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IPEの風 11/17/08
福祉ネットの先週の特集は「『働く』を考える」でした。人は、お金のためだけに働くのではない。廃品の回収や引っ越し、リサイクルを、協働労働で組織する会社に若者たちも参加します。
派遣労働者たちの、派遣労働者たちによる、派遣労働者のための雑誌『フリーターズフリー』。4人の部屋で始める。もっと自分たちのことを、労働者として自ら発言すること。資本論の文庫が並ぶ本棚を背景にインタビューに応える。抑えた闘志がある人たちのさらなる活躍、期待します。
雑誌『POSSE』。若者の雇用を考えるNPO団体。
派遣会社や派遣労働者が、もっと普通の労働者として社会に受け入れられるような仕組みを考えてほしいです。正社員との待遇を差別していないか、公的な権利の保障について裁判所の明確な判断、労働者の権利を守る監督制度の充実、を求めてはどうか?
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田母神海上幕僚長について、その後の論争を追ってほしい、と私は講義で学生たちに話しました。しかし、インド洋の給油活動に関する法案審議もあるはずなのに、日本の政治家たちがどんな議論しているのか、伝わってきません。
ヨーロッパを旅行してきた学生は、向こうで兵役を終えた若者や戦争を常に身近に感じる人々と話し合って、日本がこのままずっと平和であることを確信できないようでした。
田母神氏について、自衛隊という軍事力を統括するトップクラスの人間が安全保障を語るにふさわしい、充実した深い歴史観・歴史理解や政治・国家認識を欠いていることが問題だ、と思いました。自分の国の過去であるから否定したり、卑下したりするのは好ましくない、というレベルであれば、いずれの国民も武器を抱いて眠るしかないでしょう。
ビル・エモットの『ライヴァルズ』(邦訳名:アジア三国志)をゼミで読んでいると、アジアの制度を築く際に、日本は侵略の歴史があるから決して指導的な役割を果たせない、と書いてありました。翻訳文が悪いのかもしれませんが、本当にそうでしょうか?
ドイツが独仏の協力でEU統合を推進してきたように、アジア統合は日中の協力を必要とするでしょう。しかし、中国人はしばしば日本の軍国主義復活、歴史認識を執拗に批判します。他方、日本人は中国の反日感情・反日運動に恐怖し、憤りや反発を感じます。
もし日中の指導者たちが、両国の友好関係、協調関係を充実させて、地域の繁栄と安定化に貢献し、制度化を進めようと思うなら、双方が互いにその不安や疑念を実際に検証し、率直に語り合うことが重要です。相手国の気づかない問題点を指摘して、改善策を勧告するのが良いでしょう。
相互の検証作業・調査団の派遣、両国の委員からなる常設委員会の設置と定期報告、改善勧告とその判定基準、・・・。かつて1980年代に貿易摩擦が激しく、保護主義的な数値目標を回避するために、日米構造協議が行われました。あるいは、イギリスで移民暴動が起きた都市で、またIMF融資が通貨危機を鎮静化したか、疑わしいケースで、社会や経済の望ましい基準を示して、事後的な検証作業と協力的な解決策への政治的意志が示されました。
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金融サミットの主要なテーマは、規制・監視の強化、IMF機能の拡大である、と報道されています。他方、新興諸国はより大きな発言力を求めています。
1000億ドルのIMF融資提供を申し出た麻生首相。しかし、私の印象は称賛とともに疑念でした。日本が巨額の外貨準備を保有し、ゴードン・ブラウン首相が中東産油諸国を訪問して説得したように、アジアの黒字諸国を説得して回る必要があったでしょう。また、金融危機や諸外国の通貨危機に10兆円も出せるなら、国内の零細企業や商店、社会的弱者の救済に使ってはどうか、という不満に応えなければなりません。
そして、私の疑念は、1000億ドルの使い方について、それが国際的な通貨秩序の改善に役立つ提案としての中身を示していないことでした。「今週のReview」で、ドイツの提案を紹介しながら、日本も再建理念を問うべきだ、と思いました。
なお、BSドキュメントの金融危機特集は物足りない内容でした。アメリカ型の金融ビジネスが終わったことを3人で歓談し、将来の成長や社会の再建を語ることがないからです。クルーグマンの指摘したような、投資銀行やレバレッジの規制は必要だし、金融市場の持つ心理的な変動を抑制する仕組みも考えてほしいです。
しかし、もしこれがニュー・ブレトン・ウッズと呼べるものであれば、国際収支不均衡の拡大に応じて、為替レートの調整、貧困解消や開発過程への長期資本供給、マクロ政策の国際協調とサーベイランス、短期資本移動に関する規制、地域経済・通貨統合に関する基準、債務不履行の再交渉に関する制度化、などを合意し、IMF・世界銀行の機能改善と強化に盛り込むべきでした。
世界金融市場は、単一・均質な市場ではなく、異質な金融循環系の混合物です。非常に貧しい地域の原始的金融もあれば、国内規制を無意味にするほどの活発な資本移動や、金融ビジネスの超国家化を実現した諸国もあります。政府の姿勢にも大きな違いがあるでしょう。それゆえ一律の金融監督や規制は失敗します。
未来のIMF・世界銀行は、何種類かのスタンダードを用意して、その基本型の間で適切なリンクや監視方法、危機に対する予防や処理を考えておく必要があるでしょう。そして、そのようなコース・ブックを配ってから、各国政府とすべての金融機関に自主的な参加とルールの順守を呼びかけるのではないでしょうか? 主要国と主要金融機関が貿易と金融取引を国際ルールに基づいて自由化することで(安定性の回廊)、その他の諸国でも安定的な各コースの運営とコース間の移動、そして主要国通貨の覇権交代や地域通貨協定も可能になるのです。
つまり金融サミットは、その大きな秩序転換が始まる可能性を予告したに過ぎません。私たちの世界は、再び「トリフィンのジレンマ」に直面します。国際通貨の安定性と普及の好循環は、今や、通貨価値の不安定化と資産の投機的な持ち替えに変化したのです。
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日本が国際的な役割を果たすには、国内の政治経済問題にも積極的に取り組み、その制度の革新によって新しい可能性を実現する力が問われると思います。
オバマ大統領がアメリカの中産階級の没落やイラク占領問題に取り組むように、日本も10年単位で制度改革に取り組み、成果をあげるような人物と政治基盤を示してほしいです。若者が働く意味を見失い、希望を持てない国が、また自衛隊の幹部が浅薄な歴史・政治論議によって政治指導者や内閣、国会の権威と能力を疑われる国が、国際的な役割を担うことは難しいでしょう。
あるいは、と私は思うのです。政権交代や政党の再編にはもう期待しない。むしろ、日本を分割してほしい、と。本州日本だけでなく、北海道も、四国も、九州も、そして、沖縄も独立します。安全保障共同体を構成し、共通通貨を管理しながらも、各国は独自の政党や制度を実現し、外交や政策の余地を見出します。NAFTAやEUに負けない、政治的な交渉過程と制度構築の意志を若者たちは持つでしょう。・・・共通の大統領、天皇制をどうするか、連邦の憲法を考える・・・。
私たちは、同じ日本語や文化を共有する外国を見る(そして旅行し、働き、移住する)ことで、はるかに革新的な社会を得るのです。
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