IPEの果樹園2008

今週のReview

11/17-11/22

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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******* 感嘆キー・ワード **********************

ヨーロッパのオバマ、 金融サミットに寄せて:BakkerCaliariHutton(管理為替レート)、Subramanian(稀少通貨)、GoldsteinPesekNavarro(中国の財政刺激策)、Bergsten(機関車論)、Cook(天然ガスの国際決済同盟)、BirdsallReiermann(ドイツ案に注目!)、MallabyGuha(保護主義的救済融資)、WolfensohnSnowRAFFERTY(賢人会議)、SHELTONTodd(国際金本位制)、McKinnon(米中合意)、麻生太郎1000億ドル)  学者たちの提言:ケインジアンアジア統合、 金融サミット:SPIEGEL

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor, WSJWall Street Journal Asia


SPIEGEL ONLINE 11/06/2008

COULD IT HAPPEN HERE? Where's Europe's Obama?

By Jess Smee in Berlin

(コメント) アメリカ発の黒人大統領を喜ぶヨーロッパ諸国の国民は、いずれの国でも、マイノリティーの首相や大統領を選ぶ用意があるのだろうか? そして、日本はどうか?

1994年、トルコ系移民の子供でありながら、28歳で初のドイツ連邦議会議員に当選したCem Özdemirは、まだまだ遠い道のりだ、と考えます。ドイツの住民の5分の1か、それを少し下回る人口が、外国系・その部分的な子孫である。しかし、連邦議会には612人の議席の10人を占めるにすぎない。イギリスでは、646人の議員中15人のマイノリティー出身者がいる。最高位の例外は、オランダ最大の都市、ロッテルダム市長に選ばれた、モロッコ生まれのAhmed Aboutalebである。

オバマ現象が最も強い影響を与えているのがフランスであり、そこには約500万人のアラブ系アフリカ人が住んでいる。その数は、ベルリンの壁が崩壊する前の10倍だ。フランスの閣僚でただ一人の黒人、人権問題担当副大臣、Rama Yadeは、アメリカが再び「新世界」の夢を鮮明にした、と喜ぶ。2005年のパリ郊外を炎で染めた人種暴動は、その政治課題をいつの間にか忘れられた。支配の構造は変わらず、マイノリティーの不満は水面下で沸騰している。

・・・日本は、どうでしょうか?


FT November 6 2008

Financial crisis will shape the Czech presidency

By Vladimír Dlouhý

(コメント) 次のEU議長国はチェコです。そして、金融危機と不況は東に拡大しつつあります。経済を改革したにもかかわらず、むしろそれゆえ資本が流入し、国際金融危機に対して脆弱になったとすれば、国際金融システムの改革に求めるものは強いでしょう。


FT November 6, 2008

A Polish missile crisis?

Gideon Rachman

The Observer, Sunday November 9 2008

Just good competitors?

Zhu Feng

LAT November 14, 2008

Obama's missile gap

(コメント) 経験の浅いオバマが大統領に就任した場合、世界の政治的な均衡は動揺し、アメリカの新大統領を試そうとするだろう。マッケインの顧問であったケガンは、アイゼンハワーの8年間は深刻な危機が起きなかったのに、ケネディーになるとキューバのミサイル危機が起きた、と語ったそうです。ミサイル防衛網をめぐって、ポーランド危機が起きるでしょうか?

LAT November 7, 2008

Obama's foreign policy picks

By David Milne

WSJ NOVEMBER 8, 2008

What the Recession Means for Foreign Policy

By RICHARD N. HAASS

(コメント) オバマ政権の国務長官にはだれがなるのか? David MilneアイケンベリーG. John Ikenberryの名も挙げています。リベラルな覇権体制、ルールによる国際秩序を唱えます。しかし、理論を実際に試す人物として、ケネディー、ジョンソン政権では『経済成長の諸段階』を書いたW.W.ロストウがいた、と警告します。ホー・チミンと北ベトナムを侮って失敗しました。また、ウォルフォヴィッツもイラク戦争で失敗しました。

アイケンベリーはそのような野心的計画を持っていませんが、国連安保理の拒否権を廃止して、常任理事国の単純多数決を主張します。しかし、オバマは理論化を重視し過ぎてはいけない、というのがDavid Milneの忠告です。

金融危機から不況が深刻になって、それが長期化すれば、それはオバマの外交政策を制約します。それは安全保障に関する支出を制限します。また、中国やインドと交渉する際、彼らの成長に少しでもマイナスの決定には合意を得にくくなります。移民問題に関する法や制度を改革できず、アメリカの資産を購入する外国人投資家の意欲をそぎます。アメリカ国内では保護主義が強まります。そして世界の成長が減速し、不安定な地域が増えます。反米主義や反グローバリゼーションの運動が強まるでしょう。

他方で、最大のプラス要因は石油価格が下落することです。それは、イラン、ロシア、ヴェネズエラの石油収入と政治力を奪うでしょう。同時に、アメリカ議会は石油消費を抑制するべきだ。

アメリカは日本と違って、政策の革新が政治文化の一部である、と。


The Guardian, Friday November 7 2008

The IMF's moment

Age Bakker

(コメント) Age Bakkerthe Netherlands, an executive director of the IMF)の意見は非常に説得的だと思います。ぜひ読んでください。

金融サミットはIMFの権限を強化するべきだし、その際に、IMFを金融監督機関を監督する役割につけることです。Age Bakkerは、貿易不均衡に注目して国内重要水準を調整させるためにマクロ政策の変更を迫るIMF融資ではなく、金融危機の回避を重視しています。危機は融資によっても解消されません。

もちろん不均衡の拡大や政策の対立は防ぐべきです。しかし、それ以上に、金融機関の国際的な活動を監視しなければ危機は防げません。規制や監視機関が国際協力し、金融活動の透明性を高めなければなりません。新興市場の為替レートや金利を動かすよりも、彼らの経済が健全であっても危機の波及によって脅かされていることを認めなければなりません。

IMFの主要な機能が金融監督にシフトするということは、各国の金融監督・規制に対するIMFの監視を強化し、改善勧告や事後の改革を定期的にチェックする権限を国際的に合意する、ということを意味します。アメリカは従来、こうした合意を拒み、今は、自発的な依頼や報告にとどまっています。

新しい権限がその効果を発揮するために、緊急融資を約束するための新財源を加盟諸国に求めるでしょう。それは、ここでも紹介した様々な提案に、また日本政府の提案にも見られます。

BBC 2008/11/07

EU 'united' on financial reforms

(コメント) フランスのサルコジ大統領はヨーロッパが団結してアメリカの金融支配を転換することを主張します。より厳しい金融規制を行い、IMFを強化するのです。しかし、イギリスやスイスは極端な規制が金融ビジネスを窒息させることが心配です。また、ドイツも市場によるEU統合を推進しており、何でも政治的決定に従わせるフランスの姿勢には反対します。

Asia Times Online, Nov 8, 2008

We only need one Bretton Woods II

By Aldo Caliari

(コメント) 誰の利益か? あらゆる規制には、それに関わる者の利益が影響を受けます。G5やG8ではなく、G20によるサミットであっても、そのパワー・バランスが既存の国際機関に正しく反映されない限り、その不公平さが問題になり、正当性を損なうでしょう。

例えば、なぜもっと資本規制を議論しないのか? なぜもっと、貧しい諸国のための貿易自由化や開発のための融資を重視しないのか?

Asia Times Online, Nov 8, 2008

OPEN LETTER: THE WAY FORWARD

(コメント) ケインズ経済学者たちによるサミットに向けた公開書簡です。Paul DavidsonEditor, Journal of Post Keynesian Economics)ほか、多数のエコノミストが同意し、署名しています。

冒頭に、金融革新や市場の効率性を過信したイデオロギーを拒否することを求めています。つまりこれは、ネオリベラル派撲滅宣言です。

ケインズの国際収支と国内金融との関係をめぐる考察から学ぶことで、1.覇権をともなわない国際通貨システム、2.国内の経済発展を損なわず、むしろ促進するような国際収支金融、3.労働者の完全雇用と実質賃金上昇、という目標に向けた新しい金融アーキテクチャーを構築するべきだ。

NYT November 8, 2008

Europe Tempers Hopes for Summit Meeting

By STEPHEN CASTLE

The Observer, Sunday November 9 2008

This week, our leaders have a chance to make the world anew

Will Hutton

(コメント) あるいは、この国際会議の目的は、オバマ新大統領に世界景気回復の行動を早く取ってくれ、という意味が最も重要です。EU27カ国はブラッセルに集まって100日行動計画を立てました。アメリカの権力移行期に不況が拡大することを恐れているのです。

Will Huttonによれば、これは資本主義を世界的に再組織する国際会議なのです。なぜなら指導者たちは、戦後のブレトン・ウッズ・システムが崩壊して、再び世界不況が迫っている、という危機感を共有しているからです。

戦後の国際通貨秩序がニクソン政権によって放棄された後も、通貨危機や為替レートの変動が激しくなったにもかかわらず、政府は経済を管理することから後退し続けました。しかし、市場がうまく解決する、という主張は間違っていたのです。バブルとその崩壊が世界的な規模で経済活動を破壊し始めています。

アメリカ、イギリス、EU,日本、中国、産油諸国、ロシア、発展途上諸国、さまざまな視点が示されています。さて、サミットをまとめるには、根本的な方針を示すべきでしょう。そこでゴードン・ブラウンの提案を取り上げます。彼の提案するBretton Woods IIでは、為替レートの安定性を回復することで、短期的な投機ではなく、長期的な生産的投資に資源を映します。アメリカ・ドル、ユーロ、円は公式に管理為替レート制を採用します。

さらに、イギリス自身の利益も反映して、過度の規制強化を避けて透明性を高めるため、国際金融ビジネスを登録制にする、と提案します。また、公的資金による金融機関の救済を繰り返さないように、民間の資本増強を強制します。為替投機やバブルによって生じた金融危機のコストは民間部門自身で負担させる、というわけです。

改革の原則を政治家たちが合意し、細部を専門家たちにゆだねることで、Bretton Woods IIは本当に誕生するかもしれません。

FT November 9 2008

Imbalances and undervalued exchange rates: Rehabilitating Keynes

By Arvind Subramanian

(コメント) この提案も面白いです。世界には優れたアイデアがいっぱい飛び交っているのだ、と実感しました。金融危機は、国際システム上の問題として、国際収支不均衡が拡大しても調整が促せないこと、不均衡を短期債務の蓄積=短期資産の運用で維持していること、と密接に関係しています。

さてArvind Subramanianは、為替レートの人為的な操作によって経常黒字を維持する国に対して、ケインズが60年前に国際通貨協定に求めた「稀少通貨」条項を再生しようと提案しています。しかも、為替レートの水準が不当であるかどうかはIMFがモニターしますが、稀少通貨問題は貿易において不当な利益を得る点でWTOが管轄する、と主張します。

なぜIMFよりもWTOがふさわしいか、と言えば、それは為替レートの水準を争うには厳密な基準を設けるよりも、WTOの紛争処理メカニズムを利用して、不均衡に関する関係諸国の合意形成を促す方が良いこと、また、60年前の歴史的なパワー・バランスを変更することが難しいIMFよりも、貿易規模においてすべての国が意思決定を分かち合うWTOの方が正当性を担保していること、を指摘します。

さらに、WTOの紛争処理として(アメリカ議会の保護主義に火を付けるより良い、とは言えますが)、具体的には中国が人民元の切り上げ(あるいは、為替レート変動幅の拡大、弾力化)を受け入れるには、中国自身に利益がなければなりません。Arvind Subramanianは、中国に「市場経済」の地位を認めて他国の保護主義から守ってやること、また、IMF改革の一環として中国の発言権を増やすこと、を考えます。

いずれも興味深い指摘です。

WP Monday, November 10, 2008

Trade's Lending Lifeline

By James A. Harmon

(コメント) 金融危機は、銀行の流動性を危うくするだけでなく、発展途上国にとっての貿易信用の利用を急速に制限しつつある、と指摘しています。世界貿易の累積的な縮小こそ、世界不況(輸出困難と保護主義)をもたらす最悪の事態です。

民間融資の縮小に応じて、アメリカだけでなく、各地の輸出入銀行、地域開発銀行、政府系融資が拡大されるでしょう。

NYT November 10 2008

Demand for a Say on a Way Out of Crisis

By ALEXEI BARRIONUEVO

FT November 10 2008

Europe to press US on reforms

By George Parker in London

FT November 11 2008

World Bank in $100bn aid push

By Daniel Dombey in Washington and Michael MacKenzie in New York

(コメント) 発展途上国向けにセーフティー・ネットやインフラ整備を長期的に行う融資が、こうした金融危機による流動性不足を補うために行われることは有益でしょう。また、途上国の企業や銀行にも世界銀行から救済融資が行われます。

FT November 11 2008

The Bretton Woods sequel will flop

By Gideon Rachman

FT November 11 2008

Dig into the IMF’s tool box to tackle the crisis

By Morris Goldstein

(コメント) 新しいブレトン・ウッズを求めて、さまざまな課題を掲げ、ますます多くの加盟国が主張するなら、それは国連と同様に、全く機能しない、とGideon Rachmanは警告します。

Morris Goldsteinは、IMFが、1963年から1988年まで利用されたCFF(the Compensatory Financing Facility)を、金融危機によって貿易や投資を削減しなければならなくなった途上諸国に対して、ただちに活用するべきだ、と考えます。

Nov. 12 (Bloomberg)

China's Bazooka Beats Henry Paulson's Peashooter

William Pesek

(コメント) 韓国政府と国民は、中国政府の景気刺激策によって、金融危機の苦しみから逃れて安どのため息をつけたかもしれません。その規模は5860億ドルであり、アメリカの金融安定化法案で認められた7000億ドルにも匹敵します。

しかし問題は、その資金がどこから出るか、です。アメリカは巨額の財政赤字と対外赤字を融資しなければならず、その主要な貯蓄を中国などが担っています。ところが中国も財政赤字を出すのであれば、結局、この二つの目的が衝突するわけです。かつて日本が貯蓄を提供した際には、ある意味では、アメリカのために、日銀が金融を緩和し続けました。

また、国際商品市場にも問題があります。中国の刺激策は石油などの交際商品価格を引き上げる点で発展途上国を助けますが、アメリカなどには負担となります。しかし、人民元が急速に増価しないなら、景気刺激策はおおむね中国の国内問題だ、とWilliam Pesekは考えます。つまり、金融サミットに向けた世界景気の牽引役としては不十分だ、と。

SPIEGEL ONLINE 11/12/2008

THE EU-US DIVIDE: Dim Prospects for Financial Reform Summit

By SPIEGEL Staff

(コメント) フランスの強い規制案とイギリスやスウェーデンの反対とを妥協させた結果、EUの要求とは、1.投機的な利益を抑制する行動基準、2.規制やルールの最小限度を共有する、3.金融機関を国際監視し、危機の早期警戒を行う、4.IMFの役割を強化する、です。

しかし、アメリカ政府は大きな改革を受け入れません。法律によって、金融ビジネスがリスクを取る行為を禁止することはできない、と考えるからです。もちろん、ウォール街は課税や規制を嫌います。また、アメリカ政府はIMFの強化にも反対です。2500人で監視しても、結局、国際金融危機が起きるのを予報できないからです。金融商品やマクロ政策に干渉されるのも嫌います。国際機関に権限を移譲する改革案は、アメリカ政府の反対にあうでしょう。

中国やロシアがEUを支持してくれるでしょうか? ロシアのメドヴェージェフ大統領はドイツ首相に書簡を送って述べました。「ロシアはEU案を支持する。しかし、ロシアには他の目標もある。」 結局、専門家会議に委ねられた課題は、時間がたつほど実現できなくなるでしょう。

WP Wednesday, November 12, 2008

Stopping a Global Meltdown

By C. Fred Bergsten

(コメント) 何よりも、これは世界「機関車論」です。国際金融システムを改革することは難しく、容易に意見が一致しません。そこで、もっとプラスの国際合意を優先するべきです。それは、各国がGDPの1−2%規模で財政刺激策を一斉に取ることです。また、スムート=ホーリー関税法を再現しないように、各国は貿易を制限する新たな措置を取らない、と宣言します。

また主要国はIMFに追加の5000億ドルを与えて、新興諸国や途上国への支援を強めるべきです。日本はすでに2000億ドルを提示し、中国もこれと並ぶ額を示すでしょう。そして、危機の原因や対策に関する分析を行う専門家の作業部会を設けることです。アメリカなど、金融規制の欠陥、IMFの監視の失敗、IMFのガバナンス改革、を扱います。

EUの指導力、アメリカの政権移行、アジアにおける新興勢力を反映して、国際金融改革が始まる会議となるでしょう。

VoxEU.org, 12 November 2008

Save Doha to Save the G20 Summit

Ernesto Zedillo

(コメント) 危機を回避するためには、わずかな時間も浪費してはいけない。サミットに多くの問題を出せば合意できなくなる。もっとも重要で、有効な対策に合意することだ。すなわち、ドーハ・ラウンド。金融危機や不況を締め出すために保護主義を採用すれば、それが世界貿易・経済をどれほど傷つけるか、指導者たちは世界に訴えなければならない。そして、世界貿易は今もきわめて不十分な状態であり、自由化交渉を進め、その成果をつかむことが重要だ。

・・・ここでも、違った意味で、WTOがその重要な政治交渉の舞台です。

BG November 12, 2008

China's big, big stimulus plan

Asia Times Online, Nov 13, 2008

Time for G-7 to count its oil barrels

By Chris Cook

(コメント) これは変わった提案です。ドルに依拠した債務による国際通貨システムがもうすぐ崩壊するのであれば、ケインズが考えたような「国際決済同盟(an International Clearing Union)」に戻るべきだ、と考えます。ただし、ケインズが考えたような人工の通貨単位ではなく、天然ガスでその価値を測ります。

世界の天然ガス埋蔵量の半分以上が、イラン、カタール、ロシアによって保有されています。彼らの築く天然ガスの新国際アーキテクチャーが「エネルギー・ドル」を発行します。これはとんでもない政治的な含意(イランとロシアの同盟)により反対されるでしょう。しかし、金であれ、穀物や一次産品であれ、商品準備通貨制度としては実現可能?です。

WSJ NOVEMBER 13, 2008

China Can Help

By QIAO YU

Asia Times Online, Nov 14, 2008

China's New Deal

By Peter Navarro

(コメント) 中国政府が示した財政刺激策を、Peter Navarroは、北京オリンピック以上の、世界に対する貢献であった、と称賛します。それは中国のGDPの6分の1、約6000USドルを2年にわたって支出し、鉄道やエネルギー供給のためのインフラや、貧困層のための住宅、医療を整備しようというわけです。これを中国版「ニュー・ディール政策」と呼ぶのも納得できるでしょう。

中国はケインズ経済学を習得して、アメリカに代わって世界のエンジンとなり、国内政治と世界経済とを結びつけます。そして、アメリカの消費や債務に融資する時期は終わります。

BBC 2008/11/13

Insight: 'Bretton Woods Two'?

By Bridget Kendall

The Guardian, Thursday November 13 2008

Who will call the shots at G20?

Nancy Birdsall

(コメント) 世界のパワー・バランスはどう変わったのか? アジアへ? しかし、中国? インド? ロシアなどのエネルギー支配も衰えない。貧しい国はどうするか? 国際機関は改革できるか? 各国の構造改革に戻って?

Nancy Birdsallは、金融危機が世界の支配的な企業群を破たんさせ、衰弱させる結果として、一層の競争的な市場が誕生する、と考えます。また、新興諸国は国際機関を強化するために投資し、世界市場の安定化を図るだろう。世界的な公共財の供給は、それ以外では不可能だから。

SPIEGEL ONLINE 11/13/2008

NEW WORLD ORDER: Merkel's Financial Summit Wish List

By Christian Reiermann

(コメント) 世界金融サミットに出席するドイツのメルケル首相に、提案を準備したのは、元ECB主任エコノミストのOtmar Issingをトップにした6人の専門家グループでした。彼らは2週間で提案をまとめました。ドイツの提案も、確かにドイツ的であり、興味深いです。なるほど、日本はアメリカだけでなく、ドイツとも協力して改革案を練るべきです。

1.オフショア(タックス)・ヘイブンの禁止: ヘッジ・ファンドなどが国際規制の盲点として悪用する。デリバティブ取引の監視も必要。金融機関の透明性を高める。主要な融資の最初の債権者・債務者を登録して公開する(ドイツで実施している)。

2.世界リスク・マップの作成: 主要な金融機関や企業、ヘッジ・ファンドと、金融商品を登録して、その負っているリスクが一目で分かるようにする。また、金融機関の重役に対する報酬を、短期の利益ではなく、長期の利益と関連付ける。

3.格付け会社を格付ける: 中央の監督局が年次報告書を評価する。格付け会社の手数料を、その格付け評価の正確さによって変化させる。複雑に構造化した金融商品を提供する会社は特に厳しく監視・規制する。リスクの高い商品は異なった会計の項目に集めて記録させる。フランスの提案するIMF強化には反対する。金融市場の監視はBISや金融安定化フォーラムの仕事であり、各国の金融監督局と協力して行う。

4.ユーロを強化し、ユーロ圏を先行して改革する: 情報の共有や超国家金融機関の監視には、反対する国もある。その場合、ユーロ圏は先行して情報を共有し、リスクを集中して監視・規制して、国際改革を先導する。

WP Thursday, November 13, 2008

Racing to the Summit

By David Ignatius

WP Thursday, November 13, 2008

Supersize the IMF

By Sebastian Mallaby

(コメント) ブッシュ政権はIMF改革の現状維持を主張します。それはIMFが通貨危機の保険制度として機能しないままでもよい、という意味です。しかし、世界の対外資産総額が3兆ドルに達する現在、IMFの融資財源が2010億ドルしかないのでは、危機を緩和することもできません。

もしブラジル政府が間違った政策を採用したのであれば、少ない融資に厳しい政策変更を強いることで安定化できるでしょう。しかし、ブラジル政府が良い政策を取って資本が流入していたとき、アメリカの金融市場で危機が発生して資本がブラジルからも流出した、というわけです。

IMF改革を拒んだ場合、新興市場には二つの長期的な道が予想されます。一つは強い中央銀行に頼ることです。アメリカ連銀はブラジル、韓国、シンガポール、メキシコに、それぞれ300億ドルを融資しました。これは政治的な強い関与を必要とします。つまり、アメリカでなく、中国やロシアも考えるわけです。

もう一つの可能性は、新興市場が自分でできる限り多くの外貨準備を蓄積することです。実際、アジア通貨危機の後、外貨準備は増えました。しかし、それは生産的な資源の浪費であり、また、ドル建資産で運用された結果、アメリカの資産バブルを膨張させる原因にもなった、と批判されています。

オバマ政権は、この長期的問題にも取り組むでしょう。

FT November 14 2008

EU dreams fade of taming capitalism

By George Parker and Andrew Ward in Washington and Ben Hall in Paris

FT November 14 2008

Difficult promise of co-ordinated response

By Krishna Guha in Washington

(コメント) なるほど、もし救済融資の潤沢な国は競争に苦しむ産業の投資を活発に支援し、輸出を拡大するなら(そして失敗しても銀行は政府に救済してもらえるのなら)、これは世界市場に不当な優位を築くことになるわけです。例えばアメリカの自動車産業なら、救済融資を得て環境技術に投資し、新しい自動車を開発するでしょう。

これは新しい保護主義です。そして、中国政府による輸出奨励の戻し税も、フランスのサルコジ大統領が支持する産業救済基金も、・・・

FT November 14 2008

The G20 summit

(コメント) 金融サミットの課題は二つである。一つは、世界不況への転落を阻止する。もう一つは、金融危機の再発を防ぐために国際金融市場・制度を改革する。銀行を救済し、市場に流動性を与え、新興市場にも融資を増やした。政府は財政刺激策を合意している。他方、後者は複雑な問題であり、合意には時間を要する。拙速な処置はむしろ市場を悪化させる。規制を増やすことではなく、すぐれた規制を見出すことが重要だ。

The Times, November 14, 2008

A new Bretton Woods?

(コメント) ブレトン・ウッズ会議が成功したのは、何よりもアメリカがその姿勢を転換したことを明確にして制度を築いた、というシンボリズムの故であった。今回の金融サミットにはそれがない。すなわち、アメリカの指導力を体現する新大統領、オバマがいない。

国際協調は重要だが、それは何も国際制度の改革を前提しなくても良い。中央銀行は協調して金融緩和したし、消費者金融の規制や預金準備率の改善は国際基準を設ければよい。財政刺激策も各国の事情を考慮して並行して行われている。貿易自由化にはWTOが存在し、自由化交渉を再活性化するべきだ。何より、制度改革を唱えることで国内政策の失敗を無視してはいけない。

The Guardian, Friday November 14 2008

Banking's Marshall Plan

Will Hutton

SPIEGEL ONLINE 11/14/2008

CHANCELLOR MERKEL SPEAKS ON FINANCIAL REFORM

'We Can No Longer Stand Passively By'

WP Friday, November 14, 2008

This Summit's Promise

By James D. Wolfensohn

(コメント) Will Huttonは、今、銀行家たちに報復するのは自分の首を絞めることになる、と国民や政治家に我慢を求めます。

ドイツのメルケル首相は、世界の金融システムを変える時期に来ている、として、透明性と規制の強化を訴えます。ドイツに繁栄をもたらし「社会的市場経済」が、国際金融においても必要だ、と考えるわけです。しかし、政府介入や公的な監視に対して、ブッシュ大統領や民間金融部門の団体IIFは反対します。

世界銀行の元総裁であるJames D. Wolfensohnは、国際金融危機と世界不況に協力して対処することに成功すれば、グローバル・ガバナンスにとって大きな前進である、と主張します。実際、貿易自由化に失敗し、温暖化ガス排出量削減に失敗し、発展途上国援助の増額に失敗し、国連ミレニアム目標の達成にも、核兵器の拡散防止にも失敗しています。そうした国際協調体制の後退に、今回の危機をG20で鎮静化し、不況を緩和することができれば、それは各国政府の国際協調のすぐれた成果を再認識させるでしょう。

そのためにも、時代遅れのG7諸国は、時代遅れの発想や行動を葬らなければなりません。かつて、世界の生産額に占める割合が65%もあったG7ですが、現在は52%に低下し、2030年には37%2050年には25%まで減少すると推定されています。2009年には、G7が一斉に不況に入る一方で、中国、インド、ブラジルのような新興市場は、世界経済成長の100%をもたらすでしょう。

貧しい発展途上諸国を国際会議に招いてG7の考え方や意見を教育する機会だ、などという考えは、全く時代遅れなのです。

NYT November 14, 2008

France’s Finance Minister in a Critical Role at Global Economic Talks

By NELSON D. SCHWARTZ and KATRIN BENNHOLD

(コメント) 金融サミットを動かすのは、フランスのサルコジ大統領の提案を作成する財務大臣Christine Lagardeです。流暢な英語を話し、アメリカ的な率直さを示す女性です。協調の努力がなければ、われわれは前へ進めない、と考えます。

アメリカと対立している点は、ヘッジ・ファンドや格付け会社にまで監視・規制の対象を拡大し、シャドー・バンキング・システムを廃止することであり、IMF改革を進めて中国やインドを取り込む方針です。アメリカはどちらにも手をつけたがりません。しかし、Lagardeならまとめるでしょう。

彼女は、移民の息子であるサルコジとともに、フランスのエリート校出身男子たちの本流ではありません。民間部門で働き、アメリカには6年住みました。二人ともアルコールを飲みません。2005年、中道右派の政権に通商担当大臣として参加する前から、ダヴォスの世界経済フォーラムにしばしば参加し、サルコジ以上に「アメリカびいき」で、伝統的にナショナリストのフランス人より市場志向です。不況がもたらす内向きの発想や保護主義を警戒しています。

彼女は、サルコジの政府系ファンドによる産業保護を、どこでもやっていることだ、と弁解します。しかし、彼女の最大の支持者は財界エリートや外国の金融関係者たちです。たとえば、WTOのラミー事務局長や鉄鋼王のミッタルのような。他方、英語がうまい大臣はフランス国内で嫌われます。

それも変わるかもしれません。オバマが当選し、彼女が新しいワシントンで多くの知己を得ていることをフランス人も知るからです。

 

IHT Friday, November 14, 2008

Global action on a global crisis

IHT Friday, November 14, 2008

An international action plan

By John W. Snow

(コメント) 世界経済がより緊密に統合し、急速に変化していることを、今回の金融危機は示した、とアメリカの元財務長官John W. Snowは指摘します。この秋、ヴァージニア大学で開催された、G20とほとんど同じ参加者による国際会議で、世界中から集まった、政治的にも、社会的にも、経済的にも、全く異なる背景を持った元金融・財務長官たちが、進行中の世界的な金融危機に対して、多くの原則や協力について一致した、と。

彼らの合意は、ブレトン・ウッズ体制を刷新し、G7ではなくG20において協調し、世界的な規模の監視や規制を目指しています。IMFの機能拡大・強化にも積極的です。そして、金融危機にも関わらず、世界の貧困解消のためにグローバリゼーションの支持は揺らいでいない、と強調します。

The Japan Times: Friday, Nov. 14, 2008

Oddball summit has limits

By KEVIN RAFFERTY

(コメント) アメリカのブッシュ政権は約束を果たす時間がない。イギリスはユーロ圏ではない。G20は大き過ぎてまとめられない。日本は円高に反対するだけで全体を見ない。参加国数を減らすとカナダやイタリアは追い出される。IMFはヨーロッパ中心で時代遅れである。主要国は政策に関与させない。官僚たちはインターネットでマネー・ゲームに耽る世界中の投資家を監視できない。だからいつも、一時しのぎのバンドエイドで終わる。

唯一できるとしたら、21世紀の世界政府を構想する賢人会議を任命することだ。すなわち、Paul Volcker, Paul Krugman and Andrea Tyson of the U.S.; Robert Mundell of Canada; Howard Davies and Gus O'Donnell of Britain; Amartya Sen and Montek Singh Ahluwalia of India; Stan Fischer of Israel, the U.S. and Zambia; Shengman Zhang of China; and Toyoo Gyoten of Japan.

WSJ NOVEMBER 14, 2008

That G-20 Show

WSJ NOVEMBER 14, 2008

Stable Money Is the Key to Recovery

By JUDY SHELTON

(コメント) JUDY SHELTONは考えます。ニクソンが廃止して以来、国際通貨秩序に金の保証は失われ、混乱と変動が続いている。世界が貿易と投資によって結びつくためには、健全な・安定した通貨秩序が必要だ。それは、かつてドゴールが要求したような金に基づく制度である。「金に国籍はない。」

オバマとサルコジにできるか?

BBC: 2008/11/15

Summit pledge to 'restore growth'

CSM November 15, 2008 edition

Forget Bretton Woods II – we need a gold standard

By Walker Todd

(コメント) 信用の膨張と過度の金融緩和こそ危機の主要な犯人である。しかし、政府は様々な救済策に奔走し、信用供与と金融緩和を維持する道を選んだ。すなわち、アメリカ政府はワイマール共和制を再現し、インフレーションの悪循環に吸い込まれる。あるいは、官僚制の不毛なビザンチン帝国を拒んで、金本位制を採用する政治的な意志を示すか、だ。そして、それは危機が十分に深刻であれば誕生する。

金本位制の完全性と抑制を欠いた現代では、ブレトン・ウッズUなど実現せず、むしろ、アメリカはハイパー・インフレーションに向かって突進していくだろう。

The Guardian, Saturday November 15 2008

Gordon Brown heralds progress at G20 financial crisis talks

Ed Pilkington in New York and Mark Tran

WP Saturday, November 15, 2008

To the Summit

WP Saturday, November 15, 2008

As Summit Starts, Emerging Nations Weigh New Clout

By Anthony Faiola and Glenn Kessler

NYT November 16, 2008

World Leaders Agree to Act Together on Financial Crisis

By MARK LANDLER

(コメント) このサミットだけでは決まらない、と多くの者が考えています。協調の姿勢を示し、将来に向けた改革の意思を確認すること。

誰が、どんな発言をしたのでしょうか? ブッシュ大統領、サルコジ大統領、メルケル首相、キルチネル大統領(アルゼンチン)、メドヴェージェフ大統領、ブラウン首相、麻生首相、胡錦濤主席、ダ・シルバ大統領(ブラジル)などの簡単な紹介です。


Five Reasons Why Obama Victory Will Relieve Asia William Pesek Nov. 7 (Bloomberg)

BBC 2008/11/08 Thai crisis exposes class struggle By Jonathan Head

China Stands Between Sydney and 1930s William Pesek Nov. 10 (Bloomberg)

FT November 10 2008 China needs a true change of course

WSJ NOVEMBER 10, 2008

The Coming Crunch By DAVID ROCHE

FT November 13 2008

Towards a co-ordinated macroeconomic expansion among Asian economies

By members of the Asian Economic Panel

(コメント) アジア諸国が中国、日本、韓国の協調体制の下で金融緩和と財政刺激策、為替レートの安定化を推進せよ、という経済学者たち(Jeffrey Sachs, Columbia University, USA; Wing Thye Woo, Brookings Institution, USA; Naoyuki Yoshino, Keio University, Japan; Yung Chul Park, Korea University, Korea; Bhanupong Nidhiprabha, Thammasat University, Thailand; Kang Chen, Nanyang Technological University; Geng Xiao, Brookings-Tsinghua Center, China, ほか)の呼びかけです。

1.欧米に代わってアジアが世界成長を担う。2.中国、日本、韓国の間でスワップ網を築く。3.これをIMF融資と切り離す。4.財政刺激策。5.金融緩和。6.ドルとユーロのバスケットに対して為替レートを安定させる。特に円高については欧米との協力を求める。7.中国、日本、韓国の財務相・中央銀行の高官が定期的に集まり、実質的な話し合いを行える制度を設ける。

Nov. 14 (Bloomberg)

Asia's Economy Could Use Its Own Gordon Brown

William Pesek

(コメント) 誰がアジアの声を代表するのか? William Pesekは金融サミットにおけるアジアの協力に懐疑的です。アジアには強い指導力を発揮できる、ゴードン・ブラウンがいない。


Our social fabric, ripped to shreds Sasha Abramsky The Guardian, Friday November 7 2008

NYT November 7, 2008 The Obama Agenda By PAUL KRUGMAN

NYT November 7, 2008 An Eternal Revolution By ORLANDO PATTERSON

FT November 7, 2008 What FDR can teach Obama By Clive Crook

NYT November 8, 2008 Take a Bow, America By BOB HERBERT

America has embraced the values of progress Gordon Brown The Observer, Sunday November 9 2008

The Man of Tomorrow By Desmond Tutu WP Sunday, November 9, 2008

NYT November 9, 2008 The Climate for Change By AL GORE

NYT November 9, 2008 The Real Mandate Is to Bridge the Wealth Gap By ROBERT J. SHILLER

FT November 9 2008 Obama can be a Roosevelt and not a Carter By David Blake

The Times, November 10, 2008 Obama's first economic lesson: blame Bush William Rees-Mogg

Brown envisages 'global society' Deborah Summers The Guardian, Monday November 10 2008

The high priests of the bubble economy Dean Baker The Guardian, Monday November 10 2008

Bold Is Good By E. J. Dionne Jr. WP Monday, November 10, 2008

NYT November 10 2008 Franklin Delano Obama? By Paul Krugman

SPIEGEL ONLINE 11/11/2008 NIALL FERGUSON ON OBAMA AND THE GLOBAL CRISIS

'A World War without War'

FT November 11 2008 How Obama should face his vast economic challenges By Martin Wolf

FT November 11 2008 Obama’s economic challenges By Martin Wolf

Obama must show the way to a goal set by Russell, Einstein - and Reagan Timothy Garton Ash The Guardian, Thursday November 13 2008

The return of soft power?  By Paul Kennedy IHT Thursday, November 13, 2008

(コメント) オバマ政権の政策課題に関する論説が増えました。時間がなく、要約できません。


FT November 7, 2008

How the US and China should deal with the global downturn

By Ronald McKinnon

(コメント) 為替レートに関する国際合意を得るには、金融サミットの参加国が多すぎる。ブレトン・ウッズでは英米の2カ国であった。

もし今、為替レートに関して新しい国際合意と制度を樹立するつまりなら、参加国は、アジアから中国と日本、ヨーロッパからユーロ圏(とイギリスが付随)、北米からアメリカ(審判としてカナダ)に限定されるべきだ。つまり4(+2)カ国である。

これら4カ国が為替レートの安定性を回復し、金利を調整して、貿易収支の不均衡を解消すれば、他の諸国は大きな利益を得るだろう。他の小国は、現在のIMF協定が求める経常取引の自由を守るだけで、他の取り決めに従う必要もない。

マッキノンは米中の合意に絞って説明します。・・・しかし、時間がありません。詳しく読んでみてください。実に興味深いです。

1.危機はアメリカの連銀が住宅バブルの破裂に対して極端な金融緩和を行う過程で、金融が膨張し、人民元や円を高くすることで波及する。

2.日本政府は1995年4月に、それまで25年間も円高圧力を受けてきましたが、ルービン財務長官は「強いドル」政策に転換し、ようやく危機を脱した。

3.中国政府は、アジア通貨危機の後、周辺のアジア諸国通貨が大きく下落し、デフレ圧力を受けていた。しかし、中国政府は巨額の財政刺激策を4年間続けてアジア諸国を助けた。

最後に推奨しているのは、米中がドルと人民元の為替レートを現行水準で安定化する、ということです。そして中国は財政刺激策を使って内需を拡大し、対外不均衡を解消します。それはすなわち世界から輸入を増やし、成長を波及させます。

米中の政策を合意すれば、双方に(そして、アジアや世界に)大きな利益がある。

FT November 7, 2008

The IMF should guarantee emerging market debt

By Mario Blejer

The Japan Times: Thursday, Nov. 13, 2008

The financial hurricane hits Latin America

By SEBASTIAN EDWARDS

Asia Times Online, Nov 15, 2008

US's road to recovery runs through Beijing

By Francesco Sisci and David P Goldman

(コメント) 新興市場をめぐって。


NYT November 9, 2008

Remember That Capitalism Is More Than a Spectator Sport

By ALAN S. BLINDER

WP Sunday, November 9, 2008

More Pain to Come, Even if He's Perfect

By Joseph Stiglitz

NYT November 9, 2008

It a Time to Listen, and to Obey the Laws of Arithmetic

By N. GREGORY MANKIW

WP Monday, November 10, 2008

A New Specter: Deflation

By Robert J. Samuelson

SPIEGEL ONLINE 11/12/2008

 'A NEW MINDSET IS REQUIRED': Nobel Economists Offer First Aid for Global Economy

NYT November 14, 2008

Depression Economics Returns

By PAUL KRUGMAN

(コメント) アメリカの不況および資本主義経済はどうなるのか? ALAN S. BLINDERは1930年代のニュー・ディールに学ぶことを求めます。Joseph Stiglitzは、オバマが市場の飴と鞭を使って政策を実現するように求めます。


BBC 2008/11/08

Coronation in the Dragon Kingdom

Asia Times Online, Nov 12, 2008

Bhutan's new king raises Asian eyebrows

By Dhruba Adhikary

Asia Times Online, Nov 15, 2008

A Buddhist messiah in Maoist Nepal?

By Dhruba Adhikary and Charles McDermid

(コメント) 新しい国王が政治改革を進めたブータンについての記事です。


The Observer, Sunday November 9 2008

Introducing Karl Polanyi

Adrian Pabst


FT November 9 2008 Saving savers

NYT November 13, 2008 I.M.F. Loan to Iceland Held Up by Disputes By DAVID JOLLY

BBC 2008/11/13 Russia's role in rescuing Iceland By Konstantin Rozhnov

VoxEU.org  30 October 2008

The collapse of Iceland’s banks: the predictable end of a non-viable business model

Willem Buiter & Anne Sibert

FT November 13, 2008

How likely is a sterling crisis, or is London really Reykjavik-on-Thames?

Willem Buiter

(コメント) アイスランド危機に関する論説です。


FT November 9 2008 Conflict in Congo

BBC 2008/11/11 Face-to-face with DR Congo rebel chief By Mark Doyle

BBC 2008/11/12 Impossible task for UN in DR Congo By David Loyn

NYT November 13, 2008 Rwanda Shadow

IHT Thursday, November 13, 2008 Doing nothing as Congo burns

(コメント) コンゴ紛争の再燃について。


FT November 9 2008

Japanese government bonds

Nov. 11 (Bloomberg)

Elderly Crime Wave Spotlights Japan's Underbelly

William Pesek

The Japan Times: Tuesday, Nov. 11, 2008

China, Japan can help by helping themselves

By FRANK CHING

SPIEGEL ONLINE 11/13/2008

RENEWAL OR IRRELEVANCE: With Asia's Rise, Global Governance Must Be Reformed

By Hitoshi Tanaka

WSJ NOVEMBER 14, 2008

Restoring Financial Stability

By TARO ASO

WP Saturday, November 15, 2008

Japan's Summit Hopes

Prime Minister Taro Aso

(コメント) ウォール・ストリート・ジャーナルやワシントン・ポストは好意的に掲載してくれたようです。安倍首相もFTにインタビューを載せましたが・・・。麻生首相が金融サミットで重要な役割を果たしたと考えてよいのか、じっくり読んでみたい論説です。(申し訳ないですが、時間切れです。)


NYT November 11, 2008

A Holiday to End All Wars

By ALEXANDER WATSON

(コメント) すべての戦争が終わる記念日、というのを知りたいです。


The Guardian, Wednesday November 12 2008

We just can't afford tax cuts

Larry Elliott


SPIEGEL ONLINE 11/12/2008

UNTAPPED RICHES: Greenland Braces for Independence and Wealth

By Manfred Ertel

(コメント) 北極海を開発すれば、グリーンランドは独立へ?

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The Economist November 1st 2008

It’s time

Lexington: Two cheers for American democracy

The economy: The next front is fiscal

Policy in a recession: Putting the air back in

The credit crunch: China moves to centre stage

The euro: Seeking shelter

Japanese politics: Keep’em guessing

Congo: Don’t let it happen all over again

Policing prostitution: The oldest conundrum

Fighting the nuclear fight: When nuclear sheriffs quarrel

(コメント) オバマの当選とアメリカ大統領選挙に示された民主主義の優秀さを称えています。並行して、金融危機の分析が続きますが、驚くような内容はありません。

コンゴの安定化や核燃料の国際管理、売春の合法化など、多くの問題と並べてみると、日本の政治情勢がこの雑誌の読者にどれほどアピールするか、たとえIMFを介して1000億ドルの安定化融資で貢献しても、心もとないです。