今週のReview
11/3-11/8
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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******* 感嘆キー・ワード **********************
投資保護主義、 金融改革:Eichengreen、Zoellick、Summers、Rees-Mogg、Naím、Åslund、Gros、Prasad、 ユーロ圏、 金融と貧困、 円高、 MANKIW、 Hutton、 改革よりも景気刺激策:Sachs、Wolf、Feldstein、 金融危機へのショート・ヒストリー
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, IHT:International Herald Tribune, CSM:Christian Science Monitor, WSJ:Wall Street Journal Asia
Q4, 23 October 2008
How Can We Preempt Investment Protectionism?
Ernesto Zedillo
(コメント) 金融危機とWTO貿易交渉の決裂は、各国が保護主義に向かう懸念を強めさせます。特に、地域のブロック化、政府系投資ファンド(SWF)を用いた企業買収と地域的な市場独占、それを拒むための投資に対する保護主義です。
IMFは、SWFに対する「投資保護主義investment protectionism」を抑制するために、SWFの投資行動に国際基準、合意された行動規範Generally Accepted Principles and Practices (GAPP)を設け、情報を公開して投資の透明性を高めるように促しています。SWFが動かす資本は3兆ドルと推定されます。しかし、それは世界の資本市場全体(190兆ドル)から見れば、まだ小さな規模です。
そもそもSWFが増大したのは、国際収支不均衡が拡大したからであり、マクロ政策のサーベイランスや政策協調が不足しているからです。それを放置したまま、自国資本市場へのSWF参入を拒むだけでは市場への信頼が損なわれるだけです。
FT October 30 2008
Why Detroit is not Wall Street
BG October 30, 2008
Bailout fever in Detroit
(コメント) 同じような意味で、アメリカの自動車会社が政府による補助金を求めていることは興味深いです。1979年にもクライスラーは倒産するところを政府に救済されました。今度はGMとの合併に政府が資金を出すかもしれません。金融機関を次々に救済しているくらいですから、労働者を救済するのも良いことだろう、と。
しかし、FTもBGも反対します。金融危機の広がりを止めるには政府の介入が必要だけれど、自動車会社の倒産はそうではないからです。政府がリーマンブラザーズの倒産後に、国際金融市場が麻痺したとき、もし金融機関の倒産を放置したら、実物経済の不況は非常に深刻になっていたはずです。金融機関への救済融資はそれを防ぎました。
他方、1979年にクライスラーを救済したことは、自動車産業の過剰生産力を残すことに手を貸しただけです。厳しい国際競争に負け、燃費の悪い大型車に依存する経営も転換し損じました。結局、多くの労働者を助けるには、もっと一般的な社会保障制度を充実させるために税金を使う方が良いのです。
WSJ OCTOBER 23, 2008
Our Next President and the Perfect Economic Storm
By MICHAEL J. BOSKIN
WP Friday, October 24, 2008
McCain for President
By Charles Krauthammer
YaleGlobal, 24 October 2008
Do You Really Want This Job?
David Dapice
FT October 26 2008
Obama is the better choice
The Japan Times: Wednesday, Oct. 29, 2008
Obama, McCain all but ignore poverty issue
By PETER SINGER
(コメント) MICHAEL J. BOSKINは、ヨーロッパは多くの規制によってアメリカよりも30%も低い生活水準にとどまっている、と主張します。Charles Krauthammerはオバマよりマッケインを支持します。経済危機は時と共に去るだろうが、世界中の反米勢力やテロリストはそうではない。オバマの経験不足は危機を悪化させるだろう。
困難な時代に大統領になった者を待ち受けている問題は何か、David Dapiceは整理します。
FTはオバマを支持します。長い選挙戦を進めるには、大統領としての指導力を問われます。オバマはそれに成功しました。良い大統領は、国民を鼓舞し、困難な問題に立ち向かう雄弁家でなければなりません。オバマはマッケイン以上の資質を示しました。
オバマは人種間の分断を融和し、拡大する所得格差を緩和し、中産階級の生活水準を引き上げ、富裕層を除くほとんどすべての者に減税し、イラクでの損害を食い止め、アフガニスタンの秩序を回復する、と約束しました。それらは大きな課題ですが、オバマなら怯むことなく立ち向かうでしょう。
しかし、PETER SINGERは批判します。「世界で最も裕福な国の一つでありながら3700万人も貧困に暮らす者がいる。これはヨーロッパの富裕国よりもはるかに高い比率だ。ところが選挙戦では、オバマも「メイン・ストリート」と中産階級への減税を強調し、貧困の問題を素通りした。」そして、アフガニスタンについても、環境問題についても、オバマ、ペイリンの姿勢を疑います。
FT October 30 2008
Blame the party, not the campaign
By James Carville
(コメント) アメリカ大統領選挙の終盤で最も重要な場面は、敗北する側の「ブレイム・ゲーム(非難合戦、犯人探し)」である、とJames Carvilleは指摘します。共和党の政治構造が内部崩壊して、今後のアメリカ政治を作り直します。
イラク戦争支持やペイリンの副大統領候補指名について、・・・そもそも、マッケインが共和党候補になった時点で、共和党の政治組織は崩壊していたのです。これは、マッケインの選挙スタッフが失敗したのではない。イラク戦争の拡大と正当化、国内の白人富裕層優遇に奔走し、保守派の道徳を法律として押し付け、ウォール街・資本市場奨励策に明け暮れた共和党の支配が、アメリカの若者たちによって見捨てられた選挙でした。
アメリカは日本と違って、裕福な老人の国ではなく、今も若者の国です。ネオコンに始まり、大恐慌前夜で終わった、共和党の支配を彼らが退けます。
Oct. 24 (Bloomberg)
Gold Standard Is Wrong Salve for Global Ills
Michael R. Sesit
The Guardian, Friday October 24 2008
Barry Eichengreen
(コメント) 現在の国際通貨・金融システムが崩壊の危機に瀕している以上、人々の期待が過去の時代に向かうのも当然です。戦後の成長を実現したブレトンウッズ時代や、そのさらに前にさかのぼって金本位制の時代が理想とされています。しかし、Michael R. Sesitは反対します。
過去の時代は失敗の故に放棄されたのです。政府は金の供給量に従ってデフレ政策を受け入れるでしょうか? ブレトンウッズと同じような輸入と投資を歓迎する大国はなく、厳しいインフレ抑制や金融市場の規制を受け入れる政府もないでしょう。IMFは不均衡を解消するような為替レートの変更を政府に受け入れさせる力がなく、アメリカは金交換の義務を放棄しました。
Barry Eichengreenの提案に注目しましたが、彼は改革への大きな展望を否定します。
なぜブレトンウッズは成功したのか? 1.BWの前に大恐慌と第二次世界大戦を経験した。確かに不況も地政学的な危機も生じているけれど、1944年には到底及ばない。つまり、当時のような大胆な改革を各国が受け入れるとは思えない。2.BWに向けて、ケインズとホワイトによる周到な事前計画があった。今回は(政治的・知的な権威を欠く、という意味で)それができない。3.BWは、政治指導者ではなく、財務省や金融専門家の会議であった。4.BWはアメリカの明確な覇権を前提していた。金融危機をめぐる外交争いは非常に複雑である。
ここで、Barry Eichengreenは、現在の韓国の危機をめぐる日中の覇権争いを紹介しています。韓国への救済融資を行うことに、中国は積極的に応じたが、日本政府はそれを躊躇した。なぜなら中国の外貨準備の方が多く、中国が主導権を握ることを嫌うからである。それに対して、日本はIMFを通じたアジア諸国の外貨準備を救済融資に使うと提案したが、中国政府はそれを嫌った。それが日本の指導する体制になることを恐れたからである。
同様に、ニュー・ブレトン・ウッズを唱えて世界の政治指導者たちを集めた場合、その成果が曖昧で乏しいものであれば、金融市場はさらに失望・混乱し、政治家たちは国際対立を深める。政治家の写真撮影会が終わってから、Barry Eichengreenは、むしろ、専門家たちによる一連のサミットを開いて、具体的な金融問題を解決することを求めます。そして、金融規制の違いを悪用することを防ぎ、自己資本率を高め、規制が景気循環を拡大しないようにします。税金や規制を使ったCDSのように膨張したデリバティブ取引を秩序ある市場に導くことも必要です。
The Guardian, Friday October 24 2008
Start by saving the eurozone
Simon Johnson
IHT Friday, October 24, 2008
The imperative of collaboration
By Felix G. Rohatyn and Allison Stanger
(コメント) Simon Johnsonが指摘するように、ドルに代わるユーロが確立されるためにも、ユーロ圏が金融危機を回避する道を明確にしておく必要があります。各国は緊急融資したくても、自国のためだけに金融緩和することができません。ECBはユーロ圏のインフレ目標に従って金融政策を動かします。ギリシャ、アイルランド、スペイン、ポルトガル、などは金融緩和を望みますが、ドイツが強く反対します。
「もし深刻な世界不況になれば、ユーロ圏は生き延びることができないだろう」と、Simon Johnsonは警告します。たとえ解体のコストがどれほど大きくても、ユーロ圏の危機対応が遅ければ、国内政治情勢によっては離脱の可能性があります。そして、もし一国でも離脱すれば、市場はユーロ圏解体を予想して各国の金融市場を窒息させるはずです。それゆえ、金融危機に対してはECBが金融緩和する合意を形成しておかなければなりません。また、自国のユーロ圏離脱を予想して通貨を売る人々が自己実現的な利益を手にすることを防ぐ必要があります。
Felix G. Rohatyn and Allison Stangerは、第二次世界大戦を再現する前に、国際秩序を再編することは重要だ、と主張します。デリバティブの国際規制やIMF・世銀の強化、また、中国、インド、ロシアなどの参加を促し、より大きな役割を果たすように求めることです。
WP Sunday, October 26, 2008
A World in Crisis Means A Chance for Greatness
By Robert B. Zoellick
FT October 26 2008
The pendulum swings towards regulation
By Lawrence Summers
(コメント) 次の大統領が21世紀のフランクリン・ルーズベルト(FDR)になる可能性は高いのです。Robert B. Zoellickによれば、内外に特使を派遣して意見を集め、協力の意志を伝えるでしょう。解決を待っている多くの重要問題があります。すべてが用意できています。いよいよFDRと最初の100日改革案が登場するのです。
民主主義においては、歴史的な事件が政策選択を左右します。Lawrence Summersは、ブッシュ政権が新しいブレトンウッズ会議を開催することなど、決して誰にも一年前には予想できなかった、と指摘します。しかし、歴史が予想外の出来事を必然に変えるのです。
個々の政策を決めるだけでなく、新しい大統領は政策選択の基礎を拡大することができる、と考えます。そのために、インフラや技術革新、特にエネルギーの節約に有効な技術革新への投資を促すことで生産性を高め、信用の膨張に頼る経済活動の拡大を抑え、社会的な弱者のために効果的な財政刺激策を採用し、同時に、長期的な財政の健全さを失わないような工夫をします。そして長期的に見て、社会保障など、政府の役割を今までよりも重視するのです。
The Times October 27, 2008
The banks must rediscover Victorian values
William Rees-Mogg
FT October 27 2008
Add ‘financial stability’ to the Fed’s mandate
By Stephen Roach
(コメント) William Rees-Moggによれば、ヴィクトリア時代、イギリスを中心に銀行システムが世界の通貨・金融を安定化し、世界の投資と成長を組織した時代に回帰することが重要です。ニュートンが1717年に金本位制を導入し、1931年に最終的に放棄するまで、200年以上もロンドンがそれを管理したわけです。William Rees-Moggが描くイギリスの銀行融資の時代は、多分にロマンチックに理想化されていますが、現代の金融ビジネスに反省を迫ります。
第二次世界大戦後、次第に銀行は変貌し、家族や人間関係を重視した信頼を無視して、バンキングを利益のための取引関係に集約します。誰であるかではなく、取引だけが重要であり、一回限りの契約やデリバティブが急速に増えます。クレジット・カードによる取引や信用供与が、安全であるかどうかも分からないような相手と機械的操作だけで行われます。誰も銀行の支店長と話し合うことなど無いでしょう。彼らの仕事も変わり、古い支店長たちは早期に引退しました。
そして、19世紀的な、アメリカに起源をもつ、はるかに投機的な金融ビジネスが若い世代に蔓延しました。バブルと破格のボーナスに熱狂するような、返済できないような融資でも平気で契約させるような虚偽ビジネスです。危機に向かって膨張したのは当然です。だから銀行は、ヴィクトリア時代の倫理を回復しなければならない、と主張します。
Stephen Roachは、金融危機の原因を、むしろ政策の失敗、金融規制の失敗であり、アメリカの連銀を改革しなければならない、と考えています。すなわち、アメリカ連邦議会は連銀の目標に「金融システムの安定性」を明記することです。
その結果、1.グリーンスパン=バーナンキ的な、危機への事後的安定化介入、救済融資を重視した姿勢から、危機への事前の規制・監督、危機の予防を重視した政策に転換します。また、2.金融システムや個々の期間を監視する能力を高めけなればなりません。危機の予防には、金融資産の価格目標を決めるわけには行かず、裁量を認めることになります。連銀は、今回、それに気づいても当然なほど大幅な膨張を許しました。その失敗は繰り返さないでしょう。
Foreign Policy, 27 October 2008
Moisés Naím
The Japan Times: Monday, Oct. 27, 2008
Better governance for a global age
By RAMESH THAKUR
(コメント) Moisés Naímは、かつて9・11にアメリカ政府が過剰に反応し、間違った選択をしたように、世界は金融危機に過剰に反応してはいけない、と主張します。9・11のもっとも重要な教訓は、9・11よりも、それに対してアメリカ政府の示した反応がはるかに大きな被害をもたらしたことです。金融危機をめぐる各国政府の、度を超した、ヒステリックな反応、また他の国際秩序を揺るがすリスク(イラン、グルジア、北朝鮮、など)に対する以前の強い警戒や関心が吹き飛んでしまったことには、同じような危険がある、と考えます。
また、アメリカのユニラテラリズムも重大な失敗でした。技術的な条件からも、アメリカは諸国の協力なしに目的を達成できないのです。金融危機も同様であり、欧米が話し合うだけでなく、北京やモスクワとの協力が必要です。さらに、9・11と同様に、古い思考法を否定して新しい現実を重視することは非常な危険をともないます。大胆な、ときには無謀な考え方が関心を集め、賞賛されることになります。金融危機をめぐって世界中で拡大し続ける救済融資や政府介入のスピードは、その失敗を繰り返しているかもしれません。
「アメリカ型資本主義(あるいは世界資本主義)は死んだ」と宣言する政治家たちは、資本主義の最終的勝利や中東民主化を唱えた失敗を繰り返しています。実際は、中国やインド、ブラジル、などで、数億の人々が資本主義に加わろうと奮闘しているのです。アメリカが決定的に衰退した、と思うのも間違いでしょう。
RAMESH THAKURは、郵便、輸送、旅行、・・・問題領域によって、グローバル・ガバナンスに大きな隔たりがあることを強調します。分野を超えた相互作用やつながりもあります。しかし、他方でガバナンスを担う政治的な機構が欠けています。たとえば、欧米の創った第二次世界大戦後の国際制度は、アジアの3カ国(中国、インド、日本)を欠いたままです。
Asia Times Online, Oct 28, 2008
Clear-out time for IMF, World Bank
By Hossein Askari
CSM October 28, 2008 edition
How to make the stock market less of a casino
By Fred Beyer
FT October 28, 2008
It can be worse than the great depression
By Anders Åslund
(コメント) 1929年の株価暴落や30年代の不況から学んだとしても、この世界金融危機を回避することは容易ではない、とAnders Åslundは強く警告します。
預金保険制度が各国によって整備されたことはプラスです。他にも、当時は為替レートを安定化するためにデフレ政策が採られました。これが重大な失敗であったと批判されています。現在は変動レート制でその心配はありません。しかし逆に、余りにも突然、大きな変動に直面した諸国は、金融パニックを避けられませんでした。
財政政策を使ってデフレを回避することも学ばれました。財政黒字を維持しようなどと、どの国も望んでいません。しかし、1970年代に学んだように財政赤字による刺激には限界があり、ラテンアメリカ諸国では政府がデフォルトにもなりました。イタリアのように危機以前に公的債務がGDPの100%を超えていたような国では、国家の破産もありうることです。財政が破たんし、為替レートも無視して紙幣を印刷すればハイパー・インフレーションが起きるのであって、それは回避しようとしているデフレ以上に破滅的な事態です。
1920年代に比べて現代の危機を回避するのが難しい理由は、今の方がはるかに金融が世界化し、バブルが各地で膨張し、信用が複雑になっていることです。アメリカやドイツで危機が発生しているだけでなく、ペルシャ湾岸諸国でも、ロシアでもバブルが生じ、イギリス、スペイン、アイルランドで特に危険がありました。ファニー・メーやフレディー・マック、さまざまな投資銀行、ヘッジ・ファンドが信用を拡大していました。
また、1920年代にはドルと金が確かな価値の源でした。しかし、現代ではアメリカ・ドルの価値が不安定化して減少し、ユーロはまだ誕生して10年しかたちません。もしユーロ圏で財政破たんする国があれば、危機を防ぐことができないでしょう。危機は世界的規模で生じているのに、世界金融のガバナンスは存在しません。
しかも、現代にはテレビやインターネットがあります。情報は瞬時にして伝わり、人々は間違った政策や情報で即座にパニックを生じます。
WSJ OCTOBER 28, 2008
IMF French Kiss
Asia Times Online, Oct 29, 2008
China wrestles its moment of opportunity
By Russell Hsiao
CSM October 29, 2008 edition
Global financial reformers must heed Asia's clout
By Phillip Y. Lipscy
NYT October 29, 2008
British Leader Calls for Larger I.M.F. Bailout Fund
By KATRIN BENNHOLD
(コメント) たとえ欧米が新しいブレトンウッズ会議を開くことに熱心でも、そこには重要な議題が欠けている。すなわち、国際金融秩序とアジアとの関係である。フランクリン・ルーズベルトは中国が回復するはるか以前に、安全保障理事会の常任理事国にすることを支持した。新しい金融システムを築くためには、アジアの発言力を決定的に高める必要がある、とPhillip Y. Lipscyは書きます。
イギリスのブラウン首相は、IMFに緊急融資プリグラムを新設するため、中国やアラブ諸国にも説得し始めました。
FT October 29 2008
Brussels must start issuing sovereign debt
By Daniel Gros and Stefano Micossi
BG October 30, 2008
A new type of capitalism
By Andrea Silbert
(コメント) なぜユーロの価値がドルや円に対して下落したのか? なぜヨーロッパ諸国政府が保証した債券がアメリカや日本の債券よりも売られるのか? とDaniel Gros and Stefano Micossiは問います。そして、その答えをユーロになってもEUの財政が分割されているからだ、と主張します。
アメリカでも日本でも政府債券は売れているのに、EU諸侯の政府は中央銀行に命令できないから、政府債券が投資家の信頼を得ていない、と。だから、「ヨーロッパ債券」を発行せよ、と主張します。これによってヨーロッパ金融安定化基金(EFSF)を設けるのです。金融危機が生じるなら、アメリカや日本で起きているように、ヨーロッパでも投資家はこの政府共通債券へ逃げ込みます。
EFSFはヨーロッパの蔵相会議が管理します。そして、小国の破たんに備え、銀行への資本注入も行います。
金融危機に応じてウォール街を作り直すにあたって、Andrea Silbert は、新しいタイプの資本主義(market capitalism 2.0)を要求します。それは、公正さに注意がはらわれ、セーフティーネットが整備されているから、フルタイムの労働者が貧困になることはない、という資本主義です。
FT October 30, 2008
By Eswar Prasad
(コメント) 国際金融危機はIMFの役割が注目される機会となります。IMFは改革と強化を目指すべきでしょう。Eswar Prasadは、二つの根本問題を解決する興味深い提案を示します。問題とは、1.IMFの融資枠が少なすぎる。大規模の国際資本移動を前提に、救済融資を行う力がない。2.IMFの投票権が不公平だ。アメリカの投票権は全体の17%であり、85%以上の賛成を必要とする決議に拒否権を行使できる。
そこで、一つの提案は、IMFを増資し、それを投票権のオークションで決めることです。ただし、これまでの投票権を全体の80%とし、20%を新しいオークションにかける。いずれの国も現在の投票権を倍増する、もしくは、全体の14.9%を超えない、という条件を付ける。こうしてIMFに投資することは、経常黒字国に累積した外貨準備をSWFに蓄積している諸国にとっても有効な運用先になります。また、IMFに一定の市場変化を反映させるし、黒字国が二国間で赤字国に融資条件を要求するよりも、公平で、透明でしょう。
もう一つの提案は、IMFの融資条件に関するものです。各国が融資条件を具体的に示して投票することです。これによってIMFの政策は政治的に支持されたことを明確にでき、大国が融資条件を無視するようなこともなくなるでしょう。
The Guardian, Friday October 24 2008
Global inequity must end
Jayati Ghosh
Al-Ahram Weekly, 24 October 2008
Bail Out the Poor
Ramzy Baroud
WSJ OCTOBER 28, 2008
Labor Unions Prolonged the Depression
By MARK MIX
FT October 30 2008
Amid the turmoil, do not forget the poor
By Kofi Annan, Michel Camdessus and Robert Rubin
(コメント) Jayati Ghoshが指摘するのは、既存の国際金融システムが世界の貧困を減らすような資源の移転を十分に行っていない、という問題です。あるいは、Ramzy Baroudが指摘するように、世界の食糧価格高騰に示されたように、食糧供給能力の拡大や安定的な供給に失敗しました。
MARK MIXは、大恐慌が深刻になったのは、労働組合に排他的な交渉権を認めたことが重要な要因だ、と主張します。特に1937年の株価下落はその前にできたワグナー法が労働者の力を強めたからだ、と。
しかし、Kofi Annan, Michel Camdessus and Robert Rubinの連盟論説が興味深いです。Kofi Annanは元国連事務総長、Michel Camdessusは元IMF専務理事、Robert Rubinは元アメリカ財務長官です。彼らこそグローバル・ガバナンスの元管理責任者と言えるでしょう。
彼らも貧困に注目し、世界の新しい金融秩序が貧困を減らすものでなければならない、と主張します。グローバリゼーションが貧しい者にとっても参加でき、利益になるように、国連のミレニアム開発目標の達成、ドーハ・ラウンドの継承を求めます。
NYT October 24, 2008 Financial Crisis Spreads to Emerging Nations By MARTIN FACKLER
BBC 2008/10/25 Irish house of cards comes down By Ray Furlong
The Guardian, Friday October 25 2008 It's Iceland's own mess Geir Rafnsson
BBC 2008/10/27 Hungary's daunting debt mountain By Jonty Bloom
NYT October 27, 2008 The Widening Gyre By PAUL KRUGMAN
FT October 27 2008 Denmark’s dilemma
FT October 27 2008 Korean rate cuts
NYT October 28, 2008 Denmark Is Rethinking the Euro By CARTER DOUGHERTY
NYT October 29, 2008 Iceland Raises Key Rate by 6 Percentage Points By REUTERS
FT October 29 2008 Budapest’s bail-out
FT October 30 2008 Emerging market bail-outs
(コメント) 金融危機が新興経済にも波及していることは、彼らの対応能力が国際金融への依存によって著しく損なわれているだけに、一気に他国にも波及します。アイルランド、ハンガリー、デンマーク、韓国、もちろん、アイスランド。
ECBはユーロ圏の外であるアイスランドやスイス・フランに対してもスワップを認めました。またアメリカ連銀も、ブラジル、メキシコ、韓国、シンガポールに対して、それぞれ300億ドルのスワップを合意しました。FTは、これを1985年のプラザ合意にも匹敵すると大いに賞賛し、また、ドルの相対的な衰退に比べて、アメリカ連銀は世界の中央銀行に対する中央銀行の役割を明確にになった、と支持しています。
FT October 24 2008 The resurgent yen
FT October 27 2008 Yen is caught in carry-trade turmoil
FT October 27 2008 Yen intervention
FT October 27 2008 Fears grow over rise of the yen By Krishna Guha in Washington, Raphael Minder in Hong Kong and Michiyo Nakamoto in Tokyo
NYT October 28, 2008 Edgy Capital Pours Back Into Japan, and Yen Soars By MARTIN FACKLER
NYT October 28, 2008 In Japan, a Robust Yen Undermines the Markets By MARTIN FACKLER
FT October 29 2008 Beware the unwinding of the yen carry trade By David Pilling
FT October 29 2008 Japanese rate cuts
(コメント) 韓国の通貨危機が日本への投資をもたらしたり、日本からのキャリー・トレードが急速に逆転したり、というのは日本の好調さを示すものです。しかし急激な円高は、金融危機と無縁であるはずの日本に対して、外貨預金をしていた人々が損失をこうむり、好調な輸出によって利益を期待していた企業にそれを消し去ってしまいます。
FEER October 22, 2008
Will Japan Go Nuclear?
by Robyn Lim
(コメント) Robyn Lim(the Department of Political Science and International Affairs, University of Queensland)は、日本の核武装について論じています。ブッシュ政権による北朝鮮のテロ支援国家指定解除がそれほどの衝撃を持っていると考えるのは、何が理由でしょうか?
それは、アジアでも冷戦が終わり、日本だけがアメリカの確実な同盟国として核の傘を保証された時代が終わったからです。アメリカが中国と敵対してまで日本を守る、とは思えなくなってきたわけです。今回のように、アメリカ政府が日本の重要視する目標を裏切って外交的な成果を得る事態を見れば、ますます自主防衛論が強まるはずだ、と。
Asia Times Online, Oct 25, 2008
Tokyo's nexus with India deepens
By Purnendra Jain
The Japan Times: Wednesday, Oct. 29, 2008
Bush's nuclear deal with India: bigger consequences to consider
By BRAD GLOSSERMAN and BATES GILL
(コメント) インドと日本、インドとアメリカ、に関する論説です。核武装するより、インドとの安全保障を深めて、さらにはアジアの安全保障共同体を目指してほしいです。
LAT October 25, 2008
Greenspan's blind spot
Tim Rutten
NYT October 25, 2008
Rescuing Capitalism
(コメント) 神のように尊敬されてきた82歳の元連銀議長、アラン・グリーンスパンは、利潤動機を過度に重視した金融政策の失敗を認めました。しかし、自ら失敗を認めることで、市場への過度の介入を防ごうとしたのかもしれません。
"I made a mistake in presuming that the self-interests of organizations, specifically banks and others, were such as that they were best capable of protecting their own shareholders and their equity in the firms."
グリーンスパンであれ、日本であれ、アメリカ資本主義を救出する行為は、たいてい、苦い結末を迎えます。では、アメリカの新しい大統領はどうするのでしょうか? あるいは、資本主義を破棄しそうなヨーロッパの政治家たちは? そして、これからまさに資本主義のすべてを味わうつもりの中国は?
NYT October 26, 2008
But Have We Learned Enough?
By N. GREGORY MANKIW
(コメント) IMFの主任エコノミスト、Olivier Blanchardは、大恐慌に至る可能性はゼロだ、と答えたそうです。この80年間で十分に学んだから。しかし、N. GREGORY MANKIWは、同じ危機か? と問います。
当時も、1920年代のブームを冷ますために金融が引き締められました。金利に敏感な部門で消費が減ります。しかし、株価暴落の後、事態は予想外の悪化を始めます。株価の下落で損失を被り、不確実さを恐れて消費を延期する人が増えました。1930年から33年にかけて9000以上の銀行が破たんし、人々は預金を引き出してじゅうたんの下に隠します。そして貨幣供給が大幅に減少します。1929-33年、消費者物価が24%下落しました。融資が減って企業も倒産し、失業者が急増します。
政府は様々な介入を試みますが、ニュー・ディールも含めて、その効果は乏しく、むしろ悪化を促したかもしれません。MANKIWは、効果があったのは金融緩和とそれを可能にした金本位制の放棄、ドルの切下げであった、と指摘します。これらは、今や、経済史における標準的な知識ですが、興味深いのは経済学者たちが恐慌を予測できない、という点です。当時も今も、データや分析技術を用いて予測する試みは失敗しています。
The Observer, Sunday October 26 2008
Don't expect China to get the West out of this mess
Will Hutton
(コメント) さようなら、アメリカ金融ビジネス! こんにちは、中国共産党! ・・・という具合にも行かないな、とWill Huttonは考えます。二つのマクロ経済を均衡させるのは、アメリカの過剰消費や投資と、中国の過剰貯蓄や輸出でした。今度は中国が内需拡大を加速するでしょうか?
しかし、中国のバブルも破裂しています。不動産や株価は急激に価格を下げました。その結果、消費の減退により、香港周辺の工業地帯では、2200の靴工場の半分、3600の玩具工場の3分の1が閉鎖されました。また、中国の旺盛な資源需要も衰え、さまざまな国際価格が急速に下落しています。中国の銀行によるデリバティブや資源国への投資も減少していきます。
中国政府は必死に金融緩和し、財政支出によってインフラ投資も始めています。しかし、成長率は7%に下落するかもしれません。そして、それはイギリスや日本にとって夢のような成長率でも、わずかな農村人口の流出と技術革新の下でも、中国にとっては社会・政治不安をもたらす数字です。大躍進や文化大革命の混乱期でさえ、5%で成長していた、というのです。そして、輸出の減退により、成長率を高めるような国内改革や技術革新に向かうには、共産党の支配体制がその障害になるだろう、と。
WP Sunday, October 26, 2008
Rocky Market Horror Show
By Sebastian Mallaby
(コメント) 危機は急速に世界中へ転移しつつあります。そして今や、実物経済を破壊し、新興市場を破壊し、国際商品価格や貿易を破壊し始めています。キャリー・トレードによる資本流入を享受していた諸国は、その流れの逆転に苦しんでいます。
最大の不安は、たとえ主要国の中央銀行が銀行システムの背後から安定化を支えるとしても、その保証が及ばないヘッジ・ファンドや新興市場、資本流出入によって崩壊する経済を食い止められない、ということです。
WP Sunday, October 26, 2008
If Entire Countries Go Broke, We'll Go With Them
By David Smick
WP Sunday, October 26, 2008
The Mortgage Dilemma
NYT October 26, 2008
Help for Homeowners, at Last?
(コメント) いよいよ住宅保有者にも救済が及ぶのでしょうか? しかし、大規模な救済はモラル・ハザードをもたらします。アメリカ連邦預金保険the Federal Deposit Insurance Corp.のSheila C. Bair局長は、住宅保有者=債務者の支払い負担を緩和するような標準的なモデルを政府が提示して、差し押さえを減らすような仕組みを提唱します。
FT October 26 2008
All the world’s a stage as fear grows
(コメント) ラテンアメリカやアジアの通貨危機に対して厳しい融資条件を付けたIMFですが、今ではすっかり変わったはずです。アメリカやヨーロッパが姿勢を転換したからです。財源さえあれば、新興市場や発展途上諸国にも、寛大な条件で緊急融資を行う用意があるはずです。しかし、危機が広がれば、財源は不十分です。
Oct. 27 (Bloomberg)
Today's Rip Van Winkle Would Get a Real Shock
William Pesek
The Guardian, Monday October 27 2008
Misunderstanding Keynes
Graham Turner
(コメント) William Pesekは、世界が魔法使いによってもてあそばれているようだ、と予想外の大変化を並べます。
Graham Turnerは、イギリス政府の金融安定化を間違っている、と批判します。それは日本の経験を間違って解釈している、と。すなわち、金融政策がまず重要であって、GDPの180%近い債務を負った大規模な財政刺激策でも危機を解消できなかったのです。
また、日本の金融緩和も成功しませんでした。通常の金融緩和はすぐに行き詰まり、より極端な政策にまで至って、それでも危機は容易に払しょくされませんでした。日本は円安による輸出の増大で、ようやくデフレを脱しました。しかし、今は世界需要が各国の助けにはなりません。
FT October 27 2008
The best recipe for avoiding a global recession
By Jeffrey Sachs
(コメント) まさにJeffrey Sachsは、国際協調による世界需要の拡大を目指します。すなわち、住宅や株式の資産評価額が下落したことでアメリカの家計が被る損失は約15兆ドルである、と推定し、その約10分の1が支出の減少につながると考えます。他の世界(イギリス、アイルランド、スペインなど)の支出減も加えて、世界GDP、約60兆ドルの3%(1兆8000億ドル)が減少する。
これに対する刺激策として、1.米欧日の中央銀行が新興市場に対するスワップ・ラインを拡大し、その外貨準備の減少に融資する。2.IMFが緩和された条件でパキスタンなどに融資する。3.欧米の金融当局や規制当局は、主要銀行が融資を減らさないように指導する。
4.中国・日本・韓国は協調してマクロ経済の拡大政策を行う。中国はインフラや公共住宅の建設を行い、日本は国内だけでなくアジアやアフリカでも援助とインフラ建設を行う。3カ国が協力して政府融資に拠る地域開発銀行を通じた拡大策を採る。5.中東も新興市場や低開発国への開発プロジェクトに投資し、国内需要も維持する。世界景気が回復すれば石油価格はすぐに上昇する。6.米欧は発展途上国への輸出信用を拡大する。7.米欧自身が、たとえ財政赤字が大きくても、国内の需要刺激策を採用できる。その場合、アメリカは減税ではなく、インフラ投資や州政府への財政移転を行う。
これによって欧米の不況は回避できないが、それがアジアや発展途上諸国に拡大するのを防ぐことになる。そしてそれが世界経済を回復する条件となる。
FT October 27 2008
Borrow and spend
NYT October 30, 2008
Aggressive Fed Cuts Key Interest Rate by a Half-Point
By EDMUND L. ANDREWS
FT October 29 2008
Fed cuts rates to historic lows
(コメント) 資産価格が暴落した後は一気に金融緩和する、というのが本当に有効であるのか、アメリカの金融政策は大恐慌や日本のデフレを避けるために最大限に行使されました。それでも住宅価格の下落や消費の減退が止まらず、不況が深刻になれば、何ができるのか? 政府の景気刺激策、すなわち公共投資や雇用に対して、間接的に融資するしかありません。
FT October 28 2008
Preventing a global slump must be the priority
By Martin Wolf
(コメント) Nouriel Roubiniは、以前の予想が正しかっただけでなく、今や世界デフレーションを予想しています。これも正しいのか? Martin Wolfは、アメリカでは世界不況の予想に対しても何もしないことを主張する者が多い、と指摘します。不況は市場の調整過程であり、避けられない。
しかし、過去の過剰融資が短期の不況で一掃される、と願うのは愚かである、とMartin Wolfは批判します。むしろ不況と大規模な銀行破たん、企業倒産、失業、が発生する危険があり、グローバリゼーションがそれを世界に輸出する。過去の過剰融資で莫大な富を得た者は罪を逃れ、無辜の民が大きく貯蓄や職を奪われる。これは19世紀型の自由放任による調整過程であり、その結末は排外主義やナショナリズム、革命であった。ベッドの中で喫煙する者を罰するために、その町全体を焼き払うべきか?
不況がさらに悪化するのを避けるために、政府は何でもするべきだ、と主張し、Sachsの提案を支持し、さらに追加します。1.短期金利が高すぎる。一層、金融緩和せよ。2.信用の収縮を防ぐ唯一の道は、彼らが国債に逃げ込むのを許すことだ。減税も望ましい。3.経済の内外で、支払い可能な主体に対する融資を拒んではならない。銀行が拒むなら政府が代わるべきだ。4.新興市場の債務を継続することは富裕諸国にとっての国益である。5.住宅バブルや経常収支赤字による経済の膨張が消滅した世界では、輸出に頼る成長戦略を見直すべきだ。
新しい世界秩序を夢想して会議を重ねることも、自由放任と変わらない。眼前の危機を回避するために全力を注ぐべきだ。
WP Thursday, October 30, 2008
The President-Elect Won't Have to Wait Till January to Act
By Martin Feldstein
(コメント) 問題は、住宅価格の下落と、総支出の減少、である。これ以上、住宅価格が下落すると、デフォルトが増える。それは金融危機を拡大する。その不安があるのでモーゲージを組み込んだ証券価格は回復しない。悪循環を断つ政策を導入するべきだ。
総支出の減少は、消費、投資、純輸出で起きる。それに代わって政府が支出を増やすしかない。インフラの建設が有効だ。1000億ドル規模の刺激策でも多すぎない。イラクやアフガニスタンの軍の装備を改善することも含めるべきだ。
WP Thursday, October 30, 2008
Back in Business
SPIEGEL ONLINE 10/27/2008
INTERVIEW WITH NEOCONSERVATIVE SCHOLAR: 'America Remains Number One'
ROBERT KAGAN
WP Thursday, October 30, 2008
Still No. 1
By Robert Kagan
(コメント) ドイツの記者によるKaganへのインタビューです。
WPの論説では、オバマを支持するF.フクヤマオやF.ザッカリアの言葉を引いて、オバマがアメリカ衰退の大統領を目指している、と批判します。そして、このバカげたアメリカ衰退論を攻撃します。ポール・ケネディーもサミュエル・ハンチントンも、以前からアメリカの衰退を予想し、間違いました。
イラク戦争でアメリカのイメージが最も損なわれた中東地域においてさえも、戦略的な同盟関係が再編されることはなかった。
FT October 27 2008
Good people?
By Amy Kazmin
Asia Times Online, Oct 29, 2008
Thai tensions underline regional woes
By Marwaan Macan-Markar
(コメント) タイの政治に関する詳しい論説です。
The Japan Times: Monday, Oct. 27, 2008
West ganging up on Russia
By GREGORY CLARK
FT October 30 2008
Crisis-hit Russia must scale down its ambition
By Robert Skidelsky
IHT Thursday, October 30, 2008
Our future with Russia
By James Carroll
The Guardian, Thursday October 30 2008
Back to the future in the Caspian corridor
Simon Tisdall
(コメント) Robert Skidelskyは、ロシアが拡大路線を転換するしかない、と考えます。かつてメドヴェージェフは「ロシアが世界経済の解決策だ」と豪語した。しかし、資源輸出に依拠したプーチンの時代は終わり、メドヴェージェフの時代はまだ始まってもいない。
他方、GREGORY CLARKはロシアの政治経済が改善したことを確認し、James Carrollは米ロの和解を求めます。Simon Tisdallは、カスピ海沿岸でアメリカの影響力が失われた、と見ます。
FT October 29 2008
Congo reignites
(コメント) ルワンダを含むコンゴの内戦が再燃しつつあります。
FT October 30 2008
Mittal fatigue
By Peter Marsh
(コメント) 金融危機から世界不況へ、インド出身の鉄鋼王、ミッタルLakshmi Mittalがどう動くのか、注目されています。ArcelorMittalの株価は4か月で72%下落しました。
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The Economist October 18th 2008
Russia and Europe: Too soon to kiss and make up
The Caucasus: After the war
Logistics in Africa: Network effects
(コメント) コーカサス地方における石油・資源とパイプラインが重要であることは当然です。さらに記事は、サーカシビリの政権を維持するために軍事・経済援助を行うだけでなく、コーカサス地域安全保障を支持しています。
これ以上に興味深い記事は、アフリカのロジスティックスです。かつてなら「帝国主義」や「植民地支配」として批判されたでしょう。しかし、今では「ロジスティックス」であり、「開発」「輸出」「投資」です。多くの問題は共通していると思いますが、良い意味で、大きく変わりました。
The Economist October 18th 2008
Capitalism at bay
Asia and the crisis: Here we go again
Europe and financial crisis: The end of the beginning?
Charlemagne: Bad times ahead
Public finance: Counting the cost
Industry and financial crisis: Meanwhile, in the real economy...
A short history of modern finance: Link by link
Rescuing the banks: But will it work?
The legacy of depression: L-shaped poverty lines
Cross-border banking: Divided we stand
(コメント) The Economistは、資本主義、自由主義の危機、を深刻にとらえる立場です。たぶん、大げさなくらい。金融危機は世界恐慌への不安を明確に示しています。
記事を読みながら、レバレッジ、セキュリタイゼーション、デリバティブ、が危機の根幹であると思いました。信用膨張から収縮へと向かい、それが証券化とデリバティブ取引によって有毒資産を世界中に埋没させているわけです。世界中を地雷除去の特別チームが駆け巡っています。しかし、あまりに複雑で、あまりの膨大。最後は政治決断で救済融資しかないのか?
そういった論争に加えて、国際制度の再編が議論されるようになりました。その前に、現在を理解するため、国際通貨・金融システムが今に至る歴史的過程を簡潔に、しかも、明確に描きだした、特筆すべき記事を読んでください。A short history of modern finance: Link by link
始まりはブレトンウッズ体制の崩壊でした。国際資本移動と為替変動のリスクから、さまざまなデリバティブが生まれ、ビッグバンが提唱され、投資銀行が利益を拡大し、証券化と金融工学のハイテク賛美が続きます。中央銀行の独立性やインフレ目標、BISによる自己資本規制も、むしろ予想外の結果をもたらしました。