IPEの果樹園2009

今週のReview

2/16-2/21

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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******* 感嘆キー・ワード **********************

オバマの財政刺激策と銀行救済策、 アイスランド、 ガイトナーの新金融救済、 クリントンのアジア歴訪、 日本と製造業の衰退、 ヨーロッパ共同市場、 ウィリアムソンの目標圏提案、 ロンドンの別名

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor, WSJWall Street Journal Asia


WP Friday, February 6, 2009

Capitalist Punishment

By Harold Meyerson

WP Sunday, February 8, 2009

You Can Cap The Pay, But The Greed Will Go On

By Rakesh Khurana and Andy Zelleke

(コメント) オバマによる資本家への非難は、アメリカ社会のピューリタニズムに訴えるものなのでしょうか? プロテスタンティズムと資本主義の精神が緊張関係を再生することで、経済システムだけでなく社会の再生を考えることもできるのか、と感じます。

しかし、ウォール街に金銭以外の信仰や道徳を求めても意味がない、という反論も必ず続きます。

オバマはもちろん、金融システムを救済する大規模な公的資金の政治的な正当性を準備するために、金融ビジネスや銀行家への批判や報酬の抑制を求めているのだと思います。あるいは、報酬のシステムが、社会全体の富を長期的に増やしたかどうか、過去にさかのぼって反映するシンプルな原則を示すことでしょう。

富は個人のためではなく、信仰のため、社会的な貢献として、銀行や企業に委ねられているにすぎない、と。


FT February 6 2009

Something must work

By Ralph Atkins in Frankfurt, David Pilling in Tokyo and Krishna Guha in Washington

BG February 6, 2009

A large stimulus bill for large problems

By Scot Lehigh

NYT February 6, 2009

On the Edge

By PAUL KRUGMAN

NYT February 7, 2009

A Stimulus for the Poor

NYT February 7, 2009

Disappearing Jobs

(コメント) 金融危機と貿易の減少。金融政策も財政政策も効かない? あるいは、今こそオバマが克服するときか?

日本でもアメリカでも、財政刺激策が低所得者向けの住宅建設である、という話を聞きません。それはなぜでしょうか? 失業した者の能力にあった雇用が増え、彼らの所得に見合った住宅が供給される社会的な保証が、もっと必要だと思います。

WP Sunday, February 8, 2009

Here's How to Make a Real Stimulus Take Flight

By Tom Donnelly and Gary Schmitt

WP Monday, February 9, 2009

Why I Support the Stimulus

By Arlen Specter

FT February 10 2009

Adam Smith gets the last laugh

By P.J. O’Rourke

(コメント) 他方で、積極的に議論されるのは、環境やエネルギー、輸送や情報システムに加えて、軍備拡大です。それは、世界的な市場の死滅に向かっている?

しかし、P.J. O’Rourkeは考えます。「自由市場派、少なくとも、10回以上死んだ。」・・・ボルシェビキ、ファシズム、国家介入、ケインズ主義、大恐慌、第二次世界大戦化の経済統制、1945年の労働党政権、ケインズ主義の復活、アラブ諸国による石油禁輸、アンソニー・ギデンズの「第三の道」、・・・そして、現在の世界金融危機。

アダム・スミスが『国富論』を書いたころ、既に銀行の取り付けや南海泡沫事件は起きていた。スミスは「投機」の愚かさを知っていたし、一部の商人と結託した政府が最も悪い、と書いたそうです。

スミスなら、今の金融危機をどうやって解決するのか?  P.J. O’Rourkeは、すでに解決済みだ、と考えます。すなわち、資産価格は下落したし、投機で潤った過大な利益はもう発生しないでしょう。他方、政府が銀行を救済したり、国有化したり、商人たちよりも市場や企業をうまく管理する、とは考えません。

WSJ FEBRUARY 10, 2009

Reaganomics vs. Obamanomics

By PETER FERRARA

YaleGlobal, 11 February 2009

US Recession: Spend Now, Save Later

Joergen Oerstroem Moeller

NYT February 11, 2009

The Open-Door Bailout

By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) レーガンとオバマとを対比するのは有効でしょう。レーガンは、減税して規制緩和し、財政赤字とインフレを抑制して、市場が働くようにした。オバマは逆だ。リベラリズムの理想を掲げて、市場を破壊する、とPETER FERRARAは批判します

THOMAS L. FRIEDMANは、新興企業の育成支援・革新への融資拡大として、二つの理想を融合していると思います。

We don’t want to come out of this crisis with just inflation, a mountain of debt and more shovel-ready jobs. We want to — we have to — come out of it with a new Intel, Google, Microsoft and Apple.


FT February 8 2009

What the Obama bank plan must do

WP Sunday, February 8, 2009

Saving the Banks

NYT February 8, 2009

Bank Bailout, Redux

WP Monday, February 9, 2009

Beyond Wall Street Bashing

By Robert J. Samuelson

(コメント) オバマの銀行再生計画は不十分であり、あいまいだ、と批判されています。

FTは必要な要素を三つ指摘します。1.支払い能力。2.責任。3.公平性。すなわち、生き残ることができる銀行には、支払い能力に疑いを残さないよう、十分な資本増強をする。納税者に納得できるような説明をする。すべての銀行を公平に扱い、すべての不良資産を正しい価格で買い取る。こうしたことができなければ、国民はオバマの銀行再生を政治的に支持しなくなるでしょう。

WPは主張します。銀行には、推定で1兆ドルの不良資産がある。オバマが用意したのは7000億ドルだ。銀行が危機を引き起こしたにもかかわらず、彼らを救済しなければ不況が深刻になる。日本のような「失われた10年」を味わいたくないなら、ほかに選択肢はない。

FT February 8, 2009

Good Bank/New Bank vs. Bad Bank: a rare example of a no-brainer

Willem Buiter

FT February 9, 2009

How to fix the banks

By Roger E. A. Farmer

FT February 9 2009

The Republicans’ no-bang mortgage plan

By Gary Becker and Edward Lazear

(コメント) Willem Buiterは、不良債権処理について、いくつかの提案を比較しています。他方、Roger E. A. Farmerは、はるかに容易で、コストの低い、市場型の解決策がある、と主張します。

住宅価格やモーゲージの価格回復についても、市場型の提案があります。


WP Sunday, February 8, 2009

The Death of 'Rational Man'

By David Ignatius

NYT February 8, 2009

Mistresses of the Universe

By NICHOLAS D. KRISTOF

(コメント) 経済学が前提しているほど、人間の行動は合理的ではない。投機やバブルを動かすのは、もっと異なった心理である。また、ウォール街は男性が支配する世界である。もっと女性が多く幹部として働いていたら、同じような危機が起きたか、と問うのは意味のあることだ。Lehman Brothersではなく、Lehman Brothers & Sistersであれば、もっと問題をさまざまなアプローチで処理したはずだ、と。


LAT February 8, 2009

Iceland is steamed

By Rebecca Solnit

(コメント) 昨年秋に激化した世界金融危機による最初の「革命」が、アイスランドで起きました。最初の、つまり、まだまだ続く各地の社会・政治変動が始まったことを告げる「ナベ叩き革命」the "Saucepan Revolution"です。話を読む限り、2001年末からのアルゼンチンと同じです。

アイスランド・クローナが通貨として崩壊し、銀行はすべて国有化されました。その債務はアイスランドのGDP10倍です。従順で孤立した人々が、悔悟と怨嗟に蝕まれ、憤怒と憎悪に駆られています。アイスランド中央銀行総裁は街頭で卵を投げつけられ、その後、首相も狙われました。この事件もアルゼンチンを思い出させます。政治家たちを守るボディーガードだけが、マイナス成長の国で、唯一の新興ビジネスです。

1991年から2004年に首相となったDavid Oddssonによって、アイスランドは国家ぐるみのヘッジ・ファンドとなり、国民はアメリカを超える債務依存の消費過剰による生活水準を楽しみました。しかし、解き放たれた資本主義は怪物だ、とアイスランドの人たちは理解しました。それは必ず崩壊する。資本主義の破壊だけが問題ではなく、その繁栄ですら、私有ジェット機や豪華な別荘によって、人々の生活や精神を破壊するのです。

アイスランドが最初の犠牲者であるなら、ここで、資本主義に代わるものを見出すしかない。

WSJ FEBRUARY 2, 2009

Iceland Turns Hard Left

By HANNES H. GISSURARSON

WSJ FEBRUARY 10, 2009

Iceland Central Banker Refuses to Resign

By CHARLES FORELLE and JOEL SHERWOOD

(コメント) 群衆は叫び、新しい首相も辞任を要求しますが、中央銀行総裁は解雇できません。David Oddsonは辞任要求に従わないと応じています。そして、逆に、首相の行動を非難し、ソビエト型の追放劇に加わっている、と攻撃します。


FT February 10 2009

Son of Tarp follows in father’s footsteps

FT February 10 2009

Why Obama’s new Tarp will fail to rescue the banks

By Martin Wolf

FT February 10, 2009

Is Tarp II enough?

By Michael Pomerleano, Harald Scheule, and Andrew Sheng

WSJ FEBRUARY 10, 2009

Why Markets Dissed the Geithner Plan

By ANDY KESSLER

(コメント) ガイトナー財務長官の新しい金融救済法は市場の期待に応えていない、とANDY KESSLER批判します。まず、日本がやったように、不良債権を大量に抱えた銀行(zombie banks)をすべて生き残らせる、という考え方が間違いだ。次に、自動車、住宅、学生ローンにまで救済対象を拡大するのは間違いだ。

本当の目標は、民間と政府が協力して、不良債権を処理するい枠組みを示すことだ。それは? ・・・一時的に国有化して、不良債権を財務省が吸収し、新しい株式を発行して税金で国民が所有する。それが資本増強となって、国民は納税額に応じて株式を固有する。銀行は融資と収益を回復し、国民は株式を売ることもできる。財務省の不良債権は評価額が回復する。・・・

FT February 10 2009

Geithner outlines his shock therapy

By Francesco Guerrera in New York

(コメント) ガイトナーの提案には“bad bank”の細部が欠けている、とウォール街は批判します。あるいは、これは「忍び足の国有化」“creeping nationalisation”であり、投資家たちが株式を購入するのにためらう提案だ、と。

FT February 11 2009

Heaven help America’s banking system

By John Gapper

LAT February 11, 2009

Geithner's bigger TARP

WP Wednesday, February 11, 2009

A Rush-and-Shush Rescue

By David Ignatius

(コメント) GDPの15%にも及ぶ不良資産に対して、政府と民間が協力して不良債権を処理するa "financial stability trust" もしくはan “aggregator bank” もしくは a good bank/bad bankとは何か? どうすれば、そんなものが機能するのか? 大きな数字で国民や金融界に「ショック・セラピー」を試みるのは、ブッシュ政権の「テロとの戦い」と同じではないか?

WP Wednesday, February 11, 2009

In the Tanks: A Debate on the Financial Rescue Plan

With Andres Martinez

(コメント) ワシントンのシンク・タンクがガイトナーの提案について対談しています。Andres Martinez (New America): Dan Mitchell (Cato Institute): John Irons (Economic Policy Institute): Adam Posen (Peterson Institute for International Economics): David John (Heritage Foundation): Douglas Elliott (Brookings Institution): Andrew Jakabovics (Center for American Progress)

NYT February 11, 2009

The Bailout Next Chapter

WP Wednesday, February 11, 2009

An Unfinished Product

WSJ FEBRUARY 11, 2009

Geithner at the Improv

WSJ FEBRUARY 11, 2009

Another Trillion-Dollar Hole

By DANIEL GROS

(コメント) 銀行のような金融機関が投資しているのは、単なる市場の金融資産だけでなく、市場の地位や故郷からの評価など、将来の利益につながる「無形資産」intangible assetsである、とDANIEL GROSは指摘します。そして、その評価は市場化されている資産に加えた「好意」によって決まります。今のような市場の壊滅期には、その価値がほとんど失われてしまうのは当然です。

The Times, February 12, 2009

Radical surgery is required to save this patient

Anatole Kaletsky

(コメント) もし本当に貿易戦争や世界不況を防ぎたいのであれば、金融危機を今すぐに止めるべきだ。それには、政府保証がなければ倒れてしまうような現状のアメリカ、イギリス、ユーロ圏の銀行を、すべて国有化するしかない、とますます多くの政治家は主張します。金融システムが機能しない限り、ゼロ金利も、財政刺激策も、失敗するしかないでしょう。

しかし、とAnatole Kaletskyは考えます。金融システムに対して公的資金を投入し、信用保証を与えることが、ますます難しくなっているのは、二つの点を国民が十分に理解できないからだ、と。第一は、危機をもたらした金融ビジネスの責任を問い、処罰することと、公的資金で金融システムを安定化することとは違う問題である。第二は、公的資金をいくら投入して国民が損失を処理するとしても、それによって不況から早く脱出する方がはるかに多くの利益を国民にもたらす。

政治家やメディアは、この二つの点を、もっと国民に強く示すべきであり、銀行家を非難するだけで政治家が得点を稼ぐような状況を脱するときだ。

CSM February 12, 2009 edition

Obama buys time for zombie banks

By the Monitor's Editorial Board


Feb. 9 (Bloomberg)

Clinton Will Pull Rubin Stunt on Visit to China

William Pesek

LAT February 10, 2009

A to-do list for Clinton's China trip

By Nina Hachigian

The Japan Times: Thursday, Feb. 12, 2009

Secretary Clinton's No. 1 mission is to reassure allies

By RALPH A. COSSA and BRAD GLOSSERMAN

(コメント) クリントン国務長官が最初の訪問先をアジアにしたのは、北朝鮮の核問題である、と言われています。しかし、もっと重大な関心事がある、とWilliam Pesekは考えます。それは赤字国アメリカにとって、財務省証券の大量保有諸国だ、ということです。

ビル・クリントンは経済問題を軽蔑し、ロバート・ルービンを使って、経済危機を外交の機会とし、アジアを改造しようとしました。しかし、オバマは逆です。国内経済の再建こそすべて。“It’s the economy or we’re all homeless.”William Pesekは表現します。

中国の共産党政権が(そして、日本の自民党政権や保守派もそうだと思いますが)アメリカの共和党大統領を好むのは、人権問題や労働問題と貿易摩擦や為替・通貨摩擦が交渉の前面に出ないからです。また、安全保障による大国間のゲームを好み、自分たちがイラクで犯した収容所や人権問題については外交的に触れないことを共有できたからです。

温家宝首相は、ロンドンで講演し、すべてを自由化した資本主義がどれほど危険であるか、を力説したそうです。中国の方が市場は規制され、財政刺激策も効果的に働き、周辺の輸出指向アジア諸国に市場を提供できるでしょう。その意味で、クリントン国務長官は、アジア諸国の支持を中国と争っているわけです。

「クリントンは中国政府を人権問題で批判しないだろう。もっと建設的な意見を述べるはずだ。アメリカは中国のカネが要るし、中国はアメリカの市場が要る。最大の債権国と貿易戦争を起こすことなど、アメリカは望まない。」

Nina Hachigianも、中国を世界市場(そして国際秩序)に包摂するべきかどうか、という論争は終わった、と指摘します。20年を経て、われわれは中国と同じ世界に生きているのです。共通の法の下に、生きるしかない、と。


NYT February 9, 2009

Iran’s China Option

By ROGER COHEN

(コメント) イランのイスラム革命体制も、中国やソ連のように、転換するのでしょうか? オバマ外交によって、最も大きく世界が変わるとしたら、ここがその始まりかもしれません。


The Wall Street Journal, 9 February 2009

Obama Risks Flap on “Buy American”

Neil King Jr.

John W. Miller

BG February 11, 2009

The dangers of 'Buy American'

By Paul Guzzi

(コメント) アメリカが外国企業による直接投資によっても雇用を維持していることを思えば、バイ・アメリカン条項は間違いです。


FT February 9 2009

Asia and the crisis: Unlucky numbers

By David Pilling

FT February 10 2009

Memo to the UK from Japan

Feb. 11 (Bloomberg)

Titanic Sails Again to Sink Deck-Chair Economy

William Pesek

(コメント) アジアの輸出経済が内需への転換を迫られているように、日本ではそれに加えて、労働市場の分断と雇用不安を解消することが求められます。

日本とイギリス。比較したくなる二国です。FTの短い記事は、イギリス人が製造業を失いすぎたことを心配し、日本は製造業に頼りすぎたことを心配している、と指摘します。OECDの両極端で、しかもIMFは二国がマイナス成長を記録すると告げています。

イギリスがシティの繁栄に依存してきた分、金融危機で落ち込むのは分かりますが、なぜ日本もそれ以上に落ち込むのか? それは金融危機ではなく、輸出の減少によって工業生産が落ち込み、雇用が落ち込むからです。優秀な企業が次々に赤字を報告し、雇用を減らしています。

職を失った彼らはどこへ行くのか? 農業? 金融業? どちらも無理でしょう。高齢化社会に応じて社会福祉の雇用が増えるはずですが、規制が多すぎる、と批判します。

製造業を守り続ける経済モデルに頼ることで、日本は何を失ったのか? 1994年、日本は世界のGDPの5分の1、1989年には資本市場の約半分を占めました。しかし今や、ともに10%以下です。1988年の世界10大企業に日本企業8社が並びましたが、今は1社もありません。

William Pesekは、日本経済の急激な落ち込みだけでなく、日本企業の素早い大量解雇に驚きます。自民党にも、民主党にも、革新的なアイデアがなく、頼みは輸出だけ。その輸出が急減して成長率は落ち込み、その上、円高で輸出企業の収益が急激に悪化しています。それでも日本には15兆ドルの貯蓄がある、と思うなら、政治家も国民も、氷山に向かうタイタニック号の乗客です。


FT February 10, 2009

China’s exchange rate policy is the quid pro quo for fiscal expansion

By Ronald McKinnon

Asia Times Online, Feb 11, 2009

Asia: The coming fury

By Walden Bello

(コメント) Ronald McKinnonは、人民元の為替レートが安定していることを望む中国政府の方針を支持します。それは中国にとってインフレ抑制のアンカーであったし、国内の財政刺激策を効果的に行うためにも重要です。また、人民元の緩やかな増価を続けてきたことが、資本輸出を抑え、投機的な資本流入を招いています。

アジアの輸出指向成長モデルは、ついに中国にまで及ぶ中で崩壊し、労働力を輸出していた国まで帰国と失業の波にのまれます。アジアの政治変動が迫っている、とWalden Belloは書いています。


The Guardian, Tuesday 10 February 2009

Placating Pyongyang's panjandrums

Simon Tisdall

FT February 10 2009

Kim’s last chance to reform – and save his country

By Aidan Foster-Carter

(コメント) 経済は破綻し、後継者はおらず、平和を保障されてもいない。金正日の時代はこの三つを残して終わりに近づいています。核兵器・核開発を放棄して、和平と経済援助を求めるように、この独裁国家を真剣な交渉の席に就けることが、オバマの課題です。


WP Tuesday, February 10, 2009

One Region, Two States

By Shimon Peres


FT February 11 2009

How to avoid the ruin of the European market

By Giuliano Amato and Emma Bonino

(コメント) 危機が深刻になれば、各国政府は不況や倒産を回避する政策を選択しなければなりません。ヨーロッパは共同市場を形成し、共通通貨を実現しました。この成果を失わないためにも、各国は互いを損なうような産業への介入を行わないという合意を形成しています。何が例外として認められ、共同市場を損なわないか、それを決めるのは各国政府ではなく欧州委員会です。ところがその決定には時間がかかりすぎるのです。危機の進行は待ってくれません。

ヨーロッパで最も政府の介入が多いのは金融と自動車です。それゆえ、両産業では支援を受けるとともに根本的な再編成が求められるでしょう。


FT February 11 2009

Put the puritans in charge of the punchbowl

By Arvind Subramanian and John Williamson

(コメント) ジョン・ウィリアムソンの提案に、もちろん、私は大賛成です。

金融政策でバブルを破裂させることは難しい。バブルを中央銀行が判定することはできず、それが破裂したら、その結果を緩和することに努める。これがGreenspan “put”と呼ばれた、資産市場への非対称的な政策介入です。

ウィリアムソンは、その結果、バブルは膨張して、非常に危険な状態を準備してしまった、と批判します。もっと対称的な介入で、金融市場のバブルを防ぐべきでしょう。それは、株式、住宅、為替レート、そして石油、のような、すべての主要金融資産の価格に目標圏、あるいは、誘導域guidance zonesを示すことになります。

そして、こうした意見をウィリアムソンは以前から述べてきましたが、今回の危機になるまで、長い間、彼の意見は無視されてきたのです。政府が市場より賢明なはずがない。目標を決めても市場の取引額に比べて政府の行動には限界がある。むしろ投機の餌食になって、税金を無駄にする。など。など。

そのような反対論(市場原理主義者たち)も、金融危機で目が覚めたはずです。資産市場が示す価格は、決して合理的ではないし、社会的に見て許すべきでもない、ということです。生産性が大きく改善したり、石油が発見された、というなら話は別だが、それ以外では、実質値の歴史的なトレンドが大きく逸脱することはない。もし逸脱したら、それは必ず収束する、とウィリアムソンは指摘します。

この先が、反対派の良く見ていない点です。現在のウィリアムソンは、どのような目標圏を決めて守れ、とも主張していないのです。当然、目標圏を決めることは難しいのです。しかし、市場に即して考えるなら、まったく適当でない水準というものがあるはずだ、と。だから、政府・金融当局は、そのような水準に近付かないように、あらかじめ警告を発することを通じて、市場に影響を与えるのです。実際、主要国の政府や中央銀行は融資や保証を与えて、これ以上の住宅価格の下落や融資の減少を食い止めようとしています。

また、たとえ、回避すべき水準に達したとしても、しばしば反対派が強調するように、直ちに金融政策の目標を放棄することはありません。ウィリアムソンは、たとえば、協調介入やプルーデンシャル規制、課税が有効だ、と考えています。金融資産全般が過度の金融緩和で価格を上昇させていると判断したときだけ、金融政策が必要です。


WSJ FEBRUARY 11, 2009

Renewing the IMF

By KEVIN RUDD

FT February 11 2009

Relax your reserve

(コメント) オーストラリアのKEVIN RUDD首相が、危機に対処するためにはIMFを強化する必要がある、と次のG20に集まる各国首脳に向けて述べています。

1.融資の財源を拡大する。日本が行った。また、多国間の枠組みNABもある。2.クォータを見直して、IMFの正当性を高める。特に中国の役割を重視する。3.SDRsを積極的に利用する。4.融資だけでなく政策の助言や制度について協力し、現在の危機に対する安定化や不良債権処理を促進する。5.危機の再発を防ぐため、政策や制度の改善について検討し、権限を与える。

FTの論説も指摘します。成長するために資本を調達してきた国も、突如、資本の調達に苦しんでいます。豊かな国の政府や投資家が膨張させてきた世界資本市場が急激に縮小して、そのリスク回避に巻き込まれる。問題を解決するには、黒字国が潤沢な準備金をIMFによって赤字国への融資に使うことです。しかし、黒字国は自発的に動きません。あるいは、IMFの政治的な合意がなく、アジア危機の後に行われたような、地域の準備金が利用されます。

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The Economist January 31st 2008

Asia’s suffering

China’s economy: A great migration into the unknown

Asian economies: Troubled tigers

Broadband stimulus: Not so fast

Canada’s budget: Joining the stimulating party

Denmark and the euro: Nordic nerves

Rescue efforts: Big government fights back

Economics focus: (Nearly) Nothing to fear but fear itself

(コメント) 欧米の市場に依拠したアジアの成長に深刻な影響が現れました。アジアについて、また、中国について、内需主導の成長へと転換するように求めています。それは景気の悪化を抑え、国際収支不均衡を調整することにもなります。しかし、国際秩序の主役を交代させることにもなるわけです。

欧米諸国は、金融、財政、その他の個別奨励策によって、内需の落ち込みを回避しようとしています。その効果は分かりません。しかし、長期に及ぶ債務の管理が必要です。短期でも、長期でも、国内でも、国際間でも、不確実性を抑えるために政府は果敢に行動しなければなりません。


The Economist January 31st 2008

Bagehot: Reykjavik-on-Thames

(コメント) ロンドンがたどった数奇な経歴が、そのニックネームに示されています。

1996年にIRAが爆破した造船所の跡地は高層ビル群に生まれ変わり、ロンドンの不動産市場が活気を取り戻しました。「テムズ河畔のマンハッタン」として、労働党政権はシティと手を結び、規制緩和と税収とを交換したわけです。ポップスターが集まり、首相官邸にロックスターを招いて、「クール・ブリタニア」が宣伝されました。

しかし、ミレニアム・ドームの失敗、アメリカでの911テロ攻撃、さらに、7・11テロがロンドンで起き、「ロンドニスタン」の別名が広がります。イスラム教徒によるモスク建設が論争となり、イスラム過激派の不安が高まって、イギリスの多文化主義や国境管理、安全保障が疑われました。

それでも、ロンドンにはもう一つの外国人流入が続きます。それはEU新加盟諸国からの労働者たちでしたが、それに加えて、けばけばしいロシア人たちが大量に流入したのです。ロンドンに住むことで、彼らは裁判所、銀行、そして親切な税務署を利用できました。高級マンションが売れ、私立学校に子供を入れるロシア人の親が増え、フットボール・チームや選手もロシアからの資金を得ました。「ロンドングラード」と呼ばれたわけです。

ロンドンはイギリスの首都としてよりも、「グローバリゼーションの震源地」として有名になりました。ビジネスマンや金融専門家が集まって、無限の成長、途方もないボーナス、際限なく引き出せる融資に沸く、ユートピアとなったのです。

しかし、それも信用が枯渇すれば消え去りました。雇用は雲散霧消し、ポンドの価値は急落しています。銀行は部分的に、あるいは完全に、国有化されました。規制緩和に励んで「カジノ・キャピタリズム」を謳歌した政治家たちが、今ではそれを非難します。ロンドンに新しい呼び名が加わります。「テムズ河畔のレイキャビク」。それは誇張であるけれど、グローバリゼーションの利益を吸収しきって、ついには没落した国の本質を指しています。

今、保守党の党首はサッチャーの故郷をニックネームにしたいと考えます。他方、ブラウン首相はルーズベルトにあやかり、雇用を増やすために次のオリンピックを準備します。