IPEの果樹園2008

今週のReview

11/10-11/15

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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******* 感嘆キー・ワード **********************

国際金融サミット:Alesina and GiavazziBuiterLame DuckAskari and KricheneWolfRogoffThe Economist、 アイスランド、 ケインズHutton、−Bator、−Phelps、 FRBから世界中央銀行へ、 国家の破産小国の選択、 オバマ新大統領:投票前投票後、 偽りの選択、 共通の善を実現する

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor, WSJWall Street Journal Asia


FT October 29 2008

Asian billionaires

(コメント) 中国やインドの株価も暴落し、急速に世界の長者番付に登場してきた中国人、インド人の大富豪が、その富を失いました。たとえば、Larry Yungは前中国副主席の息子であり、元素「赤い大富豪“red tycoon”」です。香港に上場しているCitic Pacificの株を27億ドルも保有していました。しかし、オーストラリア・ドルのデリバティブが暴落し、彼の保有分、19%の価値は3億ドル余りに減少しました。

しかし、それは資産の市場評価額だけの問題であり、大きくレバレッジを利用することもないので、投げ売りすることもありません。また、ロシアと違って、中国やインドは資産に対する政府の規制がまだ強い、とFTは指摘します。外国人投資家の餌食になるわけでもないのです。

新興市場の富や企業家は死滅しないでしょう。


FT October 30, 2008

Globalisation is not our enemy

By Alberto Alesina and Francesco Giavazzi

(コメント) 世界的な金融危機に対して「新しいブレトンウッズ」が盛んに議論されています。G7やIMF、金融安定化フォーラム(FSF)など、国際制度の構造や役割を再考する、というわけです。しかし、この会議では国際金融のルールを書き換えるのではなく、それを監督し、規制する制度の改善を図るべきだ、とAlesina and Giavazziは考えます。

中央銀行の独立性が優れた成果をもたらすことを考えても、金利の決定や金融規制のような技術的な問題については、政治家がその決定を独立の専門機関に委ねた方が良い、と主張します。ところが、フランスのサルコジ大統領などは、反市場、反グローバリゼーションの政治目標を掲げてルールを書き換えようとしています。それは破滅的な結果をもたらす、とAlesina and Giavazzi警告しています。

たとえば、IMFの役割は無責任なマクロ政策を監視し、資本移動の扱いに失敗することがないよう警戒することです。また、ECBはヨーロッパにおいて、さらに重要な権限を各国政府から委ねられています。そして、FSFは国際金融システムの脆弱性を克服するために様々な機関の情報交換と協力を促します。

Alesina and Giavazziによれば、国際制度の欠陥はその政治的な代表制度と決定メカニズムにあります。国際制度の多くは第二次世界大戦が終わった時代を引きずっており、たとえば、中国も、インドも、メキシコも、ブラジルも、G7ではありません。あるいは、国際金融会議におけるユーロ圏の代表も一人ではなく、さまざまな国が代表を送ります。

ところが政治家たちの関心は、こうしたガバナンスの改善ではなく、反グローバリゼーションをルールに組み込むことにあります。しかし、金融危機の原因について、彼らの理解は間違っています。たとえば、世界的な不均衡が悪い、と考えます。世界の貯蓄と投資が国境を超えて金融システムによって結びついていることで、世界の成長は加速し、アメリカのマイナスの貯蓄をドイツや日本、今は中国が埋めています。もし国際投資を妨げるなら、それは貿易を妨げて世界不況を拡大したフーバー大統領の失敗を繰り返すでしょう。

先物売りやヘッジファンドを規制することも同じであり、市場の機能を正しく理解せずに政治的な介入を行えば、それは病気そのものよりも悪質な治療を施すことになる、と。


WSJ OCTOBER 31, 2008

Another Lost Decade?

FT November 2 2008

Japan needs more than gestures

(コメント) 麻生首相の財政刺激策、日銀の小刻み金融緩和。日本はまた経済改革を先送りにするようだ・・・と、少なくともここに見る論説で、英米の日本評価は厳しいようです。

金融危機が波及するのは遅いようですが、輸出による成長は急速に悪化し、円高とデフレが再び日本の投資を窒息させるかもしれません。


Oct. 31 (Bloomberg)

Search Is on for Iceland-Like Hedge Fund in Asia

William Pesek

NYT November 2, 2008

An Iceland Mired in Debt Blames Britain for Woes

By SARAH LYALL

(コメント) アイスランドの経済が、実は経済運営などではなく、ヘッジファンドの運営でしかなかった、ということに気付いて、投資家たちがあわてて資金を取り去ったとき、1976年以来、先進国では初めてのIMF融資を受ける国に決まりました。ウクライナ、ベラルーシ、ハンガリー、パキスタンも、IMF融資に頼ります。

アジア通貨危機の教訓がよみがえる、とWilliam Pesekは指摘します。銀行の株価下落は危機の前兆、「炭鉱のカナリア」かもしれません。IMFは救済融資を増やしています。それでも不安であるのは、アメリカ経済がますます日本のような不況とデフレへの予感を強めていることです。

President George W. Bush inherited a surplus, yet his budgets have resulted in deficits and added $1.7 trillion to the national debt. しかし、韓国や台湾では通貨不安が重なって困難を増します。

アイスランドの破たんは、多くの国際投資家を巻き込んで、金融詐欺が頻発する時代の前触れです。豊かな諸国は銀行から資金を調達できますが、弱小国は資金を奪われます。

アイスランドの金融破たんは自ら招いた失敗ですが、彼らにはそれを悪化させたと感じる厳しい仕打ちがありました。イギリス政府は2001年のテロリストを取り締まる法律を使って、イギリス人の預金を取り戻すため、イギリス国内のアイスランド資産を差し押さえました。アルカイダ、スーダン、北朝鮮、そして・・・ アイスランド!

NATOも、北欧の近隣諸国も、緊急支援や融資を拒みました。EU諸国に素早い金融安定化への対応を称賛されたゴードン・ブラウン首相ですが、アイスランドに関しては「近隣窮乏化策」、「自身の短期的な政治的利益のために小国の経済危機を煽った」と批判されます。

また、EUの規制に従えば、アイスランドが国外預金者に支払う必要のある債務(6000億アイスランド・クローナ、それは今の暴落した為替レートでは、わずか50億ドルです)はGDPの60%にもあたり、負担率で見てドイツがヴェルサイユ条約で負わされた賠償金の2倍に匹敵する、と外相のMs. Gisladottirは訴えます。

金利は18%です。「給料は凍結され、食糧などの価格は跳ね上がった。いたるところで企業が倒産している。」アイスランド単独で回復することは難しいでしょう。外相は、この厳しい状況において、近隣諸国や友好国に協力と支援を求めています。


Financial crisis, Part 2 By The Monitor's Editorial Board CSM October 31, 2008

LAT October 31, 2008 Rx for our financial crisis

NYT October 31, 2008 More Money for Detroit

NYT October 31, 2008 When Consumers Capitulate By PAUL KRUGMAN

FT October 31 2008 Ring-fencing the vulnerable in a crisis

(コメント) 金融機関を救済しながら、住宅保有者や自動車会社を救済しないのか? そして何より、消費者を助けて不況を回避しないのか? それを拒むなら、結局、金融危機も収まらない。こうして論争は次第に政府介入を増やしていきます。

金融部門を次第に国有化すれば、次には政府の債務と支払い能力が問題になります。

Time to face down the myth that banks always know best Polly Toynbee The Guardian, Saturday November 1 2008

NYT November 2, 2008 Challenging the Crowd in Whispers, Not Shouts By ROBERT J. SHILLER

LAT November 2, 2008 Americans or economic beasts of burden? By Judith Freeman

Will the real Keynes stand up, not this sad caricature? Will Hutton The Observer, Sunday November 2 2008

(コメント) ケインズが注目を集めて、ケインズ経済学が復活しました。しかし、その表面的な理解が金融支援や政府介入を正当化するために使われるだけでは、金融システムの改革や経済危機の回避をもたらすことなく、貴重な機会を失ってしまいます。

Will Huttonが強調するのは、パニックになった金融市場における政府の信用保証制度です。金融市場の不安定性、悲観と楽観は常に繰り返されており、深刻な時期に政府が介入しなければならないのは当然です。しかし、低金利政策や財政刺激策だけでは民間投資や消費の不足を埋めることはできません。さまざまな分野で金融市場の麻痺を克服するために、政府による信用保証制度が重要だ、と考えます。

FT November 2 2008 Bold is best in the effort to counter recession By Brendan Barber

FT November 2 2008 Finding a way out of the global crisis

FT November 2, 2008 Never mind the crisis; take care of long-term incentives now Willem Buiter

FT November 3, 2008 Fiscal expansion in the wrong places Willem Buiter

(コメント) 1115日、ワシントンにおけるG20で、ブレトンウッズ会議に等しい成果があげられるのか、疑問も示されています。しかし、FTは、新興経済への危機の広がり、世界不況を回避するため、各国が協力して解決する機会であると考えます。特に、IMFが、アメリカFRBが、あるいはECBが国境を超えて金融システムの安定化に融資するニュースがあるけれど、本当はアジアの経常黒字諸国(中国や日本など)と中東産油諸国が赤字国に融資することが望ましいのです。

G20が、新しい金融監督制度の端緒となるよう、FTは期待します。

FT November 3, 2008 Saving the real economy By Francis M. Bator

The Times, November 3, 2008 The Benefits of Sovereign Wealth Funds

(コメント) Will Hutton が考えるケインズは金融市場の微妙なバランスを実体経済につなぐケインズ経済学でしたが、Francis M. Batorが考えるケインズは積極的な政府介入で景気変動を抑制するアメリカ的なケインズ経済学です。

まず、失業と生産設備の稼働率を下げないためにも、アメリカは毎年5000億ドルの追加の需要を必要とする、と考えます。不況を回避するために、連邦政府は財政赤字で支出を削り、増税しなければならない州や市、町の財政を助けます。また、消費税を広く減税します。

大規模な失業と生産設備の遊休化が起きていることを考えれば、その財政負担やインフレ、輸出を抑える効果は心配しなくて良い、と主張します。債務は、増大する所得から、将来世代が少しずつ負担するだけでよいのです。

むしろ、1970年代に賃金とインフレが累積的に上昇し、また、1990年代の日本で、債務とデフレが累積的に成長を損なったことを考えれば、景気が悪化する前に、効果的な対策を、思い切って、しかも持続的に取ることが重要です。120日の就任式までに、新大統領は高次の作業班を任命して、景気が回復して以後の、多年度・漸進的な財政再建策を示すべきです。

そして、新大統領と議会は、医療、教育、研究開発、インフラ、エネルギー、気候変動、そして、新に恵まれない人々とその子供たちが恥ずかしくない消費水準を維持できるように、政府支出を今すぐ増やすべきです。

Bernanke's Fed Chasing Down the Global Infection William Pesek Nov. 3 (Bloomberg)

(コメント) IMFやFRB,ECBなどが健全な状態にある諸国や新興経済に融資するのは、世界不況を避けるに世界の支出水準を維持することが必要だからです。

日本銀行が7年間で初めて金利を下げたことも、アメリカのFRBが0.5%金利を下げて1%にしたことも驚かない。しかし、FRBがあたかも世界中央銀行のように、ブラジル、メキシコ、シンガポール、韓国に300億ドルを提供したことには驚いた、とWilliam Pesekは書きます。IMF融資も復活し、それらに比べて日本や円の存在はますます無価値になっています。

このようにアメリカとドルは、他国の通貨に比べて、その革新的な姿勢で秀でています。ユーロ、円、ポンド、スイス・フランと流動的な資金をスワップする合意を結ぶことはできても、ドルのように新興市場の通貨と交換に融資することはできません。それはバーナンキが新興市場経済の運営や政策に責任を持つ(監視する)と表明しているからです。5年たって、バーナンキの決断は、その聡明さか、あるいは、無謀さによって評価されているはずだ、と。

さらに、バーナンキのFRBに見られるアメリカの対外通貨・金融策として、それが地政学(ECB、オーストラリア、ニュージーランド、に加えて、新興市場4カ国)を反映し、また、IMFの機能を(解体するより)復活させようとしている、とWilliam Pesek考えます。それは1兆9000億ドルの外貨準備によってIMFやアメリカに代わる力を持った中国を意識しています。中国の台頭が、アメリカやEUをIMF重視の姿勢に傾けています。

しかし、こうして確立された先例は、アメリカFRBに何をもたらすのか? 将来、通貨・金融危機が起きると、各国はアメリカに(あるいは中国に)頼ることを考えるでしょう。しかし、逆に、世界の準備通貨として保有されるドルが、ますます金利を低下させて、ついに放棄されたときには、ドル暴落と通貨秩序の解体が避けられません。ドル準備の主要国が集まって、今度はドルとアメリカ経済を救済するのでしょうか?

そんなことも知らずに、今はFRBから直接に与えられたドル融資を歓迎している。

`Panic of 2008' Is Better Than the Alternative Kevin Hassett Nov. 3 (Bloomberg)

Staving off a global depression Dominique Strauss-Kahn The Guardian, Monday November 3 2008

(コメント) 2008年の大恐慌は避けられたのか? もっと悪くなるかもしれません。1930年代と同じように、オバマ新政権が現代版スムート=ホーリー関税を成立させて保護主義を広め、また、法律によって労働の組織化や企業のカルテルを強化すれば、世界不況は急速に拡大する、とKevin Hassettは考えます

IMFのStrauss-Kahn専務理事は、新興市場やアフリカの貧困国にも、国際的な支援を行う必要を訴えます。

The planet is the big loser in Brown's economic assault Jackie Ashley The Guardian, Monday November 3 2008

NYT November 3, 2008 Lame Duck Summit

(コメント) 1115日の20カ国(Argentina, Australia, Brazil, Canada, China, France, Germany, India, Indonesia, Italy, Japan, Mexico, Russia, Saudi Arabia, South Africa, South Korea, Turkey, the United Kingdom the United States, the European Union)が集まる国際会議で、任期終了直前のブッシュ大統領がすべきことは何か、とNYTは考えます。アメリカの選挙循環に国際金融危機の対策が振り回されてはなりません。また、フランスのサルコジ大統領のような、金融ビジネスの道徳化、銀行監督の強化、各国産業保護、をごちゃ混ぜにすることにも反対します。

一方では政治指導者が集まって国際協調の合意を示すことは重要です。しかし、他方で、非国家の専門家会議に危機の原因と含意の究明を委ね、さらに次の専門家部会で具体的な政策転換の合意が得られれば、新しい大統領は明確な改革への意志をせるわけです。

Fairness for Emerging Markets By Kemal Dervis WP Monday, November 3, 2008

(コメント) 国連開発計画事務局長、トルコの元経済・財務大臣、Kemal Dervisは、IMFによる新興諸国への融資を求めます。その規模や条件、それとともにIMFの意思決定について、金融危機は見直しを求める声を強めるでしょう。

NYT November 3, 2008 Persian Gulf States Asked to Increase Global Bailout Financing By DAVID JOLLY

Asia Times Online, Nov 4, 2008 Strong dollar, stamina in doubt By Ronald Solberg

Asia Times Online, Nov 4, 2008 Crisis summit a chance for genuine reform By Hossein Askari and Noureddine Krichene

(コメント) Askari and Kricheneによる金融サミットへの要請です。「グローバリゼーションにおいて、すべての国は孤立して生きられない。」「金融は必ずグローバルなものである。」そのうえで、金融サミットに六つの課題を示します。

1.国際決済システムをどうするか? 為替レートの決定やマクロ経済政策の協調は、安定した国際決済システムの基礎である。その支柱が失われている。2.中央銀行間の協力関係を築くためにも、バブルと金融危機を反省して、金融政策の望ましい基準を変更するべきか? 3.世界的な規模の金融規制当局が、至急、必要である。金融は必ず分野や国境を超えてしまう。

そして、4.マクロ経済政策のサーベイランス。5.国際金融制度のガバナンス。権限・財源と代表制。6.現在の金融危機を鎮静化する具体的方法・政策についての国際合意。

アメリカの財務省が与えられたTARPは、効果的でないし、コストもかかる。デフレも回避しなければならないが、インフレ的な道も避けるべきだ。そのためにも、政治指導者たちは合意の細部に介入するべきではない。

The Times, November 4, 2008 The hippy guide to Keynesian economics John Naish

Britain Can't Spend Its Way Out of This Recession Matthew Lynn Nov. 4 (Bloomberg)

Financial Leaders Go AWOL in the Meltdown Ben W. Heineman Jr. Nov. 4 (Bloomberg)

SPIEGEL ONLINE 11/04/2008 THE GHOST OF ARGENTINA By SPIEGEL Staff

(コメント) 世界金融危機は新しい段階に達しました。欧米の金融システムに関わりのない銀行や企業、地域でも、融資や売り上げが減って、企業は倒産し、失業者が増え、通貨価値や債券価格も急落しています。欧米諸国のような救済策もありません。ついには国家・政府が破産します。そのとき何が起きるのか? ドイツの新聞は、アイスランドやロシア、ドイツ、そしてアルゼンチン、ハンガリー、ウクライナ、パキスタンを考察しています。

Reinventing A Markets Watchdog By Christopher Cox WP Tuesday, November 4, 2008

NYT November 4, 2008 As Ukraine Staggers, Its Leaders Quarrel By SABRINA TAVERNISE

FT November 4 2008 Why agreeing a new Bretton Woods is vital By Martin Wolf

(コメント) Martin Wolfは、G20による国際金融サミットに悲観的です。すでにサミットに向けて、ブラジル、中国、インド、ロシアは集まってG4を結成し、既存の西側中心国際金融システムを批判しています。

「新しいブレトンウッズ」のような大げさな要求が出てくるのは、進行中の危機が既存の国際金融市場や規制制度、協調体制の不備をあまりにも強烈に印象付けたからです。しかし、サミットで何をするのか? 1.黒字を累積する国に政策変更を求める。2.資本流入が突然ストップした国を救済する。3.リスクの評価が大きく変化することに対して、不安定で脆弱性を増した金融システムを改善する。4.正統性(参加と発言)を欠いた国際金融システムを改革する。これはIMFのクオータや投票権(アメリカ:17.1%、EU:32.4%、中国:3.7%,インド:1.9%)を示します。

ケインズは、銀行家がいつも失敗を弁解することを知っていたから、資本移動の自由化を嫌った、と指摘します。納税者の負担でギャンブルに耽る特別な職業について、国際金融システムを今、サミットが変えなければ、変えるときなど無い、と主張します。

FT November 4 2008 Keynes had no sure cure for slumps By Edmund Phelps

(コメント) ケインズ主義の安直な復活に反対するのに最適な人物は、2006年にノーベル経済学賞を受賞したEdmund Phelpsです。不確実性と投機に関するケインズの思想は深いものだが、雇用に関する「ケインズ主義」政策はせいぜい良くて問題が多いというべきものだ、と。

株価の下落と投資の減退について、ケインズは貨幣的な原因とそうでないものとを区別しなかった。前者でなければ金融緩和は雇用増大に効果がない。投機的な住宅価格が下落したのは後者である。このような場合に雇用を回復させるには、賃金インフレを持続させなければならない。

そこで財政刺激策を重視するのだが、開放経済ではその効果も疑わしい。追加需要は海外に流出し、世界経済全体で見れば、金利の上昇と投資の減退を意味するだろう。ケインズは政府による投資を重視したが、民間から政府に投資の主体が変わっても、その結果は、革新を妨げるだけだろう。

WSJ NOVEMBER 4, 2008 From 9/11 to 11/4 How soon we forget. By BRET STEPHENS

WSJ NOVEMBER 4, 2008 Five Myths About the Great Depression By ANDREW B. WILSON

WSJ NOVEMBER 4, 2008 Some Lessons of the Financial Crisis By STEPHEN SCHWARZMAN

(コメント) Mr. Schwarzmanはプラヴェート・イクイティ・ファンドthe Blackstone Group の共同創設者にしてCEO議長です。金融危機の対策とは、世界投資市場に存在する分断や亀裂をなくすことを意味するようです。

Who bails out the US government? By Leon E. Panetta and Bill Frenzel CSM November 5, 2008 edition

Nannies Worse Off Than Hedge-Fund Guys in Rout William Pesek Nov. 5 (Bloomberg)

The Guardian, Wednesday November 05 2008 Super-sizing the IMF is wrong Kenneth Rogoff

(コメント) Kenneth Rogoffによれば、金融サミットで、IMFを一気に拡大するのは間違いです。

IMFが「国際的な最後の貸し手」になるためには、国際通貨を印刷できなければなりません。実際は、SDRsがあるわけですが、IMFには融資を支えるグローバル・ガバナンスが欠けています。すなわち、危機にある国を流動性危機か支払い不能かを識別すること、融資する国の政策変更を強制すること、債務不履行国に対する交渉を行うこと、こういったことについての世界的な合意と権限、強制力がありません。

結局、IMFには加盟国の政策や経済状態、国際収支をモニターする役割があります。赤字国への融資は、IMFだけでなく、アメリカや日本、中国、産油諸国などが行うでしょう。BISが行っているように、黒字諸国の外貨準備を預かる仕事もあるでしょう。

Governor, we need a 1% cut Will Hutton The Guardian, Wednesday November 5 2008

As the Rich Get Poorer By Robert J. Samuelson WP Wednesday, November 5, 2008

Paulson's Bailout Bucks Look Like Debt in Drag Jonathan Weil Nov. 6 (Bloomberg)

Shock as Bank of England slashes rates to 3% Ashley Seager, Julia Finch and Jill Treanor The Guardian, Thursday November 6 2008

FT November 6 2008 Shock treatment

FT November 6 2008 Bank of England and ECB rates

A waiting game Bill Emmott The Guardian, Thursday November 6 2008

NYT November 6, 2008 Top Priority Is Stabilizing the Patient By DAVID LEONHARDT

(コメント) これまで論争を積み重ねてきた様々な政策課題ではなく、大恐慌を回避することが、ホワイトハウスに入る前から、緊急行動を要するオバマ政権の最重要課題です。それは中間選挙で民主党が多数を支配するためにも重要です。

財政危機と金融危機の救済について、ブッシュ政権よりも行動主義的なアプローチを取ると予想されます。

FT November 6 2008 Can we go up again? The world economy By Chris Giles, Krishna Guha and Ralph Atkins

(コメント) 国際化し、金融市場と労働市場、消費者の期待などが相互関連した経済過程における政策介入の難しさ。

The Times, November 7, 2008 The interest rate cut is bad economics and bad politics Ross Clark


NYT October 31, 2008

A National Mobility Project

By DAVID BROOKS

(コメント) 1974年がそうであったように、政府の行う財政刺激策は成功しない、とDAVID BROOKSは主張します。そのタイミングは難しく、その作用は間違った場所に現れ、あるいは、あまりにも遅すぎた、と。不況の際に政府が減税しても、人々はほとんど貯蓄してしまう。

それでも政治家たちは競って大規模な刺激策を提案し、自動車会社を救済したがる。中小企業が不平を述べれば、彼らにも減税する。だから、政治指導者は短期的な刺激策の要求を、それがたとえ効き目がなくても、長期的に見て生産的な投資に向けるのが良い、と。

DAVID BROOKSはそれを“A National Mobility Project”と呼ぶわけです。高速道路や情報インフラを整備する公共投資を増やすことです。


FT October 31 2008 America’s staggering capacity for change By Jurek Martin

FT October 31 2008 Perilous transition

The Japan Times: Friday, Oct. 31, 2008 Hopes for next president By CHRIS PATTEN

A new leader for a new era The Guardian, Saturday November 1 2008

Times Online, November 2, 2008 Victory may prove to be the easy part Martin Ivens

Times Online, November 2, 2008 Barack Obama is America's future

Barack Obama's impressive road to the White House Andrew Rawnsley The Observer, Sunday November 2 2008

Barack Obama is a President for modern times The Observer, Sunday November 2 2008

A Full Plate in January By David Ignatius WP Sunday, November 2, 2008

NYT November 2, 2008 Rejoin the World By NICHOLAS D. KRISTOF

NYT November 2, 2008 How Much Is Your Vote Worth? By SARAH K. COWAN, STEPHEN DOYLE and DREW HEFFRON

FT November 2 2008 The heavy weight of expectations By Clive Crook

FT November 2 2008 America will find opportunity in scarcity By Eric Schmidt

BG November 2, 2008 Barack Obama By John E. Walsh

NYT November 3, 2008 Hey Liberals, Don Worry By WILLIAM KRISTOL

FT November 3 2008 Preparing for the first blue president By Gideon Rachman

FT November 3 2008 A political lesson for America: stick to centrism By Mark Penn

BG November 3, 2008 Obama, McCain: Saint or narcissist? By Roland Merullo

European donkey, Asian elephant The Guardian, Tuesday November 4 2008 Dominique Moisi

Queuing to be a part of history Sarah Wildman The Guardian, Tuesday November 4 2008

McCain is on the verge of a defeat that marks the end of the Republican era Sidney Blumenthal in Chicago The Guardian, Tuesday November 4 2008

NYT November 4, 2008 A Date With Scarcity By DAVID BROOKS

NYT November 4, 2008 Beyond Election Day By BOB HERBERT

(コメント) 投票日直前の様々なコラムです。

WSJ NOVEMBER 3, 2008 The Change We Need By BARACK OBAMA

WSJ NOVEMBER 3, 2008 What We're Fighting For By JOHN MCCAIN

(コメント) 投票日の前日、WSJに二人の候補が支持を訴える論説を出しました。オバマは投資家やビジネス界の指導者たちに、自分はウォーレン・バフェットからも助言を得ている、と感謝します。金融危機を取り上げて、産業界や中産階級を豊かにして、アメリカ経済を再生するには、ブッシュ政権の政策から転換する必要がある、と主張します。マッケインにはできない。医療や教育など、21世紀を生きる労働者を育てたい、と。

他方、マッケインは、戦争の正当性を強調し、オバマのもたらす増税に反対します。それは中小零細企業にとっても不安です。経済危機に関心を奪われているが、安全保障の重要性を忘れていないか? と訴えます。アフガニスタン、イラン、北朝鮮。脅威は変わりなくあるのです。私が大統領になれば、独裁者たちを許さない。


BG November 1, 2008

The campaign's 10 biggest surprises...

By Todd Domke

(コメント) 今回の選挙戦を動かした10大サプライズの番付です。非合法移民も、イラクからの撤退も、争点から消えてしまいました。インターネットを使って、オバマは若者に支持を広げました。マッケインは副大統領候補にペイリンを指名しました。しかし、サプライズのトップは、金融危機の爆発です。マッケインの政治的資産は吹き飛んでしまったのです。


The Japan Times: Saturday, Nov. 1, 2008

Bridging the China-India gap

By N.V. SUBRAMANIAN

The Japan Times: Monday, Nov. 3, 2008

Different playbooks aimed at balancing Asia's powers

By BRAHMA CHELLANEY

The Japan Times: Wednesday, Nov. 5, 2008

Beijing has enough of its own problems

By TOM PLATE

(コメント) 中国とインドの関係について。アメリカは一極世界と多極のアジアを望み、中国は多極の世界と一極アジアを望み、インドと日本は多極の世界と多極のアジアを望みます。

中国の政治的安定を支えてきた経済成長が減速する中で、世界金融危機の救世主になるよりも、中国政府は国内の経済問題に忙殺されます。


The Observer, Sunday November 2 2008

Our own dark secret that Congo reveals

Michela Wrong

The Guardian, Monday November 3 2008

Naive faith in the ballot box

Paul Collier

SPIEGEL ONLINE 11/03/2008

CHAOS IN CONGO: UN Peacekeepers' Credibility Is Damaged

By Horand Knaup in Nairobi

WP Monday, November 3, 2008

Misery in Congo

The Guardian, Monday November 03 2008

No cavalry for Congo

Simon Tisdall

(コメント) 再燃したコンゴ内戦に関する論説です。史上最大の国連軍はどうなっているのか? ルワンダの民族殺戮・ジェノサイドは再現するのか? ヨーロッパ旧植民地への政治介入と資源が悪政をもたらすのか? 大規模な難民は周辺地域にも危機を波及させる? 民主化や選挙、経済援助だけでは解決をもたらさない? あまりにも貧しく、あまりにも危険な地域では、広範な社会的基礎を得た経済発展だけが脱出策である?


FT November 2 2008

Now they see the benefits of the eurozone

By Wolfgang Münchau

FT November 6 2008

This ‘bold’ cut is barely adequate

By Samuel Brittan

NYT November 7, 2008

European Banks Cut Rates Sharply

By JULIA WERDIGIER

(コメント) 金融危機の長期的な影響とは、小国がEUやユーロ圏に逃げ込む政治的な決断を促すだろう、とWolfgang Münchauは考えます。ハンガリーにとっては経済的な緊急性においてユーロが強く希求されており、また、デンマークにとっても、独自通貨を持つことの政治的・シンボリックな意味が大きく減退したわけです。危機後のアイスランドでも、もちろん、EU加盟を支持する人が増え、ユーロへの帰属はさらに高い支持を得ています。

それはアイスランドのような小国の例外ではなく、スウェーデン、スイス、そしてイギリスでさえも、同様に起きている政治現象なのです。

言うまでもなく、EU加盟やユーロ圏は万能薬ではなく、調整過程を回避できるわけではありません。しかし、もしアイスランドがユーロを採用していれば、危機を経験してもその金利は18%ではなく、3.8%でしょう。また、投機に対する共通の対策があるわけです。

ECBの金融政策については、1.5%という大幅な金利引き下げにもかかわらず、金融緩和が遅すぎる、と批判されています。


FT November 2 2008

A need to master the tyranny of the urgent

By Strobe Talbott

(コメント) オバマ政権の外交政策は、どこまで変わるでしょうか? 「暗黒の9月」と言える金融危機によって、政府は典型的な「緊急性の独裁“the tyranny of the urgent”」に支配されます。急速な破局の接近により、政府のエネルギーと関心がすべて吸いこまれてしまうのです。

アメリカ国内の課題に加えて、政府が忘れてはならない課題として、1.気候変動、2.核兵器の不拡散、3.貿易自由化、4.国際的な貧困撲滅、5.感染爆発、6.破たん国家やテロリストなどの非国家主体による脅威。

Strobe Talbottは、緊急の課題でも、必ず長期的な高度の優先順位を維持して、多くの課題の間の相互に促進するような関係を見出すことを求めます。例えば、国際金融システムの改善に成功すれば、それは貿易自由化にも役立ちます。さらに、核不拡散体制や温暖化ガスの排出権取引でも指導力を発揮できるでしょう。それらを関連付けてやるしかない、と主張します。

YaleGlobal, 3 November 2008

Foreign Policy Challenges for the New US President – Part II

Joseph Chamie

WP Monday, November 3, 2008

A Test That's Sure to Come

By Jackson Diehl

FT November 5 2008

Medvedev’s challenge


LAT November 2, 2008

South Korea's kimchi deficit

Gregory Rodriguez

FT November 3 2008

Japanese and Korean SMEs

NYT November 4, 2008

South Korea Earmarks $10.9 Billion to Aid Growth

By BETTINA WASSENER

(コメント) 韓国の金融危機・・・かと思ったら、キムチも中国製が増えてしまった、というキムチ・ショックの話です。また日本以上に、韓国の中小企業対策は経済成長に貢献してきたようです。金融危機については、オーストラリアや中国と同じく、韓国も財政刺激策を発表しました。


Foreign Policy, November/December 2008

The Dream Team

(コメント) 次期政権に加わる人物としてだれが良いか? 専門家や評論家により、具体的な名前が挙げられています。


NYT November 3, 2008

No More Economic False Choices

By ROBERT E. RUBIN and JARED BERNSTEIN

(コメント) クリントン政権で財務長官を務めたROBERT E. RUBINが新政権に政策の考え方を示します。われわれは偽りの選択に直面している、と。それは、財政の廉直さと無謀さ、資本と労働、自由貿易と保護主義、といった極端な二元論である。

経済危機に直面して財政赤字が短期的に増大するのは必要なことである。同時に、長期的な財政の健全化、公共投資の余裕も必要である。長期的な財政赤字は、国内貯蓄率を低下させ、対外債務を増やし、長期金利やドル価値、それゆえ将来の経済を損なう。同時に、教育、医療、エネルギーなど、長期的な公共投資も重要である。

金融システムを支援する7000億ドルの基金は、それによって政府がアメリカの資産を購入する。その財政負担は、資産には価値があるから、その下落リスクを負うことである。それは購入額の一部であるし、最近の修正により、納税者の負担を金融部門に課税して回収することもできる。また、医療保険制度の改革も財政負担をもたらすが、リスクをプールし、コストを抑制すれば、制度がないまま発生する民間や公共部門の医療コストを節約することになる。

財政赤字や公共投資、健全な財政の問題は、GDPに占める債務や課税の割合、対外収支における不均衡とそれを抑制する均衡為替レート、そのための国際協力など、全体として、考察しなければならない。

また、自由市場と規制、資本と労働との対立、保護主義をめぐる議論についても、RUBIN and BERNSTEINは偽りの二元論を排します。

金融危機の重要な教訓とは、市場システムの利益を享受すること、消費者保護やシステム・リスクを管理することを、規制制度によってバランスしなければならない、ということである。金融経済と実体経済の利益は緊密に結び付いており、金融危機は雇用や貯蓄も大きく破壊する。

また、労働者を保護することは(自由貿易を否定するような)保護主義を意味しない。グローバルな競争において、労働者たちが仕事を失い、所得を低下させるのではなく、彼らが競争力を高めるように支援しなければならない。また、労働組合が影響力を失い、資本に対する拮抗力を失って、生産性上昇が労働者の生活水準を改善していない事態を憂慮する。労働者たちが組織化する権利を重視するべきである。そして、保護主義も、労働者の拮抗力衰退も、国内経済が活況で労働市場がタイトであれば大きく改善される。

公共政策の重要性は見直されるだろう。新政権は偽りの二元論、そしてイデオロギー、に惑わされてはならない。不況を回避しなければならないし、世界経済の中で競争力のある経済を築かなければならない。経済的繁栄と安定性を広く享受できる社会を目標に、新大統領はバランスの取れたプラグマティズムを目指すべきだ。

・・・もし日本政府が本当にアメリカに代わって指導力を発揮したいなら、こうした改革を日本でも独自に提案して、積極的に実現することでしょう。


FT November 4 2008

West Africa: Unbroken line

By Matthew Green

(コメント) アフリカ西部からヨーロッパに至る麻薬ルートについて。・・・シルク・ロードではなく。


BBC 2008/11/05 How Barack Obama defied history By Nick Bryant

BBC 2008/11/05 Why Barack Obama won By Richard Lister

(コメント) オバマが新大統領に決まった歴史的瞬間の意味を考えるため、Nick Bryantオバマが生まれた1961年のアメリカを比較しています。アメリカ南部では黒人・ニグロたちがどのような扱いを受けていたか。

病院でも、学校でも、墓場でも、ニグロは差別され、隔離されていました。1954年、学校の統合を求めた最高裁判決に、南部のコミュニティーは強く反発しました。さらに、その後の歴史的な事件を描いています。

Richard Listerは、オバマの選挙活動、資金集め、を分析しています。

Obama Is First Black, Last Black President David M. Kennedy Nov. 5 (Bloomberg)

LAT November 5, 2008 Obama's victory is a mandate for change

LAT November 5, 2008 Obama's post-racial promise By Shelby Steele

LAT November 5, 2008 Bringing change to America Tim Rutten

(コメント) オバマの当選は、人種差別や人種戦争ではなく、人種間の融和を国民の多数が支持したことを意味します。オバマは、人種対立を克服したい、という理想主義に訴えることで勝利しました。それは彼の礼儀正しさとともに、彼の敗北を見たくない、という強い支持につながります。

The Guardian, Wednesday November 05 2008 John McCain concession speech

The Guardian, Wednesday November 05 2008 Obama acceptance speech in full

(コメント) マッケインの敗北演説と、オバマの勝利演説です。オバマの演説も立派です。しかし、敗北したマッケインの演説にこそ、敗者として勇気と真実を示す、政治の真髄があるように感じました。

もしマッケインが「一匹狼」として戦い、金融危機が半年遅れて起きていたら、オバマではなく彼が勝利したかもしれません。

The Guardian, Wednesday November 05 2008 Savour the day Dan Kennedy

The Guardian, Wednesday November 05 2008 President Obama

The Guardian, Wednesday November 05 2008 After the afterglow John Kampfner

The Guardian, Wednesday November 05 2008 We've come a long, long way Jonathan Steele

SPIEGEL ONLINE 11/05/2008 AN HISTORICAL TRANSFORMATION: Obama Awakens a New America By Marc Pitzke in Chicago

President Obama WP Wednesday, November 5, 2008

A New Era for America By E. J. Dionne Jr. WP Wednesday, November 5, 2008

A Victory for America, and the World By Jonathan Zimmerman WP Wednesday, November 5, 2008

NYT November 5, 2008 The Next President

NYT November 5, 2008 Finishing Our Work By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) オバマの勝利によって、アメリカの内戦は終わった、とTHOMAS L. FRIEDMANが述べています。いつものように、政治や心の中をめぐって、その迷路を解説します。

ブラッドレー効果ではなく、バフェット効果が働いた、と。マッケインに投票すると答えた白人の何人かが、たとえ増税をもたらすとしても、オバマに投票しただろう。その理由は、若者たちの理想を汚したくなかった。あるいは、バフェットが述べたように、自分を裕福にしてくれたこの国の統一を再建したかった。何より、マッケインに投票するのはブッシュ政権の無能さを認めることになる。

オバマは偉大な大統領になる可能性がある。なぜなら、リンカーンも、F.D.ルーズベルト(FDR)も、トルーマンも、国が最も深刻な困難に陥った時期に政権に就いたから。そして、Michael Sandelの解説を紹介します。

FDRも1932年にはニューディールをまだ考えていない。それは次第に出来上がった。オバマもこれから、経済危機、エネルギー、世界におけるアメリカの役割、を考える。彼がそれらの課題を解決できるとしたら、「共通の善“common good”」を政治に実現するときである。ブッシュとその仲間は、政府が共通の善を実現する手段である、とは信じていなかった。そして、有権者たちはそれを拒んだ。個人の利益を超える善は存在する。しかも、伝統的な民主党が求める共通の善、すなわち、支持団体の利益、も拒んだ。

たとえ金融危機が起きなくても、人々は市場が豊かさとともに、リスクや不安定さを増大させることに気づいていた。政府が市場を規制し、失業のリスクを減らし、健康の維持や独立したエネルギーの源泉を見出して、市民の生活を守ってくれることを願っている。

共通の善を求める政治は、愛国心を、そして、市民を再定義するだろう。オバマの演説は、アメリカ人の心に、アメリカの理想を、自分たちを超える大義を、そして、市民であることへの願いを奮い立たせた。内戦を終えて、アメリカの再生が始まる。

FT November 5 2008 Chief executive or business-basher? By John Gapper

FT November 5 2008 The president-elect must ease Asian anxieties By David Pilling

(コメント) かつて毛沢東は、共和党の立場を変えて中国との国交を回復したリチャード・ニクソンに述べたそうです。「私は右派と取引したい。右派は本当に思っていることを話すから。」

さて、いずれにせよ、アジア諸国や日本の政治指導者たちは、民主党よりも共和党の指導者たちを歓迎した、という話です。アメリカの中産階級復活、労働者たちの賃金を心配するオバマは、米中の貿易・通貨摩擦を激化させ、世界恐慌の引き金を引くのでしょうか?

FT November 5 2008 Obama arouses a wild yet reasonable hope By Bernard-Henri Lévy

FT November 5 2008 Obama’s journey: He gets it By Edward Luce and Demetri Sevastopulo

FT November 5 2008 Obamanomics

The World Looks to Obama – Part I Bruce Stokes YaleGlobal, 5 November 2008

America turns the page BG November 5, 2008

BG November 5 2008 A new morning in America By Scot Lehigh

BG November 5 2008 He offered economic change By Derrick Z. Jackson

WSJ NOVEMBER 5, 2008 President-Elect Obama

Obama's big win, and big embrace By the Monitor's Editorial Board CSM November 6, 2008 edition

Obama's global to-do list By John Hughes CSM November 6, 2008 edition

A historic victory. A changed nation. Now, can Obama deliver? By Jerry Lanson CSM November 6, 2008 edition

NYT November 6, 2008 For Obama, Long-Term Problems and Short-Term Pain By FLOYD NORRIS

(コメント) オバマの勝利は多くの点で28年前のレーガンの勝利と似ている。不況。人気のある異端。長期の課題を解決する。税金。ボルカー。金融システム。住宅債務危機。公共インフラ。

Obama's Change You Can Believe in Meets Reality Caroline Baum Nov. 6 (Bloomberg)

A smarter North Korea policy By Bennett Ramberg CSM November 7, 2008 edition

LAT November 6, 2008 Obama's inspiring words

(コメント) オバマの雄弁さは政治のパワーでした。愛国心に訴えて、国民の犠牲を求めました。優れた政治指導者は、危機に際して、国民に何が最善の利益なのかを教え、そのために犠牲を払うように求める力があるのです。

選挙後のオバマとマッケインの演説を評価しています。

LAT November 6, 2008 Warren Christopher on the transition By Warren Christopher

LAT November 6, 2008 Obama and the world Rosa Brooks

I saw Americans dance with history, chanting 'Yes we can!' But can they? Timothy Garton Ash in Washington The Guardian, Thursday November 6 2008

(コメント) オバマは、ワンマン・エスニック・シチュー、アメリカ初の脱エスニック指導者、クールで、大衆歓喜力行兵器(a weapon of mass attraction)だ。

Now he must declare that the war on terror is over Jonathan Steele The Guardian, Thursday November 6 2008

History Calling in Harlem By Richard Cohen WP Thursday, November 6, 2008

All Deliberate Speed By David Ignatius WP Thursday, November 6, 2008

The Task Ahead By David S. Broder WP Thursday, November 6, 2008

NYT November 6, 2008 The Obama Dividend By NICHOLAS D. KRISTOF

NYT November 6, 2008 Perfecting the Union By ROGER COHEN

NYT November 6, 2008 A Towering Economic To-Do List for Obama By THE NEW YORK TIMES

(コメント) 1.財政による景気刺激策。2.住宅差し押さえの急増阻止。3.ウォール街の規制。4.自動車産業の再生。5.医療保険制度。6.技術振興。7.エネルギーの安全な供給。8.自由貿易の推進。

FT November 6 2008 Obama’s victory: a change the world should believe in By Philip Stephens

FT November 6 2008 America needs a bipartisan coalition on trade Leo Hindery and Shanker Singham

Obama's challenge at home BG November 6, 2008

Obama's mission to the world BG November 6, 2008

BG November 6, 2008 Evangelical foreign policy is over By Andrew J. Bacevich

Obama in the Orient By Philip Bowring IHT Thursday, November 6, 2008

The Japan Times: Thursday, Nov. 6, 2008 Obama and the limits of power By GWYNNE DYER

The Japan Times: Thursday, Nov. 6, 2008 The right kind of leadership By DAVID HOWELL

WSJ NOVEMBER 6, 2008 The Obama Realignment By LANNY J. DAVIS

Tough Road Ahead Nayan Chanda Businessworld, 7 November 2008


WSJ NOVEMBER 5, 2008

We Need Sustainable Capitalism

By AL GORE and DAVID BLOOD

WSJ NOVEMBER 6, 2008

Chinese Show and Tell

By JOSEPH STERNBERG

(コメント) オバマの課題は、地球の気候変動と中国の経済的・軍事的台頭に、長期的な和解と調整の仕組みを見出すことです。

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The Economist October 25th 2008

Into the storm

Eastern Europe: Who’s next?

Emerging markets: A taxonomy of trouble

The IMF: No strings attached

Economics focus: A helping hand to homeowners

(コメント) 金融危機はいよいよ新興諸国や世界経済の周辺にまで及び、また、中核諸国の経済では不況が避けられなくなっています。東欧諸国がEUやNATOに加盟して、ソ連圏崩壊の破壊的影響を抑制し、安定性と急速な成長を成し遂げたことには深く感謝してきたにもかかわらず、今度は、その緊密なリンクが災いして、金融危機の波及、外国の銀行によって買収された過去の不満、ECBによって奪われた国民通貨などを惜しむ声、などが高まってくる・・・。東欧の政治システムは政治危機に耐えられるか?


The Economist October 25th 2008

Land reform in China: Still not to the tillers

Charlemagne: Preparing a new president

Equality: Pain all round, please

The anti-West: An axis in need of oiling

Endangered languages: When nobody understands

(コメント) 中国は農民に土地のより大きな権利を与えるのか? ヨーロッパの政治家たちはオバマと意気投合できるのか? 西側を批判することに熱心なロシア、イラン、ヴェネズエラは戦略的な同盟関係を結べるか?

そして、世界の言語はこのまま急速に死滅し続けるのか? 言語は一方でIT技術により保存され、より容易に学べるでしょう。しかし他方で、激しい経済競争やナショナリズムの犠牲となり、なにより、ゲームやインターネットの普及によって子供たちを奪われるのです。語るべき相手のいない世界に、言語は生存できません。