Ian Verrender

FT March 24 2009

A new era of accountable capitalism

By Karl-Theodor zu Guttenbergthe German economics minister

(コメント) グローバリゼーションの崩壊を止めるのは「アジア的資本主義」でしょうか? Kishore Mahbubaniは、その自信を示しています。あるいは、ヨーロッパが目指すものでしょうか?  we need to set up intelligent rules to which all market actors have to adhere and that will foster transparency, credibility and trust.


LAT March 18, 2009

The real 'outrage' behind AIG's bonuses

Tim Rutten

IHT Friday, March 20, 2009

Off with the bankers

By Simon Johnson and James Kwak

The Observer, Sunday 22 March 2009

Obama should beware the growing anger in America

Michael Crowley

WP Sunday, March 22, 2009; B01

Obama Told Us To Speak Out, But Is He Listening?

By William Greider

NYT March 22, 2009

Has a ‘Katrina Moment’ Arrived?

By FRANK RICH

March 23 (Bloomberg)

Goldman Sachs Turns to Betty Boop, Hello Kitty

William Pesek

NYT March 23, 2009

Financial Policy Despair

By PAUL KRUGMAN

WSJ MARCH 23, 2009

A Smoot-Hawley Moment?

(コメント) AIGのボーナス問題は、オバマに対する政治的な危機におよぶ可能性があります。オバマ政権の「カトリーナ」が、議会にとっての「スムート=ホーレー法案」が、すでに始まったのです。

PAUL KRUGMANは、ガイトナーの提案に、失望したどころか、全く絶望した、と書いています。

オバマ政権の考え方はウォール街に近すぎる。金融破たんの後には、金融システムに対して多くの債務(すべてではない)に保証を与え、一時的に国有化して処理する。それがスウェーデンで行われたことだ。

しかし、ガイトナーは国有化を拒んだ。資産の評価が下落するリスクを政府が負いながら、投資家に上昇する利益を与えるから参加してほしい、と頼んでいる。政府は、資産の価値が一時的に市場で低く評価されているだけで、本当の価値はもっと高い、と主張するわけだ。

何も問題ないといい続けた経営者たちを残したまま、政府が銀行に補助金を与え続けて、市場の回復を待つ。それがオバマ政権だ。その間に時間が浪費されている。失業者はさらに増え、オバマの政治的資本は尽きてしまうだろう。

March 27 (Bloomberg)

AIG Bailout Is Worth More Than 96 Million People

William Pesek

(コメント) フィリピンのGDPが1440億ドルに対して、AIGの救済融資額は1830億ドルです。AIGを救済するほどのおカネがあれば、人口9600万人の経済活動がまかなえます。ロンドン・サミットを前に、銀行を救う前に人間を救え、というデモが行われるのも当然でしょう。

アメリカ政府は、その貸し手たち(中国、中東産油諸国、ロシア)がアメリカのカネの使い方を見守っていることを忘れてはいけません。また、アジアの中央銀行家たちが集まれば、ベン・バーナンキのことを話し合っています。フィリピン中央銀行は、世界貿易が減少し、融資・投資が減り、外国で働くフィリピン人労働者が解雇されて送金が減る中で、アメリカ政府の政策を見守ります。

確かに、中国やアメリカの景気が回復すれば、フィリピン経済も回復する、と思います。しかしアメリカは、いつまでドルの価値を損なうことなく、銀行救済の資金を得ることができるか?


China Daily, 2009-03-18

US, China should foster win-win relationship in the 21st century

WSJ MARCH 18, 2009

Mr. Wen's Debt Bomb

March 19 (Bloomberg)

China Toys With Biting Hand Feeding Its Surplus

John M. Berry

China Daily: 2009-03-20

Fix US banks first to end global recession

By Dan Steinbock

(コメント) 中国はアメリカが金融危機の問題を解決するように求め、そのためには協力的な姿勢を維持したい、と表明しています。他方、アメリカは、そのような発言を中国の首相などがわざわざすることに、黒字国・債権国の意図を警戒します。


FT March 18 2009

US quantitative easing

The Guardian, Thursday 19 March 2009

The Fed hits the emergency button

Josh Bivens

FT March 19 2009

Bold Bernanke leads by example

March 20 (Bloomberg)

Greenspan’s Bubbles 101 Lesson Must Be Avoided

William Pesek

FT March 23 2009

The threat posed by ballooning Federal reserves

By John Taylor

(コメント) アメリカの金融政策が「量的緩和」に踏み込んだことについて。


The Times, March 19, 2009

Are democracy and capitalism incompatible?

Anatole Kaletsky

(コメント) 不況と失業をもたらしながら、自分たちへの報償やボーナス、退職金をあきらめない銀行家たちを、公然と非難し、最後はリンチにしなければ群衆の怒りは収まりません。

窮地に陥ったガイトナーを観て、Anatole Kaletskyは問います。「資本主義と民主主義は共存できるのか?」 ここでも、ネオリベラリズムの公式が逆転してしまったのです。市場に道徳や倫理感を求めても無理だと分かっているでしょうが、1930年代にも人々の不満は抑えられませんでした。

ケインズは金本位制を放棄して財政支出を弾力的に行うよう政府に説得しました。しかし、民主的な諸政府はそれを無視したのです。「インフレーション、浪費、破産」という批判が財政刺激策を圧倒しました。・・・借金で債務危機は救えない。貯蓄は美徳だが、浪費は悪徳だ。紙幣を増発すればインフレになる。最善の不況再策は政府職員を減らすことだ。・・・

1930年代にケインズの主張を実現した唯一の国は、アメリカやイギリスではなく、ヒトラーの支配するドイツでした。現代でも、積極的な刺激策を実行しているのは中国です。


FT March 19 2009

Do not let the ‘cure’ destroy capitalism

By Gary Becker and Kevin Murphy

March 24 (Bloomberg)

Gary Becker Dishes Antidote to Federal Activism

Amity Shlaes

(コメント) 危機の結果を政治的な介入で緩和することには慎重でなければならない、とGary Becker and Kevin Murphyは主張します。第一の原則は、「害をなさないこと」。

市場による調整を損なっている、として、オバマ政権の金融救済や財政刺激策にも批判的です。さらに強固な金融規制で今回の危機を回避できたとは考えません。大恐慌でさえ、放置した方が正しかった、と主張します。なぜか? 大恐慌によって広まった政府介入は経済成長を抑圧しただろうし、ソ連圏や中国の共産主義体制、インド、アフリカに市場の抑圧をもたらしたからです。

WSJ MARCH 21, 2009

Now Is No Time to Give Up on Markets

By MARY ANASTASIA O'GRADY

YaleGlobal, 23 March 2009

No One Model for New Global Economy

Yoichi Funabashi

(コメント) 船橋洋一が考える、国際自由主義体制の再建は、それと異なります。

資本主義の多様さがますにつれて、自由貿易と資本の国際循環を保証するのは「新ブレトン・ウッズ」ではなく、「日米中三極体制」US-China-Japan trilateralismである、と主張します。それは、むしろ日中の経済観が大きく異なっていることと、アメリカ財務省証券を大量に保有して、アメリカ経済再建のために融資を続け、アメリカ市場の開放、保護主義やドル暴落への懸念を分かち合うことで協力関係を維持する、という体制です。


The Guardian, Thursday 19 March 2009

Don't forget – we need immigration

Jill Rutter

BBC 2009/03/20

Migrants change track to beat recession

By James Melik

NYT March 24, 2009

Obama Flinches on Immigration


Asia Times Online, Mar 19, 2009

G-20 fritters as crisis deepens

By Hossein Askari and Noureddine Krichene

FT March 20 2009

We had no alternative, says Bernanke

By Krishna Guha in Washington

IHT Friday, March 20, 2009

Road map out of crisis

By Angela Merkelthe chancellor of Germany and Jan Peter Balkenendethe prime minister of the Netherlands

(コメント) ドイツとオランダの首相が、G20(ロンドン・サミット)に向けた声明を発表しています。ドイツ圏、旧加盟国、大国と小国の組み合わせです。

それは、グローバリゼーションに政治的な枠組みを与える試みです。政府間の協調を超えて、そもそも望ましいグローバリゼーションのあり方を世界社会が権利として人類に保障するのです。だから、a Global Charter for Sustainable Economic Activityと呼ばれます。

中身は当たり前のものですが、世界人権宣言の発想です。経済危機の克服、金融システムの改善や景気対策、失業問題だけでなく、「市場の社会化」に、彼らは答えを求めます。

The Guardian, Saturday 21 March 2009

Coleridge at the G20

Richard Bronk

FT March 22 2009

Peripheral care should be the central concern

By George Soros

(コメント) 第二次世界大戦後、初めて欧米の主要金融機関まで危機が及んだ。周辺から中心に向けて資本逃避が進み、初めて金融市場にも保護主義が及んだ。しかし、英米の財政刺激策とドイツの慎重な姿勢とは国際協調体制を破壊する恐れがある。

しかし共通利益の基礎はある。GNP2%の財政刺激策と周辺市場への金融システム支援である。そのためにはIMFが新しい融資メカニズムを作ることだろう。財源はSDRを利用しても良い。

The Guardian, Sunday 22 March 2009

Dig for victory

Jeffrey Sachs

WP Sunday, March 22, 2009; A17

Upbeat Down Under

By David Ignatius

(コメント) Jeffrey Sachsは、世界不況の対策として、21世紀にふさわしいインフラ投資を求めます。それは、持続可能な成長を可能にする投資であり、しかも、貧しい発展途上諸国がそれを実現できるような投資です。

David Ignatiusは、中国の事情に詳しいオーストラリアのKevin Rudd首相が米中協力を新しい国際体制の要になるとみていることを重視します。

The Guardian, Monday 23 March 2009

Taming the financial casino

John Kay

The Guardian, Monday 23 March 2009

Striking the right balance

Howard Davies

(コメント) 資本主義復活のカギは、正常な銀行活動とカジノとを分離することである、とJohn Kayは主張します。Howard Daviesは、いくつかの点で、ガバナンスの改善を指摘します。グローバル化、効率性、正当性、市場と国家、規制、地域協力。

FT March 23 2009

The importance of empty words

By Gideon Rachman

LAT March 24, 2009

Making the world work again

By Barack Obama

(コメント) いずれの国の外交官にとっても、これほど困難な国際会議はないだろう、とGideon Rachmanは懸念します。国内の圧力が保護主義を求めている中で、政治家にとっては国際会議で自由貿易を支持する宣言が出ることだけでも重要です。

他方、オバマ大統領のG20に向けた呼びかけは、最大限の目標を示します。すなわち、グローバリゼーションの後退を避けて、景気回復を一気になし遂げ、このような危機が再発しないための制度改革を実現するために協力しよう、というものです。アメリカは、この共通の目的に向けて指導力を発揮する用意がある、と。

The nations of the world have a stake in one another. The United States is ready to join a global effort on behalf of new jobs and sustainable growth. Together, we can learn the lessons of this crisis and forge a prosperity that is enduring and secure for the 21st century.

The Guardian, Tuesday 24 March 2009

Summit fatigue

Ilana Bet-El

(コメント) しかし、サミットさえ開けば問題は解消する、と信じる者はいません。むしろ多くの、さまざまな問題ごとに、世界のあちこちで開かれるサミットに出て、政治家たちはしばしば話し合い、メディアは次々にニュースとして伝えます。

予め決まった宣言を示し、自分たちにできることはわずかしかない、と政治家たちもメディアも知っています。異なったメンバーで話し合い、共通の要求は、より大きな財源です。危機救済にカネ、失業者にカネ、安全保障にカネ、環境対策にカネ、エイズ治療にカネ、援助にカネ、・・・

The Guardian, Thursday 26 March 2009

A new lending plan for the IMF

Dominique Strauss-Kahn

NYT March 26, 2009

Grand Bargain

(コメント) こんなことは起きないはずですが、・・・ヨーロッパはアメリカの求める財政刺激策や金融緩和に反対し、アメリカ議会は刺激策が国内の雇用を増やす効果を確実にするため、需要が外国に漏れるような輸入に対する障壁を求める。

・・・裕福な国は自国の銀行を救済するが、その融資が外国に向けられることを妨げ、貧しい諸国向け融資が削られる。多くの発展途上国が通貨価値を切り下げ、対外債務もデフォルトになる。輸出を増やそうとしても、ますます競争的な切り下げが起き、裕福な国の市場は閉ざされる。

こうした近隣窮乏化政策は正しく対応ではない、危機を悪化させるだけだ、と分かっていても、他の手段がなければ、国内雇用を守るために保護主義に向かうことは避けられない。

だから、G20に集まる指導者たちは協調的な解決策を示さなければなりません。・・・日本、EU,アメリカは、IMFの融資可能な財源を5000億ドル増やすことを支持しています。IMFは融資条件を緩和し、より迅速に行います。世界銀行は、貧しい諸国への援助額をGDPの0.7%増やすように求めています。中国がIMFでより大きな役割を担うことを歓迎し、IMFへの財源提供を求めます。各国は、銀行が発展途上諸国向け融資を引き上げないように説得します。

こうした政策を協力して進めることで、集団的な責任の観念が生まれ、また、国際機関がその実行を監視する役割も果たすでしょう。

The Guardian, Thursday 26 March 2009

Time for Gandhi's 'true economics'

Jeremy Seabrook

The Guardian, Thursday 26 March 2009

The G8 globalisation addicts

Ann Pettifor

The Guardian, Thursday 26 March 2009

The G20 summit in London will be missing one great power. Guess who?

Timothy Garton Ash in Beijing

(コメント) どのような政策も分配に影響します。G20が目指す共通政策の目標は、貧富の格差を是正する、にすれば良いと思います。それは、さまざまな景気刺激策や雇用促進、投資、環境、エネルギーにも反映できるでしょう。貧しい国の、貧しい人々が、栄養状態や教育を受ける機会を増やすなら、すぐれた世界経済の成長促進策になるでしょう。

1933年、大恐慌の中でケインズが認めたように、グローバリゼーションを後退させることで景気刺激策は実行できます。G20が必要とするのはthe localisation theory of today's "new economics"である、とAnn Pettiforは考えます。

20に「ヨーロッパ」は存在しない。イギリス、フランス、ドイツ、などはあるが、ヨーロッパはない。そして、ヨーロッパでなければ、重要な政策に十分な役割を果たせないし、発言することも求められない。G20は、G2だ。米中協力によって動く。

NYT March 26, 2009

Anger Rises in Europe Over Lost Jobs

By JULIA WERDIGIER and MATTHEW SALTMARSH

(コメント) 失業者が増加し、金融機関の救済が増え、それでも莫大な給与や退職金を得ているバンカーたちへの憎しみが渦巻く中で、ロンドンのG20が開催されます。

ロンドン・サミットに向けて、さまざまな抗議デモが計画されています。フランスでも、120万人がデモに参加し、政府は昨年のような移民や失業者による自動車への放火が再発することを心配します。深刻な不況は、政府の能力に対する不信感にもつながります。

The Times, March 27, 2009

G20 must look beyond the needs of the top 20

Wang QishanVice-Premier of the People's Republic of China


WSJ MARCH 20, 2009

Obama Is No Socialist

By ALAN S. BLINDER

The Guardian, Saturday 21 March 2009

As the job market plunges, the fantasy politics prevail

Polly Toynbee

(コメント) オバマは資本主義を改革しようとするが、それが実現しても社会主義ではない。他方、労働党政権でありながら、Polly Toynbeeは失業や貧困に不満です。


FEER March 2009

Japan’s Leadership Deficit

by Tobias Harris

CSM March 23, 2009 edition

Wanted: elected leaders with international experience

By Robert Dujarric and Andy Zelleke

(コメント) 多くの日本人が思うように、外国のジャーナリストたちも思っています。「・・・なぜ日本の政治家はこんなにお粗末なのか?

Tobias Harrisは、政治の世襲制よりも、制度(官僚制や自民党)による制約を問題にします。それほど説得的ではない、と感じました。むしろ、有能な若手を抜擢する習慣がないからでは、と私は思います。また、組織や集団の利益を理由に、真実を隠蔽する習慣も、指導者の資質をゆがめているでしょう。問題の性質(高齢化、など)が指導力によって解決できないものだった、というのは面白いです。

Robert Dujarric and Andy Zellekeの記事は、日本だけでなく、欧米の指導者が今も内向きであり、外国生活や事情についての知識や経験を欠いている、という批判です。

FT March 25 2009

Japanese exports plunge

NYT March 26, 2009

Falling Exports in Japan Hit Small Companies Hardest

By HIROKO TABUCHI

FEER March 2009

Why I'm Bullish on Japan

by Jesper Koll

(コメント) Jesper Kollは、輸出の落ち込みによって日本の強さが隠れてしまったが、技術や労働者の質(ただし若者ではない)において、日本の優越は明らかだ、と主張します。

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The Economist March 14th 2009

The jobs crisis

Unions: In from the cold?

Unemployment: When jobs disappear

(コメント) 労働市場が弾力的なアメリカの方が失業は増えているが、ヨーロッパは遅れて失業者が増加し、しかも長期に及ぶだろう、と予想します。各国は雇用を維持するように補助金を増やしていますが、結局は調整を妨げるのであり、次第に、労働者の移動や新規雇用を重視する政策に転換しなければならない、と。中国や日本の事情は全く異なっており、その対策においても優劣を競うことになるでしょう。

興味深いのは労働組合の復活を評価する記事です。以前からThe Economistは、労働組合が新しい役割を担うべきだ、と主張してきました。そのまま信用できない面もありますが、知識を重視する個人労働者が組織される可能性、その組合によるメリットを検討することは重要だと思います。ホテルの清掃であれ、大学教師であれ。


The Economist March 14th 2009

The London summit: The better part of valour

The G20: Talking-shop-on-Themes

Economics focus: A Plan B for global finance By Dani Rodrik

(コメント) 世界経済が不況を避けられないと分かった今、国際協調による景気刺激や敵対的政策(たとえば保護主義)の抑制、金融システムの再生と規制強化、IMFなど、国際機関(グローバル・ガバナンス)の改革、は注目を集めています。

しかし、Dani Rodrikの主張に、少し驚きました。彼は、先進国の経済に都合のよい国際協調や金融規制が強化されることは、新興市場の成長を損なう、と考えるのです。成長モデルに単純な答えはない、というDani Rodrikの考えが背景にあります。それでも国際協調論の正しい部分を継承して、GATTのような相互の利益と政策のチェック体制が良い、と主張します。


The Economist March 14th 2009

The state and the economy: Germany, How to restart the engine?

Charlemagne: Bewear of the breaking the single market

The global crisis and the poor: The toxins trickle downwards

China’s stimulus: Got a light?

(コメント) ヨーロッパの分裂状態と、それゆえ金融救済や財政刺激策に消極的な傾向は、世界危機を深める、と懸念されます。貧困諸国や中国への影響と政策も、世界恐慌の現実性を左右する条件です。