IPEの果樹園2009

今週のReview

2/23-2/28

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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******* 感嘆キー・ワード **********************

IMFサーベイランスの強化、 リスク管理のドイツ案、 世界的ワイマール、 ペイリンの勝利演説、 米中関係の転換点、 オバマ政権の金融システム再建・財政政策、 銀行国有化、 日本の不況モデル、 G7、 清算主義批判、 日本政治という悲観、 ユーロ、 離婚

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor, WSJWall Street Journal Asia


NEWSWEEK, Feb 9, 2009

Obama’s Vietnam

John Barry and Evan Thomas

(コメント) ベトナム戦争にたとえることは政治的論争にありふれたことです。しかし、アフガニスタンに軍隊を送るオバマ政権について、この問題提起は特に重要かもしれません。他の論説にも影響を与えた記事です。・・・ベトナムは地球の反対側であった。アフガニスタンは月に近い。


FT February 11, 2009

Returning to rules: reform of the international monetary system

By Susan Schadlera former deputy director of the European department of the IMF

(コメント) 金融危機の再発を防ぐために、ルールに依拠したIMFのサーベイランスを強化せよ、という(私には特に)興味深い論説です。

国際マクロ経済に関するルールに依拠したブレトン・ウッズ体制が25年で放棄されてから、変動レート制においては持続可能でない政策を採用する国に市場圧力が生じて政策変更を強いると期待された。しかし、国際政策協調を促すIMFサーベイランスは裁量的な判断に依拠し、困難な作業である。政治がしばしば介入し、サーベイランスが政策変更を促すかどうかも定かでない。

IMFは世界的なマクロ的不均衡に警告を発していたが、各国は従わなかった。それゆえ、政策変更を強制する手続きを定める必要がある。世界の安定性を損なう恐れのある政策に対して、自動的・対照的に機能する歯止め(あるいは、誘導装置trigger action)を制度化するのである。

ルールは、測定可能な指標を基礎に、少なくして、市場の規律を妨げているような政策に絞る。逸脱に対しては自動的な制裁を課すが、過大な制裁にしない。例外的な、特に指定された条件でだけ、免除を認める。

このルールは変動レート制に埋め込まれる。市場の規律が円滑に機能することを目指す。為替レートの突然の大きな変動に対する政府の緩和策についても自動的な承認手続きを決めておけば、ルールを受け入れやすいだろう。外貨準備の過剰や急増が、このルールの起点となる。

単純なルールとしては、外貨準備の変化するスピードを規制することだ。為替レートを減価させて外貨準備を急激に増やす国に対して、世界的な安定性に反する政策の変更を求めることができる。IMFが課徴金を求めるか、WTOがその国に対する相殺関税を認める、という提案がある。

為替レートの不整合は基本的に測定できない概念であり、裁量的な政策監視は機能しない。

The Guardian, Monday 16 February 2009

Brown to lead the IMF?

Martin Kettle

FT February 18 2009

Why the regulators must have a global ‘risk map’

By Otmar Issing and Jan Krahnen

FT February 18 2009

Protect European unity against crisis

(コメント) Otmar Issing and Jan Krahnenは、政策監視やシステム危機の早期警報メカニズムが機能しない理由と対策を考えます。それは、複雑な金融商品を国際的に売買する金融機関large, complex financial institutions (LCFIs)の情報が十分に把握できない点にあるでしょう。

そこで、LCFIsに関するリスクを一括して開示したa global “risk map”a global credit registerを作成するのです。先のG20でメルケル首相が提案した改善策の一部です。


WSJ FEBRUARY 12, 2009

We're Heading Toward a Global Weimar

By JACQUES ATTALI

(コメント) ジャック・アタリは、かつてミッテラン大統領の補佐官として、またEBRD総裁として、独特な哲学や歴史観、美学を語った人物と記憶しています。「世界的規模のワイマール」を描くこの論説は、その構想において、世界金融危機の了解を極限まで拡張する内容です。

・・・金融危機は新しい地政学的な均衡を導く。しかし、誰もカオスを望まないから、アメリカに融資するだろう。既存の秩序の下で、各国は市場の世界化を許された。特に信用の市場が世界化した。世界的な法律もないままに。その結果は、空前のバブルだ。

・・・しかし、その成長は、債務の膨張が止まったときに終わった。不況、失業、恐慌、政治的危機が生じる。新しい世界への移行を組織するために、根本的な変革が求められる。

・・・経済の均衡は回復し、新しい技術によって危機を克服する。アメリカの遍在に代わって、多くの国が責任を分担する。しかし、それは旧秩序の再建でしかない。

・・・結局、公的な債務は削減されたのではなく、膨張している。恐慌を避けるために、政府は銀行を救済し、信用を拡大し続けた。彼らは準備金の10倍から15倍も融資している。あるいは、価値の分からないデリバティブを考えると、世界の銀行システムは破たん寸前だ。最悪の、そして、最も起こる可能性が高いシナリオは、世界的なインフレである。

・・・民間債務の上に、さらに、公的債務が積み上がっていく。アイスランドで起きたように、債権者がパニックに陥れば、同じことが世界中で起きる。システムは支払い不能状態であり、テロなどの政治的リスクも待っている。

・・・こうして世界不況が始まるだろう。そして、ハイパーインフレーションが続く。不況を避けるために、債務者が得をする。これがグローバル・ワイマールだ。

・・・破局を避けようと思うなら、今すぐに秩序ある方法で債務を減らすことだ。銀行は自己資本を回復する。改革は、第一に、最も貧しいものを含めなければならない。すねわち住宅債務に苦しむ人々だ。銀行の重役や株主が損失を強いられる。第二に、銀行の資本を増やすために、納税者は銀行を国有化しなければならない。損失だけを支払わされる「バッド・バンク」は間違いだ。

・・・中国や産油諸国は、アメリカの赤字に融資し続け、金融システムの回復を待つしかない。そうすれば数年で、世界経済も回復する。

・・・新しい世界は、旧来の公共投資ではなく、世界的な公共財に投資する。すなわち、水、空気、大地、そして、エネルギーだ。1929年の大恐慌が家庭に電器製品を普及させることで克服されたように、現在の危機は未来の環境需要に応えなければならない。

・・・改革は、最後に、世界の制度を再建するだろう。われわれは、法の支配を世界化することなしに、市場だけを世界化してはならないのだ。次のG20が、ロンドンで規制緩和を主要議題にする、というのはアル中患者が酒場で会合を開くようなものだ。

・・・やるべきことは明白だ。G8と安保理を合併し、インド、ブラジル、ナイジェリアのような南の主要国、を参加させる。国際金融制度を、この改革された安保理の下に置き、真の世界的な規制、金融機関の管理を行う。市場に頼るバーゼル合意を見直し、また、世界の公共財を組織的に供給する。

・・・環境技術が次の覇権国を決める。その技術を等しく利用できることが、世界の利益である。

NYT February 13, 2009

The Worst-Case Scenario

By DAVID BROOKS

(コメント) オバマ大統領は雇用と景気回復を約束しましたが、その政策は人々の不安を解消しませんでした。ブッシュ政権に続いて、オバマも公的な債務を増やして救済や刺激策を拡大しています。平静な判断と、緊急時の判断とは、心理的な条件が全く異なります。救済策や刺激策があっても、人々が消費し、投資しなければ、雇用は生まれません。

DAVID BROOKSは、トクヴィルを引いて、人々は平静さを失い、われを忘れた熱狂に取りつかれ、そして、秩序への愛着を回復する、と指摘します。

オバマは優秀な経済ブレーンの示す政策に強い自信を持っています。しかし、問題は政策立案者が正しいレバーを知っているかどうかではなく、そのレバーが社会心理に及ぼす影響を知っているかどうか、です。経済危機と呼ばれていても、それは恐怖や不安から生じています。

エコノミストや政策立案者は、こうした暗闇を良く見ていない。人々の行動が合理的で、予測可能であり、市場は均衡に向かう、と前提する。しかし、しかし不均衡が続き、人々の行動は過去の傾向と連続せず、合理的なケインズ主義を拒んでいるかもしれません。

財政刺激策がもたらす巨額の債務は、人々の不安を強めるでしょう。他国の債権者はアメリカの債務が大きすぎると思うでしょう。「アメリカ病」が噂され、金利が上昇します。

FT February 16 2009

November 2012: a dystopian dream

By Gideon Rachman

(コメント) 経済危機が安全保障や政治秩序を動かす最重要の問題になっています。

この抽象的な問題提起を、想像力によって、具体的に描こう、というのがGideon Rachmanの「201211月、ディストピア」です。

・・・2012117日、選挙戦で消耗し尽くしたバラク・オバマが支持者たちに敗北を認めます。オバマ政権はアメリカの直面する経済問題に圧倒され、次の新しい大統領をサラ・ペイリンに奪われました。

・・・国内のポピュリズム、海外のナショナリズムによって当選したペイリン次期大統領は、さっそく海外からの祝福の電話に応えています。最初にかけてきたのはイスラエルの首相、続いてロシアのプーチン大統領です。5人の指導者がEUからかけてきましたが、彼らは待たされています。中国の新しい主席は電話してきません。選挙戦でペイリンが「北京の共産主義的通貨介入者たち」と非難したからです。

・・・輸出市場を奪われて失業者が急増した中国では、毛沢東主義の政治スローガンがよみがえりました。共産党は地方の土地所有を認める計画を止めて、集団農場を再建します。それは「過去への大躍進」“the Great Leap backwards”と呼ばれます。

・・・最悪の事件は、2011年に、イランが核兵器の開発に成功したことです。共和党はオバマを「第二のジミー・カーター」と呼びました。それは結果的に、イスラエルを更に極右の政治家に委ねます。彼は、「奴らがトイレに立つとき爆弾を落とせ」、と選挙戦で繰り返しました。

・・・イラクからは撤退したものの、アフガニスタンは大きな負担をNATOの同盟諸国にも残し、あとには軍閥のパッチワーク国家が残されました。新テロ戦略は「モグラたたき」と別称されています。

・・・経済危機に乗じて、ロシアのメディアは強い指導者を求め、プーチンが2010年にクレムリンを再び支配します。メドヴェージェフは、辞任後、逮捕されましたが、誰も驚きません。

・・・大衆の騒乱が数週間続いた後、ウクライナといグルジアでは政府が倒れます。ロシアの介入があったと疑われますが、証拠はありません。他方で、多くの西側外交官たちは、ロシアをファシズムから隔てるのはプーチンしかいない、と考えます。

・・・メルケル政権が2009年に崩壊した後、ドイツでは不安定な連立政権が続き、すぐに忘れられる指導者が次々と入れ替わります。イギリスでも「日向ぼっこ政策」を掲げたキャメロンが政権を得ますが、直ちに消えてしまいました。そして最悪の評価を残した内閣となります。

・・・アラスカ、アンカレッジで、アイスホッケーのスティックを振る支持者たちを前に、ペイリンは咆哮します。「イスラムの聖職者と共産主義者たちに、私からメッセージがある。」・・・「アメリカが戻ってきたぞ!」


Feb. 13 (Bloomberg)

Roach’s ‘You Guys Are in Trouble’ Unsettles Asia

William Pesek

The Guardian, Friday 13 February 2009

Global recovery rests on a fresh US approach to China

Martin Jacques

Asia Times Online, Feb 14, 2009

Chinese offered consumer tickets

By Olivia Chung

(コメント) アジア諸国やオーストラリアのビジネス・エリート、中央銀行家たちが集まった会合において、Stephen Roach chairman of Morgan Stanley Asia)がアジアの深刻な経済状態を予想しました。中国の成長はすでにゼロになって、日本も「打ちのめされている(泥酔状態だclobbered)」。誰も反論できませんが、しかし、「お前たちのせいだ」という不平が充満しています。たとえば、シンガポールの政府系投資信託会社Temasekは、バークレーやメリルリンチへの投資によって、すでにスリランカのGDPに等しい規模の損失を被っている。

しかし、とWilliam Pesekは指摘します。アジア諸国は自分たちを責めるべきだ、と。アメリカの消費中毒に頼って輸出による成長を楽しんだのは自分たちだ。なぜ10年前に、もっと内需による成長に転換しておかなかったのか? なぜ為替レートの変動に弱いままなのか? なぜ膨大な貯蓄をアメリカの財務省証券に投資し続けているのか? それは、自分で解決すべきことだ。

世界経済の回復は米中関係にかかっている、とMartin Jacquesは強調します。もし悪化すれば世界恐慌が再来します。すなわち、中国がアメリカへの投資を続けなければ、ドルの価値は暴落し、アメリカの不況と貿易戦争が世界中を巻き込みます。

中国が改革を始めたとき、ケ小平はその成功がアメリカとの協力関係に頼っていることを知っていました。しかし、今やバランス・オブ・パワーは変化し、アメリカも同様に中国との協力関係を必要としています。ガイトナーが人民元の為替レートを操作されていると非難したとき、逆にアメリカが反撃されました。かつて、アメリカは他国の通貨を一方的に過小評価であると決め、反ダンピング法などで、制裁措置を取ってきました。もはや、それはできません。

世界不況から脱するには、いずれの国も単独の刺激策では成功しません。アメリカが作ったブレトン・ウッズの国際機関は、アメリカや西側が支配しており、根本的な改革なしには出資しない、と中国は表明しています。中国なども加えた「新世界秩序」をアメリカも支持するのか、あるいは、一方的な非難と貿易戦争、世界恐慌を選ぶのか?

中国では消費を刺激するために、地方政府が商品券の発行を競っています。北京政府も、景気刺激策、農民への補助金、などを増やします。


LAT February 13, 2009 Too little in return for stimulus plan

Treasury's Salesman-in-Training By Eugene Robinson WP Friday, February 13, 2009

(コメント) ガイトナーは、政策を議会や国民に示すことが下手で、その効果を奪ってしまう、と指摘します。多くの批判は、政策の中身よりも、ガイトナーのスタイルを問題にしています。

さらに国民は、金融危機に深く傷つき、怒っています。ガイトナーは若く、その経歴は金融危機の条件を形成したグリーンスパンの時代に重なっています。政策の細部は明確でないまま、ガイトナーに任せておけばよい、とは思えないのです。

ウォール街のインサイダーにしか金融のことは分からないし、ガイトナーなら解決策を知っている、と言われても、アウトサイダーは納得しません。特に、救済されたメリルリンチに、年末、100万ドル以上のボーナスを得た社員が696人もいる、と知れば、なおさらです。

ウォール街には15000億ドルもつぎ込んで、債務に苦しむ多くの家庭には救済のうわさもない? ガイトナーは、次の経済政策を、差し押さえにあった住民たちの間で行うべきだろう。ウォール街のインサイダーとしてではなく、アウトサイドーとして。

A Fiscal Gamble WP Friday, February 13, 2009

NYT February 13, 2009 After the Stimulus

NYT February 13, 2009 Failure to Rise By PAUL KRUGMAN

(コメント) 800億ドルの財政刺激策が議会を通過したことはオバマ大統領の偉大な勝利だ、とPAUL KRUGMANは称えます。特に、減税ではなく、政府支出であることが気に入ったようです。しかし、付言します。普通の状態ではないことを考えれば、この刺激策では敗北かもしれない、と。今後3年間で、需要不足で生産能力をフル稼働できない状態を避けるには、29000億ドルのギャップを埋める必要がある、と予算局は指摘しています。

PAUL KRUGMANは、それ以上に、保守派の財政赤字をイデオロギーで非難する演説にうんざりしています。・・・「これは泥棒だ。」「娘たちの未来を破壊する。」「盗賊団が家を見張っている。」・・・こうした醜い政治論争はオバマ政権を傷つけ、刺激策の効果も奪いかねません。

さらにPAUL KRUGMANは、効果的な金融市場の回復策を組み合わせるように求めます。ガイトナーの提案を支持しますが、税金をどう使うのか、裏口からの銀行国有化なのか、誰にも分かりません。

つまり、今のところ、オバマ政権は1990年代の日本政府と似た政策を実現しただけです。景気回復に至らず、不良債権も処理できません。

FT February 13 2009 Fumble to stumble By Edward Luce and Krishna Guha

FT February 13 2009 US stimulus package

(コメント) オバマ政権はトム・ダシュリーの指名承認に失敗し、1週間後、財政刺激策が成立してもウォール街の株価は下落しました。

FTの論説は、日本の経験を挙げて、銀行システムに資本増強しなければ、財政刺激策だけで景気を回復することはできない、というブルッキングズ研究所のBill Galeの言葉を引用します。

ガイトナーとサマーズとの間で意見が一致していないことも問題だ、と指摘します。金融システムの健全さを回復する最善の方法について、政権内部の意思統一ができていないのではないか? ガイトナーは、議会と金融市場の双方に配慮して、あいまいな姿勢を見せた。また、なぜ財政政策の成立と同じ時期にぶつけたのか?

最大の問題は、誰が、どんな財源を利用できるか、どうやってその金融救済方法を政治的に正当なものとして説明するか、です。救済の判定基準となるa “stress test”とは何か?

All eyes on stimulus money BG February 13, 2009

The next step in stimulus: long-term economic growth By Susan Hockfield BG February 13, 2009

The Best Stimulus Targets By Bernard Ries WP Saturday, February 14, 2009

NYT February 15, 2009 Helping Workers in Hard Times

(コメント) 財政支出を誰のために使うのか? 減税だけでは消費してくれない。デビット・カードを配るべきだ。60日以内に地元の商店で購入しなければ無効になるクーポン券を配るべきだ。技術革新や新エネルギーといった、長期的な成長の源泉を用意するべきだ。

非合法移民、記録のない非公式な移民労働者を、不況になれば解雇して、追放するべきか? 不況のときでも、移民労働者が差別されないように守るべきだ、とNYTは主張します。

NYT February 15, 2009 Our Greatest National Shame By NICHOLAS D. KRISTOF

Saving social security Dean Baker The Guardian, Monday 16 February 2009

Obama will get no warning when the people's response to this crisis comes Gary Younge in Somerset, New Jersey The Guardian, Monday 16 February 2009

FT February 16 2009 Green growth is essential to any stimulus By Ban Ki-moon and Al Gore

(コメント) 社会保障制度、特に医療保険、あるいは、教育を充実させて、「貧困との戦い」に取り組むべきだ。

気候変動への対策にもっと投資する。そして公共投資によって「成長」と「環境」とを両立させる、また「貧困を減らす」、新しい成長を目指す、と国連事務総長Ban Ki-moonとアメリカの元副大統領Al Goreは主張します。

FEER February 2009 Why America Can't Save Asia by Brian P. Klein

The Times, February 16, 2009 Obama's Recovery Plan

NYT February 19, 2009 Obama Unveils $75 Billion Plan to Fight Home Foreclosures By SHERYL GAY STOLBERG and EDMUND L. ANDREWS

States on The Brink By David Ignatius WP Thursday, February 19, 2009

NYT February 19, 2009 $275 Billion Plan Seeks to Address Housing Crisis By SHERYL GAY STOLBERG and EDMUND L. ANDREWS

FT February 19 2009 Obama hits home on foreclosures

FT February 19 2009 Bank diversification

More than homes for homeless BG February 19, 2009

(コメント) オバマの財政刺激策を補うものとは、金融市場の再生に加えて、何でしょうか? たとえばアジアでも、内需主導の成長に転換するために、教育、医療、社会保障制度など、さまざまな公共投資が必要です。

オバマ政権は、住宅差し押さえを止めるために、新しい救済枠組みを示しました。住宅債務問題を解決することが、危機脱出を印象付ける(中産階級とアメリカン・ドリームを再生する)大きな課題です。それは住宅差し押さえで打撃を受けたコミュニティーにある高校の体育館で、オバマが発表しました。銀行家や投機を批判するその主張は、ポピュリスト、と評されています。

しかし、政府の補助金があっても、銀行や債権者が同意しなければ債務は組み替えられず、住宅の差し押さえが続きます。また、自動車産業の不況で職を失ったものが返済することは、いずれにしても、不可能です。景気回復と雇用が必要です。


WP Friday, February 13, 2009

Nationalize the Banks! We're all Swedes Now

By Matthew Richardson and Nouriel Roubini

(コメント) 「アメリカの銀行はほとんど支払い不能であり、もし1990年代の日本や、1930年代のアメリカのようになりたくなかったら、銀行を国有化することが唯一の道である。」

Matthew Richardson and Nouriel Roubiniは、銀行の融資による損失額を推定しています。昨年、1兆ドル、2兆ドル以上を推定して非難されたそうですが、今ではIMFやゴールドマンサックスも2兆ドル以上と予想しています。彼らの予想は、3.6兆ドルです。かつて、日本の不良債権額がわからない、隠している、と非難されていたことを思い出します。

「われわれは皆、ベルリン市民だ」とケネディは述べ、「われわれは皆、ケインジアンだ」とニクソンは述べ、オバマもこう述べます。「われわれは皆、スウェーデン式の金融システム再建で行くぞ。」

ガイトナーの金融安定化は、銀行が支払い不能ではないことを前提している点で、成功しない、とRichardson and Roubiniは考えます。むしろ、スウェーデン式に再建するべきです。1.どの銀行が支払い不能かを決める。取り付けや長期債務にも及ぶが、金融当局は強い姿勢で臨む。2.支払い不能の銀行を国有化する(あるいは婉曲に「レシーバーシップ」"receivership")。3.不良資産を分離し、現在の大幅に減った価値で再評価する。4.残った不良資産は当局が管理し、満期まで保有するか評価が回復すれば売却する。5.銀行を再民営化する。

スウェーデンは不良債権を集めて時間をかけて円滑に処理し、納税者のコストを抑えた。誰もがこれを見習うべきだ。

WP Sunday, February 15, 2009

Fixing Finance

By David Ignatius

(コメント) 中国の官僚制度は、資本主義的な生産が富をもたらすと認めた上で、高度な金融手段を排除したまま、危機を回避した素晴らしい成長を遂げています。金融においても、すぐれた知識が求められるべきであって、規模ではありません。金融システムは繰り返し危機を経験しており、グローバリゼーションはその危険を高めています。

元来の資産から切り離された合成証券は、バフェットが述べたように、金融システムの「大量破壊兵器」なのです。

金融システムの複雑さは、ますますショックに対する脆弱性を強めてしまいました。たとえば、ひどい経営を通じてウォール街の破壊をなしとげる怪獣となったシティグループは、どのような愚か者たちが育てたのか? 前財務長官のロバート・ルービン、金融取引に長けたサンディ・ライル、世界のトップ・エコノミストであるスタンリー・フィッシャー、などです。

つまり、問題は彼らの強欲や愚劣さというより、システムにある、と主張します。

厳しい規制を作っても、強欲な投資家たちは規制のない分野で商品を開発します。そうやって大恐慌から学んでできたグラス=スティーガル法は破壊されました。David Ignatiusが望む改革は、銀行を小さくすることです。かつての財閥解体を学んで、救済された巨大金融機関(ビヒモス)を細かく分割するのです。彼らはコミュニティーと個人の利益に即して活動し、競争して、失敗すれば解体されます。

FT February 15 2009

Credit strike highlights need for reform

By Colin Mayer

FT February 15 2009

Co-ordinated inflation could bail us all out

By Tim Leunig

(コメント) 「金融逼迫から金融ストライキに変わった」とColin Mayerは考えます。公的融資を受け、公的な保証を得て、損失を公的資金で補っても、イギリスの銀行は融資を増やさない。金融システムの根本的な改革が必要だ。

銀行は融資に対する損失が増え、また、競争を促す政策によって利益を失った。そこで、イギリス最大のヴェンチャー資本供給を行った、1945年設立のthe Industrial and Commercial Finance Corporation (ICFC)から学ぶように求めます。

NYT February 14, 2009

Stimulus Plan Places New Limits on Wall St. Bonuses

By EDMUND L. ANDREWS and ERIC DASH

The Guardian, Sunday 15 February 2009

Capping the banks' fat cats

Prem Sikka

NYT February 18, 2009

The Bailout Is Robbing the Banks

By JOHN C. COATES and DAVID S. SCHARFSTEIN

FT February 18 2009

Greenspan backs bank nationalisation

By Krishna Guha and Edward Luce in Washington

(コメント) グリーンスパン元連銀議長も銀行の国有化を支持しました。「100年に一度のことだろうが、・・・迅速かつ秩序ある再編のために、銀行を一時的に国有化する必要があるだろう。」 どうやって不良債権に価格を付けるか、という問題を解決できる。

特に、シニア・デット(上位債務senior debt)の扱いに注意しなければならない。なぜなら、それは他行のシニア・デットにも影響するから、失敗すれば危機を拡大してしまう。

WSJ FEBRUARY 18, 2009

There's Virtue In Geithner's Vague Bank Plan

By MATTHEW RICHARDSON and NOURIEL ROUBINI

(コメント) 銀行が政府(the FDIC's Temporary Liquidity Guarantee Program)からの信用を得て損失を償却し続けるのは間違いだ。ガイトナーの救済策はそれを明確に止める。「ストレス・テスト」によって、支払い不能ではない銀行だけが救済される。これを行うには、事実上、一時的な国有化しかない。

LAT February 19, 2009

We need a bailout too

Rosa Brooks

(コメント) 大恐慌の時は、こうだった。“Once I built a railroad, I made it run, made it race against time.” “Once I built a railroad; now it's done. Brother, can you spare a dime?

しかし、今では違う。誰でもできるだけ多くの債務を得た方が、個人ではなく、政府によって救済される。

Once I built a bank, it was such fun -- sold credit default swaps by the million.” “Once I built a bank; now it's done. Brother, can you spare a billion?

政府が銀行や自動車会社のために救済資金を87000億ドルも費やすと推定される。それは、ルイジアナ買収、ニューディール政策、第二次世界大戦、マーシャル援助、ベトナム戦争に費やした額の合計に等しい。

しかも、その新種の「トリクル・ダウン説」は機能していない。融資の増加や景気回復は実現せず、国民にまで回ってこないのだ。いっそ、直接、国民に配れば、一人当たり8万ドルのチェックがもらえるだろう。しかし、国民一人一人は“Too big to fail”ではない。

NYT February 19, 2009

Fed Chief Defends Steps Taken to Contain Crisis

By EDMUND L. ANDREWS

(コメント) 中央銀行から得た金が、誰に、どのように使われたのか、という不安、疑念、不満に対して、バーナンキは調査して回答する、という姿勢を示しています。重要なことだと思います。


Asia Times Online, Feb 13, 2009

The Specious Japan Comparison

By David Goldman

(コメント) David Goldmanは、KrugmanのようなNYTのコラムニストたちが今のアメリカと1990年代の日本を同じような状態だと主張すること、また、むしろ銀行家が望むような銀行国有化案を支持していることを、実情に疎いアカデミック・ケインジアンたちだ、と批判しています。

アメリカと違って、1.当時の日本は企業の株式を大量に保有していた。2.不動産を資本に組み込んでいた。アメリカではヘッジファンドが問題だ。3.日本では、株式ではなく、銀行融資が経済そのものだった。4.アメリカの銀行は融資を続けている。5.日本が実物経済で苦しんだ高齢化と労働力の減少はアメリカの10倍だ。

WP Monday, February 16, 2009

Our Lost Decade?

By Robert J. Samuelson

(コメント) Robert J. Samuelsonは、アメリカで心配されるようになった日本の「失われた10年」を振り返って、それが不況ではなく、それ以前の高度成長や大国(アメリカを超える)意識を打ち砕いた、という心理的な側面を強調します。バブル崩壊後の金融政策が間違った、銀行の不良債権処理が遅れた、財政刺激策が遅れたうえに不十分だった、と学者たちは説明しますが、間違いだ、と。社会的・政治的な価値が転換したのであって、アメリカでも起きるだろう。

またRichard Katzの「二重経済」論(日本では以前からある主張ですが)を引いて、生産性の高い輸出部門が成長を実現し、生産性の低い国内部門が安定した長期雇用を維持していた、と指摘します。多くの日本人は激しい競争よりも社会的な安定性を望んでいた。しかし、このモデルが崩壊します。円高と、韓国や台湾との競争が、日本の成長のエンジンを破壊し、新しい成長モデルを発見できませんでした。

オバマは財政刺激策によって一時的に景気悪化を緩和しなければならない。しかし、それを続けることは、日本の失敗を繰り返す。問題は、新しい成長モデルに転換することだ。債務と株価・地価上昇、消費過剰によって成長を加速することはもうできない。

FT February 17 2009

Japan’s lessons for a world of balance-sheet deflation

By Martin Wolf

(コメント) 日本の「失われた10年」から何を学ぶべきか? Martin Wolfは、日本の経験を理解するために、リチャード・クーRichard Kooの「バランス・シート不況balance-sheet deflation」説を全面的に支持しています。

企業は倒産を免れるために債務を減らそうとする。債務によって購入していた資産の価格が下落すると、その破壊力は非常に大きい。バランス・シートの悪化を重視せよ、とリチャード・クーは教えています。1990年代に日本の需要が減ったのは、銀行の状態によるのではなく、こうした債務者が債務返済を急いだからです。

クーの議論を知っている日本人にとって、その議論はよく分かります。アメリカの政府は、民間部門が債務を減らす過程で、1981年に金融緩和が景気を容易に刺激したような状況にはないし、財政赤字が民間需要の不足を補うことを支持しなければなりません。ただし、橋本政権のような時期尚早の財政再建を真似てはいけません。

Martin Wolfは、アメリカと日本の違いとして、企業よりも銀行部門の債務削減圧力が大きい、と指摘します。その意味で、銀行の救済、金融システムの再生、を早期に行わなければなりません。日本では政治的な迷走によって、国民が銀行の救済に公的資金を使わせず、また、銀行の政治的な交渉力が国有化を退けて、解決するのに時間がかかった。アメリカ政府は、債務によって資産を急激に増やしてきた銀行部門に、手を付けるしかない、と。

明らかに、日本は輸出によって回復したが、世界的な金融危機と、中でもアメリカには、その選択肢がない。アメリカでも「バランス・シート不況」が起きている。それは日本よりも浅いが、より広いだろう。そして、危機を回避する需要はどこから来るか? 世界が「失われた10年」を回避できる保証はないのです。


LAT February 14, 2009 Clinton's heading in the right direction – Asia By Nirav Patel

(コメント) レーガン政権でシュルツGeorge P. Shultz国務長官が伝統を破ったように、クリントンはヨーロッパでも中東でもなく、最初の歴訪をアジアで行いました。これはオバマ政権がアジア外交に積極的に取り組むことを宣言するものです。ブッシュ政権がアメリカ外交をイラクに集中させてしまったことを大きく修正します。

シュルツの判断は、後に、冷戦を終わらせた外交の始まりとして、クリントンも高く評価しています。オバマ政権は、アジアの冷戦を終わらせるつもりでしょう。それは、アジア諸国にとって重要なことは、アメリカが非常に重要な戦略目標としてアジアの国際秩序を動かし始めることです。

FEER February 2009 Mrs. Clinton Goes to Asia by Douglas H. Paal

WSJ FEBRUARY 15, 2009 Hillary in Asia

The Japan Times: Monday, Feb. 16, 2009 Involve, don't attack, China By KEVIN RAFFERTY

Asia Times Online, Feb 18, 2009 US and Japan build a new Silk Road By Joseph Ferguson

WP Tuesday, February 17, 2009 Living With A Nuclear North Korea By Selig S. Harrison

(コメント) 日本でも、韓国でも、オバマ政権を誤解してはならないでしょう。オバマは若い、ということです。冷戦の記憶や、同盟関係の長さを気にすることはないでしょう。今、何が重要か、問題を解決できなければなりません。歴史的関係や現状の維持ではなく。

・・・北朝鮮、核、保護主義、金融危機。

FT February 17 2009 This is not the time to attack China By Michael Pettis

(コメント) 中国の輸出の急激な落ち込みは重要です。1年前に比べて、昨年12月、輸出は2.8%減少し、今年の1月には17.5%減少しました。それ以上に輸入が大きく減っています。12月が21.3%の減少、1月には43.1も減りました。

世界不況に立ち向かうには、需要を増やすしかなく、他国の需要を奪うのは責められます。その意味で、中国は国内の財政刺激策にも関わらず、国内の過剰な生産能力を解決できず、アジア諸国からの輸入を減らしているのです。

Michael Pettisは、政府の求めに応じて銀行は融資を増やしているが、中国が内需型の成長に移行するまで数年を要し、その間、安定した米中関係を維持しなければならない、と主張します。逆に、貿易戦争を煽ることは解決策にならない、と。

新しい持続可能な世界的収支のパターンが誕生し、中国を含む良好な国際制度が確立されるように、アメリカ政府は積極的に中国の改革を助ける役割を担うでしょう。

Asia Times Online, Feb 19, 2009 China seeks road back to growth By Pieter Bottelier

CSM February 19, 2009 edition Clinton must press China on rights By William F. Schulz, Sarah Dreier and Winny Chen

LAT February 18, 2009 Hillary Clinton's North Korea naivete By John R. Bolton

WP Wednesday, February 18, 2009 The Dysfunctional Duo By Harold Meyerson

IHT Thursday, February 19, 2009 Putting peace first By Christine Ahn and Paul Liem

(コメント) Harold Meyersonは、アメリカ製造業の衰退と失業の急増を、アメリカのビジネス・エリートたちが行った工場の移転、オフショア生産に帰し、中国からの輸入を問題にします。中国政府は、もっと労働者の権利を守り、賃金を引き上げるべきです。

他方で、中国などのアジア諸国は、アメリカ向けの輸出が急減して不況に苦しんでいます。日本の自動車も港に並んだままです。Harold Meyersonは、米中の相互依存が、どちらの側でも持続できない、転換しなければならない、と考えます。

そのもっとも重要な転換は、アメリカでも中国でも、労働組合が強化されることです。アメリカのサービスや商業分野において労働組合が強くなれば、彼らの賃金を引き上げて、社会保障制度を改善します。そして、債務ではなく所得に依拠した成長を実現します。他方、中国でも、労働組合が賃金を引き上げ、社会保障制度や労働者の権利を強めます。こうしてオフショア生産は抑制され、ともに内需を中心として成長を回復します。


FT February 15 2009

Fiddling in Rome while world burns

Asia Times Online, Feb 20, 2009

G-7 points to more instability

By Hossein Askari and Noureddine Krichene

(コメント) G7は、行動するより、宣言だけが立派です。保護主義はおおむね抑えられていますが、金融システムの安定化には失敗し、黒字諸国は十分な景気刺激策を取っていません。国内産業への救済策はますます各国ごとの保護の色彩が強くなり、IMFに財源を追加する日本の提案にも、他の国が追随していません。開放型の経済システムを守るため、G7はさらに勇敢に行動しなければなりません。

Hossein Askari and Noureddine Kricheneの評価は、むしろ非常に厳しいものです。G7の唱えている回復策は、金融システムの不安定化をもたらしたのと同じ考え方を繰り返している、と。すなわち、不況を回避するために金融緩和を焦ったバーナンキが世界インフレを加速させたことを指摘します。2000-2008年の金融緩和、ドルの供給過剰こそ、現在の金融危機の条件でした。

ローマのG7声明は、この失敗から何も学んでいません。全速力で金融財政的に拡大し、さらには、非正統的な救済措置をも採用せよ、と号令をかけています。グリーンスパンが実現した歴史的な低金利の失敗を反省せずに、G7は世界的規模でゼロ金利政策を支持しています。空前の金融緩和を続ける中で、G20が金融のプルーデンシャル規制を強化する、という議論の成果は空しいものでしょう。

財政赤字を追加の貨幣供給でまかない、世界的な規模で需要を増やしても、供給の限界を超えた分野では、価格が上昇するでしょう。インフレに拠って労働者たちは課税され、債務者が優遇される、という再分配が拡大します。それは景気回復にもなりません。貨幣への信頼が失われ、不安定性が増します。

金融政策の目標を完全雇用にしてはならない、とHossein Askari and Noureddine Kricheneは考えます。内外の通貨秩序を安定化すること、世界的な規模の財政的規律、を主張します。

The Guardian, Wednesday 18 February 2009

A credit crisis, not a morality play

Barry Eichengreen

(コメント) 最悪の経済恐慌に直面して、1929年に財務長官のAndrew Mellonが述べたような「清算主義Liquidationism」が復活しつつある、とBarry Eichengreenは警鐘を鳴らします。

メロンは述べました。「労働者を清算し、株式を清算し、不動産を清算し、農場を清算し、・・・システムから腐敗を一掃せよ。生活水準を引き下げ、もっと働き、もっと道徳的に生きよ。価値を見直し、無能な人々が残した残骸を革新的な人々が取り上げる。」

ローマのG7でも、イタリアの財務大臣、Giulio Tremontiが同様の主張を述べました。これ以上の債務は必要ない、と。ヨーロッパには多くの支持者がおり、アメリカ議会でも共和党がオバマの財政刺激策と債務の増大を批判して述べています。たとえ経済にとって生産的だとしても、債務を増やすことは道徳的な悪である、と。経済危機を道徳劇に変えてしまいます。

これは深刻な無理解に発している。金融危機は重大な影響を及ぼしており、正しい政策を取らなければ不況は避けられない。しかし、必ずしも1930年代の大恐慌や1990年代の日本が再現するとは限らない。民間の支出が減った分を、公的な支出で補うことが重要だ。

Barry Eichengreenは、十分な財政支出がなければ、どのような金融救済策も成功しない、と主張します。債務がGDPの100%を超えて行くことに不安を感じるのは当然だ。しかし、そうはならないだろう。戦争がそうであるように、公的債務によって負担は長期に分散できる。何に使うのか、が問題だ。次世代の生活を豊かにするものに支出し、景気を回復して税収も増えるだろう。


FT February 16 2009

Japan’s politicians lose their way at a bad time

By Gerald Curtis

(コメント) Gerald Curtisは、日本経済が輸出の落ち込みだけでなく、政治の破滅で不況に向かっている、と警告します。

自民党の麻生首相が小泉改革を否定した点で、また、民主党が景気刺激策を準備していない点で、小沢一郎が政権を組織しても意思決定を共有しない点で、小泉による改革を引き継いで創造的破壊を実行する指導者がいない点で、また、国民が不況の深刻さを意識せず、政治的な意識が低い点で、まだ日本の不況は当分悪化し続けるだろう、と考えています。

FT February 16 2009

Japan

(コメント) こんな国の通貨をだれが買うのか? とFTは日本政府の能力を軽蔑しています。

Imagine a country with an economy that is shrinking twice as fast as its peers; with a prime minister that has the approval of less than one in 10 of its citizens; and a finance minister who turned up at last weekend’s Group of Seven meeting in Rome slurring his words. Would you buy the currency?

しかし、なぜ円高が続くのか? 金融危機に際して、対外債権国であること、円キャリー・トレードの返済、決算期に企業が海外から送金すること、などを指摘しています。円高は引き伸ばされているが、要するに、こんな国の通貨を誰もほしがらない。・・・日本は売りだ!

WSJ FEBRUARY 15, 2009

Hillary's Japan Opportunity

By MICHAEL J. GREEN

FT February 17 2009

Japan cannot afford to wait

WSJ FEBRUARY 17, 2009

Japan's Downturn Is Bad News for the World

By MICHAEL AUSLIN

WSJ FEBRUARY 17, 2009

Tokyo Titanic

(コメント) 日本経済も政治も、タイタニック号だ、と欧米メディアは叫んでいます。しかも、日本の無能さは中国やアジア諸国に不況を輸出することになる、と心配します。クリントン国務長官は、日本を訪問するとき、改革や景気回復、輸入など、方針転換を求めるべきだ、と。

Feb. 18 (Bloomberg)

Five Reasons for Japan’s Leaders to Get Drunk

William Pesek

(コメント) 中川金融財政担当大臣の、どう見ても、酔って正気を回復せず、失言を繰り返した末の辞任に関して、2年で5人も財務大臣が変わる国なんて信用できない、と述べています。しかも、世界に恥をさらしただけでなく、その後も、与謝野3兼任大臣が、4月に開催されるG20のロンドン会議までに何を準備できるというのか? 結局、日本政府は何もしないつもりだろう、と疑われています。どこまでも無責任で、他人任せの国です。

自民党は、12000万人の国民も、44000億ドルの経済に投資する機会を探す投資家も、無視している。自分たちのことしか考えていない。選挙で大敗北するのは当然だ。円高はその国の優秀さを示すのではなく、世界的な危機に遭って自国へ逃げ込む企業の海外資産が自分たちの首を絞めていることを示しています。


Businessworld, 16 February 2009

The Reverse Swing

Nayan Chanda

(コメント) 移民労働者はグローバリゼーションの歩兵である、とNayan Chandaは重視します。しかし今、大規模な逆流が起きています。彼らを国籍によって差別し、職を奪って帰国を強制することは、その国にも、世界経済にも、望ましいことではないでしょう。

The recent strike by British workers demanding “British jobs for British workers” has sent a chill through thousands of East Europeans who had flocked to the UK to take advantage of the European Union’s open door policy for member countries.


WP Tuesday, February 17, 2009

Protectionism Anew

By Anne Applebaum

WSJ FEBRUARY 19, 2009

Protectionism Doesn't Pay

By CHEN DEMING

(コメント) すでに保護主義は支持され、始まっている、とAnne Applebaumは指摘します。CHEN DEMINGは、中国から見た反保護主義です。中国は開放体制の相互利益に従う、と。


FT February 17 2009

Fears over eastern Europe trigger bond rush

By Alan Beattie in Washington, Stefan Wagstyl in London, Aline van Duyn in New York

FT February 18 2009

The eurozone needs a government bond market

By George Soros

(コメント) 東ヨーロッパ諸国では銀行危機が深まり、ポーランドやチェコで株価も急落、世界中の投資家にユーロへの不安が広がって、ユーロからドルに向けた資本逃避が起きています。

ユーロ建の債券(国債)市場を作るのが良い、とGeorge Sorosは提案しています。ドイツの負担ではなく、金融危機に対処する資金を調達する。通貨危機や銀行危機におびえる諸国を助けるだけでなく、ドイツの利益にもなる。すなわち、ドイツの嫌う財政赤字やインフレを、ユーロ圏の加盟国に抑制させる仕組みになる。ドイツにとって不公平な、ECBの投票メカニズムを改善できる。EUの電力・ガス・石油供給システムを改善できる。・・・と述べているように思います。

しかし、細部は分かりません。


BG February 19, 2009

What would Galbraith say?

By Richard Parker

(コメント) ガルブレイスなら、ガイトナーの金融安定化策をどう理解したか? 現実はエコノミストのモデルよりもはるかに複雑だ、と。

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The Economist February 7th 2008

Divorce: Money in misery

(コメント) いろいろ書き出しましたが、どれも特にお勧めとは言えません。いちばん興味深い記事は、「離婚Divorce」です。これはグローバリゼーションの問題です。金融危機が破壊するのは、通貨の価値や成長だけでなく、家族です。

1.国境を超えて労働者たちは移動し、職場で結婚する。2.裕福な投資家やビジネスマン、経営者たちも、世界中に資産を持っている。3.結婚や離婚に関する法律が国によって大きく異なっている。つまり、どの法律で離婚するのか? 4.その結果として、離婚専門の弁護士や離婚ビジネスが繁栄します。特に、慰謝料や財産の分割、子供の養育権、その他により、子供を誘拐する事件が増えている、という話も紹介しています。

The Economist February 7th 2008

The return of economic nationalism

The euro: High tensions

The euro area: A tricky balancing act

The Irish economy: Reykjavik on Liffey

Industrial action: Discontents, wintry and otherwise

Globalisation under stress: Homeward bound

Japanese business: Nothing to lose but their (restaurant) chains

Japan’s electronics giants: Unplugged

Japan’s labour market: Non-regular and not wanted

Japan’s currency: Up and away

Economic policy: Can the centrists hold?

Executive pay: Paying the piper

The World Social Forum: Dear capitalists, admit you got it wrong

The IMF: Supersizing the fund

Economics focus: Burger-thy-neighbor policies

(コメント) もう一つの主題は「経済ナショナリズム」です。貿易に関する保護主義だけでなく、銀行や産業の救済にかかわっても、自国の銀行や企業と外国のそれを差別的に扱います。ある意味では、その逆を目指していた「ユーロ圏」の内部摩擦や、イギリスの「移民労働者」について、逆風が強まっています。

アメリカを少し、そして、日本を大いに悲観する記事も目立ちました。日本経済は、自動車や家電など、過去の成長を支えた少数の企業に依存し、しかもあまりにも多くの輸出を必要としていました。金融危機ではなく、その経済構造と(切り離せない)円高によって、最悪の失敗を経験しつつあります。

オバマが示す、非正統的な、ラディカルな部分について疑念を示しています。その経済政策が市場を変え、アメリカを変え、世界を変えるまでには、まだ議論を尽くす必要があるのです。しかし、重役たちの報酬に株主の承認投票を導入することで抑制されるかもしれない、と指摘しています。

世界社会フォーラムやIMFの増強を、この雑誌は全く期待していないようです。他方で、中国の人民元を非難するようなアメリカ政府・議会の保護主義を退けています。世界を救うのは、米中協力しかない、という意識を感じます。